『イナズマイレブンGO』第37話「硝子細工の天才」の感想 【太陽くんはキャプ翼で言うところの三杉淳?】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGO』第37話「硝子細工の天才」を観ての感想を書く。親友のキーパー転身への悩み、そしてもう一人の親友の真実に触れる松風天馬(CV:寺崎裕香)の思いが描かれた回。嬉しい思いと悲しい思いが混濁する天馬の心境やいかに?



 当ブログは、『イナズマイレブンGO』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


 前回のアニメ『イナズマイレブンGO』の感想は、

 をご覧ください。


 それ以外の『イナズマイレブンGO』の記事は、ここをクリック。


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 なお、『イナズマイレブンGO』をよく知らない方のために登場人物紹介のページを設けました。順次更新していきますので、目を通していただくとキャラクターのことが分かり易くなります。さらっとウソ情報が散りばめられていますので、あまり信用しないで、軽い感じで読んで下さい。

 その日も次の対戦相手、新雲学園戦に向けての熱の入った練習を続ける雷門中学サッカー部。ただ先輩キーパー、三国太一(CV:佐藤健輔)から自分の後継者に見こまれ、キーパーへのポジションチェンジを示唆された西園信助(CV:戸松遥)だけは今後の身の振り方に関して悩みを抱いていた。

 そこに幼馴染みの空野葵(CV:北原沙弥香)から事情を聞いた天馬が声を掛ける。元気の無い信助を励ます天馬だったが、今まで考えもしなかったキーパーというポジションに戸惑う信助は、自信を持ち切れなかった。

 チームの最終防衛線としてゴールを守り、失敗すれば全責任を負うという立場に怯(おび)える信助。その孤独なポジションを一人でずっと担(にな)って来た三国の凄さを改めて思い返す。

 信助の不安を取り除くべく、天馬は2人の憧れの円堂守(CV:竹内順子)・前監督もキーパーだったことに触れる。



 そして円堂を目指すという考え方をしたらどうかと提案する天馬。だが円堂のそのあまりに遠い存在に、最初から届かない星だと諦めてしまう信助。信助の頭のバンダナは、円堂をリスペクトして付けているものだと思うんだけど、余りにも偉大な先人をいきなり目標にするのは本来的に臆病な信助には難しいのかもしれない。

 その信助を見つめ、サッカー部顧問の音無春奈(CV:佐々木日菜子)はチームのため、そして信助自身のためにある決断をし、誰かに連絡を取る。



  オープニング



 テレビでは準決勝に進出した聖堂山中学のキャプテン・黒裂真命(CV:加藤奈々絵)に対するインタビューが行われていた。実力もさて置き、あのサッカー界を支配するフィフスセクターの聖帝・イシドシュウジ(CV:野島裕史)が直々に監督を務めているという聖堂山中学。【実力+聖帝の権力】という2つを持つ聖堂山中が優勝候補のド本命なのは間違いないだろう。

 病室のベッドの上でその映像を食い入るように見つめる雨宮太陽(CV:江口拓也)。だが放映が終わらないうちに突然テレビが消され、太陽は驚きと共に不満の声を上げる。

 テレビを消したのは彼担当の看護師・久遠冬花(CV:戸松遥)だった。サッカーに対する情熱をかき立てられ、病室を抜け出してサッカーに興じてしまうことを恐れての対処だ。太陽には前科があったし。

 身体を動かしたくて堪らない太陽を優しくあやす冬花。部屋から去ろうとする彼女に、太陽はかつてこの病院で出会った雷門中のジャージを着た少年、天馬のことを聞く。天馬を知っていると答える冬花。

 その天馬とサッカーすることを心から望む太陽。「イイ試合が出来る」と言っていることから、やはり彼は天馬の敵になる学校のチームに所属しているのだろう。だが彼にはフィフスセクターなどのしがらみなど無く、あくまで一人のサッカープレーヤーとして天馬と対戦したがっているような印象を受ける。

 試合に出られるかどうかを冬花に問う太陽。ちょっと困ったような表情を浮かべる冬花だったが、その返答を待つまでも無く太陽は出る気満々の態度。試合出場は無理との言葉が出るなど思いもしない天真爛漫さだ。

 だが冬花が病室を出た後、太陽はそれまで見せなかった、寂しげな冷めた表情を浮かべる。それは彼自身も病状が優れないものであることを自覚し、ある種の諦観(ていかん)を持って臨んでいるいるかのような表情だった。



 一方の雷門。練習を終えたメンバーに次戦の心得を説く監督の鬼道有人(CV:吉野裕行



 一人だけ悩みを抱えているとはいえ、信助の表情が露骨に沈んでいる。


 明るく帰宅の途に着く一同。だが信助だけは帰ろうとしないことに気付く天馬。一緒に帰ろうと声を掛けるが、信助は先に帰って欲しいとつれなく告げる。信助を心配する天馬だったが、キャプテンとしてその辺の事情を把握している神童拓人(CV:斎賀みつき)が制する。


 神童「一人で向き合わせてやるんだ。」


 信助の葛藤は信助自身でないと解決できない問題だと告げる神童。冷たいようだが、それが一番信助自身のためなのだ。瞬時にそのことを理解した天馬は、信助を一人にするため、後ろ髪を引かれつつもその場を去る。

 一人になった信助に声を掛ける春奈。信助を屋内の練習場に誘う。


 そこで見せられた異形の物体に驚愕する信助。



 ゴールキーパー用の練習マシンだと紹介する春奈。多くある筒から様々なコースや速度のシュートを放てるマシンで、これがあれば一人でもキーパーの特訓が可能だという。

 イマイチ食いつきの悪い信助だったが、それを見て、このマシンはかつて雷門の学生時代の円堂も使っていたと打ち明ける春奈。春奈の計略通り、俄然(がぜん)食いつき始める信助。この子はなんてちょろいんだ。

 そのマシンを使って、早速練習を始めたいと言う信助。キーパー転身に対しての自身の納得はまだだったが、とにかく憧れの円堂が使っていたというマシンに触れたいという好奇心が勝った感じだ。

 信助のやる気を見て、かつて自身がマネージャーだった頃の雷門サッカー部に思いを馳せる春奈。遠い目をして熱く語る春奈だったが、肝心の信助の練習の時間を忘れてしまいそうになる。何とか思い出し、春奈は気を取り直して信助に練習開始を告げる。

 その頃、夕陽が照らす雷門中の校門前を訪れる一人の青年。雷門中の校名が刻まれた看板を見つめ、久しぶりにここを訪れたという感慨に浸る。


 同時刻、同じく夕陽が室内を赤く染める太陽の病室を一人の男が訪れる。その男を見て笑顔になる太陽。その男は、聖帝イシドであった。この2人は知り合いだったらしい。



 イシドは太陽に退院が近いことを告げる。次の試合に出られると大喜びの太陽だったが、イシドは気を遣いながらも、不同意を告げる。次の試合は諦めろと言ったのだ。

 落ち込みつつも、なおも出場を直訴する太陽を慰めるように、優しい口調で治療に専念するよう告げるイシド。だが太陽の信念は、強大にしておそらくは尊敬・畏怖の対象でもあるはずのイシドの指示に抗(あらが)う。


 太陽「嫌です!!」


 太陽の頑(かたく)なな態度に驚きを禁じ得ないイシド。おそらくは初めての反抗だったのではないだろうか? つまりそれほどまでに太陽のサッカーに対する思いは強いものなのだろう。サッカーこそが自分の命を繋いで来たものであり、それが出来ないなら、自分は死んだも同然だと吐露(とろ)する太陽。


 その後どういう話し合いが持たれたかは描かれていない。病室を辞したイシドに、ある男が歩み寄る。



 宇都宮虎丸(CV:釘宮理恵)22歳。未だ声変わりせず。


 それはかつてイシドこと豪炎寺と共に世界を制覇した伝説のイナズマイレブンの一員、虎丸だった。虎丸はイシドから何か密命を帯び、協力しているようだ。彼も太陽のことを知っており、病身の彼を試合に出すつもりなのかどうかをイシドに問う。

 虎丸は太陽を試合に起用することは反対の論を張る。イシドは直接その質問には答えず、2人に共通の知人のことを思い出すと語る。それは交通事故に遭い、同じくサッカー選手としての道を一度は断たれた男・一之瀬一哉(CV:梶裕貴)のことだった。サッカーへの情熱は誰にも負けないものを持っていながら、プレーすることが出来ないジレンマに苛立(いらだ)つ気持ちを持つ両者。一之瀬と太陽は余りにも似た境遇だった。

 それを思ったイシドは、太陽の試合に出たいという心の叫びに対し、どういう判断を下したのか。虎丸でなくともその想像はつくのではないだろうか?


 一方、天馬は公園のベンチに腰掛け、親友の悩みに思いを致していた。信助を一人で向き合わせることにしたとはいえ、自分一人で帰宅することも出来なかったのだろう。友人思いの天馬らしい。

 真剣にサッカーに向き合う親友に負けないよう、自身も帰宅後はさらに練習しようと誓う天馬。だがその思いが強すぎたのだろうか。無意識で転がって来たボールを足で押さえてしまっていた。慌ててボールの持ち主である少年たちにボールを返す天馬。

 笑顔で天馬に礼を言う素直な少年たち。その公園では少年に混じって、白いスーツの紳士が一緒にサッカー遊びに興じていた。紳士は、天馬もそのサッカー遊びに誘う。少年たちの同意も得て、天馬は楽しげなその集まりの一員に加わる。

 一段落つき、紳士と共にベンチに腰掛ける天馬。まだ元気に遊ぶ少年たちを見つめ、初めて会った人間でも心を繋ぐことが出来るサッカーの素晴らしさを天馬に語る白スーツの紳士。病院で初対面にも関わらず、太陽と楽しくサッカーで会話が出来た経験を持つ天馬はその意見に迷うことなく同意する。

 だが、そこで紳士の言葉のトーンが替わる。素晴らしい力を持つものゆえ、サッカーは恐ろしい側面も持つものであると。



 サッカーが大好きでも、どんなに頑張っても負けるという現実を知った時、その絶望もまた大きなものになるというのだ。無邪気にサッカー遊びに興じる少年たちを見つめながらのその説に、天馬は返答が出来ない。

 「人と人を繋ぐ力は、同時に人を切り離す力でもある」

 紳士のサッカーに対するその意見は、抗(あらが)い難い棘(とげ)として天馬の心に引っかかる。天馬の名を聞き、その場を立ち去る紳士・千宮路大悟(CV:川島得愛)。見送る天馬の表情は、その心の動揺を示すように複雑だった。


 信助の特訓は夜間にまで至っていた。マシンの放つ強烈なボールに弾き飛ばされ、翻弄(ほんろう)されまくる信助。1球も止める事が出来ず、信助は自信を失ってしまう。

 最後の1回と決めたボールを追うが、そこに信助を追い抜き、届きそうになかったシュートを見事に止めて見せる人物が現れる。驚く信助。



 ベンチで会話し、その青年がキーパー経験者であることを知る信助。青年も実はこのマシンで特訓した事があると懐かしそうに語る。円堂を目標にしたという青年の言葉に目の色が変わる信助。青年も円堂を良く知る人物だったのだ。

 円堂の偉大さを前に萎縮する信助だったが、それを肯定しつつも、「だからこそ目標にする意味があるんじゃないか?」という表現で信助を励ます青年。そして一緒に練習しようと語りかける。喜んでその提案を受ける信助。

 青年の強烈なシュートを受け、ボールごとゴールインしてしまう信助。だが青年はその反応の速さを褒める。次のシュートは信助の手を弾き、またもゴールを許す。悔しがる信助だったが、またもそのボールを見る目や身のこなしを褒め称える青年。褒めて選手を育てるこの方針は、かつて監督だった頃の円堂の方針と似ている。

 現に青年にキーパーの素質があると言われて、信助は大喜びでその気になり始めている。そして次のシュートは見事に正面でキャッチ。止めることに成功する。

 厳しい特訓が繰り返される光景を、目立たないよう観客席から見つめる春奈。

 精根尽き果てた信助にドリンクを差し出し、その傍(かたわ)らに座り込んでキーパーの極意、そして醍醐味を説く青年。キーパーは孤独で大変なポジションだけど、しかし楽しいポジションであると語る。チームのピンチをたった一人で守ることになるキーパーは最高の役どころだ。相手の点取り屋、ストライカーと1対1で闘うポジションであるキーパーを務めることは、怖いけどワクワクするモノで、敵味方全ての思いがこもったボールを受け止めるという喜びに満ちたポジションだと武者震いしながら信助に説く青年。

 青年からキーパーのやりがいを説かれ、信助も同意する。迷いを吹っ切った信助は、さらに練習に付き合って欲しいと青年に告げる。もちろん青年も2つ返事でOKする。その様子を見て、心配して見守って来た春奈の顔にもようやく笑顔が浮かんだ。余談だが、見知らぬ青年といきなりサッカーを通じて打ち解けた信助の姿は、さっき天馬に語りかけた白スーツの紳士・千宮路の語ったサッカーの影響力の暗喩となっている。

 2人の特訓は、その後も遅くまで続けられた。


 翌日の登校時間、天馬は前日紳士から聞かされた命題の解を模索してだろうか、晴れない表情だ。葵と瀬戸水鳥(CV:美名)、山菜茜(CV:ゆりん)から朝の挨拶を受けても元気が出て来ない。

 そこに信助が笑顔で駆けて来る。前日の特訓で何かを掴んだ信助は、迷いが無くなった態度で放課後の練習に付き合って欲しいと告げる。もう一つの懸念事項が信助自身の努力で解決に向かったことを知った天馬は、ようやく笑顔になって信助の要請に同意する。

 信助の特訓に付き合ったという、凄いゴールキーパーに話が及ぶ。誰なのかと茜に問われ、実は名前すら知らない人だったことに今さらながら気付く信助。



 信助「誰だったんだろう?」 茜以外の一同「ズコ〜!!」 葵の顔が可愛い(笑)。


 そして放課後、信助のキーパーとしての練習に付き合う天馬。天馬の勢いのあるシュートをガッチリと受け止める信助。キーパーとしてやって行くことに対して、もう迷いは無いようだ。ゴール前の信助が、いつもより大きく見えるという天馬。

 調子に乗って来て、もう1回試そうとする天馬の横を、強烈なシュートが通り過ぎる。そのボールを掴んだ信助。そして天馬がそちらを見ると、意外な人物がそこに立っていた。



 「南沢先輩!?」


 そこにいたのはホーリーロードで戦った月山国光中のユニフォームを着た、かつてのチームメイトの南沢篤志(CV:梶裕貴)だった。驚く天馬と信助の前に、さらに驚く事態が起こる。どう見てもオッサンの男が声を掛けて来たのだ。その中学生とは思えないオッサン面(づら)は天馬たちも見覚えがあった。南沢のチームメイトとして雷門を苦しめた化身持ちキーパー、兵頭司(CV:三戸耕三)だった。

 その説明を果たすため、三国が現れた。実は天馬たち2人が練習している間に、雷門サッカー部室を南沢と兵頭が訪れていた。南沢は雷門を強化する為に兵頭を伴って馳せ参じたのだ。三国はかつての友の好意に感謝するが、実は自分よりももっと強化して欲しい対象がいることを両者に告げる。それが新キーパーの信助だった。

 タイミングがいいので、一瞬これも春奈の差し金かと思ってしまったが、両者は信助のキーパー転向は知らなかったので、やはりこれは偶然だったのだろう。



 オッサンキーパー・兵頭がまさかの舞台再臨。当ブログコメント常連の星立さんからの情報によるとこの貫禄でまだ中学2年生とのこと。南沢より学年が下なのに、試合外でも呼び捨てにしてたが、やはりこの貫禄には沈黙せざるを得なかったという訳か。それとも留年32期生と言うことか? 化身が使えるという特性からシードだと思われるが、剣城京介(CV:大原崇)同様、フィフスセクターを裏切っていることから元シードというのが正解か?


 そこで兵頭を臨時コーチとして、信助のキーパーとしての特訓が始まる。雷門を代表するストライカーたち+南沢がPK形式でシュートするのを止めるという、見た目は単純な特訓だ。

 相変わらず時代がかった口調の兵頭の号令一過、特訓が開始される。離れた位置では、鬼道と春奈、そして前日信助の特訓に付き合ったあの青年が見守る。



 まずは信助の親友、天馬がシュートする。見事にキャッチする信助。だが親友に対する手加減を兵頭に見咎(みとが)められ、叱責されてしまう。オッサンの怒声にビビる天馬くん。

 次はまだサッカー経験は短いものの、抜群のセンスで前回の幻影学園との試合では1ゴール1アシストの大活躍を遂げた、影山輝(CV:藤村歩)がシュートする。

 手加減の無いそのシュートもキャッチして見せる信助。余談だけど、シュートする時も輝は「うっぎいいっ!!」って叫ぶんだね。

 その後も倉間典人(CV:高垣彩陽)のコーナーを狙ったシュートを見事に止める信助。ただキーパーに自信を与えることにかけては天下一品の「お咬ませさん」の倉間なので、その辺は割り引かないといけないかもしれない。

 過酷な特訓を、心配そうに見つめるマネージャー陣。


 そして次のキッカーは南沢だ。年上のはずの南沢を呼び捨てにして、必殺シュートを指示する兵頭。倉間に並ぶ「お咬ませさん」である南沢の能力に不安を感じたのかもしれない。

 一瞬驚いた南沢だったが、兵頭の意を酌んだ彼は、馬鹿の一つ覚えシュートと揶揄される(揶揄しているのは私だが)ソニックショット」を放つ。



 世間的には大笑い咬ませシュート技とはいえ(そう言っているのは私だが)、必殺技だ。新米のキーパーの信助はひとたまりも無く吹き飛ばされてしまう。キーパー技を持たない今の信助には酷な特訓だと言えよう。だが兵頭は厳しい口調で信助を戒(いまし)める。

 信助に対する正念場であると蹴る側としても自覚する錦龍馬(CV:岩崎了)は、彼も必殺シュート「伝来宝刀」を撃ち込む。



 集中しろと兵頭から受けた叱責を胸に、そのシュートに向かい合う信助。その背中から、オーラが現出する。これは、化身発動の予告なのだろうか!?

 だが化身発動には至らず、信助はボールごとゴールネットを揺らしてしまう。この特訓はおそらくは信助の化身発動に至る辛いプロセスなのだ。



 ダウンしながらも、気力で起き上がる信助。信助の心意気を感じた倉間は、手加減なしの必殺シュート「サイドワインダー」を無慈悲に撃ち込む。兵頭がそれに合わせ、今一度「集中だ!」と信助に声を掛ける。

 だがオーラは先ほどよりも強く現出したものの、やはり「サイドワインダー」を止めることが出来なかった。



 強烈な威力の必殺シュートを受け、地面に倒れる信助を気づかう葵たち。もう信助は限界に来ていると水鳥が中止を促すが、兵頭は聞き入れない。次のキッカーの剣城に、無言で行動を示唆する。兵頭が伝えたいことを視線から感じ取った剣城はさすがに驚く。兵頭は、剣城の持つ最大の能力を信助にぶつけろと言っているのだ。

 多彩なシュート技を持つ剣城を迎え、どの技が自分に襲いかかるのかを頭でシミュレートする信助だったが、剣城の行動はその予想を大きく超えるものだった。剣城は化身「剣聖ランスロット」を発動させたのだ。



 いつもと違う角度からランスロットさんを見る天馬と輝の図。彼らもここで化身を使うことに驚いているのだろう。


 化身シュートをここで使用するという無茶な行為に抗議の声を上げる葵。だが鬼道は、選手たち任せにしているこの特訓の成り行きに「我が意を得たり」とばかりに満足の笑みを浮かべる。

 信助も化身の力は熟知している。今の自分の能力ではとても敵わないと、戦う前から逃げ腰になってしまう。だがそこに「集中するんだ!」と声を掛ける天馬。その言葉を聞き、前日の特訓を思い出す信助。

 凄いゴールキーパーのあの青年に適正を褒められたことを思い出した信助は、精神を統一させて集中し、剣城のシュートを待ちうける。剣城も完全に本気モードで、これまで実戦でも阻止されたことが無い、成功率100%の最強の化身シュート「ロストエンジェル」を放つ。




 その場にいた全員、シュートした剣城自身も見守る中、ゴールに向かうボール。集中力、そして止めて見せるという絶対の思いが信助の心を満たし、その思いがオーラとなって現出する!



 光に包まれたゴール前、それを見つめる選手たちが驚愕する中、閃光と轟音、砂煙が収まったその場には、ボールをキャッチして放心した信助が座り込んでいた。



 信助の化身が発動した瞬間だった!

 選手たちが一斉に信助の元に駆けつけ、化身発現を祝福する。その輪を外から見つめ、信助の潜在能力を引き出した功労者の兵頭と南沢が、想像以上の成果を上げた今回の特訓に満足げな笑顔を見せていた。

 その2人に感謝する三国。その表情は最高の後継者を得た喜びに満ちていた。ニヒルに笑ってその感謝の言を受ける南沢だったが、友情に感動して泣き濡れる車田剛一(CV:野島裕史)と天城大地(CV:奈良徹)に抱きつかれ、そのカッコ良さも台無しだ。



 南沢の好意が嬉しかったのは三国だけでは無い。かつての同期生として苦楽を共にした3年生、車田と天城の喜びも理解できる。かつては全てを諦めたような達観さんだった南沢の好意だったのが、なおさら嬉しかったのだろう。南沢的には、筋肉の塊と100貫デブに圧(の)し掛かられて災難だが。


 三国はその喧騒を嬉しそうに見つめ、そして信助の様子を窺う。彼はもう完全に自信を持って、雷門のゴールを守ることこそに己の使命を感じていた。



 殊勲を称える意味で誰かに頭を撫でられる信助。色黒の肌なので浜野海士(CV:金野潤)だと思われるけど、倉間の可能性もある。もし倉間がこんなことしてたら、キャラに無いこと甚(はなは)だしいけど(笑)。


 信助の決意を聞き、天馬も嬉しくなる。信助は自分をこの境地に導いてくれた、あの謎の青年の姿を思い浮かべ、心から感謝の言葉を述べる。



 その信助の感謝の相手、立向居勇気(CV:立花慎之介)は夕暮れの中、春奈と鬼道に見送られてこの場を去ろうとしていた。悩む信助を指導してもらおうと立向居をこの地に呼んだ春奈が礼を言う。サッカー部の看板を見つめ、初心を思い出させてくれた今回の事象は、立向居の側にとっても実りの多い一件だったと返答する。礼を言うのはお互い様だとするその態度は潔(いさぎよ)い。


 信助の問題を解消した天馬。病院の太陽を見舞いに訪れるが、その部屋は空き部屋となっていた。冬花が天馬を迎え、太陽がすでに退院したことを告げる。退院したということで、太陽が健康体に戻ったと合点した天馬は無邪気に喜ぶが、その喜ぶ天馬を見て冬花の顔色が曇る。

 太陽の病状は天馬が思うものより重いことを告げる冬花。太陽は子供の頃からの持病で、激しい運動は禁じられていたのだ。退院はあくまでも通常の生活に支障が無いレベルのものであって、サッカーをするのは絶望的であることを冬花は仄(ほの)めかす。

 突然の告白に、天馬は激しく動揺する。あの屈託なく元気そうだった、笑顔の明るかった太陽が、もうサッカーすることが出来ないなんて……。彼といつか同じフィールド上でサッカーすることが夢だった天馬は、目の前が暗くなるのを感じていた。



 次回に続く!



  エンディング



 特訓パートの今回で信助はGKに転向した。とはいえ「ぶっとびジャンプ」といったシュート技を持っている訳だし、フィールドプレーヤーとしても起用されることになるのだろう。化身を持っている彼が常時キーパーなら安定感ありそうだけど、三国さんの出番が無くなっても困るしね。また信助の化身をちゃんと描かないのも憎い演出だ。次回以降の実戦でその姿を初披露するんだろうね。早く見たいぜ、こんちくしょう。

 立向居くんと南沢が再登場したのは想定内だったけど、兵頭の登場は想定外だった。もちろんあれだけの濃い存在の彼の再登場は嬉しかったけどね。ネタの宝庫みたいな存在だし。本文中にも書いたけど、雷門に協力することで完全にフィフスセクターのくびきからは脱しているようだ。今後の予想で、敵として現れるとか書いてすまんかった。

 また、気が向いたら雷門に戻ると南沢は言っていたが、もう受験シーズンでしょ? 敗戦責任を取らされ、内申書ボロボロにされて自暴自棄になってしまったのかもしれない。兵頭はまだ2年生で来年も出られるらしいし、転校して来ないかなぁ?

  くどいようだけど、兵頭が2年生というのは信じられない。というか中学生というのがウソとしか思えないのだが。同時登場の、声変わりしていない「くぎゅう声」の虎丸と比較して、虎丸の方が年上だとは誰も思えないはずだ。そう、アニメ製作スタッフと言えども。


 次回はいよいよ準決勝の新雲学園戦。敵チームにいるという10年に一人の天才プレーヤーは、今回のタイトルと合わせて考えれば、太陽くんと考えるのが妥当だろう。太陽は新雲学園の生徒だったんだね。太陽がラスボスという予想も外れてしまって、今回は当方、顔色(がんしょく)なし。

 砂漠のフィールドで太陽くんの化身が登場するということは、きっとエジプト神話にまつわる化身じゃないかと想像する。これまでギリシャ神話のアポロンかと思っていたけど、エジプト神話となると、太陽神ラーがモチーフかな? この予想はさすがに当たると思うんだけど、外れたらまた恥ずかしい。



 太陽の化身。腕が4本あるという、神童の「奏者マエストロ」といい勝負が出来そうな化身。何気にキャプテンマークを付けているので、新雲学園のキャプテンも彼のようだ。



 次回「解き放たれる太陽の化身!」に続く。



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