『ペルソナ4』第3話「We are friends,aren't we?(私たち、友達だよね?)」の感想

 恒例になりつつあるテレビアニメ『ペルソナ4』を観ての感想を書く。今回は第3話「We are friends,aren't we?」。この辺り、1話につき1人、仲間(ペルソナ使い)が増えていくという展開。原作ゲームの方も同様だったので違和感はなく、テンポの良さでグイグイ引き込まれてしまう。



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 物語は、3たびベルベットルームより。前日の経緯で級友・花村陽介(はなむら ようすけ CV:森久保祥太郎)とともに戦い、ペルソナ能力を獲得することに協力した主人公・鳴上悠(なるかみ ゆう CV:浪川大輔)。陽介と絆を構築したことにより、魔術師のアルカナを入手したことをマーガレット(CV:大原さやか)から告げられる。

 そしてそのことは、他の人間と関わり、絆を深めることにより新たな力の入手に繋がることを示唆している。余韻を残す言い回しでそれらを投げかけて、ベルベットルームの主・イゴール(CV:田の中勇)は、悠の意識下より去ってゆく。



 雨が降りしきる中、河原の階段におさげの少女がぽつんと座りこんでいた。その腕には、庇護者である少女と同じ様に所在無げな子犬が抱かれていた。雨に濡れそぼり、途方に暮れたその姿は、見る者に何らかの感慨を抱かせずにはいられない。

 おさげの少女は捨て犬を拾ったものの、家人の反対に遭って飼うことができなくなったことを儚(はかな)んでいた。ひとりぼっちで友人がいなかった少女は、雨に濡れていた子犬に自己の寂しさを投影し、思いを共有するしかない状態だったのだ。


 その少女に救いの手が差し伸べられる。傘をさして近づき、声を掛ける同齢の少女。滑稽な顔をして少女を笑わせ、悲しい気持ちを和ませる。



 それが、天城雪子(あまぎ ゆきこ CV:小清水亜美)と里中千枝(さとなか ちえ CV:堀江由衣)の、最初の出会いだった。



 物語は現在に移る。教室に駆け込んで来る千枝。雪子と連絡が取れない状態が続いているという。前日のマヨナカテレビに雪子の姿が映ったことと合わせ、親友の安否を気づかう千枝。これまでの連続殺人事件の犠牲者はマヨナカテレビに映っていたという事例があっただけに、陽介の憶測にも神経質になる。

 家業の旅館が忙しく、登校していないのではないかという悠の意見を聞き、千枝は授業をバックレてでも確認に向かおうとする。

 この時は当の本人の雪子からの携帯への連絡で杞憂であったことが判明するが、雪子を心配する千枝の気持ちが端的に見受けられるシーンだ。


 放課後、雪子のために取ったノートの文字の汚さを陽介に揶揄され、得意のカンフーで撃退する千枝。



 千枝の後ろで吹奏楽部のポスターを貼っているのは、原作ゲームでは文化系コミュを築くことになる松永綾音。1年生。チャームポイントは田舎娘っぽい赤いほっぺ。演劇部の2年生、小沢結実とどちらかしかコミュを築けない。原作ではどちらもいいキャラなので、どっちにするか大いに悩むところ。アニメでは綾音一択になるのだろうか? ぜひ改めて登場して、主人公とコミュを築いて欲しい。主人公に影響を及ぼすアルカナはザ・サン(太陽)。「JOJO」でいうところのアラビア・ファッツ(名前はゲーム版準拠)。


 バスケ部のポスターを見つめる悠に声を掛ける、2人の男。



 長瀬大輔(ながせ だいすけ 左 CV:杉田智和)と一条康(いちじょう こう 右 CV:小野大輔)。共に2年生。原作ゲームでは運動部系コミュを築くことになる。長瀬はサッカー部、一条はバスケット部。こちらは文科系と違い、どちらを選択しても両者舞台に登場する。原作では一条は初対面がバスケのユニフォーム姿で性別が分からなかった分、男らしいその声を入部後に聞いてビックリ。一条が女性に見えて、バスケ部に入部した人もいるはず。一条は実は里中千枝が好き。その割に合コンも好き。つまり女好き。長瀬は逆に朴念仁。生涯ジャージを着続ける男。将来的には葬式にも入社面接にもジャージで行くはず。主人公に影響を及ぼすアルカナはストレングス(剛毅)。「JOJO」でいうところのフォーエバー(船に化けた奴)。


 一条に入部を勧誘されるが、千枝に促され、その場では色よい返事をしない悠。陽介の「フラれたな、一条♪」が、千枝が好きな一条にとっては悠と千枝の両者に掛かっている。悠が部活をするという展開に、果たしてなるのだろうか? 個人的には見たいんだけど。


 雪子が次の犠牲者との疑いはとりあえず晴れたとはいえ、状況が気になる3人はジュネスの大型テレビ前を訪れていた。来客の多さに、うかつにテレビの中に入って行けない3人(あくまでもジュネスの家電販売場のテレビだから、こういう不都合も起こり得る)。

 手だけを突っ込み、中の住人・クマ(CV:山口勝平)に事情を聞こうとするものの、突っ込んだ手をクマに噛まれて泣き出してしまう悠(ウソ)。


 悠 「……泣けて来た」



 クマに聞いたところ、今あちらの世界には誰も来ていないという。誰もいないのに、マヨナカテレビに誰かの姿が映ったという不可思議な現象。悠たちは今晩のテレビで改めて確認することにする。


 深夜12時。マヨナカテレビの時間。悠はそこで、信じられないものを目の当たりにする。





 あのおとなしく大和撫子然としていた雪子が、リビドー全開で逆ナン宣言するといった驚愕映像が流された(ゲーム版ではもうちょっとセクシャルだった分、実はこれでも描写は抑えられている)。なぜかマイクを持ち、実況突撃レポーター口調で語る雪子の姿に、悠は呆気に取られる。西洋のお姫様のいでたちで、西洋のお城(雪子の想像力のせいか、描写が稚拙で、ラブホにしか見えないのだが)に駆け込んでいく雪子。

 何にせよ、昨日の分も含めて見間違えではなく、マヨナカテレビに映ったのは雪子だったのだ(前日の分は、予告だったのか?)。録画していなかった事を悠は心底悔やむ。放映直後に陽介から連絡が入る。同時刻、天城屋旅館に安否確認に走る千枝。やはり雪子は行方不明となっていた。



 翌日は日曜日。天気は晴れだ。いとこの堂島菜々子(どうじま ななこ CV:神田朱未)に断りを入れ、悠はジュネスに向かう。出がけにテレビニュースの天気予報でしばらく晴天が続くことを見かける。


 ジュネスの屋上フードモールで陽介と待ち合わせる悠。手すさびに折っていた鶴は、原作ゲームのアルバイトの一つ、千羽鶴折りを彷彿とさせる。

 そこに物騒な得物(刀剣の類い)を持って現れる陽介。これを持ってテレビの中に向かうつもりなのだろうが、いかんせんそれを見せる場所が目立ち過ぎた。巡回の警察官に見つかり、署に連行されてしまう。刃物を舐めながら変質的な表情で笑ってたら、当然の仕打ちで自業自得なんだけど。



 そこに雪子の失踪を告げにやって来る千枝だったが、一足違いにパトカーが発車してしまう。



 ここでCM。前回の勇気に続き、知識と寛容さが上がっている。今回、その辺が上がるシーンは無かったような気がするんだけど? むしろ幼い菜々子を放っておいて出かけるなど、寛容さはマイナスかと。クマに噛まれても泣いたり怒ったりせずに流した点が評価されたのか?



 刀剣には刃がついていなかったということで、疑いが晴れて早々に釈放される悠と陽介。早期釈放には、悠が署の刑事・堂島遼太郎(どうじま りょうたろう CV:石塚運昇)の甥であることが影響していることを刑事の足立透(あだち とおる CV:真殿光昭)は示唆する。

 そこで千枝と再会し、千枝はようやく2人に雪子の蒸発を伝えることが出来た。雪子がいなくなったことに関して、事情を聞こうとする足立。連続殺人事件の最初の犠牲者、山野アナウンサーが天城屋旅館に宿泊していた経緯から、まるで雪子が事件に関わっているかのような物言いをする足立に、千枝は怒りを爆発させる。

 掴みかからんばかりに怒る千枝を引き留め、落ち着かせる悠と陽介。確かにこの場面の足立の態度はひどい。その騒ぎを聞き付け、悠の叔父であり足立の上司である堂島がやって来る。泣きだす千枝に何を言ったのか足立に詰問する堂島だったが、その態度が怖くて足立は口ごもってしまう。


 署を出た千枝は強い決意に満ちた表情をしていた。


 千枝「雪子を、助けなきゃ!」


 前回は悠と陽介を止める立場だった千枝が、今度は率先してテレビの中に向かう。クマの案内で、昨日マヨナカテレビに映っていた西洋風のお城の前にやって来た3人。千枝は残るように言われたのも聞かずに、勝手にずんずん進んで行ってしまう。

 千枝を追う悠たちの前に、シャドウが現れる。原作ゲームの時も思ったんだけど、千枝はペルソナ能力も無いのに、こんなシャドウだらけの中をどうやって先に行くことが出来たのかと疑問だったんだよね。単に出現前に通り過ぎていただけらしい。


 ペルソナを呼び出し、戦闘準備を整える悠と陽介。



 前回でペルソナ能力を会得した陽介の召喚カットイン。



 圧倒的強さでシャドウを切り裂く、悠のペルソナ「イザナギ」。ちなみに切られているシャドウ名は「トランスツインズ」。


 悠たちが戦っている間に先行する千枝。ドアを開けた先は、無機質な色合いの部屋だった。そこは親友として何度も訪れ、見慣れた雪子の部屋。雪子の思いが千枝に聞こえて来る。


 「千枝だけが私の存在に意味を与えてくれた……」


 初めて2人が出会った時から千枝に対して抱いていた思い、それは雪子のコンプレックスであり、かつ千枝の優越感へと繋がっていた。

 雪子を守り続けて来た「優しい千枝」を、まさに演じていたということを嘲笑しながら辛辣に指摘する声。そちらを向いた千枝は、自分と同じ顔をしたその声の主・シャドウ千枝と出会する。



 美人で男子生徒から絶大な人気の雪子が自分を頼っている、卑屈な目をしながら縋(すが)っているということを自己の優越感にして、親友という名の共依存関係に満足し続けていたという真相をズケズケと言うシャドウ千枝。自分の醜いその考えをどうしても認めたくない千枝は、追いついた悠たちにその姿を見せたくなくて錯乱する。

 その場に流れる負の感情を感じたシャドウたちが大量に押し寄せる。自分の本心と向き合うことを拒否した千枝。その態度は陽介の時と同じく、シャドウに力を与える行為だった。


 「アンタなんか、アタシじゃない!!」


 その言葉を聞き、ついにシャドウの力が発動してしまう。



 シャドウ千枝がその力を得た姿。シャドウ名「千枝の影」


 今までの犠牲者も、自らのシャドウと向き合うことが出来ず、そのシャドウに殺されて来た。襲いかかるシャドウから千枝を救い出す陽介、そして悠。

 強力な力を持つ「千枝の影」。本体の千枝には消えてもらい、後は自分が雪子の世話をすると告げる。あくまでも親友では無く、踏み台として。本当に一人では何も出来ないのは千枝自身であり、雪子はそのためにも手放せない踏み台だと「千枝の影」は語る。

 心の奥底にある、余りにも醜い本音を見せられる千枝。雪子に対する嫉妬が歪みを来たし、シャドウを生み出したことが暗示される。

 落ち込む千枝に、陽介と悠が励ましの言葉を送る。


 悠 「それでも、友達なんだろ?」


 それを聞き、改めて雪子を思う自分の心に偽りは無いことを思い出す千枝。


 千枝「私たち、友達だよね?」


 ずっと見ないふりをしていた自分の中の醜い部分とついに向き合う千枝。「千枝の影」の力の源泉が失われ始める。しかし千枝が向き合わなかった期間が長かった分(おそらく初対面の時点からの感情)、強い思念で抵抗を続ける。悠を吹き飛ばし、陽介の首を絞めつける。

 ピンチが訪れる中、悠はベルベットルームでマーガレットに言われた言葉を思い出す。複数のぺルソナを使いこなせる「ワイルド」の自分の中には、陽介との絆を築いたことで得た新たな力、ペルソナ能力が備わっていることに思いを致す。

 悠はペルソナをチェンジし、新たなペルソナ「ジャックランタン」を召喚する。複数のペルソナを使いこなせるワイルド能力に驚くクマ。陽介はピンチにも関わらず、その能力に嫉妬する(首を絞められながら)。



 ジャックランタン」は見た目通り火炎魔法が得意。偶然なのか、千枝(「千枝の影」)は火炎属性が苦手なので、ここで召喚するには最適のペルソナなのだ。ゲームをするときは参考に。ただ「ジャックランタン」はここで入手するには、些かレベルが高すぎるんだけど。


 「ジャックランタン」の能力で陽介を掴んでいた鞭状の触手を焼き払う悠。そして開放された陽介とともに合体攻撃へ。



 原作ゲームでは(全ての)敵の弱点属性をついた時に現れる、全体攻撃カットイン。一方的に総攻撃で大ダメージを与えることができるので、積極的に狙って行くべき。


 「ジライヤ」と「ジャックランタン」の合体魔法で燃え盛る「千枝の影」。相次いで弱点を攻撃され、ついにその力を失う。



 燃え尽きた後に残るシャドウに向かい、自分の一部であったことを肯定する千枝。


 「アンタは、アタシ……」


 その言葉を受け、シャドウはその真の姿を示す。



 千枝がその心と向き合うことによって手に入れた新たな力、ペルソナ「トモエ」。平家物語に登場する女丈夫、巴御前がモデル。パワフルな千枝のペルソナらしい。アルカナはチャリオット(戦車)。得意技は氷結魔法と物理属性技。苦手相性は火炎属性。


 自分の心と向き合い、ペルソナを手に入れた千枝を、優しく見つめる悠。



 自身の問題を解決し、余勢をかって一気に雪子を助けに行きたかった千枝だったが、受けた精神的・物理的衝撃は相当なものだったのだろう。身体の自由が利かなくなるほどに消耗していた。やむなく戻った現実世界で、自分の至らなさを悔やむ。

 こちらに雨が降り、霧が立ち込める時がテレビの中の世界に行ってしまった人間の生存のタイムリミットなのだ。逸(はや)る気持ちももっともであった。だがそれを慰め、雪子救出には千枝の力が必要だと語る悠。

 慰めと励ましを同時に受け、感謝する千枝。特別に見せたいものがあると言い、携帯の待ち受け画面を悠に示す。憎まれ口を叩きながらも、愛情を持っていることが良く分かる表情の千枝とともに映るのは、雪子の胸に抱かれていた頃からは想像もつかないぐらい大きく育った、あの子犬であった。



 あのとき犬が飼えなくて泣いていた雪子のために、千枝は代わりに飼うことを申し出たのだろう。千枝にとっては、この犬が雪子との出会いのきっかけを作ってくれた、恩人でもあった(恩犬?)。待ち受けを見て、雪子が本当に大事な親友であることを改めて思い返し、雪子救出に全力を上げることを千枝は期する。



 エンディング



 今回のエピローグ。一瞬謎の人物の横顔が映る。笑みを浮かべるその表情は、マヨナカテレビでの惨事や、そこで煩悶する人々を嘲笑っている様子。果たしてこの謎の人物は?



 以下、次回。



 今回は千枝がペルソナ能力に目覚める回。かなりヘビーな話で、千枝や雪子の感情に関して、身に覚えのある人もある程度いたんじゃないかと。次回の雪子の心の内のドロドロも、別の意味でヘビーに思える人がいるかも知れない。

 あとテレビの中の世界に送られた人物を救出するリミットが今回言及されている。天気予報の概念が、この世界ではとても大事な由縁である。だからこの作品中、天気予報は必ずハズレない。何かすごい。



 次回「Somewhere not here(ここではない、どこか)」に続く。



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