『イナズマイレブンGOギャラクシー』第30話「強烈!シュートカウンター!!」の感想 【鉄角が主役回。ヒロインは信助】

 あけましておめでとうございます。本年もこのブログは同じように推移していくと思います。よろしければ今後もご愛顧ください。



 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第30話「強烈!シュートカウンター!!」を観ての感想を書く。正規メンバーを欠いたチームの底力を示すには控えの選手の頑張りが物を言う。その意味において控えゴールキーパーの頑張りは今回特筆に値する。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第29話「翼を捨てた戦士たち」の感想 【神童と井吹のソウル発動!】
 をご覧ください。

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 星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦3回戦にて松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】と【惑星ガードン】との戦いが始まる。


 有翼の人類の進化の可能性を見せるガードン人はその思想をめぐって東と西の2つの種族に分かれていた。翼を捨てて文明を築き、工業化を推進する西の種族と自然を重視し、ありのままの生態を是(ぜ)とする東の種族だ。

 グランドセレスタ・ギャラクシーに出場する西の種族と対立する東の種族に危ないところを救われた神童拓人(CV:斎賀みつき)と井吹宗正(CV:鈴木達央)は、その地を統(す)べる族長のログロス・ゴードン(CV:園部啓一)の薫陶(くんとう)を受けその身体に眠る能力、ソウルの力に目覚める。


 だが2人がソウルを目覚めさせるための過酷な特訓をしていたその頃、アースイレブンとチーム・ガードンとの試合は今まさに始まろうとしていた。監督の黒岩流星(CV:佐々木誠二)は2人を除いた11人で先発メンバーを構成する。

 井吹の控えキーパーに甘んじていた西園信助(CV:戸松遥)にとっては初の先発メンバー選出だ。控えメンバーが奮起することがそのチームの本当の底力を見せる機会でもある。天馬に、そして兄貴分の鉄角真(CV:泰勇気)に激励され、信助はその小さな身体に大きな気合いを込める。

 神童と井吹の帰還を信じる天馬たちは、彼らが帰ってくるまで自分たちで頑張ることを誓い合う。



 試合開始のホイッスルが鳴る。ガードンのボールでキックオフ。早速ボールを持ったのは小柄で可愛らしい外貌(がいぼう)に似合わぬ能力と残虐性(ざんぎゃくせい)を持ち合わせるファラム・オービアスよりの刺客、紫天王のロダン・ガスグス(CV:藤村歩)だった。

 市川座名九郎(CV:小西克幸)のタックルを巧みにかわしたロダンは6番女の子のタカ、エトゥナ・ホルク(CV:不明)にパスを出す。アースイレブンのマークをかわして次々とパスがつながるチーム・ガードン。



 その流れを断ち切ったのは戦前、信助を叱咤(しった)して自身もソウルを目覚めさせると張り切っていた鉄角だった。FWのセキセイインコ、コヨパク・ジャリガー(CV:不明)にパスが渡っていれば危なかっただろう。どうでも良いが、前作では機会あるごとに信助をいじめていた狩屋マサキ(CV:泰勇気)と中の人が同じとは思えない。


 鉄角は一気に前線に走る瞬木隼人(CV:石川界人)にフィードする。瞬木は2番フクロウの女の子、ミスティ・オール(CV:不明)をかわして座名九郎にパス。座名九郎は子孫がアレとは思えないさわやかな声でキャプテン、天馬にパスを送る。まさに両チームとも見事なパス回しで実況役のダクスガン・バービュー(CV:勝杏里)も両チームのプレーを絶賛する。

 座名九郎からのパスはラストパスだった。天馬は訪れたシュートチャンスを逃すまいと必殺シュート「真マッハウィンド」を放つ。迎え撃つのはチームのキャプテンにして西の種族族長、アルベガ・ゴードン(CV:高口公介)である。果たしてこの最初のキャプテン対決の勝者は!?



   オープニング




 天馬の渾身(こんしん)のシュートを、アルベガは右目に帯びたスコープで冷静に分析し、それを阻止する最善策を採(と)る。それは必殺技を出さずにその腕の力だけでシュートを阻止するという恐るべき手段だった!


 アルベガの誇りの原点といえる機械の腕。そのパワーをまざまざと見せつけたアルベガは自信を深め、こう言い放つ。



アルベガ「見たか! この腕が俺の新たな翼だ!」


 必殺技を腕の力だけで止められ、天馬は悔しそうに引き下がる。この腕の力は機械の力だから厳密に言えば反則っぽいんだけど、これこそがアルベガを始め機械文明を推し進めた彼らの心の拠り所なのだからやむを得ないのかもしれない。実際アルベガ以外はその恩恵を受ける機会はほとんどないしね。サッカーは基本的に足でするスポーツだから。

 だがシュートを受け止めた後、その腕の震えを感じたアルベガに対してロダンが訳知り顔に意見する。試合前からロダンの尊大な態度に対してはフラストレーションが溜まっていたアルベガは彼を怒鳴りつけ、指示に従うよう要請する。

 アルベガの目指すサッカーとはやはり信奉(しんぽう)する機械文明を肯定し、その力を見せつけつつ勝利するという面にあった。彼にとっての真の敵とはアースイレブンではなく、東の種族であり、その象徴である父、ログロスなのだ。


ロダン「ま、お手並み拝見と行きますか……」

 アルベガの意地など、ロダンにとっては興味の範疇(はんちゅう)の外だ。この跳ねっ返りキャラがおとなしく指示に従い続けるとも思えないのだが。これまでの紫天王の行動を見てもそれは100%ありえないだろう。


 そんなチームの支柱と、強力な助っ人ながらチームの和を乱す紫天王との対立を見つめ、チーム・ガードン監督のカルデラ(CV:不明)は表情を曇らせる。



 一方その頃、ソウル獲得の試練を終えた神童と井吹はマグマだまりの灼熱地獄の道程(どうてい)をてくてくと徒歩で試合会場へと向かっていた。東の種族の連中はどうして会場まで運んでくれなかったのだろうね?

 時間的に試合開始を過ぎていることを懸念する両者は歩を急がせるが、不安定なでこぼこ道に足を取られて井吹がよろめく。それを救うのは、またも神童であった。



 このあと、無事を確認して笑みを浮かべて歩き始める神童。恩着せがましさを一切見せない神童はカッコ良い。



 再び試合会場。



 座名九郎の能力を分析し、チームに適切なディフェンスシフトを命じるアルベガ。よく考えるとこのスコープもものすごく反則っぽいが、機械文明を以下略。


 部下たちも忠実にアルベガの指示に従い、座名九郎からボールを奪って危機の芽を摘み取る。あのバランス感覚に優れた座名九郎がなすすべなくボールを奪われるのは彼らのキャプテンを信じる思いがなさしめたプレーだ。

 2番、ワタリガラスの女の子、マヨン・クレステ(CV:不明)からボールはFWミミズクのヴェス・ホーネ(CV:岡林史泰)に渡る。

 ヴェスもアルベガの指示通り、コヨパクにパスを送る。しかしそれはアースイレブンの頭脳、真名部陣一郎(CV:野島裕史)には読み筋であった。すかさずそちらに詰める真名部はコヨパクからボールを奪う。


 ルーズボールは天馬のもとへ。自身のスコープでの分析をも裏切る真名部、そしてアースイレブンの能力の高さに、アルベガはむしろ好敵手を得たという思いで顔を喜色に染める。


みのり「あのキーパー、全員の動きを瞬時に計算している」


 ベンチではマネージャーの水川みのり(CV:高垣彩陽)がアルベガの能力を見破っていた。その言葉は同じくマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)を驚かせる。そう、いかにスコープが高性能であっても全員の能力を一瞬で見通し、それに対して的確な指示を出せるのはアルベガ個人の能力なのだ。みのりはその恐ろしいまでの能力を警戒する。


みのり「手ごわいわよ!」

 敵であれ味方であれ、みのりがここまで選手を評価し、警戒するのは珍しい。みのりの目を介してアルベガの強さというものが暗示的に示されている。


 みのりの態度にただならぬ状況を感じた葵は、彼女に出来る最善の策である声援を送って仲間を鼓舞する。



 さくらから天馬がパスを受けた瞬間、アルベガからの指示が飛ぶ。天馬は後ろから来る瞬木の瞬発力に賭けてそこにパス。瞬木はその思い通りに5番、コンドルのネバド・コンダルム(CV:不明)を抜き去る。だが、アルベガの指示は今度はアースイレブンの行動力を上回る!

 

 瞬木が抜いたと思われた時、アルベガからはさらに二の矢が放たれていた。11番キジのニーラ・フェズン(CV:田尻浩章)が瞬木のボールをカットする。この場面でFWの選手をガードに向けるというアルベガの策は誰もが予測不能の素晴らしい鬼手だった。


 こぼれたボールを保持したコンダルムに九坂隆二(CV:岡林史泰)が挑みかかる。コンダルムは頼れるキャプテンに指示を仰(あお)ぐ。アルベガは一瞬の思考の後、足元の地熱のゆらぎを感じてそれに基づいた驚くべき指示を出す。

 コンダルムはその作戦に自身すら意表を突かれて驚くが、彼のアルベガに対する思いは絶大だ。その指示に従ってボールをあさっての方角へと蹴り出す。そのままではボールはサイドラインを割ってしまう。

 ところがその瞬間、フィールド周囲に設置されている噴出孔から熱風が吹き出し、ボールをインラインに押し戻す。それは灼熱の惑星での試合、スタジアム地下の高熱排気システムが機能したからに他ならない。スタジアム特有のギミック(仕掛け)の発動が近いことを体感で感じ取ったアルベガのファインプレー的作戦だった。


九坂「そんなのありかよ!?」


 苦もなく九坂のマークを外したボールは7番ハシビロコウのプロモ・シュービル(CV:不明)を経て先ほどディフェンスで活躍したニーラへ。

 だが今度はもう一人の頭脳派、皆帆和人(CV:代永翼)がそのパスをカットする。ボールはそのままサイドラインを割り、一旦プレーが途切れる。



 その隙に給水する野咲さくら(CV:遠藤綾)。繰り返すがここは灼熱の惑星。その場での戦いはこの気候に慣れていない地球人にとっては不利に働く。ここまでは互角の戦いだが、体力の消耗の度合いではアースイレブンが苦しい展開だと思われる。


 地球人は全員がドリンクタイムだ。さくらと森村好葉(CV:悠木碧)はその暑さに耐えられずがぶ飲みするが、飲み過ぎればさらなるスタミナロスの恐れがある。真名部が一度に飲むのは250ミリリットルに留めるよう指示を出す。

 このフィールド自体が熱排気孔で囲まれているわけで、いわば蒸し風呂の中でサッカーをしているようなものなのだ。敵はチーム・ガードンだけでない。



 試合再開。張り切る天馬は必殺ドリブル技「Zスラッシュ」でエトゥナを抜き去り、瞬木にパスを送る。瞬木の前にはマヨンが迫る。だが瞬木はその身体能力でマヨンを飛び越え、その挙動のまま地面に転がり込む。それは彼の必殺シュート「パルクールアタック」への布石であった。

 そのシュート力をスコープで分析するアルベガ。出した結論は、天馬の時と同じく必殺技なしでの対応だった。衝撃でその腕からは煙が噴出するが、やはりそのシュートは阻止されてしまう。


 アルベガはマヨンを名指しして反撃に移らせる。そこからはチーム・ガードンの反撃だ。鉄角がエトゥナに向かうが、エトゥナはニヤリと笑って必殺ドリブル技「マグマカーペット」で足止めしてしまう。



 マグマの惑星ガードンで出すにふさわしい必殺技「マグマカーペット」。鳥の顔してるけどエトゥナも可愛いな。


 エトゥナはコヨパクにラストパス。その前には信助が守るゴールがあった。フリー状態のコヨパクはシュートを放つ。



 信助のイナギャラ公式戦初プレーはパンチング。フリーで撃たれたとはいえ、ノーマルシュートをむざむざと許すわけにはいかないだろう。またこのプレーは抜かれた鉄角の失敗を自身で補(おぎな)うという信助の矜持(きょうじ)の表れだったのかもしれない。


 天馬からプレーを絶賛され、信助は嬉しそうに応える。


信助「任せて! ゴールは僕が守り抜くよ!」


 信助の姿は、鉄角をも勇気づけるものであった。鼻の下をこすりつつ、信助のその成長した姿を称える。


鉄角「小さいけど、でっかい奴だぜ!」



 そして今度は一転してアースイレブンの逆襲。天馬から剣城京介(CV:大原崇)にボールが送られる。ここまで何をしていたんだと問い詰めたくなる剣城もとい剣偽、やはりというか3番ヘビクイワシのメラピル・セクレタ(CV:不明)のアタックを受けてボールを失ってしまった……


 かに見えた。だがここでまたも定期の熱風噴出のタイミングが訪れ、メラピルの押し出したボールが跳ね返って剣偽の足元に転がってくる。先ほどと違って今度はアースイレブンにラッキーなギミック発動だった。

 呆然とする剣偽に、天馬からシュートの指示が届く。剣偽は角度の無い場所からシュートするが、アルベガはスコープでそれを分析し、簡単にボールを弾き返してしまう。



 アルベガにアースイレブンのストライカーはたいしたことないと罵倒され、怒り出す剣偽。アルベガは剣偽の能力がデータ通りの動きで実戦中に他の選手たちが見せたような未知の領域が無いことを喝破する。それはまさに剣偽が本物ではなくコピーであることを示すものである。本物の剣城だったらこんな侮辱は受けなかったかもねぇ。



 その頃、神童と井吹は未だ山中を走っていた。井吹は自分たち抜きで試合に臨んでいる仲間を心配する。神童はここへ向かう前、ログロスから気がかりな助言を得ていた。

 それは『ガードンが全員で攻撃してきた時、攻めるな』というものだった。井吹はその言葉を適当なものであるとあまり信用していない様子だが、神童はログロスの見せた目に、何かを伝えようとしていた真実性を見い出すのだった。

 井吹はそんなことより自分の代わりにゴールを守る信助のことが心配された。神童は信助との付き合いが長い分、彼を信頼していると余裕を持って笑う。

 それを聞いた井吹は、改まって神童に質問しようとする。だがそこで火山が噴火を起こし、地表を激しく揺さぶる。このままでいては危険だ。2人は会話を中断し、物陰に隠れる。


 揺れが収まって見たところ、進路を大きな岩が塞(ふさ)いでいた。おそらく今の噴火で排出され、不運なことにこの場に落ちて来たのだろう。道を塞がれ、彼らの取るべき行動は側面の岩壁を登ることしかない。



 神童のその提案は相変わらず落ちれば命がないという局面に直面させられることとなる。すでにこの地で何度も死にかけている井吹は顔をこわばらせつつも神童の手前、わざと強がる言葉を吐く。


井吹「いいねぇ……」


 その顔は蒼白で、顔には脂汗(あぶらあせ)が噴き出していたことは言うまでもない。



 またまた試合会場にカメラは移る。相変わらずアルベガという絶対の司令塔を擁するチーム・ガードンが攻勢をかける。ミスティからパスを受けたヴェス(フクロウラインだ)。真名部の防御を振り切ったヴェスはやおらボールを踏みつけ、必殺技「カザンガン」を撃つ。



 必殺シュート「カザンガン」。一度地面に埋め込む動作があって、それが火山爆発で飛び出したように勢いをつけてゴールに向かう。これはさっき神童たちの邪魔をした火山岩を偶然にもトレースしている。どう見ても触るとやけどする系の技。



 信助はまともに受けたらやけどすると考えたか、必殺キーパー技「ぶっとびパンチ」で迎撃する。


 何とかゴールは阻止したが、衝撃で信助はゴールポストに激突してしまう。心配して駆け寄る皆帆を制して、信助はゴールを死守する気概を見せる。皆帆には見せなかったが、信助はこのプレーで右肩を痛めてしまっていた。




 その間もプレーは続く。プロモの持つボールを好葉が必殺技「このはロール」で奪い取る。だがその顔は上気して赤らみ、明らかに熱によって弱っている印象だ。好葉はこの直後に倒れてしまう。


 天馬が好葉を気遣う中、せっかく奪ったボールをニーラに奪い返されてしまう。ボールはまたもヴェスのもとへ。ヴェスは先ほどの必殺シュート「カザンガン」をもう一度アースイレブンゴールに撃ち込む。同じ技には同じ技と、信助は必殺キーパー技「ぶっとびジャンプ」で対抗する。ここまではすべて先ほどと同じ展開だが、一つだけ違っているのはこの時点で信助の右肩が怪我をしているという点だ。




 その右腕でシュートにパンチをかます信助だったが、やはり止めることは出来なかった。先制のシュートがアースイレブンゴールネットを揺さぶり、ついに試合の均衡が破れた。


 地面に顔から落ちた信助は、腕の痛みよりもシュートを止められなかった心の痛みにその顔を歪(ゆが)めていた。



 ゴール後のインターバルで補水するアースイレブン。倒れてしまった好葉もようやくその表情に生気が戻る。好葉は自身がバテてしまったプレーから失点につながってしまったことを仲間に詫びる。

 天馬は努めて明るく、試合はまだこれからと好葉を勇気づける。だが好葉に限らず仲間たちは暑さのせいで著(いちじるし)しく体力が低下している。



 そして試合は失点を喫したアースイレブンのキックオフで再開される。信助は痛めた右肩を気にしつつ、キーパーの替わりは今のアースイレブンには存在しないことを思い、怪我のことは誰にも話さず胸に秘めていた。しかしそんな信助の様子を兄貴分の鉄角が見逃すはずがない。信助が悲愴な決意を持って試合を続けていることを、鉄角はどんな思いで見ていたのだろうか?


 剣偽から瞬木へのパスが早速ミスティにカットされてしまう。即座にアルベガからの指示が飛ぶ。その指示は、これまで彼がその存在を無視して来たロダンを混じえての作戦決行を意味していた。



 ロダンのデータもアルベガは把握している。心の内では大っ嫌いなんだろうけど。


 なかなか指示通りに動かないロダンを叱責して尻を叩くアルベガ。ロダンは渋々といったように走り出す。そこにプロモからのパスが届く。皆帆が阻止に向かうが、ロダンは簡単に突破する。

 信助の負担を減らすためにもここでライン突破を許すわけには行かない。鉄角は舌打ちしつつロダンの方に向かってダッシュする。

 だが間に合わない。ロダンのシュートが放たれる。その状態で信助を守るには、身体を張るしかない!



 ロダンの重いシュートを顔面でセーブする鉄角。彼はここまでして信助の肉体を守り、そして信助の思いをも守ろうとしたのだ。


 鉄角の頑張りで勢いを失ったシュートは簡単に収められた。しかし鉄角の受けたダメージは相当なものだろう。信助は痛みなど見せずに自分に笑いかける鉄角を見て、彼が自らの怪我のことを知った上で守ってくれたことに気づく。




 一方その頃、神童と井吹はどこで見つけたのだろうか。トロッコに乗って前進を再開していた。歩くよりは楽で速いだろうが絵ヅラがのんきだ。トロッコは翼のある人間には荷物を運搬する行為以外では無用の長物だから、この移動手段の変化は西の種族の支配範囲に入ったことを暗示している。ゴールは近い(はず)。


神童「……聞きたいことって何だ?」


 場が改まり、落ち着いたタイミングで神童はさっきの話の続きを促(うなが)す。井吹は、機械の鳥(スパイバード)に襲われた時、なぜ神童が逃げずに戻って来たのかを問う。

 井吹は自身では機械の鳥を追っ払えないと神童が思ったのかを続けて問う。神童は冗談めかしてそれを肯定する。2人の間に緩和的な笑いがこぼれる。

 そうしている間にトロッコは終点にたどり着く。そこは別のトロッコが存在し、それを乗り継いで行けば目的のスタジアムにも行き着けそうだ。

 先に降りようとした神童だったが、足場の不安定さにぐらつく。その手を掴んで助けたのは、彼我のところを変えた井吹、であった。



神童「あ……ありがとう」
井吹「ふっ、こっちこそ!」


 感謝の礼を述べる神童に対し、井吹はどこか吹っ切れたような表情でそう応える。その意味が分からずに問い返す神童に対し、井吹は適当にごまかす。先を急ごうと歩き出す神童を見つめ、井吹は頭を掻いて照れたように笑って後を追う。

 ……この辺の描写、お互いがお互いを意識している感じはどう見ても男女間にある心理的描写にしか見えないんだけどな。井吹×神童の薄い本にネタを提供しているというか。



 そんなBLな展開が繰り広げられる中、そんなこととは無関係に試合は続いていた。エトゥナが突進する前に立ちはだかるのはまたも鉄角。エトゥナはさっき鉄角を翻弄した必殺ドリブル技の「マグマカーペット」を再び披露する。




 しかし今度は鉄角もただやられてはいない。ドリブル技に対抗するにはブロック技と、必殺技「フットワークドロウ」で見事にボールを奪取する。


 鉄角はその後も一貫して堅い壁としてゴール前に陣取り、チーム・ガードンの進撃を阻み続ける。スタミナの多い鉄角といえども、この高温多湿の状況で頑張り続けることはあまりに過酷だ。肩で息をして頑張り続けるが、その限界も遠くはないだろう。

 埒(らち)があかないと判断した鉄角は、ここである試みを試してみる気になる。


 コンダルムが九坂のマークをかわしてヴェスにパスを送る。先制点を挙げているヴェスはそこで3度目となる必殺シュート「カザンガン」を撃つ。右腕を痛めている信助では果たして止められるかどうか?

 気負いこむ信助の前に鉄角が回り込み、ボクサーのファイティングポーズをとる。バックが彼のかつての主戦場、リング上のように見え、そこで彼は新必殺技「デッドストレート」を出してみせた!



 鉄角が試したかったことは最高のプレーとして体現した。ボクシングのリングが舞台とはいえ、彼が振るうのは拳ではなく足だ。サッカー選手の武器は足である。


 必殺技「デッドストレート」は「カザンガン」を弾き返すのみには留まらなかった。ボクシングで言うところの必殺の返し技「クロスカウンター」のように一気にガードンゴールめがけて飛んで行く。



 アルベガがその威力をサーチしようとするが、その新必殺技のデータはもちろん無い。虚しくエラー表示されたスコープを覗いたまま、アルベガはゴールを許してしまう。



 クロスカウンター炸裂!! 鉄角の公式戦初ゴールが決まり、これで試合は1−1の五分の展開に引き戻される。そのゴールには、かつて剣城も認めた鉄角のキック力に加えて、カウンターで撃った分、ヴェスのシュート力も加味されていたものと思われる。



 信助を救うという思いが同点シュートにまでつながったことに鉄角は満足していた。信助が歩み寄り、その必殺技を褒め称える。鉄角はクセなのだろう、またも鼻の下をこすりながら照れたようにその祝福に応じる。後ろからは、まなみなも祝福にやって来とるな。


 ボクシングのカウンターパンチを応用したと得意げに語る鉄角の言葉に真名部は納得の様子。この技が待ち受けている限り、ガードン側もうかつにシュートを撃っては来れないだろうと皆帆もこの状況を歓迎する。


 この良い雰囲気を一時のものにせず、全員を乗せるのがキャプテンの役割だ。天馬は流れがこちらに来ていると語り、一気に逆転するようチームを鼓舞する。


 試合再開に向け、それぞれの守備位置に戻る中、信助は鉄角を呼び止める。信助は彼にだけは隠しても無駄と言わんばかりに痛めている右肩を押さえながら、ありがとうと感謝する。鉄角はやはり鼻の下をこする例の動作でその言葉に応える。2人の信頼感があればお互いの意思疎通はそれだけで十分だった。



 方や、ものすごいシュートを決められたチーム・ガードンは作戦会議。皆帆の見通したとおり、鉄角のカウンター技がある状況にうかつには攻められないと戸惑っている様子だ。アルベガだけは一度見たシュートを新たな鉄角のデータに蓄積し、自信を持ったようだけど。



 そしてこれも敵方、ただし競技外から試合を見つめる紫天王のリュゲル・バラン(CV:ランズベリー・アーサー)とガンダレス・バラン(CV:興津和幸)のバラン兄弟。ここで初めて公式に紹介される。彼らは2人で一つの紫天王という扱いらしい。ただ彼らは仲間であるロダンのことよりも雑談に夢中にあるあたり、あまり真剣味がなさそうな感じだ。こういうおちゃらけた奴らの方が強かったりするんで厄介なんだけど。眠れない弟にホットミルクを飲めとアドバイスする兄だが……


リュゲル「ホットなだけにホッとするんだ」
ガンダレス「やっぱりリュゲル兄は物知りだな!」


 しょうもないダジャレを言う兄も兄だがそれを間に受けて納得する弟も弟だ。だがアホだけにその信頼関係は強い絆で結ばれていそう。往年のドリフのバカ兄弟を見ているようだ。




【参考資料】ドリフのバカ兄弟



 バラン兄弟はさておき、試合展開は同点となったその状態のまま、膠着状態(こうちゃくじょうたい)を迎える。



 座名九郎のシュートを片手で止めるアルベガ。不意打ち的な鉄角のシュートには苦杯をなめた彼だがまともな状態だとすごく守りが堅い。必殺技を出さないんだもんな。


 そんな中、パスを受けたニーラがゴールに迫る。豪快に蹴られたシュートの前に出るのはまたも鉄角。だが今度は必殺技「デッドストレート」を出す間も無かったのだろうか。鉄角は腹でそのシュートをまともに受ける。



 鉄角の犠牲により、信助はまたも負担なくそのシュートを押さえることが出来た。しかしその際に左腕一本でボールをキャッチする姿を目ざといロダンに見られていた。ロダンは邪悪に笑い、自分だけの気づきを手柄に変え独り占めしようと画策する。



 アルベガの指示が飛ぶ中、ヴェスへと送られたパスを強引に横取りするのはロダンだった。指示に従わないロダンを怒鳴りつけるアルベガだったが、ロダンは手柄さえ挙げれば文句も引っ込められるとばかりにその叱責を無視する。

 ロダンは独断プレーで突き進み、真名部をかわしてゴール前に迫る。ロダンの行為にキーパーを潰すという意図を感じた鉄角はそうはさせじとロダンの前に回る。

 ロダンは構わず必殺シュート「カザンライ」を撃つ。標的はゴールマウスではなく、信助自身だ!




 満身創痍(まんしんそうい)の2人ではその強烈なシュートには翻弄されるより他なかった。シュートが2人を攻撃し、そしてゴールに吸い込まれる。ロダンのゴールで試合は1−2と、再びアースイレブンが追う展開となってしまう。


 ゴール前に倒れ込む信助と鉄角を気遣って天馬たちが駆けてくる。鉄角は身体を張って信助を守ろうとしたのに守りきれなかった不甲斐なさを詫びる。

 信助がいつまでも右腕を動かさないことに天馬が気づく。怪我していることを見破られ信助はあわてるが、それを諌めるのは座名九郎だった。

 信助が仲間に不安を与えないよう頑張っていたこと、そして鉄角もそれに気づいて信助を懸命にカバーしていたことを座名九郎は喝破する。

 隠し事をしながら無理を押してプレーしていたことを信助は謝る。それに気づきながら黙っていた鉄角もすまなさそうに項垂(うなだ)れる。


 だがその2人の気持ちは天馬にもよく分かる。これからはみんなでカバーしようとキャプテン令を発する。まぁ代わりの選手がまだ到着していないからどうしようもないんだけどね。



 天馬と、そして仲間たちの優しさに触れた鉄角は、そんな仲間をも救いたいと自らのソウル発動を待ち焦がれる。握り締めた拳に、彼の深奥に眠る力はいつ応えてくれるのだろうか。



 その態度に焦(あせ)りを感じたのだろう、控えめな口調ながら座名九郎が忠告する。座名九郎自身も歌舞伎の演目「獅子王」の演技に悩んでいた時、心の奥から湧き上がる叫びを聞いたという。それが荒ぶる獅子の目覚めだったことを座名九郎は告げる。


座名九郎「真正面から向き合ってみてはどうですか? あなた自身の心と」


 ソウルの力の先達(せんだつ)である座名九郎からのその忠告に熱心に聞き入る鉄角。その言葉の伝えようとする真意を鉄角は模索する。



 一方、勝ち越したチーム・ガードンの側も不穏な状況下にあった。殊勲のゴールを挙げたロダンだが、それはアルベガの命令に逆らった明白な違反行為の末の得点だった。

 アルベガからの猛烈な叱責を受けてもロダンは悪びれることなく「点を取ってやっただろ?」と語る。お茶目にウィンクしながらのその態度はまったく反省の色は見えない。


 またも不協和音を奏でるアルベガとロダンの様子を、監督のカルデラは苦々しげに見ていた。



 そして神童と井吹の2人は、ようやくこのスタジアムを眼下に収められる丘陵にまで達していた。チームは君らの到着を待ってる。疲れてるだろうけど急げ。



 試合は長かった前半戦も残りわずかとなる。アルベガの指示は変わることなく的確で、攻撃をかけるのはチーム・ガードンだった。

 またもロダンにパスが渡る。フィールドにいる敵の中で最強の存在であろう彼に向かうのは鉄角だった。鉄角は以前、剣城(本物)に言われたサッカーに対する心得を思い返していた。鉄角にとってそれこそが座名九郎に受けた忠告「自分自身の心と向き合う」ということと同義だったからだ。


 ロダンがとどめとばかりに再度の「カザンライ」を撃つ。それをさせてはならじと立ち向かう鉄角の身体を輝くオーラが包み込む!!



鉄角「見せてやるぜ! 俺の中の『サッカー』という野獣の姿をっ!!」



 次回に続く。



  エンディング



 いやぁ、今回は鉄角が男っとこ前だったよね。信助をかばって肉弾防御するところはすごかった。ボクサーとして打たれ強い部分はあれど、顔面セーブは勇気がいるし。上でも書いたけど信助をいじめていた狩屋マサキと中の人が同じとは何度聞いても思えない。

 信助も鉄角の期待に応えてよく頑張った。井吹がソウルパワーに目覚めた今、この機会を逃すとまた出番が無くなりそうなのではあるが。信助がソウルパワーに目覚める機会もあるのかな? 電撃ネズミのソウル。


 あと、神童と井吹の到着遅すぎ。彼ら待ちのせいで前半戦がこんなに長かったんだろうと推察する。これも上で書いたんだけど、どうして東の種族はスタジアムまで送ってくれなかったんだろうか? ちゃんと家に帰るまでがソウル獲得のための修行だったのかなぁ? 遠足じゃないんだから。


 残された紫天王であるバラン兄弟のことも徐々に明らかになって来た。おバカ兄弟ということで人気が出そうなキャラ設定だ。ロダンよりも実は残虐だったりしそうで気が抜けないが。バランというと寿司のネタを分けるあの緑のギザギザを思い出してしまう。


 あとファラム・オービアス本星に囚われの身の剣城(本物)はどうしてるんだろう? ララヤ・オビエス(CV:高垣彩陽)も出番がないので気になっている。そのうち出てくると思うんだけどね。



 前回に明かされた新アニメ企画情報。まだ細部はよく分からないけど、楽しみではある。黄名子とベータの戦いなんて夢の対決やんね!




 次回はようやく合流する神童と井吹、双方がソウルを発動させるという燃える展開になりそう。ただ今回のラストで鉄角がソウルを出そうとしてたよね? トリプルソウルと言ってあげないと、鉄角さんの立場が……。もしかして発動失敗とか? 話数またぎで失敗とか本当にやったらすごい鉄角Disなんだけど。



  次回「ダブルソウル!井吹と神童!!」に続く。



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