『イナズマイレブンGOギャラクシー』第22話「激突!宇宙サッカー!!」の感想 【ピクシーの可愛さとバルガのゴリラさと】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第22話「激突!宇宙サッカー!!」を観ての感想を書く。星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦がついに開始される。そして松風天馬(CV:寺崎裕香)たちの前に奇妙な妖精が出現する。この妖精は物語においてどのような役割を演じることになるのだろうか? Check it out(要チェック)!!



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第21話「暴走!ブラックルーム!!」の感想 【なお暴走させた犯人は鉄角】
 をご覧ください。

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 天馬率いる【アースイレブン】は星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦1回戦を戦うため、敵地【惑星サンドリアス】に到着する。

 新規加入した西園信助(CV:戸松遥)はそれまでアースイレブンのゴールを守ってきた先達(せんだつ)のゴールキーパー、井吹宗正(CV:鈴木達央)に激しくライバル意識を燃やすが、暴走した特訓場【ブラックルーム】での経験が頑なだった信助の意識を変える。井吹とのダブルキーパー体制を心で受け入れ、共に強くなっていけば良いと達観した信助はこれで真の意味でアースイレブンの一員となった。



 信助を加え、戦力強化および意識改革なったアースイレブンはグラウンドで練習を開始する。グラウンドを照らす夕陽は赤色惑星のサンドリアスの地をより一層、赤く引き立てる。

 神童拓人(CV:斎賀みつき)の放ったシュートをガッチリと胸で受け止め、順調な仕上がりを見せる井吹に対し、神童も満足気な笑顔で見つめる。


 その2人以外のメンバーは反対のゴール前に集結し、試合形式の練習だ。砂地に足を取られるのか、オフェンスチームの野咲さくら(CV:遠藤綾)が砂の地面を踏みしめつつやりにくさを口に出す。

 そんなさくらを励まして、天馬はドリブルで攻撃を開始する。そしてさくらにパスを送るが、さくらは事前の不安が的中したのか慣れない砂地にトラップをミスし、転んでしまう。

 さくらのトラップミスしたボールはふわりと宙を舞う。地球と違う環境はグラウンドの土質だけでなく、重力という面にも表出する。同じ力で蹴ったボールも地球よりは遠くに飛んでしまうのだ。それを追おうとした九坂隆二(CV:岡林史泰)は砂地の不安定さに派手にすっ転んでしまう。



 ディフェンスに駆けつけた鉄角真(CV:泰勇気)が下敷きになったのでダメージは低そうだが。偶然とはいえさくらを救った鉄角くん。鉄さくフラグがナチュラルに発生か? このシーンではお互い悪態をつくのだけど、それもまた恋人フラグだったりするし。


 信助と同様に新規加入の市川座名九郎(CV:小西克幸)が皆帆和人(CV:代永翼)をかわして攻め上がり、シュートを放つ。迎え撃つ真名部陣一郎(CV:野島裕史)はシュートコースを読み切り、見事にボレーする。



 だがやはり地球とは勝手が違う重力のせいだろう、真名部の足を弾いたボールは真上に上がり、駆け込んだ瞬木隼人(CV:石川界人)に絶好のシュートチャンスを与えてしまう。

 瞬木のヘディングシュートがゴールを襲う。それを横っ飛びで押さえ、ゴールを阻止したのは前回では良いところが無かった信助だった。



 信助にシュートを阻止され瞬木は悔しそうに舌打ちするが、シュートに至るまでの反応を同じストライカーである剣城京介(CV:大原崇)に褒められ、笑顔で頭を掻く。

 一方のディフェンスサイドは危うい場面を作られてしまったことについての反省タイムだ。皆帆は座名九郎のシュートを的確にクリア出来なかった真名部のプレーを責める。真名部は環境の違いからの読みのズレだと釈明するが、皆帆はこれが実戦だったら決定的なピンチを招いたと怒りが収まらない。真名部も売り言葉に買い言葉で座名九郎に簡単に抜かれた皆帆のプレーがそもそも問題ありだとやり返す。

 この星に来てからのフラストレーションが噴出したかのような2人の口論を見て、平和主義の森村好葉(CV:悠木碧)が不安そうな表情になる。


好葉「ウチ……嫌。みんな怖い顔してる……」


 見るとさっきのプレーで失敗したさくらと鉄角、九坂といった選手たちも厳しい表情を浮かべ、自らの、そしてチームのプレーに納得がいかないという怒りを表出させていた。

 天馬はこの状態が望ましくはないという実感では好葉に同意するが、この戦いが地球の運命を賭けた戦いであることを強調し、そのプレッシャーによってメンバーがピリピリしているのだと現状に理解を示す。

 好葉も自身も感じていたプレッシャーであったのだろう、その言葉に小さくうなづく。

 そこに先ほどのプレーでもプレッシャーなどは微塵(みじん)も感じさせなかった座名九郎が声をかけてくる。いよいよ明日という言葉を受け、天馬は沈みゆく夕陽を見つめて力強く応じる。



 アースイレブンが使用していたグラウンド全景。左側の下から三本目の支柱が折れて短くなっている。野試合を挑まれたとき、サンドリアス人が折った支柱だ。こういうところの描写は細かい。ブラックルームがありながら最終調整で現地のグラウンドを使用した理由は、土質や重力などはその場で体験しなければ分からないからだろう。アウェイチームは自分たちの星とは全然異なった環境でのサッカーにまずは慣れなければならない。そう考えると1次予選を地球で戦っていた敵チームはハンデを背負っていたと言えるだろう。今はアースイレブンがそのハンデを背負う立場だ。


 ただチームプレーもイマイチ上手くいっていない現状で明日の試合は大丈夫なのだろうか? 座名九郎は自信満々そうだけど。



   オープニング



 その夜、広大な砂漠をひとり歩を進める天馬の姿があった。その眼前に突如光の玉が複数現れる。それは集まって人の形を模す。


天馬「キミは……?」

 心なしか悲しげな憂(うれ)いに満ちた瞳を持った少女の姿。オープニングで天馬と手をつないでドラマを感じさせたあの少女だろう。尖った耳は地球人のものではない。彼女は天馬に何かを訴えたいように見える。


 少女は再び光の玉状に戻って天馬の周囲を一周し、飛び立ち始める。それは『私に着いて来てほしい』と訴えかけているようだった。

 後を追う天馬を導くように光の玉は飛び続ける。やがて光玉は天馬を暗い洞窟に導いた。洞窟の中央には光り輝く石が鎮座されていた。天馬はその美しさに思わず目を奪われてしまう。

 そしてその石を手に取ろうとした瞬間、石は弾けるようにその姿を変え、小さな人型の小動物の姿になる。



???「ピク〜ッ!!」


 その小動物はいきなり天馬に懐(なつ)き、天馬の肩に飛び乗ってその頬を舐める。その愛らしさとくすぐったさに笑ってしまう天馬。小動物は愛らしい表情のまま、天馬に向かって来る。



 ………

 目を開いた天馬、そこは【ギャラクシーノーツ】号内の自室ベッドだった。これまで見て来たことは夢だったのだろうか? その夢があまりに生々しく、何やら示唆性(しさせい)に富んだ内容だったことに天馬は困惑する。


 だがその夢の何割かは、実は本当に起こったことなのかもしれない……そう思わせる生物が室内には存在した!


???「ピク!」

 鳴き声(?)と共に天馬のお腹に乗ってきた小動物、それは夢で出会ったあの可愛らしい小動物そのものであった。たじろぐ天馬の気持ちをよそに、人懐っこいその小動物は天馬に飛びついてくる。可愛いやんね〜。


 天馬はあわてて寝床を飛び出して逃げるが、人懐っこい「ソイツ」は無邪気にその後を追ってくる。飛びつかれて倒れた天馬の頬を夢で見たとの同じようにペロペロと舐める小動物を見て、天馬は困惑顔のままだった。


天馬「何なんだ!?」



 数刻後の食堂車、その愛玩動物(あいがんどうぶつ)はアースイレブンのメンバーたちの関心の的(まと)となっていた。可愛いもの好きそうなさくらが手を差し伸べるが、小動物はブラックなさくらの本性が読めるのか、逃げ出してしまう。

 そこに遅れて朝食を取りに来たマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)と水川みのり(CV:高垣彩陽)。小動物は葵の手の中に飛び込んでくる。


葵「何この子!? 可愛い!!」

葵「犬? それとも猫かな?」
みのり「どっちも違うと思うけど……(呆)」


 そうしている間にも小動物は動くのを止めない。葵の手から飛び出して、室内を縦横無尽に駆け回る。そして最後にはやはり天馬の座するテーブルに落ち着くのだった。



 この闖入者(ちんにゅうしゃ)にメンバー一同も関心しきりだ。皆帆が特に関心深そうにうっとりと眺めているのが印象的。余談だが、ここではジャージ組とネマキ組に分かれている。自主練をやっていたと思われるジャージ組に対し、天馬、鉄角、井吹、九坂、皆帆、瞬木の6人はお寝坊さん組と言えるかもしれない。


 この闖入者がどこからやって来たのかを葵は問うが、天馬にもそれはよく分からない。目が覚めたら部屋に居たわけで……。いずれにせよ、元からギャラクシーノーツ号に搭乗していた生物であるはずがない。どこから入ってきたのかを井吹が問う。天馬は夢で見た少女の姿を思い出し、その少女に導かれた末にこの小動物に出会ったことを素直に告げる。


剣城「それじゃ、夢から出て来たって言うのか?」



 自分の話をされていることを知ってか知らずか、その間も面白い遊び場所を見つけたとばかりに好葉のボンバーヘッドに飛び込んでかくれんぼする小動物。動物好きの好葉の性格が分かるのだろうか? ただ好葉は心底迷惑そうな表情でそのイタズラを止めようとするのだが。


 夢から出てくるなど非現実な話をあり得ないと一蹴するのは真名部だった。だが葵は何が起こってもおかしくはないと自信満々に言い切る。


葵「だってここは宇宙だもん!!」


 大宇宙パウアの前には地球仕込みの論理など簡単に破綻するししても良い。これが葵ちゃんのスタンス。実はレベルファイブのスタンスでもある。

 真名部よりは現実をあるがままに受け入れる性質の皆帆は例によって興味深いものを見る時の彼のクセ、耳をピクピクと動かしながら小動物を見やる。さくらも夢から出てきた生き物という、まさに「夢のような」話に笑顔を見せる。

 妖精のようだと言う好葉の感想を受け、この生き物に名前を付けようと話が運ぶ。


信助「【サンドリアスドリームビースト】とか……」


 長いし可愛くないという理由(さくら談)でコンマ1秒で却下される信助の案。さくらちゃん容赦ないが確かにこの可愛い生き物に「ビースト=野獣」は無いよな。恐竜好きの信助らしいネーミングだけど。


皆帆「じゃあ妖精という意味の【ピクシー】はどうかな?」


 その意見は仲間から好意的に受け止められる。小動物自身も「ピク!」って鳴き声だし、意識してんじゃないのと言いたくなるが。私だったらサッカーに引っ掛けてストイコビッチと名付けたいけど、さくらちゃんに却下されるだろうな。




 【参考資料】サッカー界の妖精、「ピクシー」ドラガン・ストイコビッチさん。



 言いだしっぺの権限か、ネーミングライツをその一手に仕切るさくらも賛同し、その名、ピクシーが彼(彼女)の正式名となる。ピクシー(CV:北原沙弥香)もその名を気に入ったらしく、天馬の頭に乗っかって降りようとしない。

 やはり最初に出会った仲であり、しかも夢の中で意味ありげな立場だった少女と関連性がありそうな存在だけに、ピクシーは天馬に最も懐いていた。ピクシーの世話を任され、天馬は未だ困惑顔だ。ただその愛くるしい存在はチームのマスコット的存在として今後のアースイレブンを明るくするのではないだろうか?



 一方、アースイレブンと対決する存在のこの星、サンドリアス代表のキャプテン、カゼルマ・ウォーグ(CV:河西健吾)は側近のキーパー、バダイ・ジャラン(CV:泰勇気)と共に、試合会場であるスターシップスタジアムの前に先乗りし、感慨に耽(ふけ)っていた。

 この試合で自分たちの星の運命が決まる。負けるわけにはいかないと意気込むのは地球人もサンドリアス人も変わりない。

 そこにコーディネーターのイシガシ・ゴーラム(CV:遠藤綾)引率のもと、天馬率いるアースイレブンが到着する。カゼルマは誇り高きサンドリアス人を代表してこの試合を正々堂々としたものとすることを誓う。



 それを嘲笑する野太い男の声が響く。見ると近くの岩場の上から仁王立ちで語りかけてくる男の姿があった。それはファラム・オービアスから地球代表を倒すために送り込まれた刺客ゴリラ、紫天王のバルガ・ザックス(CV:岩崎了)だった。



 バルガはチーム・サンドリアスの4人を部下に従え、リーダー気取りでカゼルマの態度を甘いと批判する。「戦いは殺るか殺られるか」という感覚を是(ぜ)とするバルガにとっては正々堂々という態度はそれだけですでに唾棄(だき)すべき甘い思考としか思えないのだろう。


 そのカゼルマをキャプテンとも思わない態度は天馬たち地球人に不信の念を抱かせる。そしてカゼルマ側近のバダイもバルガの態度は自分たちの流儀とは相容(あいい)れないとカゼルマに耳打ちする。

 カゼルマもバルガの態度には思うところがあるのだろう。しかしバルガの実力が本物であることもカゼルマは見越していた。星の運命を思う仲間たちの思いに、カゼルマも自身の誇りを最優先させることがためらわれるのであろう。


 バルガの姿がこの星の人間とはまったく違うということに剣城が気づく。それを受け神童はバルガがこの星の住人ではないことを見抜く。その辺の整合性を問われたイシガシは「他の星の選手をチームに入れてはならないというルールは無い」ということを明言する。つまりこれはアースイレブンにもいずれ他の星の選手が加入するという布石なのだろうか? ゲームだとこの試合の後にカゼルマなどサンドリアス人をスカウトしてチームを組むことが出来るんだろうね、きっと。

 とはいえ現状ではこのルールの隙間を付いたやり方はアースイレブンに一方的に不利だ。地球人には今のところ協力してくれそうな異星人なんていないわけだしね……。


 バルガは岩場から飛び降りてきてアースイレブンを挑発する。地球を銀河系の辺境の惑星だと面罵(めんば)され案の定、挑発に乗りやすい瞬間湯沸かし器の鉄角が怒り出す。

 元ボクサーの鉄角は殴りかかろうとするが、それを天馬が制する。バルガの言動は明らかに挑発であり、軽率な行為はまさにその挑発に乗ってしまうこととなる。カゼルマも同時にバルガの余計な挑発をやめさせようとする。

 だが鉄角と違い、バルガはカゼルマをチームのリーダーとは見ていなかった。彼はファラム・オービアスの女王の命令でこの地に赴任(ふにん)したことをここで明らかにする。彼が忠誠を誓うのはファラム・オービアスからの指示のみであるというのであろう。カゼルマに対しても傲岸不遜(ごうがんふそん)に「お前たちを勝たせてやる!」と上から目線で言ってのけ、背を向けて立ち去る。

 カゼルマは踏みにじられたプライドを噛み締め、悔しそうにその後ろ姿を見つめるのだった。



 そしていよいよ運命の試合が始まろうとしていた。グランドセレスタ・ギャラクシー本戦1回戦、スターシップスタジアムは超満員の観客の歓声が渦巻いていた。観客はほぼ10割がサンドリアス人であり、イコールそれはアースイレブンを敵視する観客であるのと同義だ。



 そんな中、地球人っぽい観客がいると思ったらクイズの答えのじーさんだった。もちろんアースイレブンを応援するんだろうな? その前のふなっしーみたいな連中もサンドリアス人では無さそうだ。



 実況役はDJっぽい宇宙人、ダクスガン・バービュー(CV:勝杏里)が担当する。このタコっぽい姿……まさに50年前ぐらいにイメージされた火星人のような出で立ち。こんな宇宙人やっぱりいたんだ(笑)。


 ダクスガンの軽快な口調で両チームイレブンが紹介される。サンドリアスベンチではバルガが子分たちに、この試合で活躍すればファラム・オービアス女王の側近に取り立ててやるとニンジンをぶら下げる。それに乗り気になる子分たち。

 これを見ると彼らはこの星を守るということよりも、自分たちさえ安泰であれば良いという発想でバルガの子分に成り果てたという印象を受ける。この場で地球代表を打倒したとしても、いつかはグランドセレスタ・ギャラクシーでバルガの母星であるファラム・オービアスと直接対決することとなるわけだから、どちらにせよサンドリアスの運命は見捨てているのかもしれない。だがそれは同時に本来は仲間であるはずのカゼルマたちに対する背信(はいしん)であろう。



 バダイはバルガに媚(こ)びへつらうチームメイトに対して不快感を隠さない。カゼルマ派に属するのはカゼルマとバダイの2名だけ。バルガ派は5名、後の4人は態度を決めかねて洞が峠を決め込んでいた。そのどっちつかずの4人の心をカゼルマが握れば、6対5でこのチームの主導権を握ることも可能なのだが……。



 そして今度はアースイレブンが紹介される。完全アウェイの天馬たちにとって観客から野次や罵声が上がらない点は救いであろうか。サンドリアス人は見た目よりも紳士的な態度を取る存在なようだ。カゼルマを見ていると彼らの民度が高いと思えるもんね。

 天馬はゆっくりと仲間たちの顔を見渡し、大舞台に臨むべく号令をかける。その天馬の意気を応援するようにピクシーが天馬の肩に飛び乗り、微笑ましい勇気を与える。


 可愛くも頼もしい後詰めを得て、天馬たちは戦場へと駆け出す!!






 いよいよ本戦。恒例の両チームの布陣を見ておこう。アースイレブンは攻撃的な4-3-3。宇宙編になりようやくフォーメーションが増えたという印象だ。いつもは司令塔の天馬が今回はFWとなり攻撃人員を増やしている。代わりの司令塔には「神のタクトFI」を持つ神童が詰める。総じてバランスが取れている感じ。新顔の信助と座名九郎の両名はベンチスタートだ。


 一方のチームサンドリアス。こちらは5-1-4というかなり極端なフォーメーション。司令塔が中央の7番カゼルマなのは良いとして、FW4人は超攻撃的だ。攻めっ気が強そうなバルガは意外にも後列に存在している。ちなみに背番号3、5、8、及び9番のザバ・ハーラー(CV:田尻浩章)がバルガ派に属する(言われてみれば悪い顔してる)。その5人とカゼルマ、1番キーパーのバダイを除いた4名が中立派。



 ピッチに立ちながら、天馬は試合前に監督である黒岩流星(CV:佐々木誠二)から受けた指示を思い返していた。天馬をFWに上げ3トップにしたのは実はこの時の黒岩の指示であった。中盤が手薄になるという神童の懸念に黒岩は例によって答えず、そのままメンバーを送り出した。


 そんな天馬をじっと睨みつけるのは、カゼルマだった。その鋭い視線に気づいた天馬は、ナイスガイであるカゼルマですらこの試合にかける気持ちを闘争心であらわにする姿を見て、この試合が本当に負けられないものであることを改めて自覚する。



 前作のイナクロの時と違ってまったく特徴のない審判がホイッスルを鳴らせて試合が開始される。アースイレブンボールのキックオフ。剣城からパスを受けた瞬木は神童に大きくバックパス。神童はそこで今回はFWである天馬にロングパスを送る。

 だが神童にしてこのミスなのだろうか、この星の重力を計算に入れていないパスは天馬の頭上を大きく越えていってしまう。追いすがる天馬は幸いボールに追いつくことが出来たが、その際ボールの転がりが少ないことにも神童は気づく。地球との環境の違いの大きさを改めて知り、神童は気を引き締める。


 ドリブルで進む天馬に対するのは何とカゼルマ。早くも両チームのキャプテン同士の激突だ! 天馬はそこで必殺ドリブル技「Zスラッシュ」を駆使してカゼルマを抜き去る。キャプテン対決の第1ラウンドは天馬に軍配(ぐんばい)が上がる。



 その天馬の前に続いて現れたのは、紫天王のバルガだった。どっから出したんだと小一時間問い詰めたくなるようなどデカい岩のハンマーを地面に叩きつけてボールを奪取する必殺技「ロックハンマー」が天馬を吹き飛ばす。


 豪快なバルガらしい必殺技で攻守ところを替える。バルガは地球代表とはこんなものかと笑いながら突進し、子分の一人、ザバにパスを送る。地球人をバカにされた心境のさくらが怒りの形相で詰め寄るが、ザバは簡単にその横をすり抜けて前進する。その動きは砂の上でのものとは思えない挙動であった。この星に適応したサンドリアス人にとってかなり有利な地勢であることは疑いない。

 ザバは8番の選手にパスを送る。そのボールの軌道を見た皆帆はそれがパスミスになると見当を付け、好葉に対応を依頼する。だが8番はそれをあざ笑うかのように飛び上がり、空中でそのパスを受ける。地球人にとってはパスミスであってもサンドリアス人にとってはミスではないということだった。


好葉「そんな……!?」


 好葉を残して前進する8番に、してやられた借りを返す思いの皆帆が立ちはだかる。だが8番はバルガの命令を受け、その足でボールではなく地面の砂を蹴りつける。

 飛びかう砂に視野を奪われた皆帆はその後の8番のプレーに対応することが出来ない。これはあからさまに卑怯なプレーであった。味方ながらカゼルマはその卑劣なプレーに怒る。

 8番はそのままゴール前に走り込む。そして邪悪な笑みを浮かべ、キーパーの井吹に向けてまたも砂を蹴りつけてその視野を奪う。その状態でヘディングシュートを撃たれた井吹だったが、さすがの反射神経でそのシュートを横っ飛びで止める。



 ベンチでは葵と信助が失点の危機を防いだ井吹のプレーに安堵のため息をつく。信助は砂嵐の中でもちゃんと目を開けて選手の動きやボールが見えているサンドリアスの選手たちの能力に驚く。これも砂漠に適応したサンドリアス人の強みであろう。

 卑怯なプレーに憤(いきどお)る葵を尻目に、座名九郎はじっと監督の横顔を見つめる。それは何を意図するものなのであろうか? 砂対策に黒岩のそのサングラスを貸せと言いたいのであろうか?




 FWシャル・キーヤー(CV:不明)の突進を待ち受ける鉄角。軽快なステップからボクシングのファイティングポーズを取った鉄角は必殺技「フットワークドロウ」でボールを奪取する。


 今度はアースイレブンが攻勢に出る番だ。鉄角から天馬にパスが送られる。バルガは子分の3番と5番に命じて反則まがいの体当たりで天馬を攻撃させる!



 そのプレーはカゼルマがこのチームを総(す)べていた頃には絶対に許さなかったプレーであろう。天馬の保持していたボールはサイドラインを転がり出て、試合は一旦中断する。


 そのタイミングを使い、カゼルマはバルガに対して(仲間に)卑怯なプレーをさせるなと猛然と抗議する。しかしバルガは勝つために手段を選ばないと耳を貸さない。カゼルマはそんな卑怯な行為をしなくとも自分たちは勝てると再度詰め寄る。

 カゼルマの真剣な表情、そして地球人の力を見くびっている思いも手伝ってかバルガは一時的に自分の流儀を収めてカゼルマのやり方で戦うことを認める。


 強烈なラフプレーを受け、頭を振って起き上がる天馬のもとに歩み寄って謝罪するのは、カゼルマだった。そしてもうさっきのようなプレーはさせないと決然と告げる彼に、天馬も笑顔で応じる。

 笑顔を見せられたカゼルマは、一瞬天馬を見たあと、視線を逸らして立ち去る。天馬の人の良さを目の当たりにして、これ以上馴れ合うと敵として打倒することが難しくなると判断したのだろう。カゼルマ、やっぱりナイスガイだ。



 そんなそれぞれの星の運命を背負って敵対する両者の戦いをモニター越しに見つめるのは、銀河連邦評議会のビットウェイ・オズロック(CV:津田健次郎)だった。心底楽しそうにこの死闘を見つめる彼の本意は一体どういうものなのであろうか?



オズロック「ふっ、面白くなってきた……」



 試合再開。神童のドリブルを奪い取るのはカゼルマだった。瞬木のスピードを上回るようにボールを奪うサンドリアスの選手。ものすごいジャンプ力であざ笑うかのように九坂の頭上を飛び越えていくサンドリアスの選手。試合前に警戒していた通り、すべてのプレーで地球人を大きく上回る身体能力の差を見せ付けられる。

 さらにこの苦戦は天馬を前列に上げたことで手薄になっている中盤を突かれているという点に神童は思いが至る。その間に真名部、皆帆を抜き去った選手からのシュートを井吹が何とかキャッチする。

 皆帆がいみじくも言ったように、彼らは砂地での戦い方を熟知している。さらに真名部が喝破するようにアースイレブンはこの星の重力にも慣れていない。チームサンドリアスがバルガ式ラフプレーに訴えなくともアースイレブンは苦戦の連続だった。


 井吹から神童にボールが送られるが、やはり重力を読み切れておらず、ボールは頭上を越えてしまう。九坂がカバーリングするが、11番の選手にすかさずマークされてしまう。

 神童はさくらに軽く蹴ってパスするよう九坂に指示を出す。九坂はさくらの守備位置である逆サイド遠くまで蹴るのに「軽く」で良いのかと疑問に思うが、神童の指示に従ってセーブしたパスを送る。

 そのパスは狙い通りさくらの元へ届く。重力の特性をそこから学んださくらはこれも加減して天馬にパスを出す。受けた天馬は左右を見渡し、左を駆け上がる剣城がノーマークであることを確認してそちらにボールを送る。

 瞬木がそれを不満げに見つめる中、剣城は必殺シュート「バイシクルソード」を撃つ。バダイはキーパー技「サンドノック」で迎撃する。




 この対決はバダイの「サンドノック」が勝利を収める。剣城の「バイシクルソード」はこれで不敗伝説が崩れ、初めてゴールが阻止されたこととなる。さすがに宇宙一を決める大会の本戦だ。

 パンチ技らしく弾かれたボールは高々と宙を舞う。そこに飛びついたのはカゼルマだった。踵(かかと)でボールを射落としたカゼルマは一気にアースイレブン陣内を駆け抜け、左右に分かれたFWにパスを出す。シャルと11番のFWコンビは抜群に息のあったパスワークでアースイレブン防御網をズタズタに切り裂きゴールに迫る。

 真名部はここが踏ん張りどきだと思ったのだろう、必殺ブロック技「ディフェンス方程式」でシャルからボールを奪い取る。



 しかし真名部がクリアしたと思われたボールは空中でカットされ、サンドリアスの攻勢は止まらない! 11番のオーバーヘッドキックを何とかパンチングで逃れた井吹のファインプレーで、失点することは避けられた。

 天馬はそのプレーに神童とうなづきあって喜ぶが、ふと見るとカゼルマがこちらを睨みつけていた。そしてしばらくはカゼルマの流儀に従うと宣言していたバルガの態度にも変化が見られ始めた。



 ボールを保持する神童は守勢一方の現状を変えようと画策するが、前線の仲間には敵選手がマンツーマンでマークに付いている。「神のタクト」を駆使することも出来ずに躊躇する神童に襲いかかったのはカゼルマだった。



 さっきもカゼルマにやられた神童が2度までも……。テクニシャンの神童が2回続けて同じ選手にボールを奪われるのは非常に珍しい。今回は考え事をしていたというのもあるけど。



 その攻勢を止めようと必殺技「このはロール」を出す好葉だったが、何と必殺技も無しで打ち破られてしまう! 新たな必殺技か、それとも秘められた能力を使わないと無理なのか!?


 フォローのために戻って来た天馬がボールをサイドに押し出し、何とかピンチを凌(しの)いだ。天馬は自分が先んじて実践した通り、お互いがカバーし合うことで敵の攻勢に対抗するよう指示を出す。それを受け、強くうなづくアースイレブン。


天馬「仲間を信じて行こう!!」

 この「仲間同士の信頼感」がアースイレブンがチームサンドリアスに優(まさ)っている点であろう。カゼルマとバルガの仲間割れに近い状況のチームサンドリアスはこの点では地球人に遅れを取っている。ただアースイレブンにも不安材料はある。それはここに顔の無い瞬木の気持ちだ。



 圧倒的にサンドリアスへの応援が続く中、ボールはまたもサンドリアスが奪う。カゼルマが持って上がってくるのを、天馬は必殺技「ワンダートラップ」で迎え撃つ。2度目のキャプテン対決も天馬の勝利だ!(2回とも必殺技ってズルいけどな)

 そんな状態を黙って見ていられなくなったのは、バルガであった。地球人をことごとく見くびる彼は未だに無得点のまま試合が推移していることが許せない。カゼルマとの約束はここで終わりと一方的に決めつけ、轟然(ごうぜん)と天馬に挑みかかる。



 土煙が上がるほどの猛烈なチャージで天馬を空中に跳ね上げ、バルガはボールを奪い取る。そして子分たちを前線に向かわせ、なりふり構わぬ手段で攻めさせる。最初から砂嵐を起こさせる目的で地面に特攻しディフェンス陣の視界を奪い、ゴール前に攻め込む子分たち。

 ザバの動きは真名部の読み筋だったが、地面に潜り込んでマークを外すという「どうしようもない系」の必殺技「ディグスルー」で真名部を翻弄(ほんろう)してしまう。



 ザバは今地中にいます。本当にどうしようもない。そのどうしようもなさは「マボロシショット」並み。このまま自陣から相手ゴール前まで潜られたら最強の技じゃね? さすがに息が続かないとかの理由でゲームでもそこまでは出来ないんだろうけど。


 地中からいきなり現れるというゴール前での「ディグスルー」はキーパーである井吹の警戒ですら裏をかく。対応することが出来なかった井吹はついに敵のシュートに屈し、先制ゴールを許してしまう!



 ついに均衡が破られた!! この大事な試合で先制ゴールを奪ったのはチームサンドリアスだった。悔しそうに地面を叩く井吹だったが、これはどうしようもない。ベンチでは葵と信助が嘆く中、アースイレブンの秘密兵器的に存在する座名九郎がじっと戦況を見守っていた。



 試合再開。再びアースイレブンのキックオフでスタートされる。瞬木からさくらにパスが渡るが、ここからはまたもバルガの子分たちのなりふり構わないダーティープレーが襲い来る。

 3番が身体を回転させて砂を巻き上げ、さくらを攻撃する。悲鳴を上げて吹き飛ばされたさくらを鉄角が叱咤する。


鉄角「何やってるんだ!?」
さくら「砂で見えないの! 仕方ないでしょ!!」


 その後もこの「砂で視界を奪う」という卑怯なプレーはラフプレーを交えつつ繰り返される。地球人的にはこれは本当につらい。やっぱり黒岩のグラサンを……。



 何とか攻めにつなげようとする天馬のドリブルも、バルガのゴリラ丸出しのタックルで阻まれる。無個性審判、これは反則取れよ……。


バルガ「散りゆく花びらのようにもろい奴らだ!!」


 痛めつけられ、地面に打ち付けられた天馬が睨みつける中、バルガは勝ち誇ったように笑う。ゴリラ丸出しのくせに相変わらず物事を花に例えるバルガがキモイ。


 こんな地球人に生き残る資格は無いと嘲笑するバルガを叱りつけるのはカゼルマだった。しかしバルガはこの試合に負けたら何十億ものサンドリアス人と共にこの星が滅亡するのだと言い返す。その言葉は何よりもこの星を守りたいカゼルマに反論の余地を与えない。卑怯な手段を憂える立場と、この星の運命を遮二無二(しゃにむに)守る立場……。カゼルマはその価値観の優劣に悩み苦しむ。


 部外者のくせに、さらに言えば星の奪い合いという無理筋な戦いを押し付ける元となったファラム・オービアス人のバルガにその責任論を問われ、カゼルマは怒りに拳を震わせる。

 だがチームメンバーの表情は、明らかにバルガの意見に賛同しているようだった。屈辱に震えながら、カゼルマはバルガの意見を看過するよりほか無かった。



 チームサンドリアスの卑劣な戦法により、アースイレブンサイドは満身創痍(まんしんそうい)の状態だった。しかもサンドリアス側の良心と言えるカゼルマもバルガの意見に口を出すことが出来なくなった(事実上のリーダー交代だろう)。

 会場は敵地で砂地や重力に悩まされ続け、観客もほぼ全員が敵だ。四面楚歌(しめんそか)の情勢の中、果たしてアースイレブンに反転攻勢のチャンスは訪れるのであろうか?




 次回に続く。



  エンディング



 いよいよサンドリアスとの試合が始まった。想像通りバルガが滅多矢鱈(めったやたら)に強いのだけど、カゼルマと意見が合わないという点だけは付け入る隙と言えなくもない。花が大好きというゴリラらしからぬ点は弱点にならんかなぁ?


 そして気になるのが冒頭の天馬の夢に現れた少女、そしてその光が導いた先に存在した妖精ピクシー。この辺は物語にどう絡んでくるのか気になるよね。ピクシーは可愛いので存在自体が嬉しい。個人的にスタッフに是非ともお願いしたいのだけど、黒岩監督に懐くピクシーの姿をぜひ。

 歴史に残る面白さになると思われるんだけど、どうでしょう?



 次回は天馬たちアースイレブンに秘められし能力、ケモノの力が芽生えるという展開になりそう。この能力があってこそ宇宙の強豪と渡り合えるというものだから、きっと凄まじいものになるのだろう。もはや宇宙編だし、地球でのルールを守る必要ないんなら化身とかミキシマックスとか使ってやれば良いと思うんだけどね。ダメなの?



  次回「獣(ソウル)出現!」に続く。



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