『イナズマイレブンGOギャラクシー』第24話「水の星の戦士たち!」の感想 【ララヤちゃんファザコン説】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第24話「水の星の戦士たち!」を観ての感想を書く。アレな方のマネージャーの正体が明らかとなる衝撃の告白から新たな惑星での騒動、そして連れ去られたメンバーが受けるプロポーズシーンなど、今回も盛りだくさんの内容だ。詳細は以下感想文にて。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第23話「獣(ソウル)出現!」の感想 【みのりのカミングアウトがすべてを吹き飛ばす】
 をご覧ください。

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 松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦1回戦において【惑星サンドリアス】代表チームと戦い、勝利を収める。


 それぞれの棲む星の運命を賭けて戦われるグランドセレスタ・ギャラクシーのルールに則(のっと)り、地球の運命はひとまず安泰(あんたい)となったものの、敗れたサンドリアス人たちのその後の運命を考えると、この勝利は天馬たちにもやり切れない思いを残した。



 その運命を変えることが可能だとしたら……? ブラックホールの発生により【惑星ファラム・オービアス】が陥(おちい)った危機がこの悲劇の始まりである。ブラックホールさえ何とかなるのであれば、このような非情な戦いは終わりにすることが出来るかもしれない。

 天馬にその道筋を示そうと現れたのは、【惑星キエル】のカトラ・ペイジ(CV:上田麗奈)だった。彼女のビジョンが教示(きょうじ)した【光る石】を4つ集めたとき、問題解決に向けた何かが起こるらしい。


 次の星に向けて飛び立つ宇宙船【ギャラクシーノーツ】号の船内で天馬はその不思議な現象を語る。だがその話をあり得ないと一蹴(いっしゅう)するのは、マネージャーの水川みのり(CV:高垣彩陽)であった。彼女が言うには、惑星キエルはすでに滅亡しているという……。

 一介の女子中学生がどうしてそのようなことを知っているのだろう? 天馬たちのその疑問に、みのりは自身がその惑星キエルの人間、つまり宇宙人であることを明かす。


みのり「私は宇宙人なの!」



 みのりの衝撃のカミングアウトに、天馬たちは大いに驚く。数学的実証主義の真名部陣一郎(CV:野島裕史)はその持ち合わせる思考ゆえにその主張を信じられないと懐疑的に両断する。

 みのりは淡々と、その事実を証明してみせると語る。彼女が天馬たちの前に持ってきたのは、一体の人形だった。


西園信助(CV:戸松遥)「に、人形!?」

 その人形、視聴者なら見覚えのある姿をしていた。それはこれまでは監督である黒岩流星(CV:佐々木誠二)の前にだけ姿を現していた怪しい小男、ポトムリ(CV:三木眞一郎)だった。



   オープニング



 その人形を持ち出して、何を証明しようというのか? みのりは質問されるより早く、早速実証に移ることを告げる。その直後、みのりは意識を失ったようにその場に崩れ落ちる。マネージャーの同僚、空野葵(CV:北原沙弥香)が駆け寄るが、みのりからの反応は無い。

 鉄角真(CV:泰勇気)や野咲さくら(CV:遠藤綾)はその態度をいきなり寝入るという冗談めかした行為と思うが、その直後に起こった驚愕すべき事態を前に、場が凍りつく。

 人形と思われた物体が声を発し、テーブルから飛び降りて動き出したのだ!



 事態の急変を受けて驚く一同。前列の面々は腰を抜かして座り込む。怖いもの知らずに思われた九坂隆二(後列中央 CV:岡林史泰)でさえ腰を落としてしまっている。


 驚く一同を前に、人形=ポトムリは慇懃無礼(いんぎんぶれい)に自己紹介をしてみせる。彼は現状、魂だけの存在としてこの人形、そしてみのりの肉体に憑依(ひょうい)していることを説明する。

 鉄角は人智を超えたその存在に警戒しつつ、なぜ宇宙人の魂であるポトムリが自分たちと一緒に行動しているのかを問いただす。

 ポトムリは彼の棲んでいた惑星、キエルの最期(さいご)を語り出す。キエルは今回のファラム・オービアスの危機と同様、ブラックホールに吸い込まれてしまったのであった。キエルが滅亡する寸前、ポトムリはただ一人、脱出することに挑んだ。

 そのチャレンジは半ば成功し、半ば失敗に終わる。彼の肉体はその際に滅んでしまい、精神である魂のみが残されたのだ。


さくら「それって幽霊!?」

 肉体を失い、魂だけの存在になるということ。それは地球人に馴染みの表現をすれば、「幽霊」ということになる。それに気づいた女子のさくらと森村好葉(CV:悠木碧)はガタガタ震えて抱きつき合う。幽霊を怖がるところなんてやっぱり女の子という感じがして可愛い。


 その言葉には、またも一同が驚くのだが、その喧騒をよそに幽霊状態のポトムリは話を続ける。精神体のみの存在となったポトムリは広大な宇宙をさまよい続ける。

 そしてたどり着いたのが地球であったのだが、孤独なまま長い長い時空間を経ていたポトムリの精神力はもはや尽きようとしていた。魂は肉体に宿っていてこそ、その存在を維持することが出来るのだ。

 そこでポトムリ(の精神体)は最後の力を振り絞り、病床で命が尽きようとしていたみのりの肉体に入り込み、みのりの命を救いつつ自身も消滅の危機から脱したのだという。



 事故なのか病気なのか、みのりの入院及びその生命力が尽きようとしていた原因はここでは語られなかったが、とにかくその肉体にポトムリの魂が宿ることによって彼女の命も救われた。その際、病床のみのりを微笑を持って見つめ続けていた人形が、ピエロのような姿のポトムリ人形であった。


 ポトムリは彼の精神が完全にみのりの肉体に定着しないように、定期的に彼女の身体と人形の間を行き来していたことを明かす。推論だが、宇宙人であるポトムリの精神力の方がみのりのそれよりも強く、ずっと定着していればみのりの魂と自身の魂が融合してしまい肉体を本来の持ち主(みのり)から奪ってしまうことをポトムリは懸念したのだと思われる。


 地球人(みのり)の肉体を借りて何とか生き延びたものの、ポトムリはその後の自分の使命を見いだせないでいた。だがそんな時、ポトムリは自身と同じく、地球人ではない者が放つ特有の「におい」を感じる。

 それが銀河連邦評議員にして月を奪い取るという形で地球人にグランドセレスタ・ギャラクシーへの参加を強(し)いたビットウェイ・オズロック(CV:津田健次郎)だったのだ。

 ポトムリはその事態に運命的なものを感じていた。彼の故郷、キエルと地球が似ていたことを思うと、今彼が存在するこの地球を救うことが彼に課せられた運命なのではないかと考えたのは自然な発露であっただろう。それはブラックホールによって滅ぼされた母星キエルと現在のファラム・オービアスの運命を重ねての思考だったのかもしれない。

 ポトムリはそこでカトラについて驚くべきことを言及する。カトラは惑星キエルの姫君だと言うのだ。キエルもファラム・オービアスと同じく王政が敷かれた体制だったようだ。カトラはそこの王女(女王の可能性もあるが)ということになる。

 天馬はそれを聞き、カトラもポトムリのように何らかの形で生き延びたのではないかと強く語る。だがポトムリはにべもなくその仮説を打ち消す。彼以外にあの惨劇(さんげき)を逃げ延びた形跡は無かったと言うのだ。



 精神体のみとなったポトムリが最後に見たキエルの運命……それはブラックホールに飲み込まれていく母星の滅び行く姿だった。他の人間がこの運命から逃れられたとは思えないというのがポトムリの言い分だ。


 天馬がサンドリアスで見たというカトラのビジョン、それは幻(まぼろし)であるとしか説明がつかないとポトムリは語る。だが天馬はカトラのビジョンに教わるまでカトラやキエルという固有名詞すら知らなかったはずである。それを知っているということは、本人に会って聞いたという何よりの証明になると天馬は反論する。

 ポトムリは街のどこかで聞いた噂話が天馬の精神に影響を及ぼし、幻として現れたのだろうと再反論し、天馬の意見を受け入れようとしない。惑星キエルや、カトラ姫に襲いかかった悲劇を知る者は他の星にも少なくないというのがポトムリの説の補強論となっている。

 そこまで断言されては、天馬の実感したカトラのビジョンにも自信が持てなくなる。


 そこまで話が及んだところで、眠るように倒れていたみのりが意識を取り戻す。ポトムリの精神体が抑えていたはずのみのりが、その制御を失った状態で目覚めるということは……



みのり?「何なんだおめぇら〜っ!?」


 これまでの言動からはあり得ない暴言と暴力的な態度で天馬の襟(えり)をねじ上げて一同に喰ってかかるみのり。ポトムリ(の精神体)はあわてて人形から飛び出してみのりの肉体に入り、その制御を取り戻す。

 みのりはこれまでのような落ち着いた口調で語り始める。その落ち着いた口調はみのりの本来の人格ではなく、あくまでもポトムリが肉体内に存在する間の仮の姿であったことがここで明らかとなる。

 つまり逆説的に、先ほどの暴力的な言動、それこそがみのりの本来の人格であるということだ。


九坂「今のはつまり、スケバンってことか?」
みのり「彼女は学校でもかなりの問題児だったそうよ」


 それを聞いて、不良上がりの九坂ならではの情報として、みのりが「岩城中のミノタウロス」と呼ばれていた札付きのワルであることが明かされる。初対面時、のりをちょっと可愛いと思っていた皆帆和人(CV:代永翼)はその正体を聞いて背中に冷たい汗が流れるのを感じていた(はずだ)。


 みのりの肉体内にポトムリの精神体が存在するときは2人の精神が融合する状態となるらしい。ポトムリとも違う、本来のみのりとも違う第三者的人格となると語るみのりの表情はその事実を知った後であろうとも、やや不気味だ。


みのり「男性であり女性……大人であり子供……」



 みのりの正体とその意思という物語上重要な秘密を聞いたアースイレブンメンバーたち。それぞれの思惑を載せたまま、ギャラクシーノーツ号は次の目的地を目指して走り続ける。



 そのアースイレブンメンバーにあって、ただひとり拉致(らち)されたせいでその場に居合わせない剣城京介(CV:大原崇)はどこに? 余談だけど彼は普段から口数が少ないせいでニセモノと入れ替わっていたことをここまで忘れていたぐらい。


 そこはファラム・オービアスの王宮、女王であるララヤ・オビエス(CV:高垣彩陽)の御前(ごぜん)に剣城は連行されていた。



 囚われの身とはいえ、拘束されているわけでもなく自由な振る舞いを許されている様子。剣城そのものよりも、その周囲を飛び回るピクシー(CV:北原沙弥香)に似た黒いピクシーの姿が気にかかる。


 ララヤから女王であると自己紹介を受けても剣城のふてぶてしさは変わらない。自分をどうするつもりなのかと問いただす。ララヤは剣城に自分の側で仕(つか)えるよう言い渡す。

 これまでの話の経緯(いきさつ)から敵であることがほぼ必定であるファラム・オービアスに仕えろと言われ、剣城は鼻で笑う。そのような命令に服するつもりは無いということだろう。

 ララヤは自分の命令が断られても上機嫌に、剣城には選択肢が無いことを告げる。そしてファラム・オービアスのことを深く教えるとして剣城を街の散策へと導く。


 王族が乗るロイヤルな視察用の乗り物からファラム・オービアスの城下町がいかに栄えているかを剣城に見せつけるララヤ。

 国民たちもララヤの乗り物を見ると嬉しそうに歓声を挙げて手を振ってくる。これはララヤが女王としていかに国民に愛された存在であるかを端的に示すものであった。



 ファラム・オービアスの住人たちの中でもこの可愛い少女が印象的。宇宙一栄えたこの惑星も、今や滅亡の危機に瀕しているのだ。生き残るために他の星を犠牲にするというグランドセレスタ・ギャラクシーの理念が、図らずもこういった子供たちにとっても生き延びる希望となっているのが現状である。


 彼らの前に降り立って手を振り返すララヤの姿は、彼らにとって敬愛すべき為政者のそれであった。


ララヤ「ツルギ、妾(わらわ)の人気、すごいであろう?」


 ララヤは自慢げにその国民たちの歓声を剣城に示す。それには剣城も認めざるを得ない。ララヤがふと見つめる先に、一人ぼっちで泣いている小さな子供の姿が映る。ララヤは側近のミネル・エイバ(CV:佐藤健輔)に即座に命令を降す。


ララヤ「ミネル、あの子の涙を止めよ!」


 おおよそ専門外の役割を命じられ、ミネルは動揺する。だが剣城を誘拐させようとした時も見せたワガママさでその弁解を認めず、再度命令を降すララヤにミネルは逆らえない。その強面(こわもて)の風貌を台無しにしつつ、必死で子供をあやそうと務める。



 だがそんな強面の男に頭を撫でられて泣き止むはずもなく。一向に泣き止まない子供を見てララヤの怒りの矛先はミネルに向かう。

 そこにはぐれていたのであろう、その子供の母親らしき女性が駆けつける。抱き合って再会を喜ぶ母子を前に、ミネルはようやくこの分不相応(ぶんふそうおう)な役割から逃れられると安堵の息をつく。

 母親はララヤに謝罪の言葉を述べるのだが、その際ララヤの後見人のような存在の老婆が前に出て来てララヤの手を煩(わずら)わせた母親の思慮の足りなさを非難する。



 母親は膝まづいて謝罪するが、老婆は非難をやめない。だがその老婆の態度を一喝してみせたのはララヤだった。ララヤは何も迷惑とは思っていないと述べ、老婆の非難に正当性が無いことを示す。



ララヤ「妾はお前たちみんなが好きじゃ。好きな者たちにはいつも笑っていて欲しいのじゃ!」


 そう語って母子の無事の再会を祝福するララヤの姿。それは為政者としてなぜ彼女がこれほどまで国民に慕(した)われているのかの何よりの実証であった。そしてその姿を見る剣城にも意識の変化を与えていた。理不尽に剣城を誘拐したララヤのやり方はともかく、今この場で見られるララヤの優しさは本物であると剣城は見抜いていた。

 民たちもこのララヤの差配を見て満足し、より一層の忠義を持ってこの女王を支えていこうと決意するのであった。周囲を埋め尽くすララヤへの歓声はいつまでも鳴り止まなかった。



 視察を終え王城に戻る道中、ララヤはファラム・オービアス星の素晴らしさを剣城に説くが、剣城はそれに生返事で返す。怒り出すララヤに対し、剣城はファラム・オービアスが地球よりも文明的にも科学的にもずっと進んだ星であることを認めはした。

 そしてララヤに仕えるという命令にも服することに同意する。それを聞いて大喜びなララヤは一国の為政者というより、恋人の関心を惹くことが出来たことを喜ぶひとりの少女の表情に近かった。

 そして彼女は強引に誘拐してまで伝えたかったその願いを剣城に告げるのであった。



ララヤ「妾の夫になるのじゃ!!」
剣城「何っ!?」


 想像もしていなかった求婚の願いを受け、剣城は激しく動揺する。まぁそりゃそうだよね。剣城はいかに大人びていようとまだ13歳の年齢だし。色恋沙汰なんかもここまで一回も無かっただろうし。



 心底困ったという剣城の表情を見つめながら、ララヤはその顔を誰かの姿に重ねる。それは剣城にも、ララヤにも似た風貌の男性であった。頭に被る王冠から、それは先代国王の姿であろう。つまりララヤの父の姿であると推察される。その両者の風貌をダブらせながら、ララヤは心から幸せそうな顔つきで剣城が自らの伴侶(はんりょ)となることを夢想するのだった。ララヤちゃんファザコン説。



 一方、剣城がそんな事態に陥っていることなど知りもしないアースイレブンの面々は、ワープを終えて次の星域に到着していた。

 次の惑星に思いを馳せる信助だったが、そこはサンドリアスと同様に地球人を敵とみなす人々で溢れているはずである。歓迎はされないであろう。

 天馬は負ければ故郷を失うが、勝ったとしてもその星の人々を不幸にするだけだという現実に戦いの意義を見失いつつあった。その思いを汲んだ神童拓人(CV:斎賀みつき)は、自分たちに今できることはサッカーをするだけだと告げ、一戦一戦を戦いながら答えを見つけるのだと天馬の迷いを断ち切ろうと試みる。天馬も尊敬する先輩のその言葉が一面の真理であることを理解する。



 到着した惑星の名は【惑星サザナーラ】。星の周囲に一重の輪を持った青く美しい星であった。



 サザナーラステーション。青い星に違(たが)わず、水の中に駅がある。つまり今度の惑星は水の星であるということ。クジラに似た大型哺乳類が遊泳しているところを見ても、地球に似た環境にあるようだ。水の中に街があるという性質上、人の居住に合致した陸地はほとんど無いという感じなのだろうと推察されるが。


 水族館の中からのような景色に、駅に降り立った一同もしばしその目を奪われる。漁師だった鉄角はこの星の魚の姿を見て地球ではアイナメに当たると説明口調。魚とボクシングに関しては彼は誰よりも詳しい専門家だ(それ以外は脳筋だが)


 そこに、またも彼らに先立って迎える役を演じるコーディネーターのイシガシ・ゴーラム(CV:遠藤綾)がやって来る。彼女はコーディネーターという表の役以外に、ファラム・オービアスの意向を受けるオズロックの部下という一面も持っている。剣城を誘拐した実行犯は彼女ということを忘れてはいけないだろう(天馬たちはまだそのことに気づいていないのだけど)。


 イシガシはもっと良い展望の場所があると一同に告げ、彼らの関心をその場に惹きつけ、案内することを言い出す。何となくイシガシの思い通りに動かされている気がするのだが……。

 天馬もそれに付き従いながら、カトラが言っていた「希望のカケラ」がこの星にも存在するのだろうかと考えていた。ポトムリからは否定されたものの、カトラの語っていた宇宙を救う話に賭けようとする天馬の気持ちは揺るいではいないようだ。



 動く歩道に乗って移動するアースイレブンのメンバーは、自分たちをジッと見つめながらも静寂すぎるサザナーラ人たちの様子を不審に思っていた。宇宙人である分、事情通のみのりはサザナーラ人が厄介な特徴の持ち主であることを知っていた。

 その特徴が何なのかを聞かないまま、皆帆は宇宙ではそれぞれの特性を持った人たちが息づいているという事実そのものを面白いものだと感じて笑い出す。知的好奇心が旺盛な彼はそういう事象が大いに関心事なのだろう。

 皆帆よりはみのりの語る言葉に危機意識を持った天馬は、何かあればすぐにギャラクシーノーツ号に戻れるよう、メンバーの意識を集中させる。


 同行するピクシーは窓外に広がる海の生物、特にクラゲに興味を示す。ピクシーを呼ぼうと天馬が声をかけるが、その瞬間、彼の名を呼ぶ声が聞こえてくる。

 見るとそこにはカトラが立っていた。



 天馬はそちらに駆け寄るが、いくら走ってもカトラの元にはたどり着けない。何だかブラックルームでの特訓を思い出す。

 天馬はカトラには聞きたいことがたくさんある。たどり着けないままに、彼はその疑問をカトラにぶつける。ポトムリに聞いた「惑星キエルがブラックホールに飲み込まれた」ことが事実なのかを問う。そしてカトラが今どこに存在するのかも。みんなを救う方法とは何なのか。

 カトラは悲しげな表情を浮かべて天馬の疑問には答えを与えようとはしない。ただ、天馬が自身の元を訪れることが出来た時、その暁(あかつき)にはすべてを話すとだけ告げる。

 その言葉は天馬に新たな疑問を生じさせる。どこに行けばカトラに会うことが出来るのかという質問には、グランドセレスタ・ギャラクシーで天馬たちが勝ち進むしかないとカトラは答える。相変わらずゼロ回答に等しい曖昧模糊(あいまいもこ)な言い分だったが、それを成し遂げれば宇宙のすべての人々を救うことが出来ると強くうなづいたカトラの真っ直ぐな視線を受け、天馬は必ず勝ち続けてカトラのいる場所に行くと請け合う。


カトラ「あなたは私の言葉が信じられるのですか?」


 カトラは自分で言っておきながらも曖昧な言い方であることも自覚していたのであろう。疑うことなく真っ直ぐな視線を返してくる少年を、いささか驚いたという口調でそう問い返す。

 天馬はカトラがデタラメを言っているとは思えないという自身の直感に素直に寄り添うことを告げ、カトラを喜ばせる。

 カトラは天馬たちを導くことにした理由を語り始める。サンドリアス戦で勝利したあと、サンドリアス人たちが嘆いている姿を見て悩んでいた天馬の姿を見て、カトラは天馬なら銀河を救うという強大な力を正しく使ってくれると確信したのであった。


 カトラはにっこりと笑いかけ、その表情のまま遠ざかって行く。また別れの時を迎えたと感じた天馬はまだ話し足りないことがあるとばかりに呼び止めようとするが、カトラはそのまま姿を消してしまう。



 ……
 天馬がカトラとの邂逅(かいこう)から現実に戻って来るのは、またもピクシーの鳴き声を聞いてであった。天馬は心配そうに自分を見つめるピクシーを安心させるようにその頭を撫でる。

 天馬がピクシーを呼びに行ったまま、帰ってくるのを待っていた他のメンバーは、今またカトラに出会ったという天馬の言葉を驚きをもって迎える。


みのり「そんなはずは無い」


 頑なにその言葉を否定するのはみのりであった。天馬は二度までも会ったカトラの生存を信じるのだが、みのりも自身の目で惑星キエルが滅ぶ瞬間を見た立場として天馬の言い分を否定する。

 天馬はみのりの意見を受けても、実体験したカトラとの出会いを信じると言ってお互いの意見は平行線だった。みのりはどうしてこうまで頑なにカトラの生存を否定するのだろうか? もしかして、ブラックホールはみのり(ポトムリ)に関係ある現象だったのかもしれない。ポトムリがカトラを滅ぼすために暗躍した可能性も……?



 そんな白昼夢的ハプニングがあったものの、一同はなおも先に進む。しかしその行く手を阻む者が現れた。通路状の橋の両側を挟み撃ちにして立ちはだかるサザナーラ人たち。

 歓迎せざる客であることを自覚していた鉄角は、ここでひと悶着あることを覚悟する。戦いを避けようにも挟み撃ちにあっている現状ではそれは不可能だ。




 この野試合のメンツもサンドリアスのときと同様、正式なチームの一員じゃなくゲームで出て来るスカウト連中なんだろうな。上段中央の猫みたいな容貌のサザナーラ人はたぶん魚好き。他の面々はイケメン揃いでサザナーラ人が美貌集団であることを予感させる。


 地球人のサッカーを見せて欲しいと語るサザナーラ人たちは、その言葉とは逆に挑発的な態度で迫ってくる。戦いが不可避であろうと、試合の前に自分たちの手の内を見せる必要はない。神童からそうアドバイスされ、天馬も同意する。


 前回と違ってこの場にはイシガシがいるのだが、そのイシガシも戦わないと帰してもらえそうにないと悲観的憶測を述べる。頼りにならないコーディネーターだ。



 やむを得ず試合に臨むアースイレブン。敵の数からして5対5のサドンデスルールの戦いだろう。13人でボコるという卑怯な真似はしないだろう。敵地だし。

 近くに存在するグラウンドに移動する。神童は天馬にこの戦いにあたっての作戦があるのかと問う。天馬はスピードのある瞬木隼人(CV:石川界人)との連携で一気に試合を終わらせる心づもりであることを明かす。その作戦を振られた瞬木も笑顔で応じる。

 キーパーには井吹宗正(CV:鈴木達央)が名乗りを上げ、DFには皆帆が立候補。彼はこの機会にサザナーラ人たちの特性を分析するつもりでいたのだ。

 皆帆がアースイレブン一のデータ班などとさくらや鉄角に持ち上げられていることに激しく嫉妬した真名部もDFとして出場することを宣言する。恩着せがましく手伝ってやると言われ、皆帆はありがた迷惑な表情を浮かべる。



「別に一人で十分なのに……」


 まぁそんなわけで出場する5名が決定した。天馬はこの試合よりも大事な本戦のため、無茶はするなと釘を刺す。もちろんメンバーたちに異存は無い。





 試合開始直前のフォーメーション。アースイレブンは天馬の作戦通り、ワントップに瞬木を置いて短期決戦に臨む形だ。一方のサザナーラ人たちはよく分からないけど、やはり一番ゴツイ赤毛の男がキーパーを務める。女の子は右サイドの黒髪と後方の猫っぽい子の2名。FWも女の子ぽいけど彼は♂。


 ベンチ前では選ばれなかったアースイレブンの仲間たちが応援する。剣城のニセモノである剣偽が選出されなかったのは単なる偶然か。

 「さっさと終わらせろ!」という鉄角の言葉にいささかカチンと来たであろうサザナーラ人たち。そうはさせないという気概を込めて不敵に笑う。


 アースイレブンボールで試合開始。天馬からパスされた瞬木だったが、それを読んでいたかのような黒髪にカットされてしまう。こんな時もあると瞬木に慰められ、気を取り直す天馬だったが、その後も偶然とは思えない頻度(ひんど)で仲間のパスが奪われてしまう様を目にする。



 何度も奪われてしまう状況は皆帆の目から見ても異常だった。だがその理由がチーム一の分析力の皆帆の眼力をもってしても分からない。


 天馬は敵のお株を奪うようなパスカットで逆襲に転じる。そして両翼の真名部と皆帆に指示を出しつつ、前方の瞬木にパスを送る。今度こそ通ると思われたそのパスだったが、猫娘にあっさりとカットされてしまう!



 その度重なるパス失敗には、さすがの瞬木もたまらず苦言が飛び出す。そして猫娘を追いながら瞬木は心の中で天馬に毒づく。その姿を見ていた敵のFW選手は、瞬木の姿に何かを見て取る。

 相変わらずパスが自分に通らない状況にフラストレーションを募らせる瞬木。FWの選手は黒髪と示し合わせたかのように面白いものを見る目で瞬木を見ていた。金髪の男も笑いをこらえながら瞬木を見る。彼らには一体何が見えているというのだろう?

 その不自然な態度に瞬木が気づく。天馬には瞬木が何か変わったところは見受けられない。これはサザナーラ人だけが見ることが出来る「何か」なのだろうか? そういえば先ほどみのりがサザナーラ人には厄介な特徴があると言っていたが……。


 自分たちを馬鹿にする連中にはプレーで見返すという井吹は、その正論をプレーで実証する。FWのシュートを横っ飛びに受け止めてみせる。

 井吹は受け止めたそのシュートを鼻で笑うことで自分たちを馬鹿にして失笑するサザナーラ人たちを見返す。そして真名部にボールを送るのだが、なぜかそのフィードも読まれてしまう。真名部からボールをカットした金髪は一気にシュートに持ち込む。その軸足の動きを完璧に見切った井吹は自信満々に右に体重を傾ける。だが……!!



 放たれたシュートは左サイドを襲う!! 軸足の動きを決めてからシュートコースを変えることなど普通は不可能だ。井吹の心を読めない限りは……。その事態には驚かされるのだけど、実はもっと驚くべきことがある。このシーンは金髪が放ったハズのシュートなのだがいつの間にかFWの青髪が放ったことになっていることだ!! これもサザナーラ人の能力ということなのか!? ……素直に作画スタッフが間違ったという説に1票。


 シュートはゴールネットを揺さぶる。誰もが信じられない光景だった。サドンデスルールによりこの試合はアースイレブンサイドの敗北に終わる。井吹は裏をかかれたことを悔しがる。

 敗北した彼らに、勝者であるサザナーラ人たちから容赦ない侮蔑の言葉が投げかけられる。負けた立場では何を言われても言い返せない。

 瞬木は憤懣(ふんまん)やるかたない様子だった。そこに最初に瞬木の姿に何かを見たFWの選手が歩み寄り、語りかける。



「お前、孤独なやつだな?」


 初対面の、しかも異星人に自分の素性をズバリと言い当てられ、瞬木は激しく動揺する。サザナーラ人は嘲(あざけ)るように瞬木のことを考えてくれる奴などいないと言い放ち、笑って立ち去っていく。可愛い顔して性格は悪いのがサザナーラ人の特徴のようだ。

 瞬木は自分の心を見透かされたこと、そしてそれを馬鹿にされたことに激しい怒りを募らせるのだった。
 


瞬木「何なんだあいつら……俺の何を分かるって言うんだ?」



 前哨戦(ぜんしょうせん)で完敗したアースイレブン。その眼前には暗雲が漂う。そして瞬木の心の闇を暴いたサザナーラ人のその能力とは、一体!?



 次回に続く。



  エンディング



 さて新しい戦場である惑星サザナーラに到着したアースイレブン。その前にみのりがポトムリと同一人物だったという説も事実として明かされた。正確にはみのりとピエロ人形にポトムリというキエル人の魂が憑依しているというのが正しい表現かな?

 みのりがどうやって黒岩の信任を得て協力者になったのかなどは描かれていなかったが今後説明があるのかもしれない。黒岩にはソウルを見抜く能力があるし、みのりの中のポトムリの精神体も見えるのかもしれないとかいろいろ想像している。


 また今回、ララヤから剣城に対してまさかのプロポーズがあったのが衝撃的。超次元サッカーアニメとしては男女のロマンスってあまり描かれて来なかったしねぇ。朴念仁(ぼくねんじん)な剣城にも春が来るのだろうか? ララヤはワガママだけど可愛くて、悪人だとは思えない気がする。まぁその割には剣城を誘拐させたりと手段を選ばないのだが。

 また彼女が国民から慕われる王の姿を見せていたのも良かった。乳母っぽい老婆がイジワルな分、彼女の優しさが引き立つのだけどな。ただ国民の笑顔を望むために側近のミネルを大いに困らせ、部下の笑顔を犠牲にしているという気持ちは捨てがたい。



 サザナーラ人たちは基本的に美貌揃いで前回のサンドリアスとはいろんな意味で対照的だった。砂の惑星から水の惑星だしね。彼らの特徴ある髪型は可愛い。猫耳ぽくて。彼らの特性はおそらく想像通りなのだと思うけど、それってサッカーではかなりのアドバンテージになりそうな能力だ。果たして天馬たちに勝機はあるのか。そして瞬木の心の闇はどうなるのか?




 今回はDF部門の投票。ゴールキーパーの時と違って3人までが選出されるから競争率は少しだけ低そう。とはいえ菜花黄名子(CV:悠木碧)を始めキラ星のような優秀な選手たちが揃っている。やはり現役の強みか、まなみなと好葉、鉄角の4人が強そうだけど狩屋マサキ(CV:泰勇気)や霧野蘭丸(CV:小林ゆう)など腐女子ウケするキャラも多い。なお、この投票ももう受付が終わっているので掛けても無駄です。



  次回「瞬木隼人の闇!」に続く。



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