『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第2話「時を越えた天馬!」の感想 【エスカレートする超次元!】

 新展開のアニメ感想文。今回は『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第2話「時を越えた天馬!」を観ての感想を書く。前回の急展開に合わせ、今回も想像を絶する展開でしばらくは新しい環境に慣れるのが大変な印象。畳み掛けるように、オープニングがまた変わるというサプライズもあった。詳細は以下感想文にて。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


 前回のアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の感想は、

 をご覧ください。


 前作『イナズマイレブンGO』の記事は、ここをクリック。


 で、一覧表示されます。

 サッカーの無い世界を現出するため現れたアルファ(CV:谷山紀章)率いるルートエージェントたちに襲われた松風天馬(CV:寺崎裕香)。サッカーの記憶を残す彼の窮地(きゅうち)を救ったのは、謎の少年・フェイ・ルーン(CV:木村亜希子)だった。

 天馬を合流したフェイのチーム「テンマーズ」とアルファのチーム「プロトコル・オメガ」の、サッカーによる戦いがスタートする(どうでも良いが、フェイのネーミングセンスは最悪で、名前だけ見たら「プロトコル・オメガ」の方が圧倒的に強そうだ)

 アルファ、フェイ共に素晴らしい技術を持ち、一進一退の戦いが続いたが、アルファが秘技「化身アームド」を使い、試合はプロトコル・オメガが1点を先制する。

 名前負けのせいもあってか、苦戦するテンマーズ。だがフェイは待っていた。自チームを強化する能力を持った協力者の到来を。

 そこにやって来たクマのぬいぐるみが操縦するバス型の飛行物体。それは天馬が雷門で利用していたバス・イナズマキャラバンにそっくりの形状をしていた。


 そして都合の良いことに、ここで前半戦が終了する。一気に押しつぶしたいプロトコル・オメガ側にとっては都合が悪いルールだが、アルファは律儀にその旧則に従う。彼らの価値観は不明だが、少なくとも全くルール無用の無頼者(ぶらいもの)ではなさそうだ。

 着陸したバスから降り立ったその姿、それはやはりクマのぬいぐるみそのものであった。誰かが中に入った着ぐるみの可能性はあれど、天馬たちと合流したそのクマは、表情豊かに笑みを浮かべる。




   オープニング





 なんと、2週連続で新しいオープニングという奇策を打ったスタッフ。新テーマソング「感動共有!」もカッコイイ(歌うのは同じく“T-Pistonz+KMC”)。日野社長がツイッターで言っていた「視聴者を驚かせる」という仕掛けはこれだったらしい。確かに驚いた。あなたの勝ちだ(なんの勝負だ)。

 最終的には雷門メンバー全員をもとの状態に戻すというのがこれからのとりあえずの使命であることがオープニングで示唆(しさ)される。豪炎寺修也(CV:野島裕史)までここにいて、あの人がいないということから妄想したんだけど、クマの中には声が同じということで、ここにいない鬼道有人(CV:吉野裕行)が中に入っていたら面白いだろうなぁ。普段は冷静沈着だけど、あれを着てる時だけは陽気に喋るの。どっちも監督だし、この考えが当たっていたらすごいよね(当たるかい)。



 降り立ったクマに、待ちかねたかのように駆け寄るフェイ。試合展開を語らい、談笑する2人(?)を、天馬はまだ夢を見ているかのように信じられないといった風情で見守る。



 クマのぬいぐるみ改め、クラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)。フェイの率いるチームの監督と名乗る。


 ぬいぐるみが監督だと名乗ったことに、またも驚く天馬くん。こんなクマのぬいぐるみに上司に立たれてはたまらないと他のメンバーに同意を求めようとするが、フェイの指を鳴らす動作一つで、仲間たちはその場から消えてしまう。それを見てさらに驚く天馬くん。さっきから驚きっぱなしだが、常人ならこの反応もやむを得ないだろう。

 フェイは仲間に見えていた存在を、自らが出していた化身の一種「デュプリ」だと説明する。前回彼が「デュプリ9人はきつい」と呟いたのは、このことだったのだ。9体もの人型の化身を出しつつ、それぞれを機能的に操作し、さらに自分自身もあれだけのパフォーマンスを見せていたフェイの能力の高さには驚愕する(デュプリにはある程度の自己決定能力はあったと思われるが)。

 そしてワンダバが天馬に起こったサッカーとの出会いの歴史の場面の改竄(かいざん)は修正しておいたと語る。天馬が豪炎寺に救われ、サッカー選手を志すという歴史は元に戻されたというのだ。それは良い話ではあるが、そんなことが出来るこのクマは一体……?

 それを受け、フェイは歴史の変更は変えられてからの時間が短ければ短いほど、その修正も容易であることを告げる。天馬の場合、さっき変えられたばかりだから、すぐに元に戻せたということだろう。ただ驚かされっぱなしの天馬には、唐突で難しい話だったらしく、よく分かっていない顔つき。まぁ健全な中学1年生のサッカー馬鹿(褒めてます)には、こういうSFチックなお話は理解できないかもしれない。

 フェイはその辺りの説明もそこそこに、ワンダバを待っていた真の理由に食いつき始める。フェイはワンダバに何か頼み事をしていたらしい。

 ワンダバは何やら2梃の銃のようなものを取り出し、片方を作動させる。飛び出した光線の先に現れたもの、それは太古の暴君・ティラノサウルスだった。そして「ミキシマックス」という謎の言葉を発し、フェイに対してもう一方の銃を作動させる。



 天馬くんならずとも「何が起こってるんだ?」と言いたい場面だが、みんなはこの話の展開について行けているか? 私は無理だったぞ。


 ワンダバの操作する銃の光線を受け、フェイはその姿を変える。同時にティラノサウルスの姿は消滅した。これはフェイの中に、ティラノサウルスの個性が入り込み、融合させるという「ミキシマックスガン」の機能らしい。これがフェイの強化策だったとしたらものすごい能力なのだけど、ある意味ドーピングよりタチが悪い気がする。

 そこまで来て、再度ご都合的に後半戦開始の時間が訪れる。



 またもフェイの指パッチン一つで召喚されるデュプリたち。フェイの姿はミキシマックスにより変貌し、髪の色はピンクに、髪型もゴツゴツと恐竜の上顎(うわあご)のような形態に、肌は浅黒く、そして何より目が肉食獣のように精悍(せいかん)になっている。


 そして後半戦が開始される。テンマーズのキックオフ。一旦バックパスされたボールはチームの核であるフェイのもとに。プロトコル・オメガの選手が3人がかりで挑みかかるが、パワーアップしたフェイの暴君竜の突進には歯が立たない。軽く蹴散らされてしまう。

 敵のみならず、味方である天馬ですら背筋を寒からしめるほどのパワーであった。そう考えている天馬のもとにパスが来る。フェイからのパスだ。戸惑う天馬のもとに、すかさず殺到するプロトコル・オメガの選手たち。

 目では追えない速さの敵選手に囲まれ、焦る天馬。フェイは前半戦スタート時と同じく、目が慣れていないだけだと助言をし、集中するよう天馬に指示を出す。

 それを受け、敵の目前なのに目を閉じて集中し始める素直な天馬くん。この間にボールを奪うチャンスが敵には2〜30回ぐらいは訪れていたと思われる。

 天馬は彼の代名詞「なんとかなるさ!」の言葉と共に、決然と駆け出す。得意のドリブルだったが、一瞬にして敵の仮面くんにボールを奪われてしまう。ここまでボールを奪わなかったのはお情けだったのか?

 だがフェイは天馬の能力を信じていた。天馬はその期待に見事応え、新必殺技「ワンダートラップ」でボールを奪回する。



 しかし防御網はまだ続く。天馬の進行先に先回りする人造人間18号(正式名称ではありません)たち。だが集中し、目が敵の動きに慣らされた天馬にとっては越えられない壁ではなかった。またも発動させる新必殺技「アグレッシブビート」で華麗にごぼう抜きを果たす。



 「ワンダートラップ」、「アグレッシブビート」いずれの技も、風をイメージしたかつての天馬の必殺技とは別物。この世界を舞台とした新しいゲームでは天馬の属性は変わってしまうのだろうか? それとも、属性という概念自体が変更されるのかな?


 次元が違うと思っていた強力な敵選手を3人抜き去ったことで自信を深める天馬。それを見ていたワンダバも、天馬のその能力に何やら思い当たることがあるらしい。

 天馬はゴール前で、さっきの信頼への返礼であるかのようにフェイにパスを送る。フェイもそうなっては決めない訳にはいかないだろう。その身に宿す暴君竜の無慈悲な牙を、プロトコル・オメガのゴールに向けて放つ。




 その必殺シュート「古代の牙」は敵キーパーの必殺技「キーパーコマンド03」を貫いてゴールネットを揺らす。これで試合はテンマーズが1−1の同点に追いつく展開となる。だがアルファは追いつかれたことにも表情を変えず、あくまでも冷静だ。


 試合再開、プロトコル・オメガのキックオフ。アルファはいきなり化身「天空の支配者・鳳凰」を発動させ、さらに「化身アームド」へと変貌させる。この能力でゴールを奪い、すぐさまテンマーズを突き放す算段だ。

 アルファが率いる選手たちは必殺タクティクス「タクティクスAX3」を天馬、デュプリのスマイル(CV:折笠富美子)、ストロウ(CV:奈良徹)の3者に仕掛ける。



 紫色の霧に包まれた3人は苦しみだしその動きを鈍(にぶ)らせる。その霧には神経毒のような効果があるのだろうか? その攻撃にDFを巻き込んで邪魔者を排除したアルファはフリーの体勢でシュートを撃つ。前回も止められなかった化身アームド状態のシュート、キーパーのマッチョス(CV:泰勇気)はやはり止めきれず、押し込まれてしまう。


 試合は再びプロトコル・オメガがリードを奪う。先ほどの必殺タクティクスの攻撃を受けた訳でもないのに膝をつくフェイを、天馬は気遣う。やはりデュプリ9人を駆使するのは、フェイにとっては負担になっているようだ。



 ゴールを決められた直後。常に舌を出しているスマイル(左から2人目)が主人であるフェイを心配している。よく見ると内股で、その姿勢も可愛いね。


 試合が再開される。フェイはボールを持ち、鬼気迫る表情で進撃を始める。それを止めるのは、まだ化身アームドしているアルファ。長時間使えないんじゃなかったっけ? アルファのアームドが解けるまで、時間を稼いでキックオフを待つとかちょいズルなことをしても良かったと思うんだけどな。

 珍しく感情を剥き出しにしてフェイと力のぶつかり合いを演じるアルファ。ミキシマックス状態のフェイと化身アームド状態のアルファの力は全くの互角で、ボールは両者の間にルーズする。



 睨み合う両者だったが、そこに思わぬ邪魔が入る。アルファのインカムに、彼の上部組織から連絡が入る。天馬に対して行われたインタラプトは、何者かによって再構成されたという連絡だ。これはワンダバの仕業だった訳だが、2度に渡って修正が元に戻されたことで、以後の改竄が困難になってしまったらしい。



 その中の議長・トウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)は事態の深刻さを訴え、アルファにミッション中止を命じる。上部組織からの指示は絶対らしく、アルファはその指示に2つ返事で従う。

 仲間たちに手早く事態の変化を伝え、アルファたちは試合を中断して去っていく。止めに入った海の家のオッサンのコントロールも解除し、振り返ることなくその場を後にする。いいように使われ、事情説明もなく解任されたオッサンが哀れだった。

 フェイもミキシマックスを解除し、アルファ側の棄権により僕たちの勝ちだと高らかに宣言する。冷静な顔のアルファは、その憎まれ口に眉ひとつ動かさず、仲間たちと共にどこかへと消えていく。


 アルファという脅威が去り、天馬は今まで不思議に思ってきたこと全ての説明を聞かずにはいられなかった。フェイに対して、今何が起こっているのか説明を求める。



 場所を岩礁のある砂浜に移し、フェイは天馬にこれまでの経緯を説明し始める。まず自分とワンダバが何者なのか。彼らはサッカーの歴史を守るため、200年後の未来世界からやって来たと語る。

 パラレルワールドの原理を解説するフェイ。ある地点で本当の歴史以外の事象が起こると、その後の展開が本来あるべきものとは違うものとなってしまう。その別展開そのものがパラレルワールドと呼ばれる現象だ。

 そしてフェイに敵対する組織が雷門中学サッカー部の歴史に介入することによって、雷門サッカー部が存在しない世界に変えてしまったというのだ。雷門中サッカー部が消されたパラレルワールド、天馬が今迷い込んでいるのは、まさにその世界なのだ。

 そしてフェイの敵は、サッカーそのものを消滅させることを最終目的としているという。その理由として、200年後の世界に存在する世界の政策意思決定をする機関「エルドラド」にとって、サッカーの存在が都合の悪いものとなっていたという。エルドラドこそフェイに敵対する組織の名だ。


 ……その頃、まさにそのエルドラドの本部にて、呼び戻されたアルファがトウドウ議長に対し釈明をしていた。トウドウ議長はこのミッションに失敗すると、世界が滅びるとまで言ってアルファを叱責する。

 傍に座る長老たちが語るには、200年後の彼らの世界では、サッカーの高度な能力を持つ少年たち「セカンドステージチルドレン」によって戦争が繰り広げられているという。超次元の能力を持つ彼らはこれまでの旧体制の支配者を下等な存在として退け、自らが新たな世界の支配者になり変わろうとしていた。その組織「フェーダ」は人類の脅威とまで語る長老たち。

 そしてその脅威を取り除くため、過去の世界に介入し、サッカーの存在を根絶することで成そうというのがエルドラドの考えであり、そしてそのために過去に送り込んだ刺客、それがアルファたちルートエージェントなのだ。


 ……舞台は天馬とフェイの方に移る。エルドラドの説明を受けた天馬は、その壮大な世界観に驚く。エルドラドの狙いは、セカンドステージチルドレンが生まれて来ないようにするものだった。どんな理由があっても、サッカーを消すという権利など誰にも無いと憤(いきどお)る天馬。

 アルファを始めとするルートエージェントがサッカーをしていたことを疑問点に挙げる天馬だったが、それには理由があった。サッカープレーヤーの意思に訴えかけるに当たり、サッカーという絶対の自信を持つ競技そのもので打ちのめされることが一番効果的な方策なのだとフェイは答える。サッカーに絶望させることで、プレーヤーのその心を変え、記憶を消滅させるに効果的なのだという訳だ。

 サッカーは楽しいものであるという天馬の意見に賛同し、それを守るためにやって来たのだとフェイは語り、この一連の事態の説明を終える。未来にも、天馬のようにサッカーを愛する人間がいて、自分もその一人なのだと告げ、フェイは天馬に手を差し出す。共にサッカーを守ると、屈託のない笑顔でフェイに告げられ、天馬は感謝の言葉と共にフェイの手を掴む。200年の時を超え、サッカーを愛する者同士の握手だった。感動的なシーンだが、ワンダバは何故かそっけなくその場を移動する。


 フェイは雷門中サッカー部を取り戻すため、11年前の雷門中円堂守(CV:竹内順子)が新生雷門サッカー部を結成した日)に行こうと天馬に言う。雷門サッカー部を作る段階でインタラプトに遭い、その歴史を変えられてしまったのだとフェイは説明する。つまりその時代に向かうということは、天馬とフェイの力で変えられた歴史をもとに戻そうということだ(言い換えれば、変えられるのを未然に阻止する)。

 話が決まった段で、ワンダバがキャラバンを操縦してやって来た。キャラバンに乗り込んだ天馬は、タイムマシンの中に乗り込んだということで興奮し混乱していた。落ち着き諭すように、その性能を説明するフェイだったが、天馬くんがどこまで理解できているかは不明。

 この外観は天馬にもなじみが深い雷門のキャラバンを参考にして製作したと、自慢げに語るワンダバ。ぬいぐるみに見えて、想像以上に能力が高いようだ。



 教育番組の「よいこのなんちゃら講座」のような絵ヅラ。


 まだタイムスリップなどの話は疑問視する天馬。それ自体は可能なのだが、それには「アーティファクト」と呼ばれる道標(みちしるべ)が必要だとフェイは語る。その時間、その場所に対しての強い思いがこもった物質を道標にして移動するこのキャラバンは、アーティファクトがないとタイムジャンプに失敗してしまうのだという。

 11年前のサッカー部に向かうには、やはりそういった物質が必要なのだ。それに当たって思い当たることはないかと問われ、天馬はサッカー部の旧部室を思いつく。あそこになら、サッカー部設立に関わった何かが存在している可能性は高い。

 そこで時代は変えず、空間のみ移動して現代の雷門中に向かった天馬たち。旧サッカー部室の扉を開けると、そこは物置部屋となっていた。



 この物置状態となっている部室。無印『イナズマイレブン』を観ていた人たちには懐かしいアングルだろう。


 だがここに何かがあることを確信する天馬は、物置部屋状態の室内を調べ始める。ワンダバがアーティファクトの存在を疑い始めた時、天馬はサッカー部の看板を発見する。看板を持って喜ぶ天馬のその姿は、まさに11年前、円堂がこの場で見せた笑顔に重なる。

 看板をアーティファクトとして設定し、いよいよ時空を超えることとなる。緊張する天馬だったが「何とかなるさ!」でしょ、と口癖の十八番でフェイから励まされる。


 ワンダバの気合一閃、キャラバンはワームホールを通り、桜の花咲く11年前の雷門中に到着する。そこに何も知らずに走ってくるバンダナの少年、それは11年前の円堂その人だった。桜の木陰からその様子を窺う天馬たち。



 天馬たち、丸見えだ。余談だが円堂の時代の方が制服の色が黒い。


 かつての天馬と同じように、この学校でサッカーをするという期待に打ち震えながら校内に駆け込む円堂。天馬は歴史を守るという使命をつかの間忘れ、自分と同い年の円堂を見て、その初々(ういうい)しさに思わず笑顔を浮かべてしまう。


 円堂のサッカー部への取り組み、それはエルドラドの介入がなかった本来の歴史でも大変な道のりだった。教師の冬海卓(CV:四宮豪)からはサッカー部がないということを聞かされ、その後あてがわれた物置小屋と化していたサッカー部室を一所懸命片付けて掃除し、ようやくサッカー部としての体裁を整えるのだ。

 それらを部室裏の窓からじっと見守る天馬とフェイ。雷門の栄光の歴史のスタート地点を図らずも見ることができ、天馬もフェイも感無量の面持ちだ。なおワンダバは身長が足りず、窓から覗けないでいた。

 部室内でサッカー部の看板を見つけ、マネージャーの木野秋(CV:折笠富美子)と2人で大喜びする円堂を見て、天馬の顔も自然とほころぶ。尊敬する円堂と、自分の親戚のお姉さん、秋ねえが仲良くサッカー部設立に尽力しているというのも、きっと見ていて楽しいのだろうなぁ。


 夕方になり、帰宅の途につく円堂と秋。サッカー部にはまだこの2人しかいないが、そのうちたくさんの部員が入部し、いつの日か中学校サッカー界最高の栄誉に輝くことなど、2人にはまだ知る由(よし)もない。円堂はサッカー部が正式に誕生するその日が来るのを夢見て、そして秋はそれを心から応援すると応じる。

 その2人を、相変わらず尾行しているのが丸見え状態のまま、常夜灯の陰から様子を窺う天馬たち3人。仲良く帰る2人の雰囲気がよく見えたのか、秋の親戚である天馬に「あの2人は付き合っているのかい?」と下世話(げせわ)な質問をぶつけてくるワンダバが、場の緊張感を台無しにして可笑しい。



 フットボールフロンティアという中学生サッカー大会に出場する夢を秋に語る円堂に、それを無駄だと切り捨てる声がかかる。そこには黒づくめの奇妙な格好をした11人の人影があった。声をかけた男、それは、あのアルファだった。



 天馬の時もそうだったけど、こいつらが介入出来るのは夕方限定か?


 「雷門にサッカー部は出来ないと」断言するアルファに対し、サッカーに情熱を持っている円堂は、サッカー部は出来ると言い返す。サッカーが好きな人間などいないと言うアルファに対し、円堂はここにいる! とカッコよく言い放つ。男らしい円堂のその姿は、アルファの持つ威圧感に不安を抱いていた秋が思わず惚れてしまうのも無理はない格好良さだった。



 しかしアルファは、円堂がまもなくサッカーが嫌いになるとまたも断言する。そして例の不思議なボールのボタンを踏み、円堂をどこかに連れ去ろうとする。アルファがやろうとしていることは明白だ。天馬の時のように円堂をサッカーで痛めつけ、サッカーを挫折(ざせつ)させようとしているのだ。

 ボールを中心に光に包まれる円堂と秋、そしてアルファの一団。そうはさせじと、様子を見ていた天馬たちもその光の中に飛び込む。


 サッカースタジアムのような場所に連れて来られ、戸惑う円堂。そこは「フットボールフロンティアスタジアム」。後に円堂が雷門を率いてフットボールフロンティアで優勝する場だ。

 アルファは円堂にサッカーの試合を申し入れる。やはり彼の考えはサッカーによるサッカーの挫折なのだろう。訳が分からない風の円堂に、天馬が走り寄る。

 円堂を監督と呼び、慌てて言い直す。今の円堂は雷門のキャプテンですらない、自分と同学年の一人の少年だということをどうしても忘れてしまうらしい。

 突然見知らぬ少年が横から現れ「あいつらはサッカーを消そうとしている悪い奴らなんです」とか言われても訳が分からないだろう。円堂と秋はきょとんとしている。秋は親戚だから「松風天馬」の名前から分かって欲しかった気もするが、11年前だと天馬もまだ1〜2歳ぐらいの赤ちゃんだから仕方ないか。会ったことも無いかもしれないし。

 説明が出来ずもどかしそうな天馬だったが、大好きなサッカーを守るためにここに来たという言葉をあっさりと信じてくれる円堂(親戚の秋ですら不信の目で天馬を見ていたというのに……)。この単純で熱血なところが円堂の魅力だが、くれぐれも寸借サギなどには注意して欲しい(「サッカー好きです」の一言で、持ち金全額引き出せそうで怖い)。



 「サッカーが好きと言える奴=信じてよい奴」という単細胞サッカー馬鹿(敬語です)の円堂のおかげで、割と簡単に合流できた天馬。秋もあきらめ顔だ(←シャレではない)。


 アルファたちルートエージェントに天馬の意見を糺(ただ)し、天馬の言ったことが事実であることを確認した円堂は、怒りに燃えてサッカーで勝負することに同意する。だが啖呵(たんか)を切ったあと、自分たちの人数が圧倒的に少ないことに気づき、今さらのように困り始める。しかしこちらにはデュプリを自在に操るフェイがいた。

 フェイの声に振り向いた円堂は、そこに9人の頭数を見出す。キーパーのマッチョスを除いたメンバーだ。つまりキーパーには、新しい仲間として円堂が入ることとなるのだろう。



 任務遂行中、いきなり現れた異分子の存在にも、ルートエージェントに動揺の色は見受けられない。アルファはインカムから受け取った情報により、彼らが自分たち同様、時空を移動しながらインタラプトを邪魔する存在であることを知る。

 アルファの側から見れば天馬たちは初顔だが、天馬たちからすれば別のパラレルワールドですでに戦っている相手だ。その能力を知っている分、天馬たちがやや有利か?


 円堂を処理しようとしていたアルファだったが、そこに現れた天馬もいずれ対処しないといけない相手だ(時間軸的には、このあとしばらくしてから第1話での展開になったのだろう。パラレルの世界はややこしい)。ここで2人同時に処理してしまおうと、彼は冷徹に計画する。



 そして、なぜかまたも実況と審判役に選ばれたのは、あの海の家のヒゲのおっさん・矢嶋陽介(CV:佐藤健輔)だった。なんでやねん? 場所も時間も全然違うというのに、またコイツが選ばれるとは……? ひょっとして実況や寒いおやじギャグがアルファのお気に召したのだろうか? 別世界のアルファが矢嶋の頭にインプットしたチームのデータがそのまま使えるというのがおそらく正解だと思うが。


 また使い捨てにされる可能性大なのに、ノリノリで実況を始める矢嶋が、両チームの選手を紹介する(まぁ操られている訳で、仕方がないのだけど)。テンマーズのゴールを守るのは、もちろん円堂だ。


 「さぁみんな、サッカーやろうぜ!」


 11年前のこの頃からすでに使っていたフレーズで仲間を後ろから鼓舞(こぶ)するその姿は、まだサッカー初心者である時点だというのにキャプテンシーに溢れていた。やはり円堂には天性のリーダーとしての素質があると思わざるを得ない。


 そして試合は始まる。プロトコル・オメガのキックオフ。アルファが前進を開始するが、同時に早々にフェイを3人でマークしてアルファの行動の邪魔をさせない。初めて見る相手のはずなのに、テンマーズのキーマンを知っているとしか思えないその動き。

 そしてアルファは得点を奪いに行くでもなく、テンマーズの選手たちにボールを撃ちつけ、痛めつける戦法に出る。またも卑劣なやり方だ。ベンチでこの模様を見て、その非道さに声を上げる秋。その横で普通に喋っているぬいぐるみの存在はスルーですか?



 プロトコル・オメガはデュプリがフェイの化身であることを掴み、フェイの視界を遮(さえぎ)りながら攻撃をしているとワンダバは語る。秋に対して語っていると思うが、デュプリの話なんかしても秋には分からないだろう。それよりも自分が何者なのかを説明したほうが良さそうな気がする。


 フェイの持つ能力を知っているということから、アルファたちは別のパラレルワールドで得た知識や経験を共有できていることが暗示される。


 その卑劣なやり方に激昂(げっこう)したのは、サッカーを心から愛する男・円堂だった。



 言っていることは素敵で素晴らしいのだが、テンマーズのユニフォームが絶望的に似合わない円堂。この時期の彼は帝国学園と戦う1年も前の存在で、能力的にはRPGで言うところのレベル1、「美味しんぼ」で言うところの「山岡さんの鮎」だろう。アルファのシュートを食らうと危ない気がする。


 サッカーとはそんな、他者を痛めつけるためのものではないとアルファに向けて叫ぶが、アルファは顔色ひとつ変えることはない。その両者を見て、天馬は気圧(けお)されながらも、自分が頑張らなければならないと気を入れ直す。



 次回に続く。



  エンディング



 前回で相当ブッ飛んだ内容になり、もうしばらくは何が起こっても驚かないぞと思っていた矢先にオープニングでびっくりさせられ、さらにはミキシマックスという超絶展開。いや、本当に前回の超次元サッカーなんて、今回の超次元に比べたらカスや(京極さん調)


 前回の天馬の記憶を操作しに来た時も、今回の円堂に対してやって来た時も、試合に負けたらどうなるといった事前の説明が無かったため、負けてもあまり困らないんじゃない? と思って観ていたが、やはり負けたら記憶を消され、インタラプトが成立してしまうんだろうね。そういう意味ではリアルサッカーの日本代表並みに負けられない戦いが続く。


 また、時空を超えるという展開から、過去のキャラクターが中学生に戻って天馬の仲間に合流するという展開が今後のデフォになりそうだ。今回は無印の主人公・円堂がGOの主人公の天馬と共闘するという、ゲームの中でしか見られなかった夢のコラボが現出した。他のキャラも出てくるのだろうか? 豪炎寺とか、鬼道とか。鬼道はワンダバと声が被るから出ないかな? ただ円堂さんがキーパー固定となると、三国太一(CV:佐藤健輔)はやっぱり出番なしか? 西園信助(CV:戸松遥)はディフェンダーとして2足のわらじを履いていて良かったね(でもオープニングではキーパーの格好してるんだよね……)。


 次回はついにあのキャラが登場する。パラレルの世界で、脚を怪我しなかった設定の剣城優一(CV:前野智昭)が出るようだ。まだどうしてこのチームの一員になるのかは分からないが、歴史を完全に元に戻した時、彼の脚はやはり怪我をすることになるのだろうか? だとしたら、天馬のサイドで戦うことは彼にとっては辛いことになるのではないだろうか? いろいろと興味深い展開になりそうだ。



 アルファと対峙する優一さん(予測)。これだけ特徴を見せておいて、別人とか言われたらまたびっくりするだろうなぁ。日野社長にはここのところ、やられっぱなしだから、ちょっと疑いの目(笑)。



 最後に、今回感じた違和感から、今後の展開を大胆予想しておこうと思う。当方の予想は8割方ハズれるので、話半分で読んで欲しい。エルドラドとフェイの対立する両者がいみじくも同じように解説していた部分があった。それは未来ではセカンドステージチルドレンという存在が世界に災禍(さいか)をもたらし、サッカーが禁忌(きんき)とされているという部分だ。エルドラドはそれを根絶するために動いているわけで、彼らなりの正義があるといえる(イナズマの世界観ではその正義は歪んだものではあるが)。

 ではフェイは? 彼はサッカーが好きで守りに来たというが、それ以外の考えは無いと言えるだろうか? 実は彼自身がセカンドステージチルドレンの一人で、サッカーを消去されては困るという立場から過去にやって来た可能性があるのではないだろうか?

 最終的に天馬と戦うことになるのは、実はフェイの方になるという可能性もあると思う。サッカーを無くしてはいけないという理念では共通する2人だが、その動機が違う可能性があるからだ。ワンダバの存在がどういうものなのかは分からないが、今回彼が見せたそっけない態度は、結果的に天馬を騙すことに良心の呵責(かしゃく)を感じ、その重みに耐えられなかったせいではないかと思っている。ちびっこ向けアニメにしてはハードな展開になりそうだけど……。


 この予測がハズれていたらこの文章は忘れて欲しい。私もこっそり消そうかなと思っているので。



  次回「よみがえれ!雷門!!」に続く。



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