『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第36話「集え!円卓の騎士!!」の感想 【新オープニング・エンディング!】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第36話「集え!円卓の騎士!!」を観ての感想を書く。2013年最初のイナクロ放映回、オープニングとエンディングテーマ曲も一新され、新たな気持ちで感想文を書いていきたいと思う。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第35話「伝説へのジャンプ!」の感想 【アーサー王伝説編スタート!】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

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 時空最強イレブンの能力を手に入れるため、今度はアーサー王伝説の物語世界に突入した松風天馬(CV:寺崎裕香)たち雷門の一行は、パラレルワールドを形成する上で彼ら自身もその物語を構成する登場人物に置き換えられてしまう。

 見習い騎士としてアーサー王の円卓騎士の一員を目指す立場に置かれた天馬とフェイ・ルーン(CV:木村亜希子)、そして従者役のクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)はアーサー王の城に向かう。そこで入団テストを行う円卓の騎士として登場したのは、神童拓人(CV:斎賀みつき)たち雷門の残りのメンバーだった。

 神童は円卓の騎士のリーダーとして天馬たちの力を試すと厳しい口調で語る。意外な展開に天馬は驚くが、やるしかないと腹を決める。だがそのテストの内容は……?


アーサー王「今回の種目は、サッカーだ!!」


 絵本だと馬上槍試合(ばじょうやりしあい)だったはずなのだが……。このパラレルワールドが形成される時に天馬たちが持ち込んだサッカーという概念が組み込まれたのだろうとフェイが見当を付ける。

 円卓の騎士が11人であり、王宮の中庭がちょうどサッカーグラウンドほどの広さであることから視聴者的には予想できた展開なのだが、とにかくそういうことなら2人側の天馬とフェイにも策はある。ワンダバに言われ、フェイは人数を補(おぎな)うべく、久々のデュプリたちを出現させる。



 指パッチンで召喚されるデュプリたち。味方も初期の天馬とフェイのみなので、9人がフル登場する。ユニフォームも懐かしい、初登場時のテンマーズの時のユニフォームだ。


 指先一つで9人の仲間を呼び出したフェイの所作(しょさ)をなかなかの魔法と感心するアーサー王。この世界観だとデュプリ登場は確かに魔法がかっている。


 天馬はついこの間まで仲間だった雷門のみんなとサッカーで戦うということに、未だ一抹の不安を感じていた。



   オープニング



 新オープニングより。セカンドステージチルドレンのリーダー、SARU(CV:岡本信彦)がゴーグルを外すと天馬にそっくりであるということがここで明らかとなる。これはつまり、天馬の子孫がSARUということなのだろうか?



 同じく新オープニングより。レイ・ルク(CV:河野裕)の行動をチームワークを乱す独断専行(どくだんせんこう)と呆れ怒る旧ルートエージェントリーダーたちの姿が。これはアルファ(CV:谷山紀章)、ベータ(CV:伊瀬茉莉也)、ガンマ(CV:泰勇気)の3人も物語に復帰するというフラグなのだろうか?



 同じく新オープニングより。もう一つの重要なファクターである、フェイと菜花黄名子(CV:悠木碧)の関係が暗示されるカット。この両者の関係は間違いなく想像通りだと思うのだけど、両者の思惑、特に黄名子が雷門に加入した真意が何なのかが明かされる日も近いと思われる。



 ちなみにオープニングテーマ曲は「ライメイ!ブルートレイン」。ゲーム版『イナズマイレブンGO2クロノ・ストーン ライメイ』のテーマ曲だ。前作でもあった通り、ゲームのオープニングをそのまま使用しているのかもしれない。この辺の情報はどんどんネタバレしてくれて良いです。というか、ご存知の方は教えてください。





 入団テスト前の控え室前に雷門のユニフォーム姿の神童……この世界では神童騎士団長がやって来る。扉を開けると、そこにはテンマーズのユニフォームに身を包んだ天馬とフェイが待っていた。

 神童がちゃんと自分たちのことを覚えているのか不安な天馬は、おっかなびっくり神童のことを「先輩?」と呼んでみる。神童は笑って自分を含めた全員がちゃんと記憶があることを言明(げんめい)する。


 神童は、新たなパラレルワールドが出来上がる前にタイムジャンプしてしまったせいで、彼らが不完全だったアーサー王の物語に組み込まれてしまったのだという円堂大介(CV:藤本譲)の推測を説明する。

 そして彼らの一人ひとりがこの世界の登場人物になってしまったわけで、そうなってしまった以上、その役割を演じ続けなければこの世界は崩壊してしまうのだと言う。パラレルワールドのつじつまが合わなくなるということは、つまりそういうことなのだ。


 だがそこで天馬くんがあることに気付く。成功したとは言い難い今回のタイムジャンプをやり直せば良いということに。

 それを即座に否定するのはワンダバだった。彼らを乗せてこの世界にやって来たイナズマTMキャラバンがどこに行ってしまったのか皆目(かいもく)見当がつかないというのだ。

 もしかしたら帰れなくなってしまったのではないかと天馬は狼狽(ろうばい)するが、神童はこの世界から抜け出す方策に思いが至っていた。それはアーサー王マスタードラゴンの力を手に入れ、この世界でのそれぞれの役割を演じ切ることだと真剣な口調で語る。神童のその意を受け、天馬は強く同意する。



 そして中庭のフィールドで他のメンバーとも同流する天馬たち。みんなが円卓の騎士として登場したことに素直に驚きを表す天馬に対し、シニカルな皮肉屋の狩屋マサキ(CV:泰勇気)はキャプテンである天馬が見習い騎士の役どころであることを茶化(ちゃか)す。

 いつもならそこで笑いが起こるはずなのだが、天馬はここ最近、自分がキャプテン失格なのではないかと悩んでいる日々が続いていた。当意即妙(とういそくみょう)の切り返しが出来ず自嘲気味(じちょうぎみ)に苦笑する天馬に対し、狩屋もその変調を訝(いぶか)る。


 そしてそこで改めてファンファーレが鳴り響く。中庭を見下ろす謁見場にアーサー王が姿を現す。だがその後ろからアーサー王に付き従う女性の姿を見て、天馬とフェイは絶句する。



天馬「ああっ!? あお……っ!! ……もがもが」


 明らかにお姫様然として姿を現した女性、それは空野葵(CV:北原沙弥香)だった! 思わず幼なじみの名前を叫びそうになった天馬くんの口をあわてて黄名子が押さえる。

 この世界での葵はメローラ姫、アーサー王の娘の役割なのだ。うかつに本名で呼んでしまってはこの世界観が壊れてしまいかねない。天馬を止めたのは黄名子のファインプレーなのだが、黄名子は最近どんどん空気が読めるキャラになっているような気がする。

 葵がお姫様だとすると、瀬戸水鳥(CV:美名)と山菜茜(CV:ゆりん)のまだ見ぬ2人のマネージャーたちはどうなっているのだろうと天馬は思う。


 そんなちょっと呑気(のんき)な雰囲気に釘を刺すかのように、剣城京介(CV:大原崇)が語気厳しくこの試合は真剣勝負で行くと天馬に告げる。

 このパラレルワールドの物語の展開を思えば、ここで天馬とフェイはテストに合格するのが物語成立の条件のはずだ。勝ってもメリットがなく、かえって物語のつじつまが合わなくなってしまう雷門サイドとすれば、わざと負けてあげるというのが最善の策に思われる。だが剣城はそれをしないと告げたのだ。

 神童がそれを受けて理由を説明する。本気で戦わなければ、アーサー王ほどの人物の目をごまかすことは出来ないだろうというのだ。神童が見上げるアーサー王の威厳ある表情は、その言葉が真実であることを言外に語っていた。天馬もそれを確認して、真剣勝負を受けて立つ決意をする。

 その様子を見つめるアーサー王と葵(メローラ姫)。葵はアーサー王の手前、口に出せないが心の中で天馬とフェイを応援する。





 入団テスト開始直前の両チームの布陣。テンマーズはやや前がかりの4−4−2のシステム。ゲームだとデュプリたちの能力はフェイのレベルに比例するのだが、やはり不安はキーパーの弱さか。マッチョス(CV:泰勇気)は化身もミキシマックスも無しだからねぇ……。

 一方のチーム雷門は攻撃的な4−3−3。剣城、影山輝(CV:藤村歩)、倉間典人(CV:高垣彩陽)と普通にFW3人を擁するので、エースストライカーのはずの黄名子がまたもDFに回されている。誰かが欠けたと思えないほどバランスが取れていて、天馬とフェイ涙目の充実ぶり。そしてキーパー西園信助(CV:戸松遥)が鉄壁すぎる。味方にすると心細いくせに、敵に回すと手ごわいとか、どこのVIPPERなんだよ。


 この試合、テンマーズには監督に当たりそうな人物、その他恐竜などがいないことを確認したワンダバは、またもポストペット状態にピンクに染まり、今度こそ自分が監督を務めることが出来るとその気になる。

 だがアーサー王からの王命で、この試合は選手自身の能力を見極めるために監督の采配(さいはい)は無用であると宣言されてしまい、ワンダバのやる気はまたもスポイルされてしまう。



 なんちゃって騎士だった上、この期に及んで監督も禁止。この世界に来て、その扱われ方のぞんざいさに一層の拍車が掛かった感のあるワンダバ。まぁこんな色になってしまうのも仕方がない。



 そして試合が開始される。テンマーズボールのキックオフ、天馬は勇躍駆け出す。その前に立ちはだかるのは、昨日の友は今日の敵、錦龍馬(CV:岩崎了)だ(まぁ錦に限らず、全員雷門の仲間なんだけどね)。

 天馬は胸に手を当て、魂の鼓動をぶつけるかのような必殺ドリブル技「アグレッシブビート改」で豪快に錦を抜いてみせる。



 それを見た守りの司令塔、霧野蘭丸(CV:小林ゆう)は素早く黄名子、トーブ(CV:ゆきじ)といったDF陣に指示を出す。天馬にはすかさず黄名子が付き、天馬からパスを受けたキモロ(CV:小林ゆう)にはトーブが絡む。キモロにパスを要求したフェイは素早くビッグ(CV:悠木碧)のオーラをミキシトランスする。



「ミキシトランス・ビッグ!!」


 蘭丸の指示なのだろう、自身と狩屋が何気なく、それでいて的確にゴールコースを塞(ふさ)ぐ。フェイはその間隙(かんげき)を突くように必殺シュート「王者の牙」を放つが、劉備玄徳(CV:平田広明)のオーラをミキシトランスした信助の必殺技「大国謳歌」に阻まれる。



 信助の能力も確かに失点回避の要因ではあった。だがそれは単に信助のキープ力がフェイのシュート力を上回ったというわけではない。その前に蘭丸と狩屋のシュートコースを消すというお膳立てがフェイのシュートコースを限定し、結果失点を阻止したということに天馬は気付いていた。蘭丸のその選手の用兵にはキャプテンとして唸(うな)らされるものがあった。


 信助はボールを一気に前線の輝にフィードする。天馬は負けじと自軍のDFであるスマイル(CV:折笠富美子)とウォーリー(CV:岩崎了)に指示を出す。それを見た雨宮太陽(CV:江口拓也)は輝にバックパスを要請し、そしてDFを回避してフリーの倉間にボールを送る。

 倉間は久々に目立てる機会とばかりに必殺シュート「サイドワインダー」を放つが、未だに進歩せずお咬(か)ませな素(す)のシュートでは、いくら相手ができんボーイのマッチョスといえども止められる。



 マッチョスの「エクセレントブレスト改」に阻まれる倉間さんのへなちょこシュート。後発の天馬の「アグレッシブビート」ですら「改」に進化していたというのに、なんで倉間の「サイドワインダー」は未だに素なの? 前作の頃からかれこれ長いこと使ってるよ、この技。


 マッチョスの活躍で危うく失点を免(まぬが)れた天馬はホッと息を吐く。それと同時に、太陽の機を見るに敏なパスの対応を見せつけられた思いで、またもキャプテンとして反省しきりの天馬くん。

 攻守が変わり、今度はテンマーズが攻勢に出る。敵ゴール前にスペースがあることに気付いた天馬はそこに走り込むフェイにパスを出す。だがそれは神童の読み筋だった。神童はフェイの目前でボールをカットする。

 それは同時に攻守がまた切り替わることを意味する。天馬はあわてて全軍に守備に回ることを指示する。

 それを尻目に神童はドリブルで上がりながら、周囲の状況を冷静に判断し、彼だけの特権「神のタクト」を駆使して的確に仲間たちを有機的に攻め上がらせる。流れるように錦から太陽、輝、倉間とボールはつながり、最後に剣城にダイレクトパスを回すよう指示する神童。咬ませの倉間にシュートさせなかったのはさすがの采配と言えよう。

 天馬の指示でデュプリ3名は合体技「フラクタルハウスV2」を見舞うが、剣城は何事もなかったかのようにそれを打ち破り、貫(つらぬ)いてしまう。



 そしてゴール前、剣城は試合前の真剣勝負の言葉通り、化身アームドし、手加減抜きの強烈なシュートを撃ち込む。それを単なるデュプリのマッチョスが止められようはずがない。


 剣城のシュートがゴールネットを揺さぶり、先制点はチーム雷門が挙げる。天馬はショックを受けるが、失点の基盤となった神童の状況把握能力と選手を操る用兵の妙に心を奪われる。自分はキャプテンとして、そういう選手をも超えなければならないのだ……。


 そこで前半戦が終了する。1点のビハインド、フェイやワンダバは今後の試合展開を楽観視するが、天馬は思いに沈む。デュプリたちが自分の指示通りに動いてくれているのに失点を止められなかったことを、自分のキャプテンシーの無さに起因するのではないかと悩んでいたのだ。そんな姿を、葵が不安げな表情で見守る。



 そして後半戦がスタートする。果敢にボールを奪った天馬はフェイにパスを送ろうとするが、前半に神童にパスをカットされ、そこから失点につなげられてしまった悪夢が蘇(よみがえ)ってしまう。

 その一瞬の気の迷いを、優秀な敵となった雷門DFが見逃すはずがない。蘭丸と狩屋のスライディングを受け、さらに黄名子のブロック技「もちもち黄粉餅」によってボールを奪い返されてしまう。



 「もちもち黄粉餅」でしばかれる直前の天馬くん。


 ドリブルで駆け上がる黄名子をスライディングで阻止したのはフェイだった。何とかボールをサイドラインに押し出す。殊勲(しゅくん)のフェイに詫びる天馬。フェイは笑って許すのだが、部外者のワンダバが天馬を叱咤(しった)する。


ワンダバ「天馬! 迷ってる暇などない! 迷わず進め! 突き進め!」


 その言葉は迷いを持ってプレーにキレが無くなっていた天馬の現状を見事に言い当てていた。ただこれって厳密に言えば監督の指示だから、監督の指示はダメというアーサー王の決めたルールに違反してるよね。

 さておき今度こそと挑む天馬だったが、前方を蘭丸に塞がれ、頼みのフェイへのパスコースも塞がれてしまう。だが「迷うな!」というワンダバの言葉を信じ、天馬はボールを大きく蹴り出す。それは誰もいない、完全にそっぽの方向で、百戦錬磨(ひゃくせんれんま)の蘭丸を始め、雷門は誰もその意図が掴めなかった。

 だがその天馬の意図はフェイにだけは伝わっていた。大きくカーブをかけていたそのボールに走り込んで受けたフェイはワンツーの要領で天馬にダイレクトパスを送る。天馬は走りながら化身アームドを果たし、一気にシュートを放つ。

 天馬のそっぽへのパスからの突然の展開に準備が出来ていなかった信助は「大国謳歌」を出すタイミングを失(しっ)したままにそのシュートを受け止めるが、やはり止めきれるものではなかった。ボールごとゴールに押し込まれてしまう。


 天馬のシュートによってテンマーズが同点に追いつき、試合は分からなくなってきた。だがこれからという時に、アーサー王から試合はこれまでという号令がかかる。入団テストはそこで終了だと告げられたのだ。


 その打ち切りのような突然の宣告に、天馬とフェイの表情が曇る。入団テストは不合格の烙印(らくいん)が押されると思ってしまったのだ。

 だがアーサー王は厳しい表情を一転させ、笑顔で天馬とフェイの合格を告げる。みなまで見ずとも、天馬とフェイの実力を推(お)し量(はか)れたということなのだろう。ハイタッチでその合格を喜ぶ天馬とフェイ。



 入団テストという形式上、敵味方の間柄だった雷門のメンバーも大喜びで新しい円卓の騎士の誕生を称える。相変わらず狩屋だけは斜(しゃ)に構えて素直ではないが。


 天馬とフェイの合格により、物語は次の展開につながることとなる。


 だが新たな騎士の合格を忌(い)むかのように、晴天だった空が一気にかき曇り、辺りを漆黒(しっこく)の闇が覆う。激しい雷鳴が轟(とどろ)き、城の城郭を破壊してしまう。落ちてきた瓦礫(がれき)は危うくアーサー王と葵を直撃するところだった。

 さらに雄叫びを上げながら黒いドラゴンがこちらに向かって飛来する。それはアーサー王と共にこの世界のキーとなる存在、時空最強イレブン第9の力を持つ「マスタードラゴン」のなれの果てだった。



 マスタードラゴン


 恐竜時代を過ごし、こういうどでかい怪物に耐性のあるトーブは冷静に「こんなの獣の谷でも見たことないぞ」と感心するが、他の皆は悪意を持って押し寄せてきたドラゴンに恐れを抱く。

 その頭上に何者かが乗っていることに倉間が気付く。絵本の中でマスタードラゴンを洗脳した黒い騎士(CV:河野裕)だ。おそらくこの場面でもマスタードラゴンを操っているのはその黒い騎士なのであろう。

 黒い騎士の命令一下、マスタードラゴンアーサー王に向けて突進する。円卓の騎士の使命はアーサー王を守ることだ! 神童の指示を受け、全員がアーサー王のもとに走る。

 アーサー王の呼びかけにもマスタードラゴンは答えない。それどころか尻尾でバルコニーを打ち壊してしまう。



 その間にアーサー王のもとに駆けつけた神童たちは、サッカーボールをマスタードラゴンに蹴りつけてその洗脳を解こうとする。だがマスタードラゴンは巧みにその攻撃を捌(さば)き、ボールをぶつけることが出来ない。

 黒い騎士が掌から赤く発光するボールを投げつける。それは建物の中に避難しようとする葵に向けられていた! 危ないと思われた瞬間、葵を押しのけてかばったのは黄名子だった。だがそのため、代わりに黄名子がそのボールに捕らえられてしまう。黄名子を中に入れたまま、ボールはマスタードラゴンの方に飛んでいく。

 黄名子を救うべく、フェイと天馬は合体技「エクストリームラビット」でマスタードラゴンを攻撃する



 前々回と違い、2人ともアームドしていない姿。


 その激しく動き回るシュートはマスタードラゴンですら捉(とら)えきれず、その体躯にボールが激突する。その衝撃で、マスタードラゴンの目つきから他者への凶暴性が薄れるのを、目前にいた黄名子は気が付く。だがその効果は一時的なもので、マスタードラゴンはまた元の凶悪さを取り戻し、黄名子の入ったボールを握り締める。



 本来はメローラ姫を捕らえるつもりだった黒い騎士は、人質ならなんでも良かったのだろう、黄名子を連れて飛び去ってしまう。「(黄名子を)助けたければ、『嘆きの洞窟』へ来い」という言葉を残して……。



 事態の急変を受け、城内で緊急に円卓会議が開かれる。マスタードラゴンは賢者の血を持つ守護聖獣(しゅごせいじゅう)であり、その存在が人間を襲うという行為は、この世界に災(わざわ)いが訪れる前触れなのかもしれないとアーサー王は語る。

 円卓の騎士・黄名子を救うため嘆きの洞窟に向かい、やむを得ない場合は聖剣エクスカリバーマスタードラゴンを退治するとアーサー王は決意を固める。

 エクスカリバーはあらゆるものを斬ることが出来るという聖剣なのだが、アーサー王が鞘(さや)から抜いたその姿に、円卓の騎士一同はがっかりしてしまう。錆(さび)だらけのボロボロの状態で、とてもマスタードラゴンと戦うことが出来る剣には見えなかったからだ。

 アーサー王が言うには、エクスカリバーは多くの魔物たちとの戦いを経て傷つき、魔力を失ってしまったのだという。不安になってしまう天馬だったが、妖精の森の湖で剣を清めることで再び魔力が宿り、エクスカリバーは蘇るという。とりあえずはその妖精の森が目指す先となるのだろう。

 そして出発の号令を出すアーサー王に、娘であるメローラ姫=葵が自分も行くと告げる。危険な旅程が想像されるので天馬が止めようとするが、自らの身代わりに連れ去られた黄名子を心配する葵は聞かない。物語の展開ではメローラ姫も一緒に行くと書いてあったと言い、そのメローラ姫を演じきることが自分の役目だと言う葵の強い決意を前に、天馬は二の句を継げなくなる。



 そして葵のその決意はアーサー王の心をも打つ。アーサー王は大事な娘である葵の同行を許可する。


 中庭にはすでに旅に使用する馬車が着いていた。機嫌よく馭者(ぎょしゃ)に話しかけるのは、よりによって錦だった……。不機嫌そうに向こうを向いていた馭者、それがこの世界で水鳥が演じなければならない役割なのであった!



水鳥「何でアタシが馭者なんだっ!?」


 ものすごい端役(はやく)の境遇に怒り、錦に呪いの言葉をぶつける水鳥。その気持ちが分かるのは、同じく見習い騎士の従者という端役に一度は絶望したワンダバだけであった。


 だがこの後の展開は水鳥にはさらなる残酷な現実を見せつける。騎士・天馬に手を引かれて現れたメローラ姫の姿を見た水鳥は、役柄的に嫉妬の炎に燃え上がり、憤懣(ふんまん)やるかたない。その怒りを珍しく葵にぶつける始末だ。お姫様に憧れていた水鳥だったから、さもありなん……。



 パラレルワールドを構成したのが見えざる神の手だったとしたら、その神は葵がお姫様にふさわしいと判断したんだろうねぇ。で、水鳥は馭者にふさわしい、と。水鳥の怒りを右から左に受け流す葵ちゃんも結構なタマだと思う。



 納得行かない水鳥の気持ちをよそに、一行は出発する。


 鬱蒼(うっそう)と繁る森の中、月明かりに光る妖精の森の湖に到着した一行。アーサー王が姿の見えぬ精霊に向け、エクスカリバーの魔力を回復するよう要請し、湖に剣を投げ入れる。おそらくそれが契約の形式なのだろう。

 そこに成り行きに興味津々な野次馬(やじうま)が2人現れる。それはここに来る理由も権限も本来はないはずの馭者と従者の水鳥とワンダバだった。



 役割をわきまえていない2人を咎(とが)める狩屋だったが、向けられる屈折した強烈な負のオーラに怨念(おんねん)並みの情念を感じ、あわてて前言を翻(ひるがえ)すの図。


 なにも起こらない状況に、湖を覗き込む天馬。だがその前に突然よく知った人物が顔を出す。


???「キャハッ♡」



 自らを妖精と名乗る茜。茜=妖精と予想した私の判断は当たっていたようだ。よく見るとこの世界に来る時に読んでいた絵本もちゃんと持っている。


 現れたのは一緒にこの世界にやって来た仲間では最後に合流することとなる茜だった。無事で何よりだったのだが、その状況は水鳥姐さんにとってはまったく面白くない。葵のお姫様だけでもムカつくのに、茜が妖精というこれまた可愛い役を割り振られ、なぜ自分が色気のない馭者なんだと深刻に頭を抱える。

 そんな姐さんの乙女心は置いておいて、アーサー王は茜にエクスカリバーを蘇らせるよう依頼する。茜は背中の羽を使って飛ぼうとするが、何度やっても飛び立つことが出来ない。


茜「……飛べない」


 さすがに呆れる一行。水鳥は嫉妬をこじらせて、茜に本当にエクスカリバーを復活させる魔力があるのかと意地悪おばばモードの悪態をつく。

 だが茜はエクスカリバーを蘇らせることがこの世界での自分の役目だと自覚していた。へっぽこにしか聞こえない変な呪文を唱えつつ、一所懸命にその妖精としての役割を果たそうとする。

 その甲斐あって、水中からエクスカリバーが浮き上がる。



 「来てます、来てます」とすっかりMr.マリック状態の茜ちゃん。


 直〜れ、直〜れの呪文を唱えると、エクスカリバーに周囲から出現した金色の光がまとわりつき、その姿をかつてあった姿に変える。今ここに、聖剣エクスカリバーは昔日(せきじつ)の姿そのままに蘇ったのだ!

 聖剣は主人の手に舞い戻る。それを掴んだアーサー王は妖精「ヴィヴィアン」=茜に礼を言う。そして別れを告げるのだが、そこで信じられない狼藉(ろうぜき)を働く茜ちん。



 なんと、面白そうだからついて行くと言ってアーサー王のマントの裾を引っ張るという、無礼者として直したばかりのエクスカリバーで斬られてもおかしくないことをしでかす茜。個人的に物語はこの瞬間、崩壊の方向に大きく振れたと思う。ただこのシーンの茜ちんはとても可愛くて笑えるシーンだったのも事実。


 従者に馭者に妖精と、立場をわきまえない連中が紡(つむ)ぐ物語だが、いよいよそれも佳境(かきょう)に入ろうとしていた。嘆きの洞窟では眠るマスタードラゴンの胴体に囲まれる形で配置された籠(かご)の中に、囚われの黄名子の姿があった。



 その姿をモニターするエルドラドの長老たち。前回フェーダに攻め込まれたあの円卓会議場に集ったメンバーの中、議長のトウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)はエルドラドの総力を挙げても黄名子の正体を突き止めることが出来ないことに疑念を深めていた。

 誰かがタイムルートをブロックして、彼女の情報にタッチ出来ないようにしていると側近議員が告げる。だが誰が、何のためにという疑問に対する答えはやはり誰にも分からない。

 とはいえ彼女の特性を考えれば、雷門に深く関係がある人物であるということを、老獪(ろうかい)なトウドウは推察する。


トウドウ「それとも……」



 次回に続く



  エンディング




 アーサー王伝説編の第2章。今回は3マネージャーの成り行きが面白くて仕方がなかった。近来稀(きんらいまれ)に見るギャグ回だったと言って良いだろう……黄名子が囚われてしまったという緊迫の展開なのに。

 ただ黄名子は精神的にも強い子というイメージがあるので、囚われているとしてもそれほど心配しないでも良いのではないかと思うんだよね。


 それからマスタードラゴンを洗脳した黒い騎士は中の人的に正体はレイ・ルクと見て間違いないだろう。またマスタードラゴンと黄名子が一瞬だけ気を通じ合わせたようなシーンがあったので、やはりマスタードラゴンの力を受け継ぐのは黄名子になりそうな気がする。


 次回はアーサー王マスタードラゴンが対決するという展開になりそう。本来は味方同士だし、時空最強イレブンの能力を持つ両者なのだから争うのは望ましくないのだが……一体どうなるのだろう?


 あと最初に書いたけど、今回からオープニングとエンディングが新しくなった。ライメイのテーマ曲はやっぱりカッコ良いなぁ。ネップウをプレイしているわたし的にはちょっと羨ましい。



  次回「アーサー王とマスタードラゴン」に続く。



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