『イナズマイレブンGOギャラクシー』第31話「ダブルソウル!井吹と神童!!」の感想 【惑星ガードン編終了!】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第31話「ダブルソウル!井吹と神童!!」を観ての感想を書く。強敵との戦いにこれ以上ない心強いチームメイトが帰って来る。しかも彼らだけが持つ最強の力を引っ提げて!



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第30話「強烈!シュートカウンター!!」の感想 【鉄角が主役回。ヒロインは信助】
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 星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦3回戦。松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】と【惑星ガードン】との戦いが繰り広げられる中、チームの精神的支柱であり司令塔である神童拓人(CV:斎賀みつき)と守護神、チームの正GKの井吹宗正(CV:鈴木達央)の両名の姿がそこにはなかった。


 2人はガードンの伝統や自然を守る立場の東の種族の客人として迎えられ、そこでソウル発動の試練を受けていた。彼らの不在を受け、先発出場した控えGKの西園信助(CV:戸松遥)は頑張るが、敵の猛攻の前に右肩を痛め、ここまで2失点を喫してしまう。

 そんな信助を弟分として可愛がる鉄角真(CV:泰勇気)が意地の新必殺技を披露して1点を返し、なおも訪れたピンチに、彼の心の深奥(しんおう)からの叫びがついに具現化した!!


鉄角「見せてやるぜ! 俺の中の『サッカー』という野獣の姿をっ!!」




 鉄角の心の中に眠っていた野獣、荒ぶる雄牛が目を覚まし、彼の身体に憑依(ひょうい)する! 何者をも駆逐(くちく)するその角(つの)のパワーにはファラム・オービアスからの刺客、紫天王の一員としてこの試合に参戦していたロダン・ガスグス(CV:藤村歩)を一蹴する。


 ついに現れた5人目のソウル発動者。ボールを奪い取って仁王立ちする鉄角の威容に、チーム・ガードンのキャプテンであり西の種族族長のアルベガ・ゴードン(CV:高口公介)も目を見張る。


鉄角「見たか!? これが俺のソウルだ!!」


 念願だったソウルを体現させた鉄角は、信助や天馬から祝福される。そして影になり日になり鉄角にアドバイスを送っていた市川座名九郎(CV:小西克幸)もその成果に納得の表情を浮かべ、一つ大きくうなづく。



 ベンチでもマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)と水川みのり(CV:高垣彩陽)が笑顔を見せる。誰もが鉄角の努力を認めていたから、その成功が我がことのように嬉しかったのだろう。葵はともかくみのりのこの穏やかな表情は珍しい。



 そしてここで前半戦終了のホイッスルが鳴る。展開は1−2とアースイレブン側に不利な経緯だが、最後のロダンのシュートを阻止した鉄角のソウル発動のプレーにより、雰囲気はむしろアースイレブンに優位な情勢だ。

 その展開をことさらに否定するのは、アルベガだった。自らが採用した機械文明を絶対視し、ソウルなどという前時代の遺物を認めたくはない彼にとって、鉄角のソウルの力は打ち破るべき障壁でしかなかった。スコアボードを見つめながら、彼は「ソウル打倒」→「東の種族の思想否定」→「父であるログロス・ゴードン(CV:園部啓一)を克服する」という意思を固める。



   オープニング



 ハーフタイム中にも神童、井吹の帰還は無い。葵がまだ戻らぬチームメイトの安否を心配するが、天馬は彼らが帰ってくることを微塵(みじん)も疑ってはいなかった。

 瞬木隼人(CV:石川界人)はこのまま帰還することなく後半戦が始まってしまうことを告げる。キーパーである信助が負傷していることが懸念されるという彼の言い分。歯に衣(きぬ)着せぬその物言いは信助にとっては酷だが、真っ当な意見だった。

 しかしソウルに目覚め自信を深めている鉄角が、信助のことを責任をもってカバーすると堂々と告げる。もはや精神的に鉄角は完全に信助の兄貴分だ。


 瞬木の意見と鉄角の意見がぶつかり合う中、それでも今できることを模索する天馬。それは現有戦力で戦うしかないということだ。いつか帰ってくる2人のチームメイトを信じて。



 そしていよいよ後半戦が始まる。両チームともにメンバーチェンジはない。アースイレブンのキックオフ、剣城京介(CV:大原崇)のニセモノ、剣偽からボールを受けた座名九郎はバックパス。キャプテンであり現状はチームの司令塔を兼ねる天馬にボールは渡る。

 そのアースイレブンのプレーを、前半と変わらぬ分析力で見透(みとお)し、仲間に的確な指示を出すアルベガ。ロダン以外のフィールドプレーヤーは全員がアルベガの忠実な部下だ。指示通りにマークが付き、天馬のパスコースは限定されてしまう。



 天馬はフリーの剣偽にパスを送るが、3番DFのヘビクイワシ、メラピル・セクレタ(CV:不明)にカットされる。剣偽の能力を把握した上でマークを外していたこともアルベガを始めチーム・ガードンの策略だったのだろう。


 メラピルは前線のキジ、FW11番のニーラ・フェズン(CV:田尻浩章)にフィード。今度はアースイレブンのDF、森村好葉(CV:悠木碧)が必殺技「このはロール」で阻止する。だが疲れの見える好葉はそのボールをキープ出来ず、サイドラインを割り込んでしまう。

 敵はチーム・ガードンだけではない。この星特有の暑さという見に見えない敵とも戦う必要がアースイレブンにはあるのだ。その地の利を熟知するアルベガはこの状況に満足げに笑う。



 遠い火山地帯のマグマだまりを臨む原野では、そのアルベガを誰よりも気にかける男、ログロスの姿があった。思想の違いから袂(たもと)を分かった親子ながら、ログロスはまだアルベガがガードン人としての誇りを忘れていないことを信じていた。


グロス「アルベガよ、思い出すのだ。ガードンの魂を……」


 その父の思いは、果たして息子に通じるのであろうか?



 試合展開は一進一退ながら、やはり暑さという慣れない敵と戦わねばならない分、アースイレブンに徐々に不利な情勢となっていく。

 ルーズボールを奪い合うニーラと好葉。だが体力面で限界が近い好葉が振り切られる。そのカバーに皆帆和人(CV:代永翼)が懸命のスライディングでボールをサイドラインに押し出す。


 身体の小さい好葉が肩で息をする姿は天馬や葵を心配させる。そうすることで疲れた選手たちに自身の力を分け与えられると思うのだろう、葵は拳を握り締めて応援する。

 そこに出し抜けにみのりの声が。一点を見つめるみのりの視線を追った葵の表情が見る見るうちに喜色に染まる!



 その間も攻勢に出るチーム・ガードン。アルベガはチーム内の問題児、ロダンに指示を出す。またも渋々といった風情でその指示に従うロダン

 ロダンを含め、コヨパク・ジャリガー(CV:不明)、先制点を挙げたヴェス・ホーネ(CV:岡林史泰)といったガードンのFWが3人、横並びに攻め上がってくる。信助を守ると豪語した鉄角はその言葉に責任をもって行動する瞬間が訪れた。

 ここまで全員がシュートを撃っているのだ。巧妙に横並びで上がってくる3人の誰がシュートを撃つのかが鉄角には見極められない。

 その鉄角の隙を突き、ラストパスはヴェスに届く。ヴェスは2度目の挑戦で信助の防御を貫き、その腕に怪我を負わせた必殺シュート「カザンガン」を3度(たび)放つ。

 鉄角の加護(かご)がないまま迎え撃つ信助も3度目のキーパー技「ぶっとびパンチ」で対抗する。



 歯を食いしばってのその防御は何とかボールを弾き返し、ボールはサイドラインを割る。ゴールを死守したものの信助の右肩はもう限界だろう。無茶を諫(いさ)める天馬や鉄角に無理に笑いかけてみせる信助の頑張りがいじらしい。


黒岩「選手交代だ……」


 そこに選手交代を告げる監督、黒岩流星(CV:佐々木誠二)の怜悧(れいり)な声が響く。確かに信助の怪我は深刻だが、代わりの選手などいないはず……。



 そう思って黒岩を顧(かえり)みた天馬の視線に、待ち焦がれた2人の男の姿が!! 先ほど葵の表情を喜色に染めた理由も彼らの帰還であったことが明かされる。



 メンバーチェンジ。信助の位置にはもちろん井吹が入り、疲労が限界に達していた好葉がベンチに下がって神童が入るという形になる。好葉の弱々しくボロボロになった手を気遣うようにタッチしてフィールドに入ってくる神童の姿は、それだけで仲間の気持ちを大いに鼓舞する。


神童「心配をかけたな、天馬」


 天馬を思ってかけた神童のその言葉は、意外な形で否定される。


天馬「いえ、必ず来てくれると信じてました!」


 この戦場への帰途(きと)、神童が天馬を信じていたように、いや、あるいはそれ以上の信頼感をもって天馬は神童の帰還を信じていたのだ。その心意気に触れて神童は満足そうにうなづく。


 そして互いが互いを信じていた思いを交わす儀式は、2人のゴールキーパーの間でも行われていた。信助の小さな拳と井吹の大きな拳が触れ合う。


井吹「よくやったな!」
信助「あとは任せたよ!」


 かつてはお互いをライバル視して心を置かなかった両者が、方や自分の不在の間の健闘を称え、そして留守を預かっていた側も絶対の信頼をもってこの後のゴールを託したのだ。

 この2組の厳(おごそ)かにして感動的な儀式は今後のアースイレブンの勝利を確定させるものであったことがこのあと証明されることになる。




 そしてこれが神童、井吹加入後のアースイレブンの新布陣だ。DFである好葉に代わってMFの神童が入った分、攻撃性が増している。前がかりの3−4−3の布陣。司令塔を神童に譲った天馬もシュートを狙えるポジションに入り、十全たる行動が取れるようになった。



 そして名誉の負傷でベンチに下がった好葉、信助は帰って来た2人にこの後の試合を託した。見た目、葵がちびっ子2人を介抱している優しいお姉さんのようだ(注:この3人は同い年)。



 試合はチーム・ガードンのスローインで再開される。6番MF、タカの女の子、エトゥナ・ホルク(CV:不明)のスローインがヴェスに送られるが、それを野咲さくら(CV:遠藤綾)がカットする。神童と井吹の帰還がチーム全体の士気を上げるという副次効果を呼んでいた。九坂隆二(CV:岡林史泰)だけは好葉が交代してしまったことで落ち込んでるかもしれないが……。

 さくらは奪ったボールを早速、その神童に送る。神童は座名九郎を名指しする。アルベガはそんな神童の指揮能力を機械仕掛けのスコープで冷静に分析し、4番DFのフクロウの女の子、ミスティ・オール(CV:不明)に指示を出す。

 神童から座名九郎へのパスは通るが、その後の進撃はミスティの的確なスライディングを受けて阻止されてしまう。



 その後もアースイレブンの動きが俄然(がぜん)良くなってくる。さくらは鉄角のソウル発動にはノンリアクションだったくせに神童の帰還後はやたら張り切っている。鉄さくが理想の私にとってはちょっと解せない展開。さくらちゃん、神童狙いなのかな?


 神童、井吹というレギュラーの復帰がチーム全体の士気を上げ、それが如実(にょじつ)にプレーにも現れていた。その事実はデータを重視するアルベガも敏感に察していた。


 神童からのパスが瞬木に送られる。自分を活かしてくれるパスを出す神童の復帰を待ち受けていた瞬木はここで彼のソウル、隼の力を発動させる!



 鳥人間相手に鳥のソウルで挑むという瞬木のシュートに、アルベガは一歩も動くことが出来なかった。これで試合は2−2とアースイレブンが追いつく展開となる。これも神童、井吹の帰還が生み出した効果だろう。


 ソウルという否定しなければならない忌(い)むべき力にしてやられ、アルベガはゴールポストを叩きつけて悔しがる。

 そこに悪魔のように邪悪な囁(ささや)きをする小柄な男。ロダンは全員攻撃をさせるよう、アルベガに要請する。納得しかねるアルベガに対し、ヤバい展開になったら指揮系統は一時的に自身に委(ゆだ)ねられるという事前の約束事をロダンは盾にする。


アルベガ「それはお前が勝手に決めたことだ!」
ロダン「2点も取られたよねぇ? その自慢の腕で止められなくって(嘲笑)」


 出会った当初から仲が悪い両者だ。上手く進行していないこの試合展開もあって激しく罵(ののし)り合う。アルベガはあくまでもチームのキャプテンが自分であることを強調する。だがファラム・オービアスの意向を背景に持つロダンはこういう場合に部外者である特性を利した殺し文句を持っている。



「負けてもいいの?」


 負ければこの惑星ガードンは滅びる。それはこの星を代表するアルベガにとっては無視できない脅迫だ。自分たちが負ければ西の種族はもちろん、そもそもこの戦いにはノータッチである東の種族をも巻き込んでガードン人が滅亡してしまう。

 勝って自分たちの理念が正しいということを証明したいアルベガは、ロダンの悪魔の囁きについに屈服する。

 アルベガの同意を取り付けたロダンは携帯の端末を操作し始める。すると会場外に敷設されていた砲台の向きが変わり、天空に赤い光弾が発射される! これは一体……ロダンは何をしようとしているのだろうか?



 さらにロダンの要求に屈したアルベガがチームメンバーに指示を発する。それはFW、MFを一体化しての全体攻撃であった。

 その作戦を見た瞬間、神童はチャンスと見て必殺技「アインザッツ」でマヨン・クレステ(CV:不明)からボールを奪い取る。



 そしてすかさず必殺タクティクス「神のタクトFI(ファイアイリュージョン)」で仲間に攻勢のタクトを振るう。だが神童はログロスから受けていた忠告『ガードンが全員攻撃してきた場合、攻めてはならない』という言葉を忘れていた。


 そう、アースイレブンの攻勢こそロダンの思惑通りだったのだ。ロダンの指示を受けたアルベガが口笛を吹き(クチバシで口笛を吹くとは器用だな)、仲間たちをより一層前に進ませる。

 ボールを無視して前方に走る敵チームの行動はアースイレブンを混乱させる。その動き、そして神童から聞かされたログロスの言葉を思い出した井吹はハッとなって叫ぶ。


井吹「神童、攻めるな!!」


 その言葉を受け、神童はようやくログロスからの忠告を思い出す。すんでのところで留まった神童は、チャンスとみられるその状況の中、ボールをサイドラインに蹴り出し、全員に自陣へと戻るよう指示する。

 当然ながらその指示はにわかには伝わらない。瞬木は公然と異を唱え、天馬や座名九郎ですらその指示には従いかねる様子だった。

 だが神童の鬼気迫る口調に何か異変を感じないほど彼らはバカではない。「いいから戻れ!」という神童の剣幕に押され、彼らは自陣に駆け戻る。

 そのプレーの変化には実況のダクスガン・バービュー(CV:勝杏里)もわけが分からず戸惑うが、その直後、空が赤く染まるという異変を彼は目にする。


 それは巨大な焼ける岩だった。先ほどロダンの操作で打ち上げられた赤い光弾はまさにこの岩だった。岩は上空で分離し、多量の火山岩となってフィールド目がけて降り注ぐ!!




 驚愕する一同を前に、火山弾のかけらが土煙を上げて落ちてくる。もしガードン陣内に選手がいれば大惨事となっていたであろう。怖がり3人組のこの表情もよく分かる。


 ログロスが語っていたことはまさにこのことだった。敵である地球人の神童にこのことを教えてくれたログロスは、事前に砲台のコントロールを確保していたロダンの悪巧みを知っていたのだ。

 ログロスはこの星の運命よりも地球人である神童たちとの信義を重んじてくれたのだ。その真心を知り、神童は感謝の念に耐えず、拳を握り締める。



 一方、アルベガもここまでひどい作戦だったということは聞いていなかったらしい。ロダンの胸ぐらを掴んで怒りをぶつける。



 そのロダンだが、ちっとも悪びれることなく(表情は悪そのもののゲス顔だが)、一人も潰せなかったと残念そうに語る。この場合の「潰す」はもちろん物理的に。敵チームに鉄骨を落とした過去を持つ黒岩とロダンは話が合うかもしれん。ひょっとしたら親戚? 中の人は黒岩の甥の影山輝(CV:藤村歩)と同じ人だし。


 ロダンの態度に激怒したアルベガは以後一切の協力を拒(こば)み、自分の信じる道を行くと告げる。自分の信じるところを貫いて勝たなければ意味がないという彼の信念は正しい。


 そこに割り込んでくるのは、チーム・ガードンの監督のカルデラ(CV:不明)だった。彼の口から告げられたのは選手交代、それもファラム・オービアス肝いりの選手、ロダンを交代させるという驚くべき采配(さいはい)だった。


ロダン「ちょっと……あり得ないでしょこれは!?」


 異議を唱えるロダンを乱暴に投げ捨て、アルベガは監督の采配を正しいと断言する。カルデラも毅然とした態度でロダンにフィールドから去るよう要請する。



 あまり目立たなかった敵チーム監督、カルデラそれでもサンドリアスやサザナーラでは監督の存在感ゼロだったから逆に違和感。年齢はアルベガより上だろう。種族の長は若いアルベガだがサッカーチームとしての上官はカルデラということになるのだと思われる。


 バックに控えるファラム・オービアスの意向を示唆(しさ)して脅しにかかるロダンの言葉を遮(さえぎ)り、カルデラは出世欲という野心のみで行動するロダンはチームには不要だと両断する。彼らガードン人は種の存続、そして信じて来た信念のために戦っている。出世を考えるロダンの存在は彼らにとっては助けになるどころか邪魔なものでしかない。

 ここまでファラム・オービアスの方針に異を唱えなかった監督がここまで強気な態度に出たことは、味方であるアルベガでさえ意外な気持ちで受け止められた。ロダンは捨てゼリフを残し、フィールドを後にする。

 12番FW、パラキートのタール・パラキー(CV:不明)が代わりにフィールドに入る。純正のチーム・ガードンがここに復活し、アルベガは監督に感謝しつつ今度こそ自分たちの思いのために戦うことを誓う。



 フィールドでは火山岩の落下によって生じた穴を元に戻す作業が行われていた。ローラー車を駆使して即座に復元してみせるところなどはこの星の機械文明の発展の度合いを実感させる。



 ここまで試合を傍観してきたリュゲル・バラン(CV:ランズベリー・アーサー)とガンダレス・バラン(CV:興津和幸)のバラン兄弟。リュゲルはここで帰ることを弟に告げる。最後まで見てアースイレブンを偵察しようというガンダレスに対し、リュゲルは得意げに返す。



リュゲル「奴らはもう倒した。俺のイメージトレーニングの中でね」
ガンダレス「それマジ!?」


 脳内ソースを自慢げに語る兄と、それを少しも疑わない弟。相変わらずのバカ兄弟ぶりだ。褒められまくってまんざらでもない兄は形ばかり、それを制しようとする。ただそれってダチョウ倶楽部の「押すなよ!」と同じであることを弟は知っていた。



リュゲル「言うなよ、それ以上何も言うな」
ガンダレス「すげーや! やっぱすげーマジすげーったら〜!」



 バラン兄弟が去った試合会場。もはやこの場にファラム・オービアスの監視の目は無い。ただ地球人とガードン人の思惑だけがこの試合の趨勢(すうせい)を決める。




 そしてロダンが抜けた後のチーム・ガードンの布陣。フォーメーションは変化なく、ロダンのいた位置にパラキーが入ったのみ。



 ロダンという異分子がいなくなったことで、他のガードンの選手たちはむしろその精度を上げていた。神童、井吹の復帰で意気上がるアースイレブンと互角の展開で試合は推移する。


 天馬から神童へとパスが渡る。即座にアルベガからそれを迎撃するよう指示が飛ぶ。神童はマークが届くまでの隙を見て、必殺シュート「フォルテシモ」を撃つ。

 しかしそのシュートはアルベガにとっては押さえることにまったく造作無い。技を使うこともなく処理してしまう。天馬の「真マッハウィンド」すら素手で止めたぐらいだもんねぇ。



 試合会場から続く通路には、この試合から放逐(ほうちく)されたロダンがいた。彼はこの試合などどうでも良いと悪態を吐きつつ、またも例の携帯端末を操作する。



 粘着質な奴に逆恨みされると大変だ。


 悪夢の再現か、砲台からまたも火山弾が打ち上げられる。放置すれば先ほどのようにフィールドに落ちてくるのは確実だ。しかも今度はガードン側にも分からないタイミングで。



 そんなことなど露知らず、試合は続いていた。アルベガの絶妙の指示が飛び、チーム・ガードンが攻勢に転じていた。さらに会場のギミックまでもがガードンの味方をする。ミスティが外に蹴り出したように見えたボールが蒸気排出システムによって跳ね返され、インフィールドに(これも排出のタイミングをあらかじめ知っているアルベガの指示なのだが)。

 そしてフリーの形でボールを受けたのが、信助の腕を痛めたシュートを放ったヴェスだった。ヴェスは4度目の必殺シュート「カザンガン」を、今度は井吹に向けて撃ち込む。



井吹「やらせるか!!」


 井吹はやおら地に伏せ、気合いを込める。すると彼の全身をあの白いオーラが包み込む。これはソウル発動の先触れだ!!

 


 マンモスの姿に身を変えた井吹はその弩級(どきゅう)の前脚でシュートを踏みつけ、その圧でボールを押し込める。それはマンモスのソウルという豪快さにふさわしい圧巻のシュート阻止だった。


 ソウルパワーという心強い能力を引っ提げて帰って来た井吹の姿を天馬は大喜びで祝福する。アルベガはまたも増えたソウルの使い手に唖然とする。

 相次ぐ地球人のソウルの力に勝利が遠のくことを感じるアルベガに、上空から近づく影があった。それはかつては彼とは親子の間柄だったログロスだった。スタジアムの屋根に陣取った父を見つめ、アルベガは何を思うのだろう?


 そしてそこで上空を見たからこそアルベガは気づくことが出来た。空を赤く染めて落下する火山弾。それはロダンが放った第二弾である。


アルベガ「ロダンの奴、余計な真似を!!」



 神童は全員にフィールド外に出るよう指示する。敵も味方もない、全員がその指示に従う。真名部陣一郎(CV:野島裕史)はそれがここに落下することを予測するがそんなこと言われなくても分かる。


皆帆「言われなくても分かってるよ!」


 ヴェスも逃げようとするが、ふと見ると自陣ゴール前でじっと佇(たたず)むキャプテンの姿を認める。ヴェスはアルベガにも逃げるよう勧めるが、アルベガは自身の信念の戦いを邪魔されたことが我慢ならなかった。
 

アルベガ「俺の邪魔をするな〜っ!!」


 そう叫んだ彼の身体を、なんと白いオーラが包み込む。発動したアルベガのソウル! その力は落下してくる火山弾に向けられる。



 顔は鳥のままだが、身体はアルマジロセンザンコウのような姿になったアルベガ。尻尾の部分で火山弾を受け止める。偶然にもこのタイミングで地震が……。


 アルベガのソウルは、試合を邪魔をされたくない思いが結晶して生じたものなのだろうか? 火山弾を消し去ってしまう。破壊したというよりも残骸がひとかけらも残らないまま、霧消(むしょう)させたのだった!


 その奇跡的な様相にフィールドの誰もが目を見張った。だがその誰よりもこの現象に驚いているのは当のアルベガ本人だった。あれだけ否定してきたソウルが自身の中にも存在し、機械文明ではどうしようも出来ないことをやってみせたのだ。


グロス「あやつ……やりおったな!」


 アルベガの中に潜むソウルの力を想定していたログロスだけが、その事態を冷静に受け止めていた。きっと彼は息子にその能力があり、ここでそれが発現したことが嬉しかったに違いない。



 火山弾の問題が解決し、試合は再開される。お互いの星を賭けた戦いはまだ終わっていないのだ。井吹のロングフィードに、天馬から前線に上がるよう指示が飛ぶ。アースイレブンが誇るストライカーたちがそれに応え、一斉に上がっていく。

 ピンチの到来に、5番MF、コンドルのネバド・コンダルム(CV:不明)がアルベガに指示を求める。これまでのアルベガなら的確な指示が即座に飛んでいたはずだった。だが自身の内にもソウルがあるという事実に茫然自失のアルベガの耳には、そのコンダルムの悲鳴のような要請が届かない。

 ふと我に返ったアルベガの前には、天馬を筆頭に押し寄せてくるアースイレブンのストライカーたちの姿だった。天馬の隣を併走する神童がパスを求める。

 神童は必殺技「プレストターンV2」でコンダルムを抜き去り、個人技で次々と敵DFをかわしていく。そして前方視界クリア。アルベガがそうはさせじと飛び出すが、その叫び声に負けない声を上げ、神童が吠える!!



 ともに文明人とは思えない野生の叫びの表出、それはお互いのソウルの激突であった。クジャクの姿に変わった神童とセンザンコウの姿のアルベガ。その姿はどう見てもサッカーアニメのワンシーンには見えなかった。



 閃光が弾け、激突を制したのは神童だった!


 神童は野生の残渣(ざんさ)を残したままの豪快さで吠えて無人のゴールにシュートを叩き込む! ついに試合は3−2と、この試合始まって初めてアースイレブンがリードを奪うことに成功する!!


 すべてをぶつけた末に失点して悔しがるアルベガを尻目にする神童。そこにそのソウルを称えながら天馬が駆け寄る。そして敵ゴール前の彼からはもっとも遠い位置にいた井吹からも祝福が贈られた。そこにはともにこの星で試練を受けてソウルに目覚めた同士、心で通じるものがあった。



 試合は残り時間わずか。始めて追う立場となったチーム・ガードンは必死だ。全員で遮二無二(しゃにむに)突進してくる。一斉攻撃、しかもキーパーであるアルベガまでもがゴールをガラ空きにして突進してくる。これが最後のプレーであることは両チーム把握している。ガードンに今さら失点を恐れる必要などない。1点差でも2点差でも、負けは負けなのだから。

 ボールを持つコンダルムはもっとも信頼できるアルベガにラストプレーを託す。アルベガは最後のシュートと、渾身の力を込めて足を振り抜く。待ち受けるのは井吹だ。



 アルベガの最後のシュートを受け止め、誇らしげにボールを掲げる井吹。


 そしてそこでタイムアップ。試合終了のホイッスルが鳴り響く!! 試合はアースイレブンの勝利に終わる。歓喜に沸くアースイレブンベンチ。


 一方、敗れたチーム・ガードンのベンチ前では、監督のカルデラがその戦いを労(ねぎら)っていた。負けたことで滅びてしまうという現実を受け止めたくないアルベガは苦悶に呻(うめ)く。

 そこに降り立って来るのは、ログロスだった。うろたえるなと語る彼はアルベガに視線を促(うなが)す。アルベガの視線の先には、ログロスに宇宙を救う方法があると伝えた神童、井吹、そしてその根拠となる天馬の3人の姿があった。

 ログロスは地球の若者の健闘を称える。それを聞いてアルベガはログロスが彼らにソウル発動の方法を教えたことを察する。

 きっかけを与えただけだとログロスは応じるが、敵を利したその態度は機械化を、そして息子であるアルベガの思想を否定することにほかならないとしか受け止められなかった。

 ログロスはそれを認めない。アルベガを否定するために協力したのではなく、地球の若者たちの将来性を認めただけだと言う。

 そして彼らの希望、それが勝ち進むことによって宇宙全体を救うことに繋がっていることをログロスはアルベガに伝える。



 それに呼応するように、天馬が話を始めるが、アルベガはそれを信じようとしない。地球人の都合の良いウソに父親も踊らされただけだと猜疑心(さいぎしん)の塊(かたまり)のような態度をとる。

 試合に勝った後でそんな嘘をついても仕方がないということにアルベガは気づかないのだろうか? 怒りの憎しみはしばしばその目を曇らせる。

 ログロスは彼らを信じると語るが、アルベガはそれにも反発する。どこの星の人間とも分からない存在の言う言葉をどうして信じられるのか、若い彼には理解できないのだろう。

 ログロスは自分の言葉を彼らが信じたから、自分も彼らを信じることが出来たと返す。それは自分の言葉を信じようとしなかったアルベガに対する辛辣(しんらつ)なアンチテーゼでもあった。

 ログロスの言葉を信じたことで神童たちはロダンの罠にハマることを避けられた。初めて出会った異星人であるログロスの言葉を信じた彼らを、ログロスも信じたという思いは道理に適(かな)っている。


 ログロスは赤い石を探しているという地球人側の事情に言及する。ログロスの言葉を信じた上で試合に勝った彼らに対するご褒美(ほうび)であるかのように、彼はそれを地球人に与えると語る。

 その赤い石についてはアルベガも心当たりがあった。それが種族の秘宝「紅蓮の炎石」を指すと聞き、アルベガは動揺する。進化して旧文明を否定すると言いつつ、古い言い伝えの石ころにこだわる息子を諭すように語るログロスに、「紅蓮の炎石」はガードン人の秘宝だとしてアルベガは譲らない。

 だがグランドセレスタ・ギャラクシーの公式戦に敗れた彼らにとって、残していても滅亡するだけのお宝にどれほどの意味があるだろう? ガードンに生きる者の魂を守ることこそが大事だと再びログロスに諭され、アルベガは返す言葉がない。

 だが貶(おとし)めることだけではない。お前にはそれが出来るとアルベガの能力を認めた上での言動だったことを同時に明かすログロス。「たまには人を信じるのも悪くないぞ」と好々爺(こうこうや)の笑みを向けられ、アルベガはおのれの未だ至れない高き境地に父が達しているという単純な事実に気が付くのであった。



 後日、発車寸前の【ギャラクシーノーツ】号の前で天馬に至宝「紅蓮の炎石」を渡すアルベガの姿があった。それは父と同じく天馬たちの使命を信じ、賭けてみる気になったからこそであった。今回の戦いを経て少し大人になったアルベガは、笑顔でかつての敵に大事な宝を託したのだった。



 天馬たちとの戦いが、結果的にガードン人たちの種族の融和にも影響したと言える。アルベガも父の言うソウルの力を信じてみる気になったはずだ。そう思うとグランドセレスタ・ギャラクシーの戦いも不毛なものではまったく無く、とても有意義なものだったと言えるだろう。親子の絆はきっと前よりも強く結びついたはずだ。



 アルベガの、全ガードン人たちの希望を託されて天馬たちは次の惑星へと向かう。



 サンドリアスで手に入れた黄色い石、サザナーラで入手した青い石、そして今回のガードンでゲットした赤い石の計3つの石を前に感慨に浸る天馬。カトラ・ペイジ(CV:上田麗奈)が語っていた話によると、希望のカケラはあと一つということになる。


 そこに件(くだん)のカトラ(のビジョン)が姿を現す。天馬が今回の試練も見事に成功させたことを知っているのだろうか、その顔には満面の笑みをたたえていた。



 カトラと天馬のその邂逅(かいこう)を扉の覗き窓から見ている者がいた。それはカトラを姫と仰ぎ慕うポトムリ(CV:三木眞一郎)の意識を内在させる、みのりであった。天馬の話を信じなかったみのり=ポトムリはこの姿を見て激しく驚き、動揺する。


 見られていることなど知らないカトラは天馬に感謝の言葉を述べる。しかし宇宙の平和を守りたいカトラの望みはそのまま天馬の望みでもある。礼を言われたことが口はばったい天馬はこう言ってカトラに配慮する。


天馬「俺は宇宙の人たちとも自由に楽しくサッカーをやりたい。そのためにも知りたいんだ……宇宙を救う方法を!」


 カトラは残り一つのカケラを手に入れることが出来ればその思いも実現できると笑顔で語り、その姿を消していく。消えていくカトラを見てその気持ちが抑えられなくなったみのり(ポトムリ)は思わず天馬の部屋のドアを開けてしまう。

 覗き見していたことなどお構いなしに室内に駆け込んでカトラの姿を探すみのり(ポトムリ)。不思議そうに見つめる天馬に声をかけられ、我に返る。カトラ姫が自分の元ではなく、天馬の元にだけ姿を現すという話が事実であったこと……それはカトラを慕うポトムリにとっては受け入れがたい事実であった。



 カトラが生きていたことは命を賭してカトラを救おうと考えていたポトムリにとってはこれ以上ないほど喜ばしい話であるに違いない。だが窓に写るポトムリのその寂しそうな顔は、自分が彼女にとって最重要ではなかったという悲しみに覆われていた。



 次回に続く。



  エンディング



 惑星ガードン編終了。その後のことは描かれてはいなかったが、アルベガとログロスの親子間の確執もおそらく解決に向かったのだろう。それは同時に東の種族と西の種族との和解にもつながる。お互いの意見のどちらが正しいということはないという気がするわけで、どちらも譲り合って理想のガードン人たちの未来を追求するのが理想的だろう。鳥類の進化系であり、翼を持って誕生したガードン人たちは我々地球人よりもその必要性が高いと思われるし。いずれにせよアルベガにもソウルの能力があったということで、和解の大いなる触媒になるだろう。

 ソウルといえば、ロダンもすごいソウルを持っていたのにそれを実戦で何ら披露することなく退場させられてしまったのは残念な気がする。あのソウルと井吹のマンモスのソウルとの激突は見てみたかった気がする。


 味方に目を転ずると、鉄角に続けて神童、井吹も実戦でソウルを披露した。使えるようになった順としては鉄角の方が後手なんだけど。3人ともイメージ通りのソウルだけど、私は鉄角はイノシシのソウルだと思ってたんだけどね。彼って猪突猛進タイプでしょ? 神童のクジャクというのも華麗な彼らしくて良かったかも。キジ科のクジャクは結構獰猛らしいし。


 これでまだソウルを出していないキャラは天馬、信助、さくら、真名部、九坂、そして囚われの身である剣城の6人となった。過半数の7人がソウルを発動できるようになったというわけだ。次は誰なのか。非常に楽しみである。


 そして次の惑星の敵はどんな相手なのか?パッと見たところ、何だか昆虫の進化系のような印象だった。私は虫が基本的に嫌いな人なので、ちょっと嫌な敵かも。さくらとかも苦手そうな気がする。



  次回「緑の惑星ラトニーク!」に続く。



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