『ペルソナ4』第24話「The World is Full of Shit(世の中クソだな)」の感想

 恒例のテレビアニメ『ペルソナ4』を観ての感想文、今回は第24話「The World is Full of Shit(世の中クソだな)」の感想を書く。主人公・鳴上悠(なるかみ ゆう CV:浪川大輔)の前に、ついに連続殺人事件の真犯人が登場する。その人物は一体誰なのか?



 今回は真犯人というストーリーの根幹に関わる大きなネタバレがあります。今後の展開は伏せますが、少しのネタバレも観たくない方は、閲覧にご注意下さい。今回は特にご注意を。


  • 前回の

『ペルソナ4』第23話「In Order to Find the Truth(真実を見つけること)」の感想
 はこちらから。先読み推奨、というか今回と次回は最後に読んで下さい。


【原作ゲームを含む関連記事】

 前回、菜々子(ななこ CV:神田朱未)の蘇生と入れ替わるようにして皆のもとを去って行ったクマ(CV:山口勝平)。彼は菜々子を失ってしまった悲しさから再び自分が何者であるかという命題を問い詰め、自分が人間の場に居てはいけない、ただのシャドウであったことを思い出す。

 何故か悠が夢の中で訪れるベルベットルームの中に居るクマ。認めたくはなかったが、自分が人間に害なすシャドウであることを、菜々子の死と共に自覚せざるを得なくなったのだ。

 自分を仲間と認めてくれた悠にひたすら詫びるクマ。彼にはそれしか出来ることはなかったのだ。だがそこにその悠の声が響いてくる。クマが死んだと思っていた菜々子が、実は生きていることを聞かされ、クマの心は一気に救われる。そしてただ「良かったクマ」と繰り返し、その場に泣き崩れる。



 一方、中華料理店・愛家の前で条件に合致する真犯人像を思い描く悠と花村陽介(はなむら ようすけ CV:森久保祥太郎)、そして推理のキーワードを言葉にして提示する探偵・白鐘直斗(しろがね なおと CV:朴璐美)。

 最初と2番目の犠牲者、山野 真由美(やまの まゆみ CV:甲斐田裕子)アナウンサーと小西早紀(こにし さき CV:なかせひな)の2人と何らかの接点があり、悠たちの行動をある程度把握できる立場にあり、悠の自宅に怪しまれずに近づき、脅迫状を投函できる人物とは……。

 もう一度皆で考え直そうと提言する直斗の言を断り、悠は病院に向かうと告げる。その悠に、何か思いつめた感じで語りかける陽介。一体どうしたというのだろうか……?




 雪の降り積もる鮫川の河原に悠を連れ出した陽介。そこで陽介はこれまで悠に対して抱いていた思いを吐露する。都会から田舎に引っ越してきた転校生という境遇は同じなのに、すぐにペルソナを使いこなし、自分たち特別捜査隊のリーダーとして振舞い、誰からも愛される存在でいた悠を陽介は羨ましく、そして疎ましく思っていたのだ。

 話が見えない悠に対し、これは自分のけじめの問題として、自分を殴ってくれと陽介は頼む。素直で心の内のドロドロした隠し事をしたくない陽介の性格がよく現れたシーンだが、悠にはそういうカッコ良い雰囲気を読む能力も欠けていた(笑)。



 陽介の話が続いているというのに聴き終わる前に殴りつける悠。そして陽介を殴るのは2度目と淡々と言い放つ。殴られることで悠と対等になると思っていた陽介だったが、全然そうではないことに殴られてから気付く。

 雪上に倒れた陽介に対し、殴り合えば対等になると笑って手を貸す悠。そして2人は男の友情を確認し合うという、この世で最も不毛で痛々しい行為に及ぶ。


 ……ぼっこぼこに殴り合った2人は、雪の降る中、仲良く河原に横たわっていた。




 だがこれで陽介にあったもやもやした悩みは吹き飛んだ。殴り合って痛んだ両者の払った代償は大きかったが、それだけの価値があったのかもしれない。以後2人はこれで本当に互いを完璧な相棒とみなすこととなるのだ。

 お互いに心残りを無くした2人は、先ほど悠が行くと言っていた病院に向かう。彼らは次の目標がすでに見えていたのだ。


 一方、愛家に残された他のメンバーたちは、直斗の推理から導き出された真犯人の名を告げられていた。一同は驚き、久慈川りせ(くじかわ りせ CV:釘宮理恵)は早々にその仮説を否定する。おそらくよほど意外な人物の名を告げられたらしい。

 直斗はこの仮説が以前から抱いていたものであることを明かし、可能性がゼロでない限り考慮すべきと食い下がる。そこで天城雪子(あまぎ ゆきこ CV:小清水亜美)が、山野アナが天城屋旅館に宿泊していた時に、その人物が訪れたことを明かす。雪子にとってもその人物は今まで盲点だったのだろう。だがそれはその人物が真犯人の可能性を大きく上げる要素だ。

 事件関係者の小西早紀とも関係があるはずと断言する里中千枝(さとなか ちえ CV:堀江由衣)。事件関係者? ということは……?

 だがまだその人物が犯人とは思えない巽完二(たつみ かんじ CV:関智一)は、ただの偶然ではないかと懐疑的だ。そこで直斗のケータイが鳴る。相手は悠だった。


 そしてその電話相手の悠は、陽介と共に目的地に着いていた。エレベーターの中で自己の推理を陽介に話す悠。雪子より後の失踪被害者は生田目太郎(CV:服巻浩司)によってテレビの中に入れられた訳だが、諸岡金四郎(モロキン CV:龍谷修武)を殺害した久保美津雄(くぼ みつお CV:高橋剛)だけは生田目と関わりを持っていない訳で、どうやってテレビの中に入ったのかが謎だった。前回悠が叔父の堂島遼太郎(どうじま りょうたろう CV:石塚運昇)に久保の詳細の調査を依頼したのは、そういう理由があったからだ。

 久保の供述では、自首(モロキン殺しはすでに発覚していたので、厳密には自首では無く出頭)した警察の取調室で意識を失い、気付いた時はテレビの中だったという。


 そしてその時、久保の取り調べを担当したのが……



 堂島の部下、足立透(あだち とおる CV:真殿光昭)だった。生田目の部屋から現れた足立を刺すような視線で見つめる悠と陽介。

 そこに堂島もやって来る。その場の不穏な空気に気付いた堂島だが、その確認よりも前に生田目を自分の許可なく病院から搬送したと告げられ、足立に掴みかかって怒鳴りつける。

 堂島の見立てでは、生田目の殺害動機やその時のアリバイからして、まだまだ本人に聞かないといけないことは山積していた。だが上からの指示であることを盾に自分の正当性を主張する足立は取り合わない。

 堂島は悠たちに何の用があるのかを確認する。足立に話があると答える悠。山野アナが消えた時のことを詳しく話して欲しいと陽介に言われ、足立はやや動揺の色を見せながらも返答する。そして小西早紀の件を問われ、それも淀みなく返答する。

 そして脅迫状の件。そこに至ってよく分からないと曖昧な返答をする足立を、鑑識と組んで調べるよう直接指示した堂島は叱りつける。取ってつけたような釈明をするが、堂島を含め、周囲の視線が明らかに自分を疑っていると気付いた足立はその場を去ろうとする。だがそれを阻止する声が。

 直斗だった。先ほどの悠からの連絡でこの場に駆けつけたのだろう、仲間全員がこの場に揃う。そして直斗は最初の2人を殺害した犯人が生田目では無いと断言する。そしてカマをかけるかのように、真犯人を知らないかと足立に問いかける。

 ごまかそうとする足立に、これまで散々暴力的に振る舞って来た完二が、お前じゃないかと直截的に問う。完二の迫力に押された足立は、ついに決定的なことを口走ってしまう。


 「全部生田目が入れたに決まってるだろう!」


 …………

 場が凍りつく。犠牲者をテレビの中に入れるという話は、生田目と悠たちを除けば、知っているのは真犯人だけだ。つまりその言葉は、足立が真犯人であると自白したも同然なのであった。

 事情を知らない堂島も、足立が何か手口について隠し事をしていることに気付く。誰が聞いても足立が口を滑らせたとしか思えない状況だった。

 そして直斗はなおも足立が怪しい理由を述べる。生田目を追跡して、堂島が事故で負傷した時、直斗は生田目の日記を発見した。その時、足立は興奮して「そりゃ(犯人は生田目で)決まりだよ!」と叫んだ。

 だがそここそが直斗の引っかかりだった。警察はその時点で未遂のケースがあったことは掴んでいなかった。直斗が読み上げた被害者の名前に異論を差し挟まず、むしろ「決まりだよ!」と言い切ることが出来るのも、事情を全て知り得る立場にいた、真犯人しかあり得ないのだ!

 追い詰められた足立は、堂島を押しのけ、生田目が入っていた病室に逃げ込む。慌てて後を追う完二を始めとする一行。本来なら袋のねずみなのだが、室内にはどこにも足立の姿が見当たらない。まだ怪我が治っていない堂島が苦しみ出す。後は自分たちに任せるよう告げ、悠は室内奥のテレビを見やる。足立はやはりテレビの中に入る能力を持っていたのだろう。真犯人はその中にいるはずだ。


 その頃、集中治療室では菜々子が意識を取り戻した。傍らに立つクマの姿を見つけ、声をかける。



 クマが消えてしまう夢を見たと語り、そして菜々子はクマの声が聞こえたと、嬉しそうに話す。やはりあの時の霊安室で響いたクマの声が、逝ってしまいそうになっていた菜々子の意識を今生に引き戻したのだろう。菜々子にもそのことが伝わっていたのだろう、クマに心から感謝の言葉を告げる。

 そして菜々子は再び眠りにつく。自分がいない方が良い存在なのでは無いことを菜々子に教えられ、クマはシャドウであることをもはやマイナスには受け取らなかった。自分にしか出来ないこと、それを仲間のために果たすという使命を帯びたクマは、自分がシャドウであるという真実からもう逃げないことを誓い、戦線に復帰することを期する。



=CMアイキャッチは全パラメータが最大となった前回と同じなので割愛=



 翌12月6日(火)。ジュネスのテレビからテレビの中の世界にやって来た悠たち一行。サーチ能力に特化したペルソナ「ヒミコ」で足立の行き先を探すりせだったが、見つけることが出来ない。こういう時に頼りたい存在のクマは今ここにいない。

 悠が傍にいたクマを発見する。呼ばれたクマは、ゆっくりとこちらに近づいてくる。みんながクマを心配していたことが伝わる。りせなどはクマに抱きついて泣き出してしまう。

 これまでどこに行っていたのかを完二に問われ、クマは改めて自らの存在がシャドウであることを告げる。人間と敵対する存在のシャドウだったということを決死の思いで告白したつもりのクマだったが、誰もそのことを咎めたりはしなかった。

 ペルソナを使えるクマにはもう自我があり、もはや自分たち人間と何も変わりないとあっけらかんと答える仲間たちの優しさに触れ、クマの目が潤む。同じというだけじゃない、クマはもう欠かすことの出来ない仲間であるとして、皆がクマの帰還を歓迎する。必要とされたことに、ついに泣き出してしまうクマ。その鼻の能力にも磨きがかかり、足立の存在する位置を掴んでしまう。

 クマの導きで進む一行は、最初にテレビの中に入った時のあの首吊り部屋に辿りつく。そこには明らかに不愉快な表情をして、これまでの事件の真犯人、足立が佇んでいた。



 真犯人は自分なのかと問われた足立は、面倒そうにこの世界が現実の世界と一緒になると謎の言葉を吐く。人間もシャドウになってしまうという。その発言が本当だとすると、現実世界に立ち込め始めた霧は、この世界と現実世界が混ざり合ってしまう前兆なのだろうか?

 そこにいた足立が本体では無いことを見抜くりせ。本物はどこか別の場所にいるらしい。見抜かれた足立は面白そうに手を叩き、突如壁に開いた穴の中に歩み去ってしまう。

 まず最初に後を追って穴に入った千枝は、その異様な雰囲気に飲まれる。そこは商店街の光景だった。だが見慣れたものではなく、全てが破壊され、残骸となり果てた商店街の姿だった。



 今までと違う雰囲気に戦慄するりせ。この世界は創世者の足立に完全にコントロールされた世界だと仲間に告げる。そこに轟く足立の声。足立は目の前のガソリンスタンドの残骸のてっぺんから悠たちを見降ろしていた。彼はこの世界に気に入られていると笑い、どこにでも行ける万能性と、ここを支配する怪物にも襲われないと語る。

 その直後、足立の後ろから恐るべき巨大なシャドウが現れ、悠たちに襲いかかる。



 シャドウ名「刈り取るもの」。原作ゲームでは2周目以降にしか出ない超強敵シャドウ。


 この世界を創設した者の特権だろうか、ものすごい配下を従えて悠たちを挑発する足立に、完二と直斗がペルソナを発動させて対抗する。2人は「刈り取るもの」を防ぐ役を引き受け、悠たちに足立のことを託す。



 直斗のペルソナ発動カットイン。


 それを受け、悠たちは前進するが、とたんに風景が一変する。荒廃した風景だったが、その建物に縁が深い雪子が気付く。そこは雪子の自宅、天城屋旅館だった。

 旅館の中に足立の姿を認める一同。足立はぶつぶつと自分に訪れた左遷の憂き目を愚痴っていた。都会の本庁から田舎に左遷された彼の楽しみは、テレビで山野アナの姿を見ることだった。



 そして場面は足立が最初の凶行を行ったシーンに移る。悠たちは完全に傍観者の存在にされ、その場面に干渉することが出来ない。過去のシーンの再現の様で、足立の行為に干渉できないのも当然なのかもしれないが、この世界が足立の思う通りになるということをも暗示している。

 山野アナを旅館ロビーに誘い出した足立は、生田目との間の不倫騒動を否定しない山野アナに逆切れし、狂気に満ちた目で山野アナに掴みかかり、ロビーの大型テレビの中に一息に突き落としてしまう。



 足立が他人をテレビに入れたのはその時が初めてだったらしいが、その現象を大喜びして笑い出す。自分の旅館で最初の犯行が行われたことを知った雪子は悲しそうにその様を見つめる。

 マヨナカテレビの噂を聞き、自分にテレビの中に入る能力があることに気付いた足立。その能力を活かすため、山野アナをテレビの中に入れてどうなるかを実験したのではないかと悠は問う。

 足立はそれを否定する。自分を裏切った女を酷い目に遭わせたかっただけだと悪びれずに語る。裏切るも何も、山野アナは足立のことなど知らない訳で、これは典型的なストーカーの発想だ。

 堪りかねて足立に意見しようとした千枝だったが、そこに「刈り取るもの」が現れる。完二と直斗が戦っていたのとは別のもう一体のようだ。千枝と雪子がペルソナを発動させ、「刈り取るもの」に攻撃を加える。だが「刈り取るもの」は燃え盛る炎をものともせず、反撃で2人に打撃を与える。

 足立が笑って、もうすぐここが現実になると告げる。それはこの荒廃し、破壊され尽くした稲葉市の姿が現実になるということを示唆しているのだろうか?

 りせが悠たちに先に行くよう告げ、千枝と雪子と共に「刈り取るもの」の足止めを引き受ける。ナビ役をクマに任せ、足立の後を追うよう指示する。


 悠と陽介、そしてクマが歩を進めた先は、取調室だった。陽介の片思いの相手、小西早紀の姿がその中に見える。その向かいに居たのは、足立だった。彼は事情聴取と偽り、早紀に言い寄っていた。生田目と早紀が男女の関係だったと決めつけ、自分の言うことを聞くよう要請する。

 だが決然と断る早紀は、足立を平手で拒絶する。思い通りにならない女は、足立にとっては処罰の対象としかみなされない。怒りに満ちた足立は、早紀を取調室にあるテレビに押し付ける。そのシーンは、早紀を好きだった陽介が見るにはあまりにも残酷なシーンであった。何も出来ず、ただ足立の凶行と、悲鳴を上げてテレビの中に落とされる想い人の姿を見るしかない陽介は、歯噛みして悔しがる。



 自分を拒絶した早紀を制裁した足立は、早紀の勝手な人物像をこしらえて自己の行為を正当化する。早紀が女子高生の分際で生田目と大人の関係になっていたと決めつけて、足立は吐き捨てるようにこう言った。


 「世の中クソだな」


 テレビの中に顔だけ突っ込んで早紀を嘲(あざけ)り、そして見捨てる。山野アナが死んだことを知っている足立は、早紀が死ぬことも承知で突き落としたのだ(早紀はそもそも山野アナの死体の第一発見者だった訳で)。


 いつの間にか悠たちの後ろに回っていた足立は、この能力を心から楽しんでいると嘯(うそぶ)く。陽介が早紀を想っていたことを知ってか知らずか、陽介を盛んに挑発する。堪りかねて足立に殴りかかる陽介だったが、その拳は虚しく空を切る。それは足立の偽物だった。先ほどりせが見抜いたとおり、本物の足立はここでは無い何処かに存在するらしい。

 

 一方、現実世界の商店街、深く霧が立ち込め、足立の言っていた話が嘘では無い可能性を示唆していた。相変わらず霧が毒であることを吹聴するマスク男が徘徊する中、商店街の住人の一人である愛家の看板娘、中村あいか(CV:悠木碧)は空に何か歪みがあることに気付く。


 悠たちの攻撃が本体に届かないことで安心する足立。悠は生田目に対して行った行為を問う。雪子がマヨナカテレビに映った際、生田目が人助けのつもりで警察に連絡を取った時に偶然にもその電話を受けたのが足立だったのだ。足立は生田目の意見を警察は取り合わないと言って絶望させ、さらに生田目自身が被害者候補をテレビの中に匿(かくま)えばいいのではないかと教唆(きょうさ)する。生田目が自分で思いついたように言っていた、テレビの中に匿うという行為は、実は足立がここで教唆していたのだ。そして生田目と悠たちの命がけの行為を足立は面白がって観賞していたという。

 そしてさらにその場に「刈り取るもの」が現れる。生田目の善意を悪用し、悠たちの努力を笑って観ていた足立は許せない。今度は陽介とクマが「刈り取るもの」に立ち向かう。そして悠に足立追跡を託す。


 悠は後事を陽介とクマに任せ、足立の後を追う。踏み込んだ先は警察署だった。そこで悠は久保をテレビに入れたのも足立だと見当をつける。久保を取り調べる担当も足立だったというのが何とも不幸の上塗りなのだが、稲葉署はそんなに人材不足だったのか?

 久保が自首して事件解決となってしまうと、生田目の「救済」も終わってしまう。それはその状況を楽しんでいた足立にとっては歓迎せざる事態なのだ。そこで足立は久保をテレビの中に入れてしまったという。謎めいた意味不明のことを口走っていた久保のことだから、帰らせたと言う足立の言葉を疑う者もいなかった。

 楽しんでいるゲームが冷めるのが嫌、というそれだけの理由で久保をテレビの中に入れ、生田目に恐ろしい救済行為を続けさせるという悪魔的思考を一方的に聴く悠は飽くまでも冷静だ。

 だが悠たちの活躍で久保は逮捕された。生田目はその後もマヨナカテレビに映る人物を誘拐し、テレビの中に入れるという行為を止めなかったことが足立にとっては嬉しかったらしい。



 生田目を馬鹿にし、生田目に罪の全てがあるかのように語る足立。その顔はこれまで見せたことのない彼の本性そのままに、邪悪に歪み切っていた。


 そして悠が辿り着いた先のちゃぶ台で、ままごとの様に並んだ食器を前にして足立はここまで悠が来れたことを祝福するかのように拍手する。そこで悠は、足立が何故そんなことをしたのか、動機を尋ねる。足立は動機などないとしれっと語る。(テレビに誰かを入れることが)自分には出来たし、面白かったからだと、またも嘯く。

 果ては悪いのは自分では無く、この世界が悪いと言い出し始める。テレビの中は人の意思が反映される世界であって、そこで起こることは悠を含めた人々全ての責任だと挑発するかのように、足立は告げる。



 そして足立は悠が学生だということを上げつらい、今やっていることは無駄なことと嘲る。やることも無い、寂しい奴らという言葉に、ついに悠が切り返す。

 なおも世界がこちら側に飲み込まれてしまうと語る足立を可哀そうな人だと同情する悠。万能性を感じている今の足立にとっては、そんな憐憫(れんびん)の目が一番気に入らないのだろう。激しく怒り始めた足立は、ここで悠を消してしまうことを決める。新世界でシャドウとして生きることすら許さないということなのだろう。


 足立は絶叫し、何とペルソナを発動させる。




 足立のペルソナ「マガツイザナギ


 悠もそれを受け、足立のものと対になるであろうペルソナ「イザナギ」を召喚する。



 今、世界がどちらの理想を選ぶのかを賭けて、両者が相対する。




 以下、次回!



(今回は敢えて敬体文で)
 前回伏せた正解の訳「世の中クソだな」は足立のセリフだったんですね。事前に検索したところ、動画も含めてめちゃくちゃヒットしたので、誰のセリフか知られたくなかったという理由から正確には書きませんでした。

 恐ろしいです。彼は4月に山野アナを殺しておいて、そんな素振りは全く見せずにずっと悠たちと付き合って来ていたのですからね。あの暗い心根をずっと胸の内に隠してヘラヘラしていたと思うと、今ここで見せた本性よりも怖くなって来ます。私はゲーム版で一度経験しているのですが、それでも今回を観て恐ろしくてぞっとしてしまいました。初対面で菜々子が足立を怖がる描写があったのですが、アレは真実を見抜く子供の洞察力を描いていたのかもしれません。

 生田目を良い様に利用し、ゲームとして楽しんでいたという話も驚愕ですし、知った側の怒りも凄まじいものがあったでしょう。好きだった先輩を殺される場面を生で見せられた陽介が今回は哀れでした。以前、生田目が早紀に言い寄っていたと陽介に吹き込み、生田目を殺すように仕向けたのも実は足立でした(悠の自制によって事なきを得ましたが)。足立は本当に狡猾で嫌な男です。本作のプロデューサーさんのお名前がA立さんというのも、何の巡り合わせなのかと思ってしまいますが。


 本文中で書いたとおり、「刈り取るもの」はゲームを一回プレイしただけでは出会わない強敵。同時に戦う訳では無いですが、実際に何体も出て来るから怖い。ゲーム中でもかなり上位に来るぐらい(ちょっとぼかします)強い敵ですので、興味がある向きの方はゲームの方でお試し下さい。「マガツイザナギ」はアニメオリジナル。


 先の展開がものすごく楽しみなのですが、何と次回で本作は最終回だそうです。ハッキリ言って、断言しますが、本当のエンディングを描く場合はあと1話では絶対に無理です。これは別の媒体を使って最終的な決着をつけるのかと想像していたのですが、どうも『ペルソナ4』、映画化されるという情報が入って参りました。

  • はちま起稿さんの記事

6月9日に劇場版『ペルソナ4』が公開される可能性!これは期待できるでぇぇぇぇ


【注釈】

 上記の「映画になるかも?」という情報はガセ情報でした。テレビ未公開番編集のDVDが8月に発売予定とのこと。



 もし仮に映画で補完というのが真実だった場合、テレビで全てが描かれないのは残念ですけど、映画の方には超期待してしまいます。仲間たちの覚醒ペルソナも描いて欲しいし、本当のエンディングがどうしても観たいし。


 取りあえず足立との闘いがどうなるのか? 今はネタバレしないよう、これ以上の意見は避けます。最終回も絶対に観ます。感想も書きますので、ぜひ観に来て下さい。



 次回「We Can Change The World(俺たちが世界を変える)」に続く。



人気ブログランキングへ
 ↑ 最後まで読んで下さってありがとうございます。記事を気に入って頂けましたら、クリックをお願い致します。



ペルソナ4 ザ・ゴールデン
アトラス (2012-06-14)
売り上げランキング: 6

ペルソナ4 8(完全生産限定版) [DVD]
アニプレックス (2012-06-27)
売り上げランキング: 162

ペルソナ4 PlayStation 2 the Best
アトラス (2010-08-05)
売り上げランキング: 68

ペルソナ4 公式設定画集

エンターブレイン (2008-10-08)
売り上げランキング: 1206