『イナズマイレブンGOギャラクシー』第32話「緑の惑星ラトニーク!」の感想 【さくら、真名部がソウル覚醒!】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第32話「緑の惑星ラトニーク!」を観ての感想を書く。砂、水、炎と来て次の戦地のシンボルカラーは緑の木となる。これはイナズマシリーズの特性「火、山、風、林」によく似た4つのチェックポイントに思われる。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第31話「ダブルソウル!井吹と神童!!」の感想 【惑星ガードン編終了!】
 をご覧ください。

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 星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦3回戦で松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は【惑星ガードン】との戦いに勝利を収める。


 理念の違いから東と西の種族に分離していたガードン人たちも和解がなる。西の族長、アルベガ・ゴードン(CV:高口公介)は敗北はしたもののその後の銀河系すべての運命をアースイレブンに託して、秘宝である赤い石「紅蓮の炎石」を天馬に預けた。

 グランドセレスタ・ギャラクシーという過酷な戦いを勝ち抜くにあたって欠かせないソウルの力も、鉄角真(CV:泰勇気)、神童拓人(CV:斎賀みつき)、井吹宗正(CV:鈴木達央)の3人が覚醒、獲得するという大団円のガードン遠征行であった。


 だが水川みのり(CV:高垣彩陽)の身体を借りて生存しているポトムリ(CV:三木眞一郎)は、宇宙の運命を救うという役割を自分ではなく天馬に託したカトラ・ペイジ(CV:上田麗奈)の姿を見て動揺する。

 落ち込むポトムリだったが、カトラが生きていたことを確認した彼は、これまで頑なに認めようとしなかった天馬が語っていたことを事実と認めるに至る。



「しかし(カトラ姫は)なぜ君の前に現れた? ……私ではなく……なぜ?」


 事実は事実として受け入れるものの、その事実がどうしても納得いかないポトムリは、なおもカトラが自分ではなく天馬を選んだことを疑問に思っていた。

 カトラが宇宙の命運を任せたのは天馬だった……ポトムリは悲しげな表情を浮かべ、その意識をみのりの中に閉じる。



 心の動揺、そして人形からではなく生身の人間からのビジョン投影は体力を奪うのだろうか、ポトムリの姿が消えたとたん、みのりは意識を失って倒れこむ。天馬はそのみのりではなく、先ほどまでポトムリが映っていた窓に視線を向け、その思いを想起する。



   オープニング



 天馬たちが次の惑星に向かっていた頃、アースイレブンと敵対するファラム・オービアスよりの刺客(しかく)、紫天王のリュゲル・バラン(CV:ランズベリー・アーサー)とガンダレス・バラン(CV:興津和幸)の兄弟はその目的地、【惑星ラトニーク】に先着していた。



 宇宙船の操縦もソツなくこなす兄に対し、またもベタ褒めする弟。それを心地よく受け止めつつ、それ以上言うなと弟を制するリュゲルという構図は、彼らが出演し続ける限り続けられるのだろう。


 2人が降り立った惑星、そこは生きるものが存在しないのではないかと思わせる、砂だらけの不毛な土地であった。どうやらここは目的地ではなかったらしい。

 ガンダレスは兄を怒らせないよう控えめに、ここが目的地では無いのではないかと進言(しんげん)する。だが日頃偉そうに振る舞っているリュゲルは兄の威厳を守るためにあえて高圧的な態度に出る。



リュゲル「なんだガンダレス? まさか俺がまた惑星を間違えたとでも言いたいのか?」
ガンダレス「違うよ〜違うよ、違うけど……」


 しかしやはりここが惑星ラトニークではないことをリュゲル自身も認めざるを得なかった。

 リュゲルが「また」と言っていたことからも、彼の間違え(方向オンチ?)が繰り返されてきたことが想像できる。ガンダレスはこんな兄をよく尊敬できるよな。



 【ギャラクシーノーツ】号の自室では、天馬がここまでに得た3つの希望のカケラに見入っていた。そこにマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)と親友の西園信助(CV:戸松遥)がやって来る。

 一週間に一度の、地球との通信がつながったことを伝えに来たのだ。雷門中の懐かしい面々と会話できるという状況に2人はこぞって天馬も一緒に行こうと誘う。

 だが天馬はこの戦いに勝利して帰るまで誰とも話さないという誓いを立てていた。繰り返される拒否の姿勢に葵と信助は残念そうだ。


???「そういうの、意味あるのかな?」


 そう言って天馬たちの会話の中に割って入ってきたのは、瞬木隼人(CV:石川界人)だった。他者との距離を保ってきた昔の瞬木だったらこんなおせっかいは言わなかっただろう。ズケズケと物を言うようになったところはあるが、今の瞬木は裏表のない忌憚(きたん)のない意見を言うところが良い。

 その言葉に援軍を得た思いの葵と信助は、改めて天馬を通信機での通話に誘う。強引に信助に手を引かれ、天馬はやむなく以前の誓いを反故(ほご)にする。



 久しぶりに顔を合わせる雷門イレブン。旅立ちの際には姿が見えなかった瀬戸水鳥(CV:美名)と山菜茜(CV:ゆりん)の姿も見える。



 一方、アースイレブンの方も天馬が来たので一同が勢ぞろいした。剣城京介(CV:大原崇)だけはニセモノだけどな。彼らは地球旅立ちの際、雷門イレブンとサッカーで戦った仲だ。一度でもサッカーで対決すると真の友になれるということは、その後のグランドセレスタ・ギャラクシーでの敵だった惑星の人たちをみれば理解が可能だろう。


 ホームシックになったんじゃないかといつものシニカルな言い方で再会を喜ぶ狩屋マサキ(CV:泰勇気)。信助の密航が今の地球での彼らのトレンド情報となっているらしい。狩屋も密航したかったと軽口を叩き、井吹がそれを混ぜっかえす。

 倉間典人(CV:高垣彩陽)から次の対戦相手への勝算を聞かれ、九坂隆二(CV:岡林史泰)と鉄角は力強く勝利を約束する。

 錦龍馬(CV:岩崎了)、霧野蘭丸(CV:小林ゆう)からもエールが贈られ、蘭丸の親友である神童はチームのまとまりをキャプテンの頑張りに起因すると天馬のキャプテンシーを褒める。

 勝つまで顔を見せないと言っていた天馬を、皮肉屋の倉間は叱りつける。三国太一(CV:佐藤健輔)もそれを受け、天馬にはもっと肩の力を抜けとアドバイスする。

 宇宙を救うという個人で抱えるにはあまりに大きな目的を課せられた天馬にとって、その言葉はとても価値のある一言であった。肩から重圧が抜けていくと感じた天馬は、通信機の前に来て始めて自然な表情で笑う。


水鳥「マネージャーも頑張れよ!!」


 マネージャー間のエールも贈られる。水鳥からそう叱咤激励(しったげきれい)され、葵は明るく返事をする。茜も何か言えと水鳥に急(せ)かされ、宇宙に行きたかったとやや的外れな言葉が手向(たむ)けられる。茜のこの気持ちは彼女がSF3級で宇宙にも興味があることと、あとは恋い慕う神童と一緒に旅に出たかったという思いの表出なのであろう。


 そこまで来て、画像にノイズが入る。通信の限界時間である10分が訪れたのだ。天城大地(CV:奈良徹)、車田剛一(CV:野島裕史)からも見た目通りの力強い応援を受け、天馬は心からの援軍を得た気持ちになる。

 距離は何万光年と離れていようと、サッカーが繋いだ雷門イレブンとアースイレブンのこの友情だけは不断不変のものだった。



 一方、久々のファラム・オービアス本星では、本物の剣城が街を歩きながら思案に耽(ふけ)っていた。そこに女王、ララヤ・オビエス(CV:高垣彩陽)の名を語りながら言い争う声が聞こえる。剣城は物陰からその様子を窺(うかが)う。

 声の主は近くの建物の中にいるようだ。その窓から見える顔、それはララヤの側近として侍っていた老婆、ルーザ・ドノルゼン(CV:美名)だった。

 ララヤがスラム街に見る施策に大いに不満を抱いていると部下からの報告を聞いたルーザはそれを一笑に付(ふ)す。亡き国王に似た地球人(剣城)から何かくだらない入れ知恵をされたのだと決めつけたルーザは、ララヤと剣城を政治の表舞台から消えてもらうと恐ろしい本性を現す。

 国王親政のファラム・オービアスにおいて、ルーザのこの考えは言うまでもなく反逆罪だ。部下がそれを心配するが、ルーザはララヤが病に伏せたと偽りの布告を出してその実、彼女を監禁してしまおうと画策していた。



 ルーザ。悪い顔やで。どうやら紫天王を含め、ファラム・オービアスの悪い面はすべてがこの女の野望の元に動かされている作戦のようだ。ブラックホールの発生で宇宙が混乱する状況に乗じて実権を握り、支配者になろうとしているかに思われる。余談だがこの悪い老婆の中の人が水鳥ねえさんと同じというのは結構な驚き。


 その計画を剣城に聞かれたことに気づいても、その顔に動揺の色は見えない。ララヤがお飾りにされていた間、ルーザの実権はそれほどまでに強大になっていたのだろうか。その悪の手がララヤに、そして銀河全体に忍び寄る! 果たして剣城はララヤを救うことが出来るのだろうか?



 王宮にて剣城はララヤに事の子細(しさい)を伝える。ララヤはずっと自身を支えてきたルーザが裏切ろうなどとは夢にも思わず、剣城の言葉にもにわかには耳を貸そうとしなかった。

 だが剣城はルーザが野望を果たすためにララヤに取り入っていたのだと告げ、その結果があのスラム街の悲惨さに繋がっていることを示唆(しさ)する。お忍びの視察でその惨状を目の当たりにしたララヤは、そう言われて返す言葉がない。

 剣城は反逆の手がララヤに迫っていることを告げ、先んじてルーザを逮捕するように指示を出す。だが、遅かった。ルーザの動きは思っていた以上に早かったのだ。彼女の手先の武装兵士たちが王宮内になだれ込み、彼女を捕らえにやって来たのだ。



 兵士たちの後ろから現れたルーザは勝利者の笑みを浮かべ、女王は休みを取られると方便を述べてララヤを政治の舞台から退場させる旨を明かす。



 そしてララヤの反論など無かったように兵士たちに命じ、ララヤと剣城を捕らえさせる。この退場劇はおそらく完遂(かんすい)してしまうと永遠のものとなってしまうのは歴史の常識だ。監禁され、事の遅早はあれど、命尽きるまで二度と日の目を見ることはない。こういう時にミネル・エイバ(CV:佐藤健輔)は傍にいないし……ミネルは紫天王の一角だからもしかしたらルーザの側についてしまうかもしれないけど。


 自身を裏切っていたのが側近中の側近であり、しかも今まさに自分自身をも排除しようとするルーザの態度にララヤは激しい怒りを抱く。だが時はすでに遅かった。剣城に事の次第を盗み聞きされてもルーザが動じなかったのは、すでにここまで計画が進んでいたからであろう。



 ファラム・オービアスでの政変など知ることもなく、ギャラクシーノーツ号は目的地である惑星ラトニークに到着する。


 そこでコーディネーターのイシガシ・ゴーラム(CV:遠藤綾)のビジョンからラトニーク人が虫の進化した種族であることを聞かされ、アースイレブンはさすがに驚く。爬虫類(サンドリアス)、鳥類(ガードン)はあったが、ついに虫とは……。



 虫と聞かされ、鉄角は訝(いぶか)しげだが真名部陣一郎(CV:野島裕史)はその潜在能力の高さを勘案すると侮(あなど)れない相手だと語る。皆帆和人(CV:代永翼)も彼を衝(つ)き動かす動機、興味があることに目を輝かせる。皆帆は虫人間とか興味あるんだろうか?


 葵や野咲さくら(CV:遠藤綾)といった女子陣はやはり虫が苦手だと苦笑いするが、森村好葉(CV:悠木碧)だけは虫が好きだと語る。

 短い命を一所懸命に生きる虫には、彼女は共感するものがあるらしい。動物が好きな好葉は虫にもその博愛精神を持っていたようだ。その彼女らしい優しさに、九坂は思わず微笑する。


 この星に4つ目の希望のカケラがあるかもしれないと、天馬は気を引き締める。4つ揃えることが出来れば宇宙を救えるというカトラの話を天馬は信じ、そんな天馬を葵や信助、神童らが信じていた。

 その信頼関係を、立場や理念上その輪に加われない剣偽とみのり(ポトムリ)は複雑そうな表情で見ていた。



 ラトニークでは、接近するギャラクシーノーツ号を見つめる人影があった。彼(?)はその船影を見て満面の笑みを浮かべる。



 緑の大自然に覆われた惑星ラトニークでは例によってイシガシが先着し、アースイレブンの皆を出迎える。虫から進化した種族の棲む星ということがあり、やはり葵とさくらは警戒感を隠せない。好葉は大丈夫だと請け合い、さらにイシガシもラトニーク人が非常に礼儀正しく穏やかな種族であることを告げる。



 ステーションの外で天馬たちは現地人、ラトニーク人と出会う。彼らは一斉にお辞儀をし、地球人をして驚かせるほどの儀礼に則(のっと)った歓迎の意を見せる。



 長旅を労(ねぎら)い、歓迎するチーム・ラトニークの監督、シムール・フェロモナ(CV:根本圭子)。なんと女性の監督だ。昆虫には女王アリや女王蜂など、指導者が女性の場合がまま見受けられるのでこれもありえる話なのだろう。


 試合前からのこの敵チームの歓迎は、これまでの惑星では見られなかったことだった。それは当然のことであり、グランドセレスタ・ギャラクシーの理念では負けた側は棲む星を失い、滅亡の憂き目に遭うわけだから。それなのにラトニークの人たちは選手を含めてそんな敵意を微塵(みじん)も見せることがない。

 その礼儀にはこちらも礼儀でもって応えなければならない。監督の黒岩流星(CV:佐々木誠二)も丁重に返礼を述べ、握手する。


 その瞬間、周囲にいた一般のラトニーク人たちが一斉に歌い出す。虫の特徴を活かした、楽器を使用しない見事なまでのハーモニーあふるる歌声に、これまで警戒していた葵やさくらもうっとりと酔いしれる。これは虫人間であるラトニーク人たちの最大限の歓迎の態度なのだろう。

 シムールは選手に案内をさせるので、自分たちの棲むこの星をよく知ってほしいと黒岩に恭(うやうや)しく告げる。その洗練された対応は、この宇宙でも指折りの礼儀正しさであり、虫が進化した人たちであるということを感じさせない。


瞬木「裏がなければいいけどね……」


 ラトニーク人を素直に信頼する天馬や信助と違い、かつては自身も「いい人」を演じて来た瞬木にとってはここまで良い人ぶってる人には裏があるということを疑って掛かるという性癖が染み込んでいた。


 そこに一人のラトニーク人が近づいてくる。それはギャラクシーノーツ号の接近をいち早く気づき、満面の笑みを浮かべていたあの少年だった。

 「こんにちは」という地球式の挨拶(あいさつ)を教わった彼は、律儀に頭を下げて挨拶してくる。



 彼の名はバンダ・コローギュ(CV:金野潤)。名前のとおり、コオロギの進化した姿。案内役は彼が担当するらしい。どう見てもお人好しのタイプで瞬木が言っていたような裏表があるタイプでは無さそう。中の人はあの天然キャラの浜野海士(CV:金野潤)と同じだし。

 バンダの独特の挨拶法に感化されつつ、アースイレブンのメンバーは彼と好(よしみ)を結ぶ。バンダがここまで積極的な理由は、彼が外界の人間に興味を抱いているからだとシムールは推測する。この感覚は皆帆と似ているので、2人は気が合うかもしれない。


 どこへ案内すると天馬たちが喜ぶのかを尋ねるバンダに、天馬はサッカーが出来るところが良いと希望を告げる。地球人も自分たちと同じくサッカーが好きなのだと気づいたバンダはその昆虫の特性を生かしてバック転を決めて喜ぶ。


バンダ『地球人もサッカーが好き……一つ覚えた!』


 宇宙共通の言語であるサッカーの魅力はどの星でも同じらしい。喜ぶバンダを見て、天馬まで嬉しくなってくる。



 バンダの案内で森林地帯を進んでいく一行。道中、サッカー好き同士、天馬とバンダは活発にサッカーに関する話題を語らう。

 地球人との戦いを心底から楽しみにしている風のバンダに対し、疑いの目を向ける瞬木はこの試合に種族の運命がかかっていることを述べ、それでも楽しみなのかとやや意地悪な質問をする。

 だがバンダは屈託なく、そんな大事な試合に出られること自体が嬉しいと瞳を輝かせる。勝ち負けにこだわる瞬木の質問に、バンダは地球人はそんなことを考えて試合をするのかと逆に疑問形で応じる。



 森林を抜けた先には、誰もが目を見張る素晴らしく美しいお花畑が広がっていた。その中に足を踏み入れようとするのは人情だろう。九坂が飛び入ろうとするが、バンダはその肩を掴んで強引に引き戻す。

 尻もちをつかされた九坂は怒り出すが、バンダが言うには赤いロープで仕切られた先はマドワシソウの土地であり、侵入してはいけないとこれまでにない強い口調で言う。

 マドワシソウというものの意味が分からない地球人に示すように、バンダは石を拾って赤いロープの向こうに投げ込む。

 すると一瞬にして綺麗なお花畑が暗紫色(あんししょく)の結界に覆われ、ウツボカズラを連想させる巨大な食虫植物が現れる。




 そのグロテスクな姿に葵とさくらは悲鳴を上げるが、好葉だけは何だか嬉しそうにその食虫植物を見つめる。好葉ちゃん、虫だけじゃなく食虫植物まで好きなの?


 マドワシソウとは幻を見せて自分のテリトリーに獲物を引き入れ、捕食する恐ろしい肉食の植物だった。虫人間の彼らにとっては食虫植物は進化する前からの天敵だっただろう。食虫植物の側も進化してこんな能力を身につけたのかもしれない。

 こんな危険な植物をどうして排除しないのかと真名部や九坂は問うが、それに対するバンダの回答は実に驚くべきものであった。


バンダ「そんなことをしたら可哀想だよ」


 ラトニーク人にとってはマドワシソウも自然の一部であり、一方的に刈り取ってしまうやり方は自分たちのメンタリティーに反するのだ。

 危険な生物をそのままにしておくという発想は驚くべきものだが、バンダの指し示すマドワシソウの胎内には、その子供というべき幼生が息づいていた。



 マドワシソウを気持ち悪がっていたのに一転して可愛いと言い出す葵やさくら。マドワシソウが生きて子孫を残すために必要悪で捕食をしているということまで考えて共存を図っているラトニーク人の態度に、九坂は感嘆する。


 だが九坂から問いかけられた「考える」という言葉に、バンダは何故か黙り込んでしまう。そして長考の末、彼が口にした言葉は……



バンダ「考えるって……何を?」
ガク〜ッ!!


 一同は激しくズッコケる。これが地球人とラトニーク人との考え方の大いなるギャップであることを、天馬たちは徐々に知っていくこととなる。



 その頃、バラン兄弟もようやくこの星に到着していた。ガードン戦の途中で旅立ったはずの彼らはアースイレブンに対してかなり先行していたはずなのに、遅れて到着するところがアホっぽいのだが、とにかく到着した。

 リュゲルは不可抗力(ふかこうりょく)だろうけど宇宙船の搭乗台からガンダレスを地面に突き落としてしまう。



 張られていた赤いロープに絡まるガンダレス。そう、そこはマドワシソウのテリトリーのライン上であった。


 ロープを切って弟を救うリュゲル。ふと見ると赤いロープがずっと張り巡らされていることに気づく。リュゲルは何かを思いついたのか、そのロープを巻き取るようガンダレスに指示する。

 指示には従うものの、なぜそのようなことをするのかまでは見通せないガンダレスは真意を兄に問う。それに対するリュゲルの返答がアホ満載で振るっていた。

 彼らとここで協力するラトニークのチームメンバーとは赤いロープで繋がっているはずなので、これを辿(たど)ればきっとその仲間の元に行き着くというのだ。

 そしてそれに納得してしまうバカ弟。当初はマドワシソウの境界線を無くしてしまってアースイレブンを騙し討ちにするつもりとかすごいことを考えていると思ったのに……バカすぎる。



 一方、バンダに案内されているアースイレブンはサッカーグラウンドに到着していた。緑が豊富なラトニークのグラウンドだけあって、芝生の色ツヤが素晴らしい。

 そんな素晴らしいグラウンドを前にしてじっとしていられるサッカー小僧たちではない。バンダを誘って早速サッカーを始めようとする。その際、サッカーをするためというより剣城の不在をチームに隠し、さらにスパイを行うことが任務である剣偽だけは離脱してしまうのだが。

 1人抜けて12人となり、子孫があんな傍若無人(ぼうじゃくぶじん)な性格とは思えないほど気配りが出来る調整タイプの市川座名九郎(CV:小西克幸)もさらなる数合わせとして自ら抜けて見学に回る。これでバンダを加えて6対6で模擬戦が行われることになる。



 キックオフ。早速ボールを持ったバンダが猛スピードで上がる。その速さに驚きつつ、九坂がマークに向かう。ラトニークサイドのバンダとすれば本当の戦い前に真の実力は隠した方が良策であることは疑いないが、そういう裏表を見せないところがバンダらしい。やはり瞬木とは違う。

 巧みなステップで九坂をかわすバンダだったが、その前進は皆帆に阻まれる。地球人も同じくその実力を隠さずにバンダに接する。



九坂「これが地球人のサッカーだぜ!」
バンダ「やるね〜地球人!!」


 自分の力ではなく皆帆の力でボールを奪ったのになぜか偉そうな言い分の九坂であったキートン山田調)。

 ごく最初のプレーで早くも彼我(ひが)の種族の違い、棲む星の違いを無くしてしまう素晴らしきスポーツ、サッカーの恩恵に天馬も嬉しくなってくる。



 一方、バラン兄弟は未だ見つからぬラトニーク代表選手を追い求めていた。身の丈の半ばほどに大きくなった巻き取られたロープの束を前に、ガンダレスはややうんざり気味。リュゲルからもうしばらくの辛抱と言われ、あっさりその気になるところがやはりバカだが。



 場面はまたも天馬たち。天馬とバンダのワンツーパスが決まり、バテ始めた皆帆が抜かれてしまう。タフネスを誇る鉄角も未だに疲れを見せないバンダの身体能力に舌を巻く。

 九坂が後を追うが鼻歌混じりのバンダにはまったく追いつくことが出来ない。地球人たちが軒並み疲れを見せる中、バンダは息一つ切らさずに走る。

 とうとう真名部、さくら、好葉といった面々がへばって座り込んでしまう。温暖な気候で気象条件は地球と変わらないラトニーク。これまでのように過酷な気候が敵では無い分、その体力差はそのままフィジカルの差である。今回の敵は虫人間だけあって侮れない(真名部説)。


 その様子を見ていた信助は、何か変な匂いが漂(ただよ)ってくることに気づいて鼻を押さえる。倒れた真名部たちもそれに気づくが、匂いに気づいた段階ですでにマドワシソウの術中に陥(おちい)っていた。



 ふと目を向けた真名部の視線の先には、お花畑に佇(たたず)んでこちらに手を振る懐かしき両親の姿が。彼岸で手を振る姿って、そっちに行ってはいけないという意味合いでは三途の川と同じ感覚だな。


 惑わされた真名部はゆっくりとそちらに向かって歩き出す。さくらもそこに彼女の両親の姿を認め、やはり虚(うつ)ろな表情でそちらに歩いて行く。

 好葉にはそこにちびっこ動物園での友達、可愛いウサギの姿が見える。マドワシソウはそれぞれの人が懐かしいと思う親しい人物の姿を幻覚で見せているようだ。



好葉「ウサちゃん……」


 早々に異変に気づいて鼻を押さえた信助以外の3人はゾロゾロと危険地帯に向かう。マドワシソウの影響力が届かない範囲にいた天馬たちもその異変に気づく。

 ロープの張られていない(バラン兄弟の仕業だ)その先がマドワシソウの生息域であることを知るバンダはそれを止めようとするが、神童と瞬木にぶつかってしまって転倒してしまう。



バンダ「早くみんなを止めて! マドワシソウにコントロールされている!!」


 事態の緊急性を理解した天馬たち、だが真名部たち3人はすでに境界ラインを越えていた。駆け寄る残りのメンバーたちだったが、そこにはマドワシソウの吐き出す匂いが立ち込める。危うく吸い込むと真名部たちと同じくコントロールされてしまう。

 あわてて鼻を押さえ、立ち止まる天馬たち。真名部、さくら、好葉を救う手段は残されていないのか!?



 射程範囲内に捕らえられた真名部たちの見る幻覚に変化が訪れる。真名部には誰よりも認められたい父が自己を否定しているという絶望感を囁(ささや)く3つの影。さくらにも同じ影が襲いかかる。その精神攻撃は獲物の生への執着を断ち切るためにマドワシソウがあえて見せる優しさなのかもしれない。



 彼らの様子がおかしいことに鉄角が気づく。だがその後ろではなぜか座名九郎がもっともっとおかしな様子になっていた。座名九郎も幻覚を見て、それと葛藤しているのだろうか?(理由は後に述べられる)



 好葉を救いたい九坂は危険を承知でラインを越えて好葉に駆け寄る。おそらく好葉は幻覚の中でウサギを可愛がっている状態なのだろう。


 彼らを救おうと信じられないジャンプ力で飛び上がったのは、バンダだった。飛びついた先に存在したマドワシソウの感覚器官(?)に噛み付く。それによって真名部たちは一斉に幻覚から醒(さ)める。

 バンダはその代償にマドワシソウの触手に強(したた)かに地面に打ち付けられてしまう。彼らの場は未だにマドワシソウの捕食範囲内だ。マドワシソウの触手がさくらに迫る。誰の助けも間に合いそうにない!


 その危険が彼女のソウルの力を引き出したことは運命の皮肉と言えるだろうか。さくらは野性的に大きく吠え、あろうことかマドワシソウに向かって行く。その身体を白いオーラが包み込み、彼女はその姿をカモシカに変え、マドワシソウを粉砕する!!




 もう一体のマドワシソウが今度は真名部に襲いかかる。一瞬目をつぶった真名部だが、やはり彼もその身に秘めた能力に導かれるようにその危機に立ち向かう。同じく吠えた真名部はその身をイタチ科の「ラーテル」に姿を変える!




 その小さな姿から「でも、あれじゃ(無理)」と葵にダメ出しされた真名部のソウル。だがその鋭い爪はマドワシソウを千々(ちぢ)に切り裂く! 葵にダメ出しされた真名部の意地もあったかもしれない。


 一気に2人のソウルが開眼し、九坂はその光景に見とれる。だが好葉を操っていたマドワシソウがまだ残っている。それは好葉をかばおうと前に出ていた九坂の目の前にいるのだ!

 九坂に襲いかかるマドワシソウの触手。九坂は一念発起(いちねんほっき)して自分もソウルを出そうと試みる。



 そんな九坂の目に、マドワシソウの幼生が写る。バンダが語った「マドワシソウも生きている」という言葉が脳裏にオーバーラップする中、九坂はソウル発動を途中で止めてしまう。

 その隙を突かれ、マドワシソウは毒液を九坂に吐きかける。もんどりうって倒れる九坂。そのピンチを救うのはバンダだった。またもマドワシソウに飛びつき、必死で噛み付いてその動きを止める。バンダに命を救われた九坂は呆然とその光景を見ていた。



 何とか危機を脱してサッカーグラウンドに戻って来た一行。殊勲のバンダには葵が応急治療を施(ほどこ)す。救われたことを感謝する天馬、そして九坂。地球のバンドエイドを貼られたバンダは笑いつつも無益な戦いになってしまい、結果的にマドワシソウを殺してしまったことを悲しむ。

 惑わされて騒動の原因を作ってしまった真名部、さくらも反省しきりだ。結果論だけどそのおかげで2人はソウル発動に成功したわけだけどね。


 皆帆は座名九郎の様子がおかしかったことも目ざとく気づいていた。座名九郎は隠すことなく、自身も危なかったと正直に語る。



 穏やかでいようとする自分の中に隠された暴走する心、それが赤いバイクで暴れまくる姿だったという。あの動きはバイクのハンドルを握ってアクセルを吹かす動作だったらしい。で、この時の暴走性が子孫に祟(たた)るというわけか。


 チーム一冷静でいるように見えた座名九郎ですらそんな特性を持っていたということを聞き、他のメンバーもやや救われた思いだろう。天馬とバンダは顔を見つめ合わせ、どちらからともなく笑い出す。



 その頃バラン兄弟はといえば……。



 お菓子の家を前にして大喜びだった。よく見ると彼らは赤いロープの内側に入り込んでしまっている。言うまでもなくこのお菓子の家はマドワシソウが見せる幻覚であろう。



 くしゃみと共に甘い幻覚から醒め、今置かれている状況を察したバラン兄弟。悪い奴らなんだろうけど、この辺はどうしてもバカっぽくて憎めない。



 舞台は再度、ファラム・オービアスへ。静養とは名ばかりの牢獄に幽閉されたララヤは膝を抱え、途方に暮れて瞳を潤(うる)ませる。


ララヤ「妾はどうすればよいのじゃ……」


 その絶望に震える細い肩を、しっかりと掴む頼もしき男が傍にいた。剣城だった。ララヤの不安を取り除くため、こんな境遇でも笑みを絶やさずに剣城は励ましの言葉を向ける。



 そしてララヤの笑顔を確認して一転して厳しい表情を浮かべ、この星の未来を取り戻すと宣言する。


剣城「取り戻すさ、この国、この星を……!」


 格子の隙間から見える空に剣城は誓う。ララヤに、そして自分自身に向けて。



 次回に続く。



  エンディング



 惑星ラトニーク編スタート。虫人間というから無茶苦茶にキモイ展開を想像していたんだけどなんともナイスガイな奴らばかりで驚いた。監督も美人だし、バンダは気の良い熱血漢だし、今までで一番気持ちの良い敵なのかもしれない。

 私は虫人間と言うと「カールビンソン」のチカちゃんを思い出してしまうのだ。あれ読むと虫人間への見方が変わること請け合いだ。



 ラトニークにはゴキブリとかハエとかの進化系は存在しないの? 言わない方が良いかもしれないけど、バンダのコオロギは実はゴキブリに非常に近い種族なんだけどな。ちなみにカマキリも近い種族。


 そして今回はさくらと真名部がソウルに目覚めた。神童、井吹の時も似てたけど危ない目にも遭ってみるもんだね。九坂も一気に発動かと思われたけど、それは次回への持ち越しなのかな。いつでも出せたはずの描写だったしね。


 バラン兄弟は上述したけどかなりとぼけた性格で、敵ながら憎めない。ガードンでのロダン・ガスグス(CV:藤村歩)と比べると今のところかなり良い奴という印象。ラトニーク人も良い人ばかりなので、次の戦いはフェアプレーの戦いになるのかもしれない。


 そのバラン兄弟の上司にあたるファラム・オービアス上層部、ルーザの裏切りからの反逆が今回で一気に実行されてしまった。ララヤは確かに能天気過ぎたけど、味方が少ない状況では仕方が無かったといえよう。一般国民の信望は疑いなく篤(あつ)いだろうけど、中枢でルーザに実権を任せていたのが仇になったようだ。

 剣城が傍にいるのは今のララヤにとって何よりも頼もしい存在だろう。私がルーザだったら剣城は別の部屋に閉じ込めたけどな。というか生かして置かなかったかもしれず。ルーザは剣城には今後なんらかの利用価値を見い出している可能性がある。……ルーザ側の考え方をしてしまう自分が嫌だが。




 1月8日からはイナギャラは7時27分スタートとなる。この感想文の更新が遅れているからもう遅すぎる情報なんだけどな(ごめんなさい)。



 何と、三国先輩が化身を引っ提げて本編参戦!? この見慣れない化身は新番組「妖怪ウォッチ」のキャラだそうだ。それにしても三国さん、念願の化身をやっと付けたと思ったらもう時代は化身→化身アームド→ソウルと2世代遅れていたりする。




  次回「限りある時間!永遠の友情!!」に続く。



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