『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第35話「伝説へのジャンプ!」の感想 【アーサー王伝説編スタート!】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第35話「伝説へのジャンプ!」を観ての感想を書く。物語はついに時空だけでなく、現実とフィクションの垣根さえ越えて「アーサー王伝説」の世界へ!



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第34話「さよならと吼える声」の感想 【恐竜時代編終了!】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

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 200年後の世界、最高権力機関「エルドラド」の本部ビルは襲撃を受け、至るところから黒煙を上げていた。

 議員たちの施政(しせい)の場であった円卓会議場に乱入したのは、エルドラドに成り代わって世界の秩序者にならんとするセカンドステージチルドレンの組織「フェーダ」のリーダー、SARU(CV:岡本信彦)であった。

 議長、トウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)をはじめとするエルドラド中枢を守るために急遽帰還したサカマキトグロウ(CV:石井康嗣)率いるチーム「パーフェクト・カスケイド」はSARUに対峙(たいじ)する。キャプテン、レイ・ルク(CV:河野裕)の戦闘開始の言葉に、機先を制するかのようにSARUが言葉を紡(つむ)ぐ。


SARU「いや、やめておくよ」


 SARUはここまで攻め込んでおきながら、その目的が戦うことではなく(それはエルドラドの滅亡をも意味する)、忠告に訪れたのだと言う。過去の世界に干渉(かんしょう)してセカンドステージチルドレンたちの誕生を阻止しようとするエルドラドの行為は無駄であるとSARUは余裕ある表情で語る。

 エルドラドの送り込むルートエージェントでは、松風天馬(CV:寺崎裕香)たち雷門の選手たちを倒すことが出来ないからだと言うSARUに対し、つい先ほど、もう一息で雷門を倒すことが出来たはずのレイ・ルクが反論する。

 SARUは面白そうに笑みを浮かべる。彼の見立てでは、雷門はそんなに簡単に倒せるものではないということなのだろうか? トウドウはそれだけを言うためにSARUたちがやって来たとは思えない。我々を滅ぼすつもりなのかと核心を突く。

 SARUはその言葉を意外なものと受け流す。そうではなく、今回の本題は、エルドラドとの共存について提案があると言い出す。あまりに唐突な言い分だったが、その能力に裏打ちされたSARUの自信満々の語り口は、トウドウにとっては不気味で底知れないものを感じさせる。



SARU「断れないことは、分かるよね?」


 パーフェクト・カスケイドが来たものの、もし負ければそれで自らの人生も終わるのである。絶対に勝利するという確信がなければ、特に成功を修めた人間なら保身的になるものだ。共存できるのならとトウドウの気持ちが動いたとしても無理はない……おそらくではあるが、彼はSARUの提案を断れないはずだ。



   オープニング



 一方その頃、恐竜時代から現代に帰還した雷門は、サッカー棟内で久々に登場の3年生たちも混じえて実戦形式の練習に打ち込んでいた。キーパーの三国太一(CV:佐藤健輔)から車田剛一(CV:野島裕史)にボールがフィードされる。

 1年生の影山輝(CV:藤村歩)、2年生の倉間典人(CV:高垣彩陽)といったFW陣が向かうが、車田はそれをかわしてさらに前方にフィード。まだまだ後輩たちに劣らないところを見せる。

 それを見てハッスルするのが菜花黄名子(CV:悠木碧)だった。車田からボールを受けた雨宮太陽(CV:江口拓也)には神童拓人(CV:斎賀みつき)と天馬が向かう。太陽は実力者の接近にもあわてず、左サイドの錦龍馬(CV:岩崎了)にパスを出す。

 その判断の適切さを神童が褒める。現キャプテンの天馬はその状況判断能力に一日の長(いちじつのちょう)を見た思いで複雑そうな表情を浮かべる。やはり恐竜時代でのキャプテン能力の欠如を気にしていたのだろう。その姿を見て、フェイ・ルーン(CV:木村亜希子)は思考に沈む。

 神童はそんなフェイに下がるよう指示を出す。一瞬練習から気が飛んでいたフェイはあわててその指示に従うが、ボールは黄名子が確保し、西園信助(CV:戸松遥)の守るゴールに走る。

 それを阻止に向かったのは、フェイだった。



 間一髪でそれをかわした黄名子は得意のポーズでフェイを励まし、前進を再開する。神童は最終ラインに控える青山俊介(CV:高垣彩陽)に指示を出す。

 だが太陽の指示を受けた黄名子の行動の方が早い。黄名子は一気にシュートを放ったが、信助が横っ飛びにそれをセーブし、失点を免(まぬが)れる。信助のその動きはキーパーとして申し分ないプレーで、先輩キーパーとして信助の成長を見守ってきた三国が褒め称える。

 シュートを阻止された黄名子は残念そうにほっぺたを掻く。太陽がトラップ後はすぐに反応しないとダメだと優しく、かつ的確なアドバイスを送る。謝りつつ太陽の広い視野を褒める黄名子の言葉を聞きながら、天馬はまたもその表情を曇らせる。

 また指示されながら黄名子のシュートを阻止できなかった青山には神童がそのプレーのダメだったところを指摘し、さらにどう対応すればよかったのかを適切にアドバイスする。

 太陽も神童も、2人とも実にキャプテンらしく行動し、みんなをリードして引っ張るという気概(きがい)に満ちていた。それに引き換え、自分は何も出来てはいない……天馬は思わずうつむいてしまう。

 そこに声をかけたのは、さっきから天馬の変調を気にかけていたフェイだった。元気がないと問われ、天馬はあわてて取ってつけたような笑顔を見せる。だが自身の落ち込みをフェイに見抜かれていたことに気づいた天馬は壁の雷門のイナズママークを見やりつつ、キャプテンの役割とは何なのかを問う。

 フェイは改めてそう聞かれ、自身もハッキリとした答えを持ち合わせていないことに気付く。そんな2人の会話に割り込んで来たのは、恐竜時代に仲間になった野生児のトーブ(CV:ゆきじ)だった。



 トーブ「威張(いば)ればいいんだっ!!」


 唖然(あぜん)とする2人に、トーブはキャプテンとはボスのことなんだから威張って命令してれば良いのだと宣(のたま)う。さすがにそんな野生の世界だけで通用するような弱肉強食の理論を2人は首肯(しゅこう)することは出来なかった。



 練習が一段落し、ミーティングルームで過去の世界に向かって得られたここまでの時空最強イレブンの能力を確認する一同。

 これまでに 【①神童②霧野蘭丸(CV:小林ゆう)③太陽④信助⑤錦⑥剣城京介(CV:大原崇)⑦トーブ⑧フェイ】 と、11人中8人までの能力を入手することに成功した。だがまだまだだと一応監督のクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)が檄を飛ばす。

 敵の力も強まっており、特に2度の戦いでその強さを実感させられたパーフェクト・カスケイドに対抗し得る能力を獲得するには、確かにまだまだと言いたくなる気持ちも分からないではない。



 その説明を聞く雷門の選手一同。トーブは本来は狩屋マサキ(CV:泰勇気)の横の席なのだろうけど、地べたに座り込んでいる。野生児の彼にとって椅子というものは窮屈(きゅうくつ)に感じられるものなのかもしれない。



 そして次の時空最強イレブンの次の能力を、クロノ・ストーン状態の円堂大介(CV:藤本譲)が告げる。

 9の力として「野獣の獰猛さと、賢者の頭脳を持つファンタジックリベロ、そして10の力として「絶対的な勇気と揺るぎない実行力で、大地をも味方にするキングオブミッドフィルダーという2つの能力を大介は告げる。

 そしてそれを持つ存在として、「マスタードラゴン」と「アーサー王」の両者の名を挙げる。それを聞いて雷門メンバーに衝撃が走る。それもそのはず、マスタードラゴンアーサー王も、架空の物語の中の登場人物で、実在した人間(生物)ではないからだ。狩屋は値踏みするように大介が本気かどうかを尋ねる。

 大介はそう決めた理由を説明し始める。彼がまだトンガットル共和国の病院に入院していた頃、となりの病室にいた少年の就寝時に読み聞かせるために読んだ本が「アーサー王と見習い騎士」という絵本なのだった。読み聞かせるためだったのに、気付けば大介の方がその内容に惹(ひ)かれてしまい、少年が寝てしまったあとも読みふけり、最後まで読んでしまったという。



 内容はアーサー王と円卓の騎士に憧れた見習いの騎士が主人公の物語。従者を連れ、同じように騎士を志望する仲間の騎士とともにアーサー王に拝謁(はいえつ)し、円卓の騎士に入団するための試験を受ける。

 一方で巨大な白いドラゴン=マスタードラゴンが黒い鎧の騎士に呪いを受け、操られたマスタードラゴンアーサー王との戦いが始まる。



 途中、お姫様がマスタードラゴンに攫(さら)われるシーンで柄(がら)にもなくその立場に憧(あこが)れる瀬戸水鳥(中 CV:美名)と、間髪入れずに水鳥はその柄ではないことを指摘する錦。このあと鉄拳制裁されたものと思われる。


 通読(つうどく)すると、誰もがその波乱万丈、奇想天外な展開に没頭してしまうほどの内容で、大人が読んでも楽しめる面白さになっていた。山菜茜(CV:ゆりん)や音無春奈(CV:佐々木日菜子)も読みながら実に楽しそう。大介が読みふけってしまったというのも頷(うなづ)ける。


 アーサー王のカリスマ性、そして人間を超える知恵と力のマスタードラゴンの2つの能力こそ、次の時空最強イレブンの能力にふさわしいと大介は断言する。

 だが輝はこれがあくまでも空想の世界であり、現実ではないと告げる。おとぎ話から時空最強イレブンを選んだことを、今一度確認する狩屋。だが大介は自信たっぷりだ。



 大介の大人げない態度に苦笑いを浮かべる一同。フェイのこんな表情は結構レアだと思う。


 浜野海士(CV:金野潤)がそこで本当に空想の世界に行くことが出来るのかと当然の疑問を述べる。浜ちゃんは結構鋭いことをピンポイントで言うよね。

 大介は不可能を可能にしてこそ、時空最強イレブンなのだと方法論には一切触れず、精神論を無責任に煽(あお)り立て、狩屋たちを呆れさせる。

 だがそこで意外な援軍、大介の言い分はメチャクチャと言うほどのものでもないという声が響く。見ると、いつの間にそこにいたのだろう、相変わらず神出鬼没のクロスワード・アルノ(CV:楠見尚己)博士の登場だ。

 パラレルワールドとは可能性の世界であり、何が起きても不思議ではないのだと一席ぶつ。本来の歴史に無かった世界でも、それを作り出せるアーティファクトさえあれば、それに準じた新たなるパラレルワールドが作れるかもしれないと言うのだ。

 飲み込みの早い神童がその抽象的な説明を分かりやすく噛み砕く。架空のおとぎ話であっても、その歴史の流れを生み出すことが出来る何か(アーティファクト)があれば、その世界にタイムジャンプ出来るのだという風に解説する。

 タイムジャンプなどに関してはアルノ博士は権威でもあり、その説は大いに参考にしても良いと思われる。だがそれには新たな歴史の流れをを生み出すためのアーティファクトが無ければならないと剣城が肝心のことに触れる。実在したかどうかも分からないアーサー王にゆかりのあるアーティファクトなど、どうやって用意すればよいのだろうか? 雷門一同に絶望感が走る。


黄名子「あるやんね〜!!」


 その雰囲気を吹き飛ばすような明るい声でそう言ってのけたのは、黄名子だった。驚く一同に対し、黄名子は自分の親戚に骨董品(こっとうひん)を集めることが趣味の大金持ちがいて、アーサー王の王冠も持っているというのだ。



 現在のフルメンバーの驚き顔一覧(黄名子は驚かせる側なので除く)。トーブとか、この話の内容が理解できているのかしら? あと大介は石だから全然そうは見えないけど、驚いているんだろうなぁ〜。


 そして驚く仲間を尻目に、借りてくるから待ってて欲しいと言って部屋を飛び出していく。サッカー棟の外、イナズマTMキャラバンの前でアルノ博士に何かを頼む人物。その姿はキャラバンに隠れてよく見えない(多分、やんねの彼女だろう)。



 しばらくして戻ってきた黄名子は、古ぼけた王冠を持ち帰ってきた。それこそがアーサー王の王冠だと胸を張る黄名子だったが、ネガティブで根が疑い深い性格の速水鶴正(CV:吉野裕行)がそれが本当にアーサー王のものなのかを疑い出す。意地悪の狩屋もそれに乗っかってニセモノだと決めつけ、浜野はそれが本物かどうか証明しようがないと、やっぱり信じてはいない様子だ。

 もちろん黄名子は本物だと怒り出す。代々アーサー王の子孫に受け継がれたものだと言って譲らない。その場はワンダバの鶴の一声で、それが本物であるということを信じようという話に収まる。速水や浜野はそんな古ぼけた王冠でタイムジャンプするということがどうにも心配らしく、顔を青ざめる。


 そこで大介が今回の遠征メンバーを発表する。

 天馬、フェイ、剣城、倉間、神童、錦、太陽、蘭丸、狩屋、輝、トーブ、黄名子、信助の13名の名が呼ばれる。タイムジャンプを不安に思っていた速水と浜野は選ばれなくてよかったね。


 ん、ちょっと待て……13名!?

 そう、これまではマネージャーを除いて11人カツカツだった遠征メンバーが、今回からは13名となっていた。神童のその疑問に大介が返答する。敵が強くなっているので、控えのメンバーが必要になったと大介は判断したらしい。

 そしてそのためのハード面も実はすでに完備されていた。アルノ博士がキャラバンを改造して、乗車定員を増やしていたのだ。このタイミングの良さを思うと、大介とアルノ博士とは事前にこの手の相談がなされていたのではないかと推察される。


 選出されたメンバーは遠征のための荷物(多分、ユニフォームをはじめとする着替えだろう)を持ってキャラバンに走る。キャラバンに向かう黄名子を呼び止める声。それはフェイのものだった。

 フェイは呼び止めたものの、黄名子の屈託のない表情を見て口ごもってしまう。だが意を決して、その思いを伝える。黄名子が言っていた「お金持ちの親戚」などは存在しないと見抜いていたのだ。黄名子は一瞬驚きながら、それをあっさりと認める。

 なぜそんな嘘をついたのかとさらに問いかけるフェイに対し、黄名子は人差し指を口元に当て、いたずらっぽく「内緒」だと告げる。



 「でももうすぐウチのことが分かるやんね」


 そう言って、それまでは秘密にしたいと笑顔でフェイに話す。そこまで言われては、フェイも口をつぐまなざるを得ない。



 キャラバン内ではアーサー王の王冠をセットして、タイムジャンプする準備が整っていた。出発しそうになるワンダバを制し、空野葵(CV:北原沙弥香)はフェイと黄名子がまだ来ていないことを告げる。

 そこに遅れたことを詫びながら、黄名子が乗り込んでくる。遅れてフェイも。遅れた原因を天馬に問われ、フェイは笑ってごまかす。自分が黄名子に感じている表現できないどこか引っかかる思いはまだ秘めていた方が良いと判断したのだろう。


黄名子「さーあ、出発出発〜っ!!」


 明るく元気な黄名子の音頭で、キャラバンは初めて本来の時空にない、フィクションの世界に向けて旅立つ。すべては時空最強イレブンの能力を得るために。

 

 順調にワームホール内を跳ぶイナズマTMキャラバン。マネージャーたちは絵本を手に、アーサー王伝説の世界に思いを馳せていた。まだ一抹の不安を抱く水鳥に対し、茜は絵本を見つめてもうおとぎ話の世界にトリップしていた。

 今回向かう先は物語とあって、その結末も決まっているわけだからかえって心配することはないと前列の狩屋と輝が楽観的に話しかける。



 茜が読むラストシーン、それは「マスタードラゴンの呪いは解かれ、王国に平和が戻る」というものであった。主人公の騎士たちは円卓の騎士として伝説になるのだと蘭丸が後を受ける。


 だがそこでキャラバンに衝撃が走り、アラート音が鳴り響く。緊急事態が発生したらしい。得体の知れないアーティファクトが悪かったのではないかと狩屋が焦るが、当然のごとく黄名子がそれに噛み付く。



「王冠は本物やんね!!」


 物語の世界に行くということ自体が無茶だったのか、それともやはり定員オーバーだったのだろうか? 今までにない体験に、メンバーたちに動揺が走り、恐慌状態(きょうこうじょうたい)に陥(おちい)ってしまう。

 落ち着かせようと後ろを振り向いた天馬くんだったが、それよりも早く神童、太陽がそれぞれ適切な指示を出す。サッカーの場面以外でもキッチリとキャプテンシーを発揮する両者の姿は、天馬にはどう映ったのだろう?


 操縦するワンダバはコントロールを制御しようとハンドルを握り締めるのだが、どうしてもそれが敵わない。キャラバンはワームホールの中を漂流するかのようにダッチロールし、雷(いかずち)に撃たれてメンバーたちの意識はブラックアウトする……



???「しっかりしてください!!」


 ……誰かが一所懸命に呼びかける声が聞こえる。

 目を開いた天馬は、そこに優しげな女性の姿を認める。状況を飲み込めないまま飛び起きた天馬は、自分がベッドに寝かされていたことに気付く。

 そこにいた女性を含め、その部屋は天馬にデジャビュを想起させた。かつて天馬はこの部屋をどこかで見ていたのだ。

 女性は自らをシーナ(CV:折笠富美子)と名乗り、天馬の名を尋ねる。天馬は名を名乗るが、直後に大事なことを思い出す。一緒にいた仲間はどうなってしまったのだろう!?

 だがシーナは天馬以外は見なかったと答える。


シーナ「他にはクマさんだけ」


 それを聞いて天馬の目の色が変わる。クマと言えばアイツしかいない。シーナの示す先では、樽(たる)の上に鎮座した未来の世界のクマ型ロボットが呑気(のんき)に眠りこけていた。

 ワンダバに声をかけて肩を揺する天馬。寝ぼけながらも目を覚ましたワンダバは、他のメンバーもこの近くのどこかに飛ばされてしまっていると見当を付ける。

 架空の世界へのタイムジャンプは失敗に終わったと残念がるワンダバだったが、天馬は確信していた。ここがその「架空の世界」であるということを。

 ワンダバに窓の外を指し示す天馬。そこにはアーサー王の城が確かに存在していた。そして振り向いたワンダバは、今いるこの部屋も、来る前に見ていた絵本の絵にそっくりであると天馬に告げられる。



 ミーティングルームで見ていた絵本の絵と見比べてみよう。シーナの姿も同じ。そして見習い騎士の位置には天馬が……。天馬はここに来た時からこの姿ということで、今回はワンダバスイッチで変身したわけじゃないらしい。


 そこまで確認して、ここがアーサー王伝説の世界だということを理解したワンダバは、興奮のピンクポストペット状態にさらに頭から噴火して感涙(かんるい)にむせぶ。架空の世界へのタイムジャンプは成功だったのだ!

 そこで一緒に勢い込んでいた天馬のお腹が鳴る。恥ずかしそうに頭を掻く天馬くん。空腹の分かりやすい表現とはいえ、本作中で天馬はよくお腹が鳴るね。腹ペコキャラか?



 シーナの給仕で、たくさんのパンやハムにありつくことが出来た天馬くん。豊富な食材はシーナの両親が用意したものだという。倒れているところを救われ、さらにご馳走を出されて天馬は気が引けたのだが、旅の騎士には親切にするのが礼儀だとシーナは笑う。騎士という扱いを受け、そんなご大層な身分じゃない天馬はやや居心地が悪い。

 アンドロイドゆえに食事を取らないワンダバはシーナにクマ扱いされ、本気モードで怒り出す。天馬は話を変えるべく、シーナの両親について質問する。両親はともに畑に出ているらしい。

 アーサー王マスタードラゴンのおかげで豊作だと聞かされ、天馬は時空最強イレブンのオーラを受け継ぎに来たという使命を思い出す。マスタードラゴンは天候を自在に操って雨を降らせたり、どんな種を植えれば良いのかを教えてくれる良きドラゴンだという。

 ファンタジーの世界観に感動したワンダバの魂の爆発音は軽くシケ面でスルーした天馬くんだったが、遠くから響く花火のような音には敏感に反応する。シーナによると、それは円卓の騎士の入団テストを告げる音だという。

 そして天馬にも早く行くよう、出発を促(うなが)すシーナ。ピンと来ない天馬に、シーナは天馬が円卓の騎士になるためにここに来た見習い騎士なのだろうと言う。これはつまり……


 先に気付いたのはワンダバだった。天馬たちがタイムジャンプすることによってこの世界はパラレルワールドとして誕生したわけだ。つまり物語に組み込まれた天馬たちは、そのままこの世界の登場人物になったということなのだ。

 つまり天馬は本作の主人公である、見習い騎士そのものになったというわけだ。そして見習い騎士としてアーサー王に会い、円卓の騎士の入団テストを受けなければならない。


天馬「そんな……オレが主人公だなんて……」


 いやいやチミ、何年イナズマイレブンシリーズの主人公やってるんだね?


 戸惑う天馬に対し、ワンダバは逆にもうノリノリだ。クマ型ロボットの分際で、勇敢な騎士という役どころには前々から憧れていたらしい。つまりワンダバは自身を主人公の友人となる見習い騎士役(副主人公的な役どころかな?)だと自覚しているようだ。



 シーナの見送りを受け、天馬とワンダバは城に向かう。別れの際、ワンダバが騎士を意識してやや気取った口調でシーナに別れを告げるのが可笑(おか)しい。


 物語の主人公であることに、まだ半信半疑の天馬に対し、ワンダバはせっかくこの世界に来たのだから、主人公気分を楽しめとやや不真面目なエールを送る。

 そんな2人の行く手に、分かりやすいトゲトゲの棍棒を持った盗賊が現れる。ワンダバが啖呵(たんか)を切るが、盗賊はワンダバを従者とみなして相手にしない。盗賊はどうせ騎士にはなれないと天馬に語り、有り金を置いて立ち去れとドスを利かせた声で言う。

 侮辱された思いの天馬は怒るが、よく考えると武器の一つも持っていない。だがそこに強烈な勢いで飛んでくるサッカーボール!!



 サッカーボールを武器にするなんて、仲間以外にありえない。


 ボールを盗賊の顔面に直撃し、一発でノックアウトしてしまう。そのボールが飛んできた方を見やると、そこにはフェイの姿があった。天馬たちを助けたのはフェイだったのだ。

 フェイは天馬を一目見て、彼が物語の主人公の見習い騎士になったということに気付く。未来人だからなのだろうか、フェイのその理解は早い。

 そしてフェイは自身が主人公の友人となるもうひとりの見習い騎士であるとみなす。だがそれは聞き捨てならないと、ワンダバが気色(けしき)ばむ。主人公の友人騎士は自分だと言って譲らないのだ。

 フェイは苦笑しつつ、ワンダバの背中を指差す。ワンダバがミキシマックスガンを持ち歩くためのリュックサック、それは絵本にあった騎士の従者が背負っていたものとクリソツであった。




 それに気付いたワンダバは、自分の役どころのすべてを悟ったと同時に、この世界に抱いていた楽しい思いのすべても失ってしまう……。




 「ひゃっほー騎士だぜぇ!」と浮かれていた頃のワンダバ(イメージ)。




 「従者かよ……」と真相を知ってしまった時点のワンダバ(イメージ)。



 傷心のワンダバはさておき、今度はフェイがウキウキ浮かれて副主人公の立場に収まる(上記1枚目のイメージ図参照)。そしてアーサー王の城に急ごうと言う。これまでの情勢からして、他のメンバーも物語に組み込まれて何らかの登場人物になっている可能性は高い。

 天馬はまたも、なぜ自分が主人公に選ばれたのかを悩む。フェイはそれに対し、物語の主人公には何か目的があるはずで、天馬はこの世界でしなければならないことがあるからこそその立場に選ばれたのかもしれないと言って天馬を勇気づける。

 そうしているうちに城ではまたも入団テストの開催を告げる花火が上がる。ここで遅刻などしてしまったら物語が台無しになってしまう。2人は城へと急ぐ。



 壮麗な門前に到着した天馬とフェイ、そして落ち込むクマ型ロボット。勝手に入ることが尻込みされる雰囲気だったが、物語の展開だと2人の見習い騎士が円卓の騎士の入団テストを受けることが規程となっている。



 すっかり落ち込みながらそう説明する従者のワンダバを見て、かえって居心地の悪い天馬くんとフェイくん。


 そこにファンファーレが鳴り響く。いよいよ入団テストが近いらしい。天馬とフェイは急ぎ足で城内に入る。広大な中庭を見渡す形のテラスに、威厳ある人物の姿を認める。それはやはりあの絵本の中の姿そのままの、アーサー王その人であった。



 アーサー王(CV:星野充昭)。


 アーサー王から名を名乗るよう命じられ、天馬とフェイはかしこまってその名を名乗る。アーサー王は2人の名を良い名だと褒め、優秀な騎士を求める立場から、円卓の騎士と戦って力を示すことを求める。そして見事テストに合格すれば、正式な騎士として城に迎え入れると宣言する。

 天馬の元気な返事を受け、アーサー王は入団テストの対象となる円卓の騎士をその場に呼ぶ。


 一斉に現れる11の影。それは、やはり天馬たちにとっては見たことがある姿であった。今度はデジャビュなどではなく、この世界に来る時も一緒だった……




 雷門の仲間たちが円卓の騎士!?


 それは雷門の仲間たちであった。記憶がないのか、それとも物語に組み込まれてしまってそう行動するよりないのか、神童が円卓の騎士のリーダーとして天馬たちの力を試すと厳しい口調で語る。

 天馬はその状況に戸惑いつつも、ここまで来たのだから結果を出さずに帰るわけには行かないと、腹をくくった。ワンダバもそれを応援するが、フェイは絵本の中での入団テストの状況が、馬上槍試合(ばじょうやりしあい)の形式だったことを懸念する。

 馬に乗ったこともなく、また尖(とが)った槍で突きあって勝敗を決するというテストはやはり不安で仕方がない。中庭の広大な広場を挟(はさ)み、11人と2人に分かれてしまった雷門の選手たちが対峙する。



 どう見ても槍試合などではなく、サッカーするための広場だよな(ネタバレ)。



 次回に続く



  エンディング



 いよいよアーサー王伝説編がスタート。今回は状況説明的な話に終始して、サッカーバトル的な部分はほとんど無かった。前回に予想したセカンドステージチルドレンとパーフェクト・カスケイドの戦いも無かったし。


 アーサー王の物語はそれを読んだことがない人でも、それをモチーフにしたファンタジー的なお話の断片をどこかで聞いているはず。それぐらいメジャーな物語なのだ。石に刺さった伝説の剣を英雄だけが抜くことが出来るという話をどこかで(ドラクエとか)聞いたことがあるだろう。その元ネタはアーサー王伝説なのだ。最強の剣、エクスカリバーも本作に出てくる剣の名前だし、円卓の騎士や聖杯の伝説なんかもこの壮大な物語の一部。


 アングロサクソン人の侵略と戦ったケルト人の伝説として受け継がれたアーサー王伝説だが、イングランドで最終的に勝利したのはヴァイキングの末裔ノルマン人(ノルマン・コンクエスト)。ただ征服された側のケルト人の伝説がその後も残り、世界中に伝わったというのは興味深い話ではある。

 ちなみに剣城の化身「剣聖ランスロット」や剣城の兄・優一(CV:前野智昭)の化身「魔戦士ペンドラゴン 」などもこの物語からモチーフとして採用されている。


 今回のシリーズは天馬がキャプテンとして人間的に進歩するという成長譚(せいちょうたん)が描かれるんじゃないかと想像している。つまり円卓の騎士たちを束(たば)ねるアーサー王のオーラを受け継ぐのは天馬だと思うのだ。雷門の選手たちがその束ねられる側の円卓の騎士役を演じていることからしてもその辺が示唆されているように思う。先の展開を知ってる人はもどかしいだろうけど、ネタバレしないでね。

 キャプテンシーに関して最近は思い悩むことが多くなった天馬だが、おそらくはその思いを解消ないしは吹っ切るための出来事が起こるのではないだろうか?


 同時に時空最強イレブン候補のマスタードラゴンのオーラは誰が受け継ぐんだろうね? リベロということはディフェンダー。そしてまだミキシマックスしていないディフェンダーというと、狩屋か黄名子ということになる。化身を持ってる黄名子が候補かな? これも知ってる人は実にもどかしいだろうけど、ネタバレしないでね。



 お姫様役はやっぱりというか、ヒロインの葵ちゃんだ。姫に憧れていた水鳥とファンタジー自体に憧れていた茜ちゃんはどうしたんだろう? 茜は妖精さん役かな?



 あ、あと今年の放映はこれで最後となる。次回は2013年1月9日(水)。ちょっと寂しいけど、ゲームしたり映画観たりして再開の日を待とうぜ!

 来年もイナクロの感想ブログをよろしくお願いします。



  次回「集え!円卓の騎士!!」に続く。



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