『イナズマイレブンGOギャラクシー』第18話「来訪者」の感想 【本当の意味でビビった来訪者は座名九郎の方】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第18話「来訪者」を観ての感想を書く。当初からアナウンスされていた物語の一大転換点である。ここからは超次元サッカーもますます超次元の方向にぶっ飛んでいくことが予想される。戸惑うこともあるけれど、面白くなりそうなのでついて行こうぜ!



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第17話「戦いの終わりと始まり」の感想 【鉄角とさくらの必殺技が誕生!】
 をご覧ください。

  • それ以外の感想は、

ここをクリック。

 で、一覧表示されます。

 で、一覧表示されます。

 で、一覧表示されます。

 少年サッカー世界大会「フットボールフロンティアインターナショナル(通称FFIV2)」アジア予選決勝戦において松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【イナズマジャパン】はウズベキスタン代表【ストームウルフ】に苦戦しつつも大逆転で勝利を収める。


 これで世界に挑戦する資格を得たと大喜びする天馬たちだったが、そこで驚天動地の異常事態が巻き起こる。大きく割れた空から湧き出した黄色い光に包まれた観客たちが眠りに落ち、それを浴びたストームウルフの選手たちがその正体を現す。その姿はまさに巷間(こうかん)言われる宇宙人の姿そのものであった!


 さらにそれら異常現象の元凶であると思われる巨大な宇宙船が試合会場に降下してくる。ここまでイナズマジャパンを率いてきた監督の黒岩流星(CV:佐々木誠二)はこの異常事態にも努めて冷静で、むしろこの時を待っていたとばかりに口元を歪(ゆが)めて笑う。


 だがこのような人智を超越した現象を目(ま)の当たりにして、黒岩のような態度を取れる方が実はおかしい。天馬や神童拓人(CV:斎賀みつき)は信じられない現象に目を見張り、森村好葉(CV:悠木碧)は腰を抜かしてフィールドにへたり込む。他の選手たちも降下してくる宇宙船から目が逸らせない。


瞬木「(ハッ)瞬! 雄太!」

 他の選手たちと同様に呆然とその現実離れした現象に魅入られていた瞬木隼人(CV:石川界人)は、ハッとなって弟の雄太(CV:小林ゆう)と瞬(CV:戸松遥)の名を呼ぶ。彼にとって大事な家族がこの会場に存在するということを思い出したのだ。


 瞬木が振り返った観客席ではすべての観客が黄色い光に包まれ、その行動を停止していた。


 イナズマジャパン関係者が居並ぶベンチサイドでは、コーチの船木宏正(CV:金野潤)が理解不能の状況を前に好葉と同じようにへたり込む。大人の男性にしてはやや情けない態度だが、やっぱりこの方が普通の反応であると言えよう。


みのり「いよいよ、始まりますね……」

 普通でない反応第二弾。大の男の船木が座りションベン漏らしそうな情けない姿を晒すのに、まだ少女の水川みのり(CV:高垣彩陽)は極めて冷静にこの事態を受け止めていた。この口調からして彼女はこの事態が訪れるということを事前に知っていたとしか思えない。もっともそれは黒岩にも当てはまるが。


 天馬は何が起こるのかという不安感を抱くが、元ストームウルフだった宇宙人たちも自分たちと同様に不安そうに降下する宇宙船を見ていることに気付く。

 宇宙船の底部が開き、赤い半球状の物体が姿を覗(のぞ)かせる。その物体が光るやいなや、フィールドにいた宇宙人の姿がかき消える。


 すべての「元ストームウルフだったもの」が姿を消し、もう一度物体が光った。するとフィールド上に何かが形を成していく。降り立ったもの、それは人の姿をしていた。



天馬「う……宇宙人!?」



   オープニング




 新展開にふさわしく、オープニングも装(よそお)い新たになった。オープニングテーマ曲「地球を回せっ!」を歌うのはいつも通りのT-Pistonz+KMCだ。今度の敵は宇宙人、それもエイリア学園のような「なんちゃって宇宙人」じゃなく、正真正銘のモノホンの宇宙人だ。アホほどでかい存在であっても「宇宙人だから」の一言で解決してしまう。ヒゲが濃いとかそういう細かいツッコミもアホらしくなってしまう。考えたな日野社長。



 おおっと、第1話で泣いて帰ったはずのピカチュウの姿がチームメンバーの中に!? これは西園信助(CV:戸松遥)が復帰するということなのだろうか。



 そして何とここではあの暴れん坊のお肉、ザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)っぽい選手の姿が!? 菜花黄名子(CV:悠木碧)っぽい好葉との絡みはあるのか?



 地球代表として地球を飛び出して戦う彼らの新展開。仲間が2人増えたのは大きな変化だが、天馬の手に立っているマスコットキャラっぽい存在にも注目。可愛い外見だけど、この生き物は何者なのだろう。果たして敵か味方か? フェイ・ルーン(CV:木村亜希子)という前例があるからにわかに味方と信じきれないという。





 宇宙船は未だ試合会場を覆(おお)うような形で中空にとどまり続けていた。


 その宇宙船から降り立った青い髪の少年は、恭(うやうや)しく頭を下げて地球人とのファーストコンタクトを図る。


宇宙人の少年「おめでとう地球代表の諸君……」


 少年は【グランドセレスタ・ギャラクシー】の予選を突破した存在としてのイナズマジャパンの健闘を称える。だが天馬たちはそのような大会にエントリーした覚えはない。わけが分からず仲間うちで視線を取り交わすイナズマジャパン。

 だが彼の語った言葉の中で理解が可能で、それでいて聞き捨てならない一言があったことを、剣城京介(CV:大原崇)と神童拓人(CV:斎賀みつき)が気付く。


神童「今、確かに……」
剣城「……俺たちを『地球代表』と言ったのか!?」


 少年はそれを肯定し、イナズマジャパンが単なる日本代表などではなく、この青い星全体の代表であることを告げる。天馬はそれを聞いて黒岩の方に向き直る。きっとこれは黒岩の方では話が通っており、自分たちにはそれが秘されていたのであろう。

 少年は天馬のその態度から、彼らが何も聞かされないままにアジア予選(とやら)に臨んでいたことに思いが至り、やや呆れたように肩をすくめる。


瞬木「瞬と雄太をどうした!?」

 瞬木にとってはわけの分からない話より、眠らされた弟たちの心配が勝る。天馬も観客たちに何か小細工を弄(ろう)した宇宙船の動きに対して厳しく詰め寄る。瞬木に対し、少年はわけあってただ眠らせただけと語る。

 なぜそのようなことをする必要があったのか? 当然ながらそれを問いただす天馬たちに対し、その返答をするのは少年ではなかった。

 その役割を引き受けるのは豪炎寺修也(CV:野島裕史)だった。彼は真相を語らずに天馬たちを戦いに向かわせたことを詫びる。



「すべてを話そう、今何が起こっているのかを!」


 豪炎寺は3か月前に月が姿を消してしまった事件について語り始める。天馬たちはその件を知っていたが、我々視聴者は初耳なんだけどな。

 とにかくこの世界では月消失事件はメジャーな話らしい。地球と月の間に塵(ちり)のような物質が発生して見えなくなったというのが表向きの理由だったが、実はそれは本当の理由を隠すためのニセ情報だった。


 少年が真相を得意げに語り出すのを、豪炎寺は忌々(いまいまい)しげに見つめる。3か月前に日本サッカー協会会長である豪炎寺の居室を訪れた少年は、唐突に18万8千光年離れた銀河で行われるサッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】へ地球人の代表を出場させることを強制する。

 いきなり何を言っているのかと豪炎寺は取り合わない。春になるとよく出てくる痛いタイプの人間に対する模範的な対応を見せる豪炎寺は、少年の言を馬鹿げた戯言(たわごと)だと一蹴する。少年は参加を拒(こば)めばこの星が滅ぶと脅しをかけるが、元より少年の言葉を信じていない豪炎寺にそんな脅しは通用しない。少年は心底失望したというような表情で肩をすくめ、豪炎寺が信用せざるを得ない状況を見せようと計らう。



 夜空がよく見える公園に豪炎寺を招待した少年。頭上には満月が美しく輝いていた。



 少年を信じてなかった割には付き合い良いな、豪炎寺さん。


 少年は指を一本立てる。光り出したその指先にはボールが一つ浮かび上がる。そのテクノロジー見せただけでもう、お前が宇宙人という証明になってるんじゃないのか?

 まだ手品だと疑われることを恐れてか、少年は何もそこまでせんでも良いのに……と言いたくなるような蛮行(ばんこう)に手を染める。回転しながら蹴り出されたボールは一直線に月をめがけて飛んで行く。

 そしてこの後の展開をよく見ていろと視線で豪炎寺に目配せする。ボールは何と宇宙空間に飛び出し、月軌道に達する! そこでボールは月を覆うように何らかのエネルギー波を発し、ついに月を目視できなくしてしまう。ちなみに地球から月までは38万kmで、ボールはそこまで数秒で達している。5秒で到達したとして、少年の放ったシュートは時速換算で2億7360万km/h。光速の4分の1強のものすごいスピード。


 豪炎寺の見ている前で月がその姿を没(ぼっ)して行く。輝いていた満月は見る影もなく、夜空は真の闇に包まれてしまった!


少年「お前たちが『月』と呼ぶこの星の衛星は、我々の特殊な兵器によって消し去られた……」
豪炎寺「……なんてことを!」


 自身が痛い子扱いしたせいで月が消されてしまうという重大事に陥(おちい)り、さすがに豪炎寺は少年の言葉を信じざるを得ない。

 少年を睨みつける豪炎寺だったが、少年はその姿を一瞬にして消し去る。そして豪炎寺の後方に姿を見せた少年は、大きな重力圏にあたる月を失った地球の地軸が徐々にズレていくことを楽しげに語り出す。地軸がズレれば大地震や気象の大きな変動など天変地異が巻き起こり、地球に住まう全生物はやがて滅亡してしまうだろう。

 その運命から逃れる唯一の方法は、この事態を招いた彼ら宇宙人の力を借りること……絶対に拒否することが出来ないお膳立てを用意され、豪炎寺は拳を握り締めて悔しさを表現する。

 こうなっては彼らの言うサッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】に参加して勝利を収めるしかない!



 事ここに至って、この問題はもはやサッカー協会会長をもってしても一存で決めてしまうには荷が重すぎる問題となる。豪炎寺は日本の最高権力者、財前宗助(CV:中村悠一内閣総理大臣の元を訪れる。

 そして現状を説明した後、改めて豪炎寺はこの事態の収拾を自身に任せて欲しいと訴える。財前総理は事態の重さに逡巡(しゅんじゅん)しつつも、豪炎寺の手腕を信じてその意向を許可する。



 財前総理と豪炎寺は少年を世界会議議場に伴(ともな)う。おそらく在前総理の計らいなのだろう。月を消した件(くだん)の少年は堂々と議会の上段中央に座して、自らを銀河連邦評議会からの付託(ふたく)を受けてこの辺境の星にやって来た存在……「(地球人から見て)異星人」だと語る。



 少年、ビットウェイ・オズロック(CV:津田健次郎)。少年とは思えない怜悧(れいり)で大人びた雰囲気を醸(かも)し出す。声も渋い。そのキック力はサッカーボールを月軌道上まで飛ばすという反則クラス。並のキーパーが止めようとしたら間違いなくマミってしまうであろう。


 動揺する世界の代表議員たちを豪炎寺が収める。喧騒をよそにオズロックは得意げに話を続ける。彼の言によるとこの地球から18万8千光年離れた宇宙に【ファラムディージェ】という太陽系があるという。

 その太陽系には【ファラムオービアス】という、地球と同じように知的生命体が棲む惑星がある。だがファラムオービアスは突如出現したブラックホールによって滅亡の危機に瀕しているらしい。

 星の住人は生き残るため、今棲む星を捨てて新たな安住の地を求め他の星に侵略戦争を仕掛けた。だが戦争という手段は生き残る上で賢い戦略ではないことを知的生命体たる彼らが知らぬはずはなかった。

 銀河連邦評議会はファラムオービアスの住人に対し、別の解決策を提案した。ブラックホールというどの星に対しても訪れ得るであろう災厄(さいやく)を公平に解決するため、平和な星についてもその所有権を賭けて戦い、勝ち取るという提案を。


 その言葉を聞いて議会議員が気色(けしき)ばむ。その星が不幸であってもそれはその星の運命であり、地球は関係ないという当然の言い分であった。だがオズロックはその意見を愚論だとして一蹴する。ファラムオービアスは銀河一の科学力と軍事力を持った星であり、逆らうことなど出来ないと語る。銀河連邦も彼らに配慮して最大限の交渉を重ね、何とか落ち着かせたのがこのラインだと言うのだ。この提案が嫌なら「銀河系最強の星との戦争をどうぞ戦ってください」と言うことか。



 平和的かつ公平な解決策、それがその星の住人の身体能力で白黒を着ける方式であり、サッカーによる決着法がそれにあたるというのが銀河連邦評議会の出した結論らしい。それにしてもさすがは本物の宇宙人たち。エイリア学園の時と違ってそのデザインに妥協がない。


 銀河を巻き込んだ惑星間サッカー大会、それこそが冒頭オズロックが語った聞き慣れぬ名称【グランドセレスタ・ギャラクシー】の実相なのだ。




 具体的には、サッカー対決に敗れれば、自分たちの星を明け渡して相手の星人のものとされてしまうという話だ。平和な地球に安閑(あんかん)と過ごして来た地球人にとってはあまりに唐突で、かつとんでもない話なのだが、オズロックの態度からしてそれは許されないことらしい。

 大会上位の星から順に好きな惑星を獲(と)っていくというルールを、オズロックは淡々と語る。もちろん絶滅の危機に瀕しているファラムオービアス代表チームもこの大会に出場する。彼らは自分たちの運命が危急存亡(ききゅうそんぼう)の時であることを自覚している分、文字通り死に物狂いでこの大会に賭けているであろう。間違いなく優勝候補の筆頭だ。


 このルールを聞いて、最下位にさえならなければとりあえず滅亡することは無いという一縷(いちる)の期待を抱いた議員がそう発言する。

 だがその淡い期待はオズロックの次の解説によって打ち砕かれる。



 銀河系すべての惑星を合計しても、知的生命体が快適に生きられる星の数は限られている。超巨大な惑星であるファラムオービアスの全住人が移住するには、全惑星のほぼ99%までを明け渡さないと不可能だというのだ。


 つまり地球人が地球を明け渡さずに済むには、優勝するしかないということだ。ファラムオービアスが優勝してしまえば、同時にほとんどの惑星が彼らに占領されてしまうこととなる。

 さらに地球人の表情にタテ線を浮かべるような嫌な情報がオズロックの口から聞かされる。その問題のファラムオービアス代表チームが、すでに行われている別ブロックの戦いにおいてすでに決勝トーナメント進出を決めているというのだ。


 サッカーの戦いに敗れれば問答無用で地球は侵略されてしまう。この理不尽さに議員は怒りを爆発させるが、オズロックはいきなり侵略されてしまうよりは生き残る可能性のある現行ルール、【グランドセレスタ・ギャラクシー】に感謝してもらいたいとシニカルに語る。



「すべての星に(生き残る)チャンスが与えられたのだから」




 ……………

 3か月前からここまでの出来事を聞かされ、天馬たちはそのあまりに壮大な話に声もない。宇宙人が襲来し、自分たちに地球代表となって地球の運命を賭けて戦えというその話はとてもまともな感性では受け入れられない話であろう。

 出場しなければ地球は滅び、仮に出場しても負ければ地球は侵略される。いきなり降って湧いたその責任の大きさに、天馬たちは動揺の色を隠せない。

 もはや隠すことの無くなった豪炎寺は、その大会に出場して優勝するためにイナズマジャパンを結成し、天馬たちを招集したのだと語る。


豪炎寺「地球代表【アースイレブン】。それがお前たちだ!」


 チームの正式名称の中にチームの果たすべき正式な使命が内包(ないほう)されていた。今後イナズマジャパンはアースイレブンとして本来の姿を取ることとなる。ただやはり天馬たちはまだその心の受け入れがままならない。



「俺たちがアースイレブン!?」


 短気な井吹宗正(CV:鈴木達央)が自分たちはあくまでも世界大会に出場したわけであり、そのような大それたものと関わっていたわけではないと怒りを表出する。

 それを聞いてオズロックは楽しそうな表情で、天馬たちが参加していたつもりのFFIV2アジア予選が、実際は【グランドセレスタ・ギャラクシー】の予選Aブロックであったことを告げる。

 つまりここまで彼らがアジアの敵と思って戦って来たチームはすべて別の星の代表選手であったということだ。そう聞けば韓国代表が試合後に溶けていたりオーストラリア代表の血管がボコボコうねっていたりタイ代表の目が異様に光っていたことなどが一気に説明がつく。

 そしてウズベキスタン代表のストームウルフの選手たちはまさに天馬たちの目の前で宇宙人であるその姿を現したわけで、オズロックの言葉が真実である何よりの証明となっていた。

 
「やっぱりそういうことだったんですか……」

 この大会に大いなる秘密があることをデータから確信していた真名部陣一郎(CV:野島裕史)はこの衝撃の真実に対してもあまり驚かない。自身が抱いていた違和感を裏付ける事実が明らかになったことを淡々と受け入れる。彼にとっては数学的データこそが何よりの信ずるべきものであるという矜持(きょうじ)であろう。


 だが他のメンバーにとっては驚くべき話である。異星人とサッカーで戦っていたことを今さらながら知り、鉄角真(CV:泰勇気)や野咲さくら(CV:遠藤綾)、九坂隆二(CV:岡林史泰)は絶句し、好葉はその得体の知れない恐ろしさに震え出す。あの時試合した相手が実は宇宙人だったと聞かされれば、誰だって怖くなるよな。

 真名部は数字的なデータでは実際の選手と何者かが入れ替わっていた事実を認めるのだが、異星人という概念がその解となることに関しては納得がいかないようだ。それを真名部よりは柔軟な発想の皆帆和人(CV:代永翼)が諌(いさ)める。



真名部「しかしこんな解答ナンセンスです!」
皆帆「いや、常識に囚われていては決してたどり着けない真相……面白いよ♪」


 アジア予選改め、【グランドセレスタ・ギャラクシー】Aブロック予選突破を果たしたイナズマジャパン改め、アースイレブンの面々に、オズロックは本戦出場への準備をするよう言う。大会に参加するための準備、それはつまり18万8千光年の彼方(かなた)への旅路でもある。


 いきなり宇宙に連れて行かれるということに、またもメンバーは動揺する。好葉などは泣き出してその場にしゃがみこんでしまう。まぁそりゃそうだよね。光の速さですら18万8千年かかる距離の場に、しかも地球人類全員の運命を背負って戦いに向かわなければならないなんて。即断でホイホイ行くと返答する奴の方がおかしい。


 だがそのような心の動揺など、オズロックには関知するところではない。要件を済ませた彼は来た時と同じように宇宙船の中に姿を消す。と同時にあの巨大な体躯(たいく)で空を覆い尽くしていた宇宙船もその姿を消してしまう。

 さらに彼らが仕掛けた光による催眠効果も解けていく。観客たちは何が起こったのかよく分からないまま、首を傾(かし)げて身体を起こす。すべてが元に戻っていく。瞬と雄太にも催眠の影響は残されていないようで、瞬木は安堵(あんど)する。


 まるで白昼夢を見ていたような現象だった。だがストームウルフの選手たちの姿がフィールドから無くなっていることを考えれば、先ほどの出来事はすべてが実際に起こったことだったと考えるべきだ。マネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)は事実が事実であることを確認するかのように天馬の名をつぶやく。


みのり「相当混乱しているようですね」


 天馬たちの姿を見ながら、みのりは面白そうに黒岩にそう告げる。黒岩はそれに反応せず無言のまま立ち上がる。



 激しい雷雨が降り荒(すさ)んでいた。合宿所に戻った一同はミーティングルームに結集する。神童は空の荒れように同調するかのように机を激しく叩いて起こった事象に反発する。豪炎寺も、黒岩も、このことを知っていたまま黙って自分たちを戦わせていたことが許せなかったのだ。



 黒岩は本当のことを知ったとして、異星人を相手に動揺せずに戦えたのかと逆に神童に問う。鬼道有人(CV:吉野裕行)が黒岩に助け舟を出すように、我々全員の判断で事実を隠していたことを説明する。

 地球の命運を賭けて戦うなどという選手の動揺を誘うような本当の話など出来ようはずもない。そしてそれはチームを率いる監督ですら同じだ。だがそこに現れたのがこの諸条件をクリアできるただ一人の適任者……。


神童「噂は本当だったんですね……」



 黒岩の正体が、サッカー界を闇の力で支配しようとした影山零治であるということがここで完全に明らかとなる。第1話で鬼道が言っていたから、もうこれに関しては「何をかいわんや」なんだけど。ただ天馬たちはその事実に驚愕する。サッカー界に籍を置く身なら、影山の名は知らないはずはないのだろう。



 豪炎寺はこの問題に対処すると決まった時から、まずチーム作りの第一歩である監督選出に悩んでいた。上記のとおり、適任者がいなかったからだ。自分自身でも、鬼道でも、あの円堂守(CV:竹内順子)ですら候補者としてふさわしくはなかった。

 暗い執務室で頭を抱える豪炎寺の元を訪れた人物。やって来た男、影山こと黒岩は事態を理解していることを述べ、その上で監督を引き受けることを宣言する。黒岩が開いたドアから差し込む光が豪炎寺には希望の光明に見えたかもしれない。



 黒岩はイタリア代表監督を務めていたとき、心臓が停止するほどの重傷を負った。だがその後に蘇生措置(そせいそち)が施され、一命を取り留めたという。医師たちの功名心(こうみょうしん)から、認可されてはいない薬物を使用するというタブーが結果的に黒岩の命を救った。彼はその後10年間、死んだ人間として身を潜めていた……


 地球の命運を賭ける戦いを率いることが出来る監督は死の淵を見つめるという経験を持ち、10年もの間雌伏の時を経た黒岩しかいなかった。


 神童はその経緯を理解した上で、なおこれまでと同じ疑問を黒岩にぶつける。なぜこのメンバーを日本……いや地球代表に選んだのかという疑問だ。サッカーに関しては素人だった者を8人も選出したという、その真意を問うたのだ。

 剣城も現在選ばれているメンバーの潜在能力の高さを認めつつも、この場にいる選手以上に高い能力を持った選手がいたであろうことを告げ、このメンバーに落ち着いた理由を尋ねる。彼の脳裏には白竜(CV:福山潤)の姿があったことは間違いないだろう。

 黒岩は熟考するが、天馬からの後押しもあり、その重い口を開く。事がここに至り、すべてを語ることが必要だと彼自身も考えたのかもしれない。



 黒岩は、死に直面した10年前の出来事以来、他の人間には見えないものが見えるようになったと語る。


黒岩「それは人の中に眠る『獣』だ!」


 闘争心とかそういうものではなく、ボンヤリながらも確かにケモノとしての姿が見えると黒岩は語る。それがこの星に生きる生物だけが持つ遺伝子(DNA)であり、地球人特有の能力であることに気付いた黒岩は、その特有の能力を駆使すれば他の星の異星人たちに対抗できるのではないかと考えたのだ。この「獣を見抜く」能力が、黒岩が監督になったもう一つの理由であろう。


 そこまで聞いて、天馬はストームウルフとの試合中に好葉が出した動物のようなオーラの姿を思い出す。



 それが古来より【精霊】と呼ばれる存在であることを鬼道が説明する。黒岩はそれが好葉のDNAに眠る力の覚醒であり、それが顕在化し始めたのだと語る。

 好葉は他の星の遺伝子を持つ存在(あの場合ストームウルフの選手)と接触することでDNAにある防衛本能が喚起され、獣の力を目覚めさせようとしているのだ


好葉「ウチの中の……ケモノ!?」


 そしてその獣の能力は、黒岩が選出した11人全員が持っている。それを見極めることが出来る黒岩がそれを対抗手段としての基準として選手を選出したのだから、ある意味当然だ。

 天馬は自身の手を見つめ、そのような能力が自分に秘められているということを想像する。これまで考えたこともない「獣の能力」……。まだ見ぬ異星人を相手に戦うにあたって、その能力が鍵となることは確実だ。


 神童はこれまでとは別次元に重い責任を考慮する。日本代表として戦った時も責任感はあった。だが敗れたからといって日本人が滅亡するというような重みがあったわけではない。それが今度は負ければ全人類が滅亡するというのだ。この重みに耐えることが出来るのか? 彼らがまず最初に戦わなければならない敵とは、その圧倒的に重いプレッシャーであろう。

 どうするべきなのか、それを天馬に問う神童。負けるわけにはいかない、それでいて、拒否することも出来ない無情な戦い。それに仲間を導くのは、やはりキャプテンである天馬の決断にかかっている。みんなが固唾(かたず)を呑んで見守る中、天馬はその困難な決断を果たすべく拳を握る。



「サッカーで地球を救えるなら、俺たちのサッカーが地球の希望になるなら行くしかないよ! 宇宙へ!!」



 その言や良し。神童は我が意を得たりとうなづく。剣城も皮肉っぽく笑いながらも天馬の決意に同意する。だが、その他のメンバーたちは……?

 まだ不安いっぱいの表情を浮かべる仲間たちに、天馬もいつもの根拠なき激励の言葉「なんとかなるさ」は言わない。でもみんなと一緒に何とかする道を探したいと正直に言う天馬の言葉は、仲間たちの心に深く響いた。



黒岩「お前たちに求められるのは勝利し続けることだ!」


 今まで仕事しなかった分を取り戻すかのように饒舌(じょうぜつ)になった黒岩は、あえてプレッシャーのかかる言葉を使う。

 神童は11人カツカツのこのメンバーだけで地球を背負って戦わなければならないのかと意見する。黒岩はそれに関しては珍しく神童の意見に寄り添うように、対策を取っていることを告げる。

 補充メンバーの存在! 合宿が始まった際には神童の同様の意見を却下したはずの黒岩がここで補充メンバーを用意していたのはなぜなのだろう? まぁ黒岩のおメガネに適(かな)う獣の力の持ち主がここまで見つからなかったという考え方も出来るだろう。


 そこにドアを開けて入ってくる人物。それはあの懐かしの円堂だった。



 心から信頼できる存在としての円堂という立場を示してあまりある光景。だって全員が笑顔になってるもん。


 この登場の仕方からして、補充メンバーとは円堂のことかと思い込む天馬。私も一瞬そう思ったからな。だがそうではなかった。円堂は笑ってそれを否定して、補充メンバーを紹介する。おそらく黒岩の指示に従って円堂が探して来たのだろう。第1話で携帯電話で連絡を取り合うという伏線がここで回収された感がある。

 礼儀正しく直立不動になったその人物は入室するにあたって見た目に能(あた)わず、これ以上ないほど丁寧な言葉遣いで挨拶する。



 市川座名九郎(CV:小西克幸)。どう考えても無理がある。黒岩が影山だったことよりも無理がある。単なるザナークじゃねぇか!! ただこの落ち着いた物腰はあの「暴れる肉塊」、ザナーク・アバロニクにあるまじき姿だ。私、九坂がザナークのご先祖っぽいと思っていたんだけど、こんなあからさまなキャラが出て来るとどうしてもこっちがザナークのご先祖様だよなぁと思える。

 ( ˘⊖˘)。o(待てよ、九坂とコイツがくっつけば、両者の子孫と言えるのでは!?(男同士で子孫は産まれません)




座名九郎「皆様と共に、サッカーをやらせて頂くことになりました」


 この顔でこの声でこの丁寧さは前作を知る身としては正直言ってキモいのだけど、座名九郎は深々と頭を下げて再度丁寧な挨拶をする。天馬は座名九郎を見て、どこかで見たと頭の隅(すみ)の記憶に引っかかる様子。ていうか気付けよ。あれだけアクの強かった未来人のことをきれいさっぱり忘れるんじゃない!


 とにかくアースイレブンに12人目の仲間が加わった。市川座名九郎、その実力のほどは如何(いか)に? ……まぁそのグレートマックスな姿とオープニング映像からものすごい実力の持ち主であることは想像がつくのだが。



 次回に続く。



  エンディング




 エンディングテーマ曲「ファッション☆宇宙戦士」は何と葵ちゃんとみのりの、ダブルマネージャーデュエット! 日頃ダウナー系のみのりがノリノリで歌うこのエンディングは必見。ヘビメタチックな曲調は前回のエンディングテーマと同じく面白い外人さん、マーティ・フリードマンの手による作曲。このシーン、正座する座名九郎がキモい。星座と引っ掛けてるのだろうか?



 座名九郎て……

 座名九郎て!



 最後に登場して視聴者のハートを全部持って行ってしまった憎い奴、市川座名九郎は言うまでもないが前作『イナズマイレブンGO2 クロノ・ストーン』で敵に味方にと大活躍したトリックスター、ザナークをオマージュしたキャラなのは間違いないだろう。ある意味ザナークの再登場を願っていたわたし的には嬉しいキャラなのだけど、ならフェイや黄名子も復帰させて欲しいやんね!

 botのネタでも使ってるんだけど、黄名五郎(きなごろう)とか笛一郎(ふぇいちろう)とかいう名前でも良いから復帰させて欲しいやんね!



 座名九郎もそうだけど、敵が宇宙人という展開になって本当に日野社長やりたい放題感が半端ない。年齢詐称キャラが出ようが、性別詐称キャラが出ようが、「これは宇宙人ですから」の一言で済んでしまうという無敵展開。



 オープニングでは今後の色々なネタバレというか、今後の展開を示唆するようなシーンが描かれていた。天馬と剣城の2人がそれぞれ異星人の女の子となんらかのロマンスがあるような姿が見られた。イナクロでは神童がお勝(CV:高垣彩陽)さんとのロマンスがあったように、イナギャラではこの2人の1年生にそういう話が描かれるのだろうか? 天馬は葵ちゃんとの仲を進展させなさいという気もするが。



 今回登場した恐るべき存在のビットウェイ・オズロック。彼の言い分はやはり無理強(むりじ)いな印象を否めない。星間のすべての出来事について調停役をするべき存在である銀河連邦評議会としては正論だろうとは思うけど、これはやっぱり理不尽だよね。参加しないと言ったら月を消して脅しをかけるとか、カタギのやることじゃない。

 ただ逆の立場になって考えたい。我々の地球がブラックホールの脅威に晒された時、何とかして生き残りたいと考えるのは人情であろう。そんな時に生き残る手段を提案してくれれば、我々だって飛びつくはずだ。そう思えばファラムオービアスの人間やオズロックのような調停役だって無碍(むげ)に悪い奴らというのも難しくなる気がする。



 最終的にはうまい形で大団円になるのだろうけど、天馬たちが勝つことでファラムオービアスの人間が苦しむということにもなるはずだ。その辺の葛藤なんかも描かれるんじゃないかな? 天馬と剣城がロマンスしそうな女の子たちが実はファラムオービアス星人だとか……。おお、ロミオとジュリエットっぽい。



 さて新展開の解説に終始した今回はこれで終わり。実質の新章初回となる次回はまたも新しいメンバーがアースイレブンに加わることとなる。



 新しくも懐かしいキャラ。信助の参戦だ。でも信助に獣の能力が備わっているとして、どうして最初の段階で落とされてしまったのか? その辺の秘密が次回では描かれることになるのだろう。



 剣城の兄、剣城優一(CV:前野智昭)の姿も。彼はまだリハビリ中だし、チームに加わるという形での登場ではなさそう。遠い宇宙の果てに赴(おもむ)く弟の見送りという立場であろうか。



  次回「行くぞ!宇宙へ!!」に続く。



人気ブログランキングへ
 ↑ 最後まで読んでくれてありがとう。「俺たちのブログが地球の希望だ!」(今日の格言・天馬風)というわけで記事が面白かったと思われましたら、毎日クリックして頂けると嬉しく思います。んな訳ないのは百も承知ですけど。



ガチで勝とうゼッ!  (SINGLE+DVD)
T-Pistonz+KMC
FRAME (2013-06-19)
売り上げランキング: 44,783

勝手にシンデレラ (CD+DVD)
COLORS
FRAME (2013-07-03)
売り上げランキング: 25,537

イナズマオールスターズ×TPKキャラクターソングアルバム「感動共有! 」
イナズマオールスターズ
FRAME (2013-08-14)
売り上げランキング: 1,297

バオー 来訪者 (集英社文庫―コミック版)
荒木 飛呂彦
集英社
売り上げランキング: 1,572