衆議院選挙は自民党圧勝、民主党政権終了 【大物議員相次ぐ落選】

 この国の将来を決めるための総選挙が12月16日行われた。結果はご存知のとおり、与党の民主党議席を4分の1に減らすという大惨敗を喫し、連立を組む国民新党と合わせ、8人もの現職閣僚が落選するという厳しい国民の審判が下った。

 一方で2009年の総選挙で惨敗し野党だった自民党公明党両党は議席を伸ばし、3年3ヶ月を持って政権は再び自公両党に委ねられることになった。


自公圧勝、325議席=全議席が確定【12衆院選
時事通信 12月17日(月)6時30分配信

 16日に投開票された第46回衆院選は17日早朝、全480議席が確定した。自民、公明両党で325議席を獲得し、衆院で再可決が可能な3分の2を上回る議席を確保し圧勝。これに対し、民主党は57議席と惨敗した。国政選挙に初めて臨んだ日本維新の会は54議席を得て第3党となった。
 自民党小選挙区で、2009年の前回選挙の64議席から3倍以上となる237議席に伸ばした。小選挙区では05年の郵政選挙で得た219議席を超え、過去最多。青森、新潟、石川、高知など19県で全議席を独占した。比例代表も前回の55議席を上回る57議席を獲得した。
 民主党は壊滅的敗北を喫した。小選挙区27、比例30の計57議席で、公示前の230議席から4分の1に激減した。小選挙区では、自民党に全議席独占を許した19県のほか、北海道、大阪、福岡など10道府県で公認候補が敗退した。
 「第三極」勢力では、維新が14小選挙区で勝利。このうち地盤とする大阪が12議席を占めた。比例も40議席と躍進した。一方、日本未来の党議席を大幅に減らし、小選挙区2、比例7の計9議席と低迷した。
 公明党小選挙区に擁立した9候補が全員当選。比例でも22議席を獲得し、公示前の21議席から05年時の31議席に戻した。みんなの党小選挙区4、比例14の計18議席で、公示前から倍増。共産党は8議席社民党は2議席にとどまった。国民新党新党大地は1議席ずつを得たが、新党改革新党日本議席を得られなかった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121217-00000069-jij-pol

  • 読売新聞より引用

首相「迷惑かけた」と陳謝…8閣僚落選の閣議

 政府は18日午前、衆院選後初めてとなる閣議を開き、全閣僚が出席した。

 選挙に臨んだ12閣僚のうち、現行憲法下で最多の8閣僚が落選したこともあり、野田首相は「本当に迷惑をかけた」と陳謝したという。

 閣議後の記者会見では、落選閣僚から、年内解散に踏み切った首相への“恨み節”が相次いだ。

 田中文部科学相は「(首相の)独りよがりだ。政治がわからないというか、ラック・オブ・イマジネーション(想像力の欠如)だ」とこき下ろし、国民新党の下地郵政改革相も「(2012年度補正)予算を通し、税制改正を終わらせた後に選挙をすれば(よかった)。『近いうち』という言葉にあまりにも重みを置きすぎた」と苦言を呈した。
(2012年12月18日13時16分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news/20121218-OYT1T00525.htm?from=ylist

 自民党小選挙区で他党を圧倒し選挙前の118議席から294議席へと3倍近い大幅増となった。公明党は前々回持っていた31議席を取り戻し、他に勝利したと言えるのは倍増したみんなの党と、新党として54議席を得た日本維新の会というところだろう。

 民主党内の小沢一郎派と言える議員が出自を隠す目的で加わった日本未来の党民主党同様大惨敗し、たった9議席共産党と第6党を争うという体たらく。やはり有権者はその辺にだまされなかったと言えそうだ。


 このブログを開始して以来、一貫して民主党政権を批判し続けてきた私にとっては久々に溜飲が下がる選挙結果だったのだが、これまでの3年あまりでやらなければならないことを放置して、やってはならないことをやり続けたのは民主党政権であったわけで、57議席と壊滅的な打撃を受けたとはいえ、今までを思えばこれでも議席を取りすぎだと思えるぐらい。もっと減らしても良かった気がする。

 ただ今回の選挙の象徴的事例というか、日本をここまで落ち込ませてしまった要因たる政権担当者であった現、元閣僚たちが続々と落選したというのは嬉しいニュースだ。その点でも有権者は冷徹かつ的確な判断をしたと思う。


  • J‐CASTニュースより引用

菅前首相、藤村官房長官田中真紀子文科相、仙谷元官房長官、原口元総務相… 民主閣僚・大物が小選挙区で相次ぎ落選

沖縄・普天間基地問題や消費税増税…。民主党政権によるマニフェスト違反などへの有権者の厳しい審判は、前首相や現職閣僚、閣僚経験者ら「大物」をものみ込んだ。2012年12月16日投開票された第46回衆院選では、民主前職の菅直人前首相や藤村修官房長官らが反民主の逆風にさらされ小選挙区で敗れた。

文部科学相田中真紀子氏(新潟5区)、元官房長官仙谷由人氏(徳島1区)らも自民候補に及ばなかった。ただ、惜敗率が低い田中氏や仙谷氏を除いて、他の候補は比例復活当選の可能性を残してはいる。

「田中王国」崩壊

原発ゼロを目指す」――。菅前首相は選挙期間中、1日30か所以上で街頭演説を繰り広げ、原発問題に絞って有権者に訴えた。しかし、支持者がビラを配っても受け取りを拒否する有権者も目立つなど、終始苦戦が伝えられていた。

藤村官房長官は公務で地元回りができず、北朝鮮のミサイル発射を巡る失言などが響いた。現職の官房長官の落選は初めて。

田中真紀子氏は危機感あふれる選挙戦を展開したが、後援会組織が高齢化したせいもあり、父親の角栄氏が築いた「田中王国」を守れなかった。夫の田中直樹氏の防衛相辞職や自らの大学不認可騒動などもマイナスに働いた。

内閣の中枢で存在感を発揮し、一時は「影の総理」といわれた元官房長官の仙谷氏も反民主の風をもろに浴びて、自民党候補に敗れた。今回は選挙区に張り付き「どぶ板」で支援を呼びかけたが、自民の新人福山守氏に及ばなかった。

このほか、現職閣僚では5期目を目指した城島光力財務相(神奈川10区)、樽床伸二総務相(大阪12区)らが落選し、小宮山洋子厚労相(東京6区)、原口一博総務相(佐賀1区)、鹿野道彦農水相(山形1区)、松本龍元復興相(福岡1区)らも苦杯を喫した。

http://www.j-cast.com/2012/12/17158370.html

(赤字は引用者)



 かつては首相を務めた菅直人ですら落選したというのは象徴的だった(残念ながらと言おうか、比例で復活)。その前の首相の鳩山由紀夫は選挙に出ることすらせずに事実上、有権者の審判から逃げた。

 また現職の官房長官である藤村修の落選もすごい。官房長官というのは内閣のスポークスマンとして毎日定例の記者会見を行うわけで、その顔はニュースなどで毎日お茶の間に流される。それだけに知名度は抜群で、普通は選挙で落ちることなどありえない。

 ところがそのまさかが起こったのが今回の総選挙だった。現職の官房長官が落選するというのは民主党政権に対する有権者の怒りが如何に強かったかの証でもある。



 落選した藤村修氏。まぁ選挙戦の期間中にこんなことを平気で言うんだから、落選して当然とも言える。このバランス感覚のなさは政治家として致命的だろう。こちらは比例で復活もできず、このままフェイドアウトすることとなる(ざまぁ)。



 上記記事中でもトピック的に取り上げられているのが田中真紀子の落選だが、これは他の地域に住む人間にとっては当たり前の感覚なのだが、真紀子氏の選挙区は父親の田中角栄氏の頃からの圧倒的な選挙地盤で、なかなか落選させるのは難しいと思われていた。それだけに民主党の落日を証明することとなった。

 (ロッキード事件など問題も多かったが)政治家として優秀だった角栄氏を父に持つという以外なんの取り柄もないうるさいおばさんが落選するのは国益にも資する。父が切り開いた日中関係のせいか、真紀子氏は中国べったりだったからだ。新潟5区有権者の皆さんには敬意を評したい。



 落選して支持者に頭を下げる田中真紀子氏。解散直前の大学許認可問題で目立とうとしたことが却って支持を失わせるポピュリズム的態度だったと思われる。まぁ何と言うかこの人はポピュリズムの権化で、アクの強さ、ガラガラ声など角栄の悪いところだけを受け継いだ人というのが印象。敗戦の弁でも解散した野田首相が悪いと恨み節を述べ、反省の色なし。この方も比例復活なしで国会を去る。復活させてはならないと思われ。



 落選議員の話はどれもメシウマで一人につき1記事ぐらいで取り上げたいのだけど、とりあえず今回私が一番快哉を叫んだのが福岡1区で松本龍・元復興担当大臣の落選の報だ(比例復活もなし)。



【関連記事】

  • 上記記事より引用

(前略)

 サングラス掛けて世間を舐めきった会見をやった段階で、おそらくこういう輩だろうな、と思っていた当方の予測よりも一層斜め上の経歴だった。選挙区は福岡1区だそうで、こんな人がよくも7回も当選しているものだと呆れる気持ちを持たれる方も多いと思う。

 だけど、こういう人は実は選挙が圧倒的に強い。祖父の代から地元でゼネコン(松本組)をやっているという事で土建業票を持っている。同じく祖父の代からの同和の票も当然確保しているし、労働組合票もある。つまり左派利権でガチガチの議員という訳だ。

 表向き人権をちらつかせた暴力と利権の支配に、地元では県会議員も福岡県知事も逆らえず、選挙では一斉に松本氏を応援するらしい。だから宮城県知事や岩手県知事に対してあんなに尊大で無礼にふるまえたのだろう。知事なんて、自分に従って当然だと思っているのだ。

 でももうこんな人は御免だと思う福岡1区の人も多数いるはずだと思う。直近の選挙で民主党の応援をした人で、よく考えずにこの人に投票した人は恥じて欲しいと思う。そして二度とこんな人を当選させないで欲しい。浮動票さえ与えなければ、対立候補が勝てる余地は大いにあるはずだ。

(後略)


 この時に書いたとおり、福岡1区の有権者は見事にこの男を落選させて、対立候補を国会に送り出すことに成功した。人権救済法案の成立を図る部落解放同盟の重鎮だったという松本龍氏を国政の場から排除したことはもちろん国益に適う。

 左翼利権的な旧型国会議員の代表格であるこの人物を落選させ、国会という議会制民主主義の場から退場させたのは古き悪しき選挙が成立しなくなったと言えるわけで、その影響は極めて大きいと思われる。以後はこういう人物を二度と当選させてはならないだろう。



 3年あまり続いていた日本の憲政史上ワーストとして残り続けるであろう暗黒時代は終わった(日本の歴代首相でアホだったワースト3人がここで誕生した)。

 だが政権交代をもって目的を果たしたというわけではない。実はここからが日本再生への出発点なのだ。経済、外交、震災からの復興、莫大に膨れ上がった国の借金など民主党が放置していった難問が山のように眼前にゴロゴロと転がっている。

 次期自民党政権がその解消にあたるわけだが、その行為を行うあいだにはどうしても最初の理念とは違うこともしなければならない時が来るだろう。それをもって「自民党有権者を裏切った」と批判することはなるべくなら避けたい。

 一度民主党を選び、今度また自民党を選んだ有権者の責任というものも存在するということを忘れてはならない。私たちは選択したということで、いわばその時その時の政治に応分の責任を負うのだ。権利には責任が伴う。「有権者」とは「有責者」でもあるということを胸に刻んで、これからの日本の運営を見守る義務がある。



 それでも自民党があまりにもダメだったとしたら、その時は批判し、次の選挙で審判を下せば良い。私ももちろんそうするつもりだ。私にとって守るべき大事なものは日本という愛する祖国であり、自民党ではないからだ。自民党という党も私にとっては国を良くするための手段であり目的ではない。自民党は今回の大勝に奢らず、国民のための政治を行って欲しい。



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