『ペルソナ4』第23話「In Order to Find the Truth(真実を見つけること)」の感想

 恒例のテレビアニメ『ペルソナ4』を観ての感想文、今回は第23話「In Order to Find the Truth(真実を見つけること)」の感想を書きます。衝撃的な展開を迎えた前回。大切な家族を奪われた主人公・鳴上悠(なるかみ ゆう CV:浪川大輔)が取った行動とは……。



 今後のストーリーの根幹に関わる大きなネタバレは避けていますが、少しのネタバレも観たくない方は、閲覧にご注意下さい。


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『ペルソナ4』第22話「It's just like Heaven(天国みたいなところ)」の感想
 はこちらから。今回に限り必ずこちらを先に読んで下さい。


【原作ゲームを含む関連記事】

 堂島遼太郎(どうじま りょうたろう CV:石塚運昇)が集中治療室に辿りついた時、全ては終わりを告げ、室内は静まり返っていた。呆然とその場に立ち尽くす堂島。悠も声を出すことが出来ない。堂島の到着は間に合わなかったのだ。



 2度と開かれることのない菜々子(ななこ CV:神田朱未)の目。その傍らには、もはやその用を為さなくなった酸素吸入器が無造作に置かれていた。


 集中治療室の雰囲気、看護師の所作から菜々子に見舞った不幸を知ったのだろう、室外では花村陽介(はなむら ようすけ CV:森久保祥太郎)たち特別捜査隊の一同が涙を浮かべ、悲しみに沈んでいた。無表情で集中治療室から出て来る堂島。立ち止りも、振り向きもせずに何処かへと歩を進める。

 そこにまだ菜々子の不幸を知らない堂島の部下の足立透(あだち とおる CV:真殿光昭)がやって来る。堂島の、そして陽介たちの様子を見て、ようやく事態を把握した足立は、同時に堂島がどこへ向かって歩いていったのかを悟る。堂島は菜々子をこの様な目に遭わせた誘拐犯・生田目太郎(CV:服巻浩司)の元へと向かったのだ。

 生田目がこの病院内にいる!? そこに遅れて出てきた悠がその言葉を聞き逃すはずも無かった。巽完二(たつみ かんじ CV:関智一)がいつもの力技で足立を締め上げて詳しい事情を問う。

 生田目は逮捕後、この病院で治療を受けていた。その病室前で堂島が警察官に止められる。やはり彼は生田目に会いに……おそらくは復讐するためにそこにやって来ていた。

 警官を振り切って中に入ろうとする堂島。そこに追いついて来た足立が必死に堂島を止める。堂島自身も大怪我で安静が必要な身、頭を押さえて廊下に倒れてしまう。足立が警官たちに堂島を病室に運ぶよう命じる。

 そして足立も立場上は堂島を止めたが、本音は生田目を殺してやりたいと強い口調で述べ、堂島の後を追ってその場を立ち去る。図らずも生田目の部屋の前を警護する警官の姿が消えた。

 生田目に対して言ってやりたいことがあるのは、悠も同様だ。そして片思いだった小西早紀(こにし さき CV:なかせひな)を殺したとして生田目を恨む陽介も同じ気持ちだったろう。そんな皆の思いを、久慈川りせ(くじかわ りせ CV:釘宮理恵)が代表して叫ぶ。


 りせ「なんで生きてるのはアイツの方なの!?」


 そして生田目を警護する警官不在のこの好機を実際に活かすきっかけは室内からの異音だった。

 室内に飛び込んだ一同が見たものは、窓から逃亡を図ろうとする生田目の姿だった。菜々子を死なせただけでも許せないのに、責任回避に逃げ出そうとする生田目に一同の怒りが爆発する。

 だがその時、病室に置かれた大型テレビがひとりでに何かを映し出す。深夜0時、マヨナカテレビの時間だった。そこに映し出されたのは、何故か今ここに存在する生田目自身だった。



 映像内の生田目は今回の不幸の責任を、テレビの中に入れる行為→救済を妨害した悠たちに押し付け、悪罵を吐き出す。そして法律では自分を裁くことが出来ないと勝ち誇ったように告げる。確かにテレビの中の世界などといった言い分が裁判で通る訳も無く、生田目の異常性を見ても罪に問うことは難しそうだ。

 その映像の発言が本音だと判断した完二が目の前の生田目に凄むが、現実世界の生田目は要領を得ない弁解に終始する。その姿を見た陽介は、恐ろしい提案をする。法で裁けないのなら、自分たちで生田目を裁こうというのだ。

 その考え方に危険を感じた里中千枝(さとなか ちえ CV:堀江由衣)が慌てて制する。それは仇討ちという大義はあれど、殺人という行為に突き進むという意思でもあるからだ。

 だが彼らの中でも割れている意見に決着をつけんがばかりに、映像内の生田目は悠たちをさらに挑発する。その悪魔的な言葉はある意味復讐への甘言となり悠の憎しみの心を強く増幅する。

 映像の中の生田目は救済(という名の殺戮)を続けると言い残し、マヨナカテレビは途切れる。完二はもうその気で生田目ににじり寄る。止めるのはやはり女子の天城雪子(あまぎ ゆきこ CV:小清水亜美)だ。

 病室に大型テレビがあるというミスマッチに気付いた白鐘直斗(しろがね なおと CV:朴璐美)。さすが探偵の読みなのだが、直斗の言いたかったことは映像内の生田目に対する疑点では無く、たんに復讐するのに都合が良いという意味合いでの発言だった。

 「テレビの中に入ることが出来る生田目が、そこを使って逃げてしまうのもやむなし。ただし一度入れば二度と元の世界に戻って来ることが出来ない世界ではある」とわざとらしい注釈を付ける直斗。これはつまりテレビの中に生田目を突き落とし、自分たちの手を汚さずに生田目を始末すべきという直斗の提言だった。

 残酷な選択肢を示され、やはりその意見に反駁するのは女子のりせだった(直斗も女子なんだけど)。生田目をどう処遇するか激しく揉める仲間。生田目は映像の自分が言ったことは自分の意思では無いと弁解する。

 だがその態度が自己保身しか考えない身勝手な態度に思えた悠は、ついに行動に移る。生田目の病院着の襟元を掴み、テレビに向かって引きずり始めた。これは直斗の意見を容れたということなのか? 制止しようとする千枝とりせ。片や陽介は無言で事実上その行動を容認する。そしてなおも止めようとする千枝を逆に制し、関わりたくなければ部屋を出て行けと冷たく言い放つ。



 そして生田目の弁明に聞く耳を持たずにテレビの前まで連行した悠は、そのままテレビの表面に押し付ける。悠たち同様、テレビの中に入る能力を持つ生田目の身体はみるみるその中に埋没していく。


 その時、悠の心に、笑顔の菜々子の姿がよぎる。



 ……出来なかった。悠には生田目をテレビの中に突き落とすことが出来なかった。生田目を裁けなかった悠に対し、同じく憎しみで心を覆い尽くした陽介は納得しない。今このチャンスに生田目を断罪しないと、機会は二度と訪れないと悠に言う。生田目は確かに憎い菜々子の仇だが、それをやってしまうと生田目と同じことをしてしまうことになる。

 悠は改めて自分たちの目的を仲間に語りかける。


 悠 「俺たちの目的は、真実を知ることだ……」


 今の生田目の姿こそが真実だとなおも食い下がる陽介に、悠は違和感があることを述べる。そして激昂して自分の襟を掴む陽介に落ち着くよう促す。今この場では菜々子を失った悠よりも、生田目が小西早紀に言い寄っていたなどという言葉を足立から吹きこまれた陽介の方が明らかに冷静さを欠いていた。

 悠のその言葉は陽介だけでなく、他の皆の心にも理性を取り戻す役割を果たした。直斗は直接生田目からは何も真相にまつわる話を聞いていないことを思い出す。まだ生田目を許せない陽介に、千枝がさらに説得する。自分たちの気持ちがバラバラになってしまうことの愚を陽介に理解させようと、心からの思いを千枝は吐露する。

 雪子やりせもその意見に同意する。仲間たちの説得を受け、陽介もようやく平静を取り戻し、しぶしぶながらリーダーの悠に後事を託す。仇討ちに目が眩んでいては、真相を見逃してしまう恐れがある。真相を明らかにして、全てを知ること、それが今彼らが果たさねばならないことだった。


 改めて病院受付ロビーに場を移し、これまでの経緯を整理する一同。雪子も一連の事件については違和感があったことを語る。生田目が犯人だったとして、どうして最初の事件の犠牲者が愛人の山野 真由美(やまの まゆみ CV:甲斐田裕子)アナウンサーだったのかという違和感だ。

 狂人の脳内だけでしか理解できない「救済」のためではないかと、千枝や完二はあまり取り合わない事案だったが、警察事情に詳しい直斗は事情聴取時に生田目に不審な点は無かった旨を述べる。そして生田目に山野アナを殺害する動機がないことを、直斗は論理立てて説明する。

 しかし生田目が「救済」しようとする人物を書き記していた日記には、山野アナの名も書かれていた……。考えれば考えるほど分からなくなって来る。苛立った陽介は、ここまで話に加わっていないクマ(CV:山口勝平)に八つ当たり的に発言を求める。だがそこにクマの姿は無かった。色々な経緯があって気付かなかったが、生田目の部屋に突入する前からクマは彼らと行動を共にしてはいなかったのだ。

 その段になってようやくクマの不在に気付く一同。病院外に出てケータイで連絡を取ろうとする陽介だったが、繋がらない。先に帰ってしまったのだろうか?

 そこに奇声を発しながら、例の毒霧の噂を扇動するガスマスク男が走り抜けていく。深夜にも関わらず相変わらずデマをまき散らす迷惑な男の登場に、彼らの張りつめていた気が一気に抜ける。そこに降って来る雪が、寒い夜を一層寒く印象付ける。



 雪がその名の元となった雪子が最初に降雪に気付く。


 そのタイミングで、悠は皆に解散を告げる。菜々子を失って悲しみに打ちひしがれる悠だったが、気丈に振る舞う。皆に感謝の言葉を述べ、陽介にはクマのことを知らせてくれるよう頼む。

 陽介が去るのを合図に、メンバーは次々と家路につく。悠を一人にさせた方が良いとの判断も多分に含まれていただろう。

 全員を見送り、最後に雪の降る中に歩を進めた悠。その彼に、かつて熱を出した菜々子がワガママっぽく約束させた言葉がよぎる。


 菜々子「雪が降ったら、お兄ちゃんと雪ダルマ作る」




 まさにその雪が降っているのに、その約束は永遠に果たすことが出来ない。悠の瞳から、悔やんでも悔やみきれない後悔の涙が溢れ出す。

 そこに帰ったはずの陽介が現れた。無言で悠を見つめる陽介。その目に自らの気持ちを見透かされた思いの悠は、あの時生田目に復讐を果たさなかったことが果たして正しかったのかどうか分からなくなってしまう。

 失ったものの大きさに慟哭する悠。その目からは、後悔と逡巡と怒りと、そして言葉では言い表せない様々な感情が入り混じった涙が止めどなく溢れて来る。



 リーダーとして皆の前では無理をしてでも見せなかった自らの脆さを、相棒と認める陽介にだけは見せてしまった悠。その悠に対し陽介は無言のまま、雪の降る中その傍らに立って、悠の心が収まるまでその肩を貸すのだった。





 CMアイキャッチ。全てのパラメータが最大になった。



 長い一日が終わり、翌12月4日(日)。まだ雪が降りしきる中、再び病院の待合室に集った一同はまた思考の整理に取り掛かる。実際に誘拐されテレビに入れられた経験を持つ雪子が、生田目の「救済」が殺すということなら、自分たちは彼にとっては救えていないということになると語る。菜々子の死をマヨナカテレビに映った生田目の映像は「失敗」と断言していた。つまり生田目の目的は、殺すということでは無かったのではないかということが推察される。

 未だ連絡が取れないクマにメールを送り続けながら、陽介はその意見に留意を付ける。本気で菜々子たちを救おうと考えていたとしても、山野アナと小西早紀の2名は実際に命を落としているのだ。生田目以外に被害者をテレビの中に入れることが出来る人物がいない限り、その仮説は成り立たないという。

 そこで悠は、自らに届いた脅迫状に思いが至る。彼がずっと感じていた違和感は、その脅迫状に因があったらしい。最初の脅迫状の文面は「コレイジョウタスケルナ(これ以上助けるな)」。二通目は「コンドコソヤメナイト、ダイジナヒトガイレラレテ、コロサレルヨ(今度こそ止めないと、大事な人が入れられて、殺されるよ)」というものだった。

 りせがその文面と生田目の意思との齟齬に気付く。犯人が死=救済と捉えているとすれば、「殺されるよ」などという強迫めいた言い方をする訳がないということに。自分の意思でテレビの中に入れているのなら「入れられて、殺される」という表現も変だと完二が指摘する。自分の意思なら「入れて、殺す」となるはずだ。

 つまりその齟齬は、テレビの中に入れた実行犯と、脅迫状を悠に送り付けた人物が別人であるという可能性を強く示唆していた。テレビの中に入れるという特殊な能力、そしてそれが出来ることを知っている人物が複数いるとはまさか考えもしない盲点だった。ここはぜひ、真相を知る容疑者・生田目自身に話を聞かなければならない……



 生田目の病室を訪れた悠たち。生田目はやはり脅迫状については何も知らなかった。悠に脅迫状を送りつけていた人物は、生田目以外の誰かということになる。

 生田目に全てを話すよう要請する悠。テレビの中に入る能力を持つ者同士、悠たちなら生田目の荒唐無稽に思える話にも疑義なくついて行くことが可能だ。生田目は自分の話を信じて聞いてくれることに感謝し、進んで語り始める。


 生田目の話は大きく時期を遡る。8か月前の4月11日(月)。悠がちょうどこの稲葉市を訪れた頃の話だ。山野アナとの不倫関係が明るみに出た生田目は、マスコミから逃げるように実家の稲葉市に戻っていた。

 時刻が午前0時を差した瞬間、消したはずのテレビが砂嵐状になる。そしてそこに映し出されたのは、しばらく前から連絡が取れなくなっていた、不倫相手の山野アナの姿だった。何かに追われ、逃げる様な姿を見た生田目は、泥酔していた状態も手伝い、思わずテレビ画面に手を伸ばす。だが自らの手がテレビの中に埋没したのを見て、恐怖からその手を引いてしまい、その直後テレビは消えてしまう。不可思議な体験をした生田目は、翌日、不倫の件で市議会議員に呼び出され、秘書をクビになる。そしてその場に偶然流れていたテレビニュースで生田目は屋根の上のアンテナに死体を引っ掛けられるという猟奇的な山野アナの不審死を知る。

 前日観たマヨナカテレビから何かを感じた生田目は、翌日の深夜0時にもテレビを注視した。そこに映し出されたのは、2番目の犠牲者となる小西早紀だった。地元の人間として早紀が酒屋の娘だと知っていた生田目は、山野アナの二の舞を演じさせないよう、警告を発する。だが「マヨナカテレビに映ったら殺される」などという荒唐無稽な話を信じてもらうことは出来なかった(余談だが、足立が語っていた「生田目が早紀に言い寄っていた」という情報はこの時の2人の姿から来ていたのだろう)。

 そしてテレビの前で見守るしか出来ない生田目の目の前で、早紀も何者かに襲われ、命を落としてしまう。翌4月15日(金)、今度は電信柱に逆さ吊りとなった早紀の変わり果てた姿が発見される。テレビの中で殺された場合、アンテナや電線など、テレビ電波と関わりのある場所にあたかも猟奇的に吊るされた様な形で発見されることとなるらしい(ここが給水タンク横の柵に吊られていた諸岡金四郎(モロキン CV:龍谷修武)との違い)。

 助けることが出来なかったことを悔やんだ生田目は、3番目に映し出された人物(雪子)を説得することを諦め、無理やりにでも安全な場所に連れて行こうと決める。

 犯人の手が届かないところと生田目が考えた場所、それはテレビの中であった。彼はテレビの中に入れるうえ、誰か別の人物をもテレビの中に入れることが出来るという能力があった。狙われている人物は取りあえずそこに隠し、殺人犯からのほとぼりが冷めればまたそこから出せばよいと短絡的に考えたのだ。



 山野アナを失い、不可思議な体験も相まって、その段階で生田目自身も精神に変調を来たしていた。とはいえ、その後の行動は飽くまでもマヨナカテレビに映った人物を助けたいという一心からのものだった。


 議員秘書としての仕事を失った生田目は、家業の運送業を務めていた。その立場を利用して、マヨナカテレビに映った雪子、完二、りせ、直斗を次々と誘拐し、テレビの中に入れて来た。回を重ねて行くうちに、テレビに入れて救うという「救済」は自分にしか出来ない崇高な使命だと思い始めていた。そして11月4日(日)、テレビに映し出されたのが、何度か荷物の配送で顔見知りとなっていた、堂島家の少女、菜々子だったのだ。


 だが菜々子を助けようとテレビの中に入れ、自身もテレビの中に入った時、初めて自分の行為に錯誤があったことに気付いた。入ったは良いが、テレビの中からは自力では出る方法が無いということに気付いたのだ。

 テレビの中に入れてしまえば犠牲者候補の人物が助けられると生田目が誤解したのも無理は無い。実際は悠たちの活躍によって救われていた訳だが、生田目はそこまでは知らなかったからだ。とにかく生田目の「救済」以降は犠牲者が出なかった訳で、テレビの中で雪子たちを見た生田目が「自分が救ってやった奴ら」と言ったのもそれが理由だったのだろう。


 生田目は思い違いを犯していた。だが、同時に彼は真犯人では無かったのだ……。



 その頃、悠たちの前から姿を消したクマは、霧に覆われた街中に佇んでいた。何かに気付いたというクマは、自分がこれ以上ここに居ることは出来ないと寂しそうに語る。そして悠やみんな、そして菜々子に別れを告げ、クマは霧の中に姿を消してしまう。




 そして、病院地下の霊安室。安置されているのは、菜々子の亡骸だった。そこにクマの最後のあいさつが響く。すると、あたかもクマが去って行ったのと引き換えであるかのように、菜々子の身に奇跡が起こる!



 呼び出されたであろう悠たちが到着した時、息を吹き返した菜々子は、集中治療室に戻されていた。菜々子の意識は未だ戻ってはいないが、取り付けられた生命維持装置が数値を刻み、菜々子が生きていることを証明していた。菜々子の横に呆然と立っていた堂島は、悠の到着で気が抜けたのか、その胸にすがりついてこの奇跡に男泣きにむせび泣く。かけがえのない一人娘の菜々子が生きていたのだ。その態度も当然の反応だろう。同じく奇跡を喜ぶ千枝や雪子も涙を流して抱き合う。喜ぶ一同の中で、陽介はこの喜びを伝えたい仲間のクマが今ここにいないことを、軽口を叩いてけなす。



 菜々子が生きていた! それは悠にとっても最高の吉報であっただろう。雪が降り積もる夜、悠は新調したコタツに入って幸せそうにうたた寝する。握りしめたケータイが、メール着信を告げて発光していたが、悠はそれに気付かないほど熟睡していた。想像だが菜々子を失ったと思われた昨晩は一睡も出来なかったのだと思われる。



 おそらく菜々子の蘇生を聞きつけて、悠の知り合い一同がおめでとうのメールを送って来ているのだろう。一番上の「エビ」はエビジョンイルこと、海老原あい(えびはら あい CV:伊藤かな恵)。陽介から3件届いているのは、クマ絡みの連絡だろうか?


 眠る悠が訪れる先は、あの意識下の空間、ベルベットルームだった。いつもはエピソード冒頭に訪れるベルベットルームだが、今回はこのタイミング。悠の旅路が残り少ないことを、主のイゴール(CV:田の中勇)が告げる。そしてこの機会に、これまでの旅路を振り返るよう促す。

 これまで悠が築いた心の絆、コミュで獲得したタロットのアルカナを示しつつ、真実を追う仲間たちとの絆「審判(ジャッジメント)」のタロットを運命の書に落とし込むイゴールの助手・マーガレット(CV:大原さやか)。



 「審判(ジャッジメント)」のアルカナ。悠が最初に持っていた「愚者(フール)」と並んで、特別捜査隊の仲間たちとの間に築かれるコミュ。物語が真相に向けて進んでいる時に、このコミュは獲得される。



 そしてこれほどまでの絆を獲得した悠に、さらにもう一人、絆を築いた人物がいた。それは目の前に居る、マーガレットその人であった。悠の旅路の始めから、ずっと悠を見つめ興味を抱き続けて来たマーガレットは、その絆として「女帝(エンプレス)」のアルカナを提示し、悠に最後の力を授ける。



 そこでベルベットルームを体現するリムジンがストップする(そういえばここって車の中だったよね)。それは悠自身も今一度立ち止まって身の周りを確認することを暗示しているとイゴールは忠言する。


 翌12月5日(月)。まだ雪が降る中、病院に堂島を見舞う悠。それは叔父であり刑事である堂島に、調べなければならないことへの協力を依頼する目的を兼ねていた。本来の事件とは別件であることが明らかになっている久保美津雄(くぼ みつお CV:高橋剛)の件の詳細を教えて欲しいという依頼だった。その情報を何に使うのかを問われても、悠は答えない。だが菜々子を助けてもらったことで甥に対する信頼は絶大となっている堂島は、それ以上何も聞かず悠に協力することを約束する。


 そして仲間と事件の進展について協議するため、行きつけの中華料理店・愛家に集う。悠の前に、あの雨の日限定の脅威のスペシャル肉丼を置く看板娘の中村あいか(CV:悠木碧)。妹、つまり菜々子が助かったことに対する店側のお祝いのサービスらしい。と言って、完食しなかったらまた3000円平気で請求して来そうな気もするが(原作ゲームでは伝達力以外のパラメータMAX時は無料になる)。



 可愛い顔して結構な守銭奴のあいか。


 仲間は新情報を得ようと歩き回ったが、めぼしい進展は無かったらしい。直斗は精神を集中するため、頭を冷やそうと冬の寒空に出て行く。そこに悠の「ごちそうさま」の言葉が。あの誰も食べ切れなかったスペシャル肉丼を、ついに完食することに成功してしまう! パラメータ全MAXだからこそ成し遂げることが出来る金字塔だ(本当はMAXじゃなくても完食は可)。

 仲間たちが驚く中、悠の敢闘を称えてあいかがブイサインを贈る。笑顔でその祝福を受ける悠。冷静に考えれば、単に大食いになっただけなのだが、人間として何か成長したように見えるのは何故だろうか?

 そして直斗同様、外に出て頭を冷やすと言い残し、悠も店外へ。何故か着いて来た陽介を合わせ、3人で雪が降る店先で条件が合致する人物を推理する。

 条件の合致、それは山野アナと小西早紀の2人と接点があり、悠たちの行動もある程度知り得る立場にあり、さらに悠の自宅に怪しまれずに近付け、脅迫状を直接投函することが出来る人物……。


 悠 「全ての条件を満たす人物……」


 しばらく考え続けた悠の脳裏に、ある人物が浮かび上がる。それはあまりにも意外な人物なのだが、他にその条件に合致する人物はあり得ないのだ。どんなに怪しくない人物であったとしても、それが出来る人物が一人しかいないのなら、その人物が犯人であるという法則(シャーロック・ホームズの唱えた法則だが)から、それはその人物でしかあり得ない! 果たして悠の思い浮かんだその人物の正体とは!? そしてその動機は!? 事件は風雲急を告げ、次回へと続く。



 以下、次回!



 とにかく、菜々子が助かって良かった、それに尽きる今回の感想であった。前回の終わり方があまりにショックで、あり得ないと思いつつもバッド絡みの展開になってしまうのではと不安になった。ただ今回、菜々子の身代わりになるかのような消え方をしたクマが気に掛かるが……。

 ちなみに生田目を自分の手で裁くかどうかは、実は原作ゲームにもある選択肢。あなたがこの段階での悠の立場だった場合、果たして生田目を赦しただろうか? 赦すことが出来ただろうか? その辺も考えながら今回の話は観て欲しい気がする。

 あと菜々子と生田目が顔見知りなのは21話で描かれていたが、それ以前にも14話で黒田ひさ乃(CV:谷育子)の捨てた櫛を取り戻すため、悠が時価ネットたなかで通販購入した「爆釣セット」を届けに来ていたのも実は生田目。本作では雪子や完二、りせが失踪する直前にその自宅近辺に生田目のトラックがさりげなく背景に描かれているなど、非常に細かい伏線が張られている。観ることが出来る方はぜひ観返してみよう。


 それから前から気になっていた女帝コミュ、ついに今回マーガレットから獲得したね。原作ゲームではマーガレットのお願いを幾つか聞くという仕事をこなさないといけないコミュだったので表現が難しいと思っていたんだけど、このタイミングで持って来るとは……。審判のアルカナと合わせ、今回は2つのコミュを築くことが出来た。



 女帝(左)と審判(右)のタロットカード。


 実は最後の最後で最後のコミュを獲得することとなるのだが(分かりづらい表現でスマンが)、それはまだ秘密にしておこう。コミュがあること自体を隠しても良かったのだけど、最近このブログを監視する通りすがりさんに突っ込まれても困るので、これだけは明かしておく。


 次回でこの長かった連続殺人事件の真犯人が明らかになる(たぶん。次回予告は当然だけど、誰だか分からないようにしてるから)。原作ゲームをプレイしていない方は、ワクワクしながら真犯人を推理してみて欲しい。知ってる人はもちろんネタバレ禁止でお願いします。絶対にバラしてはいけませんよ。これは上島竜兵的なネタフリじゃなく、本当にバラさないように。

 そして……これはまだ内緒。うわ〜、私自身がバラしたくて仕方がない(笑)。今にもバラしてしまいそうだ。早く次回の放映日が来て欲しい。



【再々追記】
 ↓次回サブタイトルを正確なものに書き直しました。とおりすがりさん、ご指摘ありがとうございます。



 次回「The World is Full of Shit(世の中クソだな)」に続く。



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