『イナズマイレブンGOギャラクシー』第17話「戦いの終わりと始まり」の感想 【鉄角とさくらの必殺技が誕生!】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第17話「戦いの終わりと始まり」を観ての感想を書く。この戦いをもって何かが終わって何かが始まる。終わるものが何かは容易に想像がつくが、何が始まるのかは普通の思考ではたどり着けない。それほどの驚天動地(きょうてんどうち)の大転換の先触れを今回のラストで見ることとなる。詳細は以下の感想文本文にて。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第16話「信頼し結束する力!」の感想 【井吹と神童の和解回】
 をご覧ください。

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 少年サッカー世界大会「フットボールフロンティアインターナショナル(通称FFIV2)」アジア予選決勝戦松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【イナズマジャパン】はウズベキスタン代表【ストームウルフ】と激突する。

 前半早々、相次いで2失点を喫したイナズマジャパンだったが、神童拓人(CV:斎賀みつき)の伝えたかった真意を理解し、キーパーの心得を得て開眼なった井吹宗正(CV:鈴木達央)の新必殺技が飛び出し、3失点目を阻止する。意気上がったイナズマジャパンは剣城京介(CV:大原崇)がゴールを奪い、前半戦を1−2で折り返す。

 得点ではリードされているイナズマジャパンだが、その勢いはストームウルフを凌ぐものがあった。後半戦に向けてガラッと変わってしまった流れに抗するため、ストームウルフキャプテンのドミトリー・ソビロフ(CV:佐藤健輔)は手綱を引き付ける。



 後半戦が始まろうとしていた……。


 天馬は失点した時と同じく、まずは1点を返すことを心がけるよう仲間に檄を飛ばす。



天馬「まずは1点! 繋いで行くぞ!!」
一同「オウッ!!」

 天馬の檄に応えるメンバーたち。やはり前半戦が終わる前に掴んだ良いムードのまま後半戦に臨んでいるということがよく分かる表情だ。とくに井吹はいい顔してる気がする。


 迎え撃つストームウルフの面々は司令塔の7番、ルスラン・カシモフ(CV:斎藤壮馬)を筆頭に不気味に笑ってそれを見ていた。


 一方のイナズマジャパン側も、井吹がもう絶対に失点しないことを手のひらに拳を叩きつけることをもって宣言する。お互いの対抗心が極限に達した中、両チームは後半戦開始の合図を今や遅しと待ち受けていた。



   オープニング



 そしていよいよ後半戦開始のホイッスルが鳴り響く。後半戦はストームウルフのキックオフでスタート。開始直後、ストームウルフの全選手が交差上に対角に走り出してラインを上げてくる。これはDFも混じえての一斉攻撃だ。

 攻め上がるFWの9番、マクシム・アドロフ(CV:不明)に向けて天馬は自チームのFW、瞬木隼人(CV:石川界人)を向かわせる。だがマクシムは巧みなボール捌(さば)きで瞬木を抜き去る。

 その動きは前半には見せなかったプレーであり、それはデータを把握し、さらに人間観察力に優れた皆帆和人(CV:代永翼)を驚かせる。


「力が37%アップしていますよ!!」

 皆帆の直感を数学的な数値を用いて裏付ける真名部陣一郎(CV:野島裕史)。小数点以下2桁の微妙な数字の変化にまで気がつくところはさすがと言おうか。



 野咲さくら(CV:遠藤綾)がマクシムに向かう。しかしマクシムは37%アップした身体能力(真名部談)を駆使して軽くかわしてしまう。未だ必殺技を持たぬさくらの辛い状況が続く。


 マクシムはアーロン・ガチンスキ(CV:不明)にパスを送る。そこに駆け込むのは九坂隆二(CV:岡林史泰)だったが、アーロンはまるで必殺技のような高速の挙動で一瞬にして九坂を抜き去り、何事も無かったかのような表情で攻撃を続ける。


 この展開に驚くイナズマジャパンベンチの空野葵(CV:北原沙弥香)を見て、ルスランは俺たちが本気になったらこんなものだと嘯(うそぶ)く。どうでもいいがルスランは試合中にも関わらずさっきから葵をよく見てるな。

 ルスランのその言葉をじっと聞いていたドミトリーは否定も肯定もせず前を向く。彼のその態度を見るにつけ、ルスランの言うように37%もの実力を隠していたとは思えない。最初から4割増のプレーをしていれば苦もなくイナズマジャパンを圧倒できたはずだからだ。このパワーアップにはハーフタイムの間に何らかの作用があったとしか思えない。


 天馬はこの状況でも仲間を落ち着かせるべく連携を指示してメンタル面を鼓舞(こぶ)する。アーロンは神童に詰められる前にサブの司令塔と思えるほどプレーに関わる美少年、ロラン・ラザレフ(CV:不明)にパスを送る。

 ピンポイントでロランに渡ったボールを見つめ、皆帆と真名部は2人がかりでそのボールを奪取に向かう。



 だが2人がかりでもロランの必殺技「シルクロード」の前には防御の要を為さない。見事に抜かれてしまう。やられた時の手玉に取られた感が大きいな、「シルクロード」って。


 ロランはその後も鉄角真(CV:泰勇気)を抜き去り、着々と前進、ついにはシュートに持ち込む! それは井吹が何とか凌(しの)ぐが、その後も相次いでシュートを受け続けてしまう。前半終了前に流れを変えたはずなのに、後半戦はまたも受難の時間が続いてしまう。これには実況兼解説役の角馬王将(CV:稲田徹)も悲壮感の漂う悲鳴を上げる。


角馬「どうしたイナズマジャパン!?」



 瞬木は一連のプレーから、彼我(ひが)の実力差を実感する。ベンチで戦況を見守る船木宏正(CV:金野潤)も監督の黒岩流星(CV:佐々木誠二)を振り返るが、黒岩はもはや安定の船木スルー。


 ルスランが逆転を諦めるよう言い放つが、天馬にはそんな考えは毛頭(もうとう)なかった。諦めることを誰よりも嫌うのが天馬である。みんなで力を合わせればきっとこの苦境を打破できると信じて天馬は走る。


 その思いを受けてか、ロランからアーロンへのパスを神童がカットする。久々にマイボールにしたイナズマジャパンの反転攻勢が見られるかと思った瞬間、ドミトリーが鋭角的に神童に迫ってボールを奪い返す。



 あの神童をもってしてもボールをマイボールに留め置くことが出来ないとは……ストームウルフのパワーアップは想像を超えていた。その後も試合展開はストームウルフの攻勢一辺倒に終始する。

 これ以上の失点こそ防いでいるものの、このまま時間が過ぎ去れば、序盤の貯金を活かされてイナズマジャパンは敗れてしまう。互角の展開であってすら膠着状態(こうちゃくじょうたい)はイナズマジャパンにとっては不利となるのだ。先制点がいかに大事かということがよく分かる。



 一つの救いはイナズマジャパンのメンバーの目が死んでいないことだった。押されていても彼らは自分たちがここまで血の滲(にじ)むような思いで特訓に打ち込んで来たという自信を持っていた。その自信が彼らを諦めの境地へと追いやることを防いでいたのだ。

 皆帆が、さくらが、九坂が、真名部が、必死の形相(ぎょうそう)でボールに食らいつくがストームウルフのプレーに追いつけない。




 森村好葉(CV:悠木碧)も戸惑っている間にアーロンの突破を許してしまう。彼女には必殺ブロック技「このはロール」があるのだが、余裕を失ってしまっている現状、その技を出すことが思いに至らないのであろう。


 ゴール前にはドミトリーが走り込む。ここまでマクシムに任せていたシュート役をエースストライカーが果たすのか!? まさにそのドミトリーにパスが渡る。井吹が身構え、皆帆が何とかシュートを阻止しようと駆け寄る。


 だがそのプレーはフェイク、エースストライカーである自分自身を使った巧妙な囮(おとり)作戦だった。ドミトリーがスルーしたボールは逆サイドから駆け上がってきたマクシムが渾身のヘッドでシュートに持ち込む!!



 ゴール!!


 ついに追加点がストームウルフに入ってしまう。これは前半戦に奪った1点を帳消しにしてしまう痛い失点だ。サッカーにおける2点差は、一度のチャンスでは絶対に追いつけない点差だからだ。


 さらにこの失点は力で押されまくられながらも踏ん張っていたイナズマジャパンの選手たちの心を折る効果も考えられた。良い形で流れを手にしたというのに、先に敵に得点を献上(けんじょう)してしまったことは精神的にあまりに大きい。女の子だけにさくらは早くも目を潤(うる)ませてしまう。

 あの負けん気が強い鉄角ですら実力差を前にして諦めの言葉をつぶやく。九坂も頭を掻くといういつもの仕草で「やはり勝てないのか」と弱気の言葉を吐く。


 瞬木の弟、雄太(CV:小林ゆう)と瞬(CV:戸松遥)たちも心に白旗を掲げる。彼らの兄である瞬木が事前に語っていた通り「この試合は勝てない」ということを実感したような寂しげな表情で。



雄太「……決まった」
瞬「隼人にいちゃんの言ってた通りだね……」



 その折れた心を繋ぎ止めるべく、天馬は努めて明るい表情で反撃のチャンスはあることを語る。しかしその演説が効果を持たないことを、天馬は仲間の沈鬱(ちんうつ)な表情からすぐに気付く。

 だが諦めないという気持ちを誰よりも持つ天馬だ。仲間を説得するということも諦めない。再度の仲間への奮起を促(うなが)す言葉に反論するのは瞬木だった。


瞬木「でも、ボールを奪うことさえ出来ないんじゃ……」

 仲間が沈鬱な表情を見せる中、瞬木だけはあまり気にしてはいないような顔つきだった。これは彼が試合前に語っていた「この試合は勝てない」に因(いん)があろう。瞬木はどうして勝てないと語ったのだろうか? ストームウルフの能力を事前に知っていたのだろうか? だとしたら、それはなぜ?


 それを受け、鉄角もこれだけやったんだから十分だと語り、仲間にもそれに同調する空気が流れる。自分たちのこれまでの頑張りを自分たち自身で肯定する。それは心が折れた何よりの証明であり、実に危険な兆候(ちょうこう)だ。頑張ってもダメだということを互いに慰め合って心に既成事実を築き上げてしまう。

 その仲間の状態には神童も剣城も声が無い。だが、彼らが戴(いただ)いているキャプテンは、何度も言うが諦めることが何よりも嫌いな人間だった。


天馬「嫌だ!!」

「俺は絶対に諦めない!!」


 さくらや皆帆がそれを宥(なだ)めるように語り、真名部は計算する気はないが、すればイナズマジャパンの勝つ確率は数%に留まるだろうと吐き捨てる。

 だがそんな言い分に天馬が同意するはずがない。


天馬「俺は諦めない! だって、嫌だから!!」


 さっきと同じことを繰り返すバカボンのパパ並みの言い分なのだが、天馬は歯を食いしばってすべてが終わる前に諦めることの愚(ぐ)を説く。そして天馬の次の言葉は仲間たちの深奥に燻(くすぶ)る「諦めない気持ち」に火を灯(とも)す。


天馬「これが最後の試合になるなんて!!」


 それを聞いて我に返ったかの様にハッとなる鉄角たち。そう、日本を代表して結成されたイナズマジャパンは予選で敗れればそこで終わり。黒岩監督との条件付きでイナズマジャパンに加わった彼らにとって、このチーム、このメンバーでサッカーをすることはもう二度と無いであろう。皆はこれを最後の試合にしてしまうことに対し、激しく葛藤(かっとう)する。


瞬木「別にいいんじゃない?」


 その中で瞬木だけはこのまま終わってしまっても良いと笑顔で語り出す。黒岩の出した条件はクリアしているのだから、負けても彼らの望んだものは手に入れることが出来ると語るその言葉はまるで悪魔の囁(ささや)きだ。

 だがその瞬木の言葉を怒声で遮(さえぎ)ったのは九坂だった。バンダナを外していないというのに怒髪天モードの口調になった九坂は、ややトーンを落としつつこのチームに対する自身の気持ちを語る。

 彼にとってこのイナズマジャパンは自身の弱い心と向き合う機会を与えてくれた存在であり、天馬やみんなとサッカーすることが出来て得られたものの大きさを実感していた。

 サウジアラビア戦で笑顔の天馬からバンダナを手渡され、強くなることの意味を知ると同時に信頼してくれる仲間というものの存在に思いが至った九坂は、それがサッカーのおかげかどうかは分からないと結論を濁(にご)しつつも、ここで終わってしまえば、まだやり残した「何か」を永遠に失ってしまうことだけはハッキリと理解していた。


 九坂の話を聞いていたさくらも自問するように胸に手を当て、自分さえ活躍できれば良いと考えていた偏狭(へんきょう)な自分がこのチームと出会って変わることが出来たと語る。

 オーストラリア戦において自分だけの力で無く、仲間と協力して勝利した時の清々(すがすが)しい気持ちを、さくらは鮮明に覚えていた。


 そしてその同じ気持ちは真名部と皆帆も共有していた。未だ弱気が目立つ好葉もタイ戦での活躍で、その弱気一辺倒だった自分が生まれ変わることが出来た忘れられない体験を思い返す。


 そしてまさにこの試合中にキーパーとしての真髄(しんずい)を知った井吹は誰よりも新鮮な気持ちでこのチームの大事さを告げるにふさわしい存在だった。拳を握り締めた井吹は、全員の思いを一致させるべく、音頭を取る。


井吹「やろうぜ、みんな!! せっかくここまで来たんだ。俺はもっともっと先へ行ってみたい! こんなところで負けられるか!!」


 元しろうとたちのその姿を、天馬と神童、剣城は嬉しそうに、そして頼もしそうに見つめていた。意志が統一されれば彼らをまとめるのは鉄角の役割となる。



鉄角「やろうぜみんな!!」
一同 うなづく
皆帆だけ「ウンッ!!」


 ここに諦めないという天馬の意識は7人にも共有されることとなる。天馬は素直に喜ぶが、視聴者はここに瞬木が加わっていないことを気付くであろう。仲間たちの心変わりを見て、瞬木はまるで「試合を諦めさせることを諦めた」かのような微妙な笑みを浮かべる。



 長いインターバルを終え、試合は失点を喫したイナズマジャパンボールのキックオフで再開される。立ち直ったイナズマジャパンの姿を見て、あのシニカルなルスランが呆れた口調でその決意を馬鹿にする。最前線でお前が見てる瞬木だけはそんな気持ちはあまり無いようなんだけどな〜。


 試合再開のホイッスルが鳴る。剣城からボールを受けたのはその意志に疑義のある瞬木だった。だが彼は持ち前のスピードで一瞬にしてマキシムを抜き去る。あのネガティブ発言の瞬木も勝利のために前向きとなったのだろうか?



 案の定というか、追いかけて来たマクシムに即座にボールをカットされる瞬木。やっぱりさっきのやる気はウソだったのか?


 飛ばされたボールは運良く九坂の真正面に飛ぶ。胸トラップしてそれを確保した九坂はザウル・メレフ(CV:泰勇気)のマークをかわして真名部にパスを送る。真名部は即座に神童にパスして自らのボール保持能力の低さをカバーする。

 イナズマジャパンの選手たちのやる気そのままに前向きでひたむきなプレーがボールを繋ぐのだから、サッカーというスポーツは面白い。メンタルが出やすいスポーツと言い換えることが可能かも知れない。それが証拠に俄然動きが良くなったイナズマジャパンを前に、余裕をかましていたルスランもムキになって向かって行く。


 ボールは天馬を経てさくらへ。それを止めようと長髪のイケメン、3番のミーチャ・エレミン(CV:不明)が向かって来る。

 ドリブルをしながら、さくらは単純にこの試合を最後の試合にしたくは無いと考えていた。大事なものを心に思いつつ、目先の敵に対して気負いの無い明鏡止水(めいきょうしすい)の心境はついに彼女に新必殺技という形をもって報(むく)いる!





 さくらの必殺技「ビューティフルフープ」が爆誕!! リボンで敵を華麗に巻き取って後方へと吹き飛ばすという豪快な技だ。ラストの決めシーンのさくらがその名の通りビューティフル。


 ついに誕生したさくらの必殺技に、天馬も笑顔で祝福する。もともと潜在能力の高いさくらに必殺技が加われば鬼に金棒と言えよう。

 さくらは技の余韻(よいん)が冷めないまま、九坂にパスを送る。九坂はそれを膝で宙に浮かせ、一気に怒髪天モードへと移行する。今度は掛け値なしの本物の怒髪天モードだ。

 そして両足をグラウンドに打ちつけて固定し、身体を弓なりに反らせて叫ぶ。それは彼の必殺シュート「キョウボウヘッド」への挙動であった。

 燃えるように赤いシュートの弾道は確実にストームウルフゴールの左隅に吸い込まれる! ゴールだ!! これで試合は2−3と、再びイナズマジャパンが1点差に追い上げる展開となる。



 得点をゲットした直後の九坂さんの表情。「キョウボウヘッド」を撃った直後とは言え、凶暴で悪い顔やで。ここからアニメを見始めた人にはイナズマジャパンが悪役に見えかねない。早くバンダナ締めてまったりしなさい。


 とにかく試合はまたも分からなくなって来た。これにはベンチの葵も観客席の雄太と瞬も、再び元気を得て息を吹き返したように大喜びの笑顔を浮かべる。

 天馬は必殺技を会得したさくらに声をかける。さくらも必殺技を手に入れたことを喜び興奮気味にまくし立てる。さっきの場面で試合を諦めていれば、この感動も無かったのだ。諦めないことの大切さを再認識させられる良いシーンだ。


天馬「あと1点だ! 追いついていくぞ!!」
一同「オウッ!!」

 さくらを称えたあと、天馬はキャプテンとして上昇傾向にあるムードをさらに上昇せしめるために仲間を鼓舞する。それに力強く応じるメンバーたち。九坂は早くバンダナ着けろと。そして瞬木くん、さっきはネガティブ発言してたくせに勝ち馬に乗るようにシレっとこっち側に付いてるんじゃない! あと鉄角だけはほんの少し思うところがあるような表情だけど、これはきっとさくらも必殺技を出したことで、まだ必殺技を出していない最後のキャラになってしまったことに対する忸怩(じくじ)たる思いがあるのではないだろうか?(考え過ぎ?)



 ルスランはさくらの必殺技を見落としていたせいで失点してしまったと理由付けるが、それをドミトリーがにべもなく否定する。イナズマジャパンがこの試合にすべてを賭けて臨んでいることをドミトリーは理解していた。そしてそんなチームに勝つには、自分たちもすべてを賭けて戦わねばならないとルスランの繰り返される慢心を諌(いさ)める。そして彼はここで謎の発言をする。



ドミトリー「この試合、負けたら俺たちに帰るところは無い!」


 どういうことなのだろう? 負ければ彼らの祖国、ウズベキスタンに帰れば良いのではないのか? そうではないとしたら、彼らの正体は一体何者なのであろうか……?


 ルスランはドミトリーにそう言われ、自軍ベンチを見つめる。そこには監督が無表情でこちらを見つめるのみ。だがルスランはドミトリーの言っていることがよく分かるのだろう。その表情には先ほどまでの余裕は消え失せ、額には冷たい汗が浮かんでいた。



 試合は失点したストームウルフのキックオフで再開。彼らにも負けられない「何か」があるのだろう。必死の形相で攻め上がるストームウルフの選手たち。ザウルは立ちはだかる九坂をものすごいステップで抜き去ってしまう。

 そして素早いパス回しで攻め立てる。敵チームのさらなるパワーアップに対し、納得いかないと鉄角が叫び声を上げる。

 これが彼らの小細工のない本気なのだろうか? アーロンが再び好葉を抜き、ゴール前に迫る。天馬の指示でアーロンに追いすがる皆帆は、必殺技「トレースプレス」でボールを奪う。



 さすがにパワーアップしていても、必殺技ならば止められるようだ。余談だがこのシーンのアーロンさん、九坂さんに見えるな。


 皆帆が前線にフィードしたボールにものすごいソニックブームを巻き起こしながら走り込むのは天馬だった。久々の必殺シュート「真マッハウィンド」を撃つ天馬に対し、ここまで良いところ無くザルだったキーパー、アレクセイ・カルノフ(CV:岡林史泰)はようやく繰り出した必殺キーパー技の「ツイストリーチ」で立ち向かう。ダルシムか?




 「ツイストリーチ」は「真マッハウィンド」を完封し、はじき返してしまう。さすがは決勝戦に出て来るチームのキーパー、ただのザルでは終わらない。惜しくも同点ゴールはならなかった。



 カッコ良くシュートを阻止してこの試合初めての笑顔を見せるダルシム……もといアレクセイ。推定年齢45歳。好物は甘鯛(ぐじ)の酒蒸し、治部煮(じぶに)など(ウソ)。



 その後は両チーム一歩も引かない熱戦が繰り広げられる。マクシムの強烈なタックルに倒された鉄角が面(おもて)を上げる。そこでは仲間たちが必死に敵と戦っていた。

 そこで鉄角は唐突に以前剣城から受けた警告を思い出す。「サッカーは生き物であり、目を逸(そ)らせば喰い尽くされてしまう」というあの警告だ。


 残り時間が少なくなっていく中、マキシムが真名部と皆帆のマークを振り切って前進する。負けている現状、ここで失点してしまえば今度こそトドメの一撃となってしまう可能性が高い。

 キーパーと1対1の場面まで持ち込まれ、周囲は井吹に託すしかない。井吹は一度マクシムのシュートを止めている自信から、ニヤリと笑って最終防衛ラインを守り切ることを天馬に誓う。

 マクシムがボールを宙に上げる。これは彼の必殺シュート「ゴールドフィーバー」の布石である。安心して見つめる井吹の表情が次の瞬間、凍りつく!


 何とここでまたもフェイク、空中でそのボールに飛びついたのはここまで温存されて来たドミトリーであった!! ここまで一度もシュートを撃たなかったのは、すべてこの瞬間のためだったのだ!!

 ドミトリー版の「ゴールドフィーバー」がゴールを襲う! 井吹の必殺技で止められるかどうかは未知数である!!



 決まってしまった〜!! フェイクに騙されたことで動揺してしまったのか、井吹は必殺技 「ライジングスラッシュ」を出すこと無くゴールを割ってしまう……! これは残り時間を考えると、イナズマジャパンにとって致命的と言える失点であった。


 ベンチでは葵が落胆し、観客席の瞬木の弟たちは声もない。フィールドではさくらが今度こそ糸が切れた操り人形のように膝から崩れ落ちる。他のメンバーもさすがに諦めの色を隠し切れない。


天馬「どうしたんだ、みんな!?」


 背番号8を仲間の方に向け、天馬だけは敵を見据えて戦う意志を見せ続けていた。この絶望的な状況においても、天馬は試合を諦めてはいなかったのだ。

 残り時間を考えると2点差を追いつくのはさすがに無理だと落ち込む仲間たち。だが天馬くんはここでぶっ飛びジャンプ発言をしてみせる。



天馬「だったら2点同時に取ればいい!!」


 その言葉は理解不能であった。何度も書いてきた通り、サッカーは野球と違ってどんな美麗なシュートを決めても一度に入る点は1点だ。それを天馬は同時に2点取ると言う。

 神童と剣城にだけはこの天馬の語る言葉のカラクリが理解できたらしい。笑顔でイタズラっぽくうなづき合う。

 野球と違って2点同時に取るなんて無理だという九坂の言い分に対しての天馬の反論がまた驚愕だった。


天馬「そんなのやって見なくちゃ分からないだろ!?」


 その意見に戸惑う鉄角たち。どう考えても「やらなくても分かる話」なのだから当然と言えよう。

 だがここでチーム一の頭脳、真名部にはその命題の解が思いついた。


真名部「いや、出来るかもしれませんよ」


 その言葉はさらに鉄角たちを驚かせる。真名部と、おそらく真名部と同時にカラクリに気付いた皆帆は顔を見合わせてうなづき合う。そして真名部は自信満々に天馬を見つめる。



 天馬と神童、剣城、真名部、皆帆以外の6名のメンバーにはそれがどういうことなのか分からないまま、それでもその可能性に賭けて試合を投げないという一点ではチーム内の統一見解が得られた。


 鉄角はさっきまでの諦めの心境を忘れ、どうやって2点を同時に取るのかということに心を奪われていた。それがチーム全体にも前向きなムードを醸(かも)し出していた。慎重な性格ながらトドメを刺したつもりのドミトリーはまだ目に諦めの色を見せないイナズマジャパンの態度に動揺する。



 そして試合再開。キックオフ直後、瞬木が大きくパスを送る。対象は皆帆、つまり自陣へと向けたバックパスだ。その常軌を逸した作戦にはストームウルフのメンバーも大いに驚く。



 驚くストームウルフの皆さん。ロラン(左上)がやはりカッコ良い。


 皆帆はヘディングでさらに後方の井吹にボールを送る。それをキャッチした井吹は全メンバーに上がるよう命じる。キーパー以外の10人が敵陣に向かう。背水の陣を敷いたイナズマジャパン。

 その動きから苦し紛(まぎ)れのロングパスという戦略を見抜いたドミトリーはそれを途中でカットして今度こそ息の根を止める5点目を奪うとばかりに、DFを残しての一斉攻撃を仲間に命じる。

 井吹が皆帆にパスを送ろうとするのを阻止し、あわよくばカットしようと一斉に飛び上がるストームウルフ前衛陣。井吹にはそれがかつて戦いの舞台としていたバスケットボールの試合で見た光景に重なる。

 キックでボールを前方に送っていれば間違いなくそのパスはカットされていたであろう。井吹はおもむろにサッカーボールをバスケの要領でドリブルし始め、ドミトリーたちのジャンプのタイミングを外し、遅れて飛び上がってその驚異のスローイング力を見せる!



井吹「皆帆!!」


 その強肩(きょうけん)はさすがはバスケの天才選手だ。ボールはセンターライン傍(そば)にいた皆帆にまで通る。皆帆は即座にパスを回す。前衛が存在しない広い敵陣内を自由自在にパスを回すイナズマジャパン。

 だがドミトリーの指示のもと、さくらのドリブルを2番セルゲイ・チェルノフ(CV:不明)がカットした! イナズマジャパンは全員攻撃という最終手段に出ている。敵にボールを奪われる=失点を覚悟しなければならない。

 セルゲイからドミトリーにボールが渡ればこの試合はその瞬間に終わる(天馬がいくら諦めなかろうと終わりだ)。そのセルゲイの前には鉄角が残っていた。ここでセルゲイに抜かれれば後は無い。

 さっきのさくらとはまったく逆の境遇。目先の敵をまさに止めなければならないという極限状態に置かれた鉄角はさすがにその任務の重さにたじろぐ。

 寸鉄人を刺す(すんてつひとをさす)勢いでその心境に喝を入れたのは剣城の一声だった。


剣城「鉄角!!」


 サッカー選手として密かに尊敬する剣城に自身の名を呼ばれたその瞬間、鉄角の心の動揺は潮が引くように消えて行く。そして鉄角はこの試合の趨勢(すうせい)など意識すること無く、かつての剣城からの警告とのみ向き合う。


「サッカーから目を逸らさない!!」


 セルゲイが迫る中、鉄角はリラックスするかのように軽くジャンプする。そしてボクシングのファイティングポーズを取り、ウィービングの要領でセルゲイからボールを奪う。ついに最後の一人、鉄角にも必殺技「フットワークドロウ」が誕生した瞬間だった!!




 鉄角の必殺技「フットワークドロウ」。待たされただけあって見た目がカッコ良い技だ。見た目がドリブル技っぽいけど敵のボールを奪うのでブロック技だろう。逆にブロック技っぽかったさくらの「ビューティフルフープ」はドリブル技。


 鉄角の必殺技が誕生したことは仲間たちから心からの喜びをもって迎えられた。まぁここで鉄角が抜かれてたらこの試合は負けが確定してただろうしね。

 ボールを奪い返した鉄角は前線の天馬にボールをフィードする。それを受けた天馬は今度はTPの出し惜しみはしない。天馬個人では最強の必殺シュート「ゴッドウィンド」をストームウルフゴールめがけてブチ込む。



 そのシュートにはさしもの45歳も阻止することが出来ない。豪快にゴールネットを揺らし、これで試合は3−4とイナズマジャパンが1点差に迫る。


 諦めない彼らの精神がここで追い上げるシュートを決めたのだ。だが同時に2点取ることは出来ず(当たり前だが)、試合はまだストームウルフがリードしている。ドミトリーがイナズマジャパンの精神力に舌を巻く中、試合を早く再開させるため、さくらと鉄角が走って自陣に戻る姿が印象的だった。この辺は実戦のサッカーでもよくある場面であり芸が細かい。



 試合はストームウルフのキックオフで再開。ドミトリーは時間稼ぎなどという小細工はしない。5点目を奪うために一斉に攻撃を開始する。この辺、ストームウルフはかなり正々堂々としたチームだと思う。守りきれば勝ちという姑息(こそく)な戦法を取らないのだから。


皆帆『さぁ、2点同時ゲット大作戦だ!』


 (ええ!? まだその作戦発動してなかったの?)



 皆帆は傍(かたわ)らの真名部に声をかけ、作戦を実行に移すよう指示する。真名部はいつものように人差し指と親指でアングルを作り、敵選手の動きを見つめる。謎のカウントが進み、それが「6」を刻んだ瞬間、真名部は剣城と瞬木に今こそ実行すべしと指示を出す。




GOの指示を出す真名部。緊張のあまりアゴがしゃくれている。



 それを受けて猛然と突進を開始した剣城はマキシムからボールを奪う。その後方には瞬木がピタリと付ける。奪ったその場で剣城は必殺シュート「バイシクルソード」を放つ。ロングシュートながらDFがゴールの前を開けたその瞬間を狙ったピンポイントなシュートだった。



 この直前の場面で剣城は地上に降り立ったはずなんだけど、なぜかまた浮いてる。すぐ後ろに瞬木がいるなど分かり易い図。


 実行させた皆帆は耳をピクピクと動かすクセを見せながら、このシュートに追いつくことは不可能だと、あわててカバーしようとする敵DFの動きを嘲笑(あざわら)う。事実、その通りだった。

 ただ超ロングのシュートが相手だ。アレクセイは余裕を持ってダルシム技「ツイストリーチ」で迎え撃とうとする。



 でも間に合わなかった〜!! 時間の都合か、あっさりと決められてしまう45歳。これは瞬木のシュートをチェインさせるとかギミックがあると思ってたんだけどなぁ。まぁ何にせよおかげで剣城の「バイシクルソード」不敗伝説は未だ継続中。


 このシュートが決まり、ついにイナズマジャパンが同点に追いつく! これでこの試合がこのまま終了しても、サドンデスだけは避けられた。

 「2点同時に取り返す大作戦」とはこのことだった。正確には同時じゃないんだけどね(このシーンで弁解するさくらちゃんが可愛い)。



 一方、相次いで失点し、目前の勝利を逃したストームウルフは激しく動揺していた。この2得点はストームウルフの動きを読み切っていないとおおよそ不可能な戦略だった。ドミトリーは自分たちの動きを完璧に読み取られたことを悔しがる。



 天馬はこのプレー前の真名部と皆帆の作戦に思いを馳せていた。彼らが提唱した「6.70秒後の空白」とは、ストームウルフが攻撃に転じる時、いつも交差上に対角に走り出してラインを上げてくるという同じフォーメーションを取ることに気付いた2人は、6.70秒後に一瞬だけボールを持った選手とゴールの間が空白となる瞬間を見出していた。つまりその瞬間にボールを持つ選手からボールを奪えば、ゴールまでがら空きの状態でシュートが撃てるということだ。



 「6.70秒後の空白」の図。


 その状態に持ち込むためには、まずは1点を奪ってストームウルフにキックオフをさせなければならない。そして1点を奪いさえすればこの作戦で短時間での2点目までもがほぼ確定する。つまり1点取れれば2点を(ほぼ)同時に取ることが可能だという頭脳作戦だったわけだ。



 ドミトリーはこの屈辱を雪(すす)ぐには得点して勝利するしかないと心に期する。残り時間はごくわずか。勝負はどちらが勝つにせよ、最後のワンプレーに託された。



 そして試合再開のホイッスルが鳴る。最後のプレーが始まる。ストームウルフのキックオフ。今度はもはや「6.70秒後の空白」などという奇襲は成立しない。ドミトリーとマクシムの2トップがパスを回してイナズマジャパン陣内を駆け上がる。

 先ほどのフェイクプレーがあるだけに、井吹もどちらに的を絞れば良いかが分からない。シュートさせる前に未然にボールを奪うのがこの場合の最上の策だ。真名部は皆帆と鉄角に声をかけ、一斉に向かって行く。3人対2人、数の上ではイナズマジャパンが勝(まさ)っている。

 マクシムからのパスがまたもスルーされる! ドミトリーを挟んで反対方向には3人目のFW、ザウルが駆け込んでいた。またもフェイクプレーが決まってしまうのか!?

 DF3人を引きつけて自らが囮(おとり)になる役どころを引き受けたドミトリーの凄まじい執念が実るのだろうか? 最後の一人のDF、好葉が迎え撃つが、ザウルは恐ろしい形相で好葉を威圧する。

 怯(おび)える好葉に天馬、神童、そしてさくらの3人から声がかかる。それはこのピンチを救えるのは好葉しかいないという、心から好葉への信頼感を伝える声だった。好葉は怖がっていた自分の弱気を振り払い、ザウルに立ち向かう!




 動物のようなオーラに包まれた好葉はボールを足で挟み込むようにして奪取する。これは新必殺技なのか!? 好葉は「このはロール」の時も最初は技名が出なかったから、その可能性はある。ただこの後の仲間たちの驚きを見ると、これは単なる技ではなく、化身などと同じく何らかの新しい能力なのかもしれない。


 好葉自身もこのような能力が自分にあることに驚いてしまう。それを見た黒岩は、サングラスを輝かせてついに今日初めての仕事をする(中の人的にも)。



黒岩「始まったようだな……」


 驚いていた天馬だが、ようやく我に帰る。どうあれこの場面でのマイボールはイコールチャンス到来だ。好葉に声をかけてパスを要請する。パスを受けた天馬に4番ユーリ・アヴェリン(CV:不明)を向かわせるドミトリーだが、天馬は必殺ドリブル技「Zスラッシュ」でその防御を一蹴(いっしゅう)する。

 そして瞬木に送られたボール。瞬木はそれを必殺シュート「パルクールアタック」で結実させる。「ツイストリーチ」で迎撃するアレクセイ。果たして勝つのはどっちだ!?



 勝ったのは瞬木の「パルクールアタック」だった! この45歳、結局阻止できたのは「真マッハウィンド」だけだったね。ほぼザルだ。



 そしてそのシュートが決まるのを待っていたかのように試合終了のホイッスルが鳴り響く。壮絶な点の取り合いの末、試合は逆転でイナズマジャパンが勝利を収めた!!



 イナズマジャパンサイドは観客席もベンチも大喜びでこの勝利を歓迎する。これで苦しかったアジア予選を突破するという目標を達成できたのだから、この喜びの爆発は当然だろう。



 葵はもう嬉しくて、優勝したのに感情を見せないもう一人のマネージャーの水川みのり(CV:高垣彩陽)に抱きついて喜びを表現する。さすがのポーカーフェイスみのりもこれには困惑顔。



 破れたストームウルフサイドは監督が静かに顔を伏せ、選手たちも顔面蒼白でその後の運命を憂(うれ)えていた。帰る場所がないと語っていた彼らも、やはりこの後は他のチームのように溶けてしまうというのだろうか?



 喜びに沸く仲間の姿を見て、じわじわと実感が溢れてきた天馬は、その喜びをようやく爆発させる。最後まで諦めず仲間たちを叱咤激励(しったげきれい)し続けて来た甲斐が今こそ報われた瞬間だった。


天馬「やった〜っ!!!」


 その喜びを拳に乗せて空に突き上げたその瞬間、空が割れる。比喩的な表現ではなく、本当に割れたのだ。



 そこから湧き出した黄色い光に包まれた瞬間、観客席ではしゃいでいた瞬木の弟たちが静かにその目を閉じる。一瞬にして眠りに落ちてしまったらしい。優勝の感動を伝えるためにうるさいほど大声で実況していた角馬も眠りに落ちる。観客席のすべての人たちが同様に眠ってしまう。これは一体どういう現象なのであろうか?


さくら「どうしたの、みんな?( ゚д゚ )」


 その光はフィールドにいるイナズマジャパンの選手たちには効果を及ぼさないようだった。この不思議な現象は、誰もが理解の範疇(はんちゅう)を超えていた。


 そしてさらに驚愕すべき事象が起こる。その光を浴びたストームウルフのメンバーに異変が起こったのだ! ドミトリーの身体がみるみる変化していく……!

 まるで皮が剥(む)けていくかのように外皮が失われていき、その後には大きな目に銀色のツルツルの皮膚(ひふ)を持った人型(ひとがた)の物体がその場に残る。そう、それは巷(ちまた)でよく聞く「宇宙人」そのものの姿であった!



 ドミトリーだけではない。キーパー45歳を含め、他の選手たちも銀色の皮膚をしたグレイタイプの宇宙人の姿となる! やはり彼らはウズベキスタン人ではなく、本物と入れ替わっていたのだ! 個人的にはあの美少年のロランもこうなってしまったかと思うとショックでかい。


 理解を超える現象に脳みそ筋肉の鉄角が頭を抱えてパニック状態になる。だがこの異常現象はまだ終わりではなかった!



 昼間だというのに一転して暗がりとなった空が稲妻状の光線で光り出し、そこから大きな飛行物体が徐々に降下してくる。それはもう、サッカーアニメに出て来る物体じゃなかった。



 相次ぐ驚愕の現象に口をあんぐりと開けて驚くしかない天馬たちに比して、黒岩はむしろこの時がやって来たと言わんばかりに口を歪めて笑みを浮かべる。



天馬「こ、これって……宇宙船!?」



 運命の次回、18話に続く。



  エンディング




 ……なんだこの『かまいたちの夜』を遊んでてメイン以外のサブストーリーに迷い込んでしまったような気分は!? 敵チームが人間ではないということは予想していた通りであり、「ギャラクシー」というタイトル的にも敵が宇宙人になるんじゃないかという私の予測が当たっていたのは嬉しい。嬉しいのだが、この後の話の展開についていけるかどうか心配でならなかったりもする。

 まぁイナクロのタイムジャンプの概念の時も最初はそうだったし、慣れたら普通に見られるのかもしれないけどねぇ。慣れるのが怖い気もするが。


 今回のタイトルで終わったのはアジア予選であり、始まったのはこれからの宇宙人展開ということなのだろう。ただ個人的には普通に世界を相手に戦うイナズマジャパンというのも見たかった気がするんだよなぁ。宇宙人との決着がついたら、普通に世界編が始まったりしてね(それでもいいけど)。



 あと今回の話に限定して語るとすると、特筆すべきはさくらと鉄角に待望の新必殺技が誕生したことかな。これはどちらも良かったねぇ。かつての彼らの打ち込んでいたもの(ボクシングと新体操)をベースにした、彼ららしい必殺技だった。好葉のアレは今後の話のキモになりそうな現象だった。黒岩が伏線ぽいこと言ってたし。何というか黒岩自身が伏線の塊なんだが……。

 あと瞬木は相変わらず黒かったね。お金だけが目的なのか、それとも……。ストームウルフには勝てないと事前に言っていたことがどうしても引っかかるんだよね。瞬木スパイ説なんかが出て来てもおかしくない展開。



 次回は当初にアナウンスされていた運命の18話であり、物語の大きな転換点だということだが、何となく今回でその後の展開は読めた気がする。ただ「イナズマジャパン優勝目指して頑張れ!」とか思っていたちびっ子たちはこの展開に驚いてるんじゃないかなぁ?




 これは敵のキャプテンというか、首領の姿かな? 意地悪そうではあるけど人間に近くて安心した。「筋肉番長」のイーバ番長のように人体解剖やキャトルミューティレーションをするような姿じゃなくって本当に良かった。



  次回「来訪者」に続く。



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