『イナズマイレブンGOギャラクシー』第35話「希望の欠片」の感想 【ニセ剣城の本当の顔が見たい】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第35話「希望の欠片」を観ての感想を書く。次回への展開も踏まえた物語の大きな転換点を迎えたという印象。伏線が回収されつつ新たなフラグが立ったりしてね。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第34話「涙の怒髪天シュート!」の感想 【超感動の神回】
 をご覧ください。

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 松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は、星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦4回戦、準決勝戦で【惑星ラトニーク】を破って決勝戦に進出する。

 チーム・ラトニークのバンダ・コローギュ(CV:金野潤)が文字通り命を賭(と)して戦ったその試合は素晴らしい余韻(よいん)を残してアースイレブンメンバーの心に留まる。

 【ギャラクシーノーツ】号に乗り込み、決勝戦の舞台に向かうアースイレブンの選手たち。特にバンダと個人的に友情を交わした九坂隆二(CV:岡林史泰)は、窓外に去りゆく緑の惑星ラトニークをいつまでも見つめていた。


 地球人と比較して圧倒的に短い寿命を懸命に生き抜いた友達(ダチ)の思い出を糧(かて)に、九坂はもっともっと強い人間になることを誓うのであった。



 キャプテンの天馬はそんな九坂の決意を背中から感じ、自身も成すべき大きな使命があることを思い返す。



   オープニング



 悲しい思い出も辛かった思い出も、そして楽しかった思い出も内包(ないほう)した旅路はもうすぐ終焉を迎える。この銀河の危機を救う方法を知るというカトラ・ペイジ(CV:上田麗奈)に託された、4つの希望のカケラの収集はすでに完了していた。


 ギャラクシーノーツ号の制御室で4つの欠片(かけら)を並べ、機械を操作する蒲田静音(CV:くじら)。鉄角真(CV:泰勇気)や野咲さくら(CV:遠藤綾)は4つ揃うことで欠片が意味を持った存在であることを意識する。

 この4つの欠片をどうしようというのか? 天馬は仲間内で欠片の正体をただひとり熟知するであろう水川みのり(CV:高垣彩陽)に問いかける。

 ポトムリ(CV:三木眞一郎)の精神が内在するみのりですら、欠片の深い意味は分からないらしい。だからこそ蒲田の協力を得て欠片を調べることにしたのだという。蒲田が操作していた機械は非破壊で物質を調べる3Dスキャナーだったのだ。

 そしてスキャンが完了した瞬間、みのりは呻(うめ)くようにつぶやく。


みのり「やはり……」


 つまり彼女には大方の想像がついていたのだ。カトラが何を集めさせてきたのかを。集めてくれたことを感謝するみのりの言葉を聞き、天馬にも自然と笑みがこぼれる。

 ただ欠片の意味はまだ説明がされていない。神童拓人(CV:斎賀みつき)はそれをみのりに問う。惑星サンドリアスで手に入れた「太陽岩」、惑星サザナーラで獲得した「海水晶」、惑星ガードンでゲットした「紅蓮の炎石」、惑星ラトニークで入手した「緑光石」……それらはいずれも伝説の鉱石「ミスリル」を産み出す原料となるもの……「ミスリルストーン」なのだとみのりは解説する。



 左から「緑光石」、「紅蓮の炎石」、「太陽岩」、「海水晶」


 みのり(ポトムリ)が惑星キエルの化学者だった頃、ミスリルを製造するために探しに探したが、入手することが出来なかった素材だ。

 それが地球人である天馬たちの協力で今目の前にある。みのりの瞳に光るものが見えた。そしてみのりはその身体を輝かせ、一人の男性に姿を変える。



 何と、その場に現れたのは死んで魂だけの存在になったはずのポトムリだった! 予期しない驚くべき事象に一同は驚愕するが、ポトムリは元の姿に戻れたことを素直に喜んでいた。



 ピエロの姿がポトムリの正体という気持ちが抜けきれなかった西園信助(CV:戸松遥)はあれはぬいぐるみだと森村好葉(CV:悠木碧)に突っ込まれる。ちびっこボケちびっこツッコミだ。


 だがこの場にポトムリが現れたということはみのりが消えたということと同義だ。井吹宗正(CV:鈴木達央)がみのりの消息を問う。ポトムリはミスリルストーンが揃ったことで高揚(こうよう)した自身の精神状態がみのりとの結合度を高め、周囲にはみのりの姿よりもポトムリの姿が見えている……ということらしい。

 科学者らしく分からない人が聞いても理解不能な物言いに、鉄角やさくらはまったく分からない状態。過程を気にしない瞬木隼人(CV:石川界人)は結果的に本来のポトムリが見えているのだろうとなかなか鋭い。


 ポトムリはこれでミスリルを作り出すことが可能だと語る。彼が惑星キエルで研究していたこと、それはブラックホールを消失させるためにコズミックプラズマ光子砲を作り出すことだ。その高出力にこの世でただ一つ耐え得る素材、それがミスリルなのだ。皆帆和人(CV:代永翼)や真名部陣一郎(CV:野島裕史)といった面々、特に理系に造詣(ぞうけい)が深い真名部はメガネをしきりに押し当ててポトムリの動向に見入る。

 ポトムリはスキャナーから欠片……ミスリルストーンを取り出しケースに収める。カトラがこれらを集めるよう天馬に指示したのは、ミスリルの材料を集めるためだったのだ。


 コズミックプラズマ光子砲の開発、及びその核となるミスリルの製造の知識、設計図的なものは確かにポトムリの脳内にあろう。しかしそれを製造するだけの大掛かりな装置などはこのギャラクシーノーツ号内には無いのではないか? 蒲田がポトムリにそう尋ねたその時、突如天井の照明が撃ち抜かれる!



 銃を撃った人物。それは剣城京介(CV:大原崇)だった! 視聴者的にはコイツがニセモノであることを23話の時点から知っていたわけで、やっと正体を現したかというのが正直な感想。


 危険な行動を制止しようと九坂が近寄るが、その足元に光線銃の熱線を引き絞る剣城(ニセ)。さらに近寄る瞬木たちにも容赦なく銃口を向け、動くなと命令する。

 この場を制圧したニセ剣城は、騒動のショックからか元のみのりの姿に戻ってしまったポトムリに、欠片の入ったケースを渡すよう命じる。

 だがみのりはその脅しに屈しようとはしない。これが宇宙の希望そのものであるということが、絶対に他者に渡してはならないという気概につながっているのだろう。

 渡さなければ容赦なく撃つとニセ剣城は凄むが、みのりはケースを抱き抱えるようにしてその要求を拒む。前回、この姿を「希望のカケラをパクろうとしてるのでは?」と想像してしまった自分が恥ずかしい。


天馬「どうしちゃったんだよ!?」

 緊迫する場面、友の信じられない行為に天馬は動揺を隠せない。ただ友ならあの目のクマとかに早めに気づくべき。他方、市川座名九郎(CV:小西克幸)はこの事態にも油断なくあたりを見回し、何かを画策している様子。


 埒(らち)があかないと判断したニセ剣城はみのりに駆け寄り、強引にケースを奪おうとする。相次ぐ友の常軌を逸した行動に天馬は憤(いきどお)るが、そこに背後の座名九郎から声を潜めた指示が送られる。



座名九郎「次に(剣城が)背中を見せた時がチャンスです」


 2人がかりで挟み撃ちにしようという座名九郎の作戦は効果的に思われた。しかし声を潜めての会話だったはずなのにニセ剣城はそれを聞いてしまう。地球人ではないのだからその能力も当然かも知れないが。

 完全に警戒したニセ剣城はみのりを盾に、隙を見せなくなってしまう。これでは座名九郎も手が出せない。


神童「お前、剣城じゃないな!!」


 そこでようやく神童が核心を突く。まだ騙されていた天馬たちは驚くが、指摘されたニセ剣城は笑って、自分がニセモノであることを明かす。


ニセ剣城「俺は剣城京介の顔を借りている……とだけ言っておこうか」


 かつて好葉が剣城に感じていた違和感は外れてはいなかった。確信こそ無かったが好葉は早々に剣城がニセモノと入れ替わっていたことを鋭い観察力で感じていたのだろう。


 本物の剣城を排除しない限りこの計画は成り立たない。心配する天馬は本物の剣城が何処(どこ)にいるのかを問いただす。

 ニセ剣城は「さあな」と嘯(うそぶ)き、銃の上部にあるスイッチを操作する。すると掴んでいるみのりごとその姿が光に包まれる。空間転移(テレポート)で逃げるつもりなのだ!


 そうはさせじと飛びかかるのはピクシー(CV:北原沙弥香)だった。ニセ剣城はみのりとピクシーを連れたまま、その姿を消す。大事な希望のカケラも持って。



 大切な仲間、そして文字通り宇宙を救う鍵となる希望のカケラを奪われ、何も出来なかったアースイレブンのメンバーは落胆する。特に仲間だと思って来た剣城がニセモノだったということを今まで見破れなかったことが大きなショックだっただろう。「演技」が本分である歌舞伎役者として、座名九郎は他のメンバーよりもそのことに責任を感じていた。



 逃げたニセ剣城がたどり着いた場所。そこは巨大な宇宙船の内部であった。ニセ剣城とみのりを待っていた人物が声をかける。それは銀河連邦評議員という肩書きでアースイレブンをここまで導いてきたはずのビットウェイ・オズロック(CV:津田健次郎)だった。

 黒幕がオズロックであったことにみのりは驚く。その隙にニセ剣城にケースを奪われ、光磁帯の中に閉じ込められてしまう。

 ニセ剣城に下がるよう命じるオズロックに対し、ニセ剣城は成功報酬を求める。オズロックはそんなことかと言わんばかりの侮蔑の笑みを浮かべつつ、好きなだけくれてやると返す。そして改めてこの場から消えるよう言い渡す。


ニセ剣城「消えるさ、この鬱陶(うっとう)しい地球人の顔にもうんざりだからな!」


 ……と本物の剣城が聞いたら激怒しそうな捨てゼリフを残し、ニセ剣城はケースを置いて去って行く。


 邪魔者が去り、オズロックはみのり……いや、ポトムリに対して恭(うやうや)しく出会いの祝辞を述べる。みのり=ポトムリは再度その姿を元の状態に戻してオズロックに対峙(たいじ)する。

 そして銀河連邦評議会議員である肩書きを無視し、このような蛮行(剣城を誘拐してニセ剣城を送り込んだことや、ミスリルストーンを強奪したこと)を重ねてブラックホール除去の妨害をする理由を尋ねる。

 オズロックはこの場における勝者ゆえの余裕からその質問を一切無視して見せる。そして逆に頼みがあると要望を告げる。


オズロック「コズミックプラズマ光子砲を完成させて欲しい」


 ??? それは言われなくともポトムリは作るつもりだったものだ。オズロックの真意をなおも尋ねるポトムリに対し、オズロックはおどけた口調でそれを愚問と両断する。

 ブラックホールを消失させて宇宙を救うためだと語るオズロック。だがそれならポトムリを誘拐するようなことなどする必要がない。敬愛するカトラ姫の導きによって製造過程の直前まで来ていたことをポトムリは語る。

 カトラの名を聞いたオズロックはそこで衝撃的な発言をする。



オズロック「彼女は我々の協力者だよ……」
ポトムリ「何!? では何処におられる!?」


 オズロックの言が本当であればカトラが生きているということになる。ポトムリはこれまでの科学者としての冷静さを失ってカトラに会わせて欲しいとオズロックに懇願する。

 その要求を容(い)れるには、もちろんこちらの要求を先に飲まなければならないと言外に告げ、オズロックはコズミックプラズマ光子砲作成に協力するよう再度求める。

 オズロックの態度にどうしても理解、信用できない面があることは確かだった。だが囚われの身となり、カトラに会うためという大義名分の前に、ポトムリの意思は是非もない状態に追い込まれる。




 ニセ剣城と、さらにみのり(ポトムリ)が途中下車してしまった状態のギャラクシーノーツ号だが、その歩みを止めるわけにも行かず宇宙を疾走し続けていた。

 通路では信助と空野葵(CV:北原沙弥香)が落ち込んだ表情でうなだれていた。そこにやって来たさくらが様子がおかしいことに気づいて声をかける。2人は剣城がニセモノだったことに対するショックが大きく、まだその事実を受け入れられない状態だった。

 さらに心配なのは彼らと同様にショックを受けているであろう天馬が部屋に閉じこもったきり出て来ないことだった。

 さくらは、彼らがアースイレブン結成前からの雷門中の仲間であることを慮(おもんぱか)り、落ち込む理由に理解を示す。


 本物の剣城を心配するあまり、葵は今にも泣き出しそうな表情になる。彼らの中でも一番ショックを受けているのは天馬だと信助は推察する。



 天馬と剣城は競い合うライバルであるとともに、互いの力を認め合った親友でもあったのだ。天馬が出したパスを剣城がシュートする。それは雷門中最強のホットラインとして信助をはじめとする仲間たちに絶大の信頼を受けていた。


 初めての出会いでは彼らは敵同士だったが、サッカーを介して剣城は変わっていった。誰よりも天馬の影響を受けたのは剣城だった。


葵「それはきっと神童先輩以上だと思う」

 なぜか葵のこの言葉に合わせて神童の現在の姿がかぶさる。天馬と剣城の間に入れない状況を悲観しているように見えて仕方がない。あるいは「神童先輩異常だと思う」と聞こえたか。


 影響を受けたのは剣城だけではないと信助は語る。ドリブル以外はダメダメだった天馬のサッカー技術が、剣城というライバルを前にしてメキメキ上達していき、ついにはキャプテンの座に就いたことを挙げる。



 そしてキャプテンになった天馬を影に日にサポートしていたのも、実は剣城であった。ホーリーロード決勝戦で天馬をはじめて下の名で呼び、決勝ゴールのお膳立てをしたのも剣城だった。


 親友でありライバルという関係性に、さくらはうっとりと憧(あこが)れに似た感情を抱く。孤独な新体操時代を送っていた彼女には無縁の存在であり、その関係性を羨(うらや)ましいと思う。


 だからこそ、その喪失感が大きい。今この場に天馬にとってもっとも必要とされる人物がいないのだ。ぽっかりと心に穴が開いたような心境なのではないだろうか?

 信助は放ってはおけないと、もう一度声をかけることを決意する。さっきさくらがこの場に来た時に落ち込んでいた2人は、一度天馬に声をかけて拒絶された直後だったのだろう。



 天馬の部屋のドアを叩く音が響く。ドアを開けた信助と葵は、明かりもつけずにベッドに座り込む天馬を見て絶句する。

 慎重に声をかける2人に対し、天馬は剣城が何処にいるのかとつぶやく。剣城は親友のはずなのに本物とニセモノの区別がつかないまま今まで行動を共にしていたことに、天馬は激しく自己嫌悪していた。

 様子がおかしいと感じたことはあったが、それ以上深く考えず、結果入れ替わっていることを見逃していた自身に腹を立てる天馬。

 そしてそのボタンの掛け違いがさらなる悲劇を招いたとして、みのりやミスリルストーンまでもを奪われてしまったことを悔やむ。


 落ち込む人間には時には強い叱咤も必要だ。葵は珍しく声を荒らげて天馬に対する。



葵「天馬、心配なのはみんな同じ……でも天馬はキャプテンなんだよ!!」


 その使命感を思い出した幼なじみの瞳に戻りつつある光彩を葵は見逃さない。しっかりしなくちゃと、キャプテン天馬の立場を想起させる。


 そこに蒲田からギャラクシーノーツ号の先頭車両に集合するよう連絡が入る。緊急通信が入ったというのだ。この状況で連絡が入るとしたら、そのチャンネル先はある程度限定される。いずれにせよ剣城の問題を進展させる話になることは間違いない。



 先頭車両、ホログラムによる連絡を送ってきたのはグランドセレスタ・ギャラクシー大会のコーディネーター、イシガシ・ゴーラム(CV:遠藤綾)であった。



 ニセ剣城が【ファラム・オービアス】より送り込まれたスパイではないかとイシガシは告げる。だがオズロックの命(めい)によってニセ剣城を送り込んで来たのはイシガシ自身だったはずだ。

 おそらくイシガシは罪をファラム・オービアスのみに押し付け、自分たちへの疑いの目をあらかじめ逸らそうとしていると思われる。オズロックがミネル・エイバ(CV:佐藤健輔)の指示を受けて行動していたことを思うとこれは全面的に作り話ではないからバレにくいという面もある。

 ミネルがなぜ剣城を誘拐するように命じたのかと言えば、元をたどればララヤ・オビエス(CV:高垣彩陽)が剣城をお婿(むこ)さんにしたいというワガママから来ているのだけど……。オズロックとイシガシはそれを上手く利用したと言えるだろう。


 ファラム・オービアスといえば次の決勝戦の相手だ。みのりを誘拐した行為と合わせ、アースイレブンに対する強迫行為なのではないかとイシガシは告げる(いけしゃあしゃあと)。

 井吹は卑劣な行為に怒りを募らせる。煽っていたイシガシは冷静になるよう告げ、みのりを心配する(素振りをする)。


 しかしそこで「これまで何していたの?」と言いたくなる空気っぷりを破って、監督の黒岩流星(CV:佐々木誠二)が口を開く。黒岩はみのりが大丈夫であるとなぜか確信を持って語る。

 なぜそう言い切れるのか問う九坂だったが、真名部や皆帆は彼女が宇宙人であり幽霊であるという前提を持ち出し、あまり心配には当たらないと見当をつける。


 何も知らない天馬は、誘拐の片棒を担いだイシガシ本人に、剣城が何処にいるのか心当たりはないかと聞く。そのあまりの善人っぷりにさすがに良心の呵責(かしゃく)を抱いたか、イシガシは一瞬目をそらす。

 ややあって、剣城はファラム・オービアスによって何処かに幽閉されているのではないかと告げる。これはクーデターによって実権を奪われたララヤとともに幽閉されている剣城の現状を思うとある程度正確な情報だ。さすがに良きアズルの持ち主である天馬くんに嘘をつき続けるのはイシガシでも難しいのかもしれない。


 何処かという不確かな情報を聞かされ、天馬は何処なのかを詰問する。それが失礼にあたることを神童に諭(さと)され、天馬は謝罪する。イシガシは剣城を捜索、救出する手立てを考えると事務的に返答する。

 試合に集中するよう告げるイシガシに対し、どうしても感情を抑えきれない天馬はまた食ってかかろうとする。が、寸でのところでそれを抑える。親友のことが心配でどうしても感情の制御が難しいのだろう。


 剣城が心配なのは確かだが、今は試合に集中することが大事だ。カトラも語っていたが、決勝戦を勝って彼女のもとにたどり着くことも宇宙を救うための条件の一つだったはずなのだから。


天馬『剣城だって俺たちの勝利を願っているはずだ!』



 ファラム・オービアスへの道程は、特訓の時間に費やされる。真剣の特訓場と化したブラックルームではメンバーがより一層の高みを目指して汗を流していた。誰もが当初からは考えられないほどの上達をしていたが、誰もその動きを止めようとはしなかった。勝利が剣城の願いでもあることを、誰もが理解していたからだ。


 シュートを止めるキーパー練習を繰り返す井吹にとっては、剣城は特別の存在であった。手加減の無い剣城のシュートを阻止する特訓が井吹を銀河で1、2を争う名キーパーに育て上げたのだ。



井吹「あの練習が無ければ、今の俺は無い!!」


 そして誓う。


井吹「必ず勝って、お前を助ける!!」



 剣城との因縁が浅くないのは、鉄角も同じだった。サッカーの面白さが分かり始めていた頃、サッカーが油断ならない生き物であり、目を背ければ喰らい尽くされてしまう恐るべき野獣であることを鉄角に教示したのは剣城だった。



鉄角「お前に言われたこと、忘れてないぜ!!」


 その哲学を受け継いでいることを証明する総決算の舞台、それが次の戦いであることを鉄角は感じていた。




 頑張る彼らの疲れを癒し、さらなるエネルギー補充の為にイナズマ名物のおにぎりを差し入れに持って来る蒲田さん。その優しい心付けは選手たちを勇気づけることだろう。ギャラクシーノーツ号の車掌したりメカニックエンジニアしたり寮母のおばちゃんをしたりと忙しい人だ。



 そして、誰よりも剣城と因縁のある存在、天馬である。砂漠のような荒涼とした空間を黙々と走り続ける天馬。決勝戦で勝てば、剣城もみのりも助けることが出来ると天馬は確信していた。ファラム・オービアスが彼らを誘拐したと信じていたからだ(半分正解だが)。


 そこで唐突に背景が途絶える。ブラックルームの装置を神童が停止したのだ。神童は自分の部屋に来るよう告げる。折り入って話したいことがあるという。



 神童の部屋にやって来た天馬は、そこで黒岩が剣城をニセモノだと以前から見破っていた可能性を聞かされる。驚く天馬に、神童はなぜそう思ったのかを説明する。

 神童が偶然見てしまったもの、それはギャラクシーノーツ号のコクピットルームで何かを操作する黒岩の姿だった。声をかけることが憚(はばか)られる雰囲気の中、ふと見た側面のモニターには剣城の画像に、何やら怪しげな数値が……



 「今思えば……」と神童は述懐する。あれは本物とニセモノの画像照合データだったのではないかと。黒岩はそのことに気づき、不信を抱いていた……


 しかしそれだと大いなる疑問が残る。黒岩はなぜそのことを天馬たちに秘密にし、しかも試合で使い続けたのであろうか?

 神童もそこが理解できない。だがその時点で手を打っておけば現状は避けられたはずなのだ。様子がおかしいということは神童も感じていたことだったが、まさかそっくりすり替わっていたとまでは考えなかった。


神童「もしかしたらこの大会は俺たちが思っているほど単純なものではないかもしれない」
天馬「えっ!?」


 そりゃ驚くよね。地球代表として宇宙で戦うって話だけでもものすごく複雑な話だと思うのに、神童さんの中では単純だったとは……。

 さて置き、神童はこの大会には大きな裏の陰謀があるのではないかと言う。さすが神童、【聖堂山中→ドラゴンリンク】、【エルドラド→セカンドステージ・チルドレン】といった、どんでん返しで真の敵が出て来るイナズマパターンを見抜いている。


 その正確な答えは、やはりファラム・オービアスにあるはずだ。剣城とみのりの救出、そして大いなる陰謀を挫(くじ)くためにも決勝戦は負けられない!


天馬「すべては、ファラム・オービアスに……」



 ギャラクシーノーツ号は順調に進行しワープ空間に入る。18万8千光年に及ぶ旅路ももうすぐ終わる。ワープの衝撃に歯を食いしばりながら、天馬は心ならず離れてしまった親友に思いを馳せる。



 オズロックの宇宙船内、厳重に隔離された一角の小部屋にポトムリの姿があった。彼は幽閉され、オズロックに協力を強(し)いられているのだろう。



 孤独な状態のポトムリの前に、ピクシーが姿を見せる。みのり(ポトムリ)がニセ剣城に連行された際、ピクシーも一緒にここにやって来ていたのだけど、今まで気づかれずに隠れていたのだろうか。


 小さな援軍といえ、ポトムリは笑顔でそれを迎える。だがオズロックに見つかるとまずいと、ポトムリは隠れているように指示する。


ポトムリ「君は私が守るから」


 指示自体は分かっていないような素振りのピクシーだったが、自分を守ると言うポトムリの気持ちは理解できたらしい。笑顔で返答するピクシーが可愛い。



 その頃、ギャラクシーノーツ号は最後のワープを完了していた。



 モニターに映る巨大惑星ファラム・オービアス。だがそれ以上に目を引くのは、その後方にドス黒く存在するブラックホールの姿だ。かつて惑星キエルを滅ぼしたブラックホールが、今度はファラム・オービアスをひと呑みにせんと迫っていた。


 銀河一の発展した惑星であるファラム・オービアスですら、ブラックホールの驚異からは逃れられないのだ。その圧倒的な存在感に一同は唖然となる。



葵「星が今にも呑まれそう……」
鉄角「でっかい化け物みたいだな……」
信助「うん……」

 座り位置的にいつも両親と子供のような絵ヅラになるこの3人。


 そんな中、瞬木だけは何やら楽しそうにブラックホールを見つめていた。心の闇の大きな瞬木には親近感を抱かせるものがあったのかもしれない。



 先頭車両の上部、監督室に黒岩を訪ねる神童。彼は黒岩が剣城がニセモノだと知っていたことを確認に来たのだ。


黒岩「見たのか、あのデータを……?」


 黒岩は否定せず、あの日操作していたニセ剣城のデータの存在を認める。神童は気づいていたのになぜ何の手も打たなかったのかを問いただす。

 黒岩が貫く無反応な態度は神童を攻撃的にさせる。推察だったであろう言葉が黒岩糾弾(きゅうだん)の言葉として紡(つむ)ぎ出されていく。


神童「あなたは地球を……いや宇宙を救う気など無い! ……そうじゃないんですか!?」


 だが黒岩はなおも返答をしない。構わず続ける神童。黒岩の監督としての才覚は大いに評価しつつ、黒岩から感じる違和感についても言及する。



神童「あなたのサッカーに対する思いは俺たちの思いとは違う! あなたの目的は一体何なのですか!?」


 大抵の返答なら神童は驚かなかったと思う。だが黒岩の返答は神童の予想をはるかに超えるものであった。


黒岩「私は『サッカーの神』になる……」
神童「えっ!?Σ(゚д゚lll)」


 黒岩は恐るべき野望を開陳(かいちん)する。彼はサッカーという概念を宇宙の歴史に刻み付けるという行為を成すことで自身は神になるというのだ。



 サッカーというちっぽけな球遊びのお遊戯が、今では宇宙の運命すら左右しているという現状に酔うかのように語る黒岩は、その象徴であるブラックホールと風前の灯火の運命のファラム・オービアスを見つめ、高らかに宣言する。



 彼がまだ影山零治と名乗っていた頃から愛し、憎んできたサッカー。それを宇宙の歴史に刻み付けるという行為を究極的に実現する現状を前に黒岩は興奮を隠しきれない。これも一つの愛情表現なのかもしれない。ただ完全にイっちゃってる感がハンパないが。


 神童はそれを聞き、さすがに「どうかしてる……」とこの場にふさわしい感想を述べる。そして黒岩の狂気に付き合うためにここまで来たのではないと決然と告げる。


神童「俺たちはこれ以上あなたに着いていけません!!」


 黒岩はそれを聞き、なぜか不敵に笑って了承する。大事な試合を前に監督がチームを離脱することになるのだろうか? アースイレブンにとっては大きな不安材料となりそうだ。



 ギャラクシーノーツ号はファラム・オービアスへの着陸軌道に入る。元気の無い神童を見て天馬が話しかける。だが黒岩の狂気に彩られた考えなど仲間に話すわけにはいかないと、神童は言葉を濁(にご)す。



 ファラム・オービアスのステーションに着陸したギャラクシーノーツ号を出迎えるのは、やはりコーディネーターのイシガシだった。

 剣城の件で会話していたイシガシがこの場に先着している姿に違和感を抱く一同だったが、ここが決勝戦の場であるとイシガシに告げられ、心は戦いのモードに移行する。



 一方、オズロックの駆る巨大宇宙船もファラム・オービアス上空にワープ・インして来る。ポトムリから奪ったミスリルストーンを改めて見返し、オズロックは邪悪な笑みを浮かべる。



 果たして彼の真意とは?



 次回に続く。



  エンディング



 更新が遅れまくっていてごめんなさい。現在人生で一番忙しい時期を迎えています。次回更新がいつになるかもまだ未定。それでも最後まで感想文は書くつもりなので見てくださると嬉しい。



 本題。最終決戦、ファラム・オービアス戦直前までの動き。ポトムリが実体を現したり剣偽がようやく正体を現したりと物語の伏線がほぐされていく先駆けとなるような内容だった。

 本文中でも触れたけど、イシガシのしれっと騙す態度は凄かった。オズロックとイシガシの2人は大いなる野望を抱いたカップルだと思っていたのだけど、イシガシが男だということでその可能性も消えた。いや、腐女子的にはそれの方がアリという感覚だろうけど。


 あと黒岩監督の無茶な承認欲求というか、「神になる」発言は心底驚いた。神童は完全に引いてたし。オズロックと黒岩の野望はリンクしているのか、それとも別個に動いているものなのか。その辺が気になる。



 次回のオズロックさん。凶悪な本性を隠さなくなっている。



 味方サイドに目を転じると、剣城と天馬の友情というものがフィーチャーされていた。わたし的には「そんなに仲良かったっけ?」という気分なのだけど。つかず離れず的な感じだと思ってたよ。

 井吹と鉄角の剣城との絡みもキチンと取り上げられていて良かったと思う。その分他のキャラが目立たない回ではあったけど。

 カトラが生きていたのかも? と思わせる部分や、ピクシーがここで果たす役割など今後の展開において気になる部分が多かった。早く次回を見て感想を書きたいと思う。次回のタイトルの意味が今のところ全然分からないんだけどね〜。



  次回「最凶!イクサルフリート誕生!!」に続く。



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