『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第45話「グレートマックスなオレ!」の感想 【イナクロ真の主役はザナークだった!】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第45話「グレートマックスなオレ!」を観ての感想を書く。何というかこの大長編物語の主人公は実はコイツだったんじゃないかと思わされるぐらいデタラメに大活躍する小市民が帰ってくる!



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第44話「フェイが敵!?」の感想 【史上最強の欝回】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

 で、一覧表示されます。

 人類の次代の盟主をかけたサッカー決戦「ラグナロク」は1勝1敗で最終戦を迎えた。【エルドラドチーム03】を率いる松風天馬(CV:寺崎裕香)は敵チーム【チーム・ガル】の中に、サッカー奪還のためにここまで共に戦ってきた親友、フェイ・ルーン(CV:木村亜希子)の姿を認める。

 フェイは人類の淘汰(とうた)を目論(もくろ)むセカンドステージチルドレンの組織【フェーダ】の一員であり、皇帝SARUことサリュー・エヴァン(CV:岡本信彦)の野望の忠実な遂行者であることを告げ、天馬たちに戦いを挑む。

 変わり果ててしまった親友の姿に心を痛める天馬だったが、この試合には人類の命運がかかっている。負けるわけにはいかない戦いの中、天馬はフェイに説得を試みる。サッカーを愛するフェイの心の原点を想起させようとする天馬に対し、フェイはラフプレーというこれ以上ない形で天馬の説得行為を拒絶する。

 前半最後のプレーで天馬をグラウンドに叩き伏せたフェイは、苦しむ天馬を冷たい視線で一瞥(いちべつ)した後、無言で立ち去っていく。


 ラフプレーを抜きにしてもチーム・ガルのプレーは攻守でチーム03を圧倒する。前半を終えて0−2とチーム・ガルがリードの展開だが、その点差以上に両チームの実力には差があるように思われた。チーム・ガル側のボール支配率95%以上という数字がその事実を端的に示していた。

 フィジカルでも押され、精神面でもかつての仲間のフェイの変わりように動揺の色を隠しきれないチーム03の現状は八方塞がりに思われた。

 だがそこにその雰囲気を一変してしまう男が現れる。


???「やはり俺様の力が必要なようだな!?」


 天馬たちが見やるその先には、またもあの男、ザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)の姿があった。自信満々にこちらを見やるザナーク、彼のその真意は如何(いか)に……?




   オープニング



 チーム03イレブンの前に降り立ったザナークは「久しぶりだ」と声を掛ける。昨日のチーム02の試合で会ったばかりというのにその言い様には違和感がある。速水鶴正(CV:吉野裕行)や浜野海士(CV:金野潤)から途端に突っ込まれる。


速水「何言ってるんですか……?」
浜野「ちゅーか、昨日会ったばかりじゃん?」
ザナーク「フッ……そう言うと思ったぜ!」


 相変わらず浜野のツッコミには淡白(たんぱく)な返しのザナークさん。ザナークが説明するには、タイムマシン機能を持つ彼の愛機の赤いエアバイクで様々な時代に出向いて数ヶ月もの厳しい修行(しゅぎょう)を積んできたのだという。


天馬「どういうことだ、ザナーク!?」
ザナーク「ザナークだと!?」


 なぜかその問いかけに強く反応したザナークは自らの名が新しくなったことを仄(ほの)めかす。だが「切り札は取っておくものだ」と勿体ぶってその名を告げようとはしない。自分で言って自分で勿体ぶるところがにわかヒーロー気取りなのだが、とにかくザナークは笑って答えない。

 さらに彼はクロノ・ストーン状態の円堂大介(CV:藤本譲)に「かわした約束を守った」と語りかける。大介とザナークのあいだに約束事があったことを知り、天馬は意外そうに大介を見つめる。


 ザナークは大介に11人目の時空最強イレブンとして認められなかった際、「(おのれの心の中の)暴れ馬を乗りこなせ」と告げられた。あの短気なザナークが怒りを爆発させずにあえて大介の挑発に乗り、独自の特訓でその指示に適(かな)うような男になって戻ってくると捨てゼリフを残して去っていたのだ(第43話参照)

 大介は時空最強イレブンにふさわしい実力を持って戻って来たことをザナークに改めて確認する。ザナークはそのとおりと返答し、また自分の苦労話がしたくてたまらない俺様自慢モードに突入する。



ザナーク「聞きたいか? 聞きたいよなぁ、俺様の特訓の話!」


 そして誰も聞いちゃいないというのに我慢できなくなったのだろうか、勝手に語り出す始末。ここからはザナーク的「俺様フィルター」が掛かった自慢話が続く。


 並みの人間では彼ほどの実力の持ち主をパワーアップさせることは出来ないと豪語するザナークは様々な時代を巡(めぐ)って自分のお眼鏡に適うオーラの存在を探し続ける。

 古代の猛獣サーベルタイガーと戦って素手でそれをぶちのめしたり、溶岩の流れる地帯を駆け回ってその灼熱(しゃくねつ)の熱さに耐える特訓をしたり、大渦巻(おおうずま)きに逆らって力泳したり、海底でダイオウイカとリアルファイトを繰り広げたり、山岳でロッククライミングをしたり、さらにその雪山でビッグフット(雪男)とバーリトゥードの格闘勝負をしたり……どう見てもサッカー能力を高めるための特訓というより、大山倍達の修行を見ているような内容だった。


 だがそんな大山倍達状態がザナークの感性に合致していたのか、それによって彼の心はどんどん研ぎ澄まされて行く。そして彼は嵐の雨中の荒野で、ついに彼が探して求めていたオーラの持ち主と出会う。

 ザナークはそのオーラの持ち主……「クララジェーン」とミキシマックスすることを決め、今ここに凱旋(がいせん)したというわけだ。クララジェーンという名を聞いた浜野たちだが、そんな名前の歴史上の有名人は思いつかなかった。クララジェーンという名からして、その対象は女性だと思われるのだが……?

 ザナークはそれには答えず、沸き起こるその「クララジェーン」のオーラを示すことで自らの言葉に嘘がないことを実証する。そして大介に対して、自らを試合の後半戦にFWとして出場させるよう言い放つ。


 それを受け、GOサインを出したのはチーム03の監督である豪炎寺修也(CV:野島裕史)であった。まぁ確かに選手起用は監督の権限だから大介に言うより豪炎寺に言わなきゃならなかったわけだけど。

 豪炎寺は同じくFWの影山輝(CV:藤村歩)をベンチに下げ、ザナーク出場を許可する。メカ円堂といいザナークといい、このラグナロクは選手登録というものはあって無きが如しという感じがする。



 天馬は途中交代を告げられた輝を気づかうが、輝は納得した表情でこの試合の勝利を天馬たちに託す。出場機会を名も無き小市民に奪われ、後事(こうじ)を仲間に託すのは残念だろうけど逆に励ますところが輝くんの良いところ。ザナークが入ってベンチに下げられるのは誰かという前回の予測は外れちゃった……というか輝のことを忘れていた(ひどい)。


 天馬は輝の分も頑張ることを誓い、フィールドへと戻って行く。




 後半戦開始直前のチーム03の布陣。上記のとおり、メンバーチェンジは1名。FWの輝に代わって99番のザナークが入る。前半はとにかくほとんど攻撃が出来なかった分、オフェンス陣の奮起に期待したい。チーム・ガルの側にメンバーチェンジ、ポジションチェンジはなし。


 チーム03はこの後半に最低2点は取らないと、敗北してしまう。その敗北は人類全体の敗北でもあるのだ。定位置についた天馬はフィールドを踵(かかと)でならすフェイの姿を見つめる。それはまるで天馬のことなど眼中にないかのような態度だった。


 後半戦開始のホイッスルが鳴る。後半はチーム・ガルのキックオフでスタートだ。デッキ(CV:ゆりん)からユウチ(CV:不明)へとパスが送られる。ユウチは邪悪な笑みを浮かべてマークについた雨宮太陽(CV:江口拓也)をチャージで吹き飛ばしてフェイにパスを送る。ラフプレーはフェイだけでなく、チーム・ガルのメンバー全体が使うようになり始めたようだ。

 フェイの前にはその存在が警戒されるザナーク。フェイはトップスピードでその横を駆け抜けるが、ザナークはまったく無反応でその前進を許してしまう。



 何もしようとしないその態度にはベンチの空野葵(CV:北原沙弥香)も驚いて声を上げる。フィールドでは太陽がザナークのやる気のない態度を叱りつけるが、ザナークはどこ吹く風でその非難を受け流す。彼が言うには、出番はまだ早いということなのだが……。


 得体の知れない脅威を抜き去ったフェイは前進を続ける。そこに立ちはだかるのは天馬だった。ここは通さないと言う天馬に対し、フェイは笑顔を浮かべ、その笑顔からは信じられない行為に出る!



 またもショルダーチャージのラフプレーだ!


 尻餅をつかされた天馬を顧(かえり)みることもなく、フェイは前進して行く。その態度はラグナロクを通じて古い人間たちにその無力さを刷り込もうというSARUがまさに望む、理想のフェーダの戦士の姿であった。

 レイ・ルク(CV:河野裕)の感情が一切こもっていないスライディングをジャンプでかわし、浜野と速水に対しては相も変わらずの鎧袖一触(がいしゅういっしょく)で吹き飛ばす。フェイの前進はその実力もあって誰にも止められそうにない。

 ラフプレーでかつての仲間を痛めつけるフェイの姿は、ベンチで見ている葵の心をも痛めつける。


 天馬はフェイの後を追いながら、フェイが本当に引き返せないところまで気持ちが離れてしまったのかを訝(いぶか)る。天馬から見えるフェイの背中は天馬をしてそう思わせるに十分なのだった。

 フェイを待ち受け、トーブ(CV:ゆきじ)が気合いを入れる。だがその刹那(せつな)、フェイの詰める逆サイドにガルの選手が走り込むのを目の端で認めた天馬は、そちらがガラ空きであることをディフェンス陣に指示する。

 トーブが気づいたときには手遅れだった。フェイからのパスが右サイドを駆け上がったユウチに送られる。これが通ればさらなる失点を覚悟しなければならない!


霧野蘭丸(CV:小林ゆう)「間に合わない!!」


 誰もがそう思った瞬間だった。ものすごいスピードで走り込み、ユウチへのパスをカットする男がいた!



 それはザナークだった!

 最前線のFWの位置でフェイに抜かれたザナークがいつの間にかここまで戻って敵のキラーパスをカットしてみせた。試合前に叩いたビッグマウス(大口)が伊達ではなかったことをこのワンプレーで証明してみせたのだ。


「ヒーローは忘れた頃にやって来る……ってなぁ!」


 やっぱりヒーロー気取りだったんだ、ザナークさん。


 奪ったボールに片足を乗せて仁王立ちとなったザナークは、修行の成果はこんなものではないとばかりに、ようやくその本領を発揮することを宣言する。

 ザナークは怒りの形相(ぎょうそう)で詰めかけたフェイをかわすように大きく前方にボールを蹴り出す。そのパスは一気に前線で張るレイザ(CV:藤村歩)のところまで届く。恐るべきキック力だ!



 だがボールに飛びついたレイザにまたも反則モロ出しのタックルを噛ませるヨッカ(CV:不明)。女の子のレイザちゃんにも容赦しないとは、かなりえげつない。空中でこんなタックルしたら頚椎(けいつい)や脊椎(せきつい)を損傷しかねないひどいプレーなので、ちびっこはマネしちゃダメだぞ(命に関わる)。


 背中から落下したレイザを気づかう天馬。ヨッカは構わず進もうとするが、そこにまたも一迅(いちじん)の風が差し迫る。ザナークがあっという間にボールを奪い返してしまったのだ。

 そしてまたもボールを踏んでの仁王立ちポーズを取り、得意げな口調で彼に力を与える「クララジェーン」の正体を(誰も聞いていないのに)話し始めようとする。

 不覚にもボールを奪われたヨッカが必死にボールを取り返そうとする中、余裕の表情でそれを巧みにかわして天馬にパス。この後もあるのだが、今回のザナークさんはチームプレーも出来るという意味で人間的にも成長したように思われてならない。数ヶ月の修行はザナークの技術面だけでなく、精神面まで鍛えていたということなのだろうか? とにかく人間の言葉が通じるようになったゴリラの存在は頼もしい。

 天馬はノートラップでレイ・ルクにパス。

 その横を走りながらザナークは「クララジェーン」が破壊と災厄をもたらす存在であることをつぶやき、レイ・ルクに再度のパスを要求する。

 パスを受けたザナークはローコ(CV:不明)のスライディングタックルを華麗にかわし、前進しながらなおも「クララジェーン」の話を続ける。彼をしてビビってしまうほどすごい「クララジェーン」の正体とは……!?


 場面はその正体を知らしめる彼の回想シーンに移る。



 数ヶ月の放浪の末、ついにたどり着いた彼の理想のミキシマックス相手、「クララジェーン」。その正体は、史上最大と言われた巨大台風だった!! 確かに外国では台風に女性の名前を付ける習慣がある(日本でも大きな災害をもたらした同じ名のジェーン台風という例がある)。それにしても生き物ではない台風をミキシマックスの対象に選ぶとは、人物はおろか、恐竜やドラゴンすら越えた発想であり、ザナークにしかたどり着けないおバカでスーパーな発想だと思える(褒め言葉)。


 ザナークはとにかくこの無生物の力に惚れ込んでいた。彼女の力こそが自分のパワーアップにふさわしいと確信する彼は、漲(みなぎ)る力の導きのまま、その本能に忠実に従う。エアバイクのアクセルを全開にして、自然に出来たジャンプ台のような地形を利用して彼女「クララジェーン」に飛び込んだのだ!



 凄まじい風雨を突き、ザナークは「クララジェーン」に向かって飛ぶ。誰もが恐れを抱くであろう自然の大災厄に向かい、ザナークは恐れず突入する。ザナークの体内の力の鼓動に呼応するかのように「クララジェーン」内に雷(いかずち)が起こり彼を直撃する。



 強大な力の融合を受け止めて絶叫するザナーク。これはおそらく強制ミキシマックスなのだろうと思われるが、そんな知識もなく、後半からチャンネルを替えてこれを観た人にはさっぱり分からない展開だろうなぁ……ましてやこれがサッカーアニメだとは夢にも思わないだろう。


 その力のせめぎ合いのような状態に打ち勝ったのはザナークだった。「クララジェーン」のオーラをその内に取り込むことに成功したザナークはついに時空最強イレブンにふさわしい存在となったのだ。



ザナーク「俺様は時空最強の小市民だぜぇっ!!」


 言葉の意味はよく分からんが、とにかくすごい自信だ。



 回想ここまで。巨大台風とミキシマックスしたという話はさすがに皆を驚かせた。「どうしてそんなことが(出来たの)?」という天馬の質問にザナークは「分からねぇ!!」とこれまた彼らしく単純明快、言語明瞭、自信満々に言い放つ。彼にとって過程はある意味どうでもよくて、今ここに時空最強イレブンの能力を持って存在しているということがすべてなのだろう。


 さらに考えられる要因として、ザナークがクロノ・ストーンを手にした時以来、彼の中に何か熱いものが入り込んできたと語る。胸に手を当て、ザナークはその「熱いもの」が心の中で自らに語りかけて来るのを感じていた。彼の力の暴走もその発展途上で起こった一現象だったと思われる。


クロノ・ストーン『お前はもっと強くなれる! 身体だけじゃない、心もな!』


 ザナークはその言葉に衝(つ)き動かされたのだ。そしてそのクロノ・ストーンとは……。


大介「守だ……」


 そう、それはエルドラドに囚われの身となりクロノ・ストーンに姿を変えられた円堂守(CV:竹内順子)だった。ザナークの頭の中で何度もザナークをサッカーに衝き動かす言葉を投げかけ続けていたのは、大介の孫、円堂だったのだ。

 サッカーを愛する円堂の心と、ザナークの邪悪な心の戦いがザナークの中で力の暴走を招き、さらにはザナークの心の奥底にあった真の力を目覚めさせたのだろうと、大介は推察する。今のザナークは、厳しい大介の審美眼をもってしても11人目の時空最強イレブンと認めるにふさわしい存在となっていた。

 そういう意味ではザナークも雷門イレブンと同じく円堂の教えを受けた弟子であると言えるのではないだろうか?



 フィールドでは得意満面のザナークがピノ(CV:佐々木日菜子)のスライディングタックルをかわしていた。得意になって昔話(自慢話)に花を咲かせていたツケが回り、いつの間にか周囲をヨッカ、ローコ、ピノ、カズチ(CV:不明)の4人に取り囲まれていた。



ザナーク「弱い奴ほどよく吠える。だが知ってるよなぁ……? 俺は強いがよく吠える!!」


 よほど自らの実力に自信があるのだろう、そんな窮地(きゅうち)でもザナークの軽口は止まらない。そしてオーラを現出させ、その身に宿した史上最強の暴走台風の力を今こそ露わにする!!



「ミキシトランス・スーパーザナーク!!」


 「クララジェーン」とミキシマックスしたザナークは新たにスーパーザナークを名乗る。おそらく再会時に名乗ろうとした今の名前とはこのことだろう。名前にスーパーを付ける安直さがいかにもザナークっぽいが……「お前はスーパーサイヤ人か?」というツッコミが全国で聞かれたことだろう。



 ザナークが台風という自然現象とミキシマックスしてしまったというデタラメな事実は本当の小市民の彼らには受け入れがたいものであった。度肝を抜かれた浜野っちと頭を抱えて信じられないと吐き出すはやみん


 ザナークはそんな味方の困惑すら自分に対する畏怖(いふ)の表れと捉(とら)え、不敵に笑う。


ザナーク「ザナーク改めスーパーザナーク! これからは俺をそう呼べ!!」



 その小学生か狩屋マサキ(CV:泰勇気)かと言いたいほどの低レベルなネーミングセンスはベンチ陣をシケヅラにさせる。能力は高まったかもしれないが、頭の出来だけはゴリラから進歩していないようだ。まぁザナークは修行中、知能向上につながる学習なんて一切してなさそうだったからやむを得ないか。


 そのネーミングセンスからは信じられないほどのサッカーセンスをいきなりMAXで発動させ、ザナークは一気にガルの陣内を駆け上がる。フェイはさすがにその凄まじい能力の危険性を最初に察知し、ディフェンス陣にザナークの進撃を阻止するよう指示を出す。

 ザナークの前にローコ、ピノ、カズチの3人が強固なラインを築く。だがザナークはお構いなしの様相で前進を止めない。観客席で試合を見ていた神童拓人(CV:斎賀みつき)が「無茶だ!」と叫ぶほど、そのプレーは強引に過ぎるように思われた。

 併走する天馬がパスを要求する。チーム02の頃のザナークだったら絶対にこの指示を無視したであろう。だが今のスーパーザナークは円堂の弟子でもある。皮肉っぽく笑うところにザナーク本来の矜持(きょうじ)を感じさせつつも、逆らうことなく天馬にパスを送った! チームプレーが出来るゴリラ、それがスーパーザナークやんね!


 その間にローコたちのディフェンス網を突き抜け、ザナークは再度フリーとなる。天馬は果たしてそこにパスを返す。見事なワンツーリターン、まったく息の合ったチームプレーとはこのことだ。

 ザナークは完全フリーのままガルゴール前に持ち込む。絶好のチャンスに、ザナークも出し惜しみはしない。ミキシマックスした彼の新必殺シュート、その名も「グレートマックスなオレ」の初披露だ!!!




 これが「グレートマックスなオレ」だ! めちゃくちゃカッコ良い技だけど、ネーミングセンスなんとかしろ。これが技名だとは思えんだろ。


「スウウゥパアアァッ!!」


 気合一閃、ザナークのド級シュートがゴールめがけて飛んで行く。迎え撃つチェットもここまで出番がなかったが、実は只者ではない。背中からオーラを現出させ、化身「白尾神タマズサ」をその身に降ろす。



 チェットの化身「白尾神タマズサ」。ウサギとキツネの可愛いとこ取りしたようなとてもファンシーな女性型化身。個人的にはチェットにはこの化身をアームドして欲しかった。いや是非させるべき。


 チェットは神社の社(やしろ)の前でお参りするかのように2度柏手(かしわで)を打つ。それが化身必殺技「シキガミラインズ」への動作なのだった。





 だがファンシーな化身ではスーパーなザナークの超絶パワーを食い止めることは敵(かな)わなかった。式神を焼き払い、チェットを蹴散らす勢いで豪快なシュートがゴールに吸い込まれる!!


 ゴール!!

 ザナークの大活躍で、チーム03が1点を返すことに成功した。これで1−2と試合展開はにわかに分からなくなった。

 殊勲(しゅくん)の得点を挙げたザナークは大介に向かい「今の俺は何だ!?」と問いかける。今度こそ自信満々のザナークは、ついに大介から聞きたかった言葉を得る。


大介「ウム! お前こそ時空最強イレブン11の力! 灼熱の熱風と激震する雷鳴の力ですべてを貫くオールラウンドプレーヤーだ!!」


 この世で一番見返したかった「石のジジイ」こと大介にそう言われ、ザナークはこれも変わらない彼の決めゼリフを言う。


ザナーク「ククク……そう言うと思ったぜ!!」


 いい感じにKYで素直な天馬も心からザナークに感謝の言葉を述べる。大介に、そして天馬に認められたことがやはり嬉しかったのだろう、ザナークはその日一番のええ顔で破顔大笑する。



 呵呵大笑(かかたいしょう)するザナーク。この邪気のない笑顔はようやく彼も天馬たちのチームに(精神的にも)仲間入りしたと思わせるものだった。超絶に似合わなかった雷門ユニフォームがだんだん違和感なくなって来た気がするのは私だけであろうか?


 ザナークのその態度は天馬たちの表情も明るくさせる。この試合は行けると思わせる展開、それはもちろん敵であるチーム・ガルの側にとっては面白くない展開だ。フェイはザナークの高笑いを不満そうな表情で聞いていた。


 ベンチの士気も上がっていた。輝と葵が喜ぶ中、豪炎寺はこの1点の重みを、第1試合で鬼道有人(CV:吉野裕行)率いるチーム01が後に続くチームのために決めてくれた1点に匹敵するものだと語る。

 場の雰囲気は完全にチーム03のものだった。あと2点を取って逆転を誓い合う太陽と蘭丸、そして天馬の三者


 天馬はその勢いに勇気づけられたのだろうか、敵陣のフェイの元に歩み寄る。そしてこの試合に勝って、フェイに自分の気持ちを分かってもらうと告げる。だがフェイは冷たい口調で変わらぬ頑なな心境を返してくる。古い人間は淘汰するという愚かで恐ろしい考えを撤回する気はないらしい。フェイは厳しい視線を向け、睨(にら)みつける様に言う。



フェイ「徹底的に、行くよ」



 試合は失点したチーム・ガルのキックオフで再開される。パスを受けて上がってくるのは、フェイだった。それには予定調和のように天馬が立ち向かう。先ほどの会話の続きをボールの奪い合いでするかのように、両者は激しく激突する。



天馬「フェイ、これでも君は俺たちと分かり合うということは出来ないと言うのか!?」


 しばし無言でボールを奪い合った後、天馬にそう声を掛けられてフェイは言葉を失う。今一つのボールを介して語られた無言の会話はサッカーが好きな人間であれば無視できない、高次に形而上的(けいじじょうてき)な意味合いがこもった内容であったはずだから。

 だがフェイはそのサッカーから目を背けるように仲間のユウチにパスを送る。サッカーだけでなく、天馬の気持ちからも逃れるかのように……。


フェイ「僕の気持ちは変わらない、変えようがないんだ!!」


 解きほぐすことが出来ないフェイの思いを受け、天馬は歯噛みする。


 ユウチの持つボールに向かうのはレイ・ルク。一切の感情のないレイ・ルクに対し、ユウチはアンドロイドの分際で調子に乗るなとばかりに指を鳴らし、必殺ドリブル技「デコイ・リリース」で幻惑し抜き去る。



 ユウチの必殺ドリブル技「デコイ・リリース」。カッコ良い。ちなみにデコイとは囮(おとり)の意味。


 レイ・ルクを翻弄(ほんろう)したユウチは2トップを組む相棒のデッキにパスを送る。そこにはチームの守りの要(かなめ)、蘭丸が詰める。蘭丸は化身「戦旗士ブリュンヒルデ」を久々に召喚し、何とアームドの掛け声とともに化身をその身にまとう。



 太陽に続き蘭丸までいきなり化身アームドに成功した! 女性化身を身にまとい、蘭丸の女子力も一層アップした感じだ。これでジャンヌ・ダルク(CV:寿美菜子)とミキシマックスしたとしたら……女子の成分の方が多くなるよな(ウホウホ)。


 蘭丸はデッキからボールを奪い取ることに成功する。蘭丸の化身アームドの成功にチーム03の意気は上がる。ディフェンダーとしてそれを近くで見ていたトーブは自分も負けてられないとウホウホ状態で張り切り出す。

 それら場の流れの変化を見てとった監督の豪炎寺と大介は、ザナークの得点が沈んでいたメンバーの気持ちを喚起せしめたと認識する。実際その通りだった。ザナークが加入したことにより、チーム全体に化学反応のような効果が生まれていた。


 もちろん敵チームの上げ潮ムードは戦う相手であるフェイたちにも伝わっている。フェイはある決意を持って仲間にアイコンタクトで指示を出す。一斉にそれに呼応するチーム・ガルのメンバー。

 蘭丸から速水にパスが送られる。だが……



 またも始まるラフプレータイム。今度はチーム・ガルで一番可愛いローコが速水に体当たりするという衝撃的なシーン。可愛いのにこんな凶暴なプレーしちゃダメでしょ。


 激しくはじき飛ばされ、フィールドを転がる速水を天馬は腕を掴んで救い出す。可愛いマスコットキャラとは思えない凶暴な口調でローコちゃんは「叩き潰す!」と叫び、ユウチにパスを送る。そこに向かうのはトーブ。ユウチが気合いを入れると背中からオーラが噴出し、それは化身「豪雪のサイア」となる。



 ユウチの化身「豪雪のサイア」。この化身は前作で白恋中学のエース、雪村豹牙(CV:寺島惇太)が使用していた化身だ。ユウチの外見が白恋中出身の吹雪士郎(CV:宮野真守)に似ているということから考えても、この辺には何らかの因果関係があると思われる。


 ユウチは化身必殺シュート「アイシクルロード」を撃つが、トーブは構わずそのシュートに向かって行く。蘭丸の化身アームドに触発されて張り切っているトーブは対抗して彼の化身「太古の戦士ジャガウォック」を出し、そしてアームドの掛け声を叫ぶ。ジャガウォックは一声吠え、トーブの思いに応えてその身にまといつく。



 「アイシクルロード」を化身アームドの力で阻止するトーブ。しかし太陽、蘭丸、トーブとこの一試合中にこんなに簡単に化身アームドしてしまうとは、なかなか化身アームド出来なかった神童の苦労は何だったんだと思われてならない。


 トーブのはじいたボールはその勢いを失い、キーパーの西園信助(CV:戸松遥)が難なく押さえることに成功する。見よう見まねで行った化身アームドが大成功に終わり、トーブはウホウホ喜びを表出させる。



 もはや完全に場の流れはチーム03の方に流れていた。天馬たちの士気が上がっていることをフェイは言葉に出して意識する。ザナークが変えたこの流れ、だがそれを維持し向上させる要因として、フェイは天馬の存在を挙げる。

 天馬が仲間を支えることで力を与えていたのだ。仲間の好プレーを褒めて士気を鼓舞し、さらに敵のプレーで痛めつけられた選手をカバーしフォローする。天馬の天馬にしか出来ないキャプテンシーを見せつけられ、それがまるで卑劣なプレーをするフェイ自身を非難しているかのように思えてしまう……フェイはついに自己のしていることに疑問を感じ始める。

 それを観客席から見ていた菜花黄名子(CV:悠木碧)は辛そうに葛藤(かっとう)するフェイを心配そうに見つめる。そしてSARUの横で同じく試合を見ている支援者X(CV:家中宏)も、そのローブで表情は窺(うかが)えないものの、思惑ありげにフェイの様子を見つめていた。


 ボールを押さえた信助から天馬にロングパスが送られる。それを受けた天馬に挑みかかるのは、その葛藤を解決する手段として天馬に向かって行くしかないと期するフェイだった。


フェイ「これが君と僕の最後のサッカーだ!」


 巧みな球捌(たまさば)きでフェイをかわした天馬に、フェイはしつこく追いすがる。天馬とフェイは互いの信ずる信念をかけて激しくぶつかり合う。



 これが最後などではなく、この後もいくらでも一緒にサッカーが出来ると言う天馬に対し、フェイは思わず手を使って天馬を払いのけてしまう。反則行為を咎(とが)められ、フェイは視線を逸(そ)らし、そして小さな声で釈明するかのようにつぶやく。


フェイ「……これが僕のサッカーだ」
天馬「違う! こんなのフェイのサッカーじゃない!」


 フェイの言葉が真実ではないことは、親友のプレーを隣で長年見つめ続けていた天馬には即座に見破られた。ボールの奪い合いにも勝利した天馬は前線のレイザにボールを送る。レイザはヨッカのプレッシャーを受けつつもザナークにパスする。

 そしてこの男がボールを持つと、本当に安心して見ていられる。ザナークは自らをスーパーザナークと呼ばなかったレイザにダメ出しをしながらも、怒涛(どとう)の勢いでドリブルしながら前進する。



 超巨大台風の力を秘めたその前進を阻むことなど誰にも出来はしない。カズチ、フミータ(CV:不明)、グゥミ(CV:不明)の3人を竜巻が通過するが如くに吹き飛ばす。


 そしてゴール前、またも必殺の殺人シュート「グレートマックスなオレ」をガルゴールにぶちかますザナーク。迎え撃つチェットも彼の持ち得る最強の対抗策なのだろう、またも化身「白尾神タマズサ」の化身必殺技「シキガミラインズ」で迎撃を図る。だが前回ダメだったことが今回で成功するとは思えず……



 ゴール!! 今回のサブタイトルにまでなった技「グレートマックスなオレ」は本当に強い! ネーミングセンスだけはどうかと思うが、とにかく強い! こうなると相次いでゴールを許したチェットや化身「白尾神タマズサ」が弱く感じられるが、そうなのではなくザナークが強すぎるのだろう。


 実況の矢嶋陽介(CV:佐藤健輔)もザナークをスーパーザナークと言い直すほど、この名前が定着してきたスーパーザナーク。チーム03の2得点を一人で挙げ、ついに試合を2−2の五分に戻した。同点ではあるが、勢いを考えると追いついたチーム03の方が圧倒的に優位だ。


 天馬は改めてフェイに声を掛ける。頑なに身をこわばらせるフェイに対し、天馬は敵味方に分かれていたとしても、フェイとサッカーが出来ることが嬉しいと語る。その言葉はまたもフェイの心の奥底の琴線(きんせん)に触れる。

 思わず天馬の顔を見やるフェイ。


 揺らぎ始めたフェイのセカンドステージチルドレンとしての信念。だがその状態を絶対に許せないと憤(いきどお)る存在がいた。VIP席で沈思黙考(ちんしもっこう)していたSARUはやおら立ち上がる。フェーダの皇帝はフェイの心変わりを看過(かんか)しはしなかった。


SARU『そうはさせない……』


 SARUのその心のつぶやきはフィールドのフェイにテレパシーとして伝わる。思わずSARUの方に目を向けるフェイ。そこにいるSARUはこれまでの余裕ある表情ではなく、怒りを隠しきれない厳しい表情を浮かべていた。



 SARUと見つめ合うフェイの横顔を見て、天馬は心配そうにその名を呼ぶ。果たしてフェイの気持ちの変化は? そしてSARUは何をしようとしているのか? 天馬はフェイを、そしてサッカーを取り戻すことが出来るのだろうか?



 緊迫の次回に続く!



  エンディング



 もう一回言うが、イナクロという作品は実はここまでが前フリで、本当の主人公としてザナーク改めスーパーザナークが満を持して登場したのではないだろうか? そう言ってしまいたくなるほど今回のザナークは一人で美味しいところを持って行き過ぎだった。

 ザナークはなにげにこのラグナロクの全試合に出場するというスペシャル高待遇だしな。「グレートマックスなオレ」を撃つ時の「スウウゥパアアァッ!!」の掛け声、『ワンピース』の登場人物のフランキーを思い出したのは私だけではないだろう。


 ザナークの持つ雰囲気が前回の暗い雰囲気を吹き飛ばす展開になったのは予想通り。副次的効果として、ザナークの存在はフェイに色々なことを考える機会を与えたのではないかと想像する。

 ザナークは同じセカンドステージチルドレン(ザナークは無自覚だったけど)として、その人生を送る過程ではフェイと同じように心に傷を負ったかもしれない。だが彼は実に自由奔放に生きていた。出自に縛られないザナークならフェイに対するアンチテーゼになり得ると思えるのだ。



 「選ばれた存在」というSARUからの受け売りを信じているフェイに勝たないと、親友であるフェイを取り戻すことは出来ない。今回のラストでフェイの頑なな心に亀裂が入ったと思われる表現があったが、SARUがまた何かをやらかすらしい。洗脳か? 洗脳するのか? これ以上天馬とフェイの仲に嫉妬(しっと)するのは止めてあげて欲しいのだけど……。



 次回はいよいよ支援者Xの正体が明かされることになりそう。彼の正体がフェイとどういう関係があるのかなど、とても気になる展開だ。彼の素顔はどんな顔をしているのだろう? 登場人物の中で一番迷い、葛藤しているチーム・ガルのキャプテンに似ているんじゃないかなぁ?



 次回ではレイ・ルクもなにげに化身アームドしていた。「なにげに」と言う割には顔もハイパーダイブモードの怖い顔(泣く子も号泣するフェイスオープン)なのだが。でもこの絵ヅラを見ると、どうもヤラレ役になりそう。



  次回「支援者Xの正体!」に続く。



人気ブログランキングへ
 ↑ 最後まで読んでくれてありがとう。「俺たちに最後なんかない! いつだってブログは読める!」(今日の格言・天馬風)というわけで記事が面白かったと思われましたら、毎日クリックして頂けると嬉しく思います。グレートマックスなクリックを!



僕たちの城 (数量限定生産)
イナズマイレブンGOオールスターズ「松風天馬(CV:寺崎裕香)&剣城京介(CV:大原崇)&神童拓人(CV:斎賀みつき)&西園信助(CV:戸松遥)&霧野蘭丸(CV:小林ゆう)」
FRAME (2013-02-06)
売り上げランキング: 462

青春おでん
青春おでん
posted with amazlet at 13.02.09
FRAME (2013-02-06)
売り上げランキング: 678