『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第21話「誓いはこの旗のもとに」の感想 【ジャンヌ・ダルク編ここに終結】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第21話「誓いはこの旗のもとに」を観ての感想を書く。ジャンヌ・ダルク編が一気に大団円を迎える今回、チーム雷門に待望の新たな化身使い、そしてミキシマックス能力者が現れる。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第20話「炎の中のサッカー!」の感想 【意外と気さくなシャルルさん】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

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 ジャンヌ・ダルク(CV:寿美菜子)のオーラを求めて1427年の中世フランスにやって来た松風天馬(CV:寺崎裕香)たちチーム雷門の一行。ジャンヌに同行し、シャルル王太子(CV:鳥海浩輔)の協力を得てイングランド軍に包囲されたオルレアンに入城する。

 おのれに課せられた責任感の強さから、手勢を率いてイングランド軍の砦に攻め込んだジャンヌを救おうとロアール川に架かる橋を渡ろうとした天馬たちの前に、ザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)率いるプロトコル・オメガ3.0が立ちはだかる。

 否応なくサッカー勝負に引きずり込まれた雷門は、勝利しない限りジャンヌを救出に向かうことが出来なくなってしまう。しかも試合はプロトコル・オメガ3.0のエース・ガンマ(CV:泰勇気)のゴールで先制点を奪われるという苦しい展開に。

 だがキャプテンの天馬は試合が始まったばかりだと仲間たちを鼓舞する。チームメイトたちもその言葉に強くうなづき、その目はまだ死んではいなかった。シャルルに監督の座を奪われ、死んだ目をしていたクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)も、選手たちの頑張りがジャンヌに届き、それによってジャンヌ自身も秘められた能力に目覚め、ミキシマックスすることが可能な状況になるかもしれないと檄を飛ばす。


 そんな中、霧野蘭丸(CV:小林ゆう)だけは橋の向こうで恐怖に怯(おび)えるジャンヌを心配そうに見つめていた。ジャンヌは神の声を聞いたという使命感と、戦場という殺し合いの場に置かれた一介の15歳の少女という立場から感じざるを得ない恐怖心とのあいだに挟まれ、押しつぶされそうになっていた。一刻も早く試合を終わらせ、ジャンヌのもとに駆けつけなければ!




   オープニング



 失点を喫した雷門のキックオフで試合が再開される。ボールを持つ剣城京介(CV:大原崇)の前を塞ぐのは、先制点を挙げたガンマだ。剣城の鋭い切り返しにまったく惑わされることなく、ガンマは的確に剣城の動きを見切り、ボールを奪取してしまう。


 天馬は一連のプレーを見て、明らかにガンマはこちらの動きを読んでいると気付く。それがザナークのゴーストミキシマックスにより、ガンマに与えられた能力なのだろう。

 そして同様にプロトコル・オメガ3.0の選手全員にもその凶悪な能力が植えつけられているということは、彼らの目がザナークと同じ色に染まっていることからも容易に想像がつく(ついでに眉毛もザナークのように凶悪にゲジッてる)。ものすごいパス回しの素早さに、雷門の選手たちはついていくことが出来ない。


 砦では、相変わらずジャンヌが戦場を前にして恐怖にすくんでいた。ワンダバが彼女に向けてミキシマックスガンを放つが、やはりオーラのパワーを吸収することが出来ない。彼女の能力は未だ覚醒してはいないのだ。


 試合ではボールを持ったダーナ(CV:不明)を、神童拓人(CV:斎賀みつき)と蘭丸が前後から挟み撃ちにする。だが蘭丸はダーナ越しに見える神童に抱いていたコンプレックスを想起してしまい、プレーがおざなりになっていた。その隙をダーナが突かないわけがない。



 あっさりと横を抜けられてしまい、蘭丸はまたもその体面を崩す。すかさず神童から怒りの叱咤(しった)が入る(オメーだよ、オメーのせいなんだよ)

 ダーナはバハムス(CV:不明)にパスを出すが、これはディフェンダーに入っていた菜花黄名子(CV:悠木碧)が懸命のパスカット。良いところを見せた黄名子は、そのプレーを見て勇気を出してくれただろうかと、ジャンヌを仰(あお)ぐ。

 だがジャンヌは目を閉じて座り込んでいた。サッカーの試合どころではない、目先の戦場に起こる戦いにも目を向けることが出来ずにいたのだ。ジャンヌの目の前には軍団の勇気を鼓舞するべきはずの旗が、虚しく転がっていた。

 ジャンヌの気持ちに応えたいと強く思う蘭丸は、敵のパスをカットして反転攻勢の足がかりを作る。受けた天馬は得意のドリブルで駆け上がるが、ダーナが自信満々に向かってくる。彼女もやはり天馬の行動は読み切っているようだ。

 天馬はそれでも挑むつもりだったが、そこで意外な方面から意外な指示が飛んでくる。監督・シャルルは「ドリブルで戻れ」と天馬に厳命する。まったく理由の分からないトンデモ作戦に思えたが、最初の失点時に的確な指示を出していたということもあり、天馬はおとなしくその指示に従う。



 シャルルの指示に納得がいかない天馬くんだったが、それは相手選手も同様。自陣に向けてドリブルする天馬を怒りの形相で追うダーナ


 バックしながら天馬はフェイ・ルーン(CV:木村亜希子)にパスを出す。意気込んで攻め上がるフェイだったが、またもその意思を抉(くじ)くかのようにシャルルは自陣に引いてくるように指示する。フェイを含め、シャルルの思惑が読めずに戸惑う雷門の選手たち。


 場面はジャンヌに切り替わる。胸に下げたお守りを握り締め、神に勇気を授かろうとするジャンヌ。その前に、全身を甲冑(かっちゅう)に包んだフランス兵がやって来る。彼はこの戦いに自分たちを引き込んでおきながら、的確な指示を一切出そうとしないジャンヌに憤(いきどお)っていた。兜に包まれてその表情は見えないが、きっと怒りと絶望の表情だっただろう。

 ジャンヌの釈明を、自らの責任を神に転嫁するかのように聞こえたのだろう。甲冑の兵士はこうつぶやく。


 「お前を信じて……良かったのか!?」


 その言葉は激しくジャンヌの胸に突き刺さる。友軍のもとに駆けていく兵士を見送りながら、ジャンヌの心は激しく苛(さいな)まれる。


 サッカーフィールドではシャルルの、適当というか思いつきというか、とにかくセオリーなど無いかのようなしろうと采配に味方だけでなく、敵までが冷静さを失いつつあった。



 「名付けて、行ったり来たり作戦だ!」


 その状況に、策を演出したシャルルだけはご満悦の様子。瀬戸水鳥(CV:美名)や山菜茜(CV:ゆりん)が作戦に意義を唱える。フィールドの蘭丸も、ついに切れてシャルルに抗議の声を上げる。

 だがそれを受けても柳に風といった風情のシャルル。「じゃあ攻めろ」と、これまた行き当たりばったりな印象を受ける指示を出す。

 とにかく監督から攻めろとの許可が出た。天馬はドリブルで切れ上がる。これまでさんざん訳の分からない作戦に翻弄(ほんろう)されてきたガンマが怒りの形相で立ちはだかる。



 剣城からボールを奪ったガンマを、天馬が抜いた! 冒頭のシーンから考えて変わった点といえば、ガンマが激昂(げっこう)していたという面だ。水鳥は、一見おバカな作戦に見せかけて、その実相手選手をわざと怒らせ、冷静に読む感覚を狂わせたのではないかとシャルルの深謀な策を評価する。

 だがそれはおそらく買いかぶりだったと思われる。シャルルは水鳥の言葉を聞いてから、後出しジャンケン的にその意見を肯定し始めたからだ。


 シャルル「まさにその通り」


 状況の変化に、相手監督のザナークも舌打ちをする。おそらくだが、冷静さを欠くと判断が狂うというこの気性は、能力を与えたザナーク自身にも当てはまるものなのではないだろうか? 彼自身の長所だけでなく、短所までもがミキシマックスされているのだと推察する。


 ようやく攻め込める体勢になった雷門だったが、ここで前半終了のサイレンが鳴る。残念だが仕切り直しだ。

 ハーフタイム、空野葵(CV:北原沙弥香)はシャルルの作戦の有効性を認めつつ、その瑕疵(かし)についても言及する。行ったり来たりさせられたせいで、雷門の前衛陣は疲労がピークに達していたのだ。この作戦は後半にも使うことは不可能だと葵は喝破(かっぱ)する。

 だがシャルルは自信たっぷりに次の策があるということを仄(ほの)めかす。


 蘭丸はその間も現状に苛立(いらだ)っている自分を感じていた。ジャンヌのこと、そして神童のことなど、彼の気持ちを急(せ)き立たせている事象があるのだが、自身でもそれがコントロールしきれないことにもどかしさを感じていた。

 そのモヤモヤの原因のひとりである神童が作戦会議に参加しようとしない蘭丸に声を掛ける(オメーだよ、オメー)


 そして後半戦が開始される。ここで雷門のポジションが大きく入れ替わる。



 後半戦開始直前の雷門の布陣。前衛と後衛を入れ替えた驚きのポジションチェンジ。これは前半で体力を消耗した前衛を下げ、前半ではほとんど動かずに体力を温存していた後衛を積極的に活用しようという策だろう。


 自信たっぷりのシャルルに対し、ザナークは皮肉を込めて、このしろうと作戦を嘲笑(あざわら)う。この作戦に信が置けないのは味方も同様だった。速水鶴正(CV:吉野裕行)が自信なさそうに同僚の浜野海士(CV:金野潤)に判断を仰ぐ。ちゅーかいつも楽観的な浜野ですら半信半疑な面持ちで「やるしかない」と自らと速水の両方に言い聞かせる。



 そんな、前衛に回されて自信なさげな先輩たちを鼓舞するように、天馬がいつものように「何とかなるさ」とケセラセラを後衛から炸裂させる。同時にフェイもシャルルの作戦に賭けてみる気になっていた。仲間たちももはやその策に乗るしかない。前半での采配を見るにつけ、シャルルは自身、自覚はないものの意外なほど指揮能力が高い「拾いもの」である可能性が高いのだ。速水が思うほど割の悪い賭けではない。

 仲間の意思統一が図れたのを確認し、あとはジャンヌの覚醒を待つ心境のワンダバ。


 ジャンヌにはまだ先程の兵士の言葉が鋭い棘(とげ)として胸に刺さっていた。そしてそれを意識した瞬間、戦うフランス兵たちすべてが「神の声を聞いた」という自分を疑い、非難の眼差(まなざ)しを向けているという幻覚に囚われてしまう。


 フィールドではそんなジャンヌをただ見つめるしかないのか? ツートップを組むこととなった黄名子と蘭丸は、一番近い位置からジャンヌを見つめる。蘭丸はさっきオルレアンの城塞の砦で語っていたジャンヌの言葉を思い返していた。そして彼女を信じ、ミキシマックスも完成するはずだと力強く述べる。

 そしてジャンヌにしか出来ないことがあると語った自らの言葉を反芻(はんすう)し、今度は自分自身にしか出来ないことを見つけ出さなければならないと心に期する。




 通常ではホイッスルに当たる試合を区切る音はやはりこの男、矢嶋陽介(CV:佐藤健輔)が鳴らしていたことが判明。サイレンじゃなく、ラッパの音だったのね。


 矢嶋のラッパの音で後半戦が開始される。フォワードという本来のポジションを得た黄名子は張り切って前進しようとするが、またもシャルルからの横槍が入る。彼の作戦通りに行動せよと言われ、黄名子はややしぶしぶながらも持っていたボールをサイドラインに蹴り出す。

 それは攻撃権を自ら放棄するのも同然のプレーで、前半戦の作戦以上に訳が分からないものであった。そしてそのプレーはそれだけに留まらず、以後相手のパスは奪おうともせず、とにかくライン外に押し出してしまうという徹底ぶり。

 その不可解なプレーにフラストレーションを募(つの)らせるガンマたち、プロトコル・オメガ3.0の選手たち。



 この、相手だけでなく見るものすべてを苛立たせるプレーぶりに、綺麗どころであるベンチの華の3マネたちもさすがに微妙な表情を浮かべる。


 そしてシャルルは彼女たちの深読みに乗っかって、またも作戦の手柄を誇り始める。ヒキながらもこの作戦を実行していた浜野はレイザ(CV:藤村歩)のパスをカット。しかしそれはラインを割らずに蘭丸のもとに転がる。蘭丸は前方の守備が薄いと見て、作戦を守らずに自らの判断で攻め上がる。だがそれは形勢を読み誤った独断行為だったことを、蘭丸は思い知る。

 蘭丸の突進を舌なめずりせんばかりの表情でダーナが迎え撃つ。




 ダーナの必殺技「ディフェンスコマンド03(ドリルアッパー)」の渦(うず)に絡(から)め取られた蘭丸は宙高く飛ばされ、ボールを奪われてしまう。

 地面に強く叩きつけられた蘭丸は、その膝(ひざ)を痛めてしまう(地面は石畳だしねぇ……)。だがこのプレーをきっかけにチームはピンチに陥ってしまう。それに対して感じた責任感の方が、蘭丸には痛かったに違いない。痛めた膝に構わず立ち上がろうとするが、やはり立てずに倒れてしまう。


 ゴール前、シュートを放とうとするエイナム(CV:野島裕史)の必殺技が発動する直前にスライディングで奪い取る神童。蘭丸から始まったピンチを断(た)った神童は、申し訳なさげな表情を浮かべる蘭丸に対し、今度は激励の言葉を投げかける。結果は裏目に出たものの、蘭丸の取った判断を俺も信じると、ジェラシーの対象だった神童が言ってくれたのだ!

 そして蘭丸の判断のカバーは自分たちに任せろと告げ、守備に専念する神童。その姿を見て、蘭丸の心に沈殿していた不浄なものが溶けていく。狩屋マサキ(CV:泰勇気)から彼我(ひが)の現実を突きつけられたときはムキになって否定していた神童に対する嫉妬心と素直に向き合う気持ちを、蘭丸は得たのだ。

 そしてオルカ(CV:ゆりん)と激しく競りあう神童の後を追い、蘭丸は決然と駆け出した。過去の思いを吹っ切るかのように雄叫びを上げてボールを追う蘭丸の姿をジャンヌも認める。

 そして前半のダーナの時と同様、オルカを前後から挟み撃ちにする神童と蘭丸。自らの為すべきこと、霧野蘭丸にしか出来ないことを今こそ見出(みいだ)した蘭丸は語る。



 「俺の役割は、神童たちが安心して攻撃できるように、みんなを支えることだ!!」


 すべてを吹っ切り、自身のなすべきことを見出した蘭丸の背から一瞬オーラが浮かんで消えた。それは化身がその身に宿ったという証だ! 蘭丸と神童はバハムスに2人がかりでスライディングタックルを浴びせ、ボールをデッドさせる。

 先に立ち上がった蘭丸は神童を助け起こし、自分のことしか考えていなかったことを詫びる。そしてジャンヌに向き直り、大声で自分のやるべきことが見つかったことを伝え、そしてジャンヌにしか出来ないことがあるはずだと、改めて告げる。

 だがジャンヌはその自信を喪失して項垂(うなだ)れていた。蘭丸の激励にもその顔を上げることが出来ない。



 蘭丸「自分を信じるんだ!!」


 そして蘭丸はジャンヌを信じると告げる。自分を信じてくれた神童から受けた勇気を、今度はジャンヌに分け与えるかのように……。蘭丸の誠実な心からの言葉は、ジャンヌに百万もの援軍を得たかのような勇気を与える。


 試合はプロトコル・オメガ3.0のスローインで再開される。エイナムからレイザへとパスが渡る。その前に立つのは蘭丸だ。絶叫とともに彼の背中から、今度こそ化身が具現化する!!




 ついに5人目6人目の化身使いが誕生した瞬間。蘭丸の化身「戦旗士ブリュンヒルデ」。騎士ではなく旗士となっていることに注目。これは前線で戦う立場ではなく、前線で戦う戦士を鼓舞する旗持ちの役割を示唆するものだ。ちなみにブリュンヒルデとは北欧神話に登場する戦乙女ヴァルキリー(ドイツ語でワルキューレ)の一人で、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』ではジークフリートと結婚する。おおっと、意外なところでジークフリートと接点があったね。


 蘭丸の化身能力発動は、仲間たちから驚きと喜びの歓呼によって迎えられる。そして蘭丸を見つめていたジャンヌにも更なる勇気を与える。蘭丸の化身の果たす役どころは、まさにジャンヌ自らがすべき立場を喚起せしめ、そしてジャンヌだけにしか出来ないことを想起せしめる威容であったからだ。


 化身発動に構わず、レイザは必殺技「オフェンスコマンド04(スピニングアッパー)」をぶつけてくるが、化身の加護を得た今の蘭丸にこんな技など通用するはずもない。ガッチリ受け止め、ボールを奪い取る。



 自らの化身の力を体験した蘭丸は、再度ジャンヌに向き直り、彼女にしか出来ないことを為すよう勧める。弱気になっていたジャンヌを叱咤激励し、自分自身を信じない者に仲間がついてくるはずはないと喝破する。

 蘭丸の言葉はジャンヌの心に、今度こそ折れない強い信念を呼び覚ました。ジャンヌは戦場に向き直り、落ちていた軍旗を手に、高らかにフランス軍を鼓舞し始めた。




 神の声を伝える存在が確固たる自信を得たのだ。その発言はフランス軍に何にも勝る勇気を与える。「自分たちには神がついている」 そう思った人間はもう負けることなど考えない。そしてその伝播性は一瞬である。一気に士気が上昇したフランス軍は、イングランド軍を圧倒し始める。


 雄々しく旗を振って仲間たちを鼓舞するジャンヌ、そしてそれを優しい眼差しで見つめる蘭丸を見て、黄名子は得心したかのように微笑む。彼女にとっても、これ以上「意気投合」という表現に相応しい姿を見たことがなかったのだろう。と同時に黄名子にとっては、ジャンヌのオーラを受け継ぐべき存在が自分ではないということの最終的な確認のシーンだったと思う。


 ジャンヌが今こそ真の能力を発露した瞬間だとみなしたワンダバは、また興奮のポストペット状態となりながらミキシマックスガンを構える。オーラを送り込むプラス銃を向けられた黄名子は慌てて自分ではなく、蘭丸を撃つように指示する。


  黄名子「ウチ、分かったんよ! ミキシマックスするのは霧野先輩だって!」




 ミキシマックス完了!! ジャンヌのオーラ以外に、メガネまで受け継いだミキシ蘭ヌ。本格的メガネ男の娘の爆誕なのだが、やっぱりジャンヌはメガネが命なのか!?


 化身に続けて、ミキシマックスまで成し遂げた蘭丸は一気にチームの一軍確定だ。その状態の蘭丸に挑みかかるガンマだったが、中の人的に意地悪だった頃の狩屋が目に浮かぶ。ジャンヌの能力を得た蘭丸は一瞥(いちべつ)しただけでその突進をかわしてしまう。能力的に完全に相手を凌駕(りょうが)する者の動きに他ならない。



 そして後衛で仲間を鼓舞する立場に相応しく、剣城に的確な指示を出し、そこにパスを送る。剣城もこの好機を逃さない。化身「剣聖ランスロット」を召喚し、すかさずアームドしてシュートを撃つ。

 新生プロトコル・オメガのキーパーを務めるルジク(CV:不明)も必殺技「キーパーコマンド07(ジャイロセービング)」で迎撃するが、流れ的に止めらない。剣城のシュートはゴールネットを揺さぶり、これで雷門が1−1の同点に追いついた。





 蘭丸「流れは俺たちにある!!」


 まさにその言葉通り、ここからは圧倒的に雷門が攻める展開となる。蘭丸によって一変したそのチーム状況を見定めたクロノ・ストーン状態の円堂大介(CV:藤本譲)は、そこに彼が抱いていた2の力「仲間の勇気を奮い立たせ、鉄壁の守りに替えるカリスマディフェンダー」を見出す。それはいいんだけど、彼がこの遠征メンバーから外した蘭丸がその能力を受け継いだということについてはどう思っているんだろうね?


 黄名子から蘭丸にパス。蘭丸は的確な判断力で、親友の神童にラストパスを送る。



 ミキシマックスした蘭丸のキック能力は凄まじく、プロトコル・オメガ3.0の重量級2名を軽く吹き飛ばすほど。


 それを受ける神童もミキシトランスで信長のオーラを引き出し、必殺シュート「刹那ブースト」をプロトコル・オメガゴールめがけて撃ち込む。もう早くも「それしかないんかい?」と言いたくなる噛ませキーパー技の「キーパーコマンド07(ジャイロセービング)」で対抗しようとするルジクだったが、もちろん止まる訳もなく……。




 「キーパーコマンド07(ジャイロセービング)」再び。たぶんこれがこの技の見収めとなりそうなので、「止めたかな?」と期待を持てるカッコ良いシーンを。ただこのあと当たり前のようにブチ破られますが。


 雷門の逆転を待っていたかのように矢嶋が試合終了のラッパを鳴らす。雷門の勝利だ。それもジャンヌのオーラを受け継ぐという形にプラスして、さらに蘭丸の化身能力の会得と、まさにこの試合は最高の形で幕を下ろす。



 勝利を確認して、殊勲の2人のミキシマックス状態も解除される。


 敗れたプロトコル・オメガ3.0の面々は声もない。怒りに燃えるザナークがスフィアデバイスを操作し、ガンマたちに一切釈明の機会を与えないまま、どこかへと転送してしまう。

 彼らが舞台を去ったことで、橋上に障壁(しょうへき)としてあった結界も無くなり、ようやくフランス軍の援軍が橋を渡ることが出来るようになった。ジル・ド・レの号令の下、満を持していたフランス軍の本隊が大挙してイングランド陣に突撃する。そしてジャンヌはその間もずっと旗を振り続け、仲間を鼓舞し続ける。もはやオルレアンの包囲戦の方も勝敗が明らかとなりつつあった。



 敗北をモニターで見ていたエルドラドの幹部たちは収まらない。彼らの手駒であるプロトコル・オメガを使用して敗れたのだから、その反応も当然だ。だが議長であるトウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)はこの敗戦にもあまり意に介さぬふうで、次の作戦を提案する。ザナークに秘密兵器的な「アレ」を与えてみると楽しそうに語るトウドウ。彼の思惑は今後、どういった展開を及ぼすのだろうか?



 そしてシノン城に戻った一行は、シャルルから労に報いるお褒めの言葉を授かる。天馬はシャルルにも逆に礼を述べる。結果オーライとはいえ、シャルルの采配がこの戦いの勝利に貢献したのも事実だ。誇らしげなシャルルを見て、仲間たちにも笑みがこぼれる。

 そして天馬たちが次のオーラを求めて旅立つと聞いたシャルルは、天馬たちとの出会いを一生忘れないと最大限の敬意のこもった言葉をかけてくれた。そして次に会う時は、自ら率いるチームとサッカーで勝負するのだと、イタズラめかして告げる。シャルルと天馬たちとの別れは、こうして和やかに締めくくられた。


 そしてもうひとつの別れも迫っていた。ジャンヌと2人きりで別れの挨拶をする蘭丸。お互いがお互いに出会わなければ得られなかったはずの力を、今後の戦いに活かすと誓い合う2人。自分を信じることの勇気を蘭丸に教えられたジャンヌは、感謝の意を込めて彼女が大事に身につけていたお守りのペンダントを差し出す。

 蘭丸はそんな大事なものはもらえないと辞退する。気が済まないジャンヌに対し、蘭丸は別のものをくれないかと提案する。それは彼女が初対面の時にくれたことがある、2人のあいだの思い出の品だった。



 遠目に2人の様子を窺う黄名子と西園信助(CV:戸松遥)。


 ジャンヌの優しさが込められたそれを受け取る蘭丸に、ジャンヌはメガネをいじりつつ、はにかんだような笑顔を浮かべる。お互いに恋愛感情一歩手前のようなその別れは、そうして終わりを告げた。



 時空を超えるキャラバンの中では、大介が皆の労苦を労(ねぎら)っていた。蘭丸はその演説を聞き流し、ジャンヌから受け取った贈り物に目を向ける。それは色紙に包まれたキャンディだった。蘭丸は愛おしそうにその包みを開け、キャンディを口に放り込む。



 ジャンヌのキャンディはきっとミルク味だ。


 甘いキャンディにジャンヌの思い、その優しさまでを味わうかのように目を閉じた蘭丸は、最後にもう一度、ジャンヌの名を心で思う。吹っ切れたかのようなその横顔を、隣席の神童が見て静かに微笑む。それは親友の抱いた悩みが解消されたことを確信して、その喜びを分かち合う笑みなのか? それとも過去の世界に想い人を残して来た経験のある先輩としての感傷的な笑みなのか? それは誰にも分からない。たぶんその両方なのだろう。



 一方、誰もいないオルレアンの戦場跡に佇(たたず)むザナーク。プロトコル・オメガ3.0の脆(もろ)さに失望した彼は、ついに彼の子飼いと呼べる強力な部下を呼び寄せていた。



 ザナークの新たなる部下たち。10人しか姿が見えないので、おそらくザナーク自身も今度は選手として加わるのだろう。ガンマだけでなく、プロトコル・オメガ3.0の全員が一気にお払い箱になるとは思ってもみなかったが。


 その場に集結した新たな部下たちを見つめ、今度こそ勝てると確信したザナークは、その邪悪な顔を更に歪めて凶悪な笑みを浮かべる。



 次回に続く



  エンディング



 ジャンヌ・ダルク編、大団円でここに終了。戦国時代編と比べるとかなりサクサクペースで進み、むしろ早すぎるんじゃないかという印象を受けた。私の大学時代の専門が西洋史ということもあるかもしれないが、この時代の話はもうちょっと色々見たかった気がするのだ。

 ジャンヌがこのあと不幸な目に遭うということも蘭丸は知っていたのだろうか? 有名な人物だし、知らないはずが無いんだけどね。そういった、このまま歴史の只中に置いておけば命を失う相手に対する葛藤(かっとう)なんかももうちょっと描いて欲しかった。歴史に与える影響が大きすぎて連れて行くわけにもいかないしね。

 蘭丸はこの遠征で大きく成長を遂げ、神童に匹敵する強力な戦力になったと言えるだろう。ただ化身もミキシマックスする相手も女性だという点がちょっと気にかかる。化身アームドするときも来るんだろうか? ちょっとドキドキ。



 それにしてもシャルル王太子がいい人すぎる気もしたりしたのだが。この後の歴史を考えるとねぇ……。あと今回はジル・ド・レが出ていたけどラ・イール(CV:野島裕史)が不在だったね。メシの食い過ぎで出られなかったのか、それとも戦死したのか?(実際はオルレアン攻囲戦でラ・イールは大活躍して戦死してはいません)


 前回も書いたけど、このオルレアン攻囲戦は史実であった本当のお話。ジャンヌが旗を振って友軍であるフランス軍を鼓舞し、敗色濃厚だったフランス軍を勝利に導いたのは史上有名な話だ。



 これがその時の雄々しきジャンヌの姿を描いた絵画。今回のジャンヌの姿にそっくし。



 次回は三国志編に突入。私はこれは専門ジャンルではないものの、ゲームや小説、マンガなどで三国志情報は山ほど漁(あさ)っている三国志大好き人間でもある。あまり興味ない人に押し付けるのは好ましくないので感想ではその辺のことは出来るだけ抑制的に書こうとは思っているが、暴走したらごめんなさい。



 これは関羽かな?


 劉備玄徳と諸葛亮孔明が登場するのは確実だと思われる。この段階から想像するに、おそらく孔明を軍師に引き入れる段階の劉備と出会うのではないかと思われる。だとしたら、舞台は史上有名な「三顧の礼(さんこのれい)」の名場面だ(いかん、もう暴走しそうだ)。


 そして前作ファンにはお待ちかね、オープニングにも登場していて再登場はまだかと思われていた天馬のライバル・雨宮太陽(CV:江口拓也)が復活する。ただ次回は1週間お休みのようで、10月3日の放映となる。待ち遠しいやんね〜。



  次回「劉備さんは面白い!」に続く。



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