『バイオハザード』 ホラーゲームの原点にして原典の感想文

 『バイオハザード・ディレクターズカット』を比較的安価に入手できた。久しぶりにプレイしているが、アイテムの位置や敵キャラの強さ、カメラアングルの違いなどがあって楽しい。

 が、しばらく続けてみて、本当に面白いのは基本、つまり基になった『バイオハザード』そのものの根源的な楽しさであって、単にその面白さの上澄みに浸っているというだけだという事に気付く。もう何年前のゲームなのか忘れてしまうぐらい古いゲームなのに、未だに面白いんだから、凄い(今調べたら1996年のゲームで、実に15年も前の作品だった)。

 そこで今回は元祖、無印のプレイステーション版『バイオハザード』の感想文を紹介する。寒い季節にホラーゲームの紹介はなんなのだけど、『零』シリーズを今冬に複数紹介してしまっている現在では、そんな信用されないポリシーはドブに捨ててしまおう。【ゲームクエスト】投稿時は、夏のホラーゲーム祭り(当方一人のさびしい祭り……)として夏に書いた感想文なんだけど。その後の盛夏に備えての、予兆的な感想文だったと記憶する。


 今プレイ中の『バイオハザード・ディレクターズカット』版の感想文は、またいずれ改めて書きたい。こう言っておいて書かない、そんなんばっかだけど(書きましたよ)ゲームキューブ版『バイオ』やWii版『バイオ』なんかもシナリオ部分にまで及ぶ追加要素があって、その辺もいずれ別に紹介して行きたい。



 リメイク焼き直し版の『バイオハザード・ディレクターズカット』の感想文は、こちら。
 シリーズ2作目の『バイオハザード2』の感想文は、こちら。
 シリーズ3作目の『バイオハザード3』の感想文は、こちら。
 シリーズ7作目の『バイオハザード5』の感想文は、こちら。

 『バイオ』シリーズは外伝やスピンオフがやたら多過ぎて、シリアル番号がややこしい。なんだ、「7作目の『5』」って?


甘茶さん の「バイオハザード」 (プレイステーション)
ファーストインパクトは絶大
 そうですね。ジョージ・A・ロメロのCMといい、革命的な存在だったと思います。グラフィックはどこまでも進化しますが、魂だけは時代にとらわれませんからね。「バイオ」には常に「恐怖とは何か」を追及し続けてほしいです。

甘茶
ファーストインパクトは絶大(2009.06.30)
 プレイステーションを起動した時の画面と音をご記憶であろうか? 

 「ジョワァ〜ン」という音と共に、プレステのロゴが浮かび上がるアレだ。当方はあれを見る度に、一瞬アイロニーの混じった憂鬱(ゆううつ)感に陥ることを禁じ得ない。何故なら、プレステと同時に購入した本作の印象があまりにも強いからだ。しばらく本作のみプレイの毎日が続いたせいか、当方の記憶認識の中では既に、プレステのオープニングパレードと本作のオープニングとが一体となってしまっており、プレステを起動しただけで「またあの恐怖を味わわないといけないのか……」と気が滅入ってしまうのである。プレステのゲームをプレイすることはめっきり減ったが、このトラウマは今も残っていて、『桃太郎電鉄』シリーズの様な抱腹絶倒の面白ゲームをプレイしようとしても、冒頭でややテンションを落とされ、マンガのごとく顔に縦線が入った状態でスタートすることになってしまう。かくの如く、本作は何とも罪作りなゲームなのである。


 今回は、以前予告していたホラーゲーム祭りの第一弾として、ホラーゲームの代表作『バイオハザード』の投稿をさせて頂く。世界的に大ヒットして、実写映画化までされた本作シリーズのことを知らない人は、ゲーム情報サイト(注:【ゲームクエスト】の事)をご覧の向きにはほぼ不在だと思う。また【ゲームクエスト】本欄の感想に、ストーリーも含めて、言わば語り尽くされた感のある本作ではあるが、ホラーゲームの代表作たる本作の投稿は避けられないと思う。聞くのも飽き飽きであろう内容にはあえてあまり触れず、精一杯の搦(から)め手の感想にしたいと思うので、どうかご容赦されたい。


 取りあえずファーストプレイは、初心者向けと説明されている女性キャラ「ジル・バレンタイン」を選択するのが穏当だろう。何故なら今後の『バイオ』シリーズで云わば名物となる、持ち物制限という重い障碍が待ち受けているからだ。ジルは8個までアイテムを所持出来るが、男性キャラの「クリス・レッドフィールド」は6個しか持てない。たった2個と侮るなかれ。この2個の差が大したこと無いと安易にお考えの向きの未プレイヤーには、強制的にプレイさせた上で、2万言ぐらいこんこんと説教してあげたい気分だ。それぐらい、この「2個の差」というのは大きい。

 詳細はネタばれに繋がりそうなので秘すが、さらなる彼女(ジル)のアドバンテージとして、鍵開けの名手、自力でピアノが弾ける、自力で化学薬品を合成する知識、技術を持っている、最初から拳銃「ベレッタ」を武器として持っている(クリスは最初、ナイフで闘うことになるが、これは初心者には丸腰同様の感覚)、パートナーが百戦錬磨の髭面のおっさん(心底頼れそう。ピンチを助けてくれた時など、「抱かれても良い」と思えるぐらい。一方クリスのパートナーはか弱い女の子で、むしろプレイヤーが助ける役どころでしんどい。可愛いから、助けたくなるんだけどね)……などが挙げられる。なんだか如何にもクリスの立つ瀬が無いが、事実なので致し方無い。

 クリスの唯一の利点は、体力がありジルよりも敵の攻撃に耐えられるという一点であろうか。だがそれも大差ある訳では無いし、いくらライフに残量があろうと一撃死する敵の攻撃やギミックもあるので、所詮体力バカというイメージしか抱けないのが残念だ。苦労させられた故か、必要以上にクリスに辛口になっている様な気がするが、きっと気のせいだろう。


 この感想を書くに当たり、例の如く久々に再プレイしてみた。グラフィックなどは現代のプレステ3Wii級の画像に慣らされた目線から言えば、「何でこんな直方体みたいな物体に、あんなにビビっていたんだろう?(ゾンビを見ての直近の感想)」と首を傾げざるを得ない程の低レベルさなのだが、感情移入というものは恐ろしいもので、当時は直方体が恐怖の対象にしか見えなかった。プレイ中は確かにゲーム中にインサイドさせられる、夢中にさせられる。当時としての高度な製作側のテクニックがあったのだと、改めて感心する。もう100回はプレイした当方が、今またプレイしてみても楽しめるのだ。恐怖感こそさすがに最初の頃と比べて薄れているが、これは凄いと思う。


 繰り返すが、ファーストインパクトは絶大であった。このゲームをプレイするために、サターン一筋、セガ派だった当方をしてプレステまで買わしめたのである。人生観を変えた、と言っても過言では無い(いや、さすがに過言だ……)。体調の優れない時は街中でもグリーンとレッドのハーブを探したものである(これもウソだが)。真面目な話、プレイ中は何度も後ろを振り向いて、ゾンビがいないかを確認したし、夜中にトイレに行くのが怖くて仕方が無かったものだ。こんな思いに浸らせてくれるゲーム、実に貴重だし素晴らしい体験をさせてもらったと思う。


 最後に一言。ラスボスを倒し、地獄からの生還を果たした後、極度のストレスから解き放たれた弛緩の時に流れるエンディングテーマ曲、格別にカッコ良かった。CDは出ていたけど買わないままだったし、失礼ながら歌っている方々のグループ名も覚えていない。だけど、曲の方は今でもフルコーラスで口ずさめてしまう。クリアする度に飛ばさず聞いていれば、それも無理も無いのかも知れない。人生の折々に脳内で反すうする、当方のお気に入りの曲である。


 改めて見てみると、これはちゃんとした感想文では無いな。ただ感想文中にも触れたが、当方が投稿する前に既に【ゲームクエスト】には何十個もの『バイオハザード』の感想文があったので、同じ様な感想文では書いても仕方が無いとの思いがあったのも事実。


 今さら説明する必要も無いと思われるが、プレイヤーキャラであるジルとクリスに協力してくれるパートナーの説明。ジルを助けてくれる髭面の頼れる男は「バリー・バートン」。サムライエッジという彼独特のハンドガンを使っている。彼の銃器好きな設定は、次作の『バイオハザード2』の細かい部分に受け継がれる。

 クリスのパートナーは「レベッカ・チェンバース」。飛び級で18歳にして大学を卒業した才女で、薬物関連の専門家として薬物合成の出来ない体力アホのクリスを健気にアシストする(下手だけど、ピアノも頑張る。ピアノが下手な設定は、彼女が主人公の『バイオ0』にも受け継がれる。時系列的には、『0』の方が前の出来事なのであるが)。シリーズ5作目の『バイオハザード0』の主人公。オープニングの実写も可愛くて、保護してあげたくなる妹タイプ。クリスは「クレア・レッドフィールド」という妹(『バイオ2』及び『バイオハザード・コードベロニカ』の主人公)が居る分、その想いも強かったのかも知れない。下手すると、敵キャラに首を切断されて死ぬというショッキングな展開もあるので注意。リセットボタン必須。


 持ち物数の制限で悩まされるのは、今プレイしている『バイオハザード・ディレクターズカット』でも同様。8個持てるジルでプレイしているというのに、アイテム欄がいっぱいで持ち切れなくてアイテム置き場に引き返す事が何度も続き、プレイを横で見てくれている友人も呆れ顔だ。過去に何度もプレイしているのだけれど、忘れている上に『ディレクターズカット』はアイテムの配置が変わっている訳で……。


 100回はプレイしているというのは、大袈裟では無く本当。ただ【ゲームクエスト】掲載時は、何故か「1000回」という、さすがにウソやろと言われても仕方が無い誤植をされて焦った(実際ウソだし)。次回投稿した『サイレントヒル』の感想文の冒頭で思いっ切り抗議したのだが、ある意味一番【ゲームクエスト】読者の方々に伝えたかったその部分をまるごとカットされて、さすがにその時は編集部への不信が高まった。自分のブログで訂正する機会ができた事はありがたい。が、今さら誰もそんな些細な事は覚えていないだろうな。


 シリーズ続編の感想文もあるので、またここで挙げて行きたい。他の感想文は、本作よりはまともな内容になっていると思うので、良ければまた見に来て下さい。

 なお、ホラーゲームの原点は『アローン・イン・ザ・ダーク』であるとの説には同意するが、当方のゲーム体験史としての「原点」であり「原典」であるという意味で使用しているので、その点をご了承願いたい。



 エンディング。テーマ曲「夢で終わらせない」がBGM。この曲、感想文でも触れたけど、好き。歌っているのは渕上史貴さん。

 冒頭の実写キャストの名前が適当すぎて酷い。あのオープニングムービーは直方体キャラを現実的に想像するよりどころになっていたのに、俳優さんの扱いはこの程度だったんだね。画像的にネタバレが含まれますけど、殆どの人はさすがにストーリーはご存じだと思う。これからプレイするという方のみ、ご注意。



 『Sims2』というPCゲームで作った『バイオ』。「ジョワァ〜ン」という音とともに始まるプレステ起動オープニングパレードをも含め、ゲームのオープニングが本当に忠実に再現されている(原作と比較して、あまりになで肩で弱っちそうなリーダー「アルバート・ウェスカー」を使ったネタの部分も多いが)。これは秀逸で労作、あまりの出来の良さにネタ抜きでも笑えます。

 ネタとしては1分35秒で爆笑。プレイしてエンディングを観た人に限るけど。プレイヤーがキャラを動かせるようになる5分15秒辺りの、初回プレイでラジコン操作に戸惑うしぐさまで再現(笑)。6分36秒辺りからの、バリーがゾンビを倒すシーンも必見。

 やや長いけど、面白いので見る価値有りです。


http://www.youtube.com/watch?v=r1cjRjgTGJY&feature=related

 同様に、『Sims2』で作ったキャラに合わせて「夢で終わらせない」が聞ける動画も紹介。残念ながら、こちらに添付できなかったので、アドレスだけ。相変わらずウェスカーが面白すぎる。『バイオ3』版のジルや『バイオ2』の主人公「レオン・S・ケネディ」とクレア、「エイダ・ウォン」、『バイオ1』のラスボスの「タイラント」もちょろっと出てくる。

 いじめられっ子ウェスカー君の最後の夢オチが泣ける。


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