『ペルソナ4』第22話「It's just like Heaven(天国みたいなところ)」の感想

 震災関連の記事は次の更新時に書きたいと思います。


 恒例のテレビアニメ『ペルソナ4』を観ての感想文、今回は第22話「It's just like Heaven(天国みたいなところ)」の感想を書きます。今回はとても辛い展開のうえ、ネタバレの恐れもあるので敢えて本編の感想文以外の描写は避けます。ご了承下さい。



 今後のストーリーの根幹に関わる大きなネタバレは避けていますが、少しのネタバレも観たくない方は、閲覧にご注意下さい。


  • 前回の

『ペルソナ4』第21話「DON'T SAVE ANYONE ANYMORE(コレイジョウタスケルナ)」の感想
 はこちらから。今回の話の前編です。


【原作ゲームを含む関連記事】

 主人公・鳴上悠(なるかみ ゆう CV:浪川大輔)が夢の中で訪れる意識下の空間、ベルベットルーム。主(あるじ)のイゴール(CV:田の中勇)と助手のマーガレット(CV:大原さやか)に迎えられる。

 悠の運命の行く先が果たしてどの方向へと向かうのか? マーガレットが興味深げに語る。それを受けてイゴールは悠に「占いを信じるか?」と問いかける。そして彼の前の丸テーブルにタロットカードを並べ始める。並んだタロットの1枚を表がえしつつ、マーガレットは悠の運命を今まさに確認する。果たしてそのタロットに表示された悠の運命は……?




  オープニング



 日付変わって、11月6日(日)。テレビの中に入れられた悠のいとこの菜々子(ななこ CV:神田朱未)を救うべくジュネスのテレビを使ってこちら側にやって来た悠たち特別捜査隊。いや、今は菜々子救出隊と呼ぶべきか。

 これまでのテレビの中の世界と違い、とてもキレイな花咲く空間にやや気圧される里中千枝(さとなか ちえ CV:堀江由衣)。そこは久慈川りせ(くじかわ りせ CV:釘宮理恵)が思わず「まるで天国みたい」とつぶやいてしまうほど、落ち着いた美しい場所だった。

 そこに菜々子の声が響いてくる。母を想い、母に逢いたいと涙声で話す菜々子。そして天国の様な空間と合わせて考え、悠たちは合点がいった。ここは菜々子の心の中の世界なのだ。かつて母は天国に居て、逢うには天国に行くしかないという話をしていたから。

 母との想い出や母に逢いたいという気持ちは菜々子の心に抑圧されている感情だが、まだ幼い菜々子にはドロドロした感情が無く、それ故にただ美しい世界のみが現出されたのだろう。悠は菜々子を思い、彼女が手作りしてくれたビーズ製の指輪を見る。

 その時天城雪子(あまぎ ゆきこ CV:小清水亜美)が何かに気付いた。雪子が指示する方向を見ると、空間の先を逃げる生田目太郎(CV:服巻浩司)と、手を引かれて連れられて行く菜々子を発見する。急いで後を追う悠たち。ついに階段の終わりで生田目を追いつめる。だが生田目は菜々子を盾にして、これ以上悠たちが近づくことを拒む。

 だが自らの名前を呼ぶ白鐘直斗(しろがね なおと CV:朴璐美)、そしてその後ろに続く雪子やりせ、巽完二(たつみ かんじ CV:関智一)の姿を見た生田目は狂気が滲む笑い声を上げながら、自分が「救ってやった奴ら」と呼ぶ。いずれも連続して誘拐され、テレビに入れられた被害者でもある。やはり一連の犯行は生田目の仕業か。

 生田目の頭の中の狂気の世界では、テレビに入れることでその人物を救済することになるらしい。同じく菜々子も自分が救うと言う生田目だったが、他人には全く理解できない理屈で動く生田目の好きにさせる訳には行かない。菜々子を返してもらうと前に進み出る悠だったが、生田目は菜々子を抱きかかえたまま奥に逃げる。だがそこもやがて行き止まりになる。

 うろたえる生田目に、改めて言葉を掛ける直斗。質問により一連の犯行は生田目自身によるものという言質を取る。マヨナカテレビは自分に助けを求める合図だと語る生田目。テレビの中で本当の自分を認めることにはなった雪子たちだが、それはあくまでも結果論であって、シャドウに対峙する能力が無ければ、山野 真由美(やまの まゆみ CV:甲斐田裕子)アナウンサーや花村陽介(はなむら ようすけ CV:森久保祥太郎)の想い人・小西早紀(こにし さき CV:なかせひな)の様に殺されていたかもしれないのだ。生田目の勝手な言い分に憤慨する雪子。

 そうすると一転して非を認め謝る生田目。支離滅裂で一貫しない思考も正常では無い証だ。生田目の行為はただの人殺しだと、早紀を殺されたことで生田目を恨んでいる陽介が怒鳴る。だが狂気に支配された生田目は、菜々子を殺しに来たのはお前たちだと悠たちに食ってかかる。

 そして乱暴に菜々子を担ぎあげ、自らを人類を救う救世主と僭称(せんしょう)する。その歪んだ心から、どす黒い心の内が湧き出し、自身と菜々子を包み込んでいく。菜々子を救おうとする悠だったが、生田目はものすごい勢いで辺りのシャドウを吸収し始め、その風圧で近づくことが出来ない。

 そうしているうちに、生田目は菜々子を掴んだまま別の姿に変容して天高く舞い上がってしまう。悠は直斗の制止も聞かず、生田目だったもの「クニノサギリ」に向かっていくが、「クニノサギリ」はその悠に攻撃を開始する。炎の爆発が悠を襲うが、悠は火炎吸収の能力を持つペルソナ「サトゥルヌス」を召喚してかわす。冷静を欠いた様でいて、キチンと属性魔法に思いが至っている。



 ペルソナ「サトゥルヌス」(星・レベル75)。星ペルソナで2番目に強いペルソナ。見た目通り火炎属性に強い。


 だが「クニノサギリ」が二本の指を前に出した途端、悠の動きが止まる。りせがペルソナ「ヒミコ」の能力でその怪しい攻撃を分析するが、詳細は不明だ。



 シャドウ名「クニノサギリ」


 動かなくなった悠。陽介の問いかけにゆっくりこちらを振り返るが、それは彼の意思では無かった。悠は仲間に退避するよう、やっとの口調で語るが、前後して「サトゥルヌス」の火炎攻撃が仲間を襲う。悠は敵に操られているのだ!

 火炎の効かないに耐性を持つ雪子のペルソナ「コノハナサクヤ」を盾にして直撃をかわす仲間たち。千枝なんかは火炎が弱点だから喰らっていたら危なかった。まだ事態を把握していない完二がペルソナ「タケミカヅチ」を突進させるが、悠は自らの意思と関係なくペルソナチェンジする。新たなペルソナ「アラハバキ」はその「タケミカヅチ」の攻撃を跳ね返す。



 物理攻撃を反射する「アラハバキ」(隠者・レベル73)。操られている割に、召喚するペルソナも的確だ。


 りせの再度の分析で、悠が頭の上に付けられたアンテナ状の物体で操られていることが判明する。さらにペルソナチェンジする悠。今度は運命のペルソナ「アトロポス」(運命・レベル65)だ。人の生涯の長さを決めるという伝説のハサミで「アトロポス」が糸を切ると、疾風属性の魔法が一行に襲いかかる。

 ただ一人疾風属性無効に耐性を持つ陽介のペルソナ「ジライヤ」が悠を止めに向かうがそれよりも早く悠はペルソナチェンジしてしまう。現れた「タムリン」(太陽・レベル53)は陽介が苦手な電撃攻撃を起こし、撃退してしまう。

 仲間の全ての攻撃をかわし、かつ苦手とする属性攻撃にも長ける悠のペルソナを相手にして、敵に回した時の恐ろしさを実感する完二。しかし悠の能力はまだまだこんなものでは無かった。りせが次にチェンジするペルソナを分析して悲鳴を上げる。かつて見たおっきいハエ、蝿の王「ベルゼブブ」(悪魔・レベル81)の再臨だ!

 以前直斗の心の中が具現化した世界「秘密結社ラボ」の建物を吹き飛ばした化け物級のペルソナが現れ、またも同じ技「メギドラオン」で仲間を攻撃しようとしていた。ちなみに「メギドラオン」は万能属性の魔法で、どんな能力を持ってしてもそのダメージを軽減することは出来ない。

 「クニノサギリ」に操られながら、必死でその呪縛から逃れようとする悠。だが「ベルゼブブ」は止まらない。これまでかと思われたその時、何故か悠の右腕が少し自由になり、「ベルゼブブ」の動きも止まった。右手に付けていた菜々子がくれた指輪が奇跡を起こしたのかもしれない。

 その隙を突いて、千枝の「トモエ」が蝿の王を地面に叩き落とす。そこに「タケミカヅチ」の攻撃でとどめを刺す。ペルソナの受けたダメージは本人も受けてしまう法則により悠は痛みに顔をしかめるが、この場合他に方策は無かった。

 最強の敵となっていた悠の邪魔は無くなった。直斗の「スクナヒコナ」が「クニノサギリ」の手を攻撃して、その手に掴んでいる菜々子を救出しようとする。だが「クニノサギリ」は攻撃を返し、直斗本人を近くに寄せ付けない。菜々子を持つ手を攻撃した分、今にも菜々子は落ちてしまいそうだ。悠は自由が利くようになった右手で頭上のアンテナを掴む。高熱を発しているのか、アンテナは煙を上げて悠の手を焦がす。苦痛にうめきながらも、悠はそのアンテナを自力で取り払い叩き潰すことに成功した。

 身体の自由を取り戻した悠は、即座に菜々子の元に向かって疾駆する。途上、アンテナの高熱のせいで指輪のテグスが切れ、ビーズが飛び散る。ビーズ玉の落下に合わせるかのように、「クニノサギリ」の手から落下する菜々子。悠は間に合うのか!?



 菜々子が目を開く。そこにはいつも菜々子を助けてくれる優しいお兄ちゃんの笑顔があった。悠は菜々子救出に間にあったのだ。



 だが闘いはまだ終わってはいなかった。「クニノサギリ」がしつこく菜々子を求めて接近して来る。成り行きを見つめていた陽介たちは軒並みアンテナを付けられてしまい、自由が利かなくなってしまう。操られた彼らは一斉に悠に攻撃の手を向ける。菜々子を抱え、右手は焼けただれた状態の悠にはその攻撃に対抗する手段は無い。

 震える腕を誰かが掴む。そして菜々子を頼むという声。それは、悠に菜々子救出を託した叔父・堂島遼太郎(どうじま りょうたろう CV:石塚運昇)のものだった。その腕の力を借り、悠は目の前で4枚のタロットを出し、何かを召喚しようとする。



 りせ「先輩、逃げて!!」


 非戦闘型ペルソナのため、唯一「クニノサギリ」の操り攻撃から逃れていたりせが絶叫する中、悠を中心に辺りは閃光に包まれる。


 閃光と爆煙が去った後、その場には金色(こんじき)に輝く龍に守られた悠と菜々子の姿が。法王最強のペルソナ「コウリュウ」だ(さっきの4枚のタロットは4身合体の表現。以前の「ベルゼブブ」は6身合体)。



 ペルソナ「コウリュウ」(法王・レベル76)。まさに堂島の化身。


 操られたままの陽介たち仲間の攻撃を受ける「コウリュウ」。だが「コウリュウ」は意に介さず、逆に彼らを操るアンテナを簡単に破壊する。自由を取り戻した陽介たち。これで何者にも邪魔されること無く思う存分、本来の敵と闘うことが出来る。

 悠と菜々子を守り、仲間たちを呪縛から解き放つと同時に「コウリュウ」は、その役目を終えたとばかりに姿を消す。これは悠のペルソナであったと同時に、菜々子を思う堂島の意思が結晶したものだったと思える。「コウリュウ」の法王アルカナは堂島との絆で築かれるコミュだからだ。それは「コウリュウ」の去り際、菜々子が父の存在を感じていたことからも窺える。


 「クニノサギリ」は「コウリュウ」の加護を失った悠、そして菜々子に突進する。だがそれを黙って見逃す仲間では無い。直斗が、陽介が、雪子が、完二が、千枝が、そしてりせに促されたクマ(CV:山口勝平)が、見事に連携の取れた攻撃で「クニノサギリ」を粉砕する。


 「クニノサギリ」は倒せたものの、生田目がその体内に取り込んでいたシャドウが一斉に溢れ出す。その暴走は留まるところを知らず、悠たちはまたも危機に陥ってしまう。だがその時、弱々しく悠の手を掴む小さい手。菜々子が悠に笑いかけたその時、悠の元に菜々子のアルカナ・正義のタロットが降りて来る。




 それを発動させる悠。すると最強の正義のペルソナ「スラオシャ」が現れ、周囲を一気に浄化してしまう。暴走していたシャドウは悉く光に包まれ、消滅して行く。



 ペルソナ「スラオシャ」(正義・レベル74)。菜々子とのコミュで得られる最強のペルソナ。それだけあって、その能力も圧倒的だ。


 気が付いた時には辺りは清浄な空間に戻っていた。だが菜々子の意識が無くなってしまう。何度も菜々子の名を呼ぶ悠だったが、菜々子は目覚めない。この世界の住人のクマが言うには、この世界が菜々子には良くないらしい。大人の彼らでも初めてテレビの中を訪れた時は激しく消耗してしまうほど過酷な環境だった。まして菜々子は幼い上、風邪もまだ完治してはいない。また一人ぼっちで生田目という狂気の男と対峙しなければならなかった訳で、怖い思いをしたというストレスもあっただろう。その小さな身体に受けたダメージは如何ほどのものか測り知れない。一刻も早くこの世界を脱出した方が良いと判断する悠たち。



 CMアイキャッチ。「根気」が最大のタフガイになっている。RPGのパラメータと違い、人間としての成長を測るこのステータス。あと知識が1段階上がればこのステータスも全ての要素で最大の値に達することになる。



 救出した菜々子をすぐに病院に入院させた悠たち。ICU=集中治療室に搬送された菜々子に対し、室外で不安げに待機する。みんながみんな、菜々子を無事に救出できなかったことを悔やんでいた。直斗は前回の悠に対して抱いた負い目も含め、菜々子救出よりも生田目の動機など謎の解明を優先させたことを恥じ、自分を責める。

 だがそれを完二が制する。勇気づける完二にようやく笑みを取り戻した直斗に、さらに悠が感謝の言葉をかける。


 悠「ありがとう。直斗が居てくれてよかった……」


 そして捜査隊の中でもムードメーカーの陽介が陽気に振る舞い、一同の気持ちを明るい方向に持って行く。軽口も出始め、不安を押し隠しつつも明るいムードが戻って来た。ただ一人、クマを除いては……。



 物憂げなクマ。いつもは陽介と並んでムードメーカーな彼がこの表情とは……?



 そしてしばらく日は飛んで、半月後の11月21日(月)。登校する悠たち2年生組。霧がいつもより濃く立ち込めていることを不審がる千枝。ケータイでニュースを見ていた陽介が生田目の記事を見つけた。生田目はこの日に意識を取り戻し、警察の取り調べにも素直に応じ、罪も認めているらしい。

 それを読んで、今度こそ事件の終焉を迎えたことに感慨深くなる一同。悠からもたらされた菜々子への面会解禁の話を聞かされ、1年生組も含めて今日の放課後、全員でお見舞いに行くことを決定する。菜々子の体調も回復傾向にあるらしく、その朗報にはみんなが大喜びだ。

 その場に直斗が居ないことに気付いた陽介。りせが言うには、誘おうとしたが教室にはいなかったという。悠は何か心当たりがあったのか、図書室で何か調べ物をしている直斗を見つける。

 話すために中庭の連絡路に場を移す2人。菜々子の面会の話を聞き、直斗も喜ぶ。調べ物をしていた直斗、それはまだ事件が終わったという実感が無いという気持ちがそうさせたらしいが、探偵はそういう思いを持ってしまうものなのだろうか。職業病のようなものなのかもしれない。

 その態度を直斗らしいと感心する悠。直斗は半月前に病院で悠から掛けられた「直斗が居てくれてよかった……」という言葉が忘れられなかった。自分を仲間と認めてくれて、必要としてくれた悠に対し、感謝と、そして何か別の感情が芽生えていた。



 その感情を悠に悟られやしないかと慌てた直斗はその場を立ち去ろうとするが、去る方向がおかしいと悠に窘められる。自分のミスを取り繕おうと言い訳するが、それがさらにドツボに嵌ってしまう直斗




 クールな探偵王子も、悠に掛かれば型なしだ。この辺の一連の直斗のごまかし失敗シーンはシリアスな佳境に入った本作において、オアシス的な微笑ましいシーン。直斗の動揺が理解できない悠の朴念仁ぶりもやはり変わらない。番長はあらゆる場面で完璧超人なのだが、女性の心の機微だけは分かってない。そこが良いという意見もあるが。


 放課後、病院で菜々子を見舞う悠たち。菜々子は会話も出来るようになり、かなり元気を取り戻したように見える。生田目を追跡した時の自動車事故で負傷した堂島もこの病院に入院しており、悠と共に菜々子の部屋にやって来ていた。だが実は堂島自身も絶対安静で動いてはいけないと、探しに来た看護師に叱られる。そして意に反して部下の足立透(あだち とおる CV:真殿光昭)に車椅子を押され、慌ただしく部屋から退場させられる。

 自分を呼ぶ菜々子の頭を、いつものように優しく撫でてあげる悠。菜々子は嬉しそうにその愛情を受ける。



 菜々子「よかった……」


 全てが順調に収束して行くかに見えた。



 面会を終え、病院の待合室で足立の話を聞く一同。生田目の件に関して新事実が色々と出て来ているという。部外者に話してはもちろんいけない話だが、足立はいつもの軽口でぺらぺらと話してしまう。山野アナを愛人にしていた件はみんな知っていたが、第2の被害者の小西早紀にも言い寄っていたと語る足立。それを聞いて早紀を好きだった陽介の心にどす黒いものが湧き起こる。生田目を許せないと思う気持ちは、このメンバーでも陽介が最も強いだろう。

 陽介を怒らせたことに気付いた足立は慌てて立ち去ってしまう。陽介を千枝が気遣う。怒りを見せてしまったことを詫び、明るく振る舞う陽介を見て安心する悠だったが、足立の軽口によって彼の心に憎悪の種が蒔かれてしまったことは疑いない。


 病院からの帰り道、朝から立ち込める霧に関して噂し合う主婦たちに出会する。霧に有毒物質が含まれているのではという噂が出回っているらしい。そういえばそれを調査するために議員もやって来ていたし。

 そこにガスマスクを付けた男が現れ、この霧は毒ガスだから逃げろと扇動し始める。科学的根拠も無いのに噂を信じてしまった極端な例だが、得体の知れない霧に不安を感じている人は確実に増えていると語る直斗



 この霧が不可思議な現象なのは確かだ。テレビの中の霧の様だと言う雪子の言を受け、試しにメガネをかけてみた完二が騒ぎ出す。メガネをかけると霧が邪魔にならず、風景がハッキリと見えるのだ。これは即ち、ここに立ち込める霧とテレビの中の霧とは同質だという証左でもある。


 千枝「あっちの霧がこっちに漏れてるのかな?」


 その言葉にハッとなる一同。以前もあったが、またも千枝の考えなしの発言が核心を突いていたという例だった。論理的な直斗や悠の思考よりも、千枝の直感が勝ることはこの物語では何故かよくある。千枝の好きな某格闘家も「考えるな、感じるんだ」と言ってる訳だし。

 ただ事件は終わったはずで、テレビの中で出来ることはもはや無いはずなのだ。それ以上どうすれば良いかという策は思いつかない。不可思議な現象ながら、今のところこの霧に関しては放置するより他は無い。



 時間はさらに飛んで、月跨ぎの12月3日(土)。中華料理店・愛家にて霧に関して相談する捜査隊。あっちの世界の住人であるクマに説明を求めるが、よく分からないという。事件の主犯、生田目に対する事情聴取もあまり進展が無いらしい。

 クマは突然、自分はここに居てもいいのかを皆に問う。あっちの世界をおかしくする犯人を見つけるという、最初にクマと悠とでかわした約束は果たされた。つまりその約束が履行された以上、自分はもう帰らなければならないのではないかと悩んでいたのだ。菜々子が心配なクマは、まだ帰りたくないと寂しげに言う。病院で一人元気が無かったのも、そのせいだったのだ。

 だがクマを仲間だと思う悠たちはクマが居ることに何の異存も無い。むしろクマは仲間として、もはや無くてはならない存在となっているだろう。ここに居ろと悠に言われ、クマの表情にようやく明るい笑みが戻って来る。



 今回も変則的エンディング。余談だが、クマに「ここに居ろ」と言ったのは悠だったが、本当にそれを言う権利があるのはクマを居候させている陽介だっただろう。


 りせがその言葉に便乗して、寒い冬を悠の家で暮らすなどと言い出す。恋のライバル的なジト目線でその様を見ながら、最近の寒さに言及する千枝。霧が深くなるにつれ、稲葉市では寒さも増しているらしい。その言葉を聞き、悠は以前菜々子と交わしていた約束を思い出す。故障したコタツを新調するという約束だ。

 ジュネスに移り、コタツを物色する悠。ジュネス王子の陽介には値引きしてもらうつもりなのだろう。冬のコタツの魅力を語りながら楽しげにショッピングする一行だった。そこに紙袋を提げてやって来る完二。彼は退院した菜々子と一緒に編みぐるみを作るつもりで、菜々子に似合うピンク色の毛糸を購入して来ていた。それを見て雪子は菜々子へのクリスマスプレゼントの下見をしようと提案する。


 悠 「コタツじゃダメか?」
 女性陣「ダメッ!!」


 菜々子が退院したら悠の家でパーティーをしようと提案する陽介。女性陣はここぞとばかりに料理に腕をふるいたがるが、彼女たちの腕前がクソなのは何度も体験している陽介が即座に却下する。そのパーティーには病み上がりの菜々子も参加する訳だし、陽介の判断は賢明だろう。



 何度も失敗しているのに未だに懲りてない千枝とりせ。この根拠のない自信は一体どこからやって来るのだろうか? 陽介の止め方が漫画的表現。


 そこで悠のケータイが鳴る。それは足立からの電話だった。足立は自分自身も慌てつつ、極力落ち着かせようと努めて話す。それは、入院中の菜々子の容体が急変したという連絡だった!


 急いで病院に駆けつける悠。陽介たちが見守る中、家族として集中治療室に入る。菜々子の命の灯は、まさに尽きかけていた。悠の姿もおぼろげにしか認識できなくなっていた菜々子の手を取り、悠は必死で呼びかける。同じく急変の知らせを聞いた堂島も、松葉杖をつきながら集中治療室を目指していた。その父ももうすぐここに駆けつけると、悠は菜々子を励まし続ける。




 コタツの話、そして雪だるまの話。これまで菜々子と約束していた他愛のない日常の話をして菜々子をこちらの世界に繋ぎとめようとする悠。自分との約束を守るために菜々子が生きる気力を取り戻してくれるという一縷の期待を込めて。


 お兄ちゃんに手を握ってもらいながらも、何かを感じたのだろう。菜々子は怖いと言う。だんだん悠の顔が見えなくなっていく。最後に父の名を呼び、菜々子は静かに瞳を閉じる。

…………
………
……



 そして、菜々子に繋がっていた生命維持の機器が、無情にも悲しいビープ音を響かせた。



 以下、次回!



 次回「In Order to Find the Truth(真実を見つけること)」に続く。



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