『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第32話「見たか!恐竜の王!!」の感想 【戦慄のパーフェクト・カスケイド!】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第32話「見たか!恐竜の王!!」を観ての感想を書く。恐竜時代のお話とあって、内容がどんどん本来のサッカーアニメから遠ざかっていくような気もするが、一応試合のシーンもあるぜよ。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第31話「恐竜時代へGO!」の感想 【恐竜時代編突入!】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

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 サッカーを守るため時空最強イレブンの能力を求める松風天馬(CV:寺崎裕香)たち雷門の一行は、7の力「自由自在に空間を活かす、空を制するフライングディフェンダー8の力「太古の力を宿し、その牙の力は海を割るダイナミックミッドフィルダーという条件を満たす存在として太古の生物、恐竜をターゲットとすることとなる。

 6805万年前の白亜紀後期にタイムジャンプした一行は、そこで不思議な少年・トーブ(CV:ゆきじ)に出会う。恐竜時代には人類が存在するはずはなく、彼の存在はどう考えてもイレギュラーなものであった。


 その時代に詳しいトーブは、強い恐竜に会いたいという天馬たちの条件に適(かな)う恐竜としてその辺りを仕切るボス的恐竜「ロックスター」の名を挙げる。

 ロックスターが棲(す)むという「獣の谷」の洞窟を目指す一行だったが、そこにはエルドラドから送り込まれたルートエージェントのレイ・ルク(CV:河野裕)が先着していた。彼はプラン14(フォーティーン)という謎の計画に従い、巨大な恐竜を前にその任務を果たそうとする。


 洞窟に怪しい閃光が迸(ほとばし)る。



   オープニング



 一方の天馬たちは獣の谷の悪路に悪戦苦闘していた。その名のとおり、獣道(けものみち)と呼んでも良い道なき道を、野生児のトーブは軽く飛び抜けていく。だがそんな芸当、現代っ子の天馬たちに真似ができるはずもない。 疲れを見せないトーブの様子に、皮肉屋の狩屋マサキ(CV:泰勇気)は呆(あき)れた表情でグチる。


 狩屋「疲れってもんを知らないのかよぉ……」



 特にこういうのが苦手そうなのがクマ型ロボットのクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)だ。空野葵(CV:北原沙弥香)、瀬戸水鳥(CV:美名)、山菜茜(CV:ゆりん)といった女子マネージャーたちに助けを借りつつ、足手まといっぽい。ぬいぐるみに見えて中身は機械だろうから重いんだろうな……。


 幾多の障害を乗り越えて、やっとロックスターの洞窟にたどり着いた。今知られる最強の恐竜と思われるティラノサウルスを超える強さを持つとトーブが言うロックスターのオーラを何としても獲得することが今回の旅の目的だ。霧野蘭丸(CV:小林ゆう)と神童拓人(CV:斎賀みつき)はその目的を確認しつつ、洞窟に足を進める。


 洞窟の前でトーブがそこの主(あるじ)であるロックスターに声を掛ける。それに呼応するかのように大きな咆哮(ほうこう)が轟(とどろ)き、地響きを立てて何かが近づいてくる。天馬たちに緊張が走る。見たこともない巨大でパワフルな恐竜(おそらく肉食)がそこにいて、こちらに向かって来るのだからその恐ろしさもよく分かる。

 洞窟内から現れるという予測に反し、横の岩陰から巨大な青い恐竜が姿を現す。それこそがロックスターだった。トーブたちの姿を認めたロックスターは一際大きな声で咆吼し、あろうことか天馬たちを踏みつけようとする!



 ロックスターの突然の攻撃に驚く一行……なんだけど、ワンダバ、ドサクサで葵ちゃんのどこを触ってるんだよ!?


 トーブからは友達だと聞かされていたのに、これでは話が違う。トーブは怒ってロックスターを止めようとするが、ロックスターは聞き入れようとしないどころか、今度はトーブを尻尾で攻撃する。その様子を洞窟内から不安そうに見つめる小さな恐竜がいた。

 ロックスターはまたも天馬たちに狙いを定めて踏みつけようとする。獲物を捕まえようとする凶暴な肉食恐竜そのものの行動に、もはや逃げるしかない!

 その姿はトーブのよく知るロックスターのそれではなかった。「ロックスターは友達を襲ったりするような奴じゃない!」と力説するが、現状その言葉を信じる訳にはいかない。

 トーブはやおら身体をかがめ、手足をばたつかせる。すると彼の背中からオーラが発生し始め、それは古代の獣人(じゅうじん)のような姿でトーブの背後に固定される。これは……化身!?



 天馬「化身が使えるのか!?」


 トーブが化身使いだったということに驚く一同。サッカー選手ではないのに化身を現出させた例としては三国志時代の諸葛亮孔明(CV:沢海陽子)がいたが、トーブはその2例目になる。

 トーブは化身を出したままロックスターに向かって突進する。化身でロックスターを止めるつもりなのだ。



 ロックスターの動きを止め、トーブは落ち着かせようと説得を開始する。だがロックスターはそれを物理的にはねのけ、トーブは岩壁に激突してしまう。

 興奮したロックスターであっても、いつもなら化身で制御することが出来たはずなのに、今回はそれが上手くいかない。トーブはロックスターの異変に気づいたものの、どうしようもない。


 だがそこで剣城京介(CV:大原崇)が語気強く宣言する。


 剣城「俺たちに任せろ!!」


 そしてサッカーボールを構え、天馬、雨宮太陽(CV:江口拓也)と共に駆け出す。呆然とそれを見守るトーブ、剣城が足で巧(たく)みに操る白黒の球に興味を示す。



 そのサッカーボールでロックスターを制しようというのだ。剣城から天馬にパス、天馬から太陽にパスが送られる。獲物を追う習性から、それらを目で追ってしまって立ち止まるロックスター。

 太陽からパスを受けた剣城は、空中でボールに回転を加え、かかとで中空に高く舞いあげる。これは彼の必殺シュート「デスドロップ」への布石だ。

 必殺シュート「デスドロップ」を脇腹に受けたロックスターは、その身体から一瞬黄色いオーラを飛ばす。おそらくそれがロックスターを暴走させる素因になっていたのだろう。黄色いオーラを放出させたのち、暴れるのを止め、すっかりおとなしくなってしまう。


 自分でも止められなかったロックスターをおとなしくさせてしまった剣城たちの行動を問わずにはいられないトーブ。その「サッカー」という名称を聞き、たちまちその魅力に取り込まれてしまう。またも嬉しい時のウホウホダンスを踊り始める。


 葵「でも、何があったのかな?」


 (トーブが言うには)本当は優しいはずのロックスターがこうも暴れてしまうのには何か訳があったのではないかと葵は思ったのだ。トーブは恐竜語でロックスターに問いかける(すげえ、バイリンガル(二カ国語)だ!)

 トーブの通訳によると、変な奴がやって来て、サッカーボールに似たものをぶつけられたという。それは歴代のルートエージェントが使用していたスフィアデバイスであることに間違いない。すぐにそのことに思いが至った神童は、それでロックスターを洗脳したのだと見当を付ける。

 そう語ったロックスターだが、直後に力なく肩を落とし、身体を震わせる。それを見てとった菜花黄名子(CV:悠木碧)は、ロックスターが弱っていることに気付く。

 トーブはロックスターがもう長く生きられないと言っていると通訳する。つまり寿命により生命力が尽きようとしているらしい。それは雷門の一同に大きな衝撃を与える。



 幕末編でも命が尽きようとしていた沖田総司(CV:梶裕貴)との出会いがあったし、時空最強イレブンを求めての旅は結構ヘビーな展開が多い。


 その事実を知り、恐竜大好きの西園信助(CV:戸松遥)が何とかならないのかと悲鳴のような声を挙げる。だがトーブは達観したかのように、仕方ないと告げる。命あるものは必ず死ぬ。


 トーブ「それが万物の掟(おきて)だ……」


 トーブは天馬たちと同じぐらいの年齢にもかかわらず、そう割り切っていた。過酷な弱肉強食の恐竜時代に生きるトーブにとって、それは悲しいが避けることが出来ない自然の摂理であることに気付いているのだろう。おそらく彼は今までに何度も他の生き物の命を看取(みと)ってきたのではないだろうか?

 ロックスターもそのことは覚悟しているのだろう。ただ心残りの面を友人であるトーブに託(たく)すつもりでいた。それはロックスターの子ども・ビッグのことであった。

 可愛らしい鳴き声が聞こえてくる。見ると洞窟の中からロックスターと同じ色の小さな恐竜が顔を覗かせていた。ロックスターが暴れている時に不安そうに見ていた、あの恐竜だ。それこそが件(くだん)のビッグなのだろう。



 ビッグ(CV:不明)。性別不明。男の子だと思うのだけど、ロックスターがメスだったという驚愕の事実を考えるとうかつには断言できない。ビッグという名前だがまだ小さい子ども。ただ小さいと言ってもそれは恐竜基準で、天馬たちより大きかったりする。天城大地(CV:奈良徹)と互角ぐらいか?


 ビッグは母であるロックスターに甘えるように頬ずりする。ロックスターとしては可愛い子どものビッグが一人前になる前に自分の命が尽きてしまうことが心残りなのだった。

 ワンダバはそういう恐竜の家庭事情に興味がないのか、ロックスターが弱っている現状ではそのオーラをいただくことが出来ないと事務的に語り、水鳥の怒りを買う。


 そこにまたも大きな咆哮が轟く。見ると土煙を上げてこちらに向かってくる大きな恐竜の姿があった。それはトリケラトプスの「デスホーン」だった。トーブはデスホーンが獣の谷の暴れん坊であることを天馬たちに教える。弱ったロックスターを襲い、ボスの座を奪おうとしているのだ。

 ロックスターはビッグを守るためもあって、その挑戦を受けて立つ。弱っている状態で戦うのは無謀とも思われたのだが、子供のためにその命を張る姿は立派だった。


 黄名子「子供を守るのが親の役目!」


 フェイ・ルーン(CV:木村亜希子)が心配そうに見つめる中、黄名子がそう言ってロックスターに加勢しようと天馬に声を掛ける。そして天馬、神童、蘭丸、狩屋、錦龍馬(CV:岩崎了)と連れ立って飛び出し、デスホーンの前に立ちはだかる。

 さっきの時のようにサッカーボールを駆使してデスホーンを止めようというのだ。神童から送られたボールを勇躍蹴りつける黄名子。それは見事に命中するのだが、デスホーンはより怒りを募(つの)らせて向かってくる。その程度の攻撃では退(しり)けることが出来ないのだ!

 果敢にパスをつないでさらなる攻撃のチャンスを図る黄名子たち。そのパスワークはまたもサッカーを知らないトーブを魅了(みりょう)する。

 天馬から送られたパスを、久々の必殺シュート「フォルテシモ」につなげる神童。その強烈なシュートはデスホーンの顎(あご)をえぐる。しかし何というタフネス! デスホーンはそれでも怯(ひる)まず、ロックスターの弱点であるビッグの姿に狙いを定める。



 間一髪のところでその突進を阻止したのはロックスターだった。最後の力を振り絞り、デスホーンに対峙(たいじ)する。そしてデスホーンを押し倒し、ようやくその乱暴者を退けることに成功する。


 だがそれはやはり最後の力だったのだ。デスホーンが去った後、その場に崩れ落ちるロックスター。ビッグが悲しげな声をあげて寄り添うが、朽木(くちき)のように力なく倒れたその巨体が再び起き上がることはもはや無かった……。

 最後にビッグのことを頼むとトーブに言い残し、ロックスターは静かにその目を閉じた。



 ビッグの泣き声がその永遠の別れを一層悲しいものにしていた。信助も泣き出しそうな表情でその死を悼(いた)むが、トーブはまたも仕方がないと気丈(きじょう)に言い放つ。トーブにとっても友達のロックスターの死が悲しくないわけがない。だがビッグを一人前にするよう託された立場の彼としては、安易に感傷に浸(ひた)るわけにも行かなかったに違いない。


 夕日が西に傾(かたむ)く頃、トーブはこらえていた涙を流して岩で覆われたロックスターの墓に向かってその思いの丈(たけ)を叫ぶ(ここで夕闇が迫る描写は、巨大なロックスターの墓を作るのに時間が掛かったということが暗示されている)。



 友の死を「万物の掟」と達観したように突き放していたトーブも、それがただの強がりであり、本当は耐えられないほどの悲しみを抱いていたことがよく分かるシーン。


 友の死を悼んだトーブは、天馬に向き直りサッカーを教えてくれるよう頼む。牙も爪も持っていない彼がビッグを守るためには、強くならなければならない。そしてそのために恐竜を御したサッカーを教えて欲しいと言うのだ。

 トーブの真剣な眼差しを受けた天馬は、その申し出を受ける。



 すっかり暗くなった頃、トーブの自宅に帰ってきた一行は翼竜ケツァルコアトルス=トーチャンの出迎えを受ける。連れてきたビッグを今後は自分が面倒を見ると紹介し、さらに明日からはサッカーをすると嬉しそうに語るトーブ。ビッグを勇気づけようという意識も働いたのか、いつも以上に陽気なトーブだったが、肝心のビッグは親を失った傷心のためか、元気がない。


 眠りについた一同。トーブの寝言に目を覚ましたフェイは、ビッグの姿が見当たらないことに気付く。ビッグは少し離れた見晴らしの良い崖上に佇(たたず)んでいた。フェイは思わずその後ろ姿に声を掛け、その傍らに座り込む。

 喉(のど)の渇きを覚えて起きた天馬は、崖の上にいるビッグとフェイに気付き、そちらへ向かう。


 フェイは親を失い、一人ぼっちになってしまったビッグに語りかける。



 フェイ「(キミは)僕と一緒だ……」


 フェイは自分と同じ境遇のビッグに、自らの悲しい過去を語り始める。フェイの両親は彼を置いて出て行ってしまったというのだ。これまで語られなかったフェイのその意外な過去に、結果的に立ち聞きしてしまった天馬は大いに驚く。

 捨てられた側のフェイにその真意は分からないが、多分自分のことが嫌いだったのだろうとフェイは語る。冷静な口調だったが、それだけになおさら彼の感じた辛(つら)さや悲しさが伝わってくる。

 フェイはビッグの母親(ロックスター)はそうではなかったことを告げ、きっと天国で見守ってくれていると励ましの言葉を掛ける。ビッグは逆にフェイを心配するかのように一声、吼(ほ)える。

 フェイは笑顔で何でもないと返し、ビッグもその笑顔につられて笑みを浮かべる。その健気な姿は天馬に感慨を抱かせる。しかしそこで天馬がいるということをフェイが気付いてしまう。

 天馬は立ち聞きしてしまったことを詫(わ)びるが、フェイは隠しておきたかった秘密を聞かれてしまったことが堪(た)えられなかった! 口を閉ざして天馬から目を背(そむ)けてしまう。



 天馬「フェイ……」


 そのあらゆる釈明を受け付けようとしないフェイの頑(かたく)なな表情……それは出会って以来ずっと仲が良かった天馬とフェイ、両者の間に生じた最初の溝(みぞ)だった……。





 映画CMのワンシーン。天馬と剣城の必殺技「ファイアトルネードDD(ダブルドライブ)」に黄名子を加えた、三位一体(さんみいったい)の必殺技「ファイアトルネードTC(トリプルクラッシャー)」の勇姿。




 翌日、川沿いの広場で天馬たちにサッカーを教わるトーブの姿があった。剣城が天馬に送ったパスに飛びついて足でキャッチするというスーパープレーを事もなげにやってみせるトーブ。さすがは恐竜時代の大自然で鍛えられた野生児の身体能力、それにはサッカー経験者の雷門の一同も舌を巻く。

 始めたばかりのサッカーが楽しくて仕方がない様子のトーブは、ビッグを伴(ともな)ってぐるぐるとその場を走り回る。楽しくて身体を動かしたくて堪(たま)らないのだろう。

 その姿を見ながら、フェイはミキシマックス候補だったロックスターに代わる別の恐竜を見つけないといけないとワンダバに語る。ワンダバはデスホーンがそれに当たるのではないかと返すが、ロックスターを死に追いやった悪い恐竜だったことを葵に指摘されてしまう。



 葵ちゃんに叱られてタジタジのワンダバ。それを見る茜ちゃんの、ワンダバを軽蔑しまくった冷ややかな視線がとても印象的(笑)。


 そんな雰囲気を一掃する勢いで現れたのは、神出鬼没のクロスワード・アルノ(CV:楠見尚己)博士だった。彼はフェイとワンダバに頼まれていた、トーブの調査結果を伝えにやって来たのだ。


 そして同時刻、エルドラド本部の円卓議場でもトーブの調査報告が為されていた。それによると、トーブは彼らとほぼ同時代の人間だという。タイムマシンが発明されてすぐの時代、まだ未熟なタイムジャンプの技術のせいで事故が多発していた。トーブはまさにその事故の被害者であり、白亜紀の時代に飛ばされてしまったというのだ。

 彼の自宅にあったカプセルはやはり救命カプセルであり、事故に遭(あ)った際、トーブの両親が彼だけは救おうとカプセルに入れて脱出させたものが恐竜時代にたどり着いてしまったというのが真相らしい。



 トーブの入ったカプセルは確かに卵型だもんね。トーチャンは父ちゃんというぐらいだからオスだろうし、卵産んだ覚えはなかっただろうけど、立派に育ててくれたのは優しいな。それにしても赤ちゃん時代のトーブは可愛いな(^▽^)


 そしてトーブが人間の言葉を話せることも理由があった。救命カプセルのモニターから教育プログラムが流されていたらしく、言語など基礎的な教養はそれで身につけたということらしい。



 授乳(じゅにゅう)システムも完備されており、赤ちゃんが飢えてしまうこともない、まさに至れり尽くせりのカプセルだ。トーブが古代に住みながらティラノサウルスという名称を知っていたのも、ここで学習したからなのだろう。


 これが恐竜時代に人間が存在していたという理由の説明だ。筋はすべて通っている。説明を受けたエルドラド議長のトウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)も納得する。



 そしてその説明はまったく同じ形でアルノ博士から天馬たちへも為されていた。トーブが未来の人間だったという事実は天馬たちを驚かせる。現在、時間管理局がトーブの本当の両親を探しているという。

 そんなことも知らずにサッカー遊びに興じるトーブを見つめる一同。だが水鳥が後ろを振り向いた時にはすでにアルノ博士の姿はなかった。いつも通りの神出鬼没さをここでも発揮する。


 トーブが本当の両親に会えるといいねと信助はごく当たり前の感想を述べる。だがそれを受けたフェイの「そうだね」という口調がどこか刺々(とげとげ)しく冷たい口調だったことに気付き、信助は不思議そうに尋ねる。

 何でもないと笑顔を見せるフェイだったが、その原因を盗み聞きしてしまっていた天馬は複雑な表情を浮かべる。


 ???「目標を補足……」


 そこに聞いたことのない声が投げかけられる。あわてて振り向いた一行の背後の高台から、見たことのない坊主頭の少年が無感情な表情でこちらを見下ろしていた。



 レイ・ルク。


 レイ・ルクは持っていた青いスフィアデバイスを起動させ(ムーブモード)、天馬たちをどこかへと誘(いざな)う。包まれた光が去った後、天馬たちは渓谷(けいこく)の四角い空間にワープしていた。何が起こったのか分からないトーブとビッグのコンビは驚きあわてる。

 だが正面にレイ・ルクの姿を認めたトーブは、ロックスターを洗脳した人物が彼であることをにおいで見抜き、敵意を剥(む)き出しにする。ロックスターを死亡させることはレイ・ルクの計画通りであり、それは天馬たちに時空最強のオーラの入手を阻害するためという理由があった。

 ただその行為の顛末(てんまつ)を無感情に話すレイ・ルクの非人間的な態度は雷門の選手一同を不快にする。天馬たちのオーラ獲得を邪魔するためだけにロックスターの死期を早めさせたのだ。その卑劣さはこれまでの敵の誰よりも許せないと思える。ザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)も卑劣だったが、彼の場合、最後は力の勝負で決着をつけるという正々堂々、男気に溢(あふ)れた部分もあったし。


 錦の怒声をものともしないレイ・ルクに歩み寄る壮年の男性の姿があった。その男性、サカマキトグロウ(CV:石井康嗣)は雷門を潰すしかないとレイ・ルクに告げる。そのような意図を持って雷門に近づいてくる者は当然ながらエルドラドよりの刺客(しかく)であるはずだ。

 名を名乗ることをワンダバに求められたレイ・ルクは、やや口角を緩(ゆる)めながら(つまり余裕をもって笑いながら)自らの名前を名乗り、次いでチーム名「パーフェクト・カスケイド」を名乗る。



 パーフェクト・カスケイド!! それこそこの恐竜時代にやってくる前に話題にしていたエルドラド最強のチームであり、最も警戒しなければならない対象のチームである。その最強の敵が前触れもなく眼前に現れたことは、果たしてピンチかチャンスか……?

 強敵には間違いないが、彼らを倒せば円堂守(CV:竹内順子)の奪還もサッカー禁止令の解除も、おおよそエルドラドによって改変された歴史のすべてを取り戻せるはずなのだ。天馬はそれを一気に取り戻すべく意気込む。

 そしてサッカーを覚えたばかりのトーブもこの試合に賭ける思いを吐露(とろ)する。彼にとってレイ・ルク及びパーフェクト・カスケイドは友達の仇(かたき)でもあるのだ。弔(とむら)い合戦に出して欲しいと強く述べるトーブの要望を、天馬は断ることが出来なかった。

 ただその意見が通るということは、誰かが補欠に回るということになる。出番がなくなるのを心配した狩屋があわてて話に加わろうとするが、聞いてもらえず……。


 狩屋「今日のところは譲ってやるか……」

 拗(す)ねる狩屋とそれを見て苦笑する神童。どっちも可愛い(^▽^)



 そして場面はなし崩し的にサッカーバトルへと進行していく。




 恒例の試合開始直前の両チームの布陣。パーフェクト・カスケイドはまたまた新チームなのでレイ・ルク以外は名前を一から覚えていかないといけない。ただ今までと違ってみんな同じ顔してるから区別するのが大変そうだ。システムは前がかりの3−5−2で、キャプテンのレイ・ルクは中央、まさにチームの要(かなめ)の位置にいる。

 方やチーム雷門。こちらはオーソドックスな3−5−2の形態。雷門はこの布陣で決定なのかもしれない。7番の速水鶴正(CV:吉野裕行)がジャンヌ・ダルク編以来、久しぶりにレギュラー。狩屋よりヤバいと思われたポジション死守に成功したらしい。21番のトーブは狩屋がいつも担当する左サイドバックにポジショニング。能力的にDFなのかな? ベンチの屋根に乗ってるトーチャンにも注目。



 今度こそ自分の他に監督を務められる人物がいないという状況に興奮するワンダバ。炎をバックに盛り上がるが、そこはワンダバいじめに余念のない雷門イレブン、屋根の上で叫び声をあげるトーチャンに監督を任せてしまう。



 ついに人外の生物にまで監督の座を奪われてしまうワンダバ。


 そしてこの作品、サッカーバトルの際は不幸になる犠牲者がもう一人いることを忘れちゃいけない。沖縄の海の家で嫁の成海(CV:佐々木日菜子)に言われるまま、イカを鉄板で焼く男・矢嶋陽介(CV:佐藤健輔)だ。ザナーク・ドメインからパーフェクト・カスケイドにとチームは変わったのに、相変わらず実況&審判役として(強制的に)駆り出されてしまう。



 周りにいた恐竜にビビる矢嶋。それでも第一声が「恐竜時代とはこれ如何(イカ)に〜?」などとオヤジギャグを発するところがもはや慣れによる余裕が出てきた証拠かもしれない。たださすがに恐竜時代のTPOに合わせたコスチュームは無かったらしく、普通の姿で登場。原始人コスで登場すると思っていたんだけどなぁ。


 矢嶋の実況で初めてこの場が「ロックスクエアスタジアム」という名であることが分かった。

 パーフェクト・カスケイドの無表情なメンバーを見て、あまり強そうな印象を感じない黄名子。敵の覇気(はき)のなさは蘭丸も同感だった。だが心配性の速水はそれがかえって不気味であると後ろ向きな意見を吐く。今回の場合もこの悪い予感が当たることになるのだが……。

 覇気がないまま、レイ・ルクは雷門に勝ち目がないと呟(つぶや)くように語る。


 そして久しぶりに普通の笛の音が鳴る中、試合が開始される。キックオフはパーフェクト・カスケイドボール。すぐさまパスを回して前進を開始するパーフェクト・カスケイドだが、その動きは速いだけでなく一切の無駄や遊びがなく、まるで組織立った機械のような精緻(せいち)な動きだった。

 空中からまるでパスの続きのようにすんなり打ち込まれたシュート、信助が受け止めるがその威力にはじかれ、あっさりと先制点を許してしまう。何が起こったのかも分からないほど素早く鮮やかなノーホイッスルゴールだ!


 この得点で雷門の勝利確率はさらに低下したと無感情に告げるレイ・ルク。見るとパーフェクト・カスケイドの選手たちは先取点を奪ったにもかかわらず、その感情をまったく見せてはいなかった。喜びの笑顔も、先制したという驕(おご)りの感情も、何もない。さもこの展開が当然であるかのような態度は不気味であり、かつ恐ろしい。


 その感情を引きずったまま、今度は雷門のキックオフで試合が再開される。だが剣城がボールを持った1秒後にはもうボールのコントロールはパーフェクト・カスケイドのものになっていた。そして先ほどの展開を録画した映像を再生するかのように的確に繰り返され、一気にシュートを撃たれる。

 だがここで何も出来なかった先ほどとは違う行動が出る。信助がミキシトランス・劉備の能力でシュートに立ち向かったのだ。しかし……



 恐ろしいことに、ミキシマックスしても結果はまったく変わらなかった! 信助ははじき飛ばされ、ゴールラインを割ってしまう。信助の姿が変わっただけで後はすべて1失点目の再現だった。これで得点は0−2と、早くも2点の差をつけられてしまう。



 そしてその後も流れは変わらず、試合展開は一方的なものになって行く。信助が敵のシュートを止めることが出来ない。後半戦もパーフェクト・カスケイドの容赦ない攻撃が続き0−11と屈辱的な点差をつけられてしまう。

 これ以上点を取られるなという神童の叱咤(しった)も虚(むな)しく、前線でもパーフェクト・カスケイドからボールを奪うことが出来ない。この得点差はキーパーだけが原因ではなかったのだ。


 黄名子「もちもち黄粉餅〜っ!!」

 ここまで無敵のおちょくり技だった黄名子の必殺技「もちもち黄粉餅」もついに破られてしまう! 黄名子ファンの私としては悔しい! 11番の敵選手、黄粉まみれになってしまえ。


 黄名子まで抜かれ、ここまでまったく目立った行動を取れていないトーブが最終防衛ラインで敵と対峙する。初心者とはいえその身体能力は天馬たちですら驚愕したほどのトーブだ。もしかしたらパーフェクト・カスケイドの攻勢にも通用するかもしれない……。

 ベンチのトーチャンがトーブに何か指示を出す。恐竜語はトーブにしか分からんのだけど、ゲームだとこの監督システム、どうなるのかな? とにかくトーブはその指示で自らの能力をまだ試していないことに気付く。

 そしてトーブは身体を曲げ、背中から化身を出して身構える。



 トーブの化身「太古の戦士ジャガウォック」。今度は正式な名前が出た。


 だがパーフェクト・カスケイドの選手はまったく表情を変えず、何事も無かったかのようにトーブの横を通り抜けていく。パーフェクトなチームにはトーブの化身も通用しなかった!

 信助がこれまで何度も使用して破られてきたミキシトランス・劉備で最後の抵抗を試みるが、やはりシュートは止められない。



 そして試合は0−19という、雷門がこれまで経験したことがないほどの大差で終了してしまう。試合として成り立っていない一方的なシュート練習のような展開だった。さらに恐るべきことに、ここまでのパーフェクト・カスケイド側のシュートはすべてノーマルのシュートであり、必殺技の類(たぐ)いはドリブル技やブロック技も含め一つも使用していない。まさにこれ以上表現のしようが無いほどの完敗だった。

 最悪の敗北を喫し肩を落とす雷門を前に、サカマキはレイ・ルクにマインドコントロール波を発して雷門を洗脳するよう容赦なく命じる。

 レイ・ルクのスフィアデバイスが宙に舞う。ここから発せられる光線を浴びてしまえばサッカーに対する情熱が失われ、雷門のサッカーを取り戻す戦いもここで終わりを告げてしまうことになるだろう。

 だがここでトーチャンが一声高く咆哮する。それに合わせてゴールの向こうから土煙を上げて走ってくる恐竜の群れの姿が!



 恐竜の群れば雷門とパーフェクト・カスケイドの間を分けるように走り抜ける。土煙が収まった後、レイ・ルクが前を見据(みす)えるとそこに雷門の姿はすでに無かった……。


 サカマキ「……逃げられたか……」


 雷門を完膚なきまで叩きのめし、潰してしまう絶好のチャンスを阻まれてしまった割には冷静な口調だった。今逃がしてもいつでも倒すことが出来るという絶対の自信の故(ゆえ)だろう。レイ・ルクはムーブモードで仲間とサカマキ共々、その場を立ち去る。



 恐竜たちの助けで、天馬たちは危ういところを脱出できた。ロックスターの棲家(すみか)だった洞窟内で天馬たちを待っていたのは、何とアルノ博士だった。あの機転はアルノ博士の差し金だったのだろうか?




 次回に続く



  エンディング



 恐竜時代編、第2章。試合のシーンもあったけど、あまりに一方的すぎて試合ではない別の何か、だったよね。エクストリーム公開処刑のような。

 今回はトーブがなぜ白亜紀に存在していたのかが解説されていた。やはりあのカプセルはトーブが未来から来たという伏線になっていたようだ。トーブは化身も使えるという設定だし、本来はこの時代の人間じゃなかったということも合わせ、雷門イレブンの仲間になりそうな感じだ。


 そしてフェイの過去にも話が及んでいた。フェイは両親から捨てられたということを悲しみ、また天馬にはそのことを知られたくなかったという描写がされていた。天馬とフェイの間に生じた心の溝が気になる……。

 これは今後の展開を待たないとならないのだけど、予想するとフェイは両親に捨てられたのではなく、トーブと同じような理由で別れ別れとなったのか、それともセカンドステージチルドレンを養成する機関にむりやり誘拐され、親元から引き離されたのではないかと思う。黄名子ちゃんが「子どもを守るのは親の役目!(このセリフ、今日の格言で良かったと思うんだけど)」と言って、それにフェイがハッとするシーンがあったが、きっとフェイは両親と涙の再会をすることになるんじゃなかろうか? ちゅーか、そうなって欲しい。



 次回は今回完敗したパーフェクト・カスケイドに勝つための特訓回になりそう。恐竜相手にサッカーの特訓をするようだ。そしてビッグと同じ境遇を持つフェイ、彼がミキシマックスの可能性を掴むことになりそう。フェイは悲しい過去を背負っているだけに、ここで強く雄々しく成長して欲しい。



  次回「獣の谷の大決戦!」に続く。



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