『イナズマイレブンGO』第30話「華麗なる戦術!鬼道VSアフロディ!!」の感想 【桃色ヤクザが錦の師匠!?】

 今日から12月。冬到来ですね。寒くなって来ていますので、風邪を聞こし召すことの無いようご自愛ください。冬対策として、私は新しいこたつを買いました。今回のこの記事も、こたつの上で書いています。



 恒例のテレビアニメ『イナズマイレブンGO』の感想文、今回は第30話「華麗なる戦術!鬼道VSアフロディ!!」を観ての感想を書く。昨年の決勝戦でまみえ、敗北を喫した木戸川清修を相手に、雷門が雪辱戦を挑むという構図。木戸川清修の監督に就任した亜風炉照美(=アフロディ CV:三瓶由布子)との因縁を含め、雷門新監督の鬼道有人(CV:吉野裕行)の采配が注目される。



 当ブログは、『イナズマイレブンGO』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


 前回のアニメ『イナズマイレブンGO』の感想は、

 をご覧ください。木戸川清修との戦いはこの回からなので、合わせて読むと理解がしやすいと思います。


 それ以外の『イナズマイレブンGO』の記事は、ここをクリック。


 で、一覧表示されます。


 なお、『イナズマイレブンGO』をよく知らない方のために登場人物紹介のページを設けました。順次更新していきますので、目を通していただくとキャラクターのことが分かり易くなります。さらっとウソ情報が散りばめられていますので、あまり信用しないで、軽い感じで読んで下さい。

 ホーリーロード3戦目の相手は昨年の優勝チームであり、かつその決勝戦で雷門を破った木戸川清修中学であった。フィフスセクターから木戸川清修の監督に送り込まれたアフロディの意識改革により、路線の対立を巡って崩壊寸前だった木戸川清修イレブンはその強さを取り戻し、雷門の前に立ちはだからんとしていた。

 試合展開は事前情報から木戸川清修が仲間割れしていると思い込んで楽勝の相手と見くびっていた雷門が押される展開。だが滝総介(CV:峯暢也)が雷門ゴール前に迫った時、敵味方ともに予期しない出来事が起こった。なんとゴール前のフィールドが水柱を上げ、水中に没したのだ! 滝の保持していたボールはあえなく水面に落下する。


 これはこの会場・ウォーターワールドスタジアムの秘めたギミック(仕掛け)「ピッチ・ダウン」であった。その名の通り、ピッチが水中に没するというものだった。この様なギミックの中でまともなサッカーの試合が出来るのだろうか?


 その頃、空港に着陸した飛行機から一人の男がタラップに姿を現した。アルマーニの白スーツに身を包み、久々の帰国を果たしたというその男性、前作を観ていた層には辛うじてその正体を知ることが出来るが、観ていない層にはどう見ても桃色ヤクザにしか見えなかったのではないだろうか?




  オープニング



 試合会場にカメラは戻る。沈んだピッチを見つめ、途方に暮れる両チームの選手たち。いつもならフィフスセクター側のチームは先刻承知のはずの会場ギミックだが、今回は木戸川清修サイドも承知してはいなかった。

 これは木戸川清修の監督を引き受ける際、対等の条件で戦うことを望んだアフロディの希望に沿うものだった。聖帝・イシドシュウジ(CV:野島裕史)から次のスタジアムの特質を聴くことを良しとしなかったアフロディの正々堂々とした態度が垣間見える。アフロディにしても、対等の条件の上で打倒・雷門を果たさない限り、本当の勝利だと喜ぶことは出来ないのだろう。


 対等の条件で戦うこととなった両チーム。そこで問われるのは、会場のギミックをどうにかして攻略する監督の戦略、つまり采配に掛かって来ることとなる。


 西園信助(CV:戸松遥)と狩屋マサキ(CV:泰勇気)の2人が茫然と見つめる中、水中に沈んでいたピッチが元に戻った。一定時間が経過することで元に戻る仕組みとなっているらしい。足場が無くなる一方では無いだけ、マシなギミックと言えるかもしれない。

 信助と狩屋が木戸川清修のキャプテン・貴志部大河(CV:小野友樹)に抜かれたことから始まった先ほどのピンチ。結果はスタジアムのギミックにより救われたが、ベンチから戦況を見つめる天城大地(CV:奈良徹)からすれば、止めることが出来たプレーだと憤慨する。3年生として最後のホーリーロード、また昨年の雪辱相手が目の前にいるというのに試合に出られない彼のストレスは極限に達しつつあった。不満げに音を立てて座りなおし、隣席の速水鶴正(CV:吉野裕行)と影山輝(CV:藤村歩)をビビらせる。


 試合は雷門のフリーキックで再開される。ピッチダウンで水面にボールを落とした場合、相手チームのフリーキックとなるルールらしい。マネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)とスケバンの瀬戸水鳥(CV:美名)が松風天馬(CV:寺崎裕香)に声援を送る。

 霧野蘭丸(CV:小林ゆう)が蹴ったボールはキャプテンの神童拓人(CV:斎賀みつき)に。その前に立ち塞がるのが昨年も神童のライバルとして個人技レベルでも闘った貴志部だった。今年はお互いのチームのキャプテンを務める両者が、ここで激突する。神童は久々の必殺技「プレストターン」で貴志部を抜き去る。まずは個人レベルで昨年の借りを返す神童。



 神童は攻勢を掛け、天馬にパスを出すが、そこでまたも発動する会場ギミックのピッチダウン。天馬はそのパスを取り損ね、ボールは水面に。今度はピッチダウンで救われたのは、木戸川清修の側だった。

 その後もピッチダウンは両チームの選手たちを苦しめる。攻撃の形を作ることが出来ない両チームの選手にとって、頼れるのは監督の指示だけであった。

 鬼道が画策するが、対処する戦略を取った場合の致命的な短所が同時に思い浮かび、決定打となり得ない。


 木戸川清修の攻勢をスライディングで阻止する剣城京介(CV:大原崇)。ボールがタッチラインを割り、試合が中断する。そのタイミングを待っていたかのように、貴志部を呼びつけるアフロディ。何やら指示を出し、ピッチ上の選手たちにも意思疎通させる。まさか、アフロディはいち早くこのピッチダウンの攻略法を思いついたのであろうか? 智将としてアフロディに負けられないと焦る鬼道。


 そして木戸川清修のスローインで試合は再開される。目配せし合い、何か仕掛けて来る様子が窺える木戸川清修の選手たち。神童はその様子に警戒心を抱く。

 ボールを受けた貴志部は、メンバーに指示を出し、必殺タクティクス「ゴッドトライアングル」を敢行する。



 この技がピッチダウンの攻略法となるのだろうか?


 攻め上がる貴志部たちの眼前でピッチダウンが起こる。だが貴志部は慌てず騒がず、後方の選手にバックパスを出す。そしてそれを受けた選手を三角形の頂点とし、またも「ゴッドトライアングル」を続行する。



 次々と後方や側面パスを繰り出し、どこでピッチダウンが起こっても三角形のどこかにパスを回し、対応することが出来る。もちろんこの必殺タクティクスに参加する選手たちの瞬時の判断力と高度な対応力があってこその攻略法だ。この必殺タクティクスを幸運なことに事前から持ち合わせた木戸川清修、アフロディがなしたことはこの技がこのフィールドに通用するという「気付き」だけであった。監督就任から短期間の間に選手の能力を把握し得た彼ならではの「気付き」であったが。


 そのまま順繰り順繰りに攻め上がる木戸川清修。蘭丸を抜き去った貴志部がゴール前に迫る。危ないシーンに、雷門のブレーキの壊れた暴走機関車・車田剛一(CV:野島裕史)が吼(ほ)える。




 本来はイケメンの貴志部の恐怖に歪(ゆが)む顔の超ドアップをお届けします。ブレーキだけでなく、いろいろ壊れてそうな車田の突進は、怖いでぇ〜。


 天城の分も戦わなければならないと強く自覚している車田は、未だ成功率10割の必殺技「ダッシュトレイン」で貴志部を轢殺(れきさつ)し、ボールを奪取する。太陽の逆光に照らされながら吹き飛んでいく哀れな貴志部。

 そこまでは良かった車田だったが、すぐさまボールを6番の司令塔(当方予測)の選手に奪い返されてしまう。嵩(かさ)にかかって攻め上がる木戸川清修の勢いを止めるには、一人ぐらい「ダッシュトレイン」でやっつけても効果が無いようだ。

 車田からレギュラーポジションを奪った狩屋がそのフォローに回るが、6番の選手はドリブル系の必殺技「イリュージョンボール」で狩屋を幻惑し、あっさりと抜き去ってしまう。



 そしてそのままシュートに持ち込む6番。ノーマルシュートだったせいか、頼れキーパー・三国太一(CV:佐藤健輔)も何とかパンチングで逃れることが出来た。


 DF陣の相次ぐ不甲斐ないプレーに、「何故俺を使わない!?」……もとい「何故俺を使わないドン!?」と怒りに満ちた顔で監督の鬼道を見やる天城。だが鬼道はその天城の気持ちを知ってか知らずか、微動だにせず戦況を見つめる。


 木戸川清修のコーナーキック。そのピンチは凌いだらしい雷門だったが、試合のイニシアティブは依然、木戸川清修が握っていた。攻勢一方の木戸川清修の前に、雷門は精神的にも不利な状況に追い込まれてしまう。



 こ、このポーズはもしや、無敵の「ダッシュトレイン」がかわされてしまったのだろうか!? 車田というか、「ダッシュトレイン」ファンの当方としては、嫌だ! 信じたくない!


 「このままじゃ、負けちゃう……」


 その時の皆の心境を思わずつぶやくマネージャーの山菜茜(CV:ゆりん)。うっかりしているようで彼女は情勢判断がいつも鋭い。それを受け、顧問の音無春奈(CV:佐々木日菜子)も兄である鬼道に善後策を望む。このシーン、春奈は鬼道のことをちゃんと「監督!」と呼び、公私の区別がついていた。

 だが智将・鬼道に未だ善後策は思いつけてはいなかった。



 そんな試合展開を客席から眺めるピンクマフィア。サングラスをかけたその姿は、どう控えめに見ても前科15犯はあるであろう貫禄(かんろく)に満ちていた。


 木戸川清修のセンタリングを阻止しようとジャンプする信助だったが、その足元が例によって突然ピッチダウンする。信助は危ういながらも水中に落ちることは免(まぬが)れた危険なシーンだったのだが、それは鬼道についに奇策を思いつかせるヒントとなった。


 ボールがラインを割り、試合が中断した瞬間、鬼道が神童を呼ぶ。先ほどのアフロディの取った作戦指示を明らかに意識した鬼道の行為だった。アフロディや貴志部が覚悟した通り、鬼道は思いついた策を神童に伝え、その策は錦龍馬(CV:岩崎了)を始め、雷門メンバーに伝わる。


 雷門のゴールキックで試合が再開する。三国からボールを受けた神童は、必殺タクティクス「フライングルートパス」を指示する。え、何それ?



 飛び上がった蘭丸に神童からパスが送られる。そして蘭丸は空中でボレーして車田に。その後も空中でパスを回し続ける雷門。毎週2〜3回はじっくりと観る私ですら初めて観る華麗な必殺タクティクスを繰り出し始める雷門イレブン。視聴者が知らないところで練習していた技なんだろうけど、せめて事前にその片鱗(へんりん)ぐらいは見せておいて欲しかった気がする。ご都合主義的ないきなり感が凄い。


 ピッチダウンをものともせず、いきなり繋がり出した雷門のパスをいぶかる貴志部。アフロディがそのプレーを一目見て真相を言い当てる。雷門はパスの後にジャンプするのではなく、ジャンプに合わせたパスを出している。またボールが宙にある間にボレーで次のパスを出すことによって、地形の変化に囚われること無くプレーを続行できるのだ。鬼道のその戦略を褒めるアフロディだったが、こんな必殺タクティクスを事前に用意していた幸運に救われたと見るべきなのかもしれない。

 とにかくお互いの戦略を称え合い、ベンチで見つめあう鬼道とアフロディ


 攻勢に出た雷門にベンチの雰囲気も明るくなる。ただ一人、天城を除いては。出られないことを怒る天城だったが、仮にピッチに立っていたとしても、この必殺タクティクス「フライングルートパス」に巨体のキミは参加できないでしょ? 天城がジャンプしたら、ナチュラルにピッチダウンが起こるだろう。

 攻守ところを替えた両チーム。貴志部は味方DF陣に、9番(神童)と10番(剣城)をマークするよう指示する。文句なく雷門の点取り屋はこの2人だ。貴志部の敵チームの戦力把握力もここで地味に示されている(昨年顔を合わせた神童はともかく、剣城は調査しない限りは知らない選手のはずだから)。

 その指示通り、ゴール前の頼れるパスコースを失った雷門。ボールを持った浜野海士(CV:金野潤)に迫る木戸川清修の選手たち。浜野はこのピンチを必殺技「なみのりピエロ」で打開する。



 しかしその後が決まらないのがいつもの浜野くん。天馬に送ったパスを、滝にカットされてしまう。これでまたも攻守が入れ替わる。浜野の【ピンチの起点】率がまた上がってシモタ

 攻め上がる自信満々の滝。自意識過剰でワンマンな彼は、フォローに付く貴志部の指示にも耳を貸さず、単独でゴールに向かう。そして彼の自信満々な態度、そしてフィフスセクター側に付いて戦うその意思を象徴する彼の秘められた能力、化身を発動させる(滝がシードの教育を受けたのではないかと暗示させている)。



 滝(兄)の化身「鉄騎兵ナイト」。以前海王学園でゴリラが使用していた「精鋭兵ポーン」と同じく、チェスがモチーフだろう。きっとゴリラもいつか再登場して滝(兄)と組んで雷門と再戦するのでは無いだろうか? 「ビショップ」や「キング」、「クイーン」なんかも今後に出て来るかもしれない。


 敵の化身の登場に緊張が走る雷門サイド。




 化身シュート「ギャロップバスター」を放つ滝。それに板張りのフィールドだというのにお構いも無く「フェンス・オブ・ガイア」で阻止せんとする三国。



 しかしやはり化身のシュート技は強力だった。ついに時代遅れを宣告されてしまう三国さんの「フェンス・オブ・ガイア」。


 豪快なシュートが雷門ゴールネットを揺らし、ついに試合の均衡が破れた。先制点は、昨年の覇者・木戸川清修が上げる。先制され、悔しそうな錦を観客席から無言で見つめる桃色極道。


 先制点を奪ったものの、滝のあまりにワンマンで強引なプレーに苦言を呈する貴志部。キャプテンの苦言にも軽く受け流す滝。フィフスセクターに賛同する彼にとって、心情的に反・フィフスセクターの貴志部は仲間という感覚が無いのだろう。その様子を心配そうな顔で見つめるベンチの弟・滝快彦。


 先制された雷門だったが、気持ちを入れ替えて攻撃に出る。だが勢いづく木戸川清修はなおも優勢だ。その流れを替えるべく奮闘する錦。ボールを奪い、攻め上がる。パスの先として神童と剣城、そして倉間典人(CV:高垣彩陽)には相変わらずマンマークが付いている。ここは自分でシュートまで持ち込むよりない。だが敵キーパーの強面(こわもて)の形相(ぎょうそう)にビビったのか、錦は一瞬ひるんでしまう。

 その隙を見逃す木戸川清修ではない。先制点を上げた滝が錦からボールをかすめ取る。イタリア帰りの留学生という肩書にしてはメンタルの弱さを露呈する錦。

 奪った滝は、またも仲間の存在など無いかの如く、独りで攻め上がる。だが如何に化身使いと言えども、それはさすがに無謀すぎた。狩屋の必殺技「ハンターズネット」の網の餌食になる。



 ボールを奪った狩屋だったが、今回大活躍のモブ・6番に奪い返されてしまう。ボールを受けた貴志部は3人協力の必殺シュート「トライアングルZZ(ダブルゼット)」を放つ。



 特撮ヒーローショーのような動きだが、立派な3人合体技のシュート。この時参加している左の白髪の選手は、仲間割れしていた時点で滝サイドに付いていた。つまりフィフスセクターに従う側。それでも貴志部との協力プレーに参加したのは、滝ほどには頑(かたく)なな態度ではなく、アフロディの指示通りに目先の勝利を優先させているのだろう。


 これぞチームプレーと思わせる見事なシュートで2点目のゴールを奪う貴志部。そこで前半戦が終了。これで得点は0−2となり、雷門は苦境に立たされる。


 ハーフタイム、まだ元気を見せる雷門イレブンにあって、ただ一人消沈する錦。先ほどのプレーが心に残っているのだろう。

 優勢な側の木戸川清修のベンチにも不穏な空気が流れていた。滝のプレーを諌める弟の快彦。だがそれを邪険に振りほどく滝。試合会場に入って来る前から見せていた兄弟喧嘩は未だ収まりそうにない。

 またキャプテンの貴志部も勝手な行動を取る滝に不安を抱き、アフロディに滝をベンチに下げるよう進言する。だがアフロディはその意見を却下する。滝の能力を買っているのか、それともこの試合で滝をも自らの理念に共鳴させようとしているのか?

 負けていても諦めないという雷門に受け継がれる強さを説き、滝の力が必要になる時が来ると告げるアフロディ。そして全員で勝ち取ってこその勝利であり、それでこそ今後の木戸川清修の進むべき道も見えて来ると言うアフロディの言に納得して笑顔を見せる貴志部。一連の会話を、滝はどのような心境で聴いていたのだろうか?


 一方の雷門サイド。なおも落ち込む錦。そこに入って来る白づくめの部外者。どう見てもヤクザ者の乱入にざわめく一同。「ざわ…、ざわ…」

 男は錦に声を掛ける。男を見た瞬間、錦はその男のことを「師匠」と呼び、正座してかしこまる。サングラスを外して鬼道と春奈に挨拶するその男は、かつての雷門初期メンバーにしてイナズマジャパンで苦楽を共にしたサッカー任侠(にんきょう)・染岡竜吾(CV:加瀬康之)であった。その存在感は、相手チームのアフロディですら気付くほどの漢気(おとこぎ)オーラを備えていた。




 旧雷門メンバーには妙に喰いつく天馬と信助。天馬は同じアパートに住む木暮夕弥(CV:宮原永海)にもこんな憧れの表情を見せておやんなさい。


 染岡はボールにペンでマークを付ける。そしてそれを支柱に向けて蹴るよう、錦に命じる。寸分違わぬコントロールでボールを支柱に打ちつけ、さらに染岡が付けたマークを支柱に後型として残す。それは試合前に鬼道が見かけた、あの精密なコントロールを要する特訓そのものであった。このトレーニングは染岡の指示だったらしい。イタリアで出会った染岡と錦。錦は現地で雷門の大先輩に師事していたのだ。

 精神面で錦に足りないものはもう無いと断言する染岡。あと足りないものは、「メシだ!」とばかりに、染岡お手製の握り飯を差し出す。染岡の男の手料理(と言っても握り飯だが)をぱくつき、エネルギーと共に勇気も飲み干す錦。彼の潜在能力は、気を置ける師匠の登場によって今まさに開かれんとしていた。

 その様を見て、鬼道は後半の選手のポジションをチェンジすることを決める。いよいよ自分の出番が回って来るかと若干の期待感を抱く天城。

 だが後半戦スタートに辺り、天城のその淡い期待は打ち砕かれる。



 後半戦開始直前の雷門の布陣。メンバーチェンジは一切なく、MFの錦とFWの剣城の位置を変更しただけ。伝説の点取り屋・染岡の登場によって錦の心境変化を見てとった鬼道の機を見るに敏(きをみるにびん)な起用だ。この配慮が天城に向けられることは、今のところ無いが。


 期待させられた分、天城の怒りはものすごい。弱気な速水は隣に座っているのがためらわれるほど。

 一方ポジションチェンジがあったものの、貴志部のマークは中盤に下がった剣城に向けられる。錦の情報が不足している現状、これは的確な判断ではある。


 そして木戸川清修のキックオフで後半戦がスタート。相変わらず貴志部の指示に従わない滝。強引に仕掛けるが、中盤に下がっていた剣城があっさりとボールを奪い取る。剣城はFWとしての役どころが多いが、さすがに元シードだけあってディフェンス能力にも優れる。

 剣城はそのままドリブルで切れ上がる。剣城を最重要にマークする方針の貴志部は阻止のためにDF陣に指示を出すが、実はそれこそが雷門の思う壺であった。

 剣城は自分に向かって来る4人を引き付け、ノーマークの錦に横パスを出す。剣城というデコイ(囮)に完全に裏をかかれた貴志部。


 その機会を錦は、今度こそ逃さない。尊敬する師、染岡の見る前でその潜在能力をついに披露する。



 錦の化身「戦国武神ムサシ」。海外での生活を送った彼らしく、日本人としての気概を表す雄々しい武士の姿。二刀流だけに(宮本)武蔵を連想させる。


 錦が化身を使えるという事実は仲間である雷門イレブンも知らない事実だった。驚愕するメンバー。ベンチでも旧知の間柄である水鳥が驚いていた。錦の覚醒を見て、染岡が満足そうにうなづく。


 錦はその化身の威光を借りてシュートする。キーパーの強面、硬山強(かたやま つよし)は化身を発動させようとするが、間に合わずゴールを許す。これで得点は1−2。雷門が1点差に追い上げた。ただ恐ろしいのは敵キーパーがまたも化身持ちだということ。咬ませ役の倉間さんにまたも死亡フラグが上がる。倉間のゴールは絶望的だ。


 化身発動後の疲労の色を濃く残しながらも、殊勲のゴールを上げた錦。チームメイトからの祝福に応える。化身を使えるようになったのは、染岡のおかげだという錦。


 錦 「師匠のおかげぜよ!」

 車田「あのオッサンの?」


 染岡さんをオッサン扱いする車田にも死亡フラグか?


 錦はメンタル面さえ克服できれば、すでに十分に化身を使える状態であったことに気付いていた染岡。彼に課した特訓は自信を持たせるためのものであったことを鬼道に告げる。あの特訓は精密なコントロールを養うためのものだと思っていたから、個人的にはちょっと期待外れ。まぁメンタル面以外でも無駄になる特訓では無いはずだけど。

 メシを食べさせたのも、錦をリラックスさせるための行為だった。錦を一番理解しているのは、師匠である染岡だったということだ。鬼道もこと錦の扱いに関しては、染岡に感謝するしかない。


 錦のゴールで雷門の士気が一気に上がる。神童の号令のもと、団結した雷門イレブンが気合いを入れる。木戸川清修のキックオフで試合が再開される。攻め上がる滝であったが、今まで忘れていたギミック・ピッチダウンが再び起こり、足止めを食う。その隙に、またも狩屋が「ハンターズネット」で滝を絡め取る。

 そしてそこから雷門の一気呵成(いっきかせい)の大反撃が始まる。狩谷からパスを受けた天馬。無駄にカッコ良い7番の選手を「そよかぜステップ」で吹き飛ばし、木戸川清修陣内に攻め込む。

 そして送られたパスは再度、錦のもとへ。今度は錦も最初から全開で化身「戦国武神ムサシ」を発動させる。握り飯を喰らってTPは満タンか? だが錦が化身持ちだということは承知しているキーパーの硬山。今度は躊躇なく自らの化身を発動させる。



 硬山の化身「重機兵バロン」。どこかで見たデジャブ感が漂う。


 化身同士の力のぶつかり合い。だが染岡というファクターを介し、満を持して発動させた錦の化身が、デジャブ感満々の使いまわしの化身に負けるはずは無い。力の太刀は硬山の化身を打ち倒し、ゴールネットを激しく揺らす。錦の2得点に渡る活躍で、雷門がついに同点に追いついた!




 後半のいい時間帯に追いついた雷門。両チームの均衡した力関係を鑑みれば、次の1点を取ったチームが勝利することになろう。

 喜ぶ雷門の関係者。一方、追いつかれたはずの木戸川清修だが、監督のアフロディは満足そうだ。この強さ、これでこそ倒すに相応(ふさわ)しい相手、雷門だと武者震いする姿がそこにはあった。



 次回に続く!



  エンディング



 監督の采配が注目されたけど、どっちも何故か持っていた必殺タクティクスで打開するというのはやや説得力を欠いたと思う。


 そんなことより今回は錦、そして染岡の師弟関係がクローズアップされる展開だった。錦の時といい、今回の染岡といい、空港からかなり近いよね、この試合会場は。試合開始時点に空港にいても間に合うんだもの。イタリア帰りということで、ますますマフィア度を増したぼくたちの染岡さん……。



 CMアイキャッチにまで浸食するピンクマフィア。これは中学生バージョンのはずだが、24歳現在と全く変わってねえ。この存在感は圧倒的で『イナGO』キャラが定着するまで登場させなかったのは正解。初期に出ていたら、間違いなく存在感を喰ってしまい、タイトルまで『激!! 染岡一家』とかに差し替えになっていただろう。


 錦が化身を使えるというのは驚いた。シード以外は都市伝説と言う最初の設定はどうなってしまったのかと思われる、まさかの雷門の化身使い4人という恐ろし設定。全員シードだった海王学園ですら3人だったというのに……。これはもう最強でしょう? 「化身の脅威!!」とかいうセリフは、もはや雷門と対戦する相手チームのセリフだ。

 その分、失点することで敵チームとのバランスを取る訳で。つまり三国さんの悲惨なザル的状況が再びやって来るという訳ですね? 「フェンス・オブ・ガイア」もついに敗れてしまったし。


 あと、これは触れておかないといけないのが、敵キーパーの化身。硬山の化身「重機兵バロン」はどう言い繕(つくろ)っても万能坂中学のキーパーの化身「機械兵ガレウス」の色違いでしょう?




 スライムに対するスライムべスみたいなものか?


 まぁ、感想文中で触れたけど、滝の「鉄騎兵ナイト」と海王学園のゴリラが出していた「精鋭兵ポーン」のように、何らかの繋がりが描かれる可能性はあると思う。シードの養成所で覚えやすいキーパー化身として重宝されている量産型の化身だ、とか。


 次回はまだ木戸川清修戦。かなり早いペースで進んでいるので、次回のAパートで試合は終わるかもしれない。後半でアフロディの真意とか、天城の葛藤の件とかに触れる展開かな? 木戸川清修という強敵を出した後の敵チームの描かれ方にも注目したい。試合前にまた特訓パートや日常パートが描かれるのだろうけど。



 次回「化身!戦国武神ムサシ見参!!」に続く。



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