『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第31話「恐竜時代へGO!」の感想 【恐竜時代編突入!】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第31話「恐竜時代へGO!」を観ての感想を書く。これまでの史実上の偉人を探すのとは違い、完全にオリジナルの展開。果たして松風天馬(CV:寺崎裕香)たちの冒険はどうなるのだろうか?



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第30話「円堂守伝説!」の感想 【総集編なのに熱いぜ!】
 をご覧ください。

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 雷門中サッカー部室には沈鬱(ちんうつ)な空気が漂(ただよ)っていた……。


 幕末の1867年で天馬たち雷門の一行は、ザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)率いるザナーク・ドメインとサッカーバトルで戦った。バトルには勝利を収めたものの、ザナークはエルドラドを代表して雷門と戦ったわけではなく、勝利報酬(しょうりほうしゅう)とも言える円堂守(CV:竹内順子)の奪還とサッカー禁止令の廃止は勝ち取ることが出来なかったのだ。

 幕末に同行しなかったメンバーを含めてのミーティングの席上、そう報告する天馬、そしてフェイ・ルーン(CV:木村亜希子)の2人の表情には無念の思いが滲(にじ)み出ていた。

 スケバンの瀬戸水鳥(CV:美名)が無駄骨に終わった戦いを悔やんで拳(こぶし)を掌(てのひら)に叩きつける。坂本龍馬(CV:千葉進歩)と沖田総司(CV:梶裕貴)のオーラを手に入れることは出来たわけだし、大政奉還という史実を守ることが出来たという面もあったのだが……。

 クールな剣城京介(CV:大原崇)は過ぎた過去よりこの先のことに話を向ける。フェイはエルドラドを倒して歴史改変を無効にするしかないと語る。

 それを引き継ぎ、クラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)はその実現のためにはエルドラド最強のチームに打ち勝つだけの力が必要だと拳を握る(普段からドラえもんのようなまるこい手だが)。

 エルドラド最強のチーム……それを聞いて西園信助(CV:戸松遥)は恐れをなす。今までの敵、プロトコル・オメガやザナーク・ドメインよりももっとずっと強い敵がエルドラドには控えているらしい。


 ワンダバ「その名は……」
 ???「パーフェクト・カスケイドじゃ!!」


 溜めを作ってまで決めたかったワンダバのセリフに割り込んできた男。それは神出鬼没(しんしゅつきぼつ)でいつ現れるのか誰にも分からない、クロスワード・アルノ(CV:楠見尚己)博士だった。あまりに久々の登場で、私もその存在を忘れていたが。



 ただ久しぶりに現れただけあって、アルノ博士は重要な情報を持参していた。彼から「まずいことになった」と聞かされ、天馬とフェイは不安げに視線を交わす。



   オープニング



 アルノ博士の情報とは、エルドラドがいよいよその最強のチーム「パーフェクト・カスケイド」を雷門を倒すために投入してきたという話であった。

 エルドラドはサッカー禁止令のインタラプト修正をパーフェクト・カスケイドによってガードするという手段に出たらしい。そのインタラプト修正を再修正するにはそのガードを破る必要が出てくる。つまりパーフェクト・カスケイドを倒さない限り、サッカーを取り戻すことも不可能となったわけだ。

 パーフェクト・カスケイドの恐ろしさを天馬に伝えるフェイ。だがそこで神童拓人(CV:斎賀みつき)がそのチームに勝てばサッカーを取り戻せると極めて当然の意見を出す。アルノ博士は安易にその意見を肯定するが、ワンダバはまだ雷門が経験したことのない高みにある強大な敵への警戒を喚起(かんき)するためだろう、その概要を語り始める。



 パーフェクト・カスケイド。サカマキトグロウという英邁(えいまい)な男に率いられた、その名の通りパーフェクトなサッカー部隊らしい。今のところ分かっているのは監督の名前が変だということぐらい。


 監督の名前が変だということしか伝わらなかった天馬くんはさらなる説明を求めてアルノ博士に向き直る。だが例のごとく、アルノ博士は何の挨拶(あいさつ)も前触れもなしにその場から姿を消していた。空野葵(CV:北原沙弥香)もその神出鬼没ぶりには呆れ顔だ。

 フェイもワンダバも、パーフェクト・カスケイドの監督の名前が変だという以上のことは分からないらしい。だがその強さはよく知っているらしく、この先の戦いが大変厳しいものになるであろうことを告げる。でも彼ら(フェイ、ワンダバ、アルノ博士)はどうしてパーフェクト・カスケイドの強さを知っているのだろうか? この辺は今のところ謎だ。


 その消沈した雰囲気を切り替えるためか、話を聞いていたクロノ・ストーン状態の円堂大介(CV:藤本譲)が仲間を激励すべく登場する。



 大介「手ごわい相手が来るのなら、こっからは本気を出していくぞ!」
 水鳥「今までは本気出してなかったのか……?」



 大介は水鳥の鋭いツッコミをシカトし、次の時空最強イレブンのターゲットの内容を発表する。

 まず7の力として「自由自在に空間を活かす、空を制するフライングディフェンダーという条件が提示される。そして8の力は「太古の力を宿し、その牙の力は海を割るダイナミックミッドフィルダーという条件だ。


 大介は「それは例えるならば」と前提を置いて、その両者に合致したパワーを恐竜のものだと断言する。恐竜と聞かされたメンバーはさすがに驚き、絶句する。倉間典人(CV:高垣彩陽)はシニカルに、浜野海士(CV:金野潤)は驚きながらもおおらかに、そして速水鶴正(CV:吉野裕行)はそんな浜野の態度も含めて呆れつつ、その決定へのそれぞれの感想を述べる。



 倉間「最強イレブンって、人間じゃねえのかよ!?」
 浜野「まぁ強そうだし、いいんじゃね?」
 速水「……そんなんでいいんでしょうか〜?」


 そして意外なことにただ一人驚きも呆れもせず、恐竜時代への憧憬(どうけい)に目を輝かせる少年がいた。それは信助だった。日頃はどちらかというと弱気な性格が目立つ彼だったが、実は恐竜クラスタだったらしく物理的にキラキラ光って張り切り始める。



 恐竜大好き、信助くん。恐竜とのミキシマックスに憧れまくる彼だったが、キミはもうミキシマックスしてるでしょ。劉備玄徳(CV:平田広明)さんが悲しむよ。


 ミキシマックスする対象がどんな恐竜なのかと大介を質問攻めにする信助。このシリーズ、雷門イレブンの誰かが変なところで変なスイッチが入るのが定番になりつつあるよね。フリークというか、オタクが多いというか。


【現時点で発覚している雷門内のクラスタ



 はしゃぐ信助を微苦笑(びくしょう)を混じえて温かく見守るマネ一同。このあと信助がこっちにまでウザイぐらい力説に来るということを、今の彼女たちはまだ知らない……。


 信助は恐竜に対する周りの反応が薄いのが我慢ならないらしく、ここぞとばかりに恐竜のことを説明し始める。恐竜の起源は今から2億3千万年前(三畳紀)の頃。恐竜はそれぞれの地形に適した進化を遂げ、以後1億6千万年に渡って地上の支配者であり続ける。



 ノリノリの信助。説明するのは100歩譲って認めるんだけど、何も着ぐるみ姿で説明しなくても良いのにとは思う。


 恐竜は白亜紀末期(6500万年前)に忽然(こつぜん)と地上から姿を消す。原因は隕石衝突説や火山噴火説など諸説あり、詳細はまだ明らかにはなっていない。信助の意外な博識ぶりを水鳥が褒め、信助は頭を掻いてその賞賛を喜ぶ。


 天馬はフェイがティラノサウルスのオーラを利用したミキシマックスをしているということに思いが至る。だが大介はそれでは不十分だとにべもなく却下する。

 フェイは悲しそうな表情を浮かべるが、確かに彼のミキシマックス・ティラノは最近は破られてしまうことが増えていた。ザナーク・ドメイン相手でもそうだったのだから、より強力な敵であることが予想されるパーフェクト・カスケイドには通用しないと言われても返す言葉はないだろう。


 大介はティラノサウルスよりも強大なオーラが欲しいと言うが、その条件に合致する存在は、恐竜に詳しい信助ですら思いつかないものであった。思わずその存在を問いかける信助に、大介は……


 「分からん!!!」

 大介のいつもの言ってから考える態度にずっこける一同。二枚目の神童や雨宮太陽(CV:江口拓也)ですらこんなに頑張ってコケているのに、相変わらず剣城のノリが悪いぜよ。あと恐ろしいことに、今回3年生はこの場にすら呼んでもらっていない。一乃七助(CV:折笠富美子)と青山俊介(CV:高垣彩陽)の2人もいないし、こういった出番なしのキャラたちをナチュラルに物語からフェイドアウトさせるなよ……。


 その適当さを速水に言及され、必死で言い返す大介さん。恐竜にはまだまだ未知の部分が多く、その条件に合致するまだ知られていない恐竜が必ずいるはずだと断言する。相変わらず根拠は彼の脳内ソースだが。

 それを聞き、今度こそ自分がミキシマックスする番やんねと張り切るのは菜花黄名子(CV:悠木碧)だった。しかしそれに水を差すのが3マネ陣。女の子として恐竜とミキシマックスするのはどうやんね? と説得にかかる。だが彼女たちは黄名子の感性を甘く見ていた……



 「まぁそれもいいやんね!!」


 いいのかよ!?

 そんな黄名子の歪(ゆが)んだ乙女心は置いといて、大介は今回のアーティファクトとして恐竜の骨の化石を用意する。いつの間に用意したんだろう? 豪炎寺修也(CV:野島裕史)さんはパシリとしても用済みか?


 豪炎寺の存在意義を消し去った大介は、そこで恐竜のオーラ獲得のための遠征に同行するメンバー発表を始める。



 神童、霧野蘭丸(CV:小林ゆう)、信助、太陽、錦龍馬(CV:岩崎了)、剣城、天馬、黄名子、フェイ、狩屋マサキ(CV:泰勇気)、速水の11人が選出される。


 だがそこで選出されたはずの速水からクレームがつく。三国志フリークの自分が三国志の世界に行きたかった時はメンバーから外されたのに、恐竜大好きの信助は普通に選ばれていることに不公平感を抱いたのだ。

 大介は信助の恐竜の知識が役に立つかもしれないとその意見に取り合わないが、それ言うんだったら速水の三国志の知識が役に立ったかもしれないじゃん。三国太一(CV:佐藤健輔)がなぜかいない現在、信助以外にキーパーがいないからだと素直に言えば良いのにねぇ。

 当然のごとく「納得いかねぇ〜」という表情の速水を無視してキャラバンは超古代の恐竜時代に向けてタイムジャンプする。



 一方、エルドラド本拠地の円卓では幕末での戦いの事後報告が行われていた。幹部長老によると、ザナークはバトルに敗れたあと、その消息を絶(た)っているという。ザナークはエルドラドの元を離れ、セカンドステージチルドレンの側に付いたと見て良いのだろうか?

 プロトコル・オメガに続いてまたも手駒を失った形の議長・トウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)だったが、その表情に変化はない。彼は次の手を打っていたのだ。傍(かたわ)らに控える男、それが彼の次の一手を遂行するために招請(しょうせい)された件(くだん)の人物・サカマキトグロウその人であった。



 変な名前のサカマキ(CV:石井康嗣)。自分の息子に「トグロウ」という名前を付ける親の顔が見てみたい。オープニングに姿を見せていた彼だが、いよいよ物語本編に登場してきた。トウドウに負けず劣らず、悪そうな表情。


 サカマキはすでに部下であるパーフェクト・カスケイドのメンバーを雷門の行く先にタイムジャンプさせていると報告する。トウドウはパーフェクト・カスケイドの実力に絶対の自信を持つのだろう。その報告を聞いて口元を歪めて吉報(きっぽう)を待つ態度を見せる。



 そんな深謀遠慮(しんぼうえんりょ)がすでに目的先にまで成されているとはまだ気がついていない雷門のメンバーは、6805万年前の白亜紀の時代に到着する。これまでは数千年というスパンでの移動だったわけで、ダントツで遥(はる)か昔までやって来たという印象だ。



 計算したら三国志の時の約3万4千倍の昔。時間を距離として考慮するとしたら、キャラバンの到着もその分遅くなったらリアルなんだけどね。ただそうしたら今週はおろか、次回もずっとキャラバンの中で終わりそう。

【追記】三国志編で目的地に1分で到着していたと仮定して再度計算してみたら1回で30分番組であるイナクロでリアルにやるとすると、1133話使ってやっと到着するという……。その間ずっとキャラバンの中なの。これは省略してよし。リアルなんていらない。距離が離れるほどキャラバンの加速度が上がるとか考えれば良いし。



 翼竜が空を飛び、トリケラトプスが水を飲む。本当に恐竜時代にやって来たという実感から、信助は大喜びだ。大介は早速恐竜を探索に向かうよう言うが、肉食竜もうようよしている只中に何の準備もなく出て行くことは危険だった。

 ワンダバがナイスアイデアとばかりにワンダバスイッチをONするが、衣装が原始人ぽくなっただけで問題解決には何の意味もなさないのは自明であった。


 太陽「何の解決にもなってないような気がする……」



 その衣装チェンジに喜んだのは、マネージャーの中でも感性が特殊な山菜茜(CV:ゆりん)だけだった。心象風景「花」を久しぶりに咲き散らかせて笑顔を見せる。女の子たちは首飾りもついてて確かに可愛い印象だけど、肉食竜の前では関係なさそう。


 ワンダバは単に郷に入らば郷に従え的な理由で着がえさせたらしい。そもそもこの時代には人間はいないはずという神童からの的確なツッコミを受けるが、適当な性格の黄名子の「まぁいいやんね」の一言でうやむやに……。



 改めて古代の世界に足を踏み入れ、その雰囲気に圧倒される天馬たち。まぁ何といってもリアル・ジュラシックパークの世界観なわけで、緊張しない方がおかしい。恐竜の姿がなくとも巨大に生い茂ったシダ植物やゼンマイなどが威圧感満点だ。

 そんな中でも恐竜大好きの信助はウキウキに浮かれていた。トロオドンを「とろろうどん」と聞き間違えた錦に対し、激しくダメ出ししその無知を責める。信助、錦は確かにバカだけどパイセン(先輩)やで。


 魚型の巨大な恐竜の影を水面に見た一行はその迫力に圧倒される。珍しく口に出して感想を述べた剣城に、天馬が恐竜が好きなのかと話しかける。



 恐竜のことを問われたのに兄・剣城優一(CV:前野智昭)と博物館に行った時の思い出を語り始める剣城。本当に剣城はどうしようもないほど兄さんクラスタだな……。


 そこにワンダバから叱咤(しった)の声が飛ぶ。危険がどこに待ち受けているか分からない世界なのだから、警戒を喚起する彼の言い分は一理ある。だがワンダバは自分が一番最初にその警戒心を台無しにする名人でもあった。

 石ころにつまづき、坂道を転がり落ちていくワンダバ。天馬たちが駆け寄るが、その表情が恐怖に染まる。ワンダバの後ろには凶暴な肉食竜・ティラノサウルスの姿があったのだ!

 あわてて逃げ出す一行。一番後ろで追われていたはずのワンダバが仲間をごぼう抜きして先頭に立って逃げ出したのは、彼の自分が大事という性格を思えば当然といったところだろうか。

 だが信助が転んで逃げ遅れてしまう。ワンダバと違って親友を放っておけない性格の天馬が駆け寄るが、ティラノサウルスが迫ってくる!



 もうだめだ!! と思われたその時、何者かがティラノサウルスに体当たりして天馬と信助を救う。さらに襲いかかろうとするティラノサウルスに対し、威嚇(いかく)するかのように大声を張り上げる少年の姿が!!




 ???「がおおお〜〜っ!!!」


 その剣幕にティラノサウルスも恐れをなして逃げていく。一連の流れに圧倒され、さらに何が起こったのかを把握しきれない天馬たちは驚愕の表情を浮かべたまま声もない。


 「に……人間!?」


 そうなのだ。6800万年前には人間など地上に存在してはいなかったはず。なのにそこには人懐っこい笑顔を浮かべた歯抜けの少年が佇(たたず)んでいた。

 恐竜を乗り物のように使って天馬たちを救った謎の少年の正体に関心を寄せる一行。少年は自らを「トーブ」と名乗る。



 恐竜時代にいた謎の少年、トーブ(CV:ゆきじ)。


 言葉を喋(しゃべ)ったことに驚く一行をよそに、トーブは鼻を鳴らして天馬たちのにおいを嗅(か)ぎ始める。そして感極まったかのようにまた一声吠え、ゴリラのようにダンスを踊り始める。何か嬉しいことでもあったのだろうか? 山の天気と原始人の心境だけはよく分からん。

 トーブは自分と似た姿、においの生き物である天馬たちに興味を抱いたらしい。似た生き物に初めて会ったという彼の言葉を信じるとすれば、やはり彼以外の人類はこの地上に存在してはいないということになる。

 トーブは天馬たちを自宅に招くと言い出し、先に走り出す。圧倒されっ放しの一行だったが、神童の提言もあってとにかくついて行くことにした。



 けわしい山道を駆け上がっていくトーブを追う天馬たちだったが、彼のその脚力、膂力(りょりょく)に驚かされる。さすがはこの時代に生きる野生児、スポーツで鍛えた雷門の選手たちですら及びもつかない身体能力だった。


 山頂部分でトーブに追いつくが、その先は足場のない崖(がけ)であった。先に進むのは無理に思えたのだが、トーブは友人の力を借りると涼(すず)しい顔だ。

 トーブの口笛を合図にその場に現れたのは巨大な首長竜(くびながりゅう)だった。首長竜アラモサウルスはトーブの頼みを聞き入れ、向こう岸まで渡るための足場変わりの役を引き受ける。

 おっかなびっくり、生き物の橋を渡り始める一行。足場とはいえ落ちてしまえばその高さゆえ、命は無いものと思われる。だが憧れの恐竜の背中にいるということが嬉しくて仕方がないのだろう、信助が感極まって恐竜の背中に抱きついてしまう。

 だがはしゃぎすぎた報(むく)いだろうか、信助は背中から滑り落ちてしまう。危ういところを機転を利かせたアラモサウルスの尻尾に助けられ、事なきを得る。



 なんとか無事に渡り終えた一行。トーブは自生している果物の実をアラモサウルスに与え、その労に報いる。恐竜と友達関係にあるトーブを信助は憧れの視線で見つめる。

 その後も色々な恐竜の力を借りて道なき道を一行は進み、そしてようやく、高地にあるトーブの自宅に到着する。



 トーブ宅。右後方に気になる物体がある。もしかしたら彼はあのカプセル状の物体でこの時代に来てしまった(送り込まれた?)のかもしれない。


 ここに一人で住んでいると思われたトーブだったが、実は彼は父と同居していると言う。ひょっとして他にも人類が……? と思われたが、トーブに呼ばれて出てきたのは翼竜ケツァルコアトルスだった。ちなみにその名の語源となったケツァルコアトルとはアステカ神話に出てくる羽の生えた蛇の姿の神。


 錦「け、ケツが割れとるっす……!?」
 神童「……ケツァルコアトルスだ!」



 そして天馬たちを歓迎しての夕食の宴が開かれる。



 内容は卵と果物とキノコと、何やらシチューのようだ。鳥類はジュラ紀から存在したようなので卵は恐竜のものではないのかもしれないが……。


 トーブはこれまでその必要がなかったからなのだろうか、他人の名前を覚えるのが苦手なようだ。天馬をトンマ、信助をゴンスケと呼び間違える。

 食べられるのかどうか分からない不気味な食事を前に、みんな食べるのを躊躇(ちゅうちょ)する。覚悟を決めて果物に齧(かじ)り付いた錦はその味を気に入り、トーブに言われるまま(名前は間違われていたが)、中央の種子部分を口に含む。


 錦「すっぺぇええぇ〜〜!!」


 どうやらその部位は梅干しのように酸っぱい味がするらしい。錦の狼狽(ろうばい)ぶりを笑って見ていたトーブは自分もそれをほおばり、錦と一緒にすっぺー踊りを踊るのだった。



 アホのような展開についていけず、度肝を抜かれる一同。あの黄名子ですら毒気を抜かれてる印象。


 食事が終わる頃には太陽はすっかり西空に傾いていた。神童は改めてトーブがここにいる理由を尋ねる。本来人類がいるはずのない時代という説明がトーブには理解できない。彼にとっては物心ついた時からずっとこの環境で暮らしているのだろう。父ちゃん(ケツァルコアトルス)の卵から産まれたと言ってきかない。

 疑われていると感じたトーブはその卵を見せてやると言って立ち上がるが、父ちゃんが踏んで壊してしまって今は無いらしい。

 次はトーブが天馬たちに質問する番だった。どこから来たかを問われた神童は直接その質問には答えず、恐竜を探しに来たと目的のみを告げる。いつものように未来から来たといってもトーブに伝わるはずはないだろうし、まぁ仕方がない。

 天馬が後を継ぎ、ティラノサウルスよりも強い恐竜を知らないかとトーブに尋ねる。だがティラノサウルスという名称をトーブが知るはずがない。「ティラノサウルス(暴君竜)」という名前は未来に化石を発掘した人類が名づけた名称だからだ。信助からそう聞かされ、天馬は納得する。

 だがトーブから意外な返答が帰ってくる。彼はティラノサウルス(という名称)を知っていると言うのだ。そしてティラノサウルスはそれほど強くないとこれまた驚愕の発言。

 ティラノサウルスは最強の恐竜だという認識はトーブによって否定される。大介が言っていた通りまだ現代人の知らない、より強い恐竜がいたようだ。脳内ソースだったはずなのに。

 トーブによるとその恐竜の名は「ロックスター」。この界隈(かいわい)の恐竜のボス的存在だという。それを聞いて大介は、それこそが求めるオーラの持ち主だと興奮した口調で語る。

 その恐竜を知るトーブに案内を頼む天馬。トーブは快く引き受けるのだが、満腹して眠くなっていた彼は会話が終了する間もなく一瞬で寝てしまう。のび太もびっくりの速さだった。


 道を知る案内人が寝てしまい、さらに天馬たちも長旅と慣れない環境に疲れていた。今夜に目的を果たすことは諦め、ロックスターの元に向かうのは明日にしようとフェイが提案する。

 天馬たちは野宿の覚悟だったが、トーブの父ちゃんがその嘴(くちばし)で、穴に葉を敷き詰めた場所をしきりに指し示す。その姿は「ここで寝ろ」と言っているようだった。



 その寝床に最初に飛び込んだのは、やっぱり信助だった。


 横穴になっている空間にも葉っぱが敷かれていることを見つけた黄名子によって、女子4人はそこを寝床と定める。古代では太陽が地平線に沈めばその一日は終了だ。一同は寝床につき、安らかな寝息を立て始める。

 だがフェイとワンダバの2人はまだ起きていた。彼らはこの地で出会ったトーブの存在がどうしても納得行かなかったのだ。彼の存在を、エルドラドが仕組んだ罠ではないかと警戒するフェイ。ワンダバはアルノ博士に調査を依頼することを期する。

 鼻ちょうちんをふくらませてのんきに眠るトーブの表情、そこには邪気というものは感じられないことにもフェイは気がついていた。果たしてトーブは敵か味方か……?



 それらすべての様子は、エルドラドの監視下にあった。トウドウもこの時代に人間がいることに驚いていた。つまりトーブの存在はエルドラドの仕組んだものではないということになる。トウドウはトーブのことを調査するよう部下に命じる。フェイの側も、エルドラドもその正体を知りえないトーブとは、一体……?



 月がまだ空にある中、トーブは何かしようとしていた。頭上を翼竜が飛ぶ。彼が父と呼ぶ翼竜の身体に触れることが出来れば、彼を大人として認めるという儀式が行われるらしい。



 翼竜の高度が下がった一瞬をトーブは見逃さない。勇躍飛びついて触ろうとするが、その手は空を切り届かずに落下してしまう。トーブは何度も挑みかかるが、すんでのところで届かない。翼竜も父の厳しさだろうか、羽ばたいてトーブを吹き飛ばし、容易に近づけようとはしない。

 父ちゃんには勝てないと諦めてしまうトーブ。強い敵が現れたら父ちゃんに守ってもらうと笑うが、翼竜はその態度を戒(いまし)める。翼竜はトーブが大人になる試練を乗り越え、自分の力で強い敵に立ち向かえるよう独り立ちして欲しいと思っているのだが、トーブにはその思いが伝わらない。



 同じ頃、ユニフォーム姿に戻ったフェイが闇夜の中、5人のデュプリを召喚してサッカーの特訓に打ち込んでいた。彼のミキシトランス・ティラノは3人までデュプリをかわすが、4人目と5人目のアタックはかわせなかった。



 やはりティラノサウルスのオーラでは力不足なのだ。フェイはもっと強くならなければサッカーを守れないと強い焦燥感(しょうそうかん)に駆られる。


 フェイ「僕にはサッカーだけなんだ!!」


 以前も言及していたが、フェイにとってサッカーとはすべてであり、好きとか嫌いとかいった感情では言い表せないほどのものらしい。

 そんなフェイに天馬から声が掛かる。寝床を抜け出して一人特訓に励んでいたフェイに協力するため、手伝いにやってきたのだ。フェイは軽い感動を覚えつつ、天馬に感謝する。

 その2人が激しくボールを奪い合う姿を草葉の陰から見つめていた人物がまだあった。それは黄名子だった。フェイと同じくこの時代に賭ける思いの彼女は、2人のサッカー愛を確認して安心したかのように笑みを浮かべる。



 翌日、古代の起床時間は日の出とともに訪れる。まだ眠そうな天馬たちをトーブが大声で起こす。女子たちも目を覚ますが、茜は隣で寝ていたはずの黄名子が汚れて泥だらけの状態であることに気付く。



 水鳥から寝相が悪いと茶化されて照れ笑いを浮かべる黄名子。だがおそらくこれは深夜に一人で特訓を行い、それを笑いでごまかしているのだと思われる。フェイの頑張りに触発されて、黄名子も頑張ったのだろう。ただ黄名子のことだから、本当に寝相が悪くて泥だらけになった可能性も否定しきれなかったりしてな。



 そしてトーブの案内でロックスターが棲(す)むという「獣の谷」を訪れた一行。ロックスターの巨大さを聞かされている蘭丸が、危険はないのかと問う。トーブは自分の友達だから大丈夫と軽く返答する。

 一行は獣の谷の洞窟を目指して進む。険しい崖を登り、狭い岩の割れ目を通り過ぎるが、目的地はまだ先らしい。疲れてグロッキー状態の現代っ子たちを尻目に、トーブは目前の岩山をスルスルと登っていく。


 剣城「まるで恐竜だな……」


 岩山の頂(いただき)から天馬たちを遅いと揶揄(やゆ)するトーブに、太陽が残りどれぐらいでロックスターの洞窟にたどり着くのかを尋ねる。トーブの「(これで)半分」という言葉を聞き、速水がヘナヘナと力尽きて座り込み、休憩を要求する。



 トーブ「だらしねぇぞ、ナヤミィ〜!!」
 速水「速水ですっ!!」


 確かに速水は悩み多き男だが……。


 なし崩し的に休憩タイムとなったらしい。疲れながらも、恐竜大好きの信助はまだ見ぬロックスターに会えるのが楽しみで仕方がない。その思いを受け、天馬も空を見上げてその恐竜へと思いを馳せる。



 その同じ頃、獣の谷の洞窟に何者かが姿を現す。その少年は機械的に目的地に到着した旨(むね)を誰かに報告し、その洞窟の主(あるじ)に相対(あいたい)する。

 暗闇から地響きを立てて迫ってくる巨大な恐竜を前にして、その無感情な表情を一切崩すことなく、その少年、レイ・ルク(CV:河野裕)はインカムの向こうにいるサカマキからの指示に忠実に従おうとしていた。




 次回に続く



  エンディング



 恐竜時代編、突入。

 すまん、私は恐竜には全然興味なくて今回登場した恐竜もほとんど分からなかった。知識といえば兄さんと博物館に……じゃなくって、ゲーム『DINO CRISIS』を遊んだぐらい。

 だから信助と違ってあまり興奮しなかったのだけど、まぁ一通りは調べてみた。アラモサウルスやケツァルコアトルスといった白亜紀の恐竜ばかりが取り上げられていて、ジャンヌ・ダルク(CV:寿美菜子)のメガネの時と違って今回は時代考証がきちんとなされている印象を受けた。


 今回感じたことをつらつらと。まず3年生がナチュラルにフェイドアウトしていたのはショックだった。受験が近いから、彼らはそちらを優先しているという認識でいいの? ただそれだとまだ2年生の一乃と青山の2人もいないという説明にならないよね……。

 ザナーク・ドメインが敗北し、こちらも一気にフェイドアウトしてしまった。ザナークは再登場する可能性がありそうだけど、彼の友達として登場してたドメインの皆さんはどうなるの? もう出てこないの? それとも一緒に復活? それともムゲン牢獄送り?


 そして今回から最強の敵、パーフェクト・カスケイドの登場。「そういうのがいるんだったらエルドラドも最初からそいつらを使えばいいのにね。天馬たちがミキシマックスで強くなる前に差し向けていれば圧勝だったんじゃね?」……というツッコミは無粋(ぶすい)なのでしてはいけない。訓練に時間が掛かっていたんだよ、きっと。



 いよいよそのベールを脱ぐエルドラド最強のチーム「パーフェクト・カスケイド」の面々。全員が無表情で、不気味な印象。ザナーク・ドメインが表情豊かだっただけにその落差が大きい。いきなり全員がエンギル(CV:江口拓也)になっちゃったような違和感。


 あとはもう定番になってしまった感があるけど、フェイのこと。歴史改変のためにエルドラドの打倒を強調したフェイの説は一理あるのだが、予断を持って見てみると、フェイの目的は歴史を守ること以上にエルドラドの打倒にあるのではないかと思わせる描写だった。

 つまりやはり彼はセカンドステージチルドレンの一員で、エルドラドは自分たちの野望を阻止しようとする障壁であり、サッカーは彼らの世界支配のために必要なツールであるという、私が2話の頃から抱いている仮説だ。

 まぁこれが当たるかどうかは分からないけど、フェイの真相はザナークとともに行動していると思われる謎の少年(CV:岡本信彦)と謎の老人(CV:家中宏)の動向と関連していくのではないかと睨んでいる。



  次回「見たか!恐竜の王!!」に続く。



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