【祝!】 山中伸弥京大教授がノーベル医学生理学賞を受賞 【そして今後考えなければならないこと】

 当ブログのヒット数が突然尋常ではない状態になった。また2ちゃんねるで晒されたのかと一瞬思ったが、実際はそうではなく、山中伸弥京都大学教授がノーベル賞を受賞されたことが原因だったらしい。

山中氏ノーベル賞:「家族に感謝」一夜明け、夫妻で会見
毎日新聞 2012年10月09日 11時20分(最終更新 10月09日 12時13分)

 「つらいときも家族が笑顔で迎えてくれた」。今年のノーベル医学生理学賞受賞が決まった京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授(50)は、一夜明けた9日午前、妻で医師の知佳(ちか)さん(50)とそろって京都市左京区の京都大で記者会見に臨んだ。「今後も研究を多くの人と協力してやっていく必要がある」と、改めて受賞の心境を語る一方、妻に感謝の言葉をささげる山中教授。研究に打ち込む厳しい表情とは異なり、夫としての、そして2人の娘の父親としての横顔を見せた。

 山中教授夫妻はこの日午前9時半ごろ、京都大に到着。出迎えた研究所職員から花束を受け取った。その脇で、知佳さんがそっと寄り添った。

 午前10時からの記者会見。山中教授は一夜明けての心境を「感謝と責任の二つの気持ちを強く持っている」としたうえで、「研究を完成させることは一人ではできない。今回賞をいただき、そのかじ取り、けん引役を任命されたと思っている」と語った。

 知佳さんは、受賞の知らせが届いた時について、「夫が英語で『サンキュー、サンキュー』と言っていたので『大変なことになった』と娘と顔を見合わせました。しばらくしてから『良かったね』と(本人に)声をかけた」と振り返った。

 知佳さんによると、山中教授は「家では普通の夫。休日は家族のために手伝ってくれる」という。山中教授は「失敗ばかりで泣きたくなるような二十数年。そんな時に家族が笑顔で迎えてくれた。妻も自分の仕事を中断してついてきてくれた」と話した。特に米国での生活について、「研究するか家にいるかの生活。子育てに携わり、子どもの笑顔を見ることが支えになった」と振り返った。

 知佳さんは「忙しいときは声をかけるのもはばかられる。家族でどうサポートすればいいか分からないこともあった。重圧を感じていることを頻繁に感じている。外国とは時差もあり、夜中でもやりとりをしており、リラックスする時間が限られている。しっかり休んでほしい」とねぎらった。

 そして、今回のノーベル賞受賞について、「たくさんの方に喜んでもらえることがうれしい。ありがとうございました」と声を詰まらせた。
http://mainichi.jp/select/news/20121009k0000e040130000c.html



 京都大学で記者会見する山中教授。



 ありがたいことにこの件に関して昨年書いた私の記事を検索で見つけてくださった人が多かったようだ。しかも嬉しいことにブログランキングへのクリックもしてくださった方が多かったようで、私の順位が不正操作を行ったかと疑われかねないぐらい異様に伸びていた。


【昨年書いた記事】

 日本人として山中教授の受賞はとても嬉しいニュースだったが、個人ブロガーとしても1年も前の記事で思わぬ僥倖に便乗させていただいたような気がして、京都方面に足を向けて寝られない。



 とにかく久しぶりに胸がすくような嬉しいニュースだ。昨年は残念ながら賞獲得がならなかった山中教授だが、iPS細胞による世界への貢献を考えると受賞は時間の問題だと思っていた。とはいえ並み居る他の研究者を差し置いて、論文発表からわずか6年での受賞は昨今のノーベル賞では異例の速さで、それだけでも山中教授の研究の偉大さがうかがい知れる。



https://twitter.com/YamanakaShinya/status/255279485652447232
 ツイッターでやたら回ってきた受賞を喜ぶ山中教授(?)のツイート。ねらーじゃないんだから、真面目な山中教授はさすがにこんなツイートはしないと思う。キャラクター的にニセモノ臭いんだけど、もし本物でしたらごめんなさい。


【追記】
 やはりニセモノだったようです。



 これで日本人のノーベル賞受賞者は19人となった(米国籍の南部陽一郎氏を含む)。昨年同様、物理学賞では青色発光ダイオード中村修二・カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授が、文学賞では「ノルウェイの森」などで著名な村上春樹氏が有力な受賞候補者とされている。もしかしたら今年は日本人受賞者続出ということになる可能性もある。そういった夢の先鞭を付けるという意味においても、初日の医学生理学賞の受賞は幸先が良い。

  • 今後の発表予定

医学賞  10月8日(月)午後6時30分(確定)
物理学賞 10月9日(火)午後6時45分
化学賞  10月10日(水)午後6時45分
文学賞  10月11日(木)午後8時
平和賞  10月12日(金)午後6時
経済学賞 10月15日(月)午後8時

(平和賞はノルウェー委員会)


 今回の受賞により、iPS細胞の研究はさらに進むことが予想される。iPS細胞の研究が望まれるのは、本来の再生医療以外にも様々な用途で技術を応用できることにある。新薬の研究にあたり、これまでは動物実験臨床試験という方法を取らざるを得ず、そこには膨大な時間と手間、コスト、動物の命と患者の肉体的・精神的負担の問題が横たわっていた。

 ところが患者の皮膚から採取した細胞にiPS細胞の技術を応用すれば、それらは一気に解消する。病巣に効果があるかどうかを培養した患者のiPS細胞を使うことで患者の命を危険に晒さずに実験が出来るので、とても有効な手段として期待されているのだ。



 さて賞は受賞したものの、iPS細胞研究の今後に関しては色々と課題を抱えていることは確かだ。

「わずかな金額ですが」 iPS細胞研に寄付続々 
2012.10.8 22:32 [ノーベル賞

 山中伸弥さんのノーベル賞受賞を受け、ネットを通じ、京都大iPS細胞研究所に続々と寄付が集まっている。1人3万〜1千円と小額だが、「更なる医学の発展に」「わずかな金額ですが」などのメッセージ付き。受賞発表から約3時間で10万円以上に及んだ。

 ネットでの寄付は「ジャスト・ギビング・ジャパン」という寄付を取り次ぐサイトを通じて行われた。山中さんは今年3月、自身が京都マラソンの完走にチャレンジすることを条件に研究費の寄付を募り、レース前までに900万円を集めた実績がある。

 山中さんは同サイトで、公的資金でまかなわれる研究費について、平成26年度以降のめどが立ってないとし、研究には民間の協力が必要と訴えていた。

 ノーベル賞受賞後の寄付は「マラソンに挑戦する」とし、閉鎖されずに残っていた山中さんのページを通じて寄せられ、午後7時ごろから集まり始めた。

 ノーベル賞受賞おめでとうございます」「家族そろってお金を出し合って寄付します」「日本の研究を個人の寄付が支えるきっかけになれば最高ですね」などとメッセージが添えられている。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/121008/art12100822360009-n1.htm

(赤字は引用者)


 研究者としてお金の工面に苦労するという環境は決して望ましいものではない。そんな中、今回の受賞をきっかけに寄付金が集まるというのは美談ではあると思う。

 とはいえ研究者には研究一つに打ち込んでもらえる環境を整えるのが日本国家の責任だと私は思う。山中教授の研究は世界的に見てもとても重要で、研究立国として経済面でも今後の日本全体の浮沈に関わるほどのものであると言っても過言ではない。会社からの成果を不服としてアメリカに渡ってしまった青色発光ダイオード中村修二氏のように頭脳を海外に流出させることだけは避けるべきだ。政府は平成26年度以降も予算をつぎ込んで、山中教授が快適に研究だけに打ち込める環境を作らなければならない。


 それなのに民主党政権になって政府が日本の研究者に対してやったことはそれとは全く逆の行為だった。蓮舫議員に象徴される「仕分け」行為でむしろ予算をさらに削るようなことをして、日本のために頑張っている研究者を苦しめてきた。


【関連記事】


 スーパーコンピュータ「京」も、宇宙開発分野で世界初の快挙を成し遂げた「はやぶさ」も、そして研究関連ではないが、なでしこジャパンに象徴される日本のスポーツ分野の予算も、襟立て女のパフォーマンスですべて事業仕分け対象にして日本の夢を縮小してきた民主党政権の罪は重い。またそんな逆風の中でも今回の山中教授をはじめ、予算削減に負けずに頑張っている人たちには本当に頭が下がる思いだ。



 2009年、事業仕分けを批判する山中教授の動画。



 山中教授をはじめとする京都大学iPS細胞研究チームの予算は麻生(自民党)政権の150億円から鳩山(民主党)政権の時期に50億円と、なんと100億円も減額された。

 今回のノーベル賞受賞により、山中教授をはじめとする京都大学iPS細胞研究所の皆さんの尽力が報われ、なんとかこの研究が日本の成果として世界から評価されることになった(特許の問題などまだ懸案事項は多いが)。政府の怠慢が以後繰り返されないことを願いたい。前回選挙でそういう政府を選んだ日本人のミスチョイスだった訳だけど。私は民主党に投票してはいないが、有権者の一人としてこういう日本にしてしまったことを申し訳なく思っている。


 京都大学iPS細胞研究所のトップページには今も援助を募る告知がなされている。民間からの寄付はそれはそれで尊い行為だし何の問題もないが、それだけでなく自国の繁栄と名誉のために頑張っている人たちを援助し、次代にその価値を引き継ぐのは国家の責務だと思う。税金はそういうことのために使われて然るべきだ。



 最後に1年前の記事でも触れたけど、この問題になるとなぜか異常に日本を敵視する某隣国の話題もちょっとだけ触れておこう。

 昨日の山中教授の受賞の発表があってからしばらくして、私の行きつけの日韓掲示板が2つとも繋がらなくなってしまっていた。おそらく日本人がまた受賞したことに腹を立てた韓国人がF5キーを連打してサーバをダウンさせたらしい。

 そんなに悔しいなら日本人と交流することが目的の日韓掲示板に来なけりゃ良いのにと思うのだけど、実はこれはもうこの時期の風物詩として、私たち韓国ヲチャーにとってはあまり珍しいものでもなくなっている。昨年なんかは日本人にも受賞者がいなかったにも関わらず、鯖落ちしたぐらい(さすがに斜め上すぎる反応で「なんで?」と言いたくなるが)。

 韓国人にとってノーベル賞というのはこちらが想像するよりずっとセンシティブでプリミティブなものらしい。「今年こそは」の思いが日本人には想像がつかないぐらい大きいんだろうなぁ。日本人の受賞はもう19回目ですし(それでも嬉しく、おめでたい話だけどね)。


 韓国人の楽しみといえば、韓国の詩人高銀(コ・ウン)氏の文学賞受賞。ES細胞研究の黄禹錫(ファン・ウソク)の受賞の目が無くなってからは、これだけが韓国人の望みの綱と言える人物なんだけど、これも個人的には望み薄いと思う。ノーベル賞の発表時期になると毎年のようにウンコ……コ・ウン氏の自宅前に韓国のメディアが集まっては結果に落胆するという行為が毎年のように繰り返されているらしい。おそらく今年も残念解散することになると思う。


【関連記事】

 隣国の話題はまだ色々とあったのだけど、長くなりそうなので今回はこの辺で。ノーベル賞発表時期はまだ続くわけだし、ネタ的にもお楽しみということで。

 今年は山中教授のおかげで日韓掲示板も数日(場合によっては数週間)は荒れそうな雰囲気で飯がウマい。これで物理学賞や文学賞も日本人が受賞したとなると当分は再起不能になるかもしれない。掲示板も韓国人も。



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