『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第47話「集結!時空最強イレブン!!」の感想 【すべてが収斂していく感動回!】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第47話「集結!時空最強イレブン!!」を観ての感想を書く。一度は崩壊したひとつの家族、ひとつのチームが再び始動する。2人の大事な人物の帰還により、前よりも強く揺るぎない絆をもって。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第46話「支援者Xの正体!」の感想 【ルーンさん一家勢揃いの巻】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

 で、一覧表示されます。

 人類の次期支配権をかけたサッカー決戦「ラグナロク」第3戦、松風天馬(CV:寺崎裕香)が率いる【エルドラドチーム03】とフェイ・ルーン(CV:木村亜希子)がキャプテンを務める【チーム・ガル】との戦いは引き分けに終わった。チーム・ガルを率いて戦ったフェイはかつての友との戦いと自らの使命に疑問を抱き、精神を消耗させ試合終了後に倒れてしまう。

 それを抱きかかえてフィールドの喧騒から連れ出した支援者Xは、実はフェイの父、アスレイ・ルーン(CV:家中宏)だった。セカンドステージチルドレンの組織【フェーダ】から抜けるよう説得を続けるアスレイに対し、フェイはかつて自らを捨てた父の言葉に耳を貸そうとはしなかった。

 だがそんなフェイの駄々をこねる子供のような態度を戒(いまし)める声が響く。それは雷門のチームメイト、菜花黄名子(CV:悠木碧)のものだった。父と自分のことに部外者が口を出すことを拒絶するフェイだったが、黄名子は衝撃的な真実をここで明らかにする。



黄名子「フェイはウチの子供やんね!!」


 それは、フェイはおろか、その場に居合わせるほぼ全てのものが驚愕する言葉だった。



   オープニング



 どう見ても中学生の黄名子がフェイの母を名乗る……。それが何を意味するものなのか、にわかに理解できるものであるわけはない。フェイは戯言(たわごと)とばかりに黄名子の言を否定するが、アスレイは即座に肯定する。

 空野葵(CV:北原沙弥香)や西園信助(CV:戸松遥)はフェイと黄名子が同い年であり、親子であるはずがないと言うが、未来からやって来て時間軸という概念を理解しているクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)はそれが理論的にあり得ることに気付く。


 疑問に思う天馬たちに、アスレイがその経緯を語り始める。それによると、黄名子はタイムジャンプでフェイと同年代の時代から連れて来たということらしい。つまり時間軸こそズレてはいるが、フェイの実の母であることは間違いないということなのだ。

 自らがフェーダにいる間、雷門に合流したフェイを守る人選に迷ったアスレイは最も信頼が置ける存在として彼の母であり、自らの妻をその役に選ぶ。


 まだ中学生で今のフェイと同じ年齢だった頃の黄名子と接触を持ったアスレイは事情を説明し、(おそらくは10年ほど後に誕生することになる)未来の自分たちの子供を守って欲しいと頼む。



 アスレイの話を聞いて困惑する黄名子。突然かなり年上の男性に未来の旦那(だんな)を名乗られ、さらに2人の間に産まれる息子の安全を託された中1の女の子ならみんなこんな表情になってしまうだろう。変質者として通報されなかっただけアスレイはラッキーだったかもしれない。


 アスレイ自身も突然こんな突拍子(とっぴょうし)もない話をしても理解するのは難しいだろうと思いつつ、それでもなお彼がフェイを託せるのは彼女、黄名子を置いて他に無かったのだ。

 やはり戸惑って返答に窮(きゅう)する黄名子に、フェイのタイムルートに干渉するには黄名子が最適なのだと、アスレイはなおも決断を願う。少女の時代の黄名子は、フェイの時間軸とは決して交わることのないイレギュラーな存在だ。それでいて黄名子とフェイは母と子という、この世で考えられる限り最も密接に繋がった存在でもある。フェイを守るにはやはり黄名子しかあり得ない。

 黄名子はしばし熟考の後、フェイを守る役をなぜ今の自分に託すのだと問いかける。アスレイの話が本当だとすると現代には現代の、フェイの母となった「菜花黄名子」が存在するはずであり、そちらの黄名子に頼んだほうが良いのではないかと逆提案する。これって未来の話をする頭のおかしいオジサンを体よく追っ払おうという黄名子の知恵なのかもしれない。

 だがアスレイは表情を曇らせ、返答に詰まる。その態度から未来での彼の妻、つまり未来の黄名子はあまり良い状況にないと思われた。その空気を察した黄名子は「暗い話になりそうだから言わなくて良い」と笑顔を浮かべる。

 そして何かを決断したかのように腰掛けていたベンチから勢いよく立ち上がり、未来の2人の子供、フェイがどんな子なのかを尋ねる。その明るく前向きな態度は、アスレイの語った話をすべて信用しているという前提に基づいた彼女の優しさから来るものであることは疑いない。



 未来の世界とはいえ、黄名子の私服姿は本邦初公開だ。とても可愛いやんね。ちなみにこの未来の公園や町並みはゲームにも出てくるまんまで再現率高し。



 黄名子が突然、雷門中サッカー部の部員として現れたこともこうなって来ると説明がつく。神童拓人(CV:斎賀みつき)はそれがアスレイによって成されたインタラプト修正の結果であることを喝破する。黄名子はうなづき、改めて息子……フェイを真剣な目で見据える。

 そしてフェイに、父アスレイも苦悩し心からフェイを心配していたことを告げ、だからこそ彼は支援者Xとしてフェーダに在籍したり、少女の時代の黄名子にフェイのことを託したのだと語る。それは、支援者Xとしての真の目的を知られればフェーダから裏切り行為とみなされ、そして黄名子を雷門に送り込んだケースではエルドラドから人類に対する反逆行為として非難される危険性を顧(かえり)みない、ただひとりの子を思う父としての行為だった。それはお父さんが息子のことを思って、自らの身の危険をも考慮せずに果たしたものなのだった。


黄名子「あなたは一人ぼっちなんかじゃなかったんよ……ちゃんと、あなたのお父さんとお母さんに、見守られてたんよ!」


 本当のお母さんからのその言葉はフェイにどんな感慨を与えたのだろう!? フェイは心に暖かい何かが流れ込んで来ることを実感したはずだ。フェイはここまで、なぜ黄名子が自らにだけ厳しく指示を出していたのかを思い出し、そして納得した。あれは優しさに裏打ちされた母の厳しさだったのだ。自らを心から守りたいと思う母の気持ちが、黄名子から掛けられた言葉の一つ一つにこもっていたことを、いまさらのようにフェイは実感する。

 うつむいていたフェイは正面に目を向ける。そこには苦楽を共にし、そして最後には袂(たもと)を分かった天馬たちの心配そうな表情があった。


フェイ「いまさらそんなことを知らされたって、もう後戻りは出来ない……」


 フェーダのスパイとして天馬たちを騙し、最後は裏切ったという行為の重さを考えると、フェイはまともにかつての仲間たちの顔を見ることが出来なかった。「合わせる顔がない」というやつだ。

 フェイはフェーダを抜けたとしても身を寄せる安息の地は残っていないことを告げ、苦しそうな表情を浮かべる。黄名子、アスレイ、ワンダバが見つめる中、そのフェイに歩み寄ったのは天馬だった。


天馬「あるよ、フェイ!!」

「フェイの帰る場所はここにある」


 その言葉の意味が理解できず問い返すフェイに対し、天馬はフェイをサッカーを共に愛する仲間だと言って胸に手を当てる。


「フェイの帰る場所は、ここなんだ! 絶対ここなんだ!!」



 驚いたような表情で天馬を見つめていたフェイに、神童や三国太一(CV:佐藤健輔)、葵が帰って来るようにと声を掛ける。全員の表情がフェイの帰還を心から歓迎するという穏やかな笑顔で、フェイの決心を待ち受ける。フェイとほぼ因縁が無いはずのザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)までもがフェイを歓迎しているように見えるのはなぜ?


 両親の愛情に触れ、さらに天馬たちの思いに触れ、フェイの肩が小刻みに震える。自らの愚行を赦(ゆる)してくれた「仲間」たちに心から感動してフェイの涙腺が緩んだのだろう。黄名子とアスレイも満足げに目で会話をかわし、アスレイは息子を再び受け入れてくれた雷門イレブンに感謝の礼を述べる。



 うつむいたままのフェイを見て、ワンダバもこれで良かったと涙を拭(ぬぐ)う。うつむくフェイはさっきのように仲間に顔向けできないからというものではなく、ただ泣き顔を見せたくないという男の子の矜持(きょうじ)から来るものなのだから……。


 フェイは何かを決意したようにその場を立ち去ろうとする。天馬がそれに声を掛けるが、それは去ろうとするフェイを呼び止めるものではなく、きっと帰って来るはずの友を見送るためのものだった。天馬は確信していた。フェイがきっと帰って来るということを。フェイは無言で一つうなづき、どこかへと姿を消す。



「僕にはいたんだ……一緒にいてくれる仲間が!」


 歩きながらこみ上げてくる涙を堪(こら)えきれず流し、フェイは両親や仲間に愛されている自分という存在を噛み締め、自分の居場所を見つけたことを実感していた。



 フェイの向かった先、それはラグナロクスタジアム内に設置された図書室のようなフェーダの控え室「フェーダルーム」だった。慎重に歩を進めるフェイ。すでに内心でフェーダを見限り、天馬たちの元へと帰る決心をしたフェイにとってこの場はもはや敵地なのだからそれもやむを得ないだろう。

 フェイは皇帝の席の後ろに置かれた黒い小箱を開く。そこにはクロノ・ストーンの姿に変えられて囚われの身となっている円堂守(CV:竹内順子)が安置されていた。フェイはそれを盗み出し、天馬たちの元へと取り戻すつもりなのだ。

 だがそれを手にして部屋を去ろうとしたフェイの前に、いつの間にか部屋に存在したフェーダの皇帝、SARUことサリュー・エヴァン(CV:岡本信彦)が現れる。



SARU「困るなぁ、それを持って行かれると……」


 一番恐ろしく、出会ってはならない相手と出会ってしまった! SARUは今度こそ自らの意思で自分たちを裏切ろうとしているフェイの姿を見てもまるで動揺することは無かった。いつもの飄々(ひょうひょう)とした態度を崩すことなくフェイに語りかける。その態度はかえって何をするつもりなのか分からないという不気味さを増幅する。


 円堂を人質にしておかないと天馬たちが逃げてしまうとその懸念を告げるSARUに対し、フェイはもう天馬たちの代表として逃げる意思はないと返答する。

 それを聞いてSARUは意外なことを口走る。フェイの裏切りはおろか、クロノ・ストーンを持っていくことさえも構わないと意思表示したのだ! そこからはフェイが何をしようとフェーダの勝利は揺るぎないという自信に満ち溢(あふ)れた感情が窺(うかが)える。



 フェイは可能ならばとばかりに、SARUたちフェーダのやっていることが間違いであることを説き、説得しようと試みる。だがやはりSARUはその言葉を一笑に付して聞き入れようとはしない。フェイは説得を諦める。そして自分は天馬たちと戦いたいと言って部屋の出口へと向かう。

 SARUは変わらぬ態度で、フェイや円堂がエルドラド側に付いたとしても、決して勝ち目はないと告げ、クロノ・ストーンが収まっていた小箱を閉じて一際大きな声で語りかける。


SARU「その理由は、君が一番分かっているよね?」


 それは最後通告だった。SARUはフェイもよく知るセカンドステージチルドレンの最高の能力を駆使して天馬たちと、フェイを含むそれに与(くみ)する者たちを倒すと宣言したのである。

 フェイは何を言われても自らの決心は変わらないという意志を示すため、フィールドで敵としてまみえようとだけ言い残して部屋を出て行く。



 フェイが去って静寂が訪れた室内に、また誰かがやって来る。それはセカンドステージチルドレンに近しい存在でありながらフェーダとは微妙な距離感を持つ、ヴァンフェニー・ヴァンプ(CV:笹沼尭羅)とガルシャア・ウルフェイン(CV:関智一)の両名だった。



 フェイが去ってしまったことを看過して良いのかと問うガルシャアに対し、ヴァンフェニーはフェイが両親の愛に包まれて人間の世界に帰ってしまったことを茶化した口調で語る。ヴァンフェニーのその言葉はフェイを相手にしていた時は冷静さを失わなかったSARUを激しく苛立(いらだ)たせる。拳(こぶし)を握り締め、くだらないと吐き捨てるように言い放つSARUのその横顔……彼の苛立ちには両親や仲間に愛される存在であるフェイに対する嫉妬心があったのかもしれない……。



 一方、雷門中のミーティングルームに酷似したエルドラドのミーティングルームでは、議長のトウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)と参謀のサカマキトグロウ(CV:石井康嗣)の元に10人ほどの人員が招集されていた。トウドウはセカンドステージチルドレンの特殊能力を抑え、彼らの寿命を伸ばして普通の少年と同じにするSSCワクチンの話に触れ、彼らを招集した理由の説明を続ける。

 明日の最終決戦でもしもエルドラド側が敗北した際は催眠ガスでSARUたちを眠らせ、無理やりにワクチンを投与するという作戦らしい。招集された面々はそのための人員なのだ。結構汚いやり方だけど、前回フェーダの超能力のせいで勝てなかったエルドラド側とすればこれもやむを得ない措置なのかもしれない。トウドウとサカマキが悪役顔だから、どうみても卑怯なんだけどな〜。



 他方、フェイは約束通り天馬たちの元へ戻って来る。天馬の部屋の前に到着したのだが、その扉を開く勇気がなかなか出て来ない。一度は天馬たちを裏切ったフェイだ。どんな顔をしてこの扉を開くべきなのか悩むのも無理はない。ひとしきり逡巡(しゅんじゅん)した末、意を決して扉を開いたフェイを待っていたものは……



「おかえり〜!!」


 「おかえりフェイ」の横断幕と共に、クラッカーのリボンと紙吹雪、そして仲間たちの明るい笑顔が待っていた! 驚くフェイに、天馬はこのアイデア瀬戸水鳥(CV:美名)のものであることを告げる。派手に、そして心温まる歓迎を受けて気を悪くするはずもない。フェイは照れくささを残したままの表情で、おずおずと室内に入る。



「おかえりフェイ!!」


 改めて帰還を歓迎されるフェイ。フェイは感謝の言葉を述べ「ここにいても良いんだね?」とこちらも改めて問いかける。天馬を始め、メンバー全員にもちろん異議などあろうはずもない。フェイは母である黄名子と視線を合わせる。黄名子は今度こそその真意を隠そうともせずに母親の慈愛に溢れた笑顔をフェイに向けて笑いかける。釣られてフェイの顔にも笑顔が浮かぶ。



 自分を見捨てたと思っていた親が、実はこんな近くでいつも見守ってくれていたんだ……。そう実感するフェイの表情は物語始まって以来、もっともエエ笑顔になっていた(^ω^)


 だが締めるところは締めるとばかりにストーリーの整理役的な存在の剣城京介(CV:大原崇)が、フェイの本当の戦いはこれからだと浮かれムードを引き締める。明日の最終決戦で戦う相手は、フェイのかつての仲間だ。一度雷門を裏切ったフェイが、今度はフェーダの仲間を裏切ることになる……。

 この運命の皮肉を、フェイは気丈に乗り越えることを誓う。フェイにはひとつの公算があった。自身が天馬たちに救われたように、今度は自分がSARUを救ってやりたいと思っていたのだ。彼が閉じこもったまま扉を開くことが出来ないと思い込んでいる心の牢獄から……。



 救うためのサッカーという新たな目標が生まれ、天馬たちもやる気になる。全員が力強く天馬の檄に応える。おそらく最終決戦で出番が無いであろう一乃七助(CV:折笠富美子)や青山俊介(CV:高垣彩陽)も。というか多分このメンバー全員出番は無いだろうなぁ。かろうじて狩屋マサキ(CV:泰勇気)と三国がベンチに入れるぐらいかな。


 その時葵の小物入れから、クロノ・ストーン状態の円堂大介(CV:藤本譲)が飛び出して、自身に注目するよう命じる。ポカンとする信助に対し、大介は呆れたような口調で、時空最強イレブンがようやくここに集結したことに気づいていない彼らにダメ出しし、時空最強イレブンコンプリートを宣言する。


  • 7の力としてトーチャン(CV:不明)のオーラを持つトーブ(CV:ゆきじ)。


  • 11の力としてクララジェーン(CV:あるわけない)のオーラを持つザナーク。

 大介にそう言われ、確かに11人揃っていることに気がついた一同。だが水鳥姐さんは慎重だ。今まで何度も出入りがあって11人揃っているということが、にわかには信じられない状態に陥っていた。そういう生活が長かったから分からないでもない。

 そこで葵、水鳥、山菜茜(CV:ゆりん)の3人はもう一度、1から順に指差し確認を行うことにする。




 割と冷静なタイプの神童や剣城が3マネの雰囲気に圧倒される様子がちょっと可笑しかった。


 11番のザナークまで確認して、疑い深い彼女たちも納得した。間違いなく、待ち焦がれた時空最強イレブン11人がこの場に集結したのだ! 苦労を共にしてきた彼女たちも破顔してこの偉業を喜ぶ。三国や車田剛一(CV:野島裕史)という先輩たちにもこの達成を祝福され、天馬たちは感無量の心境に至る。

 狭い室内は大騒ぎとなる。一向に静まらない状態に業を煮やしたワンダバが一喝して場を静める。そしてワンダバは時空最強イレブンのコンプリートが成った今、このチームに新しい名前を付けることを提案する。

 ワンダバはすでに腹案があったようだが、それに先んじて大介がやにわ輝き始め、チーム名を【クロノ・ストーム】と命名する。時を越えて吹き抜ける暴風でフェーダの悪しき思考の少年たちの心の闇を吹き飛ばすという意味でのその名は、皆に賛同を持って迎えられる。ただ一人、自分の意見をまたも無視されて落ち込むワンダバを除いては……。


 明日の戦いはこのチーム名、このメンバーで臨むと宣言する大介だったが、天馬には懸念があった。ラグナロクを共に戦ってきたレイ・ルク(CV:河野裕)やアルファ(CV:谷山紀章)、ベータ(CV:伊瀬茉莉也)、ガンマ(CV:泰勇気)などエルドラド側の関係者、ルートエージェントたちの意向を無視して勝手に決めてしまっても良いのだろうかという、日頃KYな天馬らしからぬ心配だった。

 だが会話を聞いていたかのようにええタイミングでアルファ、ベータ、ガンマの3人がその場にやって来る。アルファが言うには、彼らは彼ら自身の意思で明日の試合は時空最強イレブンの面々に任せたいと議長であるトウドウに直訴したという。

 ベータやガンマもアルファを出汁(だし)にしつつも、同じくフェーダ最強のチームは天馬たちに託すしかないという考えでは通底していた。


アルファ「私たちのサッカーを守って欲しい」


 サッカーをこの世から無くそうと奔走(ほんそう)していたアルファたちが、今度はそのサッカーを守って欲しいとまで言って天馬たちに期待をかける。それは取りも直さず、サッカーというものの持つ魅力や底力を示すものでもあった。天馬はその希望を力強く請け合う。



 アルファたちのためにも負けられない。天馬たちはまた一つ大きな勝つための理由を背負って戦うこととなる。明日の試合に臨んで気合いを込める天馬たちを、アルファ、ベータ、ガンマの3人は清々(すがすが)しい表情で見つめる。3人とも以前からは考えられないほどいい人になった感じ。どうでもいいけど、ここにレイ・ルクがいないのは前回で破壊されてしまったせいかな? まぁ彼は任務第一で、自分の意思というものを持っているとは思えないのだけど。



 その頃、ラグナロクスタジアムの正面ではSARUと、かつては支援者Xとしてその協力者だったアスレイとが再会していた。フェイのためにフェーダに協力していたアスレイをやんわりと非難するSARUに対し、アスレイは身分を偽っていたこと自体はその非を認めつつ、フェーダで活動していた理由を人類とセカンドステージチルドレンとの共生を目指しその方法を模索していたものであったことを告げる。

 アスレイはそれをもってフェイを取り戻すつもりだったことを明かす。つまり息子のためだけに行動していたのではなく、SARUを含めたすべてのセカンドステージチルドレンのことを考えていたということだ。だが息子フェイへの思いをとつとつと話す父の思いは、SARUにある感情を抱かせずにはいられない。

 一度は捨てた息子を取り戻したいという彼の思いは、SARUがエルドラドに対して宣戦を布告して反逆行為に走った瞬間、共生の望みと共に途切れてしまった。

 それでも必ずその可能性はあるはずだと語るアスレイは、明日のラグナロク最終決戦を中止して欲しいと、SARUに懇願する。



 さすがに想像の範疇(はんちゅう)を越えたその要求に色をなすSARU。アスレイは力の優劣を決めることの無意味さを説き、共生への道を共に追求しようと告げる。

 だがそれが出来れば人類とセカンドステージチルドレンとの共生はすでに半ば以上に達成できているはずなのだ。アスレイの言う内容はあくまで理想論であるとSARUは決めつけ、その提案を一蹴(いっしゅう)する。



 優劣を決めることに意義はあるとSARUは残酷に返答する。人類を支配する権限が自分たちにあるということを証明するために開催したのがラグナロクだ。いまさら止めるわけにはいかない。明日の戦いで世界はセカンドステージチルドレンの本当の力を知ることになるだろうとSARUは嘯(うそぶ)く。

 そしてあてつけのように、フェーダを裏切ったアスレイの息子は後悔することになると、裏切り行為に及んだフェイを制裁的に復讐することをも匂わせる。

 「どうしてもやるのか?」というアスレイの問いかけに邪悪な笑みを浮かべ、SARUは肯定を示唆する。アスレイは自らの説得が不毛に終わったことを自覚し、無念感を漂わせながら立ち去る。


 アスレイを背中で見送ったその直後、SARUは背後に別の何者かの気配を感じる。



 そこにいたのは【チーム・ギル】のキャプテンのメイア(CV:佐々木日菜子)と副キャプテンのギリス(CV:江口拓也)の2人だった。


 メイアとギリスはSARUに対し、もう一度チャンスが欲しいと訴える。ラグナロク当初の3試合で唯一エルドラドのチームに敗北した彼らはその不名誉を何としても返上したいという思いに駆られ、ラグナロク最終決戦に出場させて欲しいと直訴にやって来たのだ。SARUの擁するフェーダ最強のチーム【ザ・ラグーン】に果たして彼らは起用されるのだろうか……?



 ラグナロクスタジアムのフィールド、誰もいないその場にひとり佇(たたず)むワンダバ。彼には野望が残されていた。時空最強イレブンのチームに命名する権利(ネーミングライツ)は大介に奪われてしまったが、最終決戦を指揮する監督がまだ決まってはいない。降って湧いたそのチャンスを獲得しようと、ワンダバは心に期していた。



 転がっていたボールに足を乗せ腕組みするワンダバ。今の彼には最終決戦でチームを指揮して見事大勝利に導くという壮大な夢しか見えていなかった。……だが長らくこの物語を見てきた視聴者の視点から言わせてもらうと、これもまた夢で終わりそうな予感がする。



 そして翌日、ついにその日がやってきた。ミーティングルームに集った全メンバーはトウドウから最後の訓示を受ける。



 全メンバー集合。選手だけで21名と多いが、出番があるのは11名だろう。あのやんちゃなザナークさんまでキチンと整列してて笑える。


 人類の命運がかかった試合に際し、準備が完了しているかを確認するトウドウ。一同は力強く「ハイ!」と返答する。その意気を受け、トウドウはサカマキにあることを指示する。サカマキはピルケースのような小さな箱を天馬たちに提示する。そこに入っているカプセル状の機器は、フェーダの念動波を防ぐ機能が備わっているらしい。

 サカマキは試合中はそのチップを耳の中に入れておくよう指示する。SARUのことを一切信用していないサカマキの言葉に対し、フェイはあの能力はもう使っては来ないであろうと意見する。前回の戦いの折にフェイに念動波を使用させたのは天馬たちとフェイの間を引き裂くためだったからであり、それを繰り返す意義はもう失われているからだ。

 サカマキは一瞬意外そうな表情になるが、念のためだと言い聞かせるようにチップの装着を義務付ける。天馬はエルドラド側の顔を立てるためにもそれを受け取る。SARUの何に変えても人類に報復するという強い意志を思うと、この判断は極めて正しい。最終的には何をやって来てもおかしくはないからだ。


 そしてトウドウはこの決戦を指揮してもらう監督の話に言及する。その瞬間、緊張の走った横顔を見せるワンダバ。立候補のために手を挙げたその瞬間、ワンダバを押しのけるような勢いでその場に現れたのは、クロスワード・アルノ(CV:楠見尚己)博士だった。



 アルノ博士登場。まさか彼が監督をするつもりなのでは? ……と一瞬思ったけど、アルノ博士はサッカーに関してはまったくの素人だと以前語っていたからそれはないだろう。だがワンダバの最後の望みを打ち砕く役どころであることだけは間違いなさそう。あとエルドラドから犯罪者として追われていた身の彼にとって、トウドウやサカマキと作中で顔を合わせる最初の機会でもある。


 アルノ博士はフェイに何かを頼まれていたらしく、その準備が完了したと告げる。


 ミーティングルームに広げた機械を操り、何かをしようとするアルノ博士。神童の問いかけに対し、これはクロノ・ストーン化された人間を元に戻す装置だと説明する。そしてフェイに、そのクロノ・ストーンを設置するよう促(うなが)す。

 フェイが取り出したそのクロノ・ストーンは、フェーダルームから奪還して来た、あの円堂が封じ込められているものだった。一同に緊迫が走る。なぜフェイがそれを持っているのかを気にする錦や神童に、取り返して来たと笑顔でこともなげにフェイは語る。昨日フェイが別れた後、どこに行っていたのかを天馬はその言葉で知ることとなる。


 クロノ・ストーンが設置され、アルノ博士は機械に何か数列を入力し始める。電磁波のような光がクロノ・ストーンにまとわりつき始め、何かが物理的に起こることを予兆していた。固唾(かたず)を飲んで見守る一同を前に、アルノ博士はシステムをスタートさせるボタンを押す。

 だが電磁波は見る間にその勢いを失っていき、クロノ・ストーンにも何も変化が訪れない。アルノ博士にも原因が分からないらしく、ボタンを連打するが効果がない。円堂を人間に戻す試みは失敗に終わってしまうのか!?

 ここで短気なスケバン体質が出たのが水鳥だった。動けとばかりに機械を激しく蹴りつけたのだ!!



 水鳥の暴行でアラート音を響かせ、真っ赤になる機械のモニタ。


 その手荒い作動に電磁波は復活したが、今度は奔流(ほんりゅう)のように迸(ほとばし)り始め、ミーティングルーム全体を危険なゾーンにしてしまう。



 非常に危険な暴走状態だ! 水鳥はちゃっかりと被害者ヅラしてるけど、これの原因はあなたです。


 システムの暴走を止めるべくアルノ博士は機械を操作するが、電磁波の奔流はどんどんひどくなって行く。そして機械以上に危惧すべきものはクロノ・ストーンだ! 光に包まれながら上昇し始めるクロノ・ストーンを見て天馬は機械に向かって走り出す。葵はその非常に危険な行為を止めようとするが、天馬は円堂を救うことで頭が一杯だった。もう少しでクロノ・ストーンを掴むところまで行った時、負荷に耐えかねた機械が爆発してしまう!!

 吹き飛ばされた天馬。爆発による爆風と粉塵(ふんじん)が収まり出し、何とか周囲が見渡せるようになって来る。幸いメンバーに怪我などはなかったようだ。だがクロノ・ストーン=円堂は果たして無事なのか!?


 機械があった位置からは、まだ大量に煙が巻き上がっていた。天馬たちが見つめる中、その煙に誰かの影が映る。それは、復活なった円堂監督その人であった!!



 物語序盤のサッカー日本代表VSアメリカ代表戦の代理戦争でベータのスフィアデバイスに封じ込められて以来、本当に久しぶりの再会だった。以前と変わらぬ人ったらしの懐かしい笑顔を見た全員がその監督のもとに駆けつける。


天馬「円堂監督、おかえりなさい!」


 円堂は自身の長期に渡る不在を詫びる。その優しい言葉を聞いて、天馬の胸に熱いものがこみ上げて来る。そしてずっと果たしたかった円堂奪還という目的を果たし、心からの快哉(かいさい)を叫ぶ。

 その思いは選手だけのものではなかった。少年時代から円堂の親友である鬼道有人(CV:吉野裕行)と豪炎寺修也(CV:野島裕史)も、静かにかつ実感深くその帰還を喜んでいた。



鬼道「ようやく帰ってきたか……」
豪炎寺「ああ、アイツはいつも遅いんだ!」


 豪炎寺さん、お前が言うな。



 円堂という何者にも代えがたい精神的支柱を取り戻し、チーム【クロノ・ストーム】の士気は最高潮に達する。円堂のもとなら、このチームは何だって出来ると思わせる強さ、それが今のこのチームにはあるのだ!



 いよいよクライマックスの次回に続く!



  エンディング



 サッカーのシーンはまったくと言ってよいほど無かったものの、今回はフェイの帰還、そして円堂の復帰と大事な2人が天馬たちのもとに帰ってくるというターニングポイントとなる回だった。最終決戦を前に、戦力としては最高のものとなったと言えるだろう。

 一旦は天馬たちを殺害しようとまでしたフェイの復帰は議論が分かれるところなのかもしれないが、私は大歓迎。黄名子とフェイのこれまで綴られた伏線を思うと、フェイのこともアスレイのことも憎むことが出来ないからだ。あえて言うなら、時代が悪かったとしか言い様がない。

 前半のフェイと黄名子、アスレイの伏線が回収される部分は本当に泣けた。黄名子がアスレイもフェイのことを心配していたと告げる辺りは涙が出た。そしてその説得が功を奏し、さらに天馬が立ち去るフェイを信じて送り出す場面は号泣もの。


 黄名子がなぜ同じ年齢の頃の黄名子だったのかは詳しく述べられなかったが、実はこのことも涙なしでは語れない物語が残されている。ゲームを最近クリアした私は知っているのだけど、やはりアニメで語られることを期待して今は伏せておこうと思う。まぁ今のところは「中学生でないと雷門中サッカー部に入部は出来ないからやんね!」とぐらいに思っていてもらえれば幸い(まぁこれも事実の一端なんだけど)。



 次回はいよいよ最後の戦い。SARU率いる最強のチーム、ザ・ラグーンとクロノ・ストームとの決戦だ。今回のフェイの復帰は涙ながらに歓迎していたワンダバも、円堂の復帰だけは歓迎できなかったのではないだろうか?



 だってこの展開だと最終決戦の監督は間違いなく円堂がすることになるだろうから……。逆にこれで「監督はワンダバ」とかトウドウが決断したりしたら最高に面白い展開になるだろうな。納得いかないけど。


 敵チームのザ・ラグーンの選手も次回予告で描かれていた。今回SARUに出場を直訴したメイアとギリスの2人もおそらく登場することになるだろう。この2人はもう一回見たいと思っていたから個人的には嬉しいんだけどね。逆にこれで「お前たちはベンチ」とかSARUが言ったりしたら、それはそれで面白い展開になるだろうな。納得いかないけど。


 今回は久々にめでたしめでたし的な良い終わり方だったので、エンディングテーマ曲も「青春おでん」だった。「僕たちの城」も良いけれど、この曲もやっぱり良いよね。



  次回「SARUの力!」に続く。



人気ブログランキングへ
 ↑ 最後まで読んでくれてありがとう。「違うブログが(ランキングで)共に生きていく道は必ずある!」(今日の格言・アスレイさん風)というわけで記事が面白かったと思われましたら、毎日クリックして頂けると嬉しく思います。



僕たちの城 (数量限定生産)
イナズマイレブンGOオールスターズ「松風天馬(CV:寺崎裕香)&剣城京介(CV:大原崇)&神童拓人(CV:斎賀みつき)&西園信助(CV:戸松遥)&霧野蘭丸(CV:小林ゆう)」
FRAME (2013-02-06)
売り上げランキング: 462

青春おでん
青春おでん
posted with amazlet at 13.02.09
FRAME (2013-02-06)
売り上げランキング: 678