『イナズマイレブンGOギャラクシー』第21話「暴走!ブラックルーム!!」の感想 【なお暴走させた犯人は鉄角】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第21話「暴走!ブラックルーム!!」を観ての感想を書く。新加入したことで既存のメンバー以上に頑張らなければならない西園信助(CV:戸松遥)が精神的に成長する回。特訓に付き合ってくれた兄貴分が稀(まれ)に見る脳筋で信助くんが苦労するのだけど、そのせいで大事なことに気づくことが出来たので結果オーライ。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第20話「砂の星にやってきた!!」の感想 【新キャラ続々、謎の美少女登場】
 をご覧ください。

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 松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦1回戦を戦うため、ワープによって【惑星サンドリアス】に到着する。地球人の代表として、互いの惑星の運命を賭けてサンドリアス代表チームとサッカーで対決することとなるのだ。


 だがその地で天馬たちは早速「敵地」の洗礼を受ける。街を散策していたところ、地球人を敵視するサンドリアス人たちの挑発を受け、サッカーバトルをすることになってしまう。大事な試合前に私闘を受けるという行為は望ましいものではなかったが、後には引けなかった。


 だがサンドリアス人たちは勝負は二の次で天馬たちを物理的に潰すことを目的にしていた。反則まがいのラフプレーで天馬たちを痛めつけ、ついにはストライカーの瞬木隼人(CV:石川界人)を攻撃しようとする。

 その危機を救ったのは、意外にも彼らと同じサンドリアス人だった。その男はサンドリアスイレブンのキャプテン、カゼルマ・ウォーグ(CV:河西健吾)と名乗る。カゼルマは同胞の非礼を詫び、試合でまた会おうと言い残して去っていく。



 カゼルマと入れ替わりにその場にやって来たのは、散策中にはぐれた神童拓人(CV:斎賀みつき)たちその他のメンバーだった。心強い仲間たちとの再会に笑顔がこぼれる天馬とマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)の2人だったが、神童たちの姿を見てその笑顔がやや引きつる。



 神童たちは何やら不気味なお土産(みやげ)を持参していた。天馬たちが手荒い歓迎を受けていた間もお買い物を楽しんでいたというのだろうか? だとしたらひどい。真名部陣一郎(CV:野島裕史)は綿菓子っぽいものを、皆帆和人(CV:代永翼)は前回の屋台でサンドリアス料理に病みつきになったのか、前回以上にグロテスクなゲテモノ料理を持っている。あの唐変木(とうへんぼく)でこういうイベントを楽しめない性格の剣城京介(CV:大原崇)ですらなんか可愛らしいストラップを持ってご満悦。で、市川座名九郎(CV:小西克幸)は何をドヤ顔で持ってるんだ? 魔女っ娘のステッキ?


 ようやくの合流を喜ぶお気楽連中だが、変なお面を見せびらかす井吹宗正(CV:鈴木達央)やゲテモノを天馬たちの分だと言って笑って差し出す皆帆からは正直言って悪意しか感じられない。野咲さくら(CV:遠藤綾)から宝塚歌劇団の出来損ないのような被(かぶ)り物をお土産に示された葵も困惑して苦笑する。



 とはいえこんなお気楽さが今のアースイレブンの良いところなのかも知れない。仲間たちの一風変わった気配りに触れ、天馬はさっきまでの苦労も忘れて笑い出す。



   オープニング



 天馬は街でサンドリアス人に絡まれ、サッカーバトルに至った経緯を仲間たちに説明する。



 それを聞きつつ綿菓子をパクついた真名部に悲劇が! 何と爆発四散してしまう。わたパチの強烈なやつだったのだろうか? 異星の食べ物はやっぱり怖い。結果的に天馬は食べなくて正解だった。


 信助はサンドリアス人たちの度を越したラフプレーにまだ怒りが収まらない。彼らの徹底した暴力プレーはサッカーではないという信助の怒りはもっともだ。

 神童はこの度の戦いがそれぞれの属する星の命運を賭けて戦われるという意義を再度語り、地球人がこの地で歓迎されていない理由を納得する。納得するが、それでも割り切れない思いを同時に吐露(とろ)する。

 井吹は敵のキャプテン、カゼルマが正々堂々と勝負することを語っていた点に言及する。そして仮に卑怯なプレーに出たとしても、自分が敵のシュートを全部止めてみせると意気込む。信助というライバルが存在するのに自分がレギュラーポジションであることに疑いを持たないところはさすが井吹だ。


 信助はそれを聞き、アースイレブンの正ゴールキーパーが自分ではなく井吹であることを改めて思い知る。雷門では先輩の三国太一(CV:佐藤健輔)から次代の正GKを受け継いだ彼だが、ここでは補欠の存在であることを思い出す。このシリーズに入って化身やミキシマックスを使えないのがつらい。

 しかし信助もイナズマジャパン(現アースイレブン)のレギュラーを目標に毎日特訓を積み重ねてきていたのだ。自分もきっとレギュラーを取ると固く結んだ拳に決意を込める。


信助「任せて天馬! ゴールは僕が絶対守るから!」


 信助のその言葉を聞いて、今度は井吹が思索に耽(ふけ)る。ゴールを守るという宣言はイコール先発でゴールキーパーを務めるという意味であり、それは現行のレギュラーGKである自身への宣戦布告と同義だ。井吹は間接的に自分からゴールキーパーの座を奪う宣言をした信助を見やり、仲間とは思えないほど冷酷な笑みを浮かべる。



『奪えるものなら奪ってみろ!!』


 仲間内でもポジション争いという避けられない抗争が起こる。だがそれはお互い負けられないと切磋琢磨(せっさたくま)するものであり、チーム力向上になるという点に於いてはプラスでもある。もしかしたら信助の同道を認めた監督の黒岩流星(CV:佐々木誠二)はこの点も考慮に入れていたかもしれない。



 一方、カゼルマは自チームが練習場としているグラウンドで恐るべきシーンを目撃する。激しいプレーの結果なのか、グラウンドの地面が深く穿(うが)たれ、ゴールに向けて大きく亀裂が走っていた。それほどまでに激しいプレーをする人物にカゼルマは心当たりがなかった。


 宿舎に向かったカゼルマは沈鬱(ちんうつ)な表情で落ち込む仲間たちの姿を見る。そしてカゼルマを待っていたかのように語りかけてくる、見知らぬ男の存在……。

 その男が【ファラム・オービアス】からの助っ人であることを仲間たちから聞かされる。なぜかその男の子分に成り果てたかのような一部メンバーはその男を「強い」と評する。それを聞き、カゼルマはグラウンドに起きていた異変がこの男の仕業であることを瞬時に理解する。



 男はそこでカゼルマに自己紹介する。ファラム・オービアスよりの助っ人でありアースイレブンへの刺客(しかく)でもある紫天王、バルガ・ザックス(CV:岩崎了)。見た目通りのごっつい豪快な性格だが、花を愛するという乙女チックな一面も。


 バルガはアースイレブンを粉砕してみせると呵呵大笑(かかたいしょう)する。仲間たちの態度がバルガに媚(こ)びへつらう者と、意気消沈する者との2タイプに分かれていることをカゼルマは見抜く。バルガのものすごいプレーを見せつけられ、舎弟(しゃてい)に成り下がってしまった者が数名、そうならなかった者たちもファラム・オービアスの威光を背にするバルガの威圧に逆らえない空気がチーム内に醸成(じょうせい)されてしまっていた。


カゼルマ「申し出はありがたいが、お断りする」
バルガ「何、断るだと!?」


 カゼルマはこの戦いが自分たちサンドリアス人の戦いであることを告げ、部外者であるバルガの言い分を決然と退(しりぞ)ける。

 バルガの舎弟に成り下がった選手はそれに異議を唱えるが、カゼルマは聞き入れずに練習を開始するよう命じる。もちろんその構想にバルガは含まれない。

 だがバルガに付き従う選手たちはカゼルマの命令をキッパリと拒絶する。彼らはバルガの力に心酔し、カゼルマよりも彼の方にあるべきリーダー像を見出していた。今の彼らには誇りよりも自分たちの棲むこの星を守ることが何よりも大事なことなのだ。

 仲間の離反を受け、カゼルマは苦渋(くじゅう)の決断を迫られる。誇り高きカゼルマにとってバルガの力を借りることは屈辱以外の何ものでもない。だがこの星を守りたいという仲間の意見も無碍(むげ)には出来ない……。



 場面はアースイレブンサイドに戻る。【ギャラクシーノーツ号】内部に誘(いざな)われた信助は、初めて訪れるブラックルームに興味津々の様子だ。ゴールもボールもない空間でどうやって特訓をするのかという疑問はすぐに解消された。真名部のプログラミングが完了し、周囲の風景がサッカーグラウンドに一変したからだ。



 コンピュータによるホログラムであることを説明する天馬。信助同様、ブラックルーム初体験の座名九郎さんが驚き顔でキョロキョロしてて笑える。


 単なるホログラムではなく、脳の神経パルスへの刺激によって触れるものが本物のように感じられると聞いて信助は芝生に触れ、初体験のブラックルームを満喫する。


座名九郎「歌舞伎でいう舞台転換ですか〜」


 それは違うと思う。


 信助はゴールポストに触れ、まるで本当にそこにゴールがあるような感覚に歓声を上げる。これがホログラムであることが不思議で仕方がない様子だ。この辺の信助の様子はブラックルーム初体験時の真名部を見ているようで懐かしい。

 ここなら誰にも邪魔されずに練習が出来るという治外法権(ちがいほうけん)性を葵が語る。なるほど、確かに敵地への遠征が続くこの宇宙編ではブラックルームの存在は欠かせない。この部屋が本当の意味を持つのはアウェイでの戦いが続く宇宙編ならではであろう。


 舞台(座名九郎談)は整った。天馬は2チームに分かれて実戦形式の練習の開始を宣言する。力強く応える信助だったが、それを黙って見ていられないのは正ゴールキーパーの井吹だ。キーパーのポジションを譲るよう要請され、信助は悲しげな表情でそれに従う。


 天馬、剣城、瞬木、座名九郎、さくら、九坂隆二(CV:岡林史泰)といった攻撃的な選手によるオフェンスチームと、キーパー井吹を最後尾に、神童、森村好葉(CV:悠木碧)、真名部、皆帆、鉄角真(CV:泰勇気)というディフェンスチームに分かれる。信助はマネージャーの葵と並んでベンチで見学の立場だ。活躍の場を井吹に奪われ寂しそうな信助……信助はDFも出来るんだからそっちで使ってあげてよ。



 オフェンスチームのキックオフで練習開始。瞬木がドリブルで上がっていく。受けて立つのは鉄角だ。だが瞬木はその抜群のスピードからの切り返しで鉄角をかわす。



 瞬木のそのスピードに信助は驚く。葵は瞬木が陸上部出身の元スプリンターでチーム一の走力であることを告げる。

 鉄角を抜いた瞬木の突進に立ちはだかるのは皆帆だった。人間洞察に優れた彼は瞬木の動きを読み、スライディングでボールを奪い取る。



 皆帆が警視総監賞を受けるほどの名刑事の一人息子であることを葵は信助に告げる。人を洞察する推理力に優れているという皆帆の特徴を信助は知る。

 皆帆はさくらの突進をかわし、鉄角にパスを送る。そこには九坂が向かって来る。それをフットワークでかわす鉄角の特性をボクシング経験者特有の小回りと俊敏な動作にあることを信助は葵から教わる。

 同時にマークに入った九坂が元不良のリーダーで、怒ると手がつけられなくなる凶暴な存在であることを葵は告げる。これって九坂のフォローになってないと思うんだけど、チーム内で九坂に逆らうなという信助への親心だったのかもしれない。

 九坂は体勢を崩されながらも鉄角からボールを奪い返すという並々ならぬ身体能力を見せ、信助を驚嘆させる。


 次の解説は真名部だ。一見これまでのプレーに全然関わらず飄々(ひょうひょう)としているように見えるが、チーム一の状況判断力の持ち主であることを信助は教わる。

 そして次は信助と同じぐらいの背格好の小柄な少女、好葉。オドオドして内気な少女に見えるが、いざという時は誰もが驚く反射神経を潜在している。



 そして座名九郎である。歌舞伎の見得(みえ)を切るポーズでボールを奪う彼のことは葵もまだすべてを知る状況では無いと思うんだけど、歌舞伎役者でバランス感覚に優れていることを入団時のプレーですでに観察していた。



 まなみなを翻弄(ほんろう)するさくら。新体操の選手で身体の柔らかさやキレはチーム随一。当初見られた性格の悪さも最近は鳴りを潜めたらしいし、あとケチをつけるとしたらお土産のセンスを何とかするぐらいだろうか。


 信助は彼らがイナズマジャパンとして活躍していた頃、知識として彼らのプロフィールを独学で学んだことがある。だがそれを実際に目の当たりにして、その知識だけでは得られない、いわゆる「アースイレブンの本気」を今その目で見ているのだ。

 こうして考えると外から仲間の本気のプレーを見るのは今の信助には必要なことだったのかもしれない。サッカーの未経験者ばかりだったこのチームが信じられないほどに進化していることを、常に一番近い位置からずっと見て来た葵ですら驚きを隠しきれないほどなのだから!



 そして最後に信助のライバルとなる、キーパーの井吹。バスケ時代から他の追随を許さない運動神経をそのままキーパーとして活かす。天馬のシュートを阻止して神童に褒められる井吹。この神童からキーパーとしての極意を認められ、今では不動の守護神としてアースイレブンの最後尾に君臨する。自意識過剰なところが治りきっていない面は彼の弱点だろうか。あとお土産のセンスな。


 バッチリ活躍して差をつけたという思いなのだろう、井吹はベンチの信助を見やって不敵に笑う。その挑発は普段は温厚な信助をムキにさせる。だがこのライバル心を向上心に繋げることが出来れば、きっと信助にもプラスとなるはずだ。



 しかしその意気込みは惨憺(さんたん)たる有様だった。井吹に替わってキーパーのポジションについた信助は剣城の強烈なシュートにきりきり舞い、あっさりとゴールを許してしまう。剣城も容赦ないな……。


 シュートを止められず何本もゴールを割ってしまう信助。ポストに激突して倒れた信助を気遣う天馬に信助は笑って大丈夫と返すが、その惨めな姿をベンチの井吹が嘲笑(ちょうしょう)する。


井吹「その程度か。雷門のキーパーも大したこと無いな!」


 立ち去る井吹の後ろ姿を悔しそうに睨みつける信助。その信助の姿を黒岩とマネージャーの水川みのり(CV:高垣彩陽)が見ていた。

 良いところ無く醜態を晒(さら)す信助の姿を、みのりはこれも黒岩の想定内のことなのかと鼻で笑う。信助だけでなく信助を採用した黒岩までもを侮辱する無礼なその態度に、黒岩は何も返答しない。



 練習が終わり、信助は割り当てられた部屋のベッドに疲れた身体を横たえる。浮かない表情なのも無理はない。アースイレブンのオフェンス陣のシュートをまったく止めることが出来なかったからだ。井吹との差を詰めようと意気込んでいたのに、逆にその差を拡げられてしまったという悔いが残るのだろう。

 信助は黒岩のお情け(今のところそう見える)でアースイレブンへの入団を許可された折、このチーム特有の「ケモノの力」という話を天馬から聞かされていた。それを持たない自分には、このチームで戦うことが不可能なのではないかと弱気かつ自虐的(じぎゃくてき)になる。

 だが自分をこのチームに入れてくれるよう必死になって黒岩に直訴(じきそ)してくれた親友の声が胸によぎる。そう、天馬の友情に応えるためにもここで腐ってはいけないのだ。そして信助は行き詰まった時に特訓でそれを打ち破るという気持ち、雷門魂の持ち主でもある。

 信助は特訓で強くなると決意し、部屋を飛び出す。向かう先は言わずもがなのブラックルームだ。


 勇んでブラックルームに到着したものの、信助は備えられたコンソールパネルを前に困惑する。今日初めてここで特訓した信助には操作法など分かるはずがないのだ。

 そこに救世主的に現れたのは、鉄角だった。信助の態度からここで特訓するつもりだということを理解した鉄角は、信助が加入した時からの兄貴肌を見せる。


鉄角「よぉし分かった! だったら俺も付き合うぜ!!」


 一緒に特訓して井吹を見返してやろうと笑う鉄角の友情に、信助は心から感謝する。鉄角も井吹のイジワルなところを見ていたんだろうな〜。



 ただそんな良いシーンを台無しにするのが鉄角の記憶力の無さだった。信助よりは経験者の鉄角だが、しょせんは筋肉づくりの脳みそだ。ブラックルームのコンソールパネルの操作は至難を極めた。指一本でたどたどしく操作する鉄角。これにはさっきの感動を返してくれと信助も呆(あき)れ顔。頼れるアニキ感も台無し。


 なんとか作動することに成功した鉄角だったが、無茶苦茶なキータッチのせいだろうか、場面が一定せずにホログラムが乱れまくる。ようやく一定したのは、例の鉄骨が落下してくるビル群だった。ふと上を見上げた2人は、天空から大量の鉄骨が落ちてくるのを見て悲鳴を上げる!



 この鉄骨の量……レベルが幾つに設定されてしまったのだろう? 100か? 避けるとかいう次元じゃなく、両者はただ逃げるのみ。


 逃げ終えたところで場面が変わる。そこは一面の雪山だった。しかも2人はすでに大きな雪玉に乗っかっている場面でスタートされる! 何が起こっているかも分からないまま、2人は転がり始める雪玉の上でただ翻弄される。



 雪玉の上でジタバタする鉄角と信助。この場面、両者がほとんど同じ身長になっているのが笑える。


 転がっていく先には大きな氷山が! 為すすべ無くぶつかって空中に飛ばされる2人に、またも場面転換(座名九郎談)が襲い来る。今度はジャングルの断崖絶壁だ! 飛ばされたままの両者はそのまま崖下に落下していく。

 もうダメだと思われたその時、ジタバタ振っていた手足が断崖の植物のツルに引っかかって何とか地表への激突は避けられた。

 だがホッとしたのも束の間、ツルが音を立てて切れてしまい、2人はまたも落下する。開いていた穴に落ち込み、そのまま角度を変えて別の場所に排出される。今度はどこへ?


 落ちた先は洞窟だった。そこは経験者の鉄角も知らない初めて見るホログラムだった。故障した可能性があると感じた信助は早くここから出ようと提案するが、鉄角はハードコースの設定では1時間経たないと外には出られないとつらいことを言う。ていうか鉄角、あれだけ無茶苦茶なプログラミングしたくせにハードコースにすることだけは成功してたのかよ。

 とにかくあわてても無駄だと達観する鉄角は1時間を寝て過ごすことに決めたらしい。洞窟の岩を背もたれにくつろぎ始める。一刻も早く特訓したかった信助はため息をつくが、どうしようもない。



 その頃、信助の部屋を訪ねた天馬は返事が無いことに不信感を抱く。信助を探す天馬は談話室(?)の剣城やミーティングルームの葵に尋ねるが、いずれも知らないとつれない返事。



 天馬は信助にサッカー雑誌の差し入れをしようとしたらしい。よりによって桃色極道(ももいろごくどう)、ぼくらのピンクヤクザの染岡さんが表紙というすごい雑誌だ。「サッカー少年」……信助ならずとも私も読みたい。


 そこで天馬は信助がブラックルームで自主的に特訓しているのではないかと思いが至る。駆けつけたブラックルーム入口ドアの使用灯が点灯していることを確認し、信助が頑張っていることを確信した天馬は嬉しくなる。

 一緒に特訓しようと思った天馬は入室しようとするが、コンソールが赤く明滅しアラート音が鳴り、ドアが開かない。



 報告を受けた蒲田静音(CV:くじら)がブラックルームのシステムを操作する。単なるおばちゃんだと思われていた蒲田さんだが、実はバーチャルリアリティ分野の科学者で黒岩に請(こ)われて「アースイレブンサポートプロジェクト」に参加したことを打ち明ける。単なる賄(まかな)いのおばちゃんだと思っていたけど、彼女はコンピューターおばちゃんだったらしい。






 そしていたずらっぽくウィンクして、ブラックルームのプログラマーも自分であったという驚愕の事実を告げる。蒲田さん、チームの寮母さんにしてバーチャルリアリティ部門の権威ある科学者にして桃鉄の車掌……もとい宇宙船ギャラクシーノーツ号の車掌というすごい人だった。どうでもいいがこのカット、どの層に対してのサービスカットなんだろう?


 そのブラックルームを開発した本人ですら、ロックされている現状はどうしようもないらしい。黒岩は中に誰がいるのかを問う。今この場にいない者が中にいると見て間違いなかろう。神童は鉄角と信助が中にいると返答する。それを聞いたみのりが、なぜか興味深そうに顔をほころばせる。



 そんな外部の状況を知らないまま、信助と鉄角はハードコースの解除の時間を待っていた。だがとっくに1時間が経過したはずなのに、未だ彼らは閉じ込められていた。


鉄角「やっぱ俺、壊したかな……」


 ややバツが悪そうにそう語る鉄角に、信助は驚きを隠せない。だが鉄角はその後は悪びれずに、漁師だった頃、海で遭難した経験を語りつつ救援が来るのを待とうと余裕の表情を見せる。誰のせいでこうなっているんだと信助は苛立(いらだ)つが、そこで洞窟に異変が起こる。地面から何かが噴出し始めたのだ。

 地中から現れたのは、5体の埴輪(はにわ)であった。しかもなぜだか埴輪たちは見覚えのあるサッカーユニフォームを着用していた!



 驚く2人を尻目に、地面にはラインが引かれ、両サイドにはサッカーゴールが現れる。そして埴輪の1体がサッカーボールを泥から取り出してきた。これは、サッカーバトルの布石!



 その異変は外部モニタからも確認できた。蒲田はサッカーバトルに勝つことが出来ればこのロック状態が解除されるかもしれないと語る。

 ただ、ブラックルームには現在鉄角と信助の2人しか存在しない。それで5対5の対決をするのは不可能である。何とかならないかと天馬は要請するが、外部からでは蒲田にもどうしようもない。



真名部「アバターを使ったらどうでしょう?」
さくら「アバター?」


 そこでアバターという代替案を出したのは真名部だった。ブラックルームのシステムには彼らアースイレブンのデータもインプットされている。真名部はそのデータを5人まで呼び出すことが出来るという。そのデータこそがアバターであり、擬似的にそのプログラムでチームを編成することが可能であるというのだ。

 ひょっとするとこのデータを残していたのは真名部のファインプレーだったかもしれない。開発者の蒲田ですら思いもつかなかった発想だからである。蒲田は納得してアバターを起動する。



 ブラックルーム内部では、2対5の戦いを強制されそうな展開に困惑していた鉄角だったが、その前に天啓のように4人の仲間が出現した! 剣城、好葉、皆帆、井吹の4名である。

 鉄角は彼らがアバターであることをすぐに見抜く。何にせよこれで人数面での心配は無くなった。意気込む鉄角だったが、何とアバターの面々はそれぞれの守備位置に勝手に着いてしまう。井吹のアバターは当然のようにキーパーポジションだ。鉄角は気まずい思いで信助を見る。


鉄角「井吹! 信助と交代だ!!」


 繰り返しそう叫ぶと、ようやくアバターの井吹はその場を信助に譲る。鉄角は改めて信助にゴールを頼むと告げる。信助は鉄角の思いに応えるためにも気合いを込める。




 試合開始直前の両チームの布陣。埴輪軍団の方は無個性で見るまでもないのだけど、一応。雷門ユニフォームに身を包んでおり、もしかしたらその実力も雷門イレブンレベルなのかもしれない。キーパーは三国さんレベルかな? だとしたら楽勝なのだが。


 一方、アースイレブンの側。DFが多い状況なので皆帆がFWの位置につく。ストライカーというか、シュート技を持っているのは剣城だからシュートも彼専門になりそうだ。この段階で「ぶっ飛びジャンプ」を持ってるなら信助もゴールを決める可能性あるけど。


 雷門埴輪軍団のキックオフで試合開始。ドリブルを剣城と皆帆(のアバター)が止めにかかるが、何と埴輪は両者を吹き飛ばしてしまう。



 こんな顔してメチャ強いという。その理由はエンディングで明かされる。


 そのまま強烈なシュートを撃つ埴輪。信助は気合いを込めるが、シュートを止めることが出来ない!! あっという間にゴールを奪われてしまう。

 いつものサッカーバトルなら失点した時点で終了のサドンデスだが、今回はそのルールでは無いらしい。ただ洞窟の壁面に大きな亀裂が走り、このまま失点し続けるとどうにも良くないことが起こりそうな予感がしてならない。



 好葉ちゃんアバターも蹴散らされてしまう。このシーンの好葉アバターの叫び声はなぜかとても可愛いので、緊迫したシーンだけど不謹慎にも何度でも聞いてしまった。


 この勢いでまたもゴールを決められてしまう! ゴールを決められる度に洞窟の壁面への亀裂が増える。もしかして崩落してしまえば……プログラム内での出来事とはいえ、脳への連動がある分、鉄角と信助へのダメージがどうなってしまうのか分からない。


 次々とゴールを決められ、倒れ込んだ信助は自信を失いそうになる。だがその気持ちを奮い立たせたのは、昼間の特訓の時に自分を嘲笑した井吹の言葉であった。信助は負けられない思いを胸に立ち上がる。その視線の先には、アバターではあるが実物と寸分差の無い井吹の姿があった。


 奮起する信助だったが、その瞬間洞窟の壁面が剥離(はくり)して落ちてくる。鉄角は信助を気遣いつつ、これ以上の失点を防いでくれるよう頼む。しかし信助は自分のプレーが鉄角の命をも左右するという局面に、いつもの彼の悪い面が出てしまう。


信助「井吹と……替わる」


 自分の力では敵のシュートを阻止することが出来ないと悲しそうに言う信助を前にして、鉄角も説得の言葉を失ってしまう。



 そして信助はベンチに下がり、井吹のアバターがキーパーの位置に着く。信助は目に涙を浮かべて自分の実力不足を悔やむ。鉄角は信助を見つめるが、その暇さえ与えないとばかりに埴輪たちは嵩(かさ)にかかって攻めてくる。

 そして驚くべきことに、井吹アバターですらそのシュートは止められなかった!! 頼みの綱の井吹ですら吹き飛ばされ、これで現状では埴輪のシュートを阻止する手段が無いということになる。



 ぶちのめされる井吹。これを見て「ざまぁ」と信助の溜飲が下がってたりしたら笑えるんだけど、そんなことを言っている暇はなさそう。このまま崩落が続けば、鉄角と信助の命も危ういのだ。


 信助は自身の力不足のせいでシュートが止められないと思っていたが、交代した井吹でもその状況は変わらない。信助は井吹のプレーを見つめているうちに、あることに気づく。


信助「動きが小さくなってる!!」


 それはかつて雷門のゴールを任されるにあたってのきっかけとなったシーンと同じだということを信助は思い出す。その時、信助の思い切りを欠いたプレーを叱咤(しった)したのは尊敬する先輩、三国だった。

 それを思い出した信助は、敵の圧力の前にジリジリと後退する井吹に向けて下がるなとベンチから井吹に指示を出す。


信助「前へ出て思いっきりジャンプだ!!」


 その指示を受けた井吹は一つうなづき、その指示通りに前に向けて飛び出す。そしてその積極的なプレーはこれまで止められなかった埴輪のシュートを初めて止めることに成功する!

 阻止すること、それ自体が勝利の条件だったらしく、埴輪たちはその姿を滅していく。埴輪の消滅を受け、勝利を確信した信助は鉄角のもとに駆け寄る。鉄角はこの勝利は最後に適切なアドバイスをした信助のおかげだと感謝の言葉を贈る。


 信助はチームメイトなのに井吹に勝つということしか考えていなかった自身の狭量(きょうりょう)な思考を恥じる。最後に井吹にアドバイスしたその気持ちは、チーム内の敵ではなく仲間であることを第一義に考えての発想だった。

キーパーがせっかく2人いるのだから2人で一緒に強くなれば良いと吹っ切れた表情で語る信助を見て、鉄角も笑みを浮かべる。信助はポジション争いの敵としてではなく、ライバルとして井吹の存在を受け止めるという決心をしたのだ。いつか追いつくという思いを吐露する信助を、鉄角は心から応援する気になる。



 2人が振り向いた井吹のアバターは、その役目を終えて姿を消す。そしてロックされていた空間も元の宇宙船内の一室の様相を取り戻す。同時に入口のドアが開き、心配した表情の天馬たちが駆け込んでくる。

 無事だった2人を確認して葵は胸をなで下ろす。井吹はこの騒動をいい迷惑だと憎まれ口を叩くが、信助はさっきの思いのままに素直に謝罪する。



 敵愾心(てきがいしん)をあらわにしていた信助が素直に謝り、にっこりと笑いかけてきたことに井吹は毒気を抜かれたような表情になる。この2人の関係も改善の兆(きざ)しが見られるようだ。




 ブラックルームの暴走も一件落着。そして翌日、コーディネーターのイシガシ・ゴーラム(CV:遠藤綾)の案内のもと、試合が行われるスタジアムを視察するアースイレブンの一行。



 そこはただ砂漠が広がる何もない空間だった。


 スタジアムとは名ばかりの荒涼(こうりょう)たる光景にさくらや九坂は呆れるが、イシガシは澄ました顔で空を見上げる。


イシガシ「来ましたよ」


 すると空に突如巨大な宇宙船が姿を現す。宇宙船はその外装を稼働させ、その形を大きく変えていく。そして見えてくるのは、観客席を備えた立派なサッカー競技場そのものの姿であった。



 その地球人の叡智(えいち)を大きく超越したテクノロジーには一同、声もない。何もない砂漠に突如出現したスタジアム、それが宇宙を自在に遊泳するスターシップスタジアムである。イシガシは優越感を行間に漂わせながらそう説明する。つまりこれはイシガシの所属する銀河連邦評議会の科学力の結晶なのであろう。


天馬「あそこでやるのか……!!」

 天馬は驚きつつもこのようなすごいスタジアムでサッカーが出来るということに武者震いする。地球の運命がかかった試合であることは承知の上で、それでも彼は最高の舞台でサッカーをする喜びに打ち震えていたのだ。この表情からはその思いが表出している。


 お膳立ては整えられた。あとは両チームがここでまみえる瞬間を待つのみだ。



 次回に続く。



  エンディング



 前回で追いついた感想文のペースだったのに、また一週遅れになってしまいました。頑張ってまた追いつきたいですが、まとまった時間がもっと欲しいやんね(~_~;)




 今回出てきたやたら強い埴輪の正体は、コロコロコミックのコンテストで最優秀賞に輝いた読者投稿の作品だった。埴輪みたいなブラジル人という設定を取り入れ、やや浅黒い皮膚が特徴。ブラジル人か〜。いやはや強いわけだ(笑)。



 今回は基本的に信助の特訓回だったが、井吹とのライバル心やその後の和解シーンなど見どころは多かった。井吹本人は全然関係していないところで信助くんが改心したという感じだったけどな。


 敵チームにもファラム・オービアスの策略が及び、敵の側も一枚岩では行かないという状況が描かれていた。ごっつい紫天王のバルガはクセが強そうだけど、見た目だけなら紫天王最強に見えるよな。彼の加入が果たしてサンドリアスサイドにとって有利になるのかどうかはまだ分からない。


 サンドリアス人は相変わらず地球人との姿の違いが目立つが、ひょっとしたら彼らは地球人のように哺乳類が進化したわけでなく、爬虫類や両生類が地上の支配者となり、そのまま進化したのかもしれない。目の上の出っぱりは砂が目に入らないよう適応したものだと思われる。

 前回天馬たちに挑んできた連中は今回のイレブンに姿が見えなかったんだけど、あいつらはサンドリアスイレブンじゃなくて単なる街のゴロツキだったということ? それとも補欠メンバーなのかしらん?



 次回はいよいよサッカーの試合パート。この戦いでどちらかの星はその主権を失ってしまう。過酷極まりないルールなんだけど、天馬たちは負けるわけにはいかない。




 他にも次回は新オープニング開始以来ずっと注目されていた可愛い妖精キャラが物語に初登場する。サッカーアニメからどんどん離れていく印象だけど、これも大宇宙パワーということで納得するしかない。



  次回「激突!宇宙サッカー!!」に続く。



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