野田内閣の問題点・その2 【財務大臣・厚生労働大臣・文部科学大臣編】

 今朝の毎日新聞の政策・総合面に興味深くも情けない記事が載っていた。本編の前に触れておきたい。

野国対委員長:「内閣不完全、十分な国会答弁できない」

 民主党平野博文国対委員長が7日の与野党国対委員長会談で、臨時国会の会期を13日から16日までの4日間と提案した理由について「今の内閣は不完全な状態で、十分な国会答弁ができない」と説明した。平野氏は6日の政府・民主首脳会議でも、閣僚のテレビ出演の自粛を求めた。閣僚の「勉強不足」を認めた形の平野氏の発言に野党側は反発している。

 臨時国会の会期について、民主党は代表質問を実施した後いったん閉会し、野田佳彦首相がニューヨークでの国連総会から帰国した後、改めて国会を開きたい考えだが、野党側は早期の予算委員会実施を求め、4日間の日程に反対している。

 野田内閣は10人が初入閣。野党はシビリアンコントロール文民統制)を巡って失言した一川保夫防衛相らを追及する構えをみせている。こうした中での平野氏の「不完全」発言に野党は反発。公明党の漆原良夫国対委員長は「与党国対委員長の言葉として非常に重い」とその場で抗議した。結局、会期を巡る与野党の主張は平行線のまま、結論を8日以降に持ち越した。

 平野氏は会合後「内閣が発足したばかりで体制が整っていないという意味だった」と釈明したが、身内に「不完全」と指摘された政府側の反応も複雑。藤村修官房長官は7日の会見で「いちいちコメントしない。(答弁は)しっかりやれると思っている」と語った。

 一方、新内閣の閣僚が国会で答弁する前にテレビで発言していることについて、野党は「メディアでにぎやかにしゃべっているのに、国会でしゃべれないのはおかしい」と批判している。

 平野氏が閣僚のテレビ出演自粛を求めたのは、こうした野党の反発を恐れたためだが、閣僚以上に自らの発言で野党の反発を買う展開になっている。【岡崎大輔、朝日弘行】

毎日新聞 2011年9月8日 1時40分(最終更新 9月8日 1時52分)

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110908k0000m010150000c.html


 与党国対委員長の対外的な仕事は主に野党国対と事前に話しあって意見をすり合わせ、落とし所を決める事によって本番の国会質疑、答弁が滞りなく進められるように地ならしする役目であり、本来は潤滑油的存在のはずだ。

 その国対委員長が「大臣たちは不完全で勉強不足だからまともな答弁ができそうにない。だから臨時国会は4日間という短い期間にしたい」と言ったのだ。

 4日間という短い会期では、予算委員会すら開かれないだろう。予算委員会は議論の華で、野党が大臣を攻撃している場面がよくニュースで流されるが、それはほとんどがこの予算委員会でのシーンなのだ。バカ大臣では野党から突き上げられるとたちまち馬脚を現し、政権がいきなり持たなくなる可能性を考慮しての日程なのだろう。姑息な手段であって、野党が反発するのも当然だ。

 そんな理由で日程を決められたら野党ならずとも怒り心頭だが、身内であるはずの国対委員長から「無能で馬鹿」扱いされた大臣たちもいい面の皮だ。もちろん平野国対委員長の身内に関する評価自体は正しいが、その正論の帰結は、そんな馬鹿たちを大臣に任命した野田首相任命責任としてそのまま跳ね返ることとなる。

 左翼にありがちな内ゲバが、首相の所信表明演説よりも前から表出して来ているのは、ある意味末期症状であり、内閣支持率の高さなど関係なくこの政党が与党としての政治的かつ歴史的役割を終えたような印象を感じる。



 では、昨日の続き。野田内閣は支持率こそ高いが、閣僚の任命に関して余りにも常識外れで異常な人事をしているということを挙げて行きたい。その実態は民主党内の派閥均衡のみを重視した、国民不在の想像を越える稚拙で、罪深い人事なのである。


【関連記事】


 今回は財務大臣厚生労働大臣文部科学大臣を取り上げる。


 まずは財務大臣安住淳氏から。



 安住淳財務大臣衆院宮城5区選出。


 安住淳財務大臣は、49歳での就任。財務大臣としては異例の若さでの就任だが、このヒトは実は経済や財政の専門家では無い。前回の一川保夫・防衛相と同じく、全くの素人なのだ。野田首相が安住氏を財務大臣に就任させた理由として考えられるのは、このヒトが増税賛成派ということと、被災地の宮城県選出の議員で、顔が知られているということが影響していると思われる。
 

 安住財務大臣東日本大震災のとき(当時国対委員長)、被災地で不足していたガソリンの問題を受け、「ガソリンを運んでもスタンドがつぶれてて貯蔵できるところが無い。学校のプールに貯めてはどうか」というトンデモナイ馬鹿発言をして、世間知らずが露呈した人物だ。



 そういう貯蔵がそれまで何故なされていないのかを良く考えましょう。セルフのガソリンスタンドで自分の手でガソリンを入れた経験のある人間なら、その危険性は誰でも想像がつく。ガソリンは揮発性・引火性が高く爆発を起こしやすいため、定められた場所以外での貯蔵は法律で禁止されている。

 かつてこのヒトは党内でガソリン税暫定税率廃止を呼び掛ける「ガソリン値下げ隊」なるものを組織していたというのに、こんな知識は無かったらしい。早稲田の雄弁会出身ということで弁は立つらしいが、雄弁の元となる基礎教養がそのレベルではそれ以前の問題だ。


 また尖閣での中国漁船衝突事件時にはビデオ公開に反対し、sengoku38こと元海上保安官一色正春氏がビデオを流出させた時には厳しい口調で一色氏を批判していたということも覚えておいた方が良い情報だろう。



 続いて厚生労働大臣小宮山洋子氏。



 小宮山洋子厚生労働大臣衆院東京6区選出。黄色がご本人のカラーらしく、「紺やグレーの背広を着た男性議員ばかりの議場はドブネズミ色に見える」そうです。


 小宮山厚労大臣の「タバコ1箱700円」発言は個人の意見としては傾聴に値するものなのかも知れない。だがこれは野田内閣の厚労大臣就任早々の発言であり、閣内一致の原則からすれば極めて問題の多い軽率な発言だ。

 たばこ税の管轄である上記の安住財務大臣もこの発言の火消しに躍起であり、小宮山氏の発言が閣内で意見の交換もなされてないままの発言という状況を図らずも露呈させた。


ロイターより一部抜粋

 厚労相のたばこ増税発言、バランス欠いた議論>

 小宮山洋子厚生労働相が言及したたばこ増税に対しては、税制の中で「たばこだけを抜き出して議論することはバランスを欠いている」と全体を踏まえた議論が必要とし、小宮山厚労相が1箱700円という金額を挙げたことについては「700円は私の念頭にない」と述べた。

http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPnTK050124320110906


 TBSの「ひるおび!」で新党改革舛添要一氏がこの問題で良い事を言っている。

「大臣が公の席でしゃべるのは個人ではない。希望的な事を言っては駄目だ。大臣がこうすると言ったら、政策としてこうするという事だ。根回しをしたのか? メディアを仲間に引き入れたか? 野党を引き入れたか? 700円と数字を言ったら政策だ」

http://ponko.iza.ne.jp/blog/entry/2433976/


 かつて厚生労働大臣を務めた人物のこの発言は重い。小宮山氏の軽挙は、冒頭引用した平野国対委員長の憂慮する「馬鹿発言」の一つとして、一川防衛相の馬鹿発言と並んで野党の攻撃材料になりそうだ。


 またこのヒトは在日参政権の熱烈な推進者であり、国旗国歌法にも反対した経緯と合わせ、政治信条的に民主党内でも最左派に属すると言っても良い。



 今日の最後は文部科学大臣中川正春氏。



 中川正春文科大臣。衆院三重2区選出。


 5期当選している割には、上記の2人と比較して全く知名度の無い人物だ。当方も今回入閣するまで、こんなヒト全く知らなかった。

 ただWikipedeiaを見てみただけでも、この人物が教育行政のトップに就くことがどれだけ大問題かということは明白なので、紹介したい。

民主党娯楽産業健全育成研究会の会員。また、パチンコチェーンストア協会政治アドバイザーであり、パチンコ業界と強い繋がりを持つ。
2008年(平成20年)1月、在日韓国人等に参政権を付与することを目的とする「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」に参加。
北朝鮮難民と人道問題に関する民主党議員連盟の会長
北朝鮮の難民と人権に関する国際議員連盟(IPCNKR/International Parliamentarians' Coalition for North Korean Refugees and Human Rights)の共同議長。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B7%9D%E6%AD%A3%E6%98%A5


 肩書きを見ると、朝鮮半島のスパイと疑ってしまう。


 さらに文部科学省に関しては、新たな問題が浮上している。文科省が監督、指導する立場であるはずの日教組出身の議員を政務官にするという暴挙が、野田内閣の責任で行われているのだ。


産経新聞より引用

日教組出身者を文科政務官に…高まる介入の懸念 輿石氏に配慮か?
2011.9.5 22:34

 政府は5日の臨時閣議で野田内閣発足に伴う各府省の副大臣などの人事を決定したが、日本教職員組合日教組)出身の神本美恵子と水岡俊一参院議員を、文部科学政務官首相補佐官にそれぞれ起用する異例の人事を行った。

 同じく日教組出身の輿石東(あずま)幹事長兼参院議員会長に配慮した形だが、野田政権で文部行政に日教組がさらに介入する懸念が出てきた。

 日教組出身者の文部行政への関与は、平成7年の村山内閣当時に、佐藤泰介氏が文部政務次官に就任して以来とされる。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110905/stt11090522350012-n1.htm


 これは、前回紹介した国家公安委員長と同じ問題をはらんでいる。本来ならば当該省庁が監督するべき存在の人間が、政権が変わったばかりに自分たちのトップとして乗り込んでくるのだ。文科省の役人も、さぞ不条理に思っていることだろう。


 それもこれも、小沢一郎の協力を得るため、小沢側近の輿石東氏を党幹事長に就けてしまった弊害だろう。この件は日本の教育行政の大きな汚点として、その悪影響は今後長期間に渡って及ぶ可能性がある。罪深さでは他の人事以上のものがあると思う。

 
 輿石氏を始めとする野田首相民主党党首)の党人事の問題点、そして何より、野田首相自身の問題点も以後触れる予定でいる。



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