『バイオハザード・ディレクターズカット』 時代が許容した焼き直し『バイオ』の感想

 本日は以前購入したバイオハザード・ディレクターズカット』の感想文を書く。このブログを初めて初のプレイ体験書き下ろし感想文となる(『スーパーマリオ』の書き下ろし感想文は、結局スタートボタンを押しただけで『スーパーマリオ』をプレイせずに書いてたし)。ただこれも15年も前のゲームであり、凡庸な感想文を書いても同じようなレビューは既にネット上に溢れている事が予想される。退屈させてしまったとしたら、ごめんなさい。一応、プレイしたゲームの感想文は全て書きたいと思っているし、タイミング的にもクリア直後であり、無印『バイオハザード』の感想文を上げた直後でもある今、発表するのが最適であると思われたので。

甘茶
時代が許容した焼き直し『バイオ』(書き下ろし)
 『バイオハザード・ディレクターズカット』の一番難しいモードである「アレンジ」モードを無事3時間以内でクリアする事ができた。無事というのは言い過ぎかもしれない。プレイヤーキャラの「クリス・レッドフィールド」と「ジル・バレンタイン」でそれぞれ2度クリアしたのだが、都合5〜6回は死んでゲームオーバーになっている。ストーリー攻略中盤でそれまでの「ゾンビ」に替わってメインの敵として現れる「ハンター」が、そらもう強過ぎなのだ。本作の感想、何はさておき、今回味わった苦労話から書かずにはいられない。

 即死攻撃を食らうと、残り体力(ヒットポイント)の如何に関わらず、死ぬ(「即死攻撃」と言われるだけに)。これは本作に限らず、無印『バイオ』の頃から以後も受け継がれるシリーズ伝統仕様というヤツなのだが、本作はその頻度が無茶なのだ。ハンターの首狩り攻撃がそれなのだが、とにかく物凄い高頻度でその攻撃を仕掛けてくる。そりゃもう、親の仇の如く連発して来るのだ。固定カメラの切り替え式の本作でこの攻撃がどれだけ恐ろしいかは筆舌に尽くしがたいのだが、視認できないところから一瞬でゲームを終わらせられるという理不尽なもので、興をそぐ事甚だしかった。即死攻撃動作前には叫び声を挙げるので対処可能かと思いきや、かわす隙も反撃する隙もありゃしない。無印『バイオ』の時はノーセーブで最後まで一気に行けたが、今作は正直無理。コイツが出現する手前でのセーブは必須となってしまっている(プレイした人にしか分からないと思うけど、寄宿舎から洋館に戻る際、セーブ部屋に寄るのが義務になった)。

 無印『バイオ』の時から強敵だったが、本作はちょっと強化し過ぎの感がある。しかも出現数もアホほど多い。3匹のハンターに囲まれて交代交代、順繰り順繰りに引っ掻き続けられて、ウチのジルが「ア〜ッ、ア〜ッ」叫びながらのけぞり硬直し続け、反撃できずに死んだ時は、そらもうその理不尽さに三上真司(『バイオ』シリーズを産んだ男。本作ではプロデューサー)も心から呪うわ。

 戦わずに極力避けて進むのが正解なのだが、ゲームクリアの為には、ハンターが大量に潜むゾーンを通過しない訳には行かないのだ。とにかく前作以上に憎たらしさに拍車がターボでかかっている。余談だが、無印『バイオ』のエントリーの時に触れた、クリスのパートナーキャラの「レベッカ・チェンバース」の首を切断するのも、コイツ。本作でももちろん収録されているイベントなので、もし助けられなかった場合はリセット推奨。


 パートナー及び非使用キャラ(クリス使用時はジル、レベッカ。ジル使用時はクリス、「バリー・バートン」)を死なせる事なく救出した上(ベストエンド)でクリアする事で、2周目プレイ開始時に強力なマグナム弾を無限に撃つ事ができる武器「無限コルトパイソン」を入手できる。これを入手しておけば、弾や武器を余分に持って歩き回る必要も無くなり、持ち物に余裕ができるので、3時間クリアも相当楽になる。ゾンビは中盤、洋館地下厨房に出現する異様に硬いゾンビ1体を除けば、一撃で倒す事が可能なので、敵との戦いの時間も短縮できる。ファーストプレイでは銃弾の数の少なさと、敵の数の多さに悩まされ、ナイフで戦わざるを得なかった展開を考えると隔世の感がある。

 意外な落とし穴として、ゾンビ犬の「ケルベロス」を相手にする時は注意。コルトパイソンの武器ダメージにマイナスの補正が掛かっているらしく、簡単には倒せない様になっている(数値的に1発で十分倒せるはずなのだが、2〜3発は撃たないと倒せない)。複数で現れた時は痛い目を見て、まとめて足止めが効くショットガンを取らなかった事を後悔するかもしれない。当方の苦い経験だが。

 3時間以内でクリアできれば、シリーズ最強の武器、「無限ロケットランチャー」をゲットでき、全プレイヤー垂涎の逆殺戮プレイが可能となる。ラスボスの「タイラント」を含め、どんな敵でも1発で屠れるので、虐められた敵クリーチャーたちに仕返しするチャンスだ。爽快感、痛快感はそれまでのプレイで虐げられていた分絶大だが、別のゲームになってしまう事も否めない。少なくとも、洋館を初めて訪れた時の恐怖感は脳内からキレイサッパリ失せるだろう。まぁその辺は、おまけのカタルシスプレイと割り切ろう。



 恨みがこもったプレイ談から離れ、全体を俯瞰して本作『バイオハザード・ディレクターズカット』を語ろう。プレイして目に付いた無印『バイオ』からの変更点は、

  • プレイヤーキャラ及びレベッカの初期コスチュームの変更。
  • 敵キャラの強化、及び再配置。
  • アイテムの再配置。
  • ごく一部でのカメラ視点の変更。
  • 意味が伝わり難かったファイルなどの説明文が分かり易く書き直されている。


 ……といったところか。
 正直、それほど大きな変更点は無いと言える。前作をプレイして、すぐに本作をプレイすれば、余りの変化の少なさに不満を感じるのではないだろうか? 当方もクリアしてみて、あまり大差ない印象を受けた。あえて印象に残る点を言えば、やはり敵キャラの強化からくる、難易度が物凄く上がった点ぐらいか。前作を100回以上クリアしている当方でも何度も死んで苦労する仕様は硬派な変更点と言えるかもしれないが、対処しづらい理不尽さでそれを為した上で、それをもって改良であると表現してはならないと思う。私情を交えずにそう思う(本当)。

 変更点の少なさを合わせて考えても、本作頒布は現代では通用しない、リメイク以前の焼き直し商法だったと思う。新しいタイプのホラーゲームたる『バイオハザード』が大ヒットして、プレイヤーが新しい『バイオ』に飢えていた環境、当時開発中だった『バイオハザード2』を待ちきれないファン心理、そこに未だ興隆期であったゲーム業界へのファンの期待などが複合して、本作はこの世に生まれたあだ花のような作品であったと思う。

 ただ、といって本作が全く存在価値が無いかと言えば、実はそうでもない。「アレンジ」モード以外のモードでは、初心者も遊べる「ビギナー」モードなどもある。前作を遊んでいない人はもちろん、前作が難しいと断念した人にも楽しめる工夫が施されている。もちろん前作と同じ設定で遊べるモードもある。定価が1000円下がっている面も踏まえ、本作は「おまけ付き廉価版」と言い換えても良いだろう。というか、その方が本作を表すのにしっくりくる。「ディレクターズカット」なんて伝わり難い言葉でもって格好つけたのも、時代ゆえなのかもしれない。


 まぁ、久々に遊んでみて楽しかった事は事実。何度も言うけど、ハンターだけはいろいろ許せんけどね。無限ロケットランチャーも入手した事だし、今から恨みを晴らす為の「ハンター」ハンタープレイでもしようかな。


 付記しておくと、本作には『バイオハザード2』の体験版が同梱されている。当時としてはこれが目玉だったと思うのだが、もう既に『バイオ2』の本編を50回以上プレイしている当方にとっては同時収録の『ロックマンDASH』の体験版の方が新鮮で、無性に面白かった。これはぜひ本編をプレイしたくなる良い出来であった。本作は中古で安価に購入した訳だけど、これだけでもその価値があった。機会があれば、『ロックマン』シリーズもプレイしたいな〜。


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