『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第38話「恐怖のハイパーダイブモード!」の感想 【黄名子と天馬がついにミキシマックス!】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第38話「恐怖のハイパーダイブモード!」を観ての感想を書く。アーサー王伝説編の最終回。チーム雷門は偉大なる王と聡明なるドラゴンの2つの時空最強イレブンのオーラを獲得する!



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第37話「アーサー王とマスタードラゴン」の感想 【パーフェクトカスケイドの正体発覚!】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

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 時空最強イレブンの能力を手に入れるため、アーサー王伝説の物語世界の登場人物となった松風天馬(CV:寺崎裕香)たち雷門の一行は、アーサー王(CV:星野充昭)に率いられ、囚われの身になった菜花黄名子(CV:悠木碧)を救出に向かう。

 嘆きの洞窟で黄名子と再会した一行だったが、黒い騎士=レイ・ルク(CV:河野裕)に操られたマスタードラゴンと避けられぬ戦いに巻き込まれてしまう。アーサー王泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる)心境でこれを討つ。


 正体を現したレイ・ルク、そしてパーフェクト・カスケイドとの戦いを前に、天馬はこれまで抱いていた自身のリーダーシップのなさに言及し、キャプテンとしての自信を失ってしまったことを明かし、前キャプテンの神童拓人(CV:斎賀みつき)の忠言をも聞き入れない。

 これまで勝利したことのない強敵を前にキャプテンたる天馬のその態度は、これから起こるであろう苦戦を予感させるものであった……。


 パーフェクト・カスケイドはさらに全員がアンドロイド(人造人間)であることを明らかにし、彼らの最強モードである「ハイパーダイブモード」に移行して雷門を迎え撃つ十分な姿勢を見せる。

 そしてその能力はやはり圧倒的であった。キックオフ直後からFWのブル・レクス(CV:佐々木日菜子)とグラ・フォム(CV:奈良徹)2名だけで雷門ディフェンス陣を切り裂き、ゴール前にボールを持ち込んで合体必殺シュート「シュートコマンド20(双飛遊星弾)」を放つ。



 ブル・レクスとグラ・フォムの合体シュート「シュートコマンド20(双飛遊星弾)」。プラクティスモードの時も強烈なシュートだったが、今回はハイパーダイブモードである。その破壊力もさらに増しているはずだ。


 そのシュート、ゴールキーパー西園信助(CV:戸松遥)のさらに前で立ちはだかったのは、このシリーズ中情けないシーンが目立つ狩屋マサキ(CV:泰勇気)だった。汚名返上とばかりに必殺ディフェンス技「ハンターズネットV2」でそのシュートをブロックしようとする。

 だが「シュートコマンド20(双飛遊星弾)」の威力は止められない。狩屋の紡(つむ)いだネットを突き破り、シュートは一直線にゴールを目指す。

 信助はその間にミキシトランスし、さらに左手を一閃、空間に水墨画の山を描く。これは必殺キーパー技「大国謳歌」の発生エフェクトなのだが、何とその動作が間に合わない!



 「ハンターズネットV2」で勢いを減じたはずなのに、信助の必殺技の発動よりも前にゴールに到達してしまう「シュートコマンド20(双飛遊星弾)」。恐るべき威力とスピードだ。


 迷いの中、チームのために何も出来ないままに先制点を奪われてしまったことに、天馬は白昼の悪夢を見たかのように茫然自失(ぼうぜんじしつ)の表情を浮かべ、自軍ゴールネットが揺れるさまを見つめていた……



   オープニング


 今回はオープニング最後の場面「☆ティリ・タ・バミナル☆」に注目。ティリ・タ・バミナルはアナグラムなど諸説あるが、まだ真相は明らかになっていない。歌っている【T-Pistonz+KMC】のブログでも今のところ教えてくれていないし。

 画像、よく見ると雷門の選手たちとプロトコル・オメガの選手たち及びザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)、レイ・ルクが仲良く電車ごっこしている図になっている。あの強面(こわもて)のザナークさんまで電車ごっこしているというのがシュールで微笑ましい(前にいる三国太一(CV:佐藤健輔)にとっては地獄だろうけど)。これは今後彼らが仲間になるという展開を示唆するものであると見て良いと思われる(詳細は感想文後の総評にて)。




 天馬は信助のもとに駆けつけ、自分の至らなさで失点してしまったことを詫びる。自分の指示がしっかりしていれば防げたと思う天馬の脳裏に、試合前に倉間典人(CV:高垣彩陽)から聞かされた「俺はお前にリーダーなど求めていない」という言葉がリフレインする。

 自らのキャプテンシーにダメ出しをされた倉間の言葉、それがその通りになってしまったと思う天馬は悔しさとやるせなさで顔をしかめる。信助はそんな親友の苦悩を心配そうに見つめることしか出来ない。



 天馬の気持ちなど考慮されることはなく、試合は続行される。失点を喫した雷門(円卓の騎士団)のキックオフ。天馬も気持ちを切り替えて再開された試合に臨む。

 フェイ・ルーン(CV:木村亜希子)からパスを受けてドリブルで前進する剣城京介(CV:大原崇)の行く手を6番・ファ・ニール(CV:不明)が阻む。機械仕掛けの精緻(せいち)なマークは剣城の鋭い切り返しにも執拗(しつよう)についてくる。

 個人技で抜くことは不可能と見た剣城はフェイにパスを送るが、それは簡単にカットされてしまう。雨宮太陽(CV:江口拓也)がマークにつくが、寸分違わぬパス回しで回避してしまう。

 天馬の動揺で揺らいでしまった雷門とはまったく対照的に正確な動きをするアンドロイド特有のゲームメイクに、天馬はパーフェクト・カスケイドの底知れない強さを感じる。

 どう考えても善後策が見い出せない天馬は遮二無二(しゃにむに)突進するが、レイ・ルクの冷徹なシュートを受け、倒されてしまう。



 天馬を気づかう神童を尻目にパーフェクト・カスケイドは前進する。そして霧野蘭丸(CV:小林ゆう)が指揮する雷門ディフェンス陣を飛び越えたブル・レクスとグラ・フォム両FWは、1点目の再現とばかりにまたも必殺の「シュートコマンド20(双飛遊星弾)」を撃つ。

 信助は今度は最初からミキシトランスしている分、早出しの「大国謳歌」で迎撃することに成功する。だがなんということか! その「大国謳歌」ですら「シュートコマンド20(双飛遊星弾)」は止めることが出来ない! 小柄な信助はボールごとゴールネットに叩きつけられてしまう。


 立て続けの2失点。これにはさすがに選手たち、そして雷門ベンチの意気を喪失させる。監督であるアーサー王が厳しい表情で試合を見つめる中、ここで前半戦終了のホイッスルが鳴る。ちょっと早い気もするが、気のせいだろう。

 むしろ悪い流れが続いている分、その雰囲気を変えるためにもこのハーフタイムは雷門にとって良い仕切り直しのタイミングだったと言える。


 悄然とベンチに戻ってくる雷門の選手たち。そんな中、うつむいて身じろぎもしない天馬の名を、アーサー王が呼ぶ。


松風天馬! これに!」

 見るとアーサー王、聖剣エクスカリバーを構えてお怒りのご様子。すわ天馬くん手討ちにされてしまうのでは!?


 アーサー王は天馬をひとり呼びつけ、彼が何を迷っているのかを問いただす。天馬は自らにリーダーとしての素質がないことを悲観していることを正直に告げる。だがアーサー王は重ねて、天馬の言うリーダーの素質とは何かを問う。

 キャプテンをする上で重要な素質であると返答する天馬。アーサー王はなおも、キャプテンとは何かを問う。みんなを引っ張って勝利に導くことがキャプテンの役割だと答える天馬に、アーサー王はそのみんなの声を聞けと告げ、さすれば天馬がしなければならない本当の役割が見えてくると諭す。


アーサー王「答えはフィールドにある!」


 アーサー王はそう言って天馬に進むべき先を指し示す。そんな2人の会話を聞いていた倉間は、後輩キャプテンの苦悩する姿をジッと見つめる。


 彼はフィールドに向かおうとする天馬に向けてドリンク入りの袋を投げつけ、会話の緒(いとぐち)を掴む。そして試合前、天馬より神童の方がリーダーに向いていると語ったときの会話の裏に隠された思いを語る。


倉間「だけどな、俺はお前のこと、最高のキャプテンだと思ってる」
天馬「リーダーに向いていないのに、何で最高のキャプテンなんですか!?」


 遠まわしの言い方では本当に伝わらない鈍感な後輩に、倉間は失笑しながら頭を掻く。天馬はみんなを率いるだけのキャプテンではないのだと告げ、ベンチに帰っていく。皮肉屋の倉間にすれば最大限、ここまでが天馬に見せられるデレであった。



 かすかにその口元を満足げに歪める倉間。彼的には「言ってやった」感からかなり満足している感じだが、KYの天馬くんには噛んで含めるぐらい説明してあげないと伝わらないと思う。



 後半戦が始まろうとしていた。

 案の定、倉間の言葉の意味がよく分からないままにフィールドの所定の位置に着く天馬に、レイ・ルクが機械的な口調で雷門を完璧に粉砕、殲滅することを告げる。不気味なその口調に天馬は戦慄する。



 そして雷門ボールのキックオフで後半戦開始。フェイがなぜか気負った調子で攻め上がる。剣城のパスを求める言葉にも構わず、自分の力で事態の打開を図ろうとしたのだ。

 だがそれは今のパーフェクト・カスケイド相手には無謀すぎた。レイ・ルク以下、パーフェクト・カスケイドの全選手が「人工化身プラズマシャドウ」を召喚し、そしてアームドする!





 前回予告で見せた、このトロンみたいな姿は「人工化身プラズマシャドウ」のアームド状態だったようだ。こうなるとただでさえ見分けが付きにくいパーフェクト・カスケイドの連中がますます誰が誰やら……。11人全員が化身アームド出来るなんて普通にズルい。「そんなのアリかよ!?」とは瀬戸水鳥(CV:美名)の弁。


 パーフェクト・カスケイドは予期せぬ事態に怯(ひる)んでいたフェイを一瞬にして取り囲み、「ディフェンスコマンド14(無影乱舞)」でボールを強奪する。




 激しくフィールドに撃ちつけられたフェイを黄名子が気づかう。無事を知って安堵のため息をつく黄名子。心なしか彼女が他のチームメイトを気づかう時よりも一層心配の度合いが強かったように見えるのは気のせいだろうか?


 だがその気づかいはチームの危機につながりかねない行為だった。独断で持ち場を離れた黄名子を天馬が厳しい口調で叱咤(しった)する。神童が敵の総攻撃を天馬に伝える。見ると不気味な挙動で、それでいて正確無比なパスワークでパーフェクト・カスケイドが攻め上がってくる。

 前半戦より気合が入った錦龍馬(CV:岩崎了)、神童、太陽の敢闘も虚しく突破を許す。ゴール前で張る蘭丸たちをまたも軽やかに飛び越していくブル・レクスとグラ・フォムに、レイ・ルクからラストパスが通る。ミキシトランスした信助はまたも「大国謳歌」で受けて立つが、これも止められない。2失点目の再現のように失点を許してしまう。

 これで試合は0−3と、パーフェクト・カスケイドが一方的にリードする展開となってしまう。これまでの試合でパーフェクト・カスケイドに押しまくられてきた展開、悪夢が蘇(よみがえ)る。

 流れを変えなければならない。天馬のそのつぶやきを受けて奮起したのはフェイだった。今度こそ決めると言い放つフェイの前向きな姿勢は、黄名子をも奮起させるものがあった。



 再度雷門のキックオフで試合が再開される。勇んで攻め込むフェイだったが、またもパーフェクト・カスケイドに周囲を取り囲まれる。必死のボールキープで凌ぐフェイ。だが奪われてしまうのも時間の問題だろう。

 そのフェイに助け舟を出すべく、黄名子が右サイドをオーバーラップして駆け上がってくる。またも黄名子の独断専行に天馬は持ち場に戻るよう指示するが、黄名子はその命令をあえて無視し、フェイにパスを促(うなが)す。

 そしてそれを受けた黄名子が一人でボールを持ち込む。それはやはり無茶としか思えない行動だった。フェイを絡め取った合体ディフェンス技「ディフェンスコマンド14(無影乱舞)」が黄名子を切り裂く!



 おにゃのこ相手でも容赦しない。硬派なパーフェクト・カスケイドの皆さん。「融通が利かない」とも「しょせんは機械仕掛け」とも言う。


 倒された黄名子のもとへ駆け寄る天馬とフェイ。ボールはよろめきながらも上体を起こした黄名子の横を転がって、場外、それもマスタードラゴンが沈んだ湖に転がり落ちていく。

 ボールが着水した瞬間、そこからまばゆい光が溢(あふ)れ出す。呆然と見つめる黄名子。そして駆けつけた天馬と黄名子の前で、湖の表面が盛り上がり、爆発的に水流が噴出(ふんしゅつ)する。

 その水柱から現れたのは、あのマスタードラゴンだった! まばゆい光は、マスタードラゴン自身の輝きそのものだったのだ。



天馬「マスタードラゴンが復活した!?」



 聖剣エクスカリバーで討たれたと思われたマスタードラゴンが復活した。マスタードラゴンは一声大きく咆吼(ほうこう)し、その帰還を誇示する。そして呆然と見ていた黄名子と視線が合うと、その瞳を慈愛に満ちたものに変える。それは、黄名子が誘拐される際に一瞬垣間見た、洗脳されていない本来のマスタードラゴンの瞳なのだった。


黄名子「その目が本当のマスタードラゴンやんね!」


 黄名子はそう言うと、マスタードラゴンに歩み寄る。狂乱するマスタードラゴンを体験し、まだ不安の残る天馬やフェイが心配する中、黄名子はその邪気の消えた目を頼りに大丈夫だと請け合い、笑みを浮かべてマスタードラゴンの眼前まで歩いて行く。

 マスタードラゴンは一層その輝きを増し、黄名子はその光の中に包まれていく。


???「感謝します、菜花黄名子……」


 目をつぶってマスタードラゴンの光を受け入れた黄名子の心に、凛(りん)とした女性の声が聞こえてくる。それはマスタードラゴンが心で黄名子に語りかけている声、であった。



 なんと、マスタードラゴン(CV:小林優子)も女性だったやんね〜。立派なヒゲがあるというのに……。この世界、諸葛亮孔明(CV:沢海陽子)とかロックスターとか、第一印象や事前情報が男なのに実は女ってパターンが多すぎじゃね?


 マスタードラゴンアーサー王と黄名子の思いが自身をダークドラゴンナイトの洗脳から救ってくれたと告げ、そのことに深く感謝していたのだ。

 ただマスタードラゴンが良いドラゴンだと無償の思いで感じ、救いたいという意思を持った黄名子の献身がこの奇跡を呼んだと言って良いだろう。

 そしてマスタードラゴンは気持ちを通じ合わせたからであろうか、黄名子が胸に秘めているある思いに言及する。黄名子にも守りたいものがあり、そのために戦っているという黄名子の本心に気づくマスタードラゴン。それが黄名子にとってとてつもなく深く、隠された愛情であることまで見抜かれ、黄名子はハッとなって驚く。



 その瞬間、彼女の脳裏に浮かんだ光景は楽しそうにサッカーする自分と……フェイの姿が。


 走馬灯のように浮かんでくるのは、いつもフェイとの思い出ばかり。黄名子が守りたいものというのはフェイのことであることは間違いないだろう。


マスタードラゴン「でも、優しさや愛情だけでは愛する者を守ることは出来ません」


 それには強さと賢さを身につけなければならないと、マスタードラゴンは黄名子を諭す。愛する者を守る強さと、愛する者の傷ついた心を理解してやれる賢さ、この二点が必要だと強く説(と)く。

 そして狂乱するマスタードラゴンを最後まで信じ、救おうとした黄名子にはその力を持つ資格があると、マスタードラゴンは黄名子にその力を貸すことを誓う。

 野獣の獰猛(どうもう)さと賢者の頭脳を合わせ持つ自身の力を黄名子に授けると告げ、彼女は黄名子に顔を寄せて一層強く輝きを放つ。それはマスタードラゴンが自身の意思でミキシマックスしている状態であった。孔明の時と同様、ミキシマックスガンを使う機会を逸したクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)。

 その言葉を聞いたアーサー王は怪訝(けげん)な表情でミキシマックスという言葉の意味を尋ねる。それに返答するのは娘のメローラ姫こと空野葵(CV:北原沙弥香)だった。マスタードラゴンがオーラを黄名子に与えているのだと教わったアーサー王は納得したようだ。「何で娘がそんなこと知ってるんだろう?」とは思ったかもしれないが。


 光が収まったとき、そこにはマスタードラゴンの顔を愛おしそうに撫で付ける黄名子の姿があった。マスタードラゴンのオーラを受け継ぎ、愛するものを守る母性ある戦士として生まれ変わったその姿は、凛とした強さと慈愛に満ちた優しさを兼ね備えた、ミキシマックス完了後の黄名子、であった。



 これこそ第9の力「野獣の獰猛さと賢者の頭脳を持つファンタジックリベロの姿の体現! 前回も書いたが、リベロとは攻撃にも参加するセンターバックのことを言う。エースストライカーでもある黄名子にとっては最もふさわしいポジションと言えるかもしれない。円堂大介(CV:藤本譲)も満足そうだ。基本的にアホの子だった黄名子もこれで賢者の頭脳を持ったということになるのかな? 孔明の頭脳を持つ太陽とどっちが賢いんだろうか?


 自身の力を与えた黄名子を応援しつつ、マスタードラゴンは湖にその姿を没する。黄名子はマスタードラゴンに感謝の言葉を捧げ、再開される試合に臨む。第9の時空最強イレブンの能力を得て振り向いた彼女の表情はやる気に満ちていた。


 パーフェクト・カスケイドのスローイン。相変わらずの針穴を通すような精密なパスで天馬と太陽をかわして攻め上がってくる。だがこれまでと違い、第3列には今度はミキシ黄名子がいた。

 向かってくる選手に向けて踊るようなエフェクトで放たれたミキシマックス必殺技「きらきらイリュージョン」で迎え撃つ。


 
 そのサーカスの猛獣使いのようなエフェクトでボールを見事に奪い取る黄名子。そしてすかさず天馬にボールを送る。黄名子はなぜそこで天馬をパス相手に選んだのか?

 黄名子は天馬が悩んでいたことに気付いていた。そして彼女がマスタードラゴンの力を得たように、ひとりで抱え込んではダメだと諭す。このパスはそれを天馬に伝えるための「気持ちのパス」でもあったのだ。

 その言葉に元気をもらった天馬は勇躍ドリブルで駆け出す。しかしまたも例のパーフェクト・カスケイドの鉄の防御網に引っかかってしまう。そんな天馬に声を掛けたのは、錦だった。

 左サイドを駆け上がりながらパスを要求する錦に天馬はパスを出す。それを受けつつ、錦は自分たちがキャプテンである天馬を信頼していることを、飾らない言葉で伝える。

 錦に追っ手が迫る。察した錦はフェイにパス。ボールだけでなく、天馬への思いを伝える役割も引き継いだフェイは「天馬は僕らの横にいる」とその意義を端的に語り、さらに太陽にパス。太陽は「僕らも天馬の横にいるんだ」とチームが一丸となって天馬を支え、かつ支えられているという思いを伝える。

 太陽からパスを受けた黄名子が支えあう自分たちを言葉だけでなく行動で実証する。その後も蘭丸、狩屋、トーブ(CV:ゆきじ)、信助がそれぞれの天馬への思いをボールとともに回していく。それは、天馬がこのチームの中心だからこそ成り立つ思いの連鎖であり、思いの伝播(でんぱ)でもあった。

 そして最後の思いを伝えるのは、天馬が憧れてやまない前キャプテン、神童だった。神童から気迫のこもったパスを受け取り、天馬は後半戦開始前にアーサー王から言われた「答えはフィールドにある!」という言葉の意味を理解する。

 天馬はリーダータイプの指導者には向いていないことを喝破するアーサー王。だが、人を率いるために真に必要な要素はそれではないということもアーサー王は指し示す。

 そしてその真に必要な要素を天馬は持っていた。仲間たちの声、それがこのパスされてきたボールに込められていたことに思いが至った天馬は、涙を浮かべて自分をキャプテンと認めてくれた仲間たちに心から感謝する。そう、キャプテンの資質とは、キャプテン自身が決めることではない。仲間が認めた者、それこそがキャプテンなのだ!!


 天馬は自分なりのキャプテン像を掴んだ。先頭は走れないかもしれないが、いつもみんなとともに走り続けるキャプテン、それがみんなの理想とする、そして天馬にしかなることが出来ない雷門のキャプテン像なのだ。

 迷いを断ち切って疾駆する天馬の前にまたもパーフェクト・カスケイドの姿が。だがもう迷わない天馬くんはあわてず剣城にパスを送る。倉間に負けないぐらいのツンデレ体質の彼はさっきのパスの輪にも加わっていなかったが、天馬を思う気持ちは同じだった。



剣城「やっと気づいたか……(´<_` )」  と嬉しそうに笑う。  仲間全員の信頼を受け、さらに天馬の心に迷いはない。今こそ第10の力「絶対的な勇気と揺るぎない実行力で大地をも味方にするキングオブミッドフィールダーミキシマックスのタイミングだと判断した大介はワンダバに指示を出す。そのオーラを持つアーサー王ミキシマックスするのは、天馬を置いて他にはないとの判断だ!

 その意を受けて、ワンダバも張り切ってミキシマックスガンを抜き放つ。マスタードラゴンは自前でミキシマックスしてしまったから、活躍の場は今しかない!




 アーサー王とのミキシマックス完了! ついに主人公が時空最強イレブンのオーラを引き継いだ! ウルフヘアーでちょっとワイルドな天馬くんのミキシマックス姿。……あれ、以前シュウ(CV:沢城みゆき)とミキシマックスしてたけど、あれはどうなるの? ひとり何キャラでもあり?


 仲間たちもベンチのマネージャーたちも大喜びで天馬のミキシマックスを歓迎する。力を与えたアーサー王も笑みを浮かべ、部下であり分身であり、娘婿(?)でもある天馬の姿に満足する。

 そしてそのミキシマックスの真価はすぐに問われることとなる。フェイからパスを受けた天馬はパーフェクト・カスケイドゴールに向かう。例によって立ちはだかる敵を前に、握り締めた天馬の拳が光を放つ!




 ミキシマックス必殺技「王の剣」で敵を排除する天馬。エクスカリバーを手にしたミキシ天馬はまさにアーサー王の威容。だけどこれってどう見ても……反則……。剣はオーラが作ったものだからOKということなんだろうけど、なんか卑怯クサい。


 前方を掃除した天馬はエースである剣城にシュートを託す。剣城は残り時間が気になったか、やや急ぎ気味にミキシトランスし、一気に必殺シュート「菊一文字」をパーフェクト・カスケイドゴールに撃ち込む。

 


 以前はプラクティスモードのラウ・セム(CV:美名)に軽く止められていた「菊一文字」だが、押せ押せの雰囲気がシュートを後押ししたのだろうか(それともここから敵キーパー受難のザルタイムがスタートしたのか?)、今回は鮮やかにゴールネットを揺らし、雷門が1点を返すことに成功する。これで試合は1−3となる。


レイ・ルク「……イジョウジタイ(異常事態)」



 ゴールが決まった雷門は、天馬がこの勢いを持続させるべく、仲間に声を掛ける。これは自信の回復がキャプテンの資質を高めるという何よりの好例だ。「立場が人を作る」という状態は天馬がキャプテンに就任した直後に見られた現象だが、ここでもそれが体現されていた。

 アーサー王もその姿を頼もしげに見つめ、天馬の能力こそ自分が理想とする王の能力だと語る。アーサー王をしてここまで言わしめる天馬のキャプテン像は、まさに折り紙つきの本物だと言えよう。



 試合ももはや雷門の独壇場(どくだんじょう)だった。一時は咬ませ状態に成り下がっていた錦の必殺シュート「伝来宝刀」までもがゴールに突き刺さり、これで2−3と雷門が追い上げる。



 歓呼の中央には、天馬の姿があった。信頼され信頼し、支えられて支える。今の雷門に理想のキャプテンは彼しかいないということがよく分かる。チームメイト=民の言葉を聞き、その苦しみを分かち合うことが出来る特別な才能としてアーサー王が理想とする姿でもある。



 押せ押せの試合展開に乗り、黄名子がついに新必殺シュート「やきもちスクリュー」を披露する。エースストライカーという肩書きも持つ彼女にシュート技が無いのはおかしいもんね。それにしても黄名子はモチ系の技しか無いんかい?(「きらきらイリュージョン」はともかく)


 そしてこのシュートもラウ・セムはなすすべなくゴールラインを割ってしまう。どうやらザルタイムが確変状態で起こっているようだ。もうこうなったら止まらない(逆の意味で)。


 民(=チームメイト)を率いる力は国(=チーム)全体の力となり、強大な敵にも立ち向かう大きな力が生まれるのだとアーサー王は葵に語る。世界観こそ違えど、アーサー王と天馬のなすべきこと、そしてなさねばならないことは共通していた。



 そしてフェイがミキシマックス必殺シュート「王者の牙」をパーフェクト・カスケイドゴールに叩き込み、試合の趨勢(すうせい)は決まった。4−3と後半だけで4得点を挙げた円卓の騎士団(雷門)の大逆転勝利に終わる。これは黄名子、そして天馬の覚醒によるところが大きかったと言えるが、それ以上に敵キーパー受難のザルタイムが大きかったと言えるだろう。ラウ・セムくん、ハイパーダイブモードになってかえって弱くなるってどういうことやねん?



 序盤は化身アームド11人衆のパーフェクト・カスケイドにビビってたけど、よく見たら雷門側もこの時点で5人がミキシマックスしてて、結構卑怯だ。



 試合終了のホイッスルと同時に、歓喜のベンチ陣がフィールド内になだれ込んで勝利したチームを祝福する。その陰で惨敗を喫したパーフェクト・カスケイドのメンバーは静かにアームドを解除し、無言のままルートクラフトに搭乗し、この世界から去っていく。彼らは再び雷門の前に現れるのだろうか? そしてエルドラドの今後の動向は?

 それらの鍵を握ることになるような印象を持った少年、SARU(CV:岡本信彦)もこの試合を最後まで見届けていた。口角を釣り上げて不気味に笑うSARUは、この試合結果に満足しているかに見えるが……。



 そして戦いが終わり、嘆きの洞窟を後にした一行。妖精「ヴィヴィアン」こと山菜茜(CV:ゆりん)の持っていた絵本の最終ページも、元のようにアーサー王の勝利の姿に戻った。物語の結末を迎えたことで、天馬たちはこの世界で演じなければならなかった役柄から解放されることとなる。

 アーサー王の周囲に膝まづく円卓の騎士たち。天馬はここでアーサー王に自分たちの正体を明かし、自分たちのやらなければならないことのためにこの世界を去ることを告げる。

 本来なら円卓の騎士はアーサー王を守護し、助け、盛り立てなければならない存在のはずだ。だが天馬のその真っ直ぐな視線を受け、アーサー王は彼らのその行動を許すことにする。旅に出るという形で体裁(ていさい)を整え、この地を去ることを許可する。


アーサー王「もはや迷いはないようだな?」
天馬「はい!」


 おのれの力を受け継ぐ者の力強い返答を受け、アーサー王は頼もしそうに天馬の肩に手を置く。そして天馬に絶対的な勇気と揺るぎない実行力があると告げ、そういう人間のもとに人は集まると言う。それは仲間の信頼を勝ち取るという、何よりの才能なのだ。

 アーサー王ですら憧れるその力を持った天馬に率いられる限り、雷門のこれからの戦いもきっと上手く行くだろう。アーサー王から本当の王になるのだと言われ、天馬はその言葉を反芻(はんすう)する。

 そしてアーサー王は雷門の選手全員に、自分たちが円卓の騎士であることを忘れず、どんな困難にも立ち向かうよう激励する。



アーサー王「円卓の騎士に栄光あれ!!」
一同「おうっ!!」



 そしてアーサー王と別れ、木陰で休息する一行。

 今回の時空の旅路で黄名子と天馬がミキシマックスに成功し、これで11の力のうち10までを獲得したことになる。錦が自分たちはすでに時空最強だと自惚(うぬぼ)れてしまう気持ちも分からないではない。

 だがその慢心(まんしん)を大介は叱りつける。サッカーにおける強さというのは個人の能力ではなく、チームとしての総合力なのだ。つまり11番目の選手が揃ってはじめてこのチームは時空最強イレブンと呼べるだけの力を発揮することが出来るということだ。


 その頃天馬と葵は、近くの小川に飲み水を汲(く)みに来ていた。革袋に水を入れる作業中、天馬は葵に心配をかけたことを詫びる。遅ればせながら周囲の気持ちに気づいた幼なじみの態度に葵は苦笑してしまう。

 だが悩んだ末に掴んだ天馬なりのキャプテン像は、天馬自身をも成長させる触媒の役割も果たしていたように思えた。葵はそんな天馬が前よりもキャプテンらしくなったと笑う。


???「すごいよ天馬くん」


 そんなラブコメな展開に水を差す邪魔者が現れた。振り向くと天馬も葵も見たことがない少年がそこに立っていた。彼はその目を覆っていたゴーグルを外す。その表情、それは天馬にそっくりだった!

 それを当たり前だと言って少年は笑いながら近づいてくる。



 素顔が天馬に酷似しているSARUことサリュー・エヴァン。セカンドステージチルドレンの組織「フェーダ」のリーダーが天馬にそっくりなその理由とは一体?


 SARUは天馬に伝えたいことがあって来たのだと言う。だがその説明を始めた瞬間、天馬と葵が光に包まれて姿を消す。同時刻、森の木陰にいた他の雷門メンバーも同様に姿を消していく。

 SARUが頭上を見上げると、エルドラドのルートエージェントが乗り物としているルートクラフトが飛び去っていくのが見えた。これはエルドラドが天馬たちを連れ去ったと見るべきだろう。ではなぜこういう強硬手段とも言える行為に及んだのか?


SARU「エルドラドに先を越されちゃった……」


 SARUはそれほどショックでもなさそうな表情でポツリとつぶやく。いや、むしろ楽しみが増えたと言わんばかりにうっすらと笑みさえ浮かべる。



「まぁいいや……」



 SARUの目的とは、そして雷門を連れ去ったエルドラドの真意とは?



 次回に続く



  エンディング




 アーサー王伝説編、終了!

 やっぱり4話構成だったようだけど、天馬に黄名子のミキシマックスとかハイパーダイブモード状態のパーフェクト・カスケイドとの決着とか、あまりにたくさん詰め込みすぎて今回は大変だった印象を受ける。色々と投げっ放しになっている部分もあるしさぁ。物語を無事に終わらせたのは良いけど、最初に登場したシーナ(CV:折笠富美子)とは再会する間もなかったし、元の世界に戻るにはどうしたら良いのかも曖昧(あいまい)だったんじゃない? そういう描写がなかったし、イナズマTMキャラバンもまだ行方不明。エルドラドに連れ去られなかったら天馬たちは元の世界に帰れなかったような印象が……。


 雷門にとっては天馬がアーサー王的な王の精神を受け継いだことが一番の収穫だろう。天馬が理想としていた神童や太陽の能力はしょせん彼らにしか出せないものであり、天馬がそれを追い求めても詮無(せんな)いことなのだ。よしんば似たようなキャプテン像を築けたとしても、それは彼らの二番煎(にばんせん)じであり、そんなものは仲間の誰も求めてはいなかった。天馬は自分の理想をみんなの理想と勘違いしていたというわけだ。



 さてエルドラドが天馬たちを連れ去った理由だけど、雷門がSARUと接触する前に強制的に先んじたということなのだろうか? そもそもセカンドステージチルドレンを生み出さないようにするために雷門を狙っていたエルドラドが、今後は協調体制になっていくのかもしれない。オープニングで雷門とルートエージェントたちが電車ごっこしてる図に言及したのはそれが理由。



 次回予告では、あの懐かしのベータ(CV:伊瀬茉莉也)ちゃんの姿が! ムゲン牢獄送りになっていたけど、出所したのかな? 後ろにいるのはオルカ(CV:ゆりん)ちゃんだろう。彼女はザナークに洗脳されていたんだけど、それも解けたようで何より。


 雷門とエルドラドが協力してセカンドステージチルドレンと戦う。これが今後の展開になりそうだ。私がむかーしに仮説を立てた予想、フェイがセカンドステージチルドレンという説はまだどっちか分からないんだけど、真の敵がエルドラドではなかったという点は当たっていたかなと。



 最後に私信ですみません。私、1月27日から1月30日まで旅行に行きますのでコメント返しなどができない可能性があります。予(あらかじ)めご了承ください。旅行先でネットにつなげる環境があればぜひ確認したり更新したりしたいです。ぜひとも皆さんの声をコメント等で聞かせてください。今回の天馬くんのように「やるべきことが見えてくる」かもしれないですので。



  次回「結束!雷門とエルドラド!!」に続く。



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 ↑ 最後まで読んでくれてありがとう。「みんなの声を聞け。そうすればやるべきことが見えてくる!」(今日の格言・そのままのアーサー王の言葉)という訳で、記事が面白かったと思われましたら、毎日クリックして頂けると嬉しく思います。今回は発言を変えようがないほどそのままブログの運営にハマってました。



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