『イナズマイレブンGOギャラクシー』第37話「決戦!ファラム・ディーテ!!」の感想 【必殺技の応酬は見ていて楽しい!】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第37話「決戦!ファラム・ディーテ!!」を観ての感想を書く。ついに始まった決勝戦。最大の敵とはかつての味方に対する内なる自身の甘えなのかもしれない……。克服とはこの場合、克己ということになると言えそうだ。何を言っているかわからないと思うが、あえて曖昧(あいまい)に書いているので早く本文を読もう。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第36話「最凶!イクサルフリート誕生!!」の感想 【親友が敵に回るトラウマ再び】
 をご覧ください。

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 松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は、星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の決勝戦の舞台【ファラム・オービアス】に降り立つ。


 だがかねてより謎の多かった監督の黒岩流星(CV:佐々木誠二)から三行半(みくだりはん)を突きつけられ、エースストライカーの剣城京介(CV:大原崇)の不在と合わせ、アースイレブンには不安材料が山積(さんせき)する。

 大事な一戦を前に辛い立場に追い込まれたアースイレブンだったが、彼らを導いて来た惑星キエルの王女、カトラ・ペイジ(CV:上田麗奈)が生きた姿で現れる。ブラックホールに飲まれて命を失ったと思われていた彼女の登場は天馬たちに勇気を与え、大いに士気を高める。



 そしてフィールドに向かう天馬の前に、心配していた剣城の後ろ姿があった。涙を浮かべて友との再会を喜ぶ天馬に対し、剣城はマントを脱いでその身を包むユニフォームを披露する。それは何と、敵であるファラム・オービアス代表【ファラム・ディーテ】のそれであった!




 キャプテンマークを付けた剣城は敵対するチームを率いてアースイレブンのキャプテンである天馬に対峙するという気概を見せるかのように微笑む。


 そこから導き出される結論、それは剣城が自分たちを裏切ったという、およそ考えたくない仮説であった。九坂隆二(CV:岡林史泰)や井吹宗正(CV:鈴木達央)はそう判断するが、野咲さくら(CV:遠藤綾)はまだ信じられない様子で悲観の言葉を口にする。

 そんな中、何度もこういう人間の裏切りを見て来た瞬木隼人(CV:石川界人)は有利な側に付こうとしたと剣城の行為を決め付ける。彼らより剣城とは長い付き合いの西園信助(CV:戸松遥)がそれを咎(とが)めるが、瞬木の次の言葉に言葉を失う。


瞬木「現実を見ろよ!!」


 その言葉は誰よりもこの事態を信じたくない天馬の胸にも深く突き刺さるものであったことは想像に難(かた)くない。彼は言葉にならない疑問の言葉を胸中で吐き出す。


天馬『剣城……どうして!?』

 友の裏切り……それは前作『イナクロ』でフェイ・ルーン(CV:木村亜希子)が自身を裏切り、敵チームのキャプテンとして姿を現した時と同じ光景に思えたかもしれない。



   オープニング




 勝戦の舞台、観客席にはこれまでアースイレブンと死闘を繰り広げてきたライバルチームの面々の姿も見える。後列の猫耳ーズはポワイ・ピチョリ(CV:折笠富美子)率いる惑星サザナーラの選手たち、前列の鳥人間はアルベガ・ゴードン(CV:高口公介)率いる惑星ガードンの選手たち。



 さらにこちら後列は故人であるバンダ・コローギュ(CV:金野潤)が強い印象を残した昆虫種族の惑星ラトニークの選手たち。キャプテンはクワガタのスタッグ・クワッタ(CV:津田健次郎)。前列はアースイレブンが宇宙で最初に激突した惑星サンドリアスの選手たち。率いたのは中央のカゼルマ・ウォーグ(CV:河西健吾)。ちなみに右端のジバニャン(CV:小桜エツ子)はサンドリアスの選手ではないぞ。



 かつて好勝負を繰り広げたライバルたちが見守る中、フィールドに臨む天馬の表情は晴れない。剣城が敵に回ってしまったという現実がどうしても納得行かなかったのだ。

 その視線は自然と剣城を追う。剣城はファラム・ディーテのベンチ前でチームの中心人物として威風堂々と振る舞い、ファラム・オービアス人の選手たちを率いていた。

 剣城が指示を出す相手の中にかつて星々で助っ人に現れていた紫天王たちがいることを見て、彼らがファラム・オービアス人だったということに気付く市川座名九郎(CV:小西克幸)。女性のヒラリ・フレイル(CV:小林ゆう)はともかく男たちは頭に特徴的なツノを生やしているという共通点を持っているから特定の種族だということぐらいは気付いていたと思うんだけどね。



 この試合はファラム・オービアスの女王であるララヤ・オビエス(CV:高垣彩陽)とキエルの王女であるカトラも見つめる、いわゆる御前試合(ごぜんじあい)だ。

 それだけこの戦いの重要性の高さを証明するものであるが、ララヤを敬愛するファラム・オービアス人にとってはより勝利への意思が表出されるものと思われる。自国の国王が見てくれているという試合に発奮しない者などいないはずだからだ。そういう意味ではホームであるファラム・ディーテの方が有利な状況だ。


 ただカトラの隣に立つポトムリ(CV:三木眞一郎)の姿はアースイレブンに大きな勇気を与える。ニセ剣城(CV:大原崇)に連れ去られて以来、その動向が心配されていた存在の彼もその無事が確認できたからだ。彼の無事はイコール彼に身体を貸している水川みのり(CV:高垣彩陽)の無事の証明でもある。森村好葉(CV:悠木碧)と鉄角真(CV:泰勇気)はポトムリの無事を認め、笑顔を浮かべる。



 紫天王たちに指示を与える剣城の姿はどう見ても敵チームの支柱だ。天馬は何度も繰り返してきたであろう自問をまたも繰り返すしか無かった。


天馬「(剣城)どうしてなんだ!?」



 チームメイトたちはそのあまりにも悲しい天馬の心情を慮(おもんぱか)る。真名部陣一郎(CV:野島裕史)は剣城が洗脳され、誰かに操られているのではないかと仮説を立てる。頭脳派の皆帆和人(CV:代永翼)の推理もそれと同じ結論に至っていた。カシコ2人組の意向を受け、九坂もそれに違いないと乗っかる図。


 どうであれこの現状を受け入れなければならないと神童拓人(CV:斎賀みつき)は努めて冷徹に語る。チームでもっとも冷静で監督不在の現在、神童のこの見立てと態度はチームを落ち着かせる重要なファクターとなる。

 神童自身も雷門中時代からの戦友であり後輩である剣城の翻意(ほんい)は内心ショックであるに違いない。それを微塵(みじん)も見せずにチームをまとめる才が彼を雷門キャプテンでいさせ続けた所以(ゆえん)であろう。


神童「今は試合のことだけを考えるんだ」
井吹「ああ、やるしかないだろう!!」



 直情径行(ちょくじょうけいこう)な井吹はこういう時には頼りになる。井吹にとって剣城はキーパー練習に一番多い時間、付き合ってくれた恩人だ。だが目の前の敵として立ちはだかるならば恩人であろうと乗り越える。それが井吹のスピリッツである。


 剣城が敵として立ちはだかることに戸惑っていた他のメンバーもこれで前向きになる。さくらや座名九郎が賛同する中、ただひとり吹っ切れない人物が残された。



 落ち込む天馬くん。彼にはおためごかしは通用しない。実際にぶつかって剣城の本心を確かめるのが一番の解決策なのかもしれない。相当に荒療治(あらりょうじ)だけどフェイの時もそうだったし。



 VIP席、ララヤはこの戦いが激しいものとなるであろうことを側近のミネル・エイバ(CV:佐藤健輔)に問いかける。ミネルの肯定の返答を聞きながら、ララヤは戦前に剣城が語っていた言葉を思い返していた。

 この戦いをしっかりと見ることがファラム・オービアスの女王としての責務であると言い聞かせ、剣城は戦場へ向かった。

 しかしララヤはそれをただ見ていることしか出来ない自身の無力さを儚(はかな)んでいた。剣城に重責を任せ、見ているだけで良いのかと葛藤(かっとう)するララヤを、黒ピクシー(CV:悠木碧)に身をやつした彼女の父、先代王アクロウス・オビエス(CV:花田光)がじっと見つめていた。

 ララヤが今こそ本当の女王になるべき時だと確信するアクロウスだったが、その彼女に必要欠かざる人物が自分ではないということも確信していた。その人物、それはアクロウスとよく似た地球からの使徒であることをまるで暗示するように、剣城が再度この場を訪れる。



 こうして見ると本当にそっくりやな。同じポーズすんな。


 剣城はララヤにこの試合は絶対に勝たなければならないことを告げ、同意を求める。ララヤがうなづいたことを認め、剣城は言葉を続ける。


剣城「ではお前はファラム・オービアスの女王としてその役目を果たせ!」
ララヤ「女王としての……役目!?」
剣城「皆に勇気を与え、慈悲を与え、未来を与える……それがファラム・オービアス女王、ララヤの役目だ!」


 ララヤは親とはぐれ泣いていた子供の顔を思い出す。その子供の泣き顔を笑顔に変えたのは母親の慈悲だった。そしてその母親をも包み込み包括(ほうかつ)したファラム・オービアスの全国民が笑顔でいられる世情、それは王たる者の務めであり義務でもある。

 ララヤの預かり知らぬところで行われていたルーザ・ドノルゼン(CV:美名)の圧政によりどん底の生活に喘(あえ)ぎ苦しみ悲しむ国民の姿……それは絶対に繰り返されてはならない。ルーザの暴政をララヤが知らなかったことそれ自体が為政者として失格の烙印(らくいん)を捺(お)されるべき失態なのだった。



ララヤ「妾の望みは……妾のすべきことは……誰もが笑っていられる世の中を作ることじゃ!! ……この星の女王として!!」


 女王として自信を失いかけていたララヤのその気概を確かめて、剣城は自分の仕事に専念することが出来るようになる。



 試合に先立ち、ララヤは設けられた演説台に向かう。姿を見せただけでファラム・オービアスの国民から熱狂的に迎えられるララヤ。

 演説はファラム・ディーテの選手たちへのエールで切って落とされる。この星の全生命を守るため、最後の砦として戦うことを望むララヤ。

 そしてこの国を守りたい意思を示し、より良き国を作りたいと述べる。そのためにはこの戦いに勝利し、存続を確保しなければならないと強い口調で語る。


ララヤ「皆の者、妾は期待しておるぞ! 妾の期待に応えよ! 必ず勝利し、この国の未来を守るのじゃ!!」



 弱々しい子供だった姿から脱皮し、ノブレス・オブリージュをわきまえた真の女王の威厳がそこにはあった。その姿にはこれまでララヤをお子ちゃまだと侮(あなど)っていたヒラリ・フレイル(CV:小林ゆう)やロダン・ガスグス(CV:藤村歩)、バルガ・ザックス(CV:岩崎了)たちも一目置かざるを得ない。彼らはこれまではどちらかというとルーザの意向に従っていたファラム・オービアス侵略肯定派だったわけだけど、そんな彼らも今のララヤには逆らい難い威厳があった。剣城がメンバー入りする前はおそらく彼がキャプテンだったのだろう、アルゴ・バージェス(CV:佐藤健輔)の音頭(おんど)のもと、一斉に膝まづいて女王への忠誠を誓う。


 ララヤの威厳を最終的に確定させるかのように最後に剣城が膝まづき、ファラム・ディーテの意思は女王のために戦う騎士(ナイト)の精神で統一される。

 だが剣城がファラム・オービアス女王に忠誠を誓ったということは、彼が完全に敵に回ったという見立てが成り立つ。その姿は天馬のみならず、神童でさえ動揺する。



 女王としての存在感を遺憾なく発揮したララヤの後方では、愛娘の成長を見届けたアクロウスが静かに微笑していた。



 立ち上がった剣城は刺すような視線を天馬に向ける。それは事実上の宣戦布告であった。もはや剣城は完全にファラム・オービアスサイドの人間だとみなして間違いない。

 そして重要なのはララヤの演説がチームのみならずこの場に在する観客の気持ちも一体化させたことだ。その見事な演説を、皆帆は敵ながら認めざるを得ない。ものすごいアウェイ感を感じる真名部に対し、鉄角はそれが逆に闘志をみなぎらせるエネルギーになると強気だ。

 その鉄角に同意を求められ、天馬は思わず口ごもる。剣城が明確に敵に回った今、彼の心の拠(よ)り所は宇宙を守るためという大義と、その大義をもたらしてくれたカトラという存在だ。

 思わずもう一つのVIP席に座を占めるカトラに目線を向けた天馬。カトラはこの戦いで全力を尽くすことが宇宙を救う最後の条件となると示唆する。それはこの戦いで発生したライフエナジーが、コズミックプラズマ光子砲のエネルギーとなることを知っている立場からの願望だった。


 カトラとの約束、それが今の天馬の原動力となる。全力をかけて戦う、そのためなら命さえも惜しくないと誓った天馬の思いがフツフツと心中に蘇(よみがえ)る。そのためには親友と敵対していようと全力を出さねばならない……。



 だが過酷な運命というものはさらに天馬を苦境の淵(ふち)に追いやることとなる。信助の悲鳴を聞いてそちらを見た天馬は、信じられないものをまたも見てしまうことになる。

 チームを去った黒岩監督が、あろうことかファラム・ディーテのベンチに向かって歩いて行くのだ!!

 黒岩は剣城とアイコンタクトを交わす。彼の語っていた「私を必要としている者たちのところへ行く」とはまさにこれを表していたのだろう。


皆帆「黒岩監督も操られているってこと?」



 皆帆のその言葉を否定したのは剣城だった。自身も黒岩も操られているわけではなく、自らの意思でファラム・オービアスに肩入れすることを決めたと語る。


剣城「天馬、地球は負ける!」


 驚く天馬に追い打ちをかけるように断言する剣城。ファラム・オービアスこそが宇宙に存在し続けるのだと言う。本気で自分たちと戦うつもりなのかを問う天馬に対し、剣城は地球を打倒することが宇宙にとって最善だと信じられないことを口走る。

 なおも仲間であることを強調する天馬に、決別の言葉を向けて剣城は背を向ける。ここまで頑(かたく)なな剣城は初対面の時以来だ。私だったら兄の剣城優一(CV:前野智昭)の名前を出して説得したけどな。





 恒例の試合開始直前の両チームの布陣。ファラム・ディーテは3−3−4という超攻撃的布陣。紫天王にFWが多かった上、さらに剣城が加わったからしょうがないのだろうけど迫力は十分。剣城、ロダン、リュゲル・バラン(CV:ランズベリー・アーサー)とガンダレス・バラン(CV:興津和幸)のバラン兄弟がFW。MFはヒラリと2人の新顔、5番のセレン・メルヴィル(CV:高垣彩陽、7番のネオル・ロッツ(CV:戸松遥というお嬢様トリオ(ピンク字は女性)。DFはバルガと2人の新顔、2番のキセノ・ヴォルフ(CV:不明)、4番のラドンモーム(CV:泰勇気)。泰勇気さんはやっぱりDF声。キーパーは前出のアルゴだ。ちなみにファラム・オービアスの選手たちは元素記号から名称が取られている。

 一方のアースイレブン。フォーメーションはいつも通りの4−3−3の布陣。ニセ剣城がいなくなった穴は座名九郎が埋める。というか座名九郎レギュラーの方が戦力アップ間違いないけどね。ソウル使えるし。天馬以外は全員がソウルを使用できる状態。ベンチは控えGKの信助。



 最前列の剣城はスタートから全力で行くよう指示を出す。この試合が祖国のためであると同時に一度敗れたアースイレブンへの雪辱戦であることを強調するバルガは言われなくとも全力で掛かるつもりだったと笑う。その考えはヒラリやロダンも持ち合わせていた。そしてどちらかというとファラム・オービアスよりも雪辱の方に比重が偏(かたよ)った兄弟の姿が……。



 真名部と皆帆を名指しして、リュゲルとガンダレスの兄弟が何かを披露するという。訓練の成果なのだろうか「あそこにUFO」と指さされても受け流す芸当を見せ、ご満悦なバラン兄弟。これにはさすがのまなみなも呆れ顔だ。


 必殺技「あそこにUFO」にはもう引っかからないと得意げなバラン兄弟だったが、その技は皆帆しか使ってないはずなんだけど……なぜ真名部も復讐対象にしたんだろう?


皆帆「訓練なんかしなくても普通は引っかからないものだけどね……」


 殺伐(さつばつ)とした舞台でもやはりバラン兄弟がいるとギャグっぽく和んでしまう。



 ただ運命の瞬間は近づいていた。剣城と戦い、勝利することで宇宙を救う……靴ひもを締めながら使命の重さを感じ、その精神をも締め直そうとする天馬。

 そんな天馬に神童はあえて忠言する。監督不在の今、キャプテンである天馬がみんなを引っ張って行かなければならないということを……。

 さらなる重圧に顔を曇らせる天馬を、ベンチから全力で応援するのは信助とマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)だった。その応援を背に天馬は剣城を敵だと思い込もうとする。今この試合中だけは心を殺して目の前に立ちはだかるものをすべて敵とみなさなければならない。

 天馬はキャプテンマークを掴み、仲間を引っ張る役割を実行する。



天馬「行こう! みんな!!」
全員「オウッ!!!」


 天馬の苦悩を知ってか知らずか、それを見つめる剣城の表情に動揺は一切見受けられない。

 そして今、宇宙の運命を決する1時間の開始を告げるホイッスルが高らかに鳴り渡る!



 アースイレブンボールのキックオフで試合開始。瞬木のドリブルを電光石火の勢いで潰すのは剣城だった。



 瞬木ェ……ブロック技も持っていない剣城にあっさり止められるとは情けない。


 逆襲に転ずる剣城はロダンにパス。ロダンは剣城の指示通り、天馬を簡単に抜き去ってしまう。攻めるファラム・ディーテはロダンからヒラリにパスが渡る。阻止に向かうのはさくらだ。



 ヒラリは相手が女の子だからといって手加減はしない。サザナーラで九坂のチンコ切った(ウソ)必殺技「ジャックナイフ」でさくらを打ち倒す。


 こぼれた球にすかさず詰めたのはガンダレスだった。同じく詰めていた真名部にボールを与えず、彼のもっとも信頼する兄にパスを送る。だがそのパスは鉄角の必死のディフェンスによってカットされる。両チームとも決勝戦にふさわしい素晴らしい攻防を見せる。

 鉄角は前線の天馬にパスを送る。カウンターのチャンスなのだが天馬は相変わらず試合に集中できない。セレンに指示を出す剣城の声を聞いただけで集中力を欠き、そのセレンにボールを奪われてしまう。

 セレンからパスを受けた剣城の前に回り込むのは、その天馬だった。行かせないと息巻いた天馬だったが、個人技であっさりと抜かれてしまう。やはり現在の本気度で天馬は剣城の足元にも及んではいない。相手はあの剣城なのだ。本気で倒してやろうという思いがなければ止められるものではないだろう。

 ゴール前に迫る剣城は先に駆け込んでいたヒラリ、ロダンにパスを出す。空中でそれを受けたヒラリはロダンにラストを託す。シュート阻止のため下から飛び上がった井吹はシュートではなくキーパー潰しを目論むロダンのシュートを受け、着地したものの足首を痛めてしまう。

 

 足首に走った鋭い痛みに顔をしかめる井吹。ていうかロダンはこの期(ご)に及んでもこういう卑怯なことをする役回りなんだな。ララヤに忠誠を誓っていたのに。


 ガッチリをボールを掴んで痩せ我慢(やせがまん)の笑みを浮かべる井吹だったが、その足がひどい状態であることを神童と信助は気付いた。

 駆け寄って来た神童に対して強気の姿勢を崩さない井吹。だが同じポジションを務める信助にはその怪我がかなりの深手であることが想像できた。



 井吹の変調が流れ全体に影響を与えたのだろうか、ファラム・ディーテが圧倒的にボールを支配し、アースイレブンに攻め手を与えない展開となる。

 ネオルの突進を止めようとする天馬だったが、ネオルに併走する剣城の動きに気を取られ、ネオル単体に抜き去られてしまう。



 そのカバーに走る皆帆と好葉。2人がかりのスライディングでボールをサイドラインに押し出し、何とかピンチを脱する。

 剣城を意識するあまり、仲間にまで迷惑を掛けてしまっている状況を天馬はキャプテンとして申し訳なく思う。剣城という存在の影に惑(まど)わされる今の天馬はいつもの実力の半分も出せてはいないだろう。

 悩める天馬くんに指標を示したのは、結構意外なことにさくらだった。さくらは以前、家族関係に苦しんでいた時に天馬から心からサッカーを楽しんでいないと指摘されたことを覚えていた。

 そのさくらにとって、今の天馬はまさにサッカーを心から楽しめていない状況に映る。鉄角や真名部はこんな時に「楽しくサッカー」などと言っている場合かと突っ込むが、天馬の心にはさくらの言葉がどう響いたのであろうか?



 ファラム・ディーテのスローインで試合再開。リュゲルのスローインを素早く察してカットしたのは天馬だった。さくらの言葉が彼を目覚めさせたのだろうか。


神童「ナイスカットだ天馬!!」


 天馬の心の動きをすべて理解しているかのような達観した視線で天馬のガッツを称える神童。天馬は「サッカーを楽しむ」という原点を見つめ直し、その彼岸(ひがん)には剣城のことも宇宙の平和のことも無い、ただサッカーと自身の関係のみがあるということを思い起こす。

 勝負にこだわるあまり、先が見えなくなるという状況を払拭(ふっしょく)すること、それが「サッカーを楽しむ」という原点回帰なのだ。

 だがそこまで考えが至ったところで周囲を囲まれ、ボールを奪われてしまう。奪われたボールは剣城のもとへ。だがそれはある意味、運命的予定調和だったのかもしれない。サッカーを苦しいものと錯覚させたのは、(現時点では)剣城の裏切りであったからだ!



 疾風のように駆けた天馬は剣城の前に回る。だがそこでさらなる高みとして、剣城は立ちはだかる。


剣城「天馬、お前の力はそんなものか!?」
天馬「剣城!!」
剣城「俺を親友だとでも思っていたのか!? 親友に裏切られただけでサッカーへの思いは消えて無くなるのか!?」


 叱責するようにまくし立てた剣城は天馬を抜き去る。追いすがる天馬に対し、自分はサッカーをやっている時こそが一番自分らしくなれる時だとしてクヨクヨ悩む天馬と自身を差別化してみせる。


剣城「だから俺は戦うんだ!!」



 剣城は天馬を振り切るが、雷門サッカーを語る上で役者はもう一人いることを忘れてはならない。神童が必死の戻りで剣城からボールを奪う。剣城と天馬という1年生同士の因縁とはまた別の次元で神童と剣城も因縁を備えていた。



 神童にカットされたボールはまたもサイドラインを割る。立ち上がった神童に、天馬のつぶやきが聞こえる。


天馬「剣城は何も変わってない……!!」


 見たところファラム・ディーテの選手たちに細かい指示を出す剣城は身も心も地球を裏切ったようにしか見えない。だが天馬は今の接触で剣城のこの戦いに賭ける真意を垣間見た。剣城には何か理由があってこの戦いに臨んでいる、と。

 そうと知れば、天馬に悩む理由も無くなる。天馬は達観したような笑顔で神童に提案する。



天馬「神童さん、楽しみましょう! サッカーを!!」


 みんなにも同様に声をかけ、戦う相手は他ならぬ最強の敵である剣城だと述べ、その状況を楽しもうと熱く語る。この状況、宇宙の運命という大事をあえて考慮しなければ実に面白い状況であることは確かだ。

 神童はそれでも宇宙の運命がかかっているという前提を重視するが、天馬は剣城との会話から大事なことを悟っていた。


天馬「この戦いは、この出会いは、この瞬間だけなんです!! だからこそ思いと思いをぶつけ合って最高の試合にするんですよ!!」
天馬「それが、俺たちの大好きなサッカー!! ですよね!?」


 そう、このシチュエーションで鍛え上げられた素人集団たるアースイレブンが本気の剣城が率いる宇宙最強の惑星代表チームと戦うことが出来るのだ。それは願ってももう2度と訪れることのない機会である。今この状況を楽しむ、それはこれまでのアースイレブンの戦いで培(つちか)われたサッカーへの希求心(ききゅうしん)そのものであった。



 天馬は最後の戦いを目一杯楽しみ、全力でサッカーすることを一同に命じる。それが天馬のキャプテンシー、そしてそれこそがアースイレブンをここまで連れて来た力の源泉でもあるのだ。メンバーはそれを頭ではなく感覚で理解できるからこそ、笑顔で賛同する!


 ただひとり冷静に天馬の意見に論駁(ろんばく)した神童は、いつの間にか自分のキャプテンシーを大きく超えて成長してしまった後輩の後ろ姿を嬉しそうに見つめるのだった。



神童「大きくなったな……天馬(苦笑)」



 すべてを吹っ切った天馬がとてつもなく大きな存在となったことを実感したのは味方サイドの神童だけではなかった。剣城は今こそ最強の敵との雌雄を決する時だと自覚を持ち、メンバーに檄を飛ばす。



剣城「この試合、必ず勝利する! 宇宙最強の星、ファラム・オービアスの名にかけて!!」
一同「オウッ!!!」


 ファラム・ディーテの面々も、地球人の剣城に率いられているという不満など微塵も感じさせない気概で、総力を挙げて勝利することを誓う。



 試合再開。ドリブルで攻め上がる天馬の前にキセノが立ちはだかる。だが今の天馬はこれまでの彼ではない。必殺技「風穴ドライブ」で豪快にキセノを抜き去る。だがさらに向かって来るラドンにボールを奪われる。



 受けたネオルに向かうのは九坂だ。九坂はごっついから敵の新披露の必殺技の実験台によく使われる印象なのだが、やっぱりここでもネオルの必殺技「ホログラムロック」の餌食となる。



 まんまと九坂を抜き去ったネオルに対し、今度は鉄角が必殺技「フットワークドロウ」で奪い返す。ソウルこそまだ飛び出していないが必殺技の応酬がめっぽう楽しい!!


 鉄角から座名九郎へロングパスが送られる。しかしそれはロダンがヘディングでカット。前進するロダンを必殺技「アインザッツ」で迎撃するのは神童だ。



 その神童に凶暴な槌、必殺技「ロックハンマー」を振り下ろすバルガ。繊細な神童くんがこれを喰らうと死にそうだからやめれ。まだまだ続く必殺技合戦。


 こぼれ球を持って上がって行くさくらはこのチャンスをものにするため、ついにソウルの力を発動させる。



 カモシカのソウルを発動させたさくらは、キセノを崖下に突き落とすという非情極まりないやり方で突破する。この崖は心象風景なのでキセノファンは安心して欲しい(キセノのファンなんているのかどうかはともかく)


 そのプレーを見て、現時点では支配者であり傍観者であるビットウェイ・オズロック(CV:津田健次郎)は邪悪な笑みを浮かべる。そのプレーがライフエナジーを生成し、彼の野望の根源をなすコズミックプラズマ光子砲のエネルギーの一部が充填(じゅうてん)されたからだ。


 前進するさくらの前に立ったバルガの身体が輝く。これは必殺技の応酬からソウルパワーの応酬になったということだろうか!?




 バルガは彼の図体にふさわしいトリケラトプス型のソウル「ガンドラン」に身を包み、さくらを吹っ飛ばす。最後のポーズは歯をキラリと輝かせるところまで鉄角のバッファローのソウルと同じ形だったりする。サンドリアス編では見せる機会の無かったソウルであり、やっぱり紫天王は全員がソウルを持っていたようだ。



 そのプレーはまたもコズミックプラズマ光子砲のエネルギーを補充する。フィールド上の素晴らしいプレーが刻一刻とオズロックの野望に手を貸す形になるというのは何とも皮肉な状況だ。ただカトラも語っていたように、それがブラックホールを消滅させる唯一の手段なのだからやむを得ない必要悪とも言えるのだが。



 バルガはヒラリにパスを送る。ヒラリも紫天王として初のソウル発動の機会を得る。



 地球のクジャクのような尾羽根にワイヴァーンの身体を持ったヒラリのソウル「フェニキアス」。元ネタはフェニックス(不死鳥)か? その咆哮(ほうこう)と輝きをもって真名部をおびえ殺す(ウソ)


 真名部を抜いたヒラリから剣城へとパスが渡る。大事な先制点を取るため、剣城はシュート体勢に入る。井吹はもちろん絶対阻止の構えだ。実戦で初めて向かい合うストライカーとキーパー。

 左上コーナーを狙ったシュートに飛びついた井吹だが、その瞬間痛めた足に電撃が走る。パンチングで何とかゴールを守った井吹だが、跳ね返りに飛びついた剣城は逆を突いて右下にさらにシュートを撃ち込む。

 対角線という一番遠い位置に撃たれたシュートに対し、井吹はゴールポストを蹴ってその反動で喰らいつく。井吹渾身の再びのパンチングでこれも九死に一生を得る。

 しかしここで無理が祟(たた)る。踏ん張った井吹の足首がついに耐え難いシグナルを送り、井吹の表情が苦痛に歪(ゆが)む。

 この状態でも剣城は容赦しない。まるでこれまでの二度のシュートは井吹に無理をさせてこの最後のシュートに対して無抵抗にさせるためだったと思えるほど理知的に、かつ冷静にとどめを刺しにかかる。



 これはもうどうしようもない。3段階に渡る剣城のシュートについにゴールを奪われたアースイレブン。虎の子の先制点はファラム・ディーテが獲得する。


 容赦ない剣城のプレーに鉄角や九坂は呆れ半分で見ていた。だが以前は素人だった彼らに対し全力を尽くしてくれている剣城のプレーは彼らを認めた、最大限のもてなしとも言えた。

 ゴールを割ってしまった井吹もいつものように強気に語るが、心配される足の故障については隠し続ける腹づもりのようだ。

 失点しても落ち込まないみんなの様子は、天馬を勇気づけるものであった。試合はまだこれからだ。逆転に次ぐ逆転で勝ち上がってきたのがアースイレブンなのだ!



 再びアースイレブンのキックオフで試合再開。瞬木は今度はバラン兄弟にボールを奪われる。瞬木は剣城の敵対行為に影響を受けていなかったはずなのに、今のところ一番ダメ戦力だな。


 リュゲルからロングパス一本でゴール前のロダンにパスが送られる。ロダンは待ってましたの必殺シュート「カザンライ」を撃つ。



 井吹は痛めた足でこのシュートに対処できるのか!? だが井吹は追い詰められたこの場面で驚きの新必殺技「ゲキリンダンク」を披露する。



 ロダンのシュートを見事にキャッチした井吹。この土壇場で新たな必殺技を編み出したその頑張りには日頃はあまり井吹を認めようとしない神童も相好(そうごう)を崩す。


 信助の賛辞をも得て井吹は上機嫌となるが、ふと見ると近場にパスを出すコースが無い。前線からマンツーマンで敵選手が張り付き、どこにもボールを送れない状態だったのだ。



 リュゲルは必死で「あそこにUFO」を出して好葉の気を逸らそうとしているが、それが通用すると思っているリュゲルの態度に本気で引いている好葉ちゃん。とりあえず井吹はここにパスを送れば大丈夫なんじゃね?


 井吹はニヤリと笑うと、サッカーボールをバウンドさせ始めた。またもサッカーボールをバスケットボールのように扱う彼独特の行為だ。

 イナズマジャパンに加入した当時、井吹はこれをやって素人を丸出しにした過去があった。鉄角は悪いクセが出たとばかりに怒るが、驚いたことに神童がそのプレーを肯定する。


 その馬鹿げた動きに神童をマークしていたガンダレスが油断する。その隙を井吹は見逃さない。足の痛みが襲いかかるが、井吹は歯を食いしばって遠投体勢に入る。同時にその意図を察した神童が走り出す。



 深夜バスケアニメ「井吹のバスケ」がいきなり始まったかのような絵ヅラだが、ダンクシュートを決める勢いで飛び上がった井吹はその全体重をボールに乗せ、神童の走り込む軌道にめがけてボールを投げ込む。


 胸トラップでボールを落とした神童はそのまま瞬木にボールを出す。これまで良いところが無い瞬木はここで決めなければという気持ちを必殺シュート「パルクールアタック」にぶつける。



 同点ゴール!! アルゴはごっつい外見なのにやけにあっさりとゴールを許したなぁ。瞬木の初期必殺技なのに止められないというのはちょっと見掛け倒し。


 ようやく活躍できて瞬木も満面の笑顔を見せる。アースイレブン新旧エースストライカー同士がお互いに得点を決めて、これで試合は1−1のイーブンになる。



 天馬と瞬木が喜ぶさまをシニカルな笑顔で見つめる剣城。やはり彼にとっても最強の敵はアースイレブンなのだ。それを実証するかのように次の瞬間、射るような視線で天馬の背中を見つめ、必勝を期する剣城。その激しい視線を感じて向き直った天馬も試合を楽しみつつ絶対に負けられないという思いを表出させる。



 オズロックの野望という外部ファクターを思考の外としても、この戦いはお互いに譲れない戦いであり両者の矜持(きょうじ)をもって考えてみても、もはやなあなあでは済まされない域に達していた。どちらかが敗れどちらかが勝つ、この決着以外にはありえない。果たして勝つのはどちらとなるのであろうか?



 次回に続く。



  エンディング



 剣城が明確に敵に回った今回。おそらくアクロウスの提案でこういう立場に立たざるを得なくなった剣城の芝居なのだろうと思われる。ブラックホール消滅のためにオズロックの野望に協力しなければならないという事実を知っているのはカトラ、ポトムリ、ピクシーズ、そして剣城なのだろうから。

 ただこの試合中は剣城は本気でアースイレブンを、天馬を倒そうとしていることも間違いない。おそらくどちらが勝とうと目指す宇宙の平和という点では結果は同じことになるであろうから、純粋に天馬に勝ちたいという思いで戦っているのではないかと。


 上記したけど私だったら優一さんのこめかみに銃口を押し付けて剣城に再度の裏切りを求めていただろう。そんなことしたら剣城の真の計画どころか感動のストーリー自体がムチャクチャになるけどな。



 次回もこの戦いの続きが描かれるようだ。脇キャラである紫天王たちも活躍の場があって嬉しい。ヒラリやバルガがソウルを発動させるというシーンもあったし。ロダンの根性曲がりなところもここまで徹していれば立派かもしれない。




 次回は座名九郎が何かに目覚めるような描写が……。これって子孫のザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)が本当の力を出し切れなかった頃の描写に似ている。座名九郎もさらに成長するということなのだろうか? どうでも良いけど怖い顔やんね。



  次回「天馬VS剣城!」に続く。



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