ブータン国王夫妻ご訪日に関して思ったこと 【幸福指数世界一の国に差す暗い影】

 今日は勤労感謝の日。急激に寒くなって来て、油断したのかちょっと風邪気味です。

 11月ぐらいになると『いま薄着で寒さに慣れておけば、冬にも風邪をひかない』と毎年思い、毎年調整に失敗して冬前に風邪をひくという愚かなパターンをここ数年繰り返しています。



 さて、拙ブログでは台湾トルコなど親日の国の話をして来ましたが、親日という話をする場合、今月日本を訪れられたワンチュク国王とジェツン王妃のお国、ブータン王国の話題に触れない訳には行かないでしょう。実はブータンは上記2国を上回るほどの親日国なのです。


 今月15日に日本を訪れ、暖かで慈愛に満ちた笑顔と感動的なお言葉で日本国民を魅了したブータンワンチュク国王とジェツン王妃は、今月20日、6日間の滞在を終えられ、爽やかな感動を私たちに残して帰国の途に着かれました。


 ヒマラヤの王国ブータンワンチュク国王(31)夫妻が今月中にも国賓として来日することが 決まった。国王は13日からジェツン・ペマ新王妃(21)との結婚の儀式を行い、来日が事実上の 新婚旅行となる。今年5月に来日する予定だったが、東日本大震災の発生で延期していた。

 ブータン親日国。国王は大震災発生翌日の3月12日、被災者の安全を祈る式典を主催。 18日には100万米ドル(当時は約8千万円相当)の義援金を日本に寄付した。

 皇室とも関係が深く、皇太子さまは1987年に、秋篠宮ご夫妻も97年にそれぞれ公式訪問した。89年の昭和天皇死去に際しては「日本の精神的指導者が亡くなり、とても残念」と、父のワンチュク 前国王が喪主となり、国をあげて喪に服した。

http://www.asahi.com/international/update/1013/TKY201110130209.html


 金閣寺の有馬頼底住職に傘を差しかけるお優しい国王ご夫妻。



 和服をお召しになるお二人。とてもお似合いです。


 お二人のお姿を見てもよく分かる通り、ブータン人と日本人はとても良く似ていて親近感を抱きます。1986年に外交関係が樹立して以来、ブータンは日本の常任理事国入りに一貫して賛意を表明してくれるなど、非常に友好的な国として接してくれています。


 中でも素晴らしいエピソードは、上記引用記事でも触れられている昭和天皇崩御された際のお話。1989年2月24日の昭和天皇大喪の礼に参列された先代国王のジグミ・シンゲ・ワンチュク国王は、弔問外交を行いませんでした。

 弔問外交とは、その国の重要人物が亡くなった時に葬儀に参列しながら、多くの外国首脳が居合わせるその機会を利用して、外交的な話し合いをして自国を優位に導くための行為を言います。これはどこの国でも通常に行っていることであり、していたからといって非難されることではありません。ですが、純粋に弔意を表するという意味では疑点がつく行為ではあります。

 大喪の礼の場合、経済大国の日本が弔問の舞台ですし、ブータンは今も昔もとても貧しい国です。この機会に経済的協力を得ようと考えたとしても無理はないと思われます。しかし先代国王はそれと全く逆のことをされたのです。


 先代ブータン国王は弔問外交を行わず、大喪の礼に出席してそのまま帰国されました。新聞記者が理由を尋ねると、国王は「日本国天皇への弔意を示しに来たのであって、 日本に金を無心しに来たのではありません」とお答えになられました。そしてブータンは、その年に1カ月間も喪に服したのです。他の国のために1カ月間も喪に服してくれる国など、私はブータンの他には寡聞にして知りません。


 ブータンという国の、日本に対する愛情が伝わって来るエピソードです。ちなみに先代国王陛下は、生前に現国王に王位を譲位されており、まだご存命でおられます。



 そしてそのお心は、現国王のジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王陛下にも受け継がれています。今回の東日本大震災に際し、ブータンは100万ドル(約8000万円)の義捐金を送ってくれました。これはGDP規模で日本の価値に換算すると1500億円に相当します。決して裕福では無い国としては、破格の援助であったと言えます。


 嗚呼それなのに、日本の野田内閣の閣僚たちはブータンのこれだけの礼に対し、信じがたいまでの非礼で応えたのです。

防衛相の晩餐会欠席 「ブータン国王よりもこっちが大事」 野党徹底追及の構え
2011.11.17 22:39

 一川保夫防衛相が16日夜、国賓として来日中のブータンジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王夫妻を歓迎する宮中晩餐(ばんさん)会を欠席し、同僚議員のパーティーで「ブータン国王が来て宮中で催し物があるが、私はこちらの方が大事だ」とあいさつしていたことが17日、分かった。

 国王夫妻にも皇室にも礼を失する行為だといえ、自民党など野党は参院での問責決議案提出を視野に徹底追及する構え。

(後略)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111117/stt11111722420013-n1.htm


 
 一川保夫という愚鈍で馬鹿なしろうと防衛大臣の問題点は以前に書きました。同時に理由なく欠席した山岡賢次国家公安委員長のことも同一記事に書いています。


【参照記事】

 一川防衛相はその後、ブータン国王の名前も知らなかったことが自民党佐藤正久議員の質問から明らかになっています。こんな無知・無能・無礼な閣僚は罷免すべきですし、任命した野田首相任命責任も問われるべきです。

 党の成り立ちからして王制を否定する日本共産党ですら、一川防衛相の非礼を非難したそうです。この男は皇室やブータン王室に対し、共産党以下の敬意しか持ち合わせていないのでしょう。そんな男が国家を守る防衛大臣とは、何かの悪夢でしょうか?

共産党志位和夫委員長は記者会見で「国賓にそういう対応をするのは、閣僚として大きな問題行動だ」と指摘した。

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/11/17/kiji/K20111117002049950.html


 さらに出席した中にも無礼を働いた大臣がいました。蓮舫行政刷新担当相が宮中晩餐会前に行なわれた立食形式のカクテルパーティーで携帯電話を使用していたそうです。

  • サンスポより引用

蓮舫大臣、宮中で携帯「不注意だった」と釈明
2011.11.19 05:00

 16日のブータン国王夫妻歓迎の宮中晩さん会に先立ち、控えの間で開かれた立食形式のカクテルパーティーで、蓮舫行政刷新担当相(43)が携帯電話を使用したことが18日、分かった。

(後略)

http://www.sanspo.com/shakai/news/111119/sha1111190501002-n1.htm


 日本人としてこのような無礼な大臣を戴いていることを恥ずかしく思います。



 ブータンは貧しい国と書きました。ですが、国民は世界一幸せな国ということも良く知られています。「GNH=Gross National Happiness(国民総幸福量)」で世界一というブータン。ですがその幸福に暗い影が差し迫っていることはご存知でしょうか?


 隣国に侵略国家、中国が存在しています。ブータンは2005年以来、中国の卑劣な国境侵害を受け続け、国土の18%がすでに失われていると言います。




 ブータン北方にあるのはチベットチベット中共に侵略され、中国領に編入されています。ブータンは実はチベットと同じくチベット仏教を信仰する仏教国です。ゲルク派カギュ派という宗派の違いから国を分けた、本来は同じ国の人たちです(ブータンカギュ派)。言い換えれば世界で一番幸福なブータンの国民の姿はチベット全体の人たちの本来の姿であるはずなのです。

 今、チベット中共支配下民族浄化の最中にあります。中共チベットを「暗黒の宗教社会であり、人民解放軍はそれらに抑圧された人々を解放する」と言ってチベットを侵略しましたが、今のチベット人ブータン人の、果たしてどちらが幸せに見えるでしょうか?




 物質的な豊かさは無いが、幸せそうなブータンの人々。



 中共軍に虐殺されるチベット人。もっと残酷な画像がありましたが、掲載は断念しました。



 ダライ・ラマ14世を慕い、国境を越えてインド方面に向かうチベット人を虫けらのように射殺する中共軍の動画。外国メディアは中国の蛮行をきちんと報道しています。


【関連記事】

 日本と同じく、ブータンも中国の侵略を受けています。日本の場合は尖閣諸島ですが、海で隔てられ、さらに日米安保条約によりアメリカという後ろ盾がある分、何とか持ちこたえています。ですがブータンの場合はほぼ孤立無援なのです(もう一つの大国、インドは昔ほど頼りにならないそうです)。ブータンには申し訳程度の国軍しかありません。陸続きの中国がその気になれば、簡単に征服されてしまうでしょう。平和を愛するが故に本格的な軍隊など無かったチベットと同じ様に。


 両親と共にチベットを脱出して生きながらえたペマ・ギャルポ氏は今回のブータン国王夫妻訪日中、通訳をされました。かつての同胞としてチベット人ブータン人とは言葉が共通しているということですね。ペマ氏はダライ・ラマの代弁者として中国を厳しく批判し続ける帰化チベット人です(2005年に日本に帰化)。


 今回の国王夫妻の訪日で、日本国内ではブータンに対する関心が高まっています。大変良いことなのですが、マスコミが普段報道しない深刻な面も実はあるのです(既存マスコミは中国の悪事は徹底して報道しませんね)。

 幸せの国、ブータンチベットの様な暗黒の中共支配下にさせる訳にはいかないでしょう。中国の侵略の矢面に立つという意味でも同志の国として、親日国のブータンと連帯する気持ちが大事だと思います。


【追記】
 いつも拙ブログにコメントを下さるTM2501さんとzDSwさんから頂いたコメントを見て、動画を追記することに致しました。

 ブータンの農業の発展に大いに貢献し、「ダショー・ニシオカ(最高の人、西岡)」と呼ばれた西岡京治さんの偉業を描いた動画です。全部合わせて40分ほどの長いものですが、お暇を見てぜひともご覧ください。日本から遠く隔てたブータンがなぜ親日の国なのか、これを観ればよく理解できる内容となっています。すべて見終えた後、感動の涙があなたの頬を伝うでしょう。

 こういう方のおかげで、日本はブータンという素敵な国とご縁が持てているということに感謝したいですね。これを観れば、先人の偉業を台無しにする馬鹿政治家の退場への思いも強くなること請け合いです。



 国旗の重み 〜西岡京治物語・前編〜



 国旗の重み 〜西岡京治物語・中編〜


 国旗の重み 〜西岡京治物語・シェムガン開発編〜



 国旗の重み 〜西岡京治物語・後編〜




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ブータン 国民の97%が”ハッピー”な国 「他人はきょうだいの始まり」
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