『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第3話「よみがえれ!雷門!!」の感想 【優一さんが無双すぎる件】

 今日はこどもの日。今年のゴールデンウィークも明日までだ。


 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の感想文。今回は第3話「よみがえれ!雷門!!」を観ての感想を書く。相変わらずややこしいパラレル設定に皆さんは着いて来れているだろうか?

 また今回はやたら展開が早く、さらに観る側の気持ちを惑わせるかのように、よく知る人物が我々の知る形ではない姿で物語に新規加入する。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第2話「時を越えた天馬!」の感想 【エスカレートする超次元!】
 をご覧ください。

  • 前々回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第1話「サッカーが消えた!?」の感想 【新章スタート!】
 をご覧ください。


 で、一覧表示されます。

 サッカーという存在そのものを抹殺するため200年後の未来から送り込まれたアルファ(CV:谷山紀章)率いるルートエージェント。彼らはサッカーの次代を担う少年少女たちに圧倒的に影響力のある雷門中学サッカー部を消去しようと、その事実上の創設者、円堂守(CV:竹内順子)に狙いを付ける。

 その計画を阻止するため、同じく未来からやって来た少年、フェイ・ルーン(CV:木村亜希子)とクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)は松風天馬(CV:寺崎裕香)とともに円堂と合流し、サッカーでアルファのチーム「プロトコル・オメガ」と戦う。

 フェイと天馬のチーム「テンマーズ」の選手たち(デュプリ)を攻撃し、傷つける卑劣な戦略を取るアルファのやり方に、サッカーはそんなものではないと円堂は激昂する。そして、自分に対してシュートを撃つよう、アルファに告げる。

 この段階の円堂は帝国学園と死闘を演じた頃より1年遡(さかのぼ)る。RPG風に言えばレベル1、「美味しんぼ」で言うところの富井副部長並みの雑魚だろう。

 サッカーは人を傷つけるものではないと啖呵(たんか)を切る円堂に対し、自分と同学年の頃から立派なことを言うと共感した天馬は「サッカーが悲しんでる!」とアルファのやり方を非難する。

 だがアルファは意に介さない。相変わらず冷静に、それでいて今までよりちょっと声を張りながらサッカーを滅ぼすことを告げる。サッカーを始めたばかりの円堂の能力の低さをおそらくデータで知るアルファは、円堂に向けて強力なシュートを放たんとする。それは彼に課せられた、インタラプト修正の遂行のためなのだ。



   オープニング




 前回のコメント欄でご指摘を受けたので確認してみたら、確かにこっちバージョンのオープニングでは鬼道有人(左下 CV:吉野裕行)の姿があった。ワンダバと同時に写ってるし、その中身が鬼道じゃなかったのは残念。やっぱりゲームは鬼道バージョンと豪炎寺修也バージョンの2種類出るんだろうな。



 その局面を、アルファたちの上部組織である「エルドラド」の構成員たちが見つめていた。彼らはもちろん、このミッションの成功を望み、円堂に対するインタラプト修正が成されることを渇望している。


 アルファは自らの任務を果たすため、円堂に向けて強烈なシュートを放つ。だがそこで歴史の流れを無視する出来事が起こる。円堂が必殺技「ゴッドハンド」を出したのだ!



 後に代名詞と言われるその「ゴッドハンド」でアルファのシュートを止める円堂。帝国学園との戦いで初めて出すことが出来たはずの必殺技を、この場面で出せたということには、敵であるアルファだけでなく、味方のフェイも驚愕の事態であった。ワンダバがこの事象を「パラレルワールドの共鳴現象」と解説する。

 それは同じ局面を見ていたエルドラドの議長・トウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)からも同様の言葉が出る。「時空の共鳴現象」とは、パラレルワールドに存在する複数の円堂が能力的に近似値を取るように干渉しあう現象のことで、今回の場合、結果的に平均値まで円堂の能力を引き上げられたということだ。この説明で分からない場合、「何だかよく分からんが、とにかく本来の歴史より能力が高まる」と覚えておけばよい。

 共鳴現象により現出したこの円堂は、この瞬間あらゆる歴史から独立した新たな円堂であり、その能力は次元の移動者であるアルファにも以後は未知数のものとなる。エルドラドからの指示を受け、アルファも事態が変わったものとして受け止める。


 そんな難しいことは分からない天馬くん、素直に事の成り行きを喜び、反撃に転じるよう、仲間たちに指示を出す。円堂が大きく蹴り出したボールは競り合いの末、「プロトコル・オメガ」のデブが奪う。だが天馬は試合を見つめる木野秋(CV:折笠富美子)やワンダバが驚くほどのスピードでその後を追い、前回会得した必殺技「ワンダートラップ」でボールを奪い返す。



 そのプレーを後ろから褒め称え、鼓舞する円堂。こういう時の所作(しょさ)にもキャプテンシーが現れている。しかもおそらくは本人は無自覚でやっている。さすがは天性のキャプテンとしての素質を持ち合わせる男だ。

 天馬の動きをそのままにしておく訳にはいかない。アルファは選手に天馬を潰すよう命じる。だが天馬の前に立ちはだかった2人は前回も天馬にやられた人造人間18号(本名ではありません)たちだった。案の定、天馬の必殺技「アグレッシブビート」で蹴散らされてしまう。



 前回やられ役を演じた2人がまたやられとる。絵を使い回すという大人の事情もあったんだろうけど……。


 次々と必殺技を繰り出す天馬を見て、円堂はそのポテンシャルの高さに感嘆(かんたん)する。そして天馬はフェイにパスを出す。キーパーのザノウ(CV:不明)に警戒を指示するアルファだったが、フェイはさらにゴール前に走り込む天馬にパスを返す。天馬は必殺シュート「真マッハウインド」でザノウのキーパー技「キーパーコマンド03」を打ち破り、豪快にゴールネットを揺する。



 これは前作の最終決戦で使っていた技「真マッハウインド」。昔の技も使えるという訳なのかな? ということは「そよかぜステップ」とかもまた出す機会があるのだろうか?


 天馬はシュートを決め、フェイとハイタッチで得点の喜びを分かちあう。ゴール前に走り込んだスピードは彼自身も驚きの加速だったと言う。つまり天馬自身もこの時空移動により、思わぬ能力アップが起こっている可能性がある。


 先制された「プロトコル・オメガ」のキックオフ。再開早々、ゴール前にボールを送り、そしてアルファの元へ。アルファは今度は円堂を富井副部長と見くびることなく、必殺シュート「シュートコマンド01」を放つ。だが円堂に訪れていた共鳴現象は驚くべきものであった。

 止めると心に決めた円堂の身体からオーラが立ち昇る。その現象は、この時期の円堂にはあり得ないはずの能力だった!




 円堂の化身!!「魔神グレイト」



 円堂は化身必殺技「グレイト・ザ・ハンド」を使い、アルファのシュートを阻止する。この能力の発動には、ワンダバをはじめ、味方一同もびっくりだ。当の円堂自身は、彼の師である祖父のノートにも書かれていなかったであろうこの能力に驚くばかりだったが、化身を出す時とか技を出すときにその名前を呼んだのは何だったんだ? 無意識の魂の発現だったのかもしれない。

 時空の影響が想像以上に大きいことに戦慄するフェイ。その気持ちはワンダバも同様だったのだが、なぜか彼はその体色をピンク色に変える。どんな興奮の仕方だ?



 「なぜピンク色?」と問う秋だったが、その前になぜぬいぐるみが話してるのかを問うべきだろう。余談だが、コイツこの色になるとポストペットみたいだな。


 アルファのシュートを見事に止め、円堂はどうだと言わんばかりに(実際言っていたが)サッカーを嫌いにはならないと言い放つ。雷門中サッカー部結成の歴史を守るには、この勢いで「プロトコル・オメガ」を押し切るのみだ。天馬のその考え通り、「テンマーズ」は試合を進めようとする。

 だがドリルみたいな髪型のドリル(CV:不明)からパスを受けたフェイが敵のマークにあい、ボールをサイドラインに逃してしまう。座り込むフェイを気遣って声をかける天馬。デュプリ9人をコントロールし、さらに自らも激しい動きを続けるフェイの体力は消耗が激しかった。

 そこに、観客席から何者かが現れる。そしてこの試合に参加を表明し始める。暗い客席にあって、その人物の表情は見えないが、その髪型から来る印象に、天馬はある男を連想する。


 天馬「剣城……?」


 この珍客の登場、天馬サイドは承知していない事態だったが、実はエルドラド側にとってもこれは想定外の事態だった。その男がサッカーの新たな流れを産み出す要素を持つ存在であることを喝破し、トウドウはアルファにその男のデータを送る。それで判明したその男のデータは、剣城京介(CV:大原崇)に対して行なったインタラプト修正の折に生じたエラーという表現でアルファの仲間にも告げられる。


 グラウンドに降り立った男の姿を見て、やはり剣城だったと嬉しそうに駆け寄る天馬だったが、近づいてみると、何やら違和感。その男は、天馬の知っている剣城よりも背が高かったのだ。

 男は自らを、剣城は剣城でも、京介の兄である剣城優一(CV:前野智昭)だと名乗る。



 そう言われ、天馬はようやくその人物の正体に気付く。彼の知る優一は、脚を怪我していて歩くことは叶わなかったはずだ。だがその疑問に答えるのは後回しとして、優一は天馬の仲間に加わり、共にアルファたちと戦うことを告げる。

 もちろんこの時代の円堂は優一のことなど知る由(よし)もない。パラレルワールドから心強い仲間が来たようだと笑顔で語るフェイの説明にも訳が分からんといった風情。まぁ健全な中学1年生のサッカー馬鹿(くどいようだけど褒め言葉)にはすぐに理解は不能だろう。

 優一の元に歩み寄ったアルファは、優一のことも修正対象であることを宣告する。だが優一は自信に満ちた表情で、その言い分を退ける。監督であるワンダバが、ここで選手の交代を告げる。背番号10番のキモロ(CV:小林ゆう)が一つも見せ場を作ることなく、優一の交代要員として姿を消す。これでフェイの操るデュプリは1体減ることとなり、フェイの負担は軽減することだろう。


 テンマーズのユニフォームに着替えた優一がピッチに入ってくる。天馬はサッカーの存亡を賭けるという事態であるにもかかわらず、優一と一緒にサッカーが出来ることを心から喜ぶ。それは優一も同じだった。さらに彼が少年時代に憧れた豪炎寺修也と共にプレーしていた伝説の円堂守まで同じ舞台に存在するのだ。優一も燃えない訳がない。当の円堂はそんな事情は毛先ほども知らず、優一に敬語で話しかけていたりするのだが……。


 試合は「プロトコル・オメガ」のスローインで再開される。受けたデブの周囲を回るようにしてボールを奪ったのは、参加したばかりの優一だった。そして高い身体能力を駆使し、「プロトコル・オメガ」の選手たちを次々と抜き去っていく。そのプレーの巧みさに目を奪われる天馬。剣城の兄として、車椅子とベッド、そしてリハビリする姿しか知らなかった優一のサッカー能力をまざまざと見せられ、その素晴らしさに驚嘆(きょうたん)する。200年後から来たフェイですら、その圧倒的な能力に唖然となる。

 優一は横に着いてきた天馬に、化身を出すよう指示する。そして自らも秘められた能力、化身を召喚する。



 優一の化身「魔戦士ペンドラゴン」。ちなみに剣城の化身「剣聖ランスロット」もペンドラゴンもイギリスの伝説「アーサー王物語」に関連する。ランスロットは有名な円卓の騎士の一人。ペンドラゴンはアーサー王の父の称号。



 驚く一同だったが、さらに優一は「アームド!」の掛け声の下、その化身を身に纏(まと)う。驚いたことに、優一は化身アームドの能力も持ち合わせていた。

 驚いている天馬に、キミにも出来るとフェイから声がかかる。ただそれだけで、理論も原理も分からないのにやる気になる単純なところが天馬くんの良いところだ(褒めてます)。

 天馬は化身「魔神ペガサスアーク」を召喚し、さらに見よう見真似で「アームド!」と一声叫ぶ。すると化身エネルギーが光の束となり、天馬の身体に纏わりつく。



 化身アームドした天馬。「なんとかなるさ」にも程がある。


 現状で考え得る最も強力な能力を持つ戦士が同時に2人も舞台に降臨し、戦力は一気に「テンマーズ」に傾く。


 だが使命のため、その流れに抗(あらが)う者がいた。アルファだ。天馬と優一と同じ能力を持つ彼が2人の前に立ち塞がる。そしてアルファは化身「天空の支配者 鳳凰」を召喚、さらにアームドし、その能力を防御に使用する。優一は構わずボールをゴール前に上げ、天馬と共にツープラトンのシュートを撃つ。



 ザノウは「それしか出来ないんだろうな……」と見る側の同情を誘う噛ませキーパー技の「キーパーコマンド03」で対抗するが、当然ながら止められない。だがその後ろに回り込んだアルファが、化身アームドの力でもってそのシュートを止めにかかる。



 しかしいつも端正な彼の顔が見る間に歪(ゆが)む。その苦しげな顔に合わせ、ボールはじりじりとゴールマウスに向かう。そしてとうとう耐え切れなくなったアルファは押し切られ、ゴールを許してしまう。2人がかりのアームドシュートには、やはり1体のアームドでは勝てないのだろう。


 これで試合は「テンマーズ」が2−0とさらに突き放す展開となる。主人公側のチームがこれだけ押し気味に試合を進めるのも、イナズマ世界では珍しい。お互いの健闘を称え、ガッチリと握手する天馬と優一。この場合、記録上はどちらのゴールになるんだろうね? 前作の「ファイアトルネードDD」の時から思っていたんだけどさ。

 優一の恐ろしいまでのポテンシャルを見て、フェイもこれ以上ない強力な助っ人が現れたと賞賛する。ワンダバも興奮し、さっきからずっとピンク色だ。


 だがこの展開を興醒(きょうざ)めして見ていた者たちがいた。それはアルファたちの上部組織・エルドラドの面々だ。自らの手駒が天馬たちに圧倒される展開を酷評し、アルファに撤退を命じる。前回の時と違い、今回は本当に試合の上でも完敗しての撤退だ。

 アルファはそういった感情的な表情を一切見せず、仲間たちに撤退を指示する。頭上に現れたUFOのようなものの放つ紫色の光に照らされ、「プロトコル・オメガ」の選手たちはその姿を消して行く。


 UFO自体が最後に消えるのを見届け、フェイは円堂のサッカー部結成という重要な歴史を守りきったことを実感する。戦いに勝利し、サッカーの歴史を守ったという事実に喜ぶ天馬と優一だったが、当の円堂だけはまだ何の説明も受けていないこともあり、腕を組みつつ合点がいかないといった表情を浮かべるのみだった。

 優一は以後もこの戦いに協力することを告げる。彼は大事な弟のためにも、戦うと笑顔で語るのだった。


 危機が去り、改めて優一がなぜここに現れ、そして共に戦うことになったのかを説明し始める。優一が語るには、彼の存在も本来の時間軸とは違う存在だという。つまりアルファの語っていたエラー、イレギュラー的存在だということだ。

 子供の頃の不幸な事故で脚を怪我する歴史ではない、別の歴史を辿(たど)っていたというのだ。その歴史では、優一も京介もサッカーを続けることとなるのだが、そんな2人のもとにサッカー留学という話が舞い降りたことでその展開も終わりを迎える。

 特別に裕福ではない剣城家では、息子2人を同時に留学させるだけの金銭的余裕が無かった。悩む両親の会話を聞いていた剣城兄弟は思わず両親の前に飛び出す。




 剣城の両親。顔がちゃんと出たのはこれが初めてだろう。やはりどことなく剣城兄弟に似ている。ちなみにちびっこの頃の京介の声は小林ゆうさん。


 優一は弟を思いやり、自分は留学しないから、弟を行かせてやってくれと伝える。同時に両親の経済事情をも慮(おもんぱか)る態度だった。だがその優しい思いは、血を分けた弟である京介にも受け継がれていた。京介は後ろを向いたままサッカーに飽きたと言い、そのまま立ち去ってしまう。本当の歴史を知る天馬には、この時の京介の言葉が兄のためについた優しい嘘であることを知っている。表情を見せずに夢を諦めた京介の心境はどんなものだったのだろうか?

 優一にもその優しさは痛いほどよく分かっていた。だからなおのこと、サッカーで活躍して弟の気持ちに報いようと、優一はサッカー留学を決める。

 だがその運命の因果律は、すべて京介からサッカーを奪うためにエルドラドが裏で糸を引いていたのだった。エルドラドは天馬や円堂の時のように直接サッカーで痛めつけるという行為だけでなく、こういった搦め手(からめて)を取ることもあるらしい。

 その作戦は成功したが、同時に別の恐るべきサッカーの才能を持つ人物を覚醒させてしまう。それが優一だ。そして優一の前にも彼らは現れ、サッカーを奪おうとしたらしい。だが優一は誰かに助けられたという。名前は分からないが、サッカーが好きな人間を支援するというポリシーを持つ人物らしい。それを聞いてフェイが反応する。おそらくフェイの知る何者かなのだろう。

 そして優一は、その人から貰(もら)った「タイムブレスレット」によって時空を移動し、この場にも来ることが出来たと語る。おそらくそのブレスレットは、ワンダバの操縦するキャラバンと同じような能力を持つのだろう。



 これがタイムブレスレット。


 何がなんだかわからないが、天馬たちがサッカーを守るために戦っているということだけは理解した円堂は、自分も戦いたいと語る。だがそこで秋が釘を刺す。円堂が今しなければならないことは雷門にサッカー部を作ることだと言う秋の言葉に天馬も同意し、サッカーが喜ぶという言い方で円堂のその後の行動を示唆(しさ)する。サッカーを擬人化して話す天馬独特の言い回しだ。

 それを聞いた円堂は、天馬を面白い奴だと大いに気に入り、その意向に従うことにする。つまり円堂はこの時間に残り、雷門中サッカー部結成に邁進するということだ。

 そこでワンダバが音頭を取り、もとの時代に戻ることを進言する。インタラプト修正を阻止した訳で、雷門中に起こっていた異変も元に戻っていると思われる。一刻も早くその状態を確認すべきだろう。

 名残惜しそうに天馬たちを見送る円堂だったが、彼らは11年後、監督と選手という形で再会することが運命づけられている(そのためにも天馬は今後も負ける訳には行かないのだが)。キャラバンに乗り込もうとする天馬を呼び止め、今度会った時にはまた一緒にサッカーすることを誓い合う。



 天馬・円堂「またサッカーやろうぜ!!」


 サッカープレーヤー同士の別れの挨拶(あいさつ)は、これに勝るものはない。


 ワンダバのカウントダウン終了と共に中空に消えていくキャラバンの姿を見送りながら、今回の体験が夢のようだと秋は語る。天馬と再会できる日が必ず来ると、円堂は笑顔で語る。秋は円堂よりもうちょっと早い機会に親戚として再会するんだろうなぁ。


 キャラバン内では、この時代に来るための道標(みちしるべ)だったアーティファクトの「サッカー部の看板」がその姿を消す。役目を終えたアーティファクトは、その存在していた本来あるべき時間・場所に戻るのだという。

 円堂がいきなり「ゴッドハンド」を覚えてしまったけど、歴史が変わらないかと心配する天馬。大丈夫だと請け合うフェイだったが、奴は化身というとんでもないモノまで覚えちゃったよ? あの運命の帝国学園戦にももしかしたら圧勝してしまい、豪炎寺が入部せず、メガネ(目金欠流 CV:加藤奈々絵)が雷門のエースストライカーになるという恐怖の未来になってしまうことは無いだろうね? ものすごく心配だ……。


 まぁややこしいのがパラレルの話だからやむを得ないかな。歴史には自己修復能力もあるというし、ある程度は柔軟性があると信じるしかないかもしれない。

 操縦しながらワンダバは、波乱の一日に疲れたと語り「天馬の家に行こう」と断りづらい怖い目をしながら言う。休息するための宿にするつもりなのだろうけど、自分はサッカーするでもなくピンク色になっていただけのくせにねぇ。まぁキャラバンの操縦は疲れるかな。



 いきなりの奇抜な訪問者に目を丸くする秋(11年後)。天馬は友達を連れてきた風を装いながら、フェイたちを自室に導く。優一の礼儀正しい挨拶のあとに、クマのぬいぐるみに語りかけられて秋は戸惑いながらもデジャブを覚える。11年前のあの衝撃をウロでしか覚えていないのかよ。


 一方、エルドラド本部に召還されたルートエージェントたち。敗戦の責任を問われ、アルファは弁解の言葉もない。もう一度チャンスを与えられる彼らだったが、逆に言えばこれが最後のチャンスでもある。トウドウから覚悟を問われ、アルファは短く「イエス」と返答する。


 翌日、雷門中にやって来た天馬だったが、サッカー部室に繋がる扉を開けることが出来ずにいた。サッカー部が無くなっていた時の衝撃を忘れられず、またそうだったらと思うと怖くて前に進めないのだろう。

 もしそうだったら、またワンダバを呼び、タイムジャンプして問題解決に当たれば良いと、天馬の気を休めるようにフェイが言う。ワンダバは目立つので木枯らし荘に残してきていた。



 その頃のワンダバは、大事なキャラバンを洗車していた。その様子を秋は不審がるが、中学生の頃は馴染んでいたのにね。大人になって、やっぱりおかしいと懐疑的になったのかもしれない。


 まだ逡巡(しゅんじゅん)する天馬の後ろから、誰かが話しかける。それは幼なじみの空野葵(CV:北原沙弥香)だった。練習が始まると言われ、まだトラウマを持つ天馬くんは確かめるように「書道部?」と尋ねるが、葵はからかわれたことを怒るかのように、サッカー部だと返す。

 その言葉を聞き、天馬はようやく彼のよく知る雷門に帰ってきたという気分になる。安心したあまり、その場にへたり込む天馬を葵は不思議そうに眺める。天馬の果たしてきた冒険は無駄には終わらなかったのだ。

 葵は天馬の後ろにいたフェイと優一に気がつく。機転が利かずしどろもどろの天馬に変わり、フェイは自分たちを天馬のサッカー仲間だと自己紹介する。天馬の友人と聞き、フェイという日本人離れした名前に突っ込むこともなく信用する葵がちょろい。


 そして4人でサッカー部室に向かう。そこには見慣れた光景と、見慣れた人たちが存在した。天馬の来るのが遅いと叱りつける神童拓人(CV:斎賀みつき)だったが、今の天馬にとってはその叱責すら嬉しく懐かしいものだっただろう。

 親しげに近寄ってくる西園信助(CV:戸松遥)や影山輝(CV:藤村歩)の姿を認め、心からの安堵の息を吐く天馬。その天馬の影から姿を現した優一の姿を見て、他のメンバーの顔が輝く。優一を剣城先輩と呼び、敬語で話すみんなの姿を見て、天馬は驚く。

 この世界での優一は雷門中のOBで、エースストライカーとして活躍していたらしい。だが優一が選手として活躍していたということは、この歴史はやはりエルドラドが築いた偽(いつわ)りの歴史であることとなる。

 となると、天馬の気になる存在は優一のためにサッカーを捨てた剣城京介の存在だ。「剣城は!?」という天馬の問いかけに、先輩に対して呼び捨てするのは失礼だと怒る神童。

 こういう感じで齟齬(そご)が出るということは、やはり京介の方はこのサッカー部に存在していないということだ。歴史が完全に修復していない状態であることを知ったフェイは、こうなったら雷門の選手全員に協力を求めることにする。


 またあの難しいパラレルワールドの説明をするのかと思ったが、フェイは一同を部室の外に誘導し、ワンダバを呼ぶ。中空からいきなり現れるバス型の飛行体を見れば、このあとの難しく荒唐無稽(こうとうむけい)な話も信じやすくなるだろう。論より証拠というか、百聞は一見に如かずというか。



 キャラバン登場に驚く雷門選手たち。やはり浜野海士(CV:金野潤)の驚き方が一番アホヅラ……もとい表情が豊かだった。


 降りてきたクマのぬいぐるみを見て、さらに驚く一同。そうだよな、これが正常な反応だよな。秋と円堂が特殊なんだよな。

 車田剛一(CV:野島裕史)に「コレ」扱いされて憤慨(ふんがい)するワンダバ。自らを「テンマーズ」の大監督と言って胸を張る。天馬に事情を問う瀬戸水鳥(CV:美名)だったが、ワンダバ自身が説明すると言って話し始める。

 ピンク色になって一気にまくし立てるワンダバだったが、誰もその話を理解できていないようだった。やはりいきなり理解するのは難しい話だと優一は諦め顔だったが、自分はその話の通り、偽りの時間の中にいると後輩たちに語る。本当の自分を知っているのは、天馬だと言う。つまり脚を怪我して手術を受けないと再起できないという立場の優一、その姿だ。

 優一は弟のために本当の歴史を取り戻したい旨を述べる。そして弟がこのチームに復帰した時、それが本当の雷門中学サッカー部の姿の再現だと語る。

 実感は湧かないが、今の自分たちが本当の自分たちではないと聞かされ、嫌な気持ちに陥る霧野蘭丸(CV:小林ゆう)。だが何となく理解している神童や蘭丸と違い、脳まで筋肉造りの車田は分からないと思考を放棄する。信助もまだ理解できていないらしい。



 「ワシも分からんぜよ」と胸を張る錦龍馬(CV:岩崎了)と、それにツッコミを入れる速水鶴正(CV:吉野裕行)。


 だがそんな脳筋たちの揃い踏みの中において、ただ一人マネージャーの山菜茜(CV:ゆりん)は完璧に理解できていた。SF3級(そんな級があるのか?)の彼女はパラレルワールドの世界にも詳しく、自分がまさにその憧れのパラレルワールドにいるということに喜びを隠しきれない。



 車田は不思議ちゃんの茜にオツムの出来で負けたことが悔しいらしい。微妙に倉間典人(CV:高垣彩陽)の表情にも注目したい。


 天馬は優一が取り戻そうとしている本当の歴史を知っていた。それはつまり、優一がまた脚を怪我してサッカーが出来ない状態に戻ることを意味している。今の優一がそのまま歴史に残り、兄弟2人でサッカーが出来るという状態がベストなのではないかと希望的な観測を述べる天馬。輝と狩屋マサキ(CV:泰勇気)もその意見に賛同するが、優一はその気持ちを嬉しく思いながらも退ける。それは歴史への改変であり、やってはならない冒涜だと思っているのだろう。

 優一にとっては弟の京介がサッカーを取り戻せれば、それで満足なのだ。これまでの彼の生きてきた歴史では天才的な才能を持ち、実際にサッカー留学まで果たし、雷門中学を率いて戦ったこともある。その栄光の歴史をすべて捨ててまで、彼は弟のために戦うと誓ったのだ。優一が弟をどれだけ大事に思っているのかが伝わってくる話ではないだろうか?

 京介を救うということは、雷門サッカー部を救うということと同義だと語り、優一は雷門の皆に協力を要請する。全員異論はない。力強く協力を約束する。そこまで弟を思う優一の姿を見つめながら、天馬はその本人、京介がこの世界ではどこでどうしているのかを思う。


 その頃商店街では、剣城と思われる少年が歩く後ろ姿があった。この世界での彼の立場は? そして剣城は再びサッカーへの歴史を取り戻すことが出来るのだろうか?




 次回に続く。



  エンディング




 今回で雷門のメンバーがいきなり舞台に復帰した。しかも剣城以外の全員が一度に。確かに旧メンバーの復帰は待望していたが、これはちょっと意外だった。それぞれの過去になされたインタラプト修正を阻止しに向かうという形で、一人ずつ仲間を取り戻していくと思っていたから、かなり話の展開は早いという印象を持つ。

 雷門のメンバーが仲間に加わったということで、デュプリたちはもう出番なしかな? もう少し活躍するところが見たかった気がする。また気になるのは、神童たちは雷門のユニフォームで戦い続けるのか、それとも「テンマーズ」のユニフォームを全員が着せられることになるのか? ワンダバはテンマーズの監督な訳だしねぇ。


 そして同じく、天馬の「化身アームド」習得もやや早いのではないかと思われた。前作では天馬が化身を使えるようになったのは20話目だったということを考えても、しばらくは使えないと思っていた。これ以上の技なんかも出てくるのかもしれないが、今のところやはりアームドした姿には慣れない。どうしても爆笑してしまう。


 あと特筆すべきは、円堂が化身を出したこと。富井副部長クラスかと思いきや、まさかの岡星クラスの大活躍だった(「美味しんぼ」に例えるネタは読者さんからの反応がゼロで悲しいのだけど、個人的には爆笑しながら書いている)。

 上記感想文中にも書いたけど、化身の能力があったら帝国に本当に勝っちゃうんじゃない? 仮にそうならなかったとしても今回の円堂はかっこよすぎで、秋が本気で惚れてしまって歴史が変わってしまったらどうするんだよ! 円堂秋が誕生しちゃって、天馬と円堂が親戚になっちゃうじゃないの。

 まぁ冗談はさて置き、円堂はキャラバンに同行しないということになった(再登場はすると思うが)。これでキーパーとしての三国太一(CV:佐藤健輔)の存在意義は失われずに済みそうだ。相撲部に左遷されずに良かったというべきか。


 次回は剣城の復帰を賭けて優一がまた頑張る話になりそうだ。歴史を戻すということは、優一はサッカー出来ない身体に戻ってしまうのだろうか? 新たな情報として注目したいのが昔話で語られた、この2人の年齢差。優一12歳、京介7歳ということで2人の差は5歳。つまりこの物語では優一は高校2年生ということになる。中学生に限定されたチームではないというのは、広がりが出そうで楽しみだ。

 やはり多くのファンは、優一と京介の兄弟ツートップの形を望んでいるのではないだろうか? 優一は化身アームドもしていたし、次回限りで物語を去るとは思えないのだが……。その辺のことも含め、次回を楽しみにしたいと思う。



  次回「最後のサッカー」に続く。



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