『シャイニングハーツ〜幸せのパン〜』第4話「機械人形」の感想

 恒例のアニメ感想文『シャイニングハーツ〜幸せのパン〜』、今回はその第4話「機械人形」の感想だ。前回の急展開を引き継いで、新たな物語の嚆矢と思われるペンダントと機械人形の謎に迫る。


  • 前回のアニメ『シャイニングハーツ〜幸せのパン〜』の感想は、

『シャイニングハーツ〜幸せのパン〜』第3話「灯火管制」の感想
 をご覧ください。

  • それ以前の感想はここ

 で一覧表示されます。

 本日もまた未明、リック(CV:神谷浩史)が住居とする帆船の寝室に、フライパンをお玉で叩いて彼を起こすネリス(CV:相沢舞)の姿があった。3人娘が輪番制でリックを起こしに来るという朝がこの物語のデフォであることが今回で判明する。



 ラノベでよくある起こし方。


 優しく起こす他の2名と比較して、強引に起こすネリスの起こし方をやや皮肉って褒めるリックに対し、ネリスは毎朝起こしに来てあげようかと持ちかけるが、騒音で起こされるのは嫌らしく、リックは丁重に断る。フライパンをぼこぼこにされるのも困るし。


 いつも通り、島に朝がやって来た。未明の仕事である漁師たちは早くもひと仕事終え、港に帰ってきていた。その一人、まだ若き漁師のジャン(CV:逢坂良太)は東の海の海中で光る何かを見つける。


 パン工房「ル・クール」の窯が使えない間、マデラ(CV:江森浩子)のパン屋を間借りしつながら、いつものようにパン種を仕込むリックの後ろで、アミル (CV:伊藤かな恵)は心ここにあらずといった風情で佇んでいた。いつも元気な彼女のその様子にネリスとエアリィ(CV:三上枝織)が心配して声をかける。取り繕った笑顔で大丈夫と返すアミルだったが、その変調は長く友情を続けているネリスたちにはやはり気がかりだった。

 アミルは昨日のリックの姿を思い出していた。兵士の暴走からカグヤ(CV:桑島法子)を救おうとしたリックが剣を構え、対峙した場面だ。それまで見たこともないリックの姿に垣間見た、アミルの知らないリックの過去。その姿に衝撃を受けたアミルは、未だそのショックから立ち直ってはいなかったのだ。


 ネリスはアミルを気遣いながらも、彼女の仕事であるパンの配達のために市場に出かける。

 市場の魚屋の前では、以前見かけた骨董商のシャオメイ(CV:斎藤千和)が値切りに失敗して憤慨していた。その傍らでパンを配るネリス。最後にパンを手渡した漁師・ジャンに嵐の去ったあとの海の様子を聞く。ジャンと共に漁に出ていた祖父のヴァンス(CV:高岡瓶々)は不漁を嘆いたが、ジャンは海中に光るものがあったことを告げる。

 その話にうまい金儲けの匂いを感じたのだろうか、シャオメイがものすごい速さでネリスの後ろに現れ、話に割り込んでくる。



 相変わらず萌え要素満載のシャオメイ(左)。ネリスもおカネには目が無いタイプのキャラっぽかったけど、シャオメイはそれを上回る、完全に守銭奴キャラとして描かれている。


 この島でも有名なのだろうか、海底に眠る宝箱の話と見て興味津々のシャオメイに対しヴァンスは漁師らしく、興味ないと一蹴する。


 「海からは口にするもの以外取るな」


 これがこの島の言い伝えであり、島に住む者はこの掟に縛られるとヴァンスは語る。昔気質の態度に呆れるシャオメイ。ネリスはその話を切り上げ、仕事に戻ると走り去る。この大きな金儲けの話を諦めきれないシャオメイは、ネリスを追って駆け出す。


 一方、ハンクの工房では、光線を発して島に迫っていた海賊船を一撃で沈めたあの人型が何事も無かったかのように静かに天井から吊り下げられていた。前日海賊船を攻撃する前に、光が何かを探すように動いていたことを思い返すドワーフの鍛冶屋・ハンク(CV:佐藤正治)は、海中で光る物体を見つめながら、この人型が探していたものはそれなのではないかと見当を付ける。


 そしてもう一方の謎の光を発したペンダントを持つカグヤが療養する診療所にパンを配達するリックとネリス。看護師のイーリア(CV:高山ゆうこ)が言うには、リックのパンのおかげで、カグヤの体力は順調に回復しているらしい。

 相変わらず眠るカグヤだったが、ネリスがパンを目の前に差し出すと目を覚ます。なんだか食いしん坊キャラのようだが、パンの匂いにはそれだけ抗(あらが)いがたい食欲本能を刺激するものがあるのだろう。

 医師のロン(CV:麻生智久)の許可を得て、ネリスはパンを食べやすいようにちぎってカグヤに食べさせる。一口食べると、それだけでカグヤの頬に赤みが差し、血色がよくなったように見える。ネリスが喜んでかける言葉を聞き、その言葉をオウム返しするカグヤは、まだ意識がはっきりしないのだろうか? それともそれらの言葉の意味を、本当に知らないのだろうか?


 ハンクの工房ではまた人型が輝き始め、何か謎めいた言葉を発する。何かが失われ、彼女(人形だが)に課せられた使命を果たすことが出来ないという。その言葉を聞くハンクの心境は如何に?


 また診療所。パンを食べたカグヤはまた眠りにつく。カグヤを気遣い、毎日パンを届けると宣言していたアミルが今日は来ていないことを不思議に思うイーリアだったが、ネリスは言葉を濁す。ネリスも知らないことだが、アミルはリックとの間に出来た蟠(わだかま)りをまだ解消できていないのだろう。

 リックはそんなやり取りを意に介さず、カグヤの枕元に置かれた、あの謎の発光をしたペンダントを借りたいとイーリアに告げる。



 イーリアではなく、カグヤに聞くべきだと思う。


 その頃アミルは昨日起こったことをマデラとエアリィに告げていた。リックが剣を手に、見たこともない形相をしていたことに触れ、複雑な表情を浮かべる。リックの記憶が戻ることはアミルも望むところではある。だがその記憶と裏腹に、リックがこの島に流れ着いて以降、これまでアミルたちと築いてきた記憶との齟齬が起こることを、アミルは恐れていた。

 同じように流れ着いたカグヤの存在が、リックと自分たちとの間に大きな断絶を呼び覚ます契機になりかねないという不安は、アミルからいつもの元気を失わせていたのだ。



 憂い顔のアミル。


 精神的な親代わりであるマデラに相談したものの、アミルの不安感は解消されないでいた。


 リックとネリスは、件のペンダントを鑑定するため、シャオメイの骨董屋を訪れていた。ペンダントが起こした不思議な現象を語り、鑑定してもらったが、宝石の価値としては大したことはないらしい。ペンダントの出自から、カグヤの出身地が分かれば良いのではないかとリックは判断した訳だったが、残念ながら新たな情報は得られなかった。骨董屋を辞するリックたちだったが、それを呼び止めるシャオメイ。今朝ネリスを交えて聞いた、あの海中に輝く何かを引き揚げる儲け話に彼らを誘う。

 「海からは口にするもの以外取るな」という島の決まりに抵触するとして難色を示すネリスだったが、パン屋の窯の修理費が必要だというリックたちのアキレス腱を知るシャオメイは、7:3で山分けすると条件を提示する。もちろん自分が7取るという図々しい提案だったが、窯の修理のためには背に腹は代えられないリックたちは最終的にその案を受け入れる。


 シャオメイの借りた帆船で一路東の海に向かう一行。



 現場に到着し、ネリスが潜って確かめることにする。海中でネリスは大きな箱の存在を認めるが、一人の力では動かすことが出来ない。そこで箱にロープをかけて引き揚げることにする。再び潜るネリスだったが、ロープを箱の下にくぐらせる折に、誤って腕を海底と箱の間に挟んでしまう。どうあがいても腕は抜けず、このままだと溺れてしまう。


 気がつくと、そこは船の上だった。あまりに浮上が遅いネリスを心配してシャオメイが救出に向かったのだ。腕を挟んだ時の対処法まで教授するシャオメイは、明らかにこういった作業に慣れていた。自分よりも適任のシャオメイが潜るべきだったと抗議するネリスだったが、シャオメイはいつもの軽い調子で笑ってごまかす。


 とにかく引き上げる準備は整った。3人でマストにかけたロープを引っ張るが、海底の箱はビクともしない。ついにはロープの方がその負荷に耐え切れず、切れてしまう。




 (シャオメイの)お宝に対する執着心の強さから何度も挑戦するが、どうしても引き揚げることが出来ない。どうも人力では無理らしい。疲れきった一行は船上でへたり込むが、リックは山上にたなびく煙と、その煙を上げる煙突、そして建物を見かける。それは先日訪れたハンクの工房だった。この距離から考えて、ハンクの側から見つめていた海中の光もやはりここだったことが示唆される。ハンクの存在に気づいたシャオメイは何かに思いが至り、笑顔でひとつの提案をする。



 ハンクの工房に向かう3人。シャオメイの狙いは、ハンクの持つ機械だった。機械仕掛けのパワーで、宝箱を引き揚げようというのだ。ハンクは相変わらずの偏屈さで言外にシャオメイの提案を断るが、それが東の海の海中の光る物体を狙っていると聞いたとたん、態度を変える。彼の工房に吊られた人型が探しているものも、おそらくはそこに沈んでいる。それを手に入れた時、その人型は再び動き出すと確信していたハンクは、利害の一致を見て一転、リックたちに協力することにする。



 リックやカグヤと同様、嵐の日にこの島に流れ着いたと思しき人型の機械人形。機械職人であるハンクはそれを拾い、修繕していたのだろう。だがその機械人形が完全体となるには、まだ何かが足りない。その何かが、おそらく東の海に沈む光の中にあるはずだ。


 ハンクの機械を積んだ船は、再び現地に向かう。再びロープをかけ、今度は機械の力でロープを巻き上げる。だが水圧のため、機械の力ですら箱はなかなか動かない。薪を炊いて蒸気の力で動いているであろう機械の出力を上げるため、ハンクは火薬玉を機械に入れ、爆発の威力で勢いを付ける。

 機械の出力が上がってロープが巻き上げられ始めるが、乱暴な操作も相まって船の側面が壊れてしまう。借り物の船を傷つけられ、弁済者であろうシャオメイの顔がひきつる。

 重い箱がついに海面近くにまで上がってきた。機械の出力も限界に達していた。ただこの機会を逃すと箱はまた海底に沈んでしまう。機械の操作で手が離せないハンクはリックに命じて、もうひとつの火薬玉を機械に入れさせる。

 その爆発力で一気にロープを巻き上げ、海中から箱をごぼう抜きにする。ただその反作用で、船の側面は一層壊れ、さらに機械が箱の直撃を受け反対側の側面に落ちそうになる。箱の落下を防ぐため、マストをへし折って機械と箱の間に落とし、箱の回収には成功する(機械の方は海に落ちてしまうのだが)。

 回収こそ成功したのだが、船はボロボロで、その修理代を負担しなければいけないシャオメイは涙顔だ。



 船を破壊しまくり、機械も海中に失われてしまったものの、お目当ての箱の回収作戦が成功し、いつもの苦虫を噛み潰したような表情を珍しく崩して笑顔を見せるハンク。


 岸辺に帰還した一行は、早速箱を浜上げし、箱の中身を確認する。中には小さな箱がたくさん詰まっていた。ユニコーンの角など珍しいものを発見して喜ぶシャオメイだったが、大半は加工前の鉛が入った箱だった(ついでに箱がやたら重かったのも鉛のせい)。

 だがハンクの探してるものは彼らとは別物だった。赤く光る何か小さな小箱を発見したハンク。開けるとそこには謎の物体が収まっていた。これがあの機械人形を完全体とする部品なのだろうか?



 ハンクは求めていたものを発見したが、それを使って機械人形を復元すると、この島に何が起こるのかを考えていた。シャオメイがその小箱に興味を示すが、ハンクは上の空で何も聞いてはいなかった。

 そこに鋭い声が響く。引き揚げたものをすべてその場に置けという命令だった。見ると今までどこに隠れていたのだろうか、海岸の周囲一体に兵士の姿が現れた。引き揚げたものはすべて王国が管理管轄するという。リックたちの一連の引き揚げ作業は、ずっと王国側の監視を受けていたのだ。



 小隊長(CV:山本兼平)と思しき男が、この島の掟を知っているはずだとハンクに告げる。「海からは口にするもの以外取るな」という島の大義名分よりも、兵力を傘に着た王国の命令に従い、ハンクは手にしていた小箱を下に置く。一旦は隠そうとした彼の行為から、この箱の中身に対するハンクの執着が見て取れた。

 他の回収物も軒並み奪い去ってしまう兵士たちの横暴に、せめて船の修理代に当たる分ぐらいは置いていって欲しいとネリスは掛け合うが、隊長は自分は回収するためだけの役どころで、抗議があるなら城に直接しろと、にべもない。

 苦労しての対価がこれではやり切れないが、ハンクは諦観を思わせる後ろ姿を見せながら、無言で立ち去る。ネリスは憤懣やるかたない風情で怒りを爆発させるが、あれだけがめつかったシャオメイもまた、ハンク同様、無言でその場を立ち去っていく。リックよりはこの島の住人として長い2人、王国には逆らうことが出来ないことを知るのだろうか。お金にうるさく、壊れた船の修理もしないといけないはずのシャオメイのそのあっさりとした諦めの態度にはリックたちも声をかけられずにいた。




 回収された引き揚げ物は兵士たちの荷馬車に積まれ、一路城に向けて運ばれる。その荷馬車の中では、あの小箱が不気味に赤い光を発していた。



 次回に続く。



 エンディング



 前回の急展開で緊迫度を増すかと思われたのに、また日常の雰囲気に戻ってしまった今回。今回一番ハラハラしたのがネリスの溺れそうになるシーンだった訳で。

 ただ最後に王国の兵士に横取りされた時、シャオメイが見せた諦めの表情は印象深い。ネリス同様、文句をブーブー言う性格のはずなのにね。何か以前も同じような目に遭ったのかもしれない。この島を統べる王国の正体は今のところよく分からないけど、今回に関して言えばあまり良い印象を持たなかったのは事実。

 これも海中から引き揚げたもので人々が争わないようにするという方策なのかもしれないわけで、今回の態度をもって悪役と決め付けるわけにはいかないんだけどね。リックやハンク、シャオメイに感情移入して観ていたから、横取りされた気分になってしまうのだけど。窯の修理はまだ先になるのかもしれない。


 次回は何だか恐ろしくも可愛らしいキャラが登場するようで、パンアニメの面目躍如っぽい、ほのぼのした回になりそう。つまり今回描かれた機械人形の秘密はもう少し先に持ち越しになりそう。あとリックの過去に関しても。順番からすると、次回はエアリィがリックを起こしに来る番だな。起こしに来たヒロインがそのままその回のヒロイン役をすることになるパターンだけど、次回もそうなるのかな?



 次回「とろけるような」に続く。



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