『ペルソナ4』第25話「We Can Change The World(俺たちが世界を変える)」の感想 【最終回】
恒例のテレビアニメ『ペルソナ4』を観ての感想文、今回は第25話「We Can Change The World(俺たちが世界を変える)」の感想を書きます。長かったこのアニメ感想文も、これが最後となります。ものすごく愛着ある作品なので気合いを入れて感想を書きたいと思います。ぜひ最後まで読んで下さい。
今回も前回に引き続きストーリーの根幹に関わる大きなネタバレがあります。少しのネタバレも観たくない方は、閲覧にご注意下さい。この後の展望なども最後に語りたいと思います。繰り返しますが、閲覧はご注意を。
- 前回の
『ペルソナ4』第24話「The World is Full of Shit(世の中クソだな)」の感想
はこちらから。前回及び今回はどうか最後に読んで下さい。
- それ以外の感想文はこちらで一覧表示されます。
【原作ゲームを含む関連記事】
ついに真犯人を突き止めた、主人公・鳴上悠(なるかみ ゆう CV:浪川大輔)たち特別捜査隊。犯人はなんと、叔父の堂島遼太郎(どうじま りょうたろう CV:石塚運昇)の部下の刑事・足立透(あだち とおる CV:真殿光昭)だった。テレビの中に逃げた足立を追う悠たちであったが、足立の作りし世界【禍津稲葉市(まがつ・いなばし)】では足立はほとんど万能で、さらに足立の操るシャドウ「刈り取るもの」の強さに大苦戦させられる。そしてそこで足立から聞かされた「この世界と現実とが一つになって、人間はみなシャドウになる」という予言めいた言葉が悠たちの気持ちを絶望の淵に追いやる。悠たちはこの最後の戦いに勝利し、現実世界に平和を取り戻すことが出来るのだろうか?
警察署跡で対峙する悠と足立。悠のペルソナ「イザナギ」と足立のペルソナ「マガツイザナギ」が激突する。
邪悪な本性を見せる足立。常軌を逸した表情。もうすぐ自らも人間では無くなることを自覚しての姿なのだろうか?
この戦いはおろか、その後の世界まで自分の勝利で終わることを確信している足立は狂気に染まった表情で悠を挑発し、この世界ではどこでも一瞬で行けるという万能性を発揮して舞台を一瞬にして転移する。驚く悠に対し、足立は攻撃を加える。「マガツイザナギ」の能力で悠と「イザナギ」の動きを止め、刑事だった時の持ち物の名残である拳銃(ニューナンブ)を悠の額に突き付けて己の理論の講釈を垂れる。
足立の言うには、彼らの暮らす今の現実は才能ある一握りの人間は決まっていて、それ以外の人間は絶望から逃れられずに生きている世界という。そしてそんな現実など無くなってしまえば良いというのが足立の言い分であり、且つもうすぐ訪れるであろう新たな現実へ他者を道連れにするに当たってのエクスキューズなのだろう。
だが悠は現実は簡単に変えられるようなゲームでは無いと言って足立の言い分に対し一歩も譲らない。それを聴いて足立の拳銃の引き金にかかる指に力が入る。
そして、一発の銃声が轟く。
場面はこの世界にやって来た時の最初の舞台、ガソリンスタンド前に移る。この場で「刈り取るもの」との一戦を引き受けた巽完二(たつみ かんじ CV:関智一)と白鐘直斗(しろがね なおと CV:朴璐美)の2人だったが、2人で戦うにはやはり相手が悪すぎた。様子を窺いにだろうか、傷つき追い詰められる2人の前に、映像(ビジョン)だけの足立が現れ、この世の終わりが近いことを告げる。
この世の終わりを今怖がっている層ほど、実は現実が終わることを望んでいて、それを善導するのが自分の役目だと、まるで神の先兵気取りの足立の態度に怒りを募らせる完二と直斗。完二のペルソナ「タケミカヅチ」が「刈り取るもの」を激しく叩き伏せる。そして直斗のペルソナ「スクナヒコナ」で追い討ちをかけようとするが、「刈り取るもの」 の射撃攻撃を受けてしまい、直斗は苦しむ(ペルソナが攻撃されると本体にもダメージが及ぶ「ジョジョのスタンドの法則」)。
そんな2人の頑張りをあざ笑うかのように横目で見ながら、足立は語り続ける。睨み返す直斗だったが、その目に空に広がる異変が映る。薄暗い夕闇のような光景なのだが、直斗が見つめる一角は明らかに何かが存在する巨大な影が見えた。何かがこの地に降りて来ようとしている。そしてそれこそ、足立が待ち望む「一つとなった世界」とやらの触媒となり得る存在であることを、足立の態度は示唆していた。
その存在は、別の場所にいる仲間も気付いていた。天城屋旅館前で同じく「刈り取るもの」を足止めするためにその場に残った久慈川りせ(くじかわ りせ CV:釘宮理恵)が、そのペルソナ「ヒミコ」のサーチ能力でその存在の正体を探ろうとしていた。超巨大なエネルギー反応を持つ存在がどんどん近付いて来ると恐れるりせ。その姿に、里中千枝(さとなか ちえ CV:堀江由衣)と天城雪子(あまぎ ゆきこ CV:小清水亜美)も不安の色を隠し切れない。
そして、そこにも現れた足立の映像。足立の眷属たる「刈り取るもの」と、千枝のペルソナ「トモエ」と雪子のペルソナ「コノハナサクヤ」が激しく戦う中、人間がシャドウとなって現実から目を塞がれて生きて行く様が、今の現実とどこが違うのかと足立は彼女たちに問いかける。そして自分で色々考えなくなる分、その世界の方が楽になれると甘言を吐く。
足立の発言及び姿は、同時進行で花村陽介(はなむら ようすけ CV:森久保祥太郎)とクマ(CV:山口勝平)が戦う地でも再現されていた。足立の発言を全否定する陽介とクマに対し、自分たちのシャドウが出た時のことを思い出せと告げる足立。シャドウは本音のままに動き、陽介を含めた邪魔者たちが歯向うからこそ暴れるんだと訳知り顔で語る。そして「刈り取るもの」の銃撃攻撃の音がその場に響く……。
悠と足立本人の場に舞台は戻る。足立の撃った弾は悠の足もとに撃ち込まれていた。銃声と共に頭を撃ち抜かれた訳では無かった。悠を怖がらせていたぶろうという、足立のサディスティックな面が描かれる。そしてそもそも足立が警察官になりたかった理由が「銃を自由に撃ちたかった」という不謹慎なものであったことを語る。
自らの不純な動機を棚上げして、エリートだった自分を認めようとせず田舎の地に左遷した周囲を蔑み、その怒りを「イザナギ」を執拗に踏みつける行為を繰り返すことで晴らす足立(「マガツイザナギ」)。そしてまたも銃口を悠に向け、「イザナギ」を地面に叩きつける。
苦しむ悠を横目に、足立は相変わらず自説を滔々と述べ続ける。悠たちの行動を探偵ごっこと揶揄し、悠の追い求める真実など誰も求めてなどいないと語る。真犯人は生田目太郎(CV:服巻浩司)であり、それが世間の求める真実だと付け加える足立。
分かり難いが、ここは【禍津稲葉市】のジュネス屋上フードコート。この直前、風景が変わったので足立の能力で転移したのだろう。悠たちのことを「ジュネス屋上で探偵ごっこをしていた」と足立が語って蔑んだが、まさにその言葉の意味を暗示する場所でもある。
仮に真犯人が自分(足立)ということが判明したとしても、それは世間が群がる先が変わるだけで、大勢は何も変わらないのだと言う。つまり足立の論理では、誰が犯人であろうとそんなものは追求するだけ無駄だと言いたいらしい。
そしてついに「マガツイザナギ」の刃が「イザナギ」の胴を貫く。ペルソナの受けたダメージは本体も受けてしまう。悠は悶絶し、苦しむ。足立は悠を消すという仕事を終えたつもりだった。だがまだ終わってはいなかった。苦しみながらも足立を許せない悠が、そこで激しい口調で言い返す。
悠 「そんなものは真実じゃない!!」
その言葉に反感を覚え、足立は歩み寄って行く。そしてまた銃口を悠の頬に押し当てる。だが悠は足立のその動作がハッタリだと見透かしていた。どうせ撃てはしないと語り、ゆっくりと起き上がって足立の銃を掴む。悠の思った通り、その間足立は悠の生命力に驚いたまま、撃つことが出来ない。銃口を押さえたまま、足立の犯した罪は消えない、それこそが真実だと悠は叫ぶ。
それまでの姿は同時に他の場に居る仲間の元にも届いていたのだろう。完二に肩を借りた直斗が「刈り取るもの」を切り捨てながら足立に反論する。ガキに何が分かると再反論する足立だったが、その態度を見てガキは足立だと言い放つ雪子。生きることを面倒がり、死ぬことも嫌、人間であることすら放棄しようとし、なかんずく己の欲望の成就に他者を巻き込もうとまでする足立の態度が雪子には許せなかった。その言葉に激昂する足立(「刈り取るもの」)に向けての攻撃がもうもうと土煙りを上げる中、千枝が「トモエ」の持つ最強の技「ゴッドハンド」を炸裂させる。
「刈り取るもの」を塵に変える「ゴッドハンド」。この技は使える……というか、千枝の生命線になる技なので、ゲームをプレイする場合、この技は絶対に消さないように。これ豆な。
仲間たちの反転攻勢は陽介たちの戦いの場でも起こっていた。足立を下らない犯罪者と断定する陽介に、怒りを爆発させるしかない足立(「刈り取るもの」)。そこに、陽介のペルソナ「ジライヤ」の疾風属性魔法が的中する。クマがすかさずペルソナ「キントキドウジ」のマサカリミサイルで追い討ちをかけ、「刈り取るもの」を撃破する。
それらシーンを背景に、足立と再び対峙する悠の場が舞台となる。一度は倒された「イザナギ」で足立の攻撃を受け止め、逆に「マガツイザナギ」を打ち倒す。そして悠は己の罪を認めろと足立に迫る。だが足立は認めず、ついに悠に向けて銃を発砲する。「マガツイザナギ」による稲妻属性の激しい爆発が起こり、悠の姿は煙の中に包まれる。邪悪な笑みを浮かべる足立だったが、その煙の間隙を突いて飛び出して来る「イザナギ」。
驚愕し、恐れを隠せなくなった足立に対し、現実が最低なのはお前だけでは無いという言葉を投げかける悠。だがその言葉を自らを過小評価する説教と受け取った足立は、悉く自分の邪魔をする悠に、あくまで逆らう。
悠 「現実と向き合え!!」
2人の会話の最中も続いていたペルソナ同士の闘い、「イザナギ」が「マガツイザナギ」の剣を弾き飛ばし、そして次の一閃で「マガツイザナギ」を真っ二つに切り捨て、最後の一太刀で「マガツイザナギ」に止めを刺す。
同じ様なシルエットで分かり難いが、勝ったのは悠の「イザナギ」だ。
勝負は決した。頭を押さえて苦しみのたうつ足立だったが、しばらくして勝負に敗れたことをそれほど苦にはしていないように笑い出す。そうなのだ。足立を倒したものの、足立が望む、人間が全てシャドウとなってしまう世界が到来することは、現在も止まらず進行中なのだ。
足立は稀代の悪党だったとはいえ、これまで関わり合って来た立場として気遣う悠。だが厭世感に支配された足立は、拳銃を自らのこめかみに当てる。慌ててその後の動作を止めようとする悠だったが、その自殺劇は誰も思わぬ形で中断される。
周囲から黒い影(シャドウ?)に連続してぶち当られ、足立の姿が宙に舞い上げられてしまう。そして黒い影に包まれた足立は、これまでと違う声で語り始める。足立に自らの代弁者をさせた存在、そう、先ほどより上空に現れた巨大な存在が今、その姿を悠の前に示した。
シャドウ名「アメノサギリ」(CV:中尾隆聖)
上空に浮かんだ丸い巨大な物体。見開いたその大きな一つ目、悠はかつてその目と視線を合わせた過去があった。それはクマの影と戦った際、最後まで生気を失わずに残り続けた、あの目であった。あの頃からこの存在「アメノサギリ」は悠たちを見つめていたのだ。
「アメノサギリ」は足立を依り代(よりしろ)にして、こちらの世界も、テレビの外の世界(現実)も、永遠に晴れない霧に覆われる時が来たと淡々と語る。また自らの存在を霧を統べる存在として、人々の想念によって呼び起こされたと言う。そして超自然的存在の彼(?)は、あらゆる説明もそこそこに、悠たちに対して攻撃を開始する。
「アメノサギリ」にとっては世界を霧で満たし、全ての人間をシャドウにし、フラットになった世界に自らが秩序の番人として君臨することこそが正義で、それを邪魔する悠たちは排除すべき存在でしか無い。
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現実世界でも、「アメノサギリ」のその強大なエネルギーの余波が現れていた。不吉な霧と重苦しい雰囲気に、空を見上げる稲葉市の人々。霧に覆われ始めた現実世界のその上空には、くっきりと「アメノサギリ」の影が映し出され始めていた。
「アメノサギリ」の猛攻で悠も大ダメージを受ける。「イザナギ」をカードに戻し、女帝アルカナ最強のペルソナ「イシス」(レベル79)を召喚して、身体に覆い被さった瓦礫を取り除く。
頭上には変わらぬ姿でこちらを見つめる大きな目。別の場からその姿を見つめるりせがサーチする。
そして「アメノサギリ」が現実とテレビの中の世界の双方を引き寄せているということを掴む。双方の世界をぶつけ、一体化してしまうというのが「アメノサギリ」の狙いだったのだ!
「アメノサギリ」は、自らの望みは人々が望んだものだと嘯く。とどのつまり、言ってることは足立と同じだ(足立が「アメノサギリ」のコントロール下にあった可能性を暗示)。悠はペルソナチェンジで再び「イザナギ」を降ろし、「アメノサギリ」に突貫する。だが質量があまりに違い過ぎる。「アメノサギリ」は何事も無いかの如く、一方的に語り続ける。
悠たちもいずれ霧の中で、何も考えることも無いシャドウとして蠢くのみの存在になると「アメノサギリ」に告げられる。それはある意味、死よりも恐ろしい結末であろう。黙っていられないのは悠だけでは無い。陽介の「ジライヤ」とクマの「キントキドウジ」も挑みかかる。そして、完二と直斗も後に続く。黙ってシャドウにされる訳にはいかない。
悠たちのペルソナ能力やテレビの中に入る能力も、実は「アメノサギリ」が与えたものだということを知らされる。千枝、雪子、そして戦闘型ペルソナでは無いりせの「ヒミコ」までもが「アメノサギリ」に挑みかかる。
「アメノサギリ」はそれでも意に介さず語り続ける。人々の観たいものが映り込む窓、それはマヨナカテレビを示唆していた。テレビなどメディアで注目された人が次々とマヨナカテレビに映ることも、人々がその対象を観たいと思う気持ちが具現化したものであることが判明する。
直斗には思い当たることがあった。生田目の病室で観たマヨナカテレビ。そこに映った生田目は、生田目の本質では無く、悠や陽介、直斗が観たかった生田目の姿だったのだ! 生田目を犯人として断罪したいという気持ちが観せた、かりそめの姿だったのだ。生田目が現実世界に居ながらにしてマヨナカテレビに映った理由も判明する。
それぞれが別々にマヨナカテレビを確認した時は、それぞれ同じものを観ていなかった可能性に言及する雪子。それぞれが、観たいと対象に思う気持ちが別のビジョンを観せていた可能性は、ある。
虚構を追い求めれば人は現実を観なくなる。虚構の世界を森に例え、それが膨張して行く様を今この瞬間になぞらえる「アメノサギリ」。それを否定する陽介は、自分たちが現実を追い求め続けて来たことを強く主張する。
実は「アメノサギリ」にとって、それだけが予測の範疇を外れた状態であった。感心するように目を……その大きな目を細めながら「アメノサギリ」はそう語る。シャドウに倒されて然るべきはずの悠たちが勝利を重ねるにつれ、認めざるを得ないその素養を、今こそ試さなくてはならないと告げる。悠たちに見た人類の新たな可能性を、テストすると言うのだ。
大爆発が起こる。「アメノサギリ」が周囲に群がっていた悠たちのペルソナを吹き飛ばしたのだ。圧倒的な質量のまま君臨する「アメノサギリ」。片や地に撃ち付けられ、虫の息状態の悠たちのペルソナ。ここで悠たちが敗れること、それは即ち人類のシャドウ化、人類全体の敗北を意味していた。
悠 「まだ、終わらせない!」
ワイルドの能力でペルソナをチェンジしようとした悠だったが、「アメノサギリ」の攻撃の方が早かった。足立を取り込んだ時と同じ攻撃で宙に浮かせてしまう。そして悠を目の前(ほぼ目なのだが)に連れ出し、何故そこまで運命に抗うのかを問いかける「アメノサギリ」。
人々との絆を説く悠に、そんなものは不確かで信じるに値しないと「アメノサギリ」は一笑に付す。現実を捨て、思考を捨て、うつろな存在をこそ人類は望んだのではないかと改めて問う。黒い影に包まれ、苦しみながらもそれを明確に否定する悠。現実も悪くはないと、仲間たちが教えてくれたと返す。足立のように闇に浸食されつつある身ながらも、仲間たちとの絆を心の支えに、悠は諦めない。
悠のその気持ちは、先ほどの大爆発で吹き飛ばされ気絶していた仲間たちの心に伝わる。目覚めた陽介は巨大な「アメノサギリ」の表面で今にも一体化させられそうになっている悠の姿を認める。
陽介「悠〜〜〜!!!!!」
その絶叫に合わせ、悠がこれまでに築いた人々との記録書が輝き始める。ベルベットルームでこの戦いを見守っていたであろうマーガレット(CV:大原さやか)が、その輝きと絆の強さに驚愕し、満足げな笑みを浮かべる。悠の絆が今、奇跡を起こそうとしていた。
陽介のペルソナに変化が起こる。それは、陽介と悠との結びつきの強さを触媒として進化した究極の状態へと姿を変える。
陽介のペルソナが進化し転生した新たな力「スサノオ」。モデルはもちろん、日本書紀や古事記でおなじみのスサノオノミコト。
スサノオは「アメノサギリ」に取り込まれる寸前だった悠を救い出し、そしてパワーアップした疾風属性魔法で「アメノサギリ」を退ける。
悠を助けたいとの思いは仲間に連鎖する。次に目覚めた千枝が悠の名を呼ぶと、彼女のペルソナも究極の姿に変化する。
千枝のペルソナが進化し転生した新たな力「スズカゴンゲン」。モデルは瀬織津姫(せおりつひめ)。鈴鹿に住む鬼を退治をした伝説から付いた別名がこの名、鈴鹿権現(すずかごんげん)。
そして雪子が悠の名を呼ぶ。
雪子のペルソナが進化し転生した新たな力「アマテラス」。モデルはこれも古事記や日本書紀で知られる天照大神。
そして完二。
完二のペルソナが進化し転生した新たな力「ロクテンマオウ」。モデルは第六天魔王の異名を持つ織田信長。
そしてりせ。
りせのペルソナが進化し転生した新たな力「カンゼオン」。モデルは仏教の観音さまとして知られる観世音菩薩。
そして直斗。
直斗のペルソナが進化し転生した新たな力「ヤマトタケル」。モデルはこれも古事記や日本書紀に名高い日本武尊。第12代景行天皇の皇子とされる。
そしてクマ。
クマのペルソナが進化し転生した新たな力「カムイ」。モデルはアイヌ神話の神を表す神威(かむい)。
皆が進化したペルソナを駆使し、「アメノサギリ」に立ち向かう。「スサノオ」に抱かれた悠が目を開くと、頼れる仲間たちが「アメノサギリ」に大ダメージを加えていた。そして最後は悠に任せると、仲間たちから託される。今度はペルソナ発動順とは全く逆の順番で。
>クマ「センセーイ! 頑張クマ!」
>直斗「先輩、頼りにしてますから!」
>りせ「愛してるよ! 先輩!」
>完二「ガツンと一発、決めてくれ!!」
>雪子「信じてる、鳴上くん!」
>千枝「OK、世界はキミに託した!」
>陽介「任せたぜ、相棒っ!!」
皆の心を一身に受け、悠はペルソナ合体において究極の形でもってその思いを結晶させる。
悠 「ペルソナ!」
真実を追う仲間たちとの絆がMAXになった時に召喚可能な究極のペルソナ「ルシファー」(審判コミュ・レベル93)。
友たちとの絆を得た今の悠、そして「ルシファー」に敵など存在しない。「アメノサギリ」の攻撃を反射し、そして悠の思いがそのまま攻撃手段となり、「アメノサギリ」を完全に粉砕する。
その圧倒的なまでの強さを、ただただ呆然と見送る悠の仲間たち。「アメノサギリ」打倒の証明ともいえる、霧が晴れた状態になったというのに、それさえも気付かないほど、その戦いに見とれていた。
全てを終わらせ、地上に降り立った悠に、「アメノサギリ」だったものが語りかけて来る。人としての可能性を示した悠たちに自らが敗北したことを認める「アメノサギリ」だったが、人が望む限り、彼(?)はいつでもまた現れることを宣言する。彼(?)の存在は、人が望むからこそなのだと言うことを悠たちの心に刻みつけ、「アメノサギリ」は去って行く。
今度こそ、全てが終わった。意識を失っていた足立の元に、悠が歩み寄る。足立は全てが無に帰したことをその瞬間知り、自分はここで死を選ぶと告げる。
もともと自分を殺しに来たのだろうと言う足立の言葉を叱りつけるように否定する完二。想い人の小西早紀(こにし さき CV:なかせひな)を足立に殺害された陽介も、生きて裁きを受けろと促す。そして悠も生きて帰るよう、足立に手を貸す。
自らのちっぽけなプライドを大きく上回る彼らのその態度に、足立はついに観念する。彼は悠たちに完敗したこと、そして罪を認めその償いをすることをようやく認めたのだ。
現実世界では、入院中の菜々子(ななこ CV:神田朱未)が目覚め、父の堂島遼太郎(どうじま りょうたろう CV:石塚運昇)に、夢を観ていたことを告げる。夢の中では悠が悪い奴をやっつけて、みんなを助けてくれたと笑顔で語る菜々子。その笑顔を受け、堂島も嬉しそうに返す。菜々子の見た夢がおおよそ正夢であることが、今の堂島には理解できた。
そして時は流れ……
翌年の3月21日(水)。その日は悠が実家に帰るその日だった。やや早い桜の花びらが舞う中、悠がやって来る時も使った小さな駅「八十稲葉駅」に見送りに集う仲間たち。
まだ電車も来ていない中、早くも泣き出してしまうりせと、それに感化されて今にも泣き出してしまいそうな菜々子。泣かないと事前に約束していたのだけど、もう我慢できない。菜々子は大粒の涙をこぼし、思わず抱きついてしまう。そして別れを惜しむ菜々子は、ここで胸に秘めていたであろう、大胆発言をする。
法律では、いとこの間柄、4親等以上なら確かに合法だ。悠を家族と認める堂島は、冗談混じりも手伝ってか、上機嫌で悠なら歓迎すると笑う。ただ急にマジ顔になって
堂島「未成年のウチは許さんぞ」
……と釘を刺し、一人娘のお父さんの姿もしっかり見せたのだったが。
悠は菜々子を宥め、ようやく解放される。堂島は、悠がいつ戻って来ても大丈夫な様、悠が使っていた部屋をそのままにしておくと告げる。悠を家族と認める堂島の計らいだ。叔父との強い絆を感じ、悠は心から感謝する。
家族との別れのあいさつを終え、悠は仲間たちを見つめる。みんなの顔を見て、悠の決心がやや揺らいでしまう。この最高の仲間と別れなければならないのが、朴念仁の悠をして顔を曇らせるほどになった訳で、これは大いなる進歩かもしれない。
クマが悠に語りかける。彼はもと居たテレビの中に帰ると言う。そしてこれからは彼が向こうの世界を守ると、明るく宣言する。「アメノサギリ」はクマの影と縁が深そうな経緯があったし、シャドウとして生まれながら人間の心を持ったクマには、その役が適任なのかもしれない。悠はクマの決意を笑顔で後押しする。
そこに、電車の到着を告げるアナウンスが流れる。必ず訪れる瞬間とはいえ、全員が一番聞きたくない言葉だっただろう。陽介の言葉を受け、意を決したように電車に乗り込む悠。
電車の窓から最後の別れをする悠。少しでも長い間悠と一緒にいたくて電車を追いかける仲間たち。笑顔の仲間たちの表情を確かめ、悠は今一度、大きく手を振る。仲間たちは駅の端まで電車を追いかけて、その別れを惜しむ。
この地を訪れた時と全く同じ車窓から、同じ風景を見つめる悠。だが彼は大切な仲間というかけがえのないものをこの地に、そして自らの胸に置いているという点が、来た時と大きく違っている点だった。
悠の手には、彼らと築いた絆の象徴ともいえる、霧を晴らすメガネが握られていた。もはや必要とされないそのメガネだったが、これからは悠の心の想い出のよすがとして、永遠にその役割を果たすという役目を担うのだろう。
車窓に映る悠の横顔には、何かを失ったという喪失感はまるで無かった。そこにあるのは、最高に大切なものを得たという満足感に満ちた笑顔、それだけであった。
ベルベットルーム。主のイゴール(CV:田の中勇)がいつものように悠を迎えるあいさつの言葉を述べる。そして悠のこれまでの戦いを旅に見立て、その旅程が実に有意義であったことを祝福する。
たくさんの大切な絆を築いた悠の行動を労うマーガレット。そしてその旅路はこれからも続くであろうことを告げ、イゴールとマーガレット、そしてベルベットルームは悠の意識から遠ざかって行く。それもまた、いつもと何ら変わらぬように……。
イゴール「では、行ってらっしゃいませ……」
おわり
終わった……。
美しい終わり方だったけど、原作ゲームをプレイした立場から言わせてもらうと、やはり物足りない。それは何故か? ここでネタバレになるのは避けたいが、このテレビアニメ版『ペルソナ4』の終わり方は実は最高の終わり方では無いのだ。ゲームでは真のエンディングというものがあり、実はここからさらにどんでん返しがあるという、ものすごい展開なのだ。
生田目が犯人と思わせておいて→足立→さらに「アメノサギリ」という大ボス登場→うわ〜すごい展開だ〜と思わせておいて、実はまだあるという……。この真のエンディングまで描けなかったのはアニメスタッフも忸怩たるものがあるのだろう、DVD版で思いっきり描き下ろしを増やした「ディレクターズカット版」として発売するらしい。前回の記事で書いた「映画」の噂はガセだったらしくって、その辺はちょっとガッカリ。
そちらではゲームで描かれていたマーガレットの秘密などもプラスされているらしいので、これはテレビ版を観た立場としても購入を考慮せざるを得ない気がする。
今回の話で印象深いのは、「アメノサギリ」の声を中尾隆聖さんが演じられていたこと。ゲーム版では足立役の真殿光昭さんがそのまま「アメノサギリ」役もやっていたのだけど、今回のはかなりハマっていて良かった気がする。真殿さんは本作中、一番幅のある演技をされていたと思う。あのキャベツしか取り柄が無いようなおちゃらけた駄目刑事が実は邪悪な真犯人だというギャップを、声の面で見事に演じ分けていたと思う。
今回悠が使用したペルソナ「イシス」は前々回マーガレットから受けたアルカナ・女帝の最強ペルソナ。そして「ルシファー」は同じく前々回築いたアルカナ・審判の最強ペルソナ(しかも6身合体)。実は他のペルソナにものすごいのが居るのだけど、それも「ディレクターズカット版」で出すため、ここではお預けなのかもしれない。
総論。個人的には、25話では短すぎた気がする。最後の戦闘が仲間のペルソナ覚醒も含めて駆け足過ぎた気が否めない。せめてあと2話ぐらいのスパンが欲しかった。ただ、だとして物語のどこを削れば良かったのかなど、うかつには言えない。どれも素晴らしい珠玉の出来だったと思うからだ。
つまり、もっと長いスパンでやってれば良かったんだ。4クールとかな。コミュの深い部分なんかもぜひ見たかったしね。悠の恋人設定とか、クリスマスイベントとか、愛家の看板娘の中村あいか(CV:悠木碧)の役どころとか、まだまだ見たかった部分はたくさんあった訳で。あいかなんて、1話丸ごと使って掘り下げる価値のあるキャラだと思う。
うん、まぁとりあえず「ディレクターズカット版」だよね。それを観るまで、ペルソナ熱は冷めそうにない。ゲームも出るし。ただゲームをするにはPS Vitaを持っていないのがネックなんだけどね。
今回も駆け足で書いたので、色々な間違いがきっとあると思う。気付き次第直していくつもりだし、拙いと思われる部分は出来るだけ直していきたいと思う。好きな作品の感想文なので、やはり幾ら手をかけても掛け過ぎるということはないと思う。これでもう書く機会が無いとなれば、なおさらだ。
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