『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第28話「サッカー対決!坂本VS沖田!!」の感想 【2話構成の前編】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第28話「サッカー対決!坂本VS沖田!!」を観ての感想を書く。


 今回は1時間ぶっ続けのイナズマ放映「秋だ一番!イナズマ祭り 1時間特大スペシャル」だった。私がイナズマ感想文を書き始めて初の2話同時放映となった今回、この感想文も2回に分けて記事にしようと思う。前回も書いたが一気に書くと私が物理的に死にそうだし、ブログの文字数制限も気にかかる。

 申し訳ないのですが今回はその辺をご考慮ください。今週はアニメ感想分を2回書くという久々にハードな一週間になりそう。ブログのネタ的には助かるんですけどね。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第27話「幕末の剣士!沖田総司!!」の感想 【龍馬さんフォトショ修正疑惑浮上】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

 で、一覧表示されます。

 時空最強イレブンの能力を得るため、やって来た幕末の1867年の京の街で坂本龍馬(CV:千葉進歩)と沖田総司(CV:梶裕貴)に出会った松風天馬(CV:寺崎裕香)たち雷門の一行。ただその2人は日本の未来のあり方について全く逆の考えを持ち、お互いに敵同士の間柄だった。

 龍馬は天馬の協力要請に快く協力を約束するが、錦龍馬(CV:岩崎了)とのミキシマックスは残念ながら失敗に終わる。一方沖田は結核に冒(おか)された身の上をザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)の奸計(かんけい)に利用され、ザナーク・ドメインに協力して雷門、そして龍馬を打倒しようと図る。

 戦いに勝利を収めた雷門だったが、「幕府のために龍馬を斬る」という沖田の固い決意を翻意(ほんい)させることが出来なかった。死に至る病を抱え、自分の命がもう長くないことを悟る沖田の意志は強く、天馬たちはその後ろ姿を見送るより他はなかった……。


 そこに龍馬の同志、中岡慎太郎(CV:泰勇気)が駆けてくる。龍馬を探しにやって来たのだが、その龍馬は大事な用件とやらで少し前にこの場を去っていた。中岡は龍馬の相変わらずの軽いフットワークを苦々しく思う。新選組に出くわしたら大変な目にあうということを心配したのだが、実は龍馬はそれどころではない暴挙と言ってもよい行動に出ていたのだ。


 その龍馬、大きな城門の前に仁王立ちしていた。そこは二条城。先代将軍・徳川家茂の頃より二条城は京都滞在の際の将軍家の宿所にしている場である。つまりそこは京における幕府の総本山であり、倒幕派の龍馬にとっては敵地の真っ只中に姿を現したということになる!

 当然の如く城門を警護する門番の兵士が身構える中、龍馬は土下座して時の将軍、15代目徳川慶喜に目通しして語らねばならないことがあると言う。これはまさに直訴(じきそ)であった。



   オープニング



 そんなことを知らない天馬たちは中岡の招きで龍馬たちの宿所に案内されていた。坂本龍馬を心から尊敬し心酔する錦は大はしゃぎだ。



 はしゃぎまくる錦。瀬戸水鳥(CV:美名)が呆れたように諌(いさ)めるが、その姐さんも新選組の屯所に入れたとしたらこんなふうにはしゃいでいたと思われ。


 皆にお茶を淹(い)れて、ここで龍馬を待つと良いと語る笑顔の中岡。素っ頓狂(すっとんきょう)な性分の龍馬が時勢を引っ張ることが多い分、こういう常識人が抑え役を引き受けていたことが維新達成には有用だったに違いない。

 だが素っ頓狂な人間は実は雷門イレブン内にもいるやんね……。



 ↑ この中岡の顔……。

 「いい天気やんね〜♪」


 こんな陽気な気候に窓を締め切っているのはもったいないやんね、と菜花黄名子(CV:悠木碧)が障子を開けるが、中岡はあわててそれを止める。倒幕派の彼らは常日頃、新選組など佐幕派(さばくは:幕府を助けて維新に反対する勢力)から命を狙われている。ここに潜伏していると明かすのはまずいのだ。

 中岡に戒(いまし)められて反省する黄名子。だがその中岡の説明を台無しにするような勢いで、龍馬が大声を上げながら帰ってくる。問題児だらけだな……。中岡もいろんな方面に気を回さないといけないので大変だ。

 どこに行っていたのかというフェイ・ルーン(CV:木村亜希子)の質問に、龍馬はこともなげに二条城と返答し、天馬とフェイをおおいに驚かせる。


 だがせっかくの命懸けの行動だったものの、結局面会は失敗に終わったらしい。龍馬は土下座して面会を願った後、脇差しを地面に置いて丸腰であることを示し、再度将軍に会わせて欲しいと門番たちに頭を下げた。だが門番たちは聞き入れず、龍馬を捕らえようとしたので逃げてきたと言うのだ。


 淹れたてのお茶を飲みながら語る龍馬の話に聞き入る面々。想像を超える龍馬の行動力に中岡は呆れつつ、いきなり将軍に会いに行った理由を尋ねる。

 龍馬はこの日本という国を世界に誇れる素晴らしい国にするためなら何でもすると事も無げだ。おそらく幕府の実権を握る慶喜を説得すれば事は一気に進み、内戦などをせずとも日本を近代化させることが出来ると踏んだのだろう。

 しかし結局は慶喜に会うことも叶わなかったことを龍馬は悲観する。一介の素浪人が天下の将軍に会おうということ自体がそもそもかなり無理のある話、その上龍馬は幕府を転覆しようと画策する立場の代表格なのだ。おのれの置かれた立場の限界を感じ、ごろりとその場に横になった龍馬を見て、空野葵(CV:北原沙弥香)も掛ける言葉が見つからない。

 煮詰まったような雰囲気が漂(ただよ)うその場で、名案とばかりに天馬はサッカーの練習をしないかと龍馬に声を掛ける。きっと気分が晴れるという提案だったが、天馬くんは煮詰まるとサッカーをしようと言い出す癖があるよな。



 一方、新選組の屯所の一角では、病床に伏した沖田が苦しそうに咳き込んでいた。

 呼吸をすることすら困難な状態のその沖田に、非情にもそれが限界かと声を掛ける男の声。それは近藤勇(CV:井上優)に成り代わって新選組を支配するザナークからのものだった。



 沖田は臆することなく幕府を守るため龍馬を斬るまでは死んでも死にきれないと勢い込むが、やはりサッカーで身体を酷使した後遺症が出ているのだろうか、再び胸を押さえて咳き込んでしまう。


 ザナーク「そう言うと思ったぜ!」


 決めゼリフを吐き、ザナークはまたもその力を沖田に与えると言ってその目を怪しく緑に輝かせる。この男はまたも沖田を自らの野望のために酷使するつもりなのだろうか……。労咳(ろうがい)にやられ、余命幾ばくもない沖田を使命感をダシに良いように利用するザナークはやはり悪だと言わざるを得ない。



 その頃、天馬たちは前回サッカーバトルを繰り広げた神社脇の広場でサッカーの練習に興じていた。やっぱり天馬くんの意見が通ってサッカーやっとったんかい。

 天馬のパスを受け、龍馬は空中に浮かせたボールを豪快にボレーする。キーパーである西園信助(CV:戸松遥)がたじろいでしまうほどの強烈なボレーシュートだった。異様な速さでサッカーが上達する龍馬を、ただでさえ彼を尊敬する錦が褒めちぎる。龍馬も褒められてまんざらでもなく得意げだ。

 その姿を見つめながら、剣城京介(CV:大原崇)は沖田のことを考えていた。ミキシマックス候補である錦と龍馬は意思の疎通をうまく行かせているように見える。剣城が自らとミキシマックスするべき対象である沖田のことに意識を飛ばすのは分からないでもない。

 ザナークに利用され、ボロボロの状態になっていようとその信念を貫くために命を賭けて龍馬を討つと語った沖田の横顔に、敬愛する兄・優一(CV:前野智昭)の姿を見た思いの剣城。

 思いつめるように考え事にふけっていた剣城に、それを案じたフェイが声を掛ける。だが剣城はごまかしてその場を立ち去ってしまう。


 すればするほど上達し、面白くなっていくスポーツ。サッカーによって気分転換を図れた龍馬は天馬にお礼を言う。だがそこにまたも中岡が駆けてくる。見ると何やら手紙のようなものを持っている。それは幕府から龍馬に宛(あ)てて書かれた書状だった。

 書状を一読して、龍馬の瞳がキラキラと輝く。何と、あれだけ会いたいと焦がれていた慶喜が会ってくれるという内容だったのだ。天馬は素直に喜ぶが、中岡はその書状が龍馬をおびき寄せるための罠であると見当を付ける。

 だが龍馬はそれでも行くと言う。慶喜に自分の意見を伝える、これが最初で最後の機会だということを自覚する龍馬は、たとえ罠でも向こうからの招待を蹴るつもりにはなれなかった。その態度は日本のために命を賭けるという彼の思いが嘘ではないという証明だった。いざという時はその腹でまた撃退してやると余裕を見せる。

 それを受け、フェイが何かを思いつく。彼の提案は一同を驚かせるものだったが、フェイはこれしか他に手がないと語り、その案に同意を求める。



 二条城では、将軍慶喜新選組で一番の剣の腕前として名高い沖田を招集していた。



 徳川慶喜(CV:不明)。江戸幕府最後の将軍として有名。当初は倒幕派と鋭く対立したが、後に朝廷と幕府の2つに分かれていた権力対立を解消するために大政奉還を認めた。ただその後もすべての権力を返上することを拒み、明治政府軍と戦う(戊辰戦争)が敗れ、ここに徳川幕府は終焉する。明治維新後は公爵の位を授かり、貴族院議員となり大正時代まで長生きした。享年76。なお徳川家は現在も多数の子孫が各方面で活躍している。


 慶喜は沖田を呼んだ理由を、龍馬を殺害するためだと説明する。彼は沖田を含め、城内に多くの剣士を配置して龍馬が大広間にいる慶喜に会う前に斬ることを計画していたのだ。罠だという中岡の読みは正しかったようだ。

 沖田にも龍馬を斬る役どころを与え、その働き如何(いかん)によっては新選組への対応も改めると慶喜は告げる。新選組はこの時期、会津藩の預かりとなっており正式な組織と認められてはいなかった。幕臣に取り立てられれば、組織としての新選組も安泰となる。おのれの仕事ぶり次第で新選組全体を守ることにつながるという話を、沖田は緊張の面持ちで聞いていた。



 重い病に冒されながらも、新選組のためにも頑張らなければならない……。


 新選組のエースまで動員し、ここを龍馬の墓場にする気満々で邪悪な笑みを浮かべる慶喜だったが、その時広間の前に広がる中庭が眩(まぶ)しく光り始める。

 何と、空からキャラバンが降下してくる! フェイが考えた罠を乗り越えるための提案とはこのことだったのだ。時代性を無視し、こんな超未来のテクノロジーで乗り込んだことにはKYで知られる天馬ですら「無茶だったのでは?」とフェイを咎(とが)めるが、フェイは笑ってごまかす。



 配置された多くの刺客を一気に飛び越え、慶喜の眼前にいきなり現れた龍馬、そして雷門の面々。


 沖田がそこにいることに天馬たちは驚くが、彼もミキシマックス対象なのだから、この後の展開を考えるとかえって好都合だったかもしれない。龍馬は面会を許してくれた慶喜に感謝の言葉を述べる。機先を制するようなその言葉を受け、命を奪うつもりでいた慶喜はたじろぐ。

 さらにフェイが物陰に潜む剣士たちに聞こえよがしに、龍馬に何かあれば自分たちはすぐにキャラバンに乗って逃げ出すと大声で告げる。これが慶喜の仕掛けた罠だったとしたら、こんな騙(だま)し討ちをする幕府のことを誰も信用しなくなるだろうと笑顔で告げるフェイの言葉を前にして、慶喜に入れ知恵していたであろう家臣は二の句が告げない。



 キャラバン内でやはり罠だったことを確信する狩屋マサキ(CV:泰勇気)と影山輝(CV:藤村歩)。仮にここで龍馬を斬り、天馬やフェイを捕らえたとしてもキャラバン内の彼らが逃げ出して生き証人として幕府の卑怯さを喧伝(けんでん)することになる。彼らの存在は幕府に卑怯なことをさせないための担保なのだ。


 幕府側の思惑を封じた後、天馬は龍馬の話を聞いて欲しいと頭を下げる。こうなってしまっては、慶喜も(とりあえずは)話を聞かないわけには行かない。手短かに話せと会談をOKしてしまう。沖田は納得がいかないが、将軍の意思を前にして何が出来るわけもなかった。

 発言の機会を得た龍馬は時を無駄にしない。即座に核心である「大政奉還」を説く。天下の将軍を前にして、その将軍が将軍である証(あかし)の権力を手放し、朝廷に返還せよと迫ったのだ。

 この「大政奉還」、歴史の授業で言葉だけは誰もが知るものだろう。信助はその言葉を聞き驚く。彼らはまさに歴史の教科書に載るような話の場面を目の前にしているのだ。


 錦「とんでもない瞬間に立ち会ってるぜよ〜、ワシら!」


 鎖国を止め(開国論)、みんなが平等の社会を作り(四民平等)、日本人が一つになることで、外国勢力に負けない強い国「ニッポン」が誕生すると、龍馬は持論を滔々(とうとう)と述べる。

 その先進的な思想は、特にこの時代に四民の中でも最上位に属した武士階級の理解がなければ実現は不可能だ。慶喜はその意見を戯言(たわごと)と一蹴(いっしゅう)し、龍馬を土佐の田舎侍と罵(ののし)る。その言葉は龍馬本人よりも、龍馬を崇拝する錦を怒らせる。


 だがそこにさらなる珍客が来訪する。赤いエアバイクを駆ってその場に乗り込んで来たザナークは、驚く慶喜たちを尻目にスフィアデバイスの黄色のボタンを起動させる。それはマインドコントロールモードへのいざないだった。

 洗脳された慶喜には、ザナークは近藤勇に見えるようだ。ザナークは「俺に考えがある」と将軍にタメ口で語り始める。近藤であったとしても将軍にタメ口はダメやんね。

 大政奉還を賭けてサッカーで勝負するというザナークの提案に、敵味方とも緊張が走る。勝てるのかと問う慶喜の側近だが、どうしてサッカーというものを知ってるの? 洗脳された時にインプットされてるのかな?

 自信満々のザナーク(=近藤)の態度に気を強くした慶喜は、その提案を受け入れる。そして龍馬に、この試合に勝てば大政奉還を認めると告げる。殺し合わずに話がまとまることを望んでいた龍馬にもちろん異存はない。そしてそれは雷門の全員にとっても望むところの話なのであった。



 サッカーバトルで大政奉還という歴史に関わることに意気込む雷門メンバー。その表情は緊張や笑顔などまちまち。だが狩屋だけは邪悪そうな表情。狩屋、それ味方の顔やない。ザナーク・ドメイン側の顔や。


 その場に反対者はいない。ザナークは安心してスフィアデバイスのフィールドメークモードを駆動して、中庭にサッカーグラウンドを描き出す。そして同時に、その時を待っていたかのようにザナークの後ろに現れるザナーク・ドメインの面々。



 ザナーク・ドメインの連中といつの間にか同じユニフォームに身を包んでいた沖田に向かい、慶喜はお前も出場するのかと問いかける。沖田は一礼し、命が尽きたとしても必ず幕府を守ると誓いを立てる。沖田の幕府に対するその忠義の様子を、剣城はじっと見つめていた。



 試合の前に、この戦いが大政奉還の懸かった大事な試合であることを雷門一堂に告げる龍馬。気合が入る雷門だったが、ザナーク・ドメインサイドのベンチからそうはさせないと沖田が鋭い眼光を向けてくる。睨み合う両者。それは日本の未来を幕府のまま託すのか、それとも新しい体制に賭けるのかという両者の思惑そのままに熱いものであった。

 その熱気に感化されたのか、クラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)がまたも興奮のポストペット状態で叫ぶ。その表情は邪魔者がいなさそうな今度こそ、監督が出来るという喜びに満ちていた。

 だが龍馬と天馬は当てつけるかの様に中岡に監督を頼み、中岡も快くそれを引き受ける。椅子から転げ落ちる哀れなワンダバ……。



 天馬はいつまでワンダバのウブな心を弄(もてあそ)ぶ気なんだ? それにしてもサッカーのことが全然分からなさそうな中岡が監督で良いのかな? 誰からもクレームがなさそうなんだけど。



 そして哀れといえばこの男、海の家の拉致(らち)られ野郎・矢嶋陽介(CV:佐藤健輔)も負けてはいない。ゴーヤチャンプルーという沖縄らしい料理を作る最中に例によってザナークに拉致されてしまう。嫁(CV:佐々木日菜子)の彼に対する信頼度は毎分のように下がり続けている。



 今回は暴れん坊将軍的な衣装を身にまとって現れた矢嶋。この戦いが大政奉還を賭けての戦いで、徳川慶喜が観戦しているということまで一瞬で理解していた。ザナークの洗脳はすごいなぁ(棒)。




 恒例の、試合開始直前の両チームの布陣。雷門は典型的な3−5−2のスタイル。29番、お肉の龍馬は攻撃的MFの位置にポジショニングされている。確かにオーバーヘッドキックやボレーシュートを見れば、彼はどちらかといえば攻撃向きだろう。彼の加入により輝がベンチウォーマーに回る。78番の黄名子は相変わらず便利屋的にDFで起用されている。本来はエースストライカーのはずなのにねぇ……。

 一方のザナーク・ドメインは3−4−3の攻撃的布陣。エースストライカーのポジションにはザナーク。17番、沖田が加入することにより、シュラ(CV:奈良徹)が補欠に回る。



 そして矢嶋の吹く法螺貝(ほらがい)が試合開始を告げる。ザナーク・ドメインのボールでキックオフ。11番、ラセツ(CV:金野潤)からボールを受けたザナークは不敵に笑い、8番のゴブリス(CV:ゆりん)にパスを送る。空中でそれを受けたゴブリスは、着地と同時に5番、エンギル(CV:江口拓也)にパス、その後もノートラップでの見事なパス回しが続く。その一連の動作はあまりにも素早く、雷門は対応が追いつかない。

 7番のシンジャミ(CV:斎賀みつき)から沖田にパスが送られる。阻止しようと動くのは龍馬だ。龍馬には負けられないとライバル心を燃やす沖田は龍馬をかわして前進する。その動きはかつて見た動きに一層の磨きがかかっており、ザナークが強力な力を与えたことが想像された。

 しかも今度の沖田はチームプレーにも徹する。ラセツにパスを渡したのだ。ラセツを経由してボールはザナークに渡る。ザナークは早々に必殺シュート「ディザスターブレイク」を放つ。



 カバーに入った黄名子と霧野蘭丸(CV:小林ゆう)が簡単に吹き飛ばされてしまう。だがかつてはそのシュートを恐れた信助は物怖じすることなく、立ち向かう勇気をくれたその人物のオーラをまとって対抗する。



 「ミキシトランス・劉備!!」


 だがザナークもパワーアップしていた。かつては止められたはずのシュートはミキシトランス状態の信助を吹き飛ばし、彼ごとゴールネットを揺さぶってしまう。



 試合開始早々、先制したのはザナーク・ドメイン。しかもゴールこそザナークが奪ったとはいえ、ゴール前までの見事なパスワークはドメインのメンバーがまんべんなく動いてのチームプレーだった。これぞチームとしての初の本領発揮と言えよう。

 ザナーク・ドメインの優位に、慶喜はわずかにその表情を緩める。


 雷門ゴール前では鉄壁だったミキシトランスを破られ、信助が茫然自失状態だった。ミキシマックスをも打ち破るザナークのパワーにフェイは戦慄(せんりつ)を覚える。



 試合再開、今度は雷門のボールでのキックオフだ。だがフェイの持つボールをすかさずザナークが奪いに来る。あっさりとボールを奪ったザナークは余裕の笑い声を上げ、雷門を罵(ののし)る。

 そして更に余裕を見せるためであろうか、沖田、ラセツ、6番のメイズ(CV:吉野裕行)、ゴブリスの4人だけに攻撃を命じる。舐められた戦略に怒りに燃える雨宮太陽(CV:江口拓也)が立ちはだかるが、ゴブリスは難なくかわして行く。たった4人に蹂躙(じゅうりん)される雷門守備陣。



 手も足も出ない状況に業を煮やした錦がメイズに向かうが、必殺ドリブル技「バンジースラスト」で蹴散らされてしまう。



 錦をかわしたメイズは沖田にパスを送る。受けた沖田は、直後に苦痛に顔を歪めて胸を押さえる。進行する肺病の影響は大きく、ザナークの与えた術ですらその苦痛は取り除けなくなって来ていた。苦しむ沖田の様子に気づいた剣城。

 さらにそこに龍馬が大声で沖田に迫る。病を押して幕府にこだわる沖田の態度を見るに見かねての行動だった。幕府を守ることが新選組の、そしてこの国を守ることにつながると盲信する沖田は龍馬を振り払って前進しようとする。

 だがそれを絶妙のタイミングで、絶妙の挑発技で阻止する黄名子ちゃん。



 「もちもち黄粉餅〜!!」


 そのカットを天馬に褒められた黄名子は嬉しそうにその天馬にパスを送る。受けた天馬は自分たちも大事なもの、サッカーを守るために戦っているのだと、その戦いに臨む者の意志を示す。それは敵方に立っている沖田の心にも伝わる。

 天馬はさらに前線のフェイに大きくボールをフィードする。受けたフェイはミキシトランス・ティラノ状態となってドメイン陣内を駆け上がる。だが3番、ヤシャ(CV:佐々木日菜子)の必殺ブロック技「スクリュードライバー」にはじき飛ばされ、ボールを失う。今回は敵側に多くの新必殺技が見られて嬉しい。


 ただこぼれ球にいち早く追いついたのは剣城だった。剣城はここでテレビ初公開の必殺技「デビルバースト」を撃つ。ゲーム版『イナズマイレブンGO』では彼の最強の技だ。



 だがキーパーのシュテン(CV:佐藤健輔)の必殺技「サンドカッター」によってそのシュートは阻止されてしまう。悔しさに歯噛みする剣城。




 ザナーク「今度は全員で遊んでやるぜ!」


 威圧するかのようにそう告げるザナーク。剣城のシュートを止めたばかりのキーパーのシュテンもこの一斉写真のポーズを取るためにわざわざ前に出てきたのか?


 4人ですら対策が難しかったというのに、今度は全員で掛かってくるというのだ。一斉攻撃を示唆するその言葉は、雷門陣営を萎縮させる。そしてその言葉通り、全員で掛かってくるザナーク・ドメインに雷門は完全に防戦一方になってしまう。

 押されまくる展開ながら、天馬の、そしてフェイの目はまだ死んでいなかった。龍馬は彼らのその頑張りに感銘を受ける。そして自分も負けられないとばかりに、沖田のドリブルをスライディングでカットする。


 ピンチをしのいだ雷門だったが、沖田がその場にうずくまってしまう。もはや彼の身体はサッカーという激しい運動をすることで悲鳴を上げていたのだ。

 敵ながらその容態を心配する天馬や龍馬だったが、慶喜はこともあろうに自分のために命を賭けて頑張っている沖田に対し、あくびをして沖田を蔑(さげす)む。

 勝てるのかと他人事(ひとごと)のように問う慶喜に対し、沖田は無理を押して立ち上がり、必ず幕府を守ってみせると忠義心篤(ちゅうぎしんあつ)く返答する。その姿に、剣城はまたも兄の姿を垣間見る。



 剣城「兄さんと同じだ……」


 沖田の執念に絶句するフェイに対し、剣城はそうつぶやく。


 そして試合が再開される。エンギルからパスを受けた沖田の前に立ちはだかり、剣城は沖田が命を賭けて戦うなら、自分も全力でぶつかると宣戦布告のように宣言する。その意気に自分と同様に譲れないものがあると感じた沖田は一瞬笑みを浮かべ、「望むところだ!」とばかりに剣城を真正面から抜き去る。抜かれながらも剣城は後を追い、食い下がる。


 沖田の意志の強さを気迫から感じる剣城。その沖田の姿こそが6の力「稲妻のように鋭く切り込む疾(はや)さ、電光石火のスピードストライカー」であると、クロノ・ストーン状態の円堂大介(CV:藤本譲)は改めて評する。

 沖田からザナークへ。ザナークは自らが決めると思われたが、横にいるラセツにラストパスを送り、決めるよう指示する。ラセツは必殺シュート「オーガブレード」を雷門ゴールめがけて撃ちつける。



 信助は今度こそはと、化身「護星神タイタニアス」を召喚し、すかさずアームドする。珍しくシュートが到達する前に化身アームドしたのだが……



 ダメだ〜!! さっきの再現のようにゴールネットに撃ち付けられてしまう信助。化身アームドまで通用しないとは……。現在の信助の能力を最大限発揮したミキシマックス、化身アームドのいずれもが破られてしまった。これで試合は0−2と、雷門にとってかなり厳しい展開となってしまう。


 そしてそこで前半戦終了の法螺貝が鳴り響く。その瞬間、糸が切れた人形のように沖田が力尽き、膝を地に付ける。胸を押さえてこれまで以上に苦悶(くもん)の表情を浮かべる沖田。

 それでもなお立ち上がろうとする沖田だったが、慶喜も、そしてザナークももはや病身の沖田を見切っていた。ザナークは沖田に終わりだと告げ、非情にも背を向ける。それは後半戦ではもう沖田を使うことはないという意思表示だった。

 命を賭けての戦いに一方的に終了を告げられて肩を落とす沖田のもとに駆けてきたのは、敵である剣城だった。



 志(こころざし)半ばで倒れた自分の無念さを告げる沖田に、剣城は彼なりの説得を試みる。「幕府を守ること=この国を守ること」ではないことを説き、幕府に大政奉還を認めさせることこそが日本を救うことなのだと語る。

 そして剣城はこの国の未来からやって来たと真実を告げ、だからこそこの国がどうすれば歴史を誤らないのかを知っているのだと語る。未来から来たなどという話はやはり荒唐無稽(こうとうむけい)だが、自分の目を真剣な表情で見つめる剣城の目はウソを語る人間のそれではないことを、鋭敏な沖田は見抜いていた。

 そして加勢するように龍馬が声を掛ける。沖田が本心では腐りきった幕府を守っても世の中が良くはならないということに気づいているはずだと現実を突きつける。今の沖田はその事実に気づきながら意地になって目を背けているだけだと喝破し、沖田に翻意を促(うなが)す。

 依然その過(あやま)ちを改めることを諦めるかのような沖田に聞いてもらおうと、剣城は語気強く続ける。絶望の淵(ふち)にあろうと決して諦めなかった男……兄の話をしてその男を尊敬しているとも告げる。これは言外に沖田にも自分が尊敬する男のようになって欲しいという剣城の魂の叫びだった。

 そして剣城は自分たちに力を貸して欲しいと熱を帯びた口調で語りかける。だが自分の過ちを薄々認めつつも、新選組の一員という沖田の立場がそれを是(ぜ)とすることをよしとしない。


 「俺は新選組! 幕府を守らなければならないんだ……」


 背負っているものの信念、それを覆(くつがえ)すことはそれまでの沖田のすべての人生を覆すも同然の行為だ。そこまで踏み込むことなど誰にも出来はしない。沖田自身が自分の意思で変えるより他はないのだ。



 フィールドでは、誰もが沖田に掛ける言葉を失っていた……。



 次回に続く



  エンディング



 幕府を守るという使命と、剣城から突きつけられた現実との齟齬(そご)に対し葛藤する沖田の心境を描く第3章。新選組は結局は時宜(じぎ)を逸して賊軍となってしまった経緯は以前書いた。だがそれは剣城のように歴史の成り行きを未来の視点から見ている者だからこそ分かる話であり、新選組が間違っていたとしてもそれをバカにする権利は誰にも無いということも同時に書いた。

 史実では結局沖田はこのことを理解することなく命を散らせたのだが、だからこそ幕府に殉じた男とみなされて現代でも人気があるのではないかと思う。剣の実力では沖田に匹敵すると言われた二番隊隊長の永倉新八も三番隊隊長の斎藤一明治維新後も生き延びたが、若くして散った一番隊隊長の沖田が一番人気なのもなんだか分かる気がする。

 なお新選組の隊士の一部も戊辰戦争に参戦し、その多くは戦死した。中でも最後まで抵抗を続け、函館の五稜郭(ごりょうかく)で戦死した副長・土方歳三は有名。



 土方歳三像。若き日の荒木飛呂彦先生では無い。




 沖田と剣城、意見が分かれたその2人が次回ではついにミキシマックスする! 沖田の心に一定の変化、決着がついたということなのだろう。


 あと今回は歴史の重要な場面に居合わせたと錦が語っていたが、実際は慶喜と龍馬は面会したことなどはない(慶喜が龍馬の存在を知ったのは龍馬の死後、明治時代に入ってから)。坂本龍馬という人物はあくまでも維新の裏方であり、表立っていたのは薩摩の西郷隆盛、長州の木戸孝允桂小五郎)という大きな藩の重鎮たちだったのだ。

 シャルル王太子に続き、徳川慶喜が結構悪だくみキャラとして描かれていた気がする。この人、戊辰戦争で敵前逃亡したなど悪いイメージが多いのだが、最近はそれほど悪くはなかったのじゃないかと再評価され始めている。徹底して維新の抵抗勢力になって内乱が長引いていれば明治維新はあれほど迅速には事が進まなかったはずであり、維新が遅れていれば日本の近代化が間に合わず、欧米の植民地にされていた可能性もあったわけで、内乱に早期に見切りをつけただけでも大したものだったというのが最近の評価。

 逸話では結構な趣味人だったらしい。黄粉が好きだったのだけど、趣味の顕微鏡で黄粉を見てみたら小さい虫が湧(わ)いているのが見えてしまい、それ以来黄粉が食べられなくなってしまったという。「もちもち黄粉餅」の使い手である黄名子ちゃんはあまり知りたくない情報だったかもしれない。



 では後編であり幕末編完結でもある29話の感想は近日中に書きます。完成までしばらくお待ちを。



  次回「時代をつくる男たち」に続く。



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