『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第34話「さよならと吼える声」の感想 【恐竜時代編終了!】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第34話「さよならと吼える声」を観ての感想を書く。恐竜時代編の最終章、最強の敵を迎え撃つ松風天馬(CV:寺崎裕香)たちチーム雷門の選手たちはこの旅路の果てに何を見るのだろう。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第33話「獣の谷の大決戦!」の感想 【フェイの母親は黄名子……やんね?】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

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 サッカーを守るため時空最強イレブンの能力を求める天馬たちチーム雷門の一行は、恐竜時代でエルドラド最強のサッカーチーム「パーフェクト・カスケイド」の挑戦を受ける。

 想像を超えた強さを誇るパーフェクト・カスケイドは前半戦で早くも8点を奪い、攻守に雷門を圧倒する。雷門はこれまでの最強イレブンを求める旅路で獲得した英雄たちのミキシマックス能力を駆使するが、それでもまったく歯が立たない。恐竜トロオドンを相手に特訓してきた成果も虚(むな)しく、一度目の戦いで0−19で敗れた悪夢が蘇(よみがえ)る。

 絶望の淵に打ちひしがれる天馬たちに向け、パーフェクト・カスケイドのキャプテン、レイ・ルク(CV:河野裕)はなおも容赦なく牙を剥(む)く。強烈なシュートで打倒される雷門。



 だが天馬もフェイ・ルーン(CV:木村亜希子)もすぐに立ち上がる。その目にはまだあきらめの色はない。戦前はあれほどパーフェクト・カスケイドを恐れていた速水鶴正(CV:吉野裕行)も戦う気満々の姿だ。


レイ・ルク「何度立ち上がろうと、無限ループ……」


 極力感情を表に出さないまま、レイ・ルクはそう言って挑発する。それを睨みつけるフェイの姿を、ベンチからビッグ(CV:不明)が心配そうに見つめていた。



   オープニング



 ミキシマックスした雨宮太陽(CV:江口拓也)を難なく飛び越え、レイ・ルクが前進を再開する。名も無きチームメンバーもその後にピタリと付ける(名はあるけどな)

 天馬はディフェンスに指示を出し、自らは前進して敵を止めようとするが、すかさず前キャプテンの神童拓人(CV:斎賀みつき)がその戦略にダメ出しをする。天馬の戦略では左サイドががら空きになってしまうことに気付いたのだ。

 そして敵はまさにその隙を突いてくる。天馬の失敗の穴埋めをするようにフェイがサイドに走り込むが、背番号10番のブル・レクス(CV:佐々木日菜子)に簡単に振り切られてしまう。その姿を見て心配そうに声を上げるのは、菜花黄名子(CV:悠木碧)だった。心に何か葛藤(かっとう)を抱えながら、それを認めようとせずにプレーするフェイの姿を見る黄名子の表情には悲壮感が漂(ただよ)う。それはいつも明るくチームのムードメーカー的存在だった彼女らしくない表情だった。


 フェイをかわしたブル・レクスはもうひとりのFW選手のグラ・フォム(CV:奈良徹)と共にアクロバティックな挙動で宙に飛び上がり、必殺合体シュート「シュートコマンド20(双飛遊星弾)」を放つ。




 今度こそ止めると気合を込めるキーパーの西園信助(CV:戸松遥)だったが、猛烈な火の玉を思わせるそのシュートは止められなかった。これでまたも雷門が失点を喫し、0−9とその差をますます広げられてしまう。


 その失点を歯噛みする思いで見ていたフェイに、厳しい叱責(しっせき)の声がかけられる。それは黄名子からのものだった。


黄名子「なぜ全力で戦わないの!?」


 フェイは意外なところからの批判にたじろぎながらも、自分は全力で戦っていると抗弁(こうべん)する。だがそのムキになった態度はむしろ何か訳あって全力を出さずにいるということを浮き彫りにするようなものだった。一切の意見を拒絶するように背を向けて走り出すフェイの後ろ姿を黄名子は悲しげに見つめる。


 一方、パーフェクト・カスケイド監督のサカマキトグロウ(CV:石井康嗣)はこの圧勝ムードに笑みを浮かべ、心の余裕からか、用意していた余興(よきょう)を実行に移す。

 咆吼(ほうこう)を上げ、地響きを鳴らして何者かがこのフィールドに近づいてくる。その咆哮を何度も聞いたことのあるトーブ(CV:ゆきじ)にとってはそれが何者であるかすぐに分かった。

 岩陰からその姿を現したのは、獣の谷のボスにならんとしてビッグの母・ロックスターを死に追いやったトリケラトプスのデスホーンだった。


 その厄介な乱暴者の登場に気を取られていたフェイはダイ・ロード(CV:不明)に激突され、フィールドに倒される。そこにデスホーンがうなりを上げて突進してくる!



 フェイが危ない!


 地響きが迫ってくる! もうダメだと思われたその時、デスホーンの突進がフェイの目前でストップする。その喉元(のどもと)には、フェイを助けようと飛び出したビッグがガッチリと噛み付いていた。

 デスホーンに振りほどかれたものの、ビッグはその注意を自らに向けさせ、フェイを守る意思を込めて吼(ほ)え立てる。



 あのおとなしく怖がりで甘えん坊だったビッグが母の命を尽きさせ、今また友達のフェイを襲おうとしたデスホーンに向き合って戦う意思を示していた。それは一人ぼっちになってしまった孤独を乗り越えたという証であった。フェイは嬉しそうにビッグのその姿を見つめ、感慨に浸(ひた)る。


フェイ「一緒に戦おう、ビッグ!!」


 そのフェイの言葉に応えるかのように、ビッグはひときわ高く吼える。



 中断していた試合もビッグのおかげで再開される。失点した雷門ボールのキックオフ。剣城京介(CV:大原崇)がヒールでバックパスを出すが、その対象の黄名子がボーっとしていることに気付き、厳しい口調でその名を呼ぶ。

 心ここにあらずの状態だった黄名子はあわててボールを受けるが、その隙を突かれ、厄神(やくじん)のように眼前に現れたパーフェクト・カスケイドの選手たちに前方を取り囲まれてしまう。

 出遅れた状態に、黄名子は信頼するキャプテンの天馬に指示を仰(あお)ぐ。ここがキャプテンという立場の見せどころ、天馬は左サイドから攻めることを提示し、そちらにいる錦龍馬(CV:岩崎了)にパスするよう指示する。

 黄名子はその指示に従いロングパスを送るが、錦の手前でカットされてしまう。黄名子の判断、そして天馬の指示の遅れが敵に対応する余裕を与えてしまったのだ。

 2人のミスをカバーしたのは神童だった。すかさずスライディングでボールを奪い、右サイドのディフェンスが薄いことを太陽に指示して攻め上がる。

 それは見事なまでの状況判断力、そしてキャプテンシーだった。ここに来て自分に足りないものを改めて思い知らされ、天馬は落ち込んでしまう。


 右サイドからの攻撃は太陽を経由してフェイの場面で阻まれてしまう。この戦いでは迷いを抱(いだ)く天馬、フェイ、黄名子にいつもの動きの切れ味、冴(さ)えがない。

 互いの迷いを断つためか、黄名子がまたもフェイが全力でプレーしていないと非難する。ビッグが悩みを乗り越えたと語ったフェイ自身が乗り越えていないものがあることを突きつける。化身アームドも使えるはずのフェイがそれを使わないのは、全力ではないと黄名子は言う。



黄名子「フェイが抑(おさ)えつけているのは何!?」


 その厳しい言葉は、フェイが心に秘めている幼い頃の記憶を呼び覚ます……。


 暗い子供部屋……、寂しげにぬいぐるみ人形を抱きしめる幼き日のフェイの姿。シンシンと雪が降る窓外(そうがい)の光景は、フェイ自身の心の寒さを暗示するかのようだった。



フェイ「きっと、迎えに来てくれるよね……パパ」


 フェイは自問自答するかのようにぬいぐるみに語りかける。自分は父に捨てられてしまったのだろうか? 父がこのぬいぐるみ人形をくれたのは、フェイを一人ぼっちにさせたことのせめてもの償(つぐな)いのためなのだろうか?

 その理不尽な境遇を恨んだフェイは怒りにまかせ、ぬいぐるみを投げ捨ててしまう。



 ……悲しい子供の頃の記憶を想起して、フェイの表情が憂(うれ)いに沈む。そして彼はポツリとつぶやくように自分の化身が嫌いなのだと語る。しかしここで黄名子がまたも意外なことを告げる。


黄名子「ウチは好きやんね。光速闘士ロビンは可愛くて強い化身やんね!」


 それを聞き、フェイが驚愕の表情を浮かべる。なぜ、黄名子が自分の化身の名前を知っているのか!? フェイのその疑問に答えることなく、黄名子はなおもフェイを責める。ビッグは勇気を振り絞って戦っているというのに、フェイはつらい思い出から逃げていると。

 本当のフェイの力を見せて欲しいと涙を浮かべて語りかける黄名子の訴えかけるような視線から、フェイは目を離すことが出来なかった……。


 その間に試合は雷門のスローインで再開。太陽から錦に送られたボールはまたも敵にカットされてしまう。神童が立ち向かうが、チャージを受けてはじき飛ばされる。フェイはそんな仲間たちの必死なプレーを見つめ、そして自分の何十倍も大きいデスホーンに立ち向かうビッグの必死の姿を見つめる。

 サッカーを守ろうとしている仲間たちが全力を出して戦っている。打ち倒されて地面に這い蹲(つくば)ろうと、なおも立ち上がる仲間たちを見て、フェイの心に変化が訪れる。

 そしてフェイを叱咤(しった)し続けた黄名子がフェイを指差し、その決意の湧出(ゆうしゅつ)への期待を込めて促(うなが)す。



「見せてよ! フェイの本当の力!!」


 黄名子の真剣な眼差しは、フェイの心に引っかかっていた棘(とげ)を払拭(ふっしょく)する。ついにその意を決したフェイは、そこに飛んで来たボールに飛びつき、秘めて来た本当の力を今こそ発動させる!

 ミキシマックス・ティラノを解除し、雄叫びを上げて背中からオーラを出すフェイ。



 フェイの化身「光速闘士ロビン」。その姿は、あの幼き日のフェイの心の支えとなっていたぬいぐるみの姿に酷似(こくじ)している。フェイがこの化身を嫌うのは、悲しい孤独な子供時代を思い出してしまうからなのだろう。


 フェイが化身を出したことは、天馬を始め仲間たちを驚かせた。ただひとり、なぜかフェイが化身を使えることを知っていた黄名子だけが満面の笑みでその姿を見ていた。

 そしてそれに呼応するかのように、ビッグの背中からもオーラが現れ、具現化する。



 ビッグの化身の咆吼を受け、デスホーンは瞬時に自分が勝てないと判断したのだろう、すごすごとその場を逃げ出して行く。これは新たな獣の谷のボスの座が、亡きロックスターからビッグに継承される布石となるものであった。

 そしてそれを見たクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)は何かに合点が行ったという面持ちでミキシマックスガンを、ビッグとフェイに向ける。ビッグの雄姿、そして過去を吹っ切ったフェイの両者に、時空最強イレブン8の力「太古の力を宿し、その牙の力は海を割るダイナミックミッドフィルダーという条件を見出したのだろう。



 フェイとビッグがミキシマックス! 雷門の戦力強化のその事態を受けてもレイ・ルクはあくまでも冷静だ。その程度のパワーアップでは自らの優位は動かないとアナライズする。

 だがフェイの決意はパワーアップをそれだけに終わらせなかった。フェイは自らの化身「光速闘士ロビン」に語りかける。



 ロビンのことは嫌いという気持ちに変わりはないが仲間のために力を貸してもらうと告げ、アームドの掛け声をかける。その思いにロビンは応え、その身を光の束(たば)に変えてフェイの身体にまとわりつく。



 アームド!



 ミキシマックスしたまま化身アームドするフェイ!! ついにダブルパワーアップという進化系が今後のスタンダードに? ただこの状態だと体力の消耗が激しいというマイナス面もあるらしい。経験と訓練で他の選手たちも使いこなせるようになって行くのだろうか。


 ミキシマックス+化身アームドしたフェイが走る。その動きはこれまで雷門の側を翻弄(ほんろう)していたパーフェクト・カスケイドのメンバーが対応できないという、まさに別次元のスピードだった!

 一気にゴール前に走り込んだフェイは、そこでその状態での必殺シュート「王者の牙」を撃つ。



 キーパーのラウ・セム(CV:美名)は剣城の必殺シュート「菊一文字」を止めた必殺キーパー技「キーパーコマンド16(弧月十字掌)」で迎え撃つが……



 「キーパーコマンド16(弧月十字掌)」が破られ、初めてその表情を苦悶に歪(ゆが)めるラウ・セム。パーフェクト・カスケイドの選手がここまで感情を表に出すのは珍しい。


 ついにフェイのシュートが決まり、雷門が1点を返すことに成功する。まだ点差は大きいが、まったく歯が立たないと思われた敵を相手に得点したということそれ自体が大きい。黄名子を始め、その得点に歓声を上げる雷門の選手たち。


 そしてそこで前半戦終了の笛が鳴る。1−9と厳しい状況だが、0点で終了と比べれば後半戦に臨むチームの士気はまったく変わる。いいタイミングで1点返したと言って良いだろう。

 事実チームの士気は上がっていた。フェイのパワーアップにはトーブが浮かれて踊り出す。自分を取り囲んで祝福してくれる仲間を前に、フェイは化身をこれまで使わなかった理由を述べる。過去の記憶から化身を使いたくなかったと語るフェイに対し、天馬は深く尋ねることなくありのままのフェイを受け入れ、今回の活躍を褒め称える。

 この辺は普段のKYな天馬らしくなかったが、それには訳があった。天馬は自分自身もキャプテンシーの無さを感じ、心につかえを感じていたのだ。自分も負けてはいられないと、その決意を新たにする。


 フェイは、天馬たちと違って少し離れた位置で自分を見つめる黄名子の姿を認める。さっきまでの厳しさから打って変わって優しく微笑む黄名子に、フェイも微笑を浮かべて返礼とする。



黄名子『これからもウチが支えてあげるやんね!』


 そんなフェイを見つめ、黄名子は心の中でそう語りかける。彼女の暖かなその日だまりのような笑顔は、やはり母性を思わせる慈愛に満ちていた……。



 フェイは体力が回復した後半開始直後にしかパーフェクト・カスケイドに付け入るチャンスはないと語り、一気に攻めるよう檄を飛ばす。天馬、神童、剣城、錦といった化身アームドできる選手たちがその作戦を遂行すべく、(天馬以外は)ミキシマックスを解き化身アームドに移行する。



 フェイだけは後から強くなった者の特権でミキシマックスしたまま化身アームドする。神童(右下)のアームドは久しぶりだが、その下半身を笑ってはならない。


 誰から指示されることなく、自分たちの判断でミキシマックスと化身アームドを使い分ける選手たちを見て、クロノ・ストーン状態の円堂大介(CV:藤本譲)は感心する。今の彼に目があれば、きっと弟子たちの成長に目を細めていたことだろう。

 仲間たちのカッコ良い姿に、またも興奮のウホウホダンスを踊り始めるトーブ。彼の育ての親のトーチャン(翼竜ケツァルコアトルス)も同じく興奮したのか、フィールド上を飛び回る(一応この試合の監督なんだけどな)

 それを見て何を思ったのか、ワンダバはその両者にまでミキシマックスガンを向ける。トーブに飛び上がれと指示し、ガンのトリガーを引き絞る。


ワンダバ「空中ミキシマックス!!」



 トーブとトーチャンのミキシマックス完了! 何とその場のノリで時空最強イレブン7の力「自由自在に空間を活かす、空を制するフライングディフェンダー爆誕してしまった。トーブとトーチャンの性格が幸いしたと言うべきか、それとも恐竜時代編終了まで時間がなく尺が取れなかったと言うべきか……。歯が尖(とが)っているが、翼竜には歯は無いハズなんだけどな。あとこの絵だと分かりにくいが、トーブの抜けた歯の部分はこの姿になってもやっぱり欠けてる。


 ミキシマックスしたトーブは湧き上がってくる力を持て余してその胸をゴリラのようにドラミングする。何にせよ、これで雷門はこの旅の目的であった7の力と8の力をこの試合で入手することが出来た。



 そして後半戦開始! 錦からトーブに送られたパスはカットされるが、空中に浮いたルーズボールにより高く飛びついたのはトーブだった。



 どう見てもトーブの方が悪役っぽい顔つきだが……。


 早速ミキシマックスの効果を十全に発揮するトーブ。ボールを抱え、空を飛ぶかのように滞空時間長く滑空(かっくう)する。そしてその能力を驚く神童にパスを送る。その姿はまさに7の力「自由自在に空間を活かす、空を制するフライングディフェンダーそのものだ。

 神童、剣城とアームド選手のホットラインがつながり、そしてボールはフェイのもとへ。フェイはあの特訓中に偶然生まれた合体技を意識して天馬に声を掛ける。天馬も以心伝心(いしんでんしん)でその思惑を瞬時に把握する。

 2人はゴール前にアクロバティックに走り込みながら合体シュート技「エクストリームラビット」を放つ!




 フェイの必殺技「バウンサーラビット」の強化版とも言えるその強力な合体技はラウ・セムの「キーパーコマンド16(弧月十字掌)」を突き破り、見事にゴールネットを揺さぶる。

 後半戦最初の得点は雷門が挙げ、これで2−9とその差はわずかに縮まった。ベンチのメンバーも大喜びだ。


 だがそれを受けてサカマキからレイ・ルクに「プラクティスモード」から「ノーマルダイブモード」へと移行するよう指示が飛ぶ。プラクティスとは練習という意味だから、つまりこれまでのパーフェクト・カスケイドはまったく全力で戦っていたわけではないのだろう。



 そして失点したパーフェクト・カスケイドが試合開始直後以来、久々にマイボールのキックオフ。その途端、ブル・レクスとグラ・フォムが目にも止まらぬ速さで剣城の前を駆け抜ける。そして光速としか表現できないパス回し、ドリブルを見せ、雷門陣内を突き抜ける。その姿はこれまでよりもはるかに速いものだった。

 ここからがパーフェクト・カスケイドの本気かと身構える剣城だったが、一瞬で近づいたレイ・ルクがその言葉を否定する。あくまでも雷門のその時点でのレベルに合わせて自分たちのプレー状態をセーブしていると機械的に言い放つレイ・ルク。つまり現状の「ノーマルダイブモード」ですら彼らの全力ではまったく無い、ということだ。おそらくさらに上の「モード」があるのだろう。



 話が終わると、その表情を一切変えずに剣城にボールを打ち付けるレイ・ルク。無表情でこういう乱暴を働くところが怖い。剣城は受けたダメージのため、化身アームドが解けてしまう。


 剣城を気づかう神童にレイ・ルクは一瞬で駆け寄り、今度は神童にボールをぶつけてアームドを解いてしまう。同じ要領で錦、そして天馬とフェイのアームドまで解除されてしまった。

 その動きについていけないことを悲観する天馬。だがここでアームドしていない(今のところ出来ない)太陽がゾーンディフェンスでこの場を凌(しの)ぐよう、皆に提言する。

 さすがは孔明の頭脳を持ち合わせるミキシ太陽だが、それ以前に彼は新雲学園ではキャプテンだったのだ。その指示の適切さは現キャプテンの天馬にまたも自らの至らなさを自覚させてしまう。


 そして太陽の戦略は強化されたパーフェクト・カスケイドの進撃を押しとどめる。ゴール前に持ち込めないままレイ・ルクが放ったシュートは黄名子の必殺技「もちもち黄粉餅」、霧野蘭丸(CV:小林ゆう)の「ラ・フラム」を経ての信助の新必殺技「大国謳歌」によって何とか凌ぎきる。



 レイ・ルクの強力シュートにモチをぶち当てるという暴挙で反撃する黄名子ちゃん。真面目なんだけどこの絵ヅラは爆笑モノ。この後の蘭丸の「ラ・フラム」でモチはこんがりと焼かれて食べごろになったと思われる。この技の出し方からして「もちもち黄粉餅」と「ラ・フラム」はゲームではシュートブロック技なのかもしれない。



 信助の必殺技「大国謳歌」。ミキシマックスしての必殺技は地上波では初披露だ。映画『イナダン』ではすでに見せているんだけどね。


 作戦が的中し、シュートを見事に止めたことに天馬は大喜びだが、フィールド全体を見通すキャプテンシーに長けた神童と太陽はその表情を曇らせる。ゾーンディフェンスの効果はあったものの、その代償として味方の消耗が激し過ぎたのだ。



 そう言われて振り返ると、確かに黄名子や速水が倒れていた。黄名子は分かるけど、速水は何で痛んでるんだよ? 何もしてなかったじゃん。速水便乗サボり説を私は唱えたい。


 天馬は信助が止めたということだけしか見ずに喜んでいたが、現実はこれだけの犠牲の上に成り立っていたのだ。キャプテンとして天馬はおのれの至らなさを痛感する。

 さらに追い討ちをかけるように、レイ・ルクは彼我の実力差を淡々と告げる。この調子で戦っていたら、もう数回のアタックでこのゾーンディフェンスの防御は紙のように簡単に突き破られてしまうだろう。

 八方塞(はっぽうふさ)がりの状況だが、ここで楽観して試合を見ていたサカマキのインカムが鳴る。相手はエルドラドの議長、トウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)だった。

 トウドウから連絡を受けたサカマキの表情が変わる。あわててパーフェクト・カスケイドの選手たちに緊急事態を告げると、全員がUFO型の移動ユニット「ルートクラフト」に瞬間移動し、どこかへと消えていく。その場に状況の変化についていけない雷門の選手たちを残して……。



 実況する矢嶋陽介(CV:佐藤健輔)も姿を消したところで、渓谷には元の恐竜時代の静けさが戻った。試合放棄により、戦いは雷門の勝利という形になったが、それは敵が逃げたというより雷門打倒よりもっと大事な要件を優先させるために見逃してくれたというのが正しい見方であろう。

 敵の最強チームを相手に敢闘したことを天馬は主張するが、善戦しようが負けてしまえば意味がないのだ。神童はさらなる特訓で強化すれば、パーフェクト・カスケイドを倒してサッカーと円堂守(CV:竹内順子)を取り戻せると、逸(はや)る天馬の気持ちを諌(いさ)める。



 日が西の空に傾(かたむ)く頃、クロスワード・アルノ(CV:楠見尚己)博士がトーブの両親を発見したという報告をしに訪れる。イナズマTMキャラバンの前でその報を聞いた天馬は喜ぶが、肝心のトーブの顔に笑顔はない。


トーブ「悪いけど、オラは帰らねぇ!」


 家族はいるとトーチャンを見やって笑うトーブ。彼にとってはトーチャンが父親であり、恐竜時代に生きることが彼にとっての人生なのだ。アルノ博士は苦労して家族の捜索をしたことを恩に着せることもなく、トーブのその意向を受け入れる。



 いつかトーブが本当の両親に会いたくなった時に会いに行けば良いと語り、トーブへの心遣いを見せるアルノ博士。何だよ、かなりいい人じゃん。マッドサイエンティスト扱いしてすまんかった。


 そしてトーブは天馬たちについて行くと仰天の発言をする。天馬たちと出会い、サッカーという楽しいスポーツを知り、今トーブはウホウホ状態なのだった。その発言にはさすがに驚く一同。ただアルノ博士だけは「それもまた人生じゃ!」とその意見に肯定的だ。

 確かに歴史を変えるようなことは出来ないが、トーブは本来がこの時代にいるはずがない存在なわけで、連れて行ったとしても問題はないと言える。これまでの時代で出会った歴史に残る人物たちとの違いはそこだ。また時空最強イレブン7の力「自由自在に空間を活かす、空を制するフライングディフェンダーの能力をゲットしたのはトーブなわけで、彼を連れて行かない限り大介の理想とする時空最強イレブンを作ることも不可能だ。


 だがそうなると気になることがある。フェイがその懸念をトーブに告げる。


フェイ「いいの? ビッグを置いて行って……」


 ビッグを守ること、それはトーブがロックスターとかわした約束だ。トーブの後ろでビッグが寂しそうな声を上げる。だがトーブはビッグがデスホーンと戦う姿を見て、ビッグならひとりでも大丈夫だと思ったと言う。そしてロックスターの後を継いで獣の谷のボスとなるという使命を果たすためには、いつまでも誰かに頼ることは望ましくないと語る。

 一人になった時こそ、本当に強いのかどうかが分かるんだと念を押すトーブに対し、ビッグの境遇に自らの過去を重ねるフェイはやはり心配そうだ。ビッグに歩み寄り、無理をして笑顔を見せる。その笑顔はビッグを安心させ、勇気づけるものだった。ビッグはつられたように笑顔を浮かべて嬉しそうに鳴く。



 フェイはビッグを愛おしそうに撫(な)で、ビッグの健闘を称える。ビッグは懐(なつ)いた子犬のように嬉しそうに尻尾を振る。フェイはこれでお別れだとビッグに語りかけ、ビッグなら獣の谷のボスになれると太鼓判を押す。そしてビッグのミキシマックスの力を借りてこれからも戦い続けると語る。



 皆とここで加わったトーブを載せ、イナズマTMキャラバンが発進する。残されたビッグは悲しげな声を上げる。惜別(せきべつ)の叫びだった。それを聞いてフェイはいてもたってもいられなくなり、運転席の窓を開けてビッグに叫びかける。最後の別れの言葉をかわすフェイとビッグ。ビッグは寂しさを押し殺し、力強く吼える。

 恐竜の言葉が分かるトーブは、その声に誓いの気持ちが入っていると解説するが、その思いは恐竜の言葉が分からない雷門の一同にも言われるまでもなく伝わってくるものだった。



 「強い恐竜になる」と誓っているように聞こえるビッグの声。それを聞くフェイと天馬の目にも惜別の涙が浮かぶ。フェイがビッグのオーラの力を借りて戦いを続ける限り、フェイとビッグは離れていてもいつも一緒だ。


 キャラバンが夕焼けの空に姿を消す。この別れを通じ、雷門は、そしてビッグは共に成長を遂げることだろう……。



 一方、トウドウからの連絡でまたも雷門を見逃したパーフェクト・カスケイドは、同じくワームホールを抜けて時空を越えてどこかへ向かっていた。ルートクラフト内のカプセルに収まった選手たちは、メンテナンスを兼ねた休息を取っているように見える。

 中から出てきたレイ・ルクは、今回の戦いでレベルアップしたことをサカマキに報告する。サカマキは現在エルドラド本部がセカンドステージチルドレンの攻撃を受けていることを伝える。ここでなぜ彼らが雷門に止めを刺さずに姿を消したのかという理由が判明する。

 セカンドステージチルドレンの攻撃を止めることが出来るのは、パーフェクト・カスケイドしかいないのだ。



 エルドラド本部では激しい銃撃戦が行われていた。赤と緑の光線が飛び交う中、強力な銃器による攻撃が本部を揺るがす。円卓の一角に寄り添うように隠れて不安げな表情を浮かべるエルドラドの長老議員たち。その中央にいるトウドウに、若い男性の声が掛かる。


???「もう逃げられないよ、トウドウ議長」


 どこかおどけたようなその余裕のある声は、円卓のある部屋の入口から響いてくる。それは幕末でザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)に謎の言葉を残したあの謎の少年だった。

 長老議員の一人がその少年を「SARU」と呼ぶ。SARU(CV:岡本信彦)こそがセカンドステージチルドレンを率いるリーダーだった。トウドウは子供だけで世界を支配しようとするSARUに対し、馬鹿げていると意見する。

 時間稼ぎに思えるその言葉にもSARUは動じることなくその思惑に乗っかる。自分たちを恐れてサッカーを消そうとするエルドラドの行為を嘲笑し、卑怯であると逆に非難する。



 今回その名が明らかになった謎の少年・SARU。「サル」というのも変な名前だけど、何か意味がありそう。やはり彼はセカンドステージチルドレン「フェーダ」の一員(それも指導者)だった。この場には同行者が数名いたが、そのうち一人は幕末でも行動を共にしていたあのローブの謎の老人(CV:家中宏)のようだ。


 そして大人も子供も関係ない、弱肉強食の淘汰(とうた)の世界が始まると恐ろしいことを笑顔で告げる。死刑宣告を聞かされたに等しい議員たちの顔が恐怖にひきつる。


 だが議員たちを守るかのようにその場にやって来たのは、パーフェクト・カスケイドとサカマキだった。トウドウたちの表情が安堵(あんど)に変わる。トウドウの時間稼ぎが実った形だ。

 レイ・ルクが無表情にトウドウに帰還を告げる。それをSARUは余裕を持って聞いていた。パーフェクト・カスケイドとフェーダ、この2組がこの後の世界の支配を賭けて戦うことになるのだろう。風雲急を告げる展開、この戦いは一体どうなってしまうのだろうか? エルドラドは? そしてフェーダの狙いとは?



 そんな未来の情勢など知る由(よし)もない雷門。現代に帰還したフェイは、サッカー棟前で黄名子を呼び止めていた。



フェイ「黄名子、キミは誰なんだ?」


 フェイは誰にも話したことがない化身のことを黄名子がどうして知っていたのかを問う。「せっかくの化身は使わないともったいないやんね」といつもの調子でトボケる黄名子に対し、フェイは聞きたいのはそういうことではないと声を荒げてしまう。

 口調が厳しくなってしまったことを詫びるフェイの心の隙を突くかのように、黄名子は曖昧(あいまい)な返答をしてその場から走り去ってしまう。質問をはぐらかされたフェイはその後ろ姿を見つめ、最初の質問を頭の中で反芻(はんすう)する。


「菜花黄名子……キミは一体何者なんだ?」



 次回に続く



  エンディング



 恐竜時代編、終了!

 ただし大団円の終了とは言い難く、セカンドステージチルドレンとパーフェクト・カスケイドの戦いはものすごく今後の展開を左右する重大事だろう。いずれが勝つにしても、第三勢力が登場するという展開は燃える。ガンマの出てきた辺りの経緯を思うとパーフェクト・カスケイドやエルドラドがここで排除されてフェーダが新しい敵として立ちはだかる可能性もありそう。消息を絶っているザナークもフェーダに加わっている可能性もあるし、気になるなぁ〜。

 ただフェーダの行動、今回に関してはパーフェクト・カスケイドに負ける寸前だった雷門を間接的に助けたのは彼らのエルドラド本部への攻撃だった。もしかしたら雷門を助けることが今回の襲撃の本当の理由だったのかもしれない。雷門が負けていたらセカンドステージチルドレンも存在し得ないはずだから。……そう考えると、強敵そうなフェーダと戦うよりもとっとと雷門を倒してマインドコントロールしてしまった方がエルドラドの安泰(あんたい)のためには良かったんじゃないか? 仮にトウドウたち議員が殺されることになっていたとしても。


 また今回はビッグとトーブ、フェイの別れというとても悲しい結末も見られた。最近このアニメが熱血サッカーアニメじゃなく、ヒューマン涙ものアニメに思えてきて仕方がない。ビッグの鳴き声がまた物悲しくて涙を誘うんだよね……。トーブは両親に会うことも現状では拒否しておきながら、ビッグを残して天馬たちについてくるのはどうなの? とも思ったが、感想文中にも書いた通り、時空最強イレブン7の力を得たのは彼なわけで、連れて行かないわけには済まないという理由があるし、まぁこの展開は仕方がないか。


 黄名子とフェイの間の関係も非常に気になる。前回で黄名子はフェイの母親であることが確実だと思われたわけだが、その後別れなければならなかった理由や、フェイの父親の話などがまだ描かれていない。フェイの父親ということは、黄名子の夫ということになるわけだし、その辺が紐解かれるのが今から楽しみではある。


 次回は歴史を離れて物語の世界へ! アーサー王伝説の世界らしいけど、ますます超次元に磨きがかかるな……。タイムジャンプだけじゃなく、今度はリアルとフィクションの壁を越えるという……。




 映画『イナダン』の舞台イベントかな? COWCOWの持ちギャグ「あたりまえ体操」をする天馬たち。見切れてるけど右でずっこけてるのは剣城。キャラクターに無いことやらせるなよ。



  次回「伝説へのジャンプ!」に続く。



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