『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第22話「劉備さんは面白い!」の感想 【雨宮太陽登場!三国志編・突入!】

 二週間のご無沙汰でした。10月最初のブログ更新は、やはりこの記事で。毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第22話「劉備さんは面白い!」を観ての感想を書く。結論を先に書くけど、劉備さんは面白くなかった。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第21話「誓いはこの旗のもとに」の感想 【ジャンヌ・ダルク編ここに終結】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

 で、一覧表示されます。

 時空最強イレブンのオーラを求めて過去世界を旅する松風天馬(CV:寺崎裕香)たちチーム雷門の一行は、中世フランスで2つ目の力となるジャンヌ・ダルク(CV:寿美菜子)のオーラを手に入れて現代に凱旋(がいせん)した。



 相変わらずサッカー禁止令というサッカー界にとっての戒厳令(かいげんれい)の中、雷門サッカー棟内ではメンバーたちによって静かに、それでいて熱の入った特訓が行われていた。

 次期・正キーパーとして雷門のゴールを守らなければならないという使命を帯びた西園信助(CV:戸松遥)は剣城京介(CV:大原崇)、倉間典人(CV:高垣彩陽)、影山輝(CV:藤村歩)といった雷門のストライカーたちのシュートを止める特訓に打ち込む。雷門のエースストライカーのはずの菜花黄名子(CV:悠木碧)がその場におらんのはなんでやね?

 だがどこか冴えない様子の信助は、彼らのシュートをまったく止めることが出来ない。



 キーパーとしての先達・三国太一(CV:佐藤健輔)はそんな思い切りの足りない信助に苦言を呈する。3年生の彼にとっては残り少ない雷門中学での選手生活。今後の雷門のゴールを守る役を信助に託する思いの三国は弱気になっている信助を叱咤する。

 まぁ化身のない三国さんよりは化身アームドも出来る信助の方が守護神として向いているとは思うのだけど、信助の弱点であるガラスのハートのメンタル面をフォローする存在として、三国の存在は決して小さくはないと思わせる。案の定先輩の激励に信助はコロッとやる気をみなぎらせる。



 そんな中、見慣れぬ制服に身を包んだ部外者がフィールド片隅に転がっていたボールを天馬めがけて蹴りつける。突然の襲撃? 天馬は思わずそのボールを蹴り返すが、部外者はそれを見事に胸トラップしてみせた。逆光でその表情が見えなかった天馬たちは、着地したその姿を見て驚きの声を上げる。

 相変わらずの日輪仮面を思わせるその髪型。それは、ホーリーロード準決勝で雷門と死闘を演じた新雲学園のキャプテンであり天馬の最強のライバルでもあった、雨宮太陽(CV:江口拓也)だった!


 ……まぁ天馬たちは驚いていたけど、視聴者は新オープニングですでに彼の参入を知っていたんだけどね。



 新雲学園の制服に身を包んだ太陽。ユニフォームと病院着のパジャマ姿しか知らないから、なんだか新鮮だ。ネクタイにブレザーというカッコ良い制服で、同じ私立校とはいえ学ランの雷門よりもお坊ちゃん学校のイメージ。雷門は天城大地(CV:奈良徹)とか車田剛一(CV:野島裕史)とか錦龍馬(CV:岩崎了)とか、庶民的な生徒も多いしな。



   オープニング

 次のオーラ獲得対象の2人。今回登場しない方のキャラの絵を採用。



 太陽を取り囲み、改めて言葉を交わす天馬たち。太陽といえば身体に大きな病(やまい)を抱えていたはず。その持病を気遣って容態(ようだい)を聞くが、太陽はすっかり完治したと返答する。それを聞き、天馬たちの表情も明るくなる。



 「ち〜っす。ひさしぶりやんね♪」


 黄名子が太陽に馴れ馴れしく声を掛ける。太陽も笑顔でその黄名子式のあいさつを受けている。この2人が知り合い? これは天馬が本来歩んできた歴史では無かったはずの現象だ。タイムパラドックスによる歴史の改変が原因だと神童拓人(CV:斎賀みつき)はあたりを付ける。黄名子のサッカー部加入それ自体がインタラプト修正の副産物なわけだし、おそらくそういうことなのだろう。単なる入院仲間だったとか、ベタなオチにすんなよ。

 タイムパラドックスの話から未来人であるフェイ・ルーン(CV:木村亜希子)に思いが至った天馬は、今度こそ初対面のはずの彼を太陽に引き合わせる。だが驚くべきことに太陽はフェイのこともすでに知っていた。

 フェイは驚くが、太陽はそのタネ明かしをする。彼らの協力者である豪炎寺修也(CV:野島裕史)から詳細を聞かされていたというのだ。かつてフィフスセクターの聖帝だった頃の豪炎寺(イシドシュウジ)と面識があった太陽のことだからこの展開は不思議ではない。

 そして太陽はそれを聞いて、本当のサッカーを取り戻すために戦う天馬たちに協力するため、ここにやって来たと語り、天馬に向き直る。


 太陽「一緒にサッカーを取り戻そう!」


 これ以上ないぐらい心強い援軍を得て、天馬は笑顔で太陽の参戦を歓迎する。ただこれでまた誰かが出番を奪われてしまうよなぁ……。「天馬はレギュラー安泰(あんたい)なんだろうけど、勝手に決めんなよ」という雷門1.5軍の心の声が聞こえてきそうな気がした……。



 強力な戦力、太陽を加えて雷門の練習にもさらに熱が入る(レギュラーが脅(おびや)かされる的な意味もあって)。天馬から太陽にパスが渡る。



 これまで敵同士だった2人。これが中学生最高レベルの技量を持った2人の仲間としての初めての共同作業となる。味方同士でパスをする感覚は、敵同士でボールを奪い合うのとはまた違った感慨があるのだろう、受けた太陽も、パスを送った天馬もとても嬉しそうなのが印象的だ。


 太陽はやはり素晴らしい能力の持ち主であることをここで示す。ドリブルで駆け上がり、黄名子と錦を瞬時に抜き去ってしまう。エースストライカーである彼が病に邪魔されなければ、ホーリーロードでも新雲が雷門に勝っていた可能性もあったわけで、その実力は本物だ。フェイは初めて見る太陽のプレーを感慨を持って見つめる。


 ベンチで練習を見つめるマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)、瀬戸水鳥(CV:美名)、山菜茜(CV:ゆりん)、そして大監督のクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)のもとに、太陽をここに導いた豪炎寺がやって来る。手に何かを持っている。またクロノ・ストーン状態の円堂大介(CV:藤本譲)の要請どおり、何かアーティファクトを探すよう指示されていたらしい。



 「今回のアーティファクトは、『孔明の書』だ」


 相変わらずどこで手に入れてくるんだろうね? 過程を省(はぶ)くな、過程を。信長の刀の時もこんな感じで手軽に入手してくれれば良かったのに。


 孔明の名を聞き、がぜん張り切り出すのがなぜかメガネの速水鶴正(CV:吉野裕行)。彼は三国志の大ファン、三国志クラスタだったのだ(私と趣味がおんなじだ)。

 大介が提唱していた3の力「未来をも見通す状況推理能力で敵の急所を突く、正確無比のミッドフィルダー」として三国志の登場人物・諸葛亮孔明を、そして4の力「大国を治める力、強靭な行動力と実行力を持つ、鉄壁のゴールキーパー」として同じく劉備玄徳が合致(がっち)するらしい。


 劉備玄徳の名前まで聞かされて速水は大喜びだが、三国志に興味なさげな錦や黄名子の態度に愕然となる。私も三国志クラスタとして、この時の錦たちには一言どころか十万言ぐらい言ってやりたい気分になったが。

 そこで無知なメンバーにこんこんと聞かせるため、速水の三国志説明講談が始まる。三国志とは1800年前の中国で魏(ぎ)・呉(ご)・蜀(しょく)の三国に分かれて中国の覇権を賭けて争いあった、実話をもとにした物語のこと。



 よく知られる『三国志演義』では劉備玄徳(後の蜀皇帝)が主人公で、関羽雲長、張飛翼徳という義兄弟を率いて圧倒的な勢力を持っていた曹操孟徳(後の魏王)を相手に戦う壮大なストーリーで、その劉備を補佐した至高の軍師が3の力とされる諸葛亮孔明なのだ。


 日頃ネガティブな速水がこれほどまでに熱く語る姿に、一乃七助(CV:折笠富美子)と青山俊介(CV:高垣彩陽)も驚きを禁じ得ない。いささか引き気味でその様子を見つめる。

 劉備が鉄壁のキーパーの能力を持つと聞いた信助は、その人となりを聞かずにはいられない。豪炎寺は劉備が非常に義理堅く、曹操に攻められて逃げるとき、自分を慕(した)ってついて来た民衆を見捨てずに守り通したことを挙げ、人情にも篤(あつ)かったということを語る。

 人の上に立つ存在としての、その立派な態度は信助に深い感慨を与える。


 速水は劉備に会えるということが嬉しくてたまらないといった態度を隠しきれない。だがそれは今回の遠征にメンバーとして選ばれなければならないのは言うまでもない。


 そこで大介により、今回のメンバーが発表される。意気込む速水。

 まずマネージャー3人、そして天馬、フェイ、神童、剣城、錦、霧野蘭丸(CV:小林ゆう)、倉間、狩屋マサキ(CV:泰勇気)、黄名子、太陽、そして信助の11人の名が告げられる。


 自分が選出されなかったことに大いに驚く速水。そりゃ驚くよな。すっかり劉備に会えると思い込んでいたというのに、三国志にまったく興味ない黄名子や錦が選ばれて、速水が選ばれないなんてねぇ……。なんて非情な大介采配。



 落ち込む速水。やっぱり太陽加入で涙を流す選手が現れたということか? 狩屋、今回も仮病を使って速水に譲ってあげればよかったのにねぇ……。あと余談だが、選抜されるようになってから、3年生が冷遇されているよな。フランス編に続いて今回も選出者ゼロとは。


 選ばれた信助は強くなるため、頑張ろうと心に誓う。そんな後輩を、選ばれなかった三国が優しく肩を叩く。そして劉備とのミキシマックスを成功させるよう励ます。いい先輩だ。信助はそんな先輩の期待に応えるため、力強く「ハイッ!!」と返答する。



 アーティファクトとして「孔明の書」をセットしたキャラバンは、一路古代中国に向けて出発する。そのタイムジャンプの動きを早速探知するのは、ザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)だった。今度こそ雷門を叩き潰すべく、この恐るべき敵も行動を開始する。



 キャラバンは西暦207年の後漢末期の時代にワープアウトする。竹林に降り立った一行だったが、人の姿すら見えない。どうやって劉備を探すのかを考えあぐねる一行の耳に、奇妙な歌声が聞こえてくる。とにかく誰かがいるということだけは分かった。一行はそちらに向かう。



 歌声の歌詞があまりに単調で変なので、思わず突っ込んでしまうツッコミ担当の水鳥。後ろのワンダバは西遊記孫悟空の格好をしている模様。またも時代考証を間違えている。


 竹林の切れ間の道に変な歌を唄うヒゲを蓄えた男を見つけた天馬たちはその前に出て話しかけようとする。だが男が唄いながら引っ張っていたものが大砲で、その砲口の前に出てしまった天馬たちは驚いてしまう。



 最大の見どころは倉間の表情。ワンダバは死んだふり?


 危ないと叫んで恐怖心を煽(あお)っておきながら、そのヒゲの男は大笑いして冗談だと語る。すぐに発射される状態ではなかったらしい。ただ男のその不遜(ふそん)な態度に、猜疑心の強い狩屋などは警戒心を抱く。

 男は悪びれることもなく、ぬかるみにハマッて動かせなくなっていたその大砲を引っ張るのに協力して欲しいと天馬たちに要請する。これほどまでに大きな大砲を何に使うのかと神童に尋ねられた男は、「亀を捕まえる」などとわけの分からないことを供述し……。

 そしてまたも大笑(たいしょう)して、冗談だと告げる。どうもこの男はしょうもない冗談を連発する、一番タチの悪いタイプのオッサンらしい。

 で、本当のところは、龍を捕まえるためのものだと語り出す男。またまた冗談だと葵はツッコミを入れるが、今度こそ本当だと男は答える。大砲にはヤニが入っていて、それで飛び立とうとする龍を捕らえるというのだ。


 まぁ調子の良いオッサンの戯言(ざれごと)だと聞き流し、とにかく大砲をぬかるみから押し出す作業に協力することにする一行。だが錦、天馬、フェイ、信助が協力してもなかなか大砲は動かない。見かねた神童が、一旦下げて泥にハマっていない方向に出すのが良いのではないかと提案する。

 言われてみればその通りなのだが、男は一度決めたことは変えないと言って譲らず、そのまま押し続けることとなる。その態度は愚直(ぐちょく)なようだが、信念を決して曲げないという男の矜持(きょうじ)を感じさせる態度でもあった。

 そしてバカの一念か、ようやく大砲はぬかるみを脱する。子供のように喜ぶ男を見て、錦は「この男が劉備のことを知っちょるとは思えないぜよ」と皆の気持ちを代弁する。



 そこに男を追って、ヒゲの大男がもう2名やってくる。2人は男を兄者と呼び、天馬たちを男に危害を加えようとする者とみなして武器の矛(ほこ)を向ける。

 男が弟たちを取りなし、その場を収めようとする。神童は自分たちが怪しいものではないことを示すため、劉備孔明に会いに来たのだとここにいる理由を説明する。

 それを聞いた男は、キョトンとした表情を浮かべて、自らがその劉備玄徳であることを明らかにする。



 劉備玄徳(CV:平田広明)。劉という名は漢王室につながる系譜で、自らは前漢の景帝の第8子、中山靖王劉勝の末裔(まつえい)を自称する。自分を慕って集まってきた関羽張飛を弟分に従え(「桃園の誓い」)、黄巾の乱が勃発した後、義勇軍として立ち戦功を挙げる。皇帝である漢王室を軽(かろ)んずる曹操と対するために諸葛亮孔明を軍師に迎え、赤壁の戦い曹操を破って天下三分の計を実現、蜀漢の初代皇帝に就く。だが赤壁の時点では共闘した呉の孫権荊州の帰属を巡って争うことになり、関羽を失う。孔明の諫言(かんげん)を聞かずに強行した弔(とむら)い合戦に向かう途上で張飛も失い、失意の中、呉の武将・陸遜に大敗して退却中に病没。享年63。


 たった今まで、コイツが劉備のことなど知っているはずがないと思っていたしょうもないオッサンこそが探していた劉備だったことに、今回何度目になるか分からない驚きの声を上げる天馬たち。ということは、付き従う弟分2人の正体も自(おの)ずと明らかになる(速水がいればね)。



 関羽雲長(CV:稲田徹)。「桃園の誓い」により劉備張飛と義兄弟の盃(さかずき)を交わす。身の丈2mを越える大男で、ものすごく豪胆なヒゲが特徴。『三国志演義』では82斤(約14kg)の青龍刀を片手で振り回したと書かれる豪傑。黄巾の乱勃発時、劉備に付き従い戦功を挙げる。その武勇と義理堅さは敵である曹操からも愛されたほど。劉備が蜀の皇帝になると重要な拠点・荊州の防衛を任されるが孫権の家臣の呂蒙陸遜に攻撃され、息子の関平と共に捕らえられて処刑される。死ぬ時は一緒と誓った3人のうちで最初に命を落とした。



 張飛翼徳(CV:奈良徹)。関羽と共に「桃園の誓い」により劉備の弟分になる。三兄弟の末弟。劉備に付き従った五虎将軍の一人として戦場では滅法強かったが、酒に溺(おぼ)れる悪癖を持ち、たびたび酒絡みの失敗をする。最期に命を落とすのも、酒に酔って部下を殴り、逆恨みを買ったため。部下に寝首をかかれて死ぬ。


 豪炎寺から聞かされていた立派な将たる劉備のイメージと、現実に目の前で見るしょうもないオッサンとのギャップに苦しむ天馬。劉備ファンの速水はやはり来ないで正解だったかもしれない。劉備がこんなにしょうもないオッサンだったとは知らない方が良いだろう。だがその劉備の曲げない信念を先ほどの件で間近に見ていた信助は、天馬とは違う気持ちで劉備を見つめていた。


 早くも目的対象を見つけたと知ったワンダバはミキシマックスガンを劉備に向けるが、それを強面(こわもて)の関羽に見咎(みとが)められてしまう。



 関羽のひと睨みにビビったワンダバは、あわててガンを隠してファーファみたいな表情でてへぺろして媚(こび)を売る。


 神童の「劉備孔明に会いに来た」という言葉は、かえって張飛の警戒感を増してしまったらしい。天馬たちは曹操の送り込んだ暗殺者という嫌疑をかけられてしまう。

 だが劉備はさすがに飄々(ひょうひょう)としているようで本質を見ている。曹操の差し金なら、とっくに手を出しているはずだと張飛を諌(いさ)める。大砲を動かしてもらったことを「義理」という言葉で表現した劉備を、改めて信助は見つめる。

 神童はここでいつもの伝家の宝刀、「自分たちは未来の世界からやって来た」と正直に打ち明ける。荒唐無稽(こうとうむけい)な話に張飛は怒り出すが、劉備は真剣な表情で話す神童の視線を感じたのか、呵呵大笑(かかたいしょう)して冗談を気に入ったという表現でその言を認める。

 そして一緒に孔明に会いに行くかと誘いをかける。実は劉備もこの段階ではまだ孔明には会ったことが無かったのだ。これまでに2回、軍師として自軍に迎え入れようとしていた劉備だったが、なぜか会ってくれなかったことを打ち明ける孔明が門を開かなかったのは、劉備のしょうもない冗談のせいだと思うが)

 冗談は心の底からしょうもないが、孔明の力を借りると決めたら何が何でも借りると語る劉備にカッコ良さを感じた信助は、他のメンバーがオールシケヅラな中、ただひとり憧(あこが)れに瞳を輝かせる。そんな信助を3年物のおデキを見るような視線で見つめる狩屋が印象的。

 まぁ劉備ミキシマックスする信助の立場としては心の同調も必要なわけだし、憧れるのは悪いことではないが……信助の今後のギャグセンスが心配ではある。


 そして大砲を持って移動を開始しようとする劉備たち。龍を捕まえるためという先ほどの説明は、龍に変化するという孔明に備えてのものだったのだという。

 移動を始めた劉備たちを見て、(関羽が見てないから)今度こそミキシマックスチャンスと見たワンダバは急いでガンを取り出し、劉備と信助に狙いを定める。



 だが、例によって最初の試みは失敗に終わる。信助の方に何かが足りていないのだろうか? 速水の次にネガティブな性格の信助はおのれの力不足を自覚して落ち込む。



 竹林の奥ではそんな彼らの様子を、ザナークが見つめていた。天馬たちが劉備孔明の力を求めていることに気付き、今後の対処策に思いを巡(めぐ)らせる。




 孔明の屋敷。いかにも頂上に登るまでに何回かは戦わなければならないといった形状をしている。ゲームでは結構な壁になりそうな場所だ。


 孔明の屋敷の門は固く閉ざされていた。怪力を誇る張飛の力でも開けることが出来ない。扉を壊さずに開ける方策を考えなければならない。張飛よりは賢い関羽が別に本当の入口があるのではないかと提案しようとしたその時、信助が門の下に手をかける隙間があることに気付く。

 張飛がそこに手を差し込み、上に門を動かすとあっさりと門は開いてしまう。いわゆるシャッター方式の、上下させて開閉するタイプの門だったらしい。他人より視点が低い信助だったからこそ見つけられたのかもしれない。信助の名を聞き、良い名前だと劉備は褒める(だがどこの馬の骨とも知れない信助に正解を出され、関羽は面目丸潰れだ)。


 中に進む劉備だったが、引っ張っていた大砲が落ちてきた鉄球に潰されてしまう。孔明の屋敷にはこんな仕掛けが山ほど用意されているらしい。



 セキュリティシステム、キツすぎるだろ!? 孔明、どんだけ警戒心が強いんだ? ストーキングでもされてるの? しょうもない冗談を聞かせてくる嫌なオッサン対策なのかもしれない。


 覚悟を決めて屋敷に入っていく天馬たちと劉備関羽張飛。だがその後ろにはザナークの姿があった。殿(しんがり)を務める関羽張飛をスフィアデバイスを使ってマインドコントロールしてしまう。


 一行は廊下を突っ切った場所にあった部屋状の広間に出る。劉備がそこでまたおふざけの冗談を言い、一同の反感を買う。水鳥と葵に抗議され、さすがに頭を掻いて謝罪の意を示す。

 先を急ごうとする神童の前に、関羽張飛が立ちふさがる。劉備同様、ふざけていると思った葵は怒り出すが、長年付き合ってきた義弟たちの様子がおかしいことに劉備は気付く。

 そして2人の前に、新たに3名、見慣れぬ男が現れる。その突然の登場の仕方は未来人、それも雷門に敵意を持つエルドラドの手の者だろう。

 プロトコル・オメガの者かと問いただす蘭丸に、長髪の男はあんな連中と一緒にするなと笑い、天馬たちにサッカー対決を挑む。劉備関羽張飛を救うために剣を抜くが、神童はサッカーバトルで勝たなければダメだとそれを止める。

 長髪の男、ラセツ(CV:不明)の指を鳴らす行為が合図であったかのように広場にサッカーグラウンドを示すラインが描かれ、どこからともなくゴールが浮上する。

 蘭丸はサッカーというものを知らない劉備に下がっていて欲しいと要請するが、彼は大事な義弟たちを自分の手で助けると決めたからには、引き下がれないと強く言い放つ。劉備が一度決めたことは絶対に曲げないということを知っている神童は、やむを得ず劉備をキーパーに指定する。

 キーパーの役割を説明され、劉備は笑顔でそれを引き受ける。




 試合は5対5の形式で行われる模様。全員でボコッたらやっぱりダメやんね? 雷門からは剣城、神童、天馬、黄名子が参戦。黄名子の78番は(なの【7】ばな【8】の語呂合わせ。前回のコメント欄で教えていただいたのだが、自分が気付いた情報のように偉そうに書いておく)。キーパーの劉備は背番号なしだ。たぶんこの試合の後は孔明が仲間に加わるまでは監督の役どころになるんじゃないかと思われる。

 一方のザナーク配下軍(ザナーク・ドメイン)。関羽張飛がやはり背番号なし。5番の選手、エンギル(CV:不明)が異様な雰囲気。ザナークがなぜ部下を小出しにしてくるのかは今のところよく分からない。全軍投入しておいて簡単に負けてしまうようではザナークも格好がつかないからだろうか?


 遠征に参加していきなりの先発を望んでいた太陽はやや失望するが、未来からの敵を目にするのも初めてのはずだ。蘭丸が敵の実力を知るためにもフィールド外からしっかりと見るように指示する。

 こちらの懸念といえば、サッカー未経験の劉備の存在だろう。葵は心配するが、信助は確信を持って、劉備なら大丈夫だと断言する。劉備に心酔(しんすい)する信助だが、しょうもないオヤジギャグのオーラだけは引き継がないようにして欲しい。



 そんな劉備の姿をモニターするザナーク。劉備が同時代の人間に殺された場合、歴史は変わってしまうものの時空への歪みの影響は出ないと語る。関羽張飛をマインドコントロールし、選手として起用した理由はそれだろう。

 ただそれも問題なしというわけではない。歴史そのものへの干渉も許されることではないと、傍(そば)に立つ部下が進言する。



 だがザナークは意に介さない。元からして脱獄囚の犯罪者であり無頼(ぶらい)を気取るザナークのことだ。雷門の目的を抉(くじ)くためなら手段を選ばないつもりなのだろう。



 屋敷内ではバトルが始まろうとしていた。1点先取のサドンデスルールであることをラセツが言明する。ちゃっかりと自分たちのボールでキックオフするとか、リーダー譲りの結構な卑怯者(ひきょうもの)だ。

 そして張飛のキックオフで試合開始。ドリブルで上がってくるラセツを天馬と神童がマークするが、簡単に抜かれてしまう。さすがはプロトコル・オメガと一緒にするなと豪語(ごうご)しただけのことはある。



 天馬の実力を知る太陽は、その天馬があっさりと抜かれてしまったことに驚愕する。あのぉ、太陽が天馬くん大好きな気持ちは分かるけど、同時に抜かれた神童のことも思い出してあげてね。

 次の壁として立ちはだかるのは黄名子だ。ここは行かせないと意気込むが、まったく触れることも出来ずに抜かれてしまう。黄名子を抜き、ラセツの目の前にはゴール、そして棒立ち状態の劉備のみだ。

 だがシュート態勢に入ったラセツの一瞬の隙を突き、剣城がボールを掠(かす)め取る。そして前線の天馬にボールを送るが、不気味な仮面のエンギルがまたも奪い返す。

 実力的に相手チームに一日の長(いちじつのちょう)があり、試合展開は雷門がジリジリと押される展開となる。初めて見る敵選手たちのその実力の高さに、太陽もベンチで絶句する。

 味方サイドでは、劉備がサッカーのルールをようやく把握し始めていた。


 試合は張飛に送られたボールを黄名子がインターセプト、啖呵(たんか)を切って天馬にパスを送る。



 「あんたらの好きにはさせんやんね!!」


 ドリブルで持ち込む天馬の前に、巨漢の関羽が立ちはだかる。そのあまりの巨大さに、さしもの天馬も威圧され、前進を阻(はば)まれる。だがそこにパスを求める声が掛かる。見ると右手を劉備が駆け上がってきていた。

 たしかにパスコースは出来たが、それって逆に考えると……


 天馬「ゴールががら空き!!??」


 ゴールを守る役目の劉備が前線に参加したのだから、当然ゴールはがら空きとなる。天馬の驚愕の思いを覆(くつがえ)し、劉備のこの無謀とも言えるオーバーラップが功を奏することになるのだろうか? サドンデスルールだから、これでゴールが決まらなければ、ボールを奪われた瞬間、一気にシュートされて負けになる可能性大なんですけど〜!?



 次回に続く



  エンディング



 三国志編突入。今回の空いた放映日、一週間は長かった気がするやんね〜。

 まさか速水が三国志クラスタだったとは思わなかった(なんとなく親近感を抱いてしまうが)。ただその速水を連れて行かないなんて、本当に大介は世知辛(せちがら)いなぁ。速水が孔明の能力を受け継ぐ「正確無比のミッドフィルダー」だとは私も思えないけどさぁ(笑)。オブザーバーでもいいから連れて行ってあげて欲しかった気がする。解説役も欲しいしね。あと「三国志」ということもあって、「三国さん」は名前的にも同行させるべきだったろう。

 ……時空最強イレブン編に突入してから3年生が出番なしというのはどうにも残念でならないんだよね。


 さて、207年はまさに劉備孔明を軍師に迎えるために3度に渡って自宅を訪れるという「三顧の礼」が行われ、孔明を迎え入れた年だ。三国志の前半のクライマックスである赤壁の戦いはこの翌年の208年。おそらくそのシーンはこのイナクロでも描かれると思われる。劉備孔明だけでなく、敵役の曹操や後に呉の国の君主となる孫権、そして孫権の忠実な部下であり孔明のライバルとなる周瑜など、そうそうたる顔ぶれがひとつの戦場に集結するという面白い展開が見られそうで、速水ならずとも興奮してしまう。

 ちなみにこの三顧の礼は史実なのだが、この207年の時点で劉備は47歳。迎えられる側の孔明は若干27歳。20歳も年上で一応世間にも名の通った漢王室の末裔が、まだ世に出ることもない若造を相手に3回もスカウトにやって来たというのは、年功序列を重んじる儒教的精神の強い古代中国において、およそ考えられないほどの事態といっても良い。ニートの青年をアップルのCEOがスカウトに来て2回断られて、3回目にやっとOKしてもらったと言えば分かりやすいかもしれない。ただ孔明にそれだけの価値があったことは、この後の彼の活躍を見れば分かる。孔明劉備軍にいなければ、三国志という物語は描かれることもなく、曹操の中国統一という歴史になっていたはずなのだから。


 あとマジレスすると、火薬を使用した大砲はこの時代にはない。この時代はせいぜい投石器や弩弓(どきゅう)といった攻城器ぐらいで、火薬の発明は早くとも三国志の話より400年後の唐の時代。まぁ実際は使用されることなく孔明の罠で破壊されていたからいいけどね。




 次回は普段ニヒルに決めてる2人がキャラ崩壊するところが見もの。兵馬俑(へいばよう)型のからくり人形にビビってるシーンかな? 倉間は大砲の時もブザマだったし、もしかしたら来なかった方が良かったかも? 兵馬俑はこの時代より400年前の秦の始皇帝の時代の産物なので、この時代にあってもおかしくない。



 次回は天才軍師・諸葛亮孔明が登場する。私が三国志の中で一番好きな登場人物なので、個人的にも楽しみ。小説でもマンガでも、赤壁での彼の知略は何度読んでも惚れ惚れする。アニメでもそれが見られると思うと、今からワクワクが止まらんぜよ。



  次回「仰天!孔明の館!!」に続く。



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