『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第46話「支援者Xの正体!」の感想 【ルーンさん一家勢揃いの巻】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第46話「支援者Xの正体!」を観ての感想を書く。家族に見放されたことで今生(こんじょう)に絶望していたフェイ・ルーン(CV:木村亜希子)が、意外な形で父と再会することとなる。そして……母とも。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第45話「グレートマックスなオレ!」の感想 【イナクロ真の主役はザナークだった!】
 をご覧ください。

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 人類の未来をかけたサッカー決戦「ラグナロク」第3戦は【エルドラドチーム03】を率いる松風天馬(CV:寺崎裕香)と【チーム・ガル】のキャプテン、フェイとのサッカーへの思いをかけたものと進展しつつあった。

 チーム・ガルの圧倒的な攻撃力の前に押されていたチーム03だったが、最後の時空最強イレブンのオーラを身につけて帰還したグレートマックスなザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)の大活躍により試合を2−2の五分に押し戻す。


 天馬のサッカーへの思い、そしてその延長線上にあった我が身への思いを感じ、頑(かたく)なだったフェイは心の琴線(きんせん)を震わせる。天馬のその態度はセカンドステージチルドレンであるフェイにとっては長き戦いの間に失われていた「人を思いやり、信頼する」という思いそのものだった。【フェーダ】以外の部外者から初めてその思いを向けられ、フェイはその態度を軟化させるかに見えた。

 だがその状態をフェーダの皇帝、SARUことサリュー・エヴァン(CV:岡本信彦)が許すはずもなかった。SARUにテレパシーで呼びかけられ、その顔を確認したフェイの心境は果たして……?




 試合展開は同点だったが、後半に入って押しているのはチーム03の方だった。ムード的に優位に立つゆえにそれを見つめるチーム01、チーム02の選手たちの表情にも余裕が感じられた。フェイを心配する菜花黄名子(後列左 CV:悠木碧)を除いては……。


 SARUを見やったフェイの後ろ姿を、天馬は心配そうに見守る。何も言わないフェイの後ろ姿。それはありのままの自身に全幅(ぜんぷく)の信頼を抱いてくれた2人、SARUと天馬のどちらの言葉を重視するのかを葛藤(かっとう)しているかのようだった。



   オープニング



 試合は連続して失点したチーム・ガルのキックオフで再開される。10番デッキ(CV:ゆりん)から11番ユウチ(CV:河野裕)へとパス、そこに弾丸のように走り込んでくるのはこの後半戦で大活躍のザナークだ。いつの間にかミキシマックスが解けていつものひょうたん髪姿に戻ってしまってはいたが、最警戒の相手であることは疑いない。

 ユウチは素早く切り返し、8番タクジ(CV:不明)に横パスを送る。タクジは素早く逆サイドの5番ヨッカ(CV:下野紘)にフィード。だがそこには意気込んで雨宮太陽(CV:江口拓也)が駆け込む。

 太陽は諸葛亮孔明(CV:沢海陽子)のオーラをミキシトランスしてそのパスをカットする。観客席の神童拓人(CV:斎賀みつき)の声援の中、チーム03が一気に反転攻勢に出る。

 太陽に詰めるのは可愛い顔して前回に速水鶴正(CV:吉野裕行)をぶっ飛ばした6番ローコ(CV:悠木碧)ちゃん。心得る太陽は接触前に天馬にパスを送る。その天馬の前に立ちはだかったのは、もうこの戦いにおいては運命的なものなのだろう、フェイだった。



天馬「俺はこんな形でフェイと勝負したくなかった!
     フェイだって同じ気持ちじゃないのか!?」

フェイ「勝手に決めつけるなぁっ!!」


 天馬の言葉をこれ以上聞いていては心の揺らぎを制御できなくなると思ったか、フェイは強引にボールを奪いにかかる。それをかわした天馬は浜野海士(CV:金野潤)にボールを送る。浜野は7番ピノ(CV:佐々木日菜子)のマークを受けるが、振り切って速水にパス。ボールがつながる。


 天馬はここでキャプテンの役目として総攻撃を指示する。太陽、レイザ(CV:藤村歩)といった得点能力を持つストライカーが敵陣に上がって行く。それを追うフェイの心に、またもSARUが言葉を投げかけてくる。突如立ち止まったフェイを見て、黄名子がその異変に気付く。

 こちらを見つめるフェイに対し、SARUはすっかりいつもの余裕で尊大な態度を取り戻した様子で何やら不敵な笑みを浮かべていた。こういう顔をする時のSARUは大抵悪だくみをしている。


 その間もチーム03の攻勢は続く。速水はザナークにパスを送る。それを受けたザナークは親指を突き立て、そのパスを褒める。あの自分以外は眼中に無かったナルシスト脳筋野郎のザナークさんが他人を褒める機会があるなんて……。



ザナーク「良いパスだぜ! メガネ!!」


 速水をメガネ扱いするところがやっぱりザナークらしいが。


 一方、チームのピンチなのに会場の一点(SARUのいるVIP席)を見つめて微動だにしないフェイに対し、チーム・ガルのヨッカやユウチが「人間ごときに気迫負けなのか?」と叱咤(しった)する。フェイは視線を動かさないまま「僕は負けない」とだけ返答する。事実、彼は気迫負けして茫然自失(ぼうぜんじしつ)となっているわけではなく、SARUから何らかの指示、次善策を受けているものだと推察される。


 ザナークはドリブルで持ち上がる。併走する天馬から「もう1点」の指示が出るが、言われるまでもなくザナークはそのつもりでいた。次も自分が決めると、ハットトリックを決める気満々の態度でゴールを目指す。

 残り時間を勘案すると次の1点はどちらが獲得しても決勝点になる可能性が高い。チーム・ガルもそれを決めさせるわけには行かないと、2番カズチ(CV:吉野裕行)、3番フミータ(CV:不明)、4番グゥミ(CV:小林ゆう)がラインを築いて待ち構える。前回スーパーザナークの竜巻のような突進に吹き飛ばされた3名は特にザナークだけは通さないと気合いを入れていた。

 だがザナークはここは強引に行かずに右サイドのレイザにパスを送るという頭脳的かつチームプレーに徹した行動に出る。もはや彼は完全にチーム03の一員とみなして良いだろう。

 たまらずカズチがそちらに詰めるが、中央の天馬へのマークがフミータのみとなる。ただディフェンス網がバラバラになってなお、天馬の攻勢を阻止してみせるところはさすがチーム・ガルのディフェンスだと思わせる。


 その後は両チーム一歩も引かない互角の展開を迎える。一進一退の戦いの中、フィールド中央では依然としてフェイがその挙動を沈黙させていた。

 その様子がおかしいことは観客席で試合を見守る神童や剣城京介(CV:大原崇)も気がついていた。だがその理由までは分からない。


黄名子「……アイツやんね。フェーダのリーダーがフェイに何かしたやんね!」


 黄名子は、心配するフェイがSARUに何かされていることが分かっていながら自身はどうすることも出来ないことに、拳を握りしめて不安感や無念さをにじませる。


SARU『さぁ、次のステージに移るよ……』


 SARUは相変わらずテレパシーでフェイに語りかける。SARUは次のステージ移行にあたってフェイの心が本当にフェーダに戻って来たかどうかを確認したいと言う。

 フェイがうなづいたのを確認し、SARUは満足そうに、そして邪悪な表情を浮かべて笑う。SARUに試された忠誠心をここで明らかにすべく、フィールドを振り向いたフェイの表情はこれまで以上に険(けん)が入った厳しいものであった。



フェイ「ハアアアアアァァァッ!!!!」


 気合いを込めたフェイの絶叫と共に広がる青い波動! そしてその波動がフィールドに充満したその時、天馬を始めチーム03のメンバーの頭に激痛が走る!



 フェイによる謎の精神攻撃を受け、苦悶に顔を歪ませるチーム03の選手たち。普通の人間だけでなく、セカンドステージチルドレンの素養を持つはずのザナークまで苦しんでいる理由はよく分からない。観客席はもとよりベンチの空野葵(CV:北原沙弥香)や影山輝(CV:藤村歩)、豪炎寺修也(CV:野島裕史)にも影響がなかったわけで、一定範囲内(青い波動に囲まれた範囲内)の敵勢力だけに効果を発揮する超指向性(ちょうしこうせい)の能力なのかもしれない。ただこの苦しむ人数が10人だという点は後の伏線となっているので注目。


 観ている神童たちが訳の分からないまま、次々と頭を押さえてフィールドに倒れ込んでいくチーム03の選手たち。脳を直接えぐるような頭の痛みに耐えかね、西園信助(CV:戸松遥)やトーブ(CV:ゆきじ)が悶絶する。

 あの脳みそまで筋肉造りだと思われたザナークですら苦痛のあまり試合続行が不可能となる。だが彼はこの頭痛が自然現象などではなく、誰が、どんな意図をもって起こしているのかが分かっていたのだろう。「やめろ!」と絶叫する。

 太陽もものすごい頭痛の中、集中力が持たないらしく、孔明のミキシトランスが解けてしまう。エルドラド側のVIP席で試合を観ていた議長のトウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)とサカマキトグロウ(CV:石井康嗣)も、この異常事態がセカンドステージチルドレン特有の超能力が引き起こしたものであることを見越していた。


 心配そうに見つめる葵たちの元に、観客席から駆けつけたクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)がこれが「念動波」であることを告げる。念動波とは念動力を用いて対象の脳にプレッシャーを与え、破壊して死に至らしめることも可能な恐ろしい超能力である。

 その念動波がセカンドステージチルドレンの特殊能力であり、早く止めないと天馬たちが殺されてしまうとワンダバは危惧(きぐ)する。この念動波を出しているのは誰かという豪炎寺の質問に、ワンダバは一瞬の逡巡(しゅんじゅん)の後、それはフェイの仕業であることを示唆(しさ)する。

 かつての仲間であるフェイがこんな非人道的な行為をしているという事実に葵は驚き、輝は怒りをもってフィールドのフェイを睨(にら)みつける。


 フェイは瞳を青く光らせていた(これは念動波の発動を思わせる視覚的表現)。ようやく行動を起こしたキャプテンを称えるように満足そうな表情を受かべるチーム・ガルのメンバーの間を抜けて、フェイはボールを持つ天馬の元に歩み寄る。


天馬「(この能力を使っているのは)君なの、フェイ!?」


 自分たちに地獄の苦しみを与え、不公正な手段で試合を無茶苦茶にするという行為をフェイがやっているとは思いたくはなかった。天馬はフェイから否定の言葉が聞きたかったはずだ。だがフェイはその返答とばかりに、さらに念動波の波動を強める!



 強まる波動に天馬は激しく苦しむ。無抵抗の人間をいたぶるようなフェイのその行動を目の当たりにして、黄名子は自分が痛めつけられた時以上に悲しげな叫び声を上げる。ワンダバもフェイを懸命に止めようとするが、フェイは聞き入れようという素振りすら見せない。

 天馬はこんなことは止めるよう懇願(こんがん)するが、フェイはその言葉を最後まで言わせないとするかのようにまたも波動を強める。



 だが天馬は怯(ひる)まない。こんなのはフェイがやりたいサッカーではないと叫ぶ。それを聞いてフェイはまたも動揺する。ここまでひどいことをされてなお、天馬はフェイを、フェイのサッカーに対する愛情を信じているというのだ。

 天馬に対する心の絆を思い出すフェイだったが、それをまたもSARUが横槍を入れて邪魔をする。テレパシーで自身とフェイを「僕たち」と呼んで仲間であることを強調し、天馬たち「他者」とは分かり合えない存在なのだと言葉巧みにフェイに念動波の続行を命じる。


SARU『(天馬は)僕たちの敵だ!』


 その言葉を受け、フェイは心の揺らぎと共に弱まっていた念動波をまたも強めてしまう。満足そうにそれを見るSARUの横にいた支援者X(CV:家中宏)はこの展開に何を思ってか、静かにその場を辞する。


 一方、エルドラドVIP席ではフェーダの約定違反(やくじょういはん)に対してサカマキが激昂(げっこう)していた。ラグナロク開始前に交わしたSARUとの約束では、彼らは超能力を使わないというルールだったはず。それを勝手に破ったのだからこの怒りは正当であり当然の抗議だ。だがラグナロクが始まってしまえば、彼らの特殊な能力を客観的に提示する術(すべ)がない。約束を破られてもそれを証明する手段がないのだ。

 トウドウは嵌(は)められたことを自覚し、やはりセカンドステージチルドレンは悪であり、人類の災(わざわ)いであるとして強く非難する。


 その間も念動波の攻撃は着実に天馬たちの生命力を蝕(むしば)んでいた。SARUから受けた「敵」という言葉を免罪符(めんざいふ)にして天馬を攻撃することに良心の呵責(かしゃく)をごまかし続けるフェイ。


フェイ「僕は敵だ! 天馬の敵だ!!」


 そして倒れた天馬の横に転がるボールを奪い取り、フェイはチーム03ゴールに向かって行く。他のガルの選手たちも一斉に攻めて来る。だがチーム03の選手たちは頭を押さえて立ち上がることも満足には出来ない。このままでは無防備なゴールを割られてしまうことは必定(ひつじょう)だ!

 まさに無人の野を行くが如しのフェイの前進……だったが、その前に敢然と立ちはだかる一人の姿が目に入る。



 それはチーム03の磯野カツオことレイ・ルク(CV:河野裕)だった! レイ・ルクはたった一人でガルの全メンバーに立ち向かう。念動波にまったく臆(おく)することなくピンピンしているレイ・ルクに、ローコはなぜ彼に念動波が効かないのか不思議そうにフェイに問いかける。



 ベンチ前で観ていたワンダバはその理由に気がつく。そう、アンドロイドのレイ・ルクには攻撃される脳がない。フェイの念動波はメンバー中、レイ・ルクだけには効かないのだ。彼と同じアンドロイドであるワンダバならではの気づきだった。


 勝利を至上命題とするレイ・ルクはこの状況に、彼にとっての全力であるハイパーダイブモードに移行することで多勢の敵に対処しようと試みる。またも怖いフェイスオープンモードだ。

 ハイパーダイブモードのレイ・ルクはものすごいスピードでボールの奪取を図る。フェイはすんでのところでかわしてタクジにボールを回す。レイ・ルクはあわてず騒がず(アンドロイドだから)、人工化身「プラズマシャドウ」を召喚し、すかさずアームドして対抗する。



 相変わらずトロンのような出で立ちのレイ・ルク化身アームド姿。


 その姿にビビったタクジはフェイにボールを返そうとするが、圧倒的な速さで迫るレイ・ルクは空中でそのパスをカットしてしまう。たった一人で立ち向かうレイ・ルクに今は試合の行方を託すしかない。天馬は頭痛に耐えながら、レイ・ルクに声援を送る。

 その声が届いたかどうか、レイ・ルクはガルゴール前まで駆け上がり、一気にシュートする。迎え撃つのはザナークに二度までもゴールを許したチェット(CV:野島裕史)。だがザナークの強さはチート(ズル)並みだったから、今度こそその実力を知る良い機会だろう。

 チェットは三度(みたび)その化身「白尾神タマズサ」を召喚し、化身必殺技「シキガミラインズ」を使用する。




 本作で唯一「乳揺れ」する巨乳女性化身、タマズサが必死に式神でシュートを押さえようとする図。タマズサはどのシーンでもかわいくって、敵の化身であることが惜しまれる。ゲームでは三国太一(CV:佐藤健輔)さんあたりに付け替えてあげたい(可能であれば)。


 今度は「シキガミラインズ」の勝利だった。式神が舞い落ちる中、チェットの差し出した手にボールがスッポリと収まる。必殺シュートではないものの信助をさんざん苦しめたレイ・ルクが化身アームドしてのシュートを止めるのだから、やはりチェットの化身能力は本物だ。


 絶好の追加点のチャンスが阻まれ、チーム03は苦しい。何といっても念動波がある限り、レイ・ルク以外の選手は動けないのだから。チェットはレイ・ルクを人形と蔑(さげす)み、フミータにボールを投げる。フミータが宙に浮かせたボールをローコが意図的にレイ・ルクに蹴りつける。

 彼らはチーム03でまだ動ける残された一人であるレイ・ルクを潰しに掛かったのだ。何という非道なプレーであろうか。レイ・ルクは胸に強烈な一撃を受けてしまう。何とか踏みとどまったレイ・ルクに、ピノが容赦なく第二撃を加える。今度は頭部に直撃を喰らい、さしものレイ・ルクも倒れてしまう。



 磯野ぉ、サッカーやろうぜ……。


 霧野蘭丸(CV:小林ゆう)の前まで吹き飛ばされたレイ・ルク。心配した蘭丸が声を掛けるが、頭脳回路をやられてしまったレイ・ルクは機能を停止し、そのまま二度と起き上がることはなかった……。



 これでチーム03は誰ひとり動ける選手がいなくなってしまう。絶望的な展開の中、ゴール前でボールを保持したユウチはとどめは君が刺せとばかりにフェイにボールを預ける。



 嫌な意味で気を利かせるユウチ(右)。彼はこうして見ると本当に吹雪士郎(CV:宮野真守)に似ている。もし本当に彼の子孫だとすれば、この残虐な性格は弟のアツヤの方が受け継がれたのかもしれないが。


 ゴール前であとはフェイがシュートするだけの場面……キーパーの信助も強烈な頭痛のためにセーブするどころではない。まさにチーム03にとっては絶体絶命の場面だった。

 だがそこでまたもフェイの心に逡巡が芽生える。ゴール前でのキーパーとの1対1のシーン、そこでは苦しむ信助を前にして、その存在を意識せざるを得ない。自分のしていることが本当に許されることなのか……フェイは苦悩のあまり目をつぶってしまう。

 そしてその苦悩をフェイに押し付けている存在であるSARUは変わらぬ表情で、試合が終わる前に信助を、天馬を、チーム03の全選手の頭脳を破壊するよう命じる。その人を人と思わない恐ろしい命令に対しては、さすがのフェイも冷や汗を垂らして即座の遂行をためらう。


 だが再度のSARUからの命令には逆らえない。フェイは意を決したかのように頭(かぶり)を振り、最強レベルの念動波を解き放つ!



フェイ「破壊!!」


 その瞬間、これまで以上の衝撃が天馬たちの脳を襲う。激痛に耐えかねた天馬たちの悲鳴がスタジアム全域にこだまする。これをしばらく受けてしまえば本当に彼らの頭脳は破壊されてしまうだろう。


???「フェイ!」


 誰かの鋭い声がフェイの名を呼ぶ。はじかれたようにその声に反応するフェイ。見ると観客席からこちらを見つめ、必死に声を掛けるローブ姿の男がいた。それは支援者Xだった。



 SARUの指示を聞くなとフェイに言う支援者X。フェーダの協力者であるはずの彼がどうしてSARUの意に従うなと声を掛けてくるのか? フェイはその意外性も相まって、思わずその言葉に聞き入る。



 フェイの集中力が途切れ、破滅的な威力の念動波もその瞬間止む。青い波動が徐々に消えて行き、天馬たちを苦しめ悩ませていた頭痛も収まって行く。

 フェイの行動を阻害した支援者Xの行為を怒りを持って見つめるのはSARUだった。飄々(ひょうひょう)としたいつもの態度は成りを潜め、怒りの形相で支援者Xを睨む。


支援者X「これ以上、フェイに卑劣な真似をさせる訳にはいかない」


 ここに至りSARUを裏切るという行為を、そう理由付ける支援者X。そして改めてフェイにもうこんなことはやめるよう説く。その真摯(しんし)な態度は、成り行きを見守っていた黄名子にも何かを確信させる。黄名子はもしかしたらそのローブに隠された人物の素顔を知っているのかもしれない。

 SARUはあわてて軌道修正しようと図る。テレパシーでフェイにまたも命令を送り始めたのだ。だが支援者Xがそれに割り込むかのように、SARUの言うことを聞くなと強い口調で語りかける。どちらの意見を聞くべきなのか、フェイは頭を混乱させてしまう。



 余談だが、SARU(右)がテレパシーを送るとき、その目がやや赤っぽくなるようだ。


 そこにさらにフェイの混乱に拍車をかけたのが天馬の声だった。フェイが何かの決断を迷っていることをその姿から見てとった天馬は、心配してフェイに声を掛けたのだ。

 自分を気づかう天馬に答えようとするフェイに、SARUは怒気(どき)のこもったテレパシーで命令に服すようプレッシャーをかける。その親友の心を取り戻そうと、天馬はなおもフェイに声を掛けてくる。板挟みとなったフェイはどうすればよいのかを完全に見失ってしまう!

 苦しむフェイを見て、彼の意思よりもSARUの力の方が強いと見てとった支援者X。その時、トーブが棒立ち状態のフェイからボールを奪う。誰もが忘れていたが今は試合中であり、しかもオンプレー中だった。つまりトーブの行為は問題なく、そしてそれは最後のチャンスをチーム03に与えることとなる。

 トーブは天馬にボールをフィードする。天馬はこの試合で勝利してフェイを取り戻すという初心を思い出し、ボールに向けてダッシュする。ガルの側ではローコがそうはさせじとボールに向かう。



 両者が空中で対峙(たいじ)した瞬間、無情にも試合終了のホイッスルが鳴り響く。この試合は2−2の引き分けのまま幕切れとなってしまった……。



 同点のまま試合終了。ちなみにフェーダのチームエンブレムやラグナロクスタジアムの壁面に描かれている鎖状の図は、DNAのらせん状の塩基配列を表現しているものだと思われる。この配列に書かれたデータで生物の遺伝情報というものは決められている。今人類の脅威となっているセカンドステージチルドレンもその遺伝子の一つ、SSC遺伝子が産み出したものである。



 1勝1敗で迎えた第3戦、それが引き分けという結果を迎えてしまったことはその後の展開を定める上で大いに問題であった。トウドウとサカマキの元に、SARUからの連絡が入る。

 試合中にセカンドステージチルドレンが能力を使わなければ、展開上エルドラドチーム03が勝利していた可能性が高い。トウドウは怒りながらその件について抗議するが、もちろんSARUは取り合わない。


SARU「何を言ってるのか、分からないな(笑)」


 これは『悔しかったら証拠を出してみてよ、オジサン』と暗に言っているわけだが、それを証明する手段がないことも分かった上で言っているのだ。どこまでも食えない少年だが、トウドウには憎まれ口を叩く以外どうしようもない。



 フィールドでは呆然とするフェイに天馬が駆け寄るが、その目前でフェイは気を失い、前のめりに倒れてしまう。心配する天馬だが、それ以上の接近を断固拒否すると言わんばかりにガルの他の選手たちが天馬の前に立ちはだかる。彼らにとってもフェイは大切な仲間であり、大事なチームのキャプテンなのだからこの態度は分からないでもない。

 そんな中、いつの間にかフィールドに降り立っていた支援者Xがフェイの元に歩み寄り、フェイを抱きかかえる。その姿は表情が見えないものの、心からフェイを心配しているように見えた。




 SARUはこの結果ではお互いに納得が行かないとして、トウドウたちに改めてもう一試合することを提案する。この試合で約束を破った以上、彼らはまた同じことをするに決まっている。サカマキが警戒を込めてトウドウに忠告する。



 余談だがこの2人、普段はサカマキ(右)が議長であるトウドウ(左)を立てて敬語で話しているが、2人きりの時はタメ口で会話していることにお気づきであろうか? おそらく役職を離れれば2人は親しい友人なのだろう。


 サカマキの忠告にも関わらず、トウドウは再戦を承諾(しょうだく)する。何か対抗策があるのかもしれない。


 トウドウの言質(げんち)を取ったSARUは早速、スタジアムにいる観客全員を証人にするべく、ラグナロク最終決戦を行うことを高らかに宣言する。

 その言葉に天馬は驚くが、試合を途中で邪魔されて消化不良だったザナークは「そう言うと思ったぜ!」と大歓迎の様子だ。お互いに最強のメンバーを擁してさらにもう一戦するというSARUの提案はここに公言された。



 フェーダ側は満を持してSARU自身が率いるチームで決戦に挑むらしい。その名も「ザ・ラグーン」。フェーダ最強のチームだという。なら最初からこのチーム出しとけよ。個人的にはこれまで出て来た個性的な選手をもう一度起用して欲しかったんだけど、SARUの言い方からして全員新顔のイレブンになりそう。メイア(CV:佐々木日菜子)とギリス(CV:江口拓也)のバカップルとか、ぜひもう一回見たかったんだけどなぁ。


 最強の敵チームの登場宣言に、トウドウも自軍の最強メンバーを招集して対応するようサカマキに命じる。

 翌日の決戦を告げ、SARUはその場を去る(シャレ)。残された天馬は気持ちを引き締め、おそらく自らがキャプテンとして戦うことになるであろう明日の最終決戦に思いを馳せる。


 だがすぐに大事なことを思い出す。倒れてしまったフェイのことだ。見るとフェイは支援者Xに抱きかかえられたままフィールドを離れようとしていた。待って欲しいと声を掛ける天馬に向き直った支援者Xは優しい口調で、フェイを救うことが自分の役目なのだと告げる。



 ちょっと不謹慎だけど、気絶したフェイはかわいい。狂乱して天馬たちを苦しめていた先程までのフェイの姿が嘘のようだ。


 天馬を心配させないように語った支援者Xだったが、やはり天馬は心配だったのだろう、エントランスに続く通路を行く支援者Xの後を追って行く。そして葵とワンダバもその後を追う。

 フェイを心配する気持ちは他のメンバーも同様だ。フィールドのチーム03、そして観客席のチーム01、02の選手たちがフェイの運び込まれたエントランスに向けて急行する。



 天馬が駆けつけた時、フェイはエントランスの椅子に横たえられていた。そしてSARUを公然と裏切った支援者Xはもう隠し続ける意味は無いと判断したのだろうか、目深(まぶか)にかぶっていたローブを脱ぎ去り、その素顔を天馬たちに見せる。

 フェイが目を覚ました時、その前にはフェイを心配そうに見つめる男性の姿が目に入って来た。見覚えがないような、それでいてどこか懐かしいその表情……。

 名を問われた男性は、自らをアスレイ・ルーンと名乗る。ルーン? その姓は、フェイと同じものだ。ということは……



 アスレイ・ルーン(CV:家中宏)。フェイの父。髪の色や目つきなどがフェイとよく似ている。フェイは父親似だと言えるだろう。『劇場版イナズマイレブンGO 究極の絆グリフォン』でその存在は伏線的に説明されていた。


 フェイの父親だと語るアスレイの言葉はその場にいる全員を驚かせる。中でも一番驚いたのは、もちろん父だと聞かされたフェイ自身である。

 呆然と自分とよく似た顔を持つ男性を見ていたフェイは、天馬から「本当にお父さんなの?」という質問を受けて我に返る。その表情には見る間に嫌悪(けんお)と怒りの意思が満ちてくる。


フェイ「なぜ、ここに居るの……?」


 肉親との久しぶりの再会の第一声とはとても思えない冷たい口調。それは父から見放され、捨てられたという思いで一杯のフェイが目の前の男性を敵視している証左でもあった。

 そのフェイの思いはアスレイにも伝わる。不信感を隠さない息子に心を込めてその理由を説明しようと心を砕く様子が窺(うかが)える。


アスレイ「お前を見守っていたかったんだ……」



 だがフェイはその言葉を端(はな)から信じてはいなかった。今更名乗ってどうするのだと吐き出すように言い放つ。目を合わせようともせず自嘲気味(じちょうぎみ)な笑みを浮かべる息子の姿は、アスレイを悲嘆(ひたん)させる。


 アスレイは正体を明かしてから初めて語気を強めてフェイの名を呼ぶ。だがフェイは今日は自分を助けたいという気分になったから助けたのだろうと、アスレイの親心を突き放す。


フェイ「あなたは僕を捨てたんじゃなかったの?」


 フェイが父親に捨てられたという話は天馬以外のみんなに驚きを持って受け止められた(天馬は恐竜時代編でそのことを前もって知っていた)。父を「あなた」と他人行儀に呼ぶのは、よほど捨てられたという恨みが強いことの裏返しだ。

 フェイのセカンドステージチルドレンとしての能力を恐れてアスレイはフェイを捨てたのだと、彼の記憶ではそういう結論になっていた。その言を否定するアスレイに対し、フェイは「ではなぜ僕を一人ぼっちにしたんだ!?」と追求する。

 アスレイはそのことについては申し訳なく思うのだろうか、言葉を途切らせてしまう。沈黙が場に重くのしかかる。ややあってアスレイは正直に、自分のエルドラドでの地位が失われてしまうことが怖かったのだと語る。

 セカンドステージチルドレンの排除を唱えるエルドラドの幹部として、その血の繋がった息子がセカンドステージチルドレンであるということはその立場を微妙なものとすることは確実であったであろう。

 またエルドラドの追撃からフェイを救うためにもフェイを手放さざるを得なかったと、アスレイはその辛い心情を語る。そして一度はフェイを捨てたものの、心配だったアスレイは今度はエルドラドの地位を捨て、支援者Xという存在となりフェイを見守るためにフェーダに入ったと説明する。

 だがその独善的(どくぜんてき)な説明はかえってフェイの心を深く傷つけるものでしかなかった。フェイの表情が嫌悪から憎悪(ぞうお)に変わる。



 アスレイの釈明を聞き、フェイが下した結論。それはもう遅すぎるということだった。フェーダを離れるようにと差し伸べたアスレイの手を露骨に避(よ)け、フェイはアスレイに従わないことを態度で示す。

 アスレイはSARUの危険性を説き、このままではSARUの邪悪な心に取り込まれてしまうと懸命にフェイを説得する。それでも父の忠言に耳を貸そうとしないフェイに、天馬は気後れがちに「お父さんの話を聞いてみよう」と忠告する。

 「お父さん」という言葉は今のフェイには何よりも禁忌(きんき)な言葉だった。激昂したフェイは涙を浮かべて天馬に黙るよう告げる。友の涙を見て、天馬は想像以上に深く傷ついているフェイの心情を垣間見た思いで口を閉ざす。


 そこに強い口調で割り入ってくる声がする。その声の主は黄名子だった。


黄名子「フェイ! なに聞き分けのないこと言ってるやんね!」


 まるで聞き入れない子供を叱る母親のような口調でフェイにまくし立てる黄名子。意外な人物の意外な態度にやや呆気にとられていたフェイは、部外者の黄名子にそんなことを言われる筋合いはない、余計なお世話だと返す。



フェイ「黄名子には関係ないことじゃないか!!」
黄名子「関係あるやんね……」


 黄名子は拳を握って何かを決心した。彼女はついにこれまで秘めて来た最大の秘密を明らかにする!


黄名子「フェイは、ウチの子供やんね!」



一同「えええええ〜〜っ!?」



 同齢にしか見えない黄名子が自身をフェイの母親であると言う。だが彼女の真剣な眼差しはそれが冗談ではないということを示していた。果たしてその言葉の真意とは一体どういうことなのだろうか? 驚愕の真実の解説は見逃すわけにはいかないだろう。



 待ち遠しい次回に続く!



  エンディング




 今回はやっぱり前々回と同様、欝(うつ)になる回だった。フェイの心の傷の深さを表現するためには避けられない描写だったとはいえ、こういう展開が続くのは観ていて辛い。今回はSARUに洗脳されたような状態だったとはいえ、天馬たちを殺そうとしたわけだし……。ちょっとヘビー過ぎる内容だった。感想を書く方もやっぱり本編の雰囲気に気分が左右される面は大きいわけです。


 支援者Xの正体がフェイの父であったことは予想の範囲内だったし、黄名子がフェイの母親であったこともついに本人の口から語られることとなった。「黄名子は中学生なのに一児の母とか言ってしまって良いのか?」とか「それを言われたアスレイさんの立場は? 中学生の嫁なんてセカチルの息子がいることよりも立場なくなるんじゃないの?」とか誰もが思うことだと思うんだけど、その辺の詳細には私も興味津々だ。次回はシリーズに隠された謎や伏線が次々と回収されて行く回収回になりそう。


 1勝1敗1引き分けで、SARUが登場するという展開も予想通りだった。本文でも書いたけど、SARUは部下を使って楽しようとしないで自分の子飼いの最強のチームを最初っから出しとけと。ギルかガルの代わりに出しておけばラグナロク本戦で勝負はついていたはずなんだよね。まだ顔出ししかしていないヴァンフェニー・ヴァンプ(CV:笹沼尭羅)とガルシャア・ウルフェイン(CV:関智一)も敵選手として出てくるのかなぁ? アニメだとその辺の融通も利かせるかもしれないね。


 次回がとても気になる引きだったのだけど、殺生(せっしょう)なことに次週の放映はお休みだ。次回は再来週の4月3日の放映となる。



 アスレイがフェイの父、そして黄名子が母とすると、この2人は夫婦であるわけだ。黄名子がどうして過去の世界にやって来たのか? そして息子であるフェイと同じぐらいの年齢でやって来た理由は何なのか? その辺の真実が次回で明かされることになるのだろう。



 次回のタイトル、これから推察されることは11人の時空最強イレブンが集結するということ。つまりフェイがこちら側に復帰するということだろう。よく見たらフェイの姿もあるし(笑)。アスレイと黄名子の説得が上手く行くんじゃないかと思う。どんな形であれフェイが戻って来ることは大歓迎。天馬たちがフェイを赦(ゆる)すことが前提だけど、この図を見ればそれはまったく心配するには当たらない、杞憂(きゆう)であると思われる。



  次回「集結!時空最強イレブン!!」に続く。



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