『バイオハザード3 ラストエスケープ』の感想文

 前回のエントリーで『バイオハザード』の話をしたので、今回は『バイオハザード3 ラストエスケープ』の感想を紹介する。【ゲームクエスト】に投稿した『バイオ』関連の感想文は、これで打ち止めになる。時系列的に『バイオ1』と『バイオ2』の感想を書く前に投稿したものなので、当ブログの展開とは違う内容になっているが、ご理解頂きたい。

 また『Code:Veronica』『バイオ0』『バイオ4』といった、まだ書いていない分はいずれ書き下ろしたい。いつになるか分からないけど、今夏に間に合えば良いかなと思う。ホラーゲームの感想は、やっぱり夏が相応しいから。



 『バイオ』関連のその他の感想文は、こちら。

甘茶さん の「バイオハザード3 ラストエスケープ」 (プレイステーション)
経験が知る恐怖
 甘茶さんは、「バイオハザード3 ラストエスケープ」の感想です。10年ぶりに遊んで、またも“不意打ち”の演出に驚かされるというのは、納得。だからこそ楽しいとも言えますね。「5」にも期待したいところです。

甘茶
経験が知る恐怖(2008.12.09)

 ゲームクエストに感想を投稿するに当たり、自分自身に課した“Myルール”の一つに、「恐怖ゲームの投稿は夏にする」というものがある。今回そのルールを真っ向から破っているのだが、最近ハマっている趣味の動画サイト巡り中に、『バイオ』関連のオモシロ映像をいろいろ見つけてしまい、それに触発されてしまったという次第だ。で、何故に今回『バイオ3』かというと、荒れ狂う魔窟の如く散らかる当方の部屋で発見出来たのが、これだけだったからである。一応プレイしておかないと、間違った事書いて恥をかく事になりかねないので。『バイオ1』、『バイオ2』、『Code:Veronica』、『バイオ0』及び『バイオ4』(書いてて改めて気付いたが、シリーズ多いなぁ、おい)の感想は、夏の為に取っておこうと思っている。


 上述した様に、当方は大抵の『バイオ』シリーズをプレイしている(携帯ゲーム版及び『アウトブレイク』シリーズを除く)。友人宅にて『バイオ1』を一見した時、セガ派の当方がプレステ購入を決意せざるを得ない程の、激烈なまでのインパクトを受けた事を覚えている。ハードごとソフトを購入し、プレイ環境が整った時は、それこそ猿の様に、覚えたての男子中学生の様にヤリまくったものだ(ゲームを、ね)。文字通り「一日一クリア」の生活で、この傾向は『Code:Veronica』まで続き、それぞれ50回以上はクリアしたと思う。今回その甲斐があったと言うべきか、久々のプレイにも関わらず、当方のコントロールする主人公「ジル・バレンタイン」は一度も命を落とす事無く、6時間程でクリアする事が出来た。本格プレイ時には2時間を切っていたのだが、特に謎解きに於いて記憶の曖昧なところもあったし、ムービーも飛ばさずしっかり観たし、クリア後の隠しモードの『The Mercenaries(ザ・マーセナリーズ)』での装備強化も無かったのだから、妥当な成績だと思う。

 さておき感想だが、今プレイしてみても十分面白かった。さんざ遊び尽くしたゲームだったというのに、プレイ中は時間の経つのも忘れ、恐怖世界にどっぷりと没入してしまった。そしてクリア後の満足感と共に、名作は色褪せないという事を改めて認識した。何しろ、昔プレイした時怖かった【追跡者】が、当時の恐怖がフィードバックして来たからか、昔より怖く感じたのだ。強敵であったという経験が恐怖を増幅する効果を果たした、と当方は分析しているのだが、何も知らないより、なまじ知っているから感じる恐怖感覚。これは新鮮だった。『久しぶりのプレイで腕前の落ちた今の自分に、この強敵を倒す事が、果たして可能なのか……?』と思うよりも前に、当方の操るジルは彼奴に背を向けて走り出していた(反射的に)。背中でドアを閉じて一息。……って、そういや彼奴は……。

 果たして【追跡者】は当方のよみがえった記憶通り、「ドアを開けて」ジルを追いかけて来たのだ。


 「(追)(((ノ`Д#)ノ ……スターズ!!」

 「(ジ)Σ r(‘Д‘n;) キャア〜〜〜ッ!!」


 初プレイ時にもドッキリさせられた演出だが、それから10年近く経って、今また驚かされるのは、製作者に己の進歩の無さを指摘された様で何とも不愉快だ。ただ恐怖ゲームフリークの目線から見れば、相変わらずのこの“不意討ち”が嬉しかったりするのだけど。


 『バイオ1』からのプレイヤーには、良作と言えどもマンネリ感を漂わせ始めていた当シリーズのプレイ感覚を、「ドアの向こう」という安全地帯を失わせる事、ただそれ一つで、ぎゅっと引き締め直した感がある本作。本作以前の『バイオ』プレイの常識として、敵クリーチャーの存在するゾーンからドアを開けて外に出れば安全という感覚があり、擦れっ枯らしのプレイヤー程このシステムにはビビらされたのではないかと思う(当方が、まさにそうだったから)。安全地帯を失わせる事により心の余裕をも侵害されるこの感覚は、単純に恐怖感を増幅させて、実に見事な演出だと思う。追いつめられる怖さを存分に、嫌という程味わわせてくれるのだ。


 それにね、【追跡者】がまた、走るのが速いのよ。悲しいかな、ジルは女性だ。女の足で逃げ出しても、五歩と進まないうちに追いつかれ、強烈な一撃を後頭部に食らわされる。彼我のスピード差が圧倒的で、それがまた恐怖につながるのだが、不利を解消する為に、女とは思えない怪しげな動きでジグザグに走って攻撃を避けるジル。第三者目線で見ると笑えるシーンだが、プレイ時は笑う余裕など勿論無い。

 後半など、【追跡者】怖さに距離を置くと、なんとロケットランチャーをぶっ放してくる無茶っぷり(生身の女性に。ただ命中しても一発ぐらいでは砕け死なないジルも、女の子らしからぬ頑丈さだと思う。タイラントでも一発で死ぬ武器なのに)。『バイオ3』を語る上で、欠かせない……というか、【追跡者】の存在こそが『バイオ3』の全てであると極言しても支障は無いと思う(故に今回は敢えて【追跡者】関連に感想の多くを割いている)。


 何度も言うが、他のシリーズとの差別化を図り、『バイオ3』に独特の価値を持たせている敵キャラの存在感は絶大だ。映画なら、助演男優賞は間違いなく彼奴、【追跡者】であろう。彼奴に比べれば、ジル負傷時に操作するセカンドキャラと言えども「カルロス・オリヴェイラ」などは脇の脇キャラだし、悪党のロシア人傭兵に至っては、名前すら思い出せない程に印象が薄い(クリア後のミニゲームで名前を確認したが、やっぱりどうでもいいので割愛)。


 『バイオ4』以降は、製薬会社「アンブレラ」との抗争からは離れた感のあるシリーズ(黒幕「ウェスカー」の組織との闘いは、まだ続きそうだが)。それ故に、ゾンビ・ホラーというジャンルからも外れて行く展開になりそうだ。【追跡者】そのものも、シリーズ登場の余地は無いのかも知れない。マンネリ感の払拭の為にも、このシステムの二番煎じはあり得ないだろう。

 正直、ちょっと残念な気もしているのだが、ユーザーの期待を(主に)良い意味で裏切ってくれるカプコンの事だ。【追跡者】の恐怖以上の、きっと当方の想像も付かない、背も凍りつく様な恐ろしい演出が今後の『バイオ』シリーズで味わえるに違いない。…取り敢えず、来春発売予定の『バイオ5』がプレイ出来るハードを買わないといけないのが頭の痛いところだ。ただ、ハードごと買わせる魅力のあるゲームが、当方にとっては『バイオ』シリーズであるのだけど、ね。



 本作『バイオ3』版のジル。


 映画「バイオハザード2 アポカリプス」版のジル。ゲームから抜け出たかのようにそっくりで感心した。演じているのは、シエンナ・ギロリー。なお、同映画には追跡者「ネメシス」も登場。



 『バイオ3』では、感想文中で触れた【追跡者】以外にも緊急回避とクイックターン、アイテムのランダム配置という新システムが加わった。いずれも意欲的なシステムだが、緊急回避は本作のみで、以後には継承されなかった。これはその発動があいまいで、攻撃しようとしたら回避してしまったという暴発が頻繁に起こったからだと思う。またその万能性の故、本作の難易度をかなり押し下げた印象もある。その辺が製作サイドが以後の『バイオ』で緊急回避を採用しなかった理由だと思う。

 逆にクイックターンは本当に使えるコマンドで、それでいて難易度を破壊するものでも無かった為、以後のシリーズのスタンダードとなった。本作プレイ後『バイオ1』や『バイオ2』をプレイすると、ついつい「×キー+十字キー↓」コマンドを入力してしまう。その時点では仕様では無いのに。


 『バイオ2』の良く出来たザッピングシステムと比較して、主人公がジル・バレンタイン一人なのは少し物足りない感があったが、全体を通して出来を俯瞰して考えると、本作は“プレステ1の『バイオ』”では最高の傑作品であったと思う。【追跡者】の事を忘れた頃に、またリプレイしてみよう。



 【追跡者】がらみの動画があれば、ぜひ紹介したかったんだけど、『バイオ3』のオモシロ動画がまったく見つからなかったので、『バイオ4』から空耳バイオ。google検索で215000件もヒットする事で有名な「オッパイのペラペラソース」など、言われて聴けば、確かにそう聴こえる言葉を集めた動画。「どですか?」と「いったい何故なんだ!」は、絶対言ってる(2分39秒辺り)。

 もとはスペイン語なんだけど、なんて言っているのかの対比があれば、よりイケテる動画になりそう。スペイン語が得意な人、誰か挑戦してみて欲しい。



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