『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第16話「うつけ祭りの決戦!」の感想 【祝・ネイラちゃん女の子確定回】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第16話「うつけ祭りの決戦!」を観ての感想を書く。戦国時代編もいよいよ佳境に入ってきたという印象だ。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第15話「尾張の国の大特訓!」の感想 【健気なお勝ちゃんにもらい泣き】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

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 織田信長(CV:千葉一伸)のオーラを求めて戦国時代にやって来た松風天馬(CV:寺崎裕香)たちチーム雷門は、信長のライバル・今川義元の部下として現れたプロトコル・オメガ2.0から蹴鞠戦(けまりいくさ)という名のサッカーによる対決を求められる。

 現地の人である太助(CV:折笠富美子)や木下藤吉郎(CV:古島清孝)たちの協力も得て、天馬たちは信長のチームとして戦うこととなる。信長の名誉のため、そしてサッカーの未来のため、絶対に負けられない戦いが今、始まろうとしていた。


 そして「うつけ祭り」当日、ちょうちんでライトアップされた広場に設けられたサッカーグラウンドで両チームは対峙する。プロトコル・オメガ2.0のリーダー・ベータ(CV:伊瀬茉莉也)の迫力ある口調に、天馬サイドでは最も姉御肌で、唯一迫力や腕力でもベータに遜色(そんしょく)なさそうな瀬戸水鳥(CV:美名)も、この試合のただならぬ雰囲気を感じていた。


 そこに観衆の歓声が上がる。見やるとそこには、黒馬に乗った威風堂々たる男の姿が。それこそがこの尾張国の主(あるじ)、織田信長その人であった。



 織田と今川の代理戦争たるこの蹴鞠戦を見届けに来たのだ。この戦いは、祭りの余興(よきょう)という域をすでに超えていて、両家の名誉のかかった真剣勝負の舞台となっていた。信長の登場に、織田軍の監督を務める藤吉郎も自らの命に換えても勝利を捧げることを誓う。

 そしてそこにもう一方の主人公を乗せた輿(こし)が仰々(ぎょうぎょう)しくやって来る。輿を担(かつ)ぐ兵士たちの周囲を囲む幟(のぼり)を見れば、その輿に乗る人物が誰なのかは明らかだ。



 今川義元。東海一の弓取りの威厳は微塵(みじん)も感じられない。でもこういうタイプが実は強いってパターンはマンガだと結構あるよね。「ワンピース」のMr.2ボン・クレーとか。


 義元のその姿は雄々しき信長とは違い、いかにも貴族然とした出で立ちで、その姿を初めて見た天馬たちもいささか肩すかしを食ったような印象を受ける。その男が天下に一番近い男だという現実が信じがたいと言わんばかりに。

 義元もこの蹴鞠戦、代理戦争を見に来たのだ。もちろんわざわざ敵地である信長のお膝元にまでやって来たわけだから、自分の手勢が勝利する場面を楽しみにしてやって来たことは間違いない。


 お互いの総大将が臨戦するという状況に、舞台の緊張感はこれ以上ないほどの高まりを見せる。

 フェイ・ルーン(CV:木村亜希子)がここで改めて、自分たちは織田軍の一員としてこの試合を戦うということを説明する。天馬のサイドは、負けると気性の荒い信長の怒りを買いそうだし、藤吉郎の士官もお流れになりそうだしと、色々と負けられない要素が脳裏にちらつく。プロトコル・オメガ2.0の側はムゲンロウゴク送りという弾劾(だんがい)が控えているにせよ、まだ気楽だろう。



   オープニング(感動共有!)



 そしてこの試合をジャッジ、及び実況する人物だが、理不尽とかそういう次元じゃなく、もうこの男しかいない。という訳で、現代から換算して10年前の沖縄、海の家からこの男が召喚される。



 矢嶋陽介(CV:佐藤健輔)。こないだの白鹿組との対決の時に呼び出されたのとほとんど同じ絵ヅラだな。背景だけが変わってる。例によって笛ではなく法螺貝(ほらがい)を持っての登場だ。


 この場所が「那古野城を望む花吹雪スタジアム」と、視聴者も知らない情報をポンポンと語り始める実況の矢嶋さん。やはりその辺のデータもブレインジャックされた時に脳内にインプットされているんだろうな。




 試合開始直前の両チームの布陣。プロトコル・オメガ2.0は以前と変わらず3−4−3の攻撃的布陣。FW3人が相変わらず強力そう。一方の雷門は剣城京介(CV:大原崇)を前面に立て、あとはキーパーの西園信助(CV:戸松遥)を要(かなめ)にした扇(おうぎ)の形。太助たち5人は白鹿組との戦いで藤吉郎がその適性に気づいた通り、DFに配置している。あえて言うなら5−4−1の布陣だが、錦龍馬(CV:岩崎了)やフェイはいつでも前線に出られる形なので、中盤抜きで雷門正規メンバーは全員が攻撃要員とも言える。


 こういった観客のある形で試合に望むのは初めての経験である五郎太(23番のデブい子 CV:不明)や仁悟(22番のベロ出しっ子 CV:藤村歩)はその雰囲気に飲まれてしまい、弱気になってしまう。太助や獅子丸(24番の目の周りクマだらけクン CV:美名)、市正(21番のかりあげクン CV:金野潤)といった同じ条件の仲間が励ます。そして彼らはそれぞれの特訓の成果を胸に、一斉に大きな声を出して元気を奮(ふる)い出す。

 彼らのやる気は、前線で戦うこととなり、いざという時はまだ経験の浅い彼らをフォローすることになるであろう天馬たちにとっても頼もしく写る。


 だが自信満々のベータからすれば、それは真のサッカーを知らないトーシロの空元気(からげんき)としか受け取れない。そして白鹿組の時とは違う、自らが手を下すこの試合の恐ろしさをすぐに味わうことになると、その言葉の内容とは裏腹に可愛らしく明るい口調で独りごちる。


 「すぐに思い知りますわ、お遊びじゃないってこと♥」


 彼女のそのギャップを、これまでの戦いで嫌というほど思い知らされている天馬と剣城は真剣な表情で向き直る。おそらく標的とされるであろう太助たちを、ある程度は天馬たちがカバーしなければならないだろう。ベータの魔手から。



 そしていよいよ試合開始の法螺貝の音が鳴り響く(矢嶋が吹いてるんだろうなぁ……)。サッカーの命運を賭けた戦いがいま火蓋(ひぶた)を切る。

 チーム雷門のキックオフ。ドリブルで切れ込む剣城の前には、ベータの次席に甘んじながらも実力も二番手の折り紙つきのエイナム(CV:野島裕史)。だが剣城はフェイを介するワンツーパスで見事に抜き去ってしまう。

 さすが正規の雷門メンバー、簡単にボールを奪えないと判断した変な髪型のメダム(CV:金野潤)が必殺技「ディフェンスコマンド06(マグネットドロウ)」を駆使してボールを奪い取る。



 変な髪型のメダムの必殺技「ディフェンスコマンド06(マグネットドロウ)」。足を磁石のようにしてボールを吸い取るらしいが、「いつの間にボールが磁気を持ったんだ?」「このボールは鉄製か?」とかいった細かいツッコミは禁止だ。


 新技でボールを奪ったメダムはボールを前線にフィードする。それを見て、ベータはまたもカワイコちゃんの猫を脱ぎ捨て、凶悪な表情と声で部下たちに攻勢に出るよう、命令を下す。

 号令一閃、ルートエージェントメンバーの中でも一番の暴れん坊キャラのドリム(CV:泰勇気)が突進する。太助と市政が対応しようとするが、その凶悪な突進は2人をいともあっさりと吹き飛ばしてしまう。



 泣いて倒れ込んでしまった市正と違い、太助はすんでのところで倒れずに踏ん張ってその意地を示す。

 ドリムはサイドのクオース(CV:大原崇)にパス。クオースの突進に対応しなければならないのは、獅子丸、五郎太、仁悟の3名。だが、太助と市正が蹴散らされたシーンを見て彼らは怖気づいていた。比較的強気な獅子丸の号令で立ち向かうが、やはりクオースの敵ではない。軽く一蹴されてしまう。だがそこでも、獅子丸と五郎太の2人は倒れずに踏みとどまる。突破こそ許したものの、彼らのその粘り腰には監督の藤吉郎も満足げにうなづく。

 ただ情勢は織田軍がピンチだ。クオースからエイナムにパスが渡る。ゴール前でそれを受けたエイナムは、間髪いれずに彼の持つ必殺シュート「シュートコマンド06(プラズマボール)」を放つ。

 織田軍の最終防衛線を担うのは信助だ。彼は化身「護星神タイタニアス」を召喚し、その必殺シュートに立ち向かう。ボールを受け止めることは叶わなかったが、何とかゴールラインの死守は成功する。


 一連の必殺技の応酬のやり取りを見て、サッカーを初めて見た信長はその面白さに一気に虜(とりこ)となる。新しいもの好きで好奇心旺盛、鉄砲やキリスト教、置時計や地球儀、カステラに金平糖など舶来の品物には目がなかったという信長らしい反応だ。彼の時代に本当に現代のサッカーがあったとしたら、きっと熱中して奨励しただろうと私も思う(しかもこれはハデハデな超次元サッカーだしね。派手なことが大好きな信長にはドハマりすると思う)。



 信長の近習(きんじゅう)役を務めるのは、史実でも信長の側近だった丹羽長秀(右 CV:泰勇気)と前田利家(左 CV:金野潤)。利家は実は藤吉郎とは幼馴染なのだが、作中でその辺が描かれることはなさそう。



 ボールがラインを割ってインターバルが生じた隙に、仲間たちに声をかける太助。だが仲間たちはプロトコル・オメガ2.0の圧倒的な強さの前に萎縮していた。その実力差の前に自信を失い始めたこの状況が、実は一番まずい。その縮み上がった気持ちでいる限り、戦いには絶対に勝つことなど出来ないからだ。

 太助はひとりで仲間たちを鼓舞(こぶ)しようとするが、一度失われた自信が回復することはなかった。その姿には、藤吉郎も苦い顔を浮かべる。


 そして心配されたことがその後も起こり続ける。獅子丸のおっかなびっくりのドリブルなど、奪取するのに造作もない。レイザ(CV:藤村歩)が笑顔混じりで奪い取ってしまう。そのカバーに回るのは錦だ。

 その後も敵の一喝で防御することさえ出来ず、足がすくんでしまう市正と仁悟。敵の強大さに恐れてしまい、本来の実力すら出すことが出来なくなってしまう。これはいわゆる、「戦う前に負けている」という状況だ。

 2人のカバーには神童拓人(CV:斎賀みつき)が回るが、エイナムはすかさずベータにパスを回す。ベータの前には、犠牲に給される子羊のような弱々しさで立ちすくむ五郎太の姿が……。

 もちろん止められようはずもない。肉食獣に射すくめられた草食獣のような脆(もろ)さで突破を許してしまう。顔を覆って怖がる仕草は、どっちがキ●●マ付いてるんだか分からないぐらい(ベータは付いてそうだしな)

 ゴール前、ベータは彼女の化身「虚空の女神アテナ」を召喚する。化身アームドされてしまっては失点は免れないと錦がここまで戻って化身「戦国武神ムサシ」を出して対抗しようとする。


 ベータ「そんなんじゃ俺は倒せないぜ!!」





 化身アームドする間がないと判断したのだろうか、ベータはそのまま化身必殺シュート「シュートコマンドK02(アテナアサルト)」を撃つ。そして言葉通り、信助の化身アームドの時間稼ぎさえさせずに錦の「戦国武神ムサシ」を葬り去り、一気にゴールを貫いてしまう。まさにアームドせずともベータの能力は圧倒的だった!


 先制点は、今川軍(プロトコル・オメガ2.0)が挙げることに成功する。もちろん総大将の義元は大喜びだ。オカマっぽく聞こえる公家(くげ)言葉で殊勲のベータを褒めてつかわす。

 一方の天馬たち織田軍は意気消沈。中でも太助たちはただでさえ相手の雰囲気に飲まれているのに、失点で一層気持ちが弱気の方向に振れてしまう。時間はまだたくさん残されているという天馬の檄(げき)に太助も応じるのだが、残りの4人はうつむいてしまう。


 試合が再開されても、太助たちは相変わらずプロトコル・オメガ2.0の攻勢にまったく歯が立たない。天馬たちが必死で戦う中、実力差に気圧(けお)されて動くことすらままならなくなってしまう。ひとり気を吐く太助も、ベータの個人技にまったくボールに触れることが出来ないまま抜かれてしまい、その自信を喪失させる。

 太助たちが動けない分、その負担はカバーする天馬たちにしわ寄せが来てしまうのは自明だ。普段の倍以上動いている彼らの疲労も隠しきれないものとなりつつあった。



 そこで前半戦終了の法螺貝が鳴る。精神的にも肉体的にも追い込まれていた織田軍にとってはありがたいインターバルだった。一方の今川軍は息一つ乱れていない。ベータはこちらを見やり、余裕の表情を浮かべる。

 太助は自分たちの不甲斐なさを詫びる。天馬たちは疲労を押し隠し、笑顔でその懸念を払拭(ふっしょく)しようと心がける。だが太助、そして藤吉郎にはこのままでは勝ちはおぼつかないということが分かっていた。信長は櫓(やぐら)の上からそんな藤吉郎を見つめつつ、彼のこの後の用兵を期待する。



 後半戦が始まる前に、藤吉郎は前半を見ての作戦を一同に伝える。それは誰もが耳を疑うような、意外な一言で始まった。


 藤吉郎「攻めるな!」


 1点のビハインドがある中、当然ながら後半戦に求められるのは攻勢からの得点であることは間違いない。だが藤吉郎からの指示はその常識とはまったく逆のものだった。

 ここぞとばかりに、監督の座を藤吉郎に奪われていたクラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)が小姑(こじゅうと)のように嫌味ったらしくダメ出しするのだが、もちろん藤吉郎にもそれぐらいのことは理解していた。



 彼のその言わんとする真意は、相手を油断させ、隙を作るというところにあった。そしてその作戦の中心になるのは太助たち5人であるということも言明する。自信を失った彼らには、何か役割を与えてそれを実行させるということで自信を取り戻させるのが一番だと判断したというのもあるだろう。

 自信を持てないと項垂(うなだ)れる5人を励ましたのは、キャプテンの天馬だった。諦めては駄目だと太助たちを叱咤する。そして辛く厳しい特訓の成果を出さないまま終わったら、後悔することになると言って、ともに頑張った練習のことを思い起こさせる。

 その言葉は彼らの胸に大きく突き刺さり、一度は強敵という風の前にかき消えてしまっていたやる気と自信の炎を再び灯すことに成功する。太助の肩をつかみ、絶対に何とかなると真っ直ぐな視線を向けながら語る天馬の言葉を聞いていると、本当にそう思えてくる。太助たちの瞳に再び、闘争心という名の光が宿り始めた。



 天馬のキャプテンシーはこういう形で発揮されるものなのだろう。藤吉郎は、彼が太助たちに向けて贈るつもりだった言葉をすべて天馬に取られてしまったと苦笑する。

 そして闘争心を得た彼らを前に、今一度作戦の説明を始める藤吉郎。



 ハーフタイムも終了し、いよいよ運命の後半戦が開始されようとしていた。天馬の言葉から、後悔したくないという気持ちを取り戻した太助は獅子丸に話しかける。獅子丸も太助と同じ気持ちだった。そして後悔せずにこの試合を終えるためには、どうしても欠かせないものがある。それは、敵に立ち向かう勇気だ。

 市正、仁悟、五郎太もその気持ちは同じだった。怖くないと自己暗示をかけるように顔を叩いて気合を入れる。その勇気を切らさなければ、この試合にも勝つことは不可能ではないはずだ。


 そして後半戦開始。今川軍のキックオフ。左サイドを駆け上がるレイザは、前半ではボールを奪われた錦をかわして前進する。やはりこの辺りの実力差は紙一重だということだろう。

 錦が抜かれた穴は自分が埋めると、獅子丸がレイザの前に立ちふさがる。簡単にかわされてしまう獅子丸だったが、それを褒める天馬。立ち向かったということがすでに敵に対する恐怖の呪縛から解け始めているという証だからだ。

 レイザは詰めてきた天馬を横目にドリムにパス。またもチーム1の暴れん坊の武闘派にボールが渡ってしまう。前にいたのは五郎太だ。前半では女の子のベータにすらビビって何も出来なかった彼だったが、ここでは意を決してドリムに向かっていく。軽くかわされてしまったが、おそらく太助たち5人の中でも一番気弱な彼が逃げずに立ち向かったことは素晴らしいまでの気持ちの切り替えだと言えよう。その行動力を剣城が褒める。剣城が他人を褒めるなんて、天候が変わってしまうレベルの珍しさだが。

 ドリムのパスに仁悟が飛び上がって食らいつき、エイナムのキープに市正が詰め寄るなど、彼らはこれまでにないほど積極的に動き始める。恐怖心を克己(こっき)することで、彼らの本来の動きが出せるようになってきたということなのだろう。

 そしてドリブルで攻めてくるクオースの前に仁王立ちするのは、太助だ。自分たちを信じてくれている天馬たちの期待に応えようとする彼は、敢然とクオースに立ち向かい、見事なスライディングタックルでボールをクリアする。




 ルーズボールはサイドラインを割るが、それは太助たちこの時代の少年が初めて実力でプロトコル・オメガ2.0の選手と互角に渡り合った記念すべきプレーだった。

 これは想像以上に大きなプレーだった。なぜなら敵わないと思っていた相手に自分の力が通用するということの気づきとなるプレーだからだ。目をキラキラさせてこのプレーを喜ぶ太助に対し、天馬も心からの賛辞を惜しまない。

 そしてこの効果は波及するということも忘れてはならない。太助と同じ条件でこれまで特訓してきた獅子丸たちも、太助が出来たことなら自分たちにも出来ると新たな自信を喚起する。太助のひたむきなプレーは、結果的に5人のプレーヤーを同時にこのフィールドに現出させたのだ。


 自分たちの実力に絶対の自信を持つベータは、この一変した雰囲気も意に介さない。だが試合自体は太助たちのレベルアップによってほぼ互角の様相となり始める。手応えを感じた藤吉郎は、いよいよハーフタイム中に授けた作戦を決行するよう、天馬たちに指示を出す。

 それに合わせて織田軍はジリジリと敵選手から距離を取り始める。それを見た瞬間、信長には作戦の真意が分かったらしい。笑みを浮かべて藤吉郎の作戦に感心する。

 だがその作戦を見抜けなかったベータは一瞬だけ舌を出して嘲(あざけ)りの表情を浮かべる。



 ベータの可愛い舌出し顔。この顔を見逃した人もいるんじゃなかろうか? 0.1秒ぐらいの一瞬の表情だったから。


 ベータはレイザにパスを送る。そしてレイザからネイラ(CV:佐々木日菜子)へと、プロトコル・オメガ2.0の女性陣でパスがつながる。ネイラはこれまでほとんど目立ってこなかったウサを晴らすかのように素晴らしい身体能力で仁悟、市正の2人を抜き去り、ゴール前に迫る。

 そして彼女の必殺シュート「シュートコマンド08(ラブアロー)」をゴールめがけて放つ。



 「シュートコマンド08(ラブアロー)」の図。ハートが飛び散り、ちびっこいネイラらしい可愛らしいシュート技だ。今回でネイラが完全に女の子であることが発覚。さすがにこれで男ってことはないでしょう。


 ゴール前には太助、獅子丸、五郎太の3人が残っていた。彼らは今こそ前日の厳しい特訓の成果を出すべき時が訪れたことを実感していた(藤吉郎の作戦のキモでもある)。太助の合図の元、3人は合体ディフェンス技「一夜城」を実戦で初めて披露する。




 

 「一夜城」は見事にネイラのシュートをはじき、ゴールを守る。せっかく訪れた見せ場をつぶされてしまってネイラちゃん可哀想。だけど「一夜城」も初披露の場面だし、噛ませ的扱いになってしまうのも仕方がないと言えそう。


 信長「見事!!」


 持っていた扇子(せんす)で掌をぽんと叩き、信長は太助たちのその防御を賞賛する。


 またも特訓の成果を得たことで、太助たちの自信はやれるという確信に変わる。錦にボールを送る太助。錦は攻守の切り替えがまだ行われていない敵の一瞬の隙をついて最前線の剣城に大きくパスをフィードする。

 ベータがその事態に気づいたときは、もはや手遅れ。剣城は化身「剣聖ランスロット」を呼び出し、すかさずアームドする。そして一気にシュートを放つ。



 ハッキリ言ってこれはトイレタイムだなと思ったのだが、今回はここまで新技が盛りだくさんで、「もしかしたらこの男も新技を?」という一抹の期待感があった。ということでテレビ画面に注目していたのだけど……



 今川軍のゴールを守るザノウ(CV:岩崎了)さんが出したのは、相変わらずの「キーパーコマンド03(ドーンシャウト)」だった……。もはや旧作の三国太一(CV:佐藤健輔)の「バーニングキャッチ」並みの様式美じゃんか。



 そして予定調和でこう。


 とにかく新技を用意してこなかったザノウのおかげで織田軍が1点を返し、これで勝負は振り出しに戻った。追いつかれた義元は笏棒(しゃくぼう)を噛んで悔しがる。今風に見れば、ハンカチを噛んで悔しがる感じでやっぱり所作(しょさ)がいちいちオカマっぽい。


 織田軍のベンチではワンダバがまたポストペットになって喜びを爆発させていた。「一夜城」の効果てきめんぶりに空野葵(CV:北原沙弥香)が感心するが、それも足腰の強さがあってのことだと藤吉郎は言う。太助たちを起用したのは、まさにその足腰の強さを重視したからであり、藤吉郎の人を見る目の鋭さを暗示させる。

 「一夜城」がキモであったことは確かだが、その導入部として敵を油断させるという発想も藤吉郎のものだ。藤吉郎は敵が太助たちを侮っていることまでも計算に入れていた。この試合の監督として、藤吉郎は素晴らしい働きを示したことになる。


 そして監督としてのもうひとつの仕事も忘れない。殊勲の太助たちに声をかけて激励し彼らの自信を確固たるものとしてその胸に刻み付けるという仕事だ。



 自信を得た少年たちの笑顔。


 「お前たちがひとつになって決めた得点だ!」と藤吉郎に言われて自分たちの行為に思いが至った太助たちは、心の底から喜ぶ。感動のシーンでこういうのも悪いけど、得点したのは剣城の手柄だと思うけどな。見えないところで剣城が腐っていなければ良いが……。あーあと影の功労者として、新技を用意してこなかったザノウさんのおかげ。


 太助「天馬、サッカーって楽しいな!」


 太助は今さらながらのセリフを言う。だがその楽しむという気持ちこそが大切だったのだ。敵を恐れそのことを忘れていた太助たちにとっては、サッカーの持つ楽しさを思い出せたことが何よりの収穫だったと言って良い。そしてこの試合はまだ終わってはいない訳で、その気持ちはこれからの戦い方にも現れることとなるだろう。


 試合再開、だが試合の流れは追いついた織田軍のペースだった。楽しんでサッカーをするという根源的に大事な気持ちを思い出した太助たちの動きも、もはや天馬たちの足でまといではない。

 そしてここぞという場面で発揮される合体必殺技「一夜城」のガードは完璧だった。



 守りは鉄壁の現在、織田軍が追加点を奪うことが出来れば一気に有利になるはずだ。ドリブルで敵陣に切れ込む神童を、影に日に支えてきたお勝(CV:高垣彩陽)が見守る。



 左のお勝の母は、太助の母でもある。目の形が太助にくりそつ。


 お勝の祈りを背に、神童は決然と化身「奏者マエストロ」を現出する。今度こそ化身アームドを成功させ、信長のオーラを受け入れるに相応しい器を示すために!

 そしてアームドの掛け声。マエストロが光の束となり、神童の全身にまとわりつく。今度こそ成功か!?


 だが見守る天馬とフェイの思いも虚しく、やはり化身アームドは失敗してしまう。何かが足りないことは確かだが、その何かが分からない。苦悩する神童を信長が、そしてお勝が見つめる。

 気落ちしているところを突かれ、神童は新種のデブにボールを奪われてしまう。失敗した怒りをプレーにぶつけるかのようにがむしゃらにボールを追う神童を見つめ、信長は裁きの場で神童が自分は天下人にはなれないと宣言した時のことを思い返していた。そして近習に神童の名を尋ねる。利家から「神童拓人」と聞かされ、信長はじっとその姿を見つめ続ける。神童に特別の感慨、思いがあることは間違いないだろう。オーラを求める側の神童と、やはり共鳴する部分が多いのかもしれない。



 ベータ「てめぇら、俺に任せろ!!」


 一方、フィールドではベータが一気に決着をつけるつもりでいた。この発言、それは仲間たちに自らの力を分け与える彼女の能力「ゴーストミキシマックス」への布石(ふせき)だ!

 彼女から溢れ出す紫の光を受けた残りの10人の選手たちはパワーアップを果たす。以前、マスターDこと円堂大介(CV:藤本譲)の元を訪れた際に行われた戦いにおいて、この「ゴーストミキシマックス」で一気にパワーバランスが崩れ、天馬たちは大敗したという苦い過去がある。

 その恐るべき能力の再現が、今この戦国時代にも為されようとしていた。エイナムの突進は剣城、フェイを朽木(くちき)を倒すかの如くはじき飛ばしてしまう。パスを受けたレイザも、迫ってくる天馬と錦を、足のひと踏みによる衝撃波だけで吹き飛ばす。まさに化け物じみたパワーアップだ。

 そしてさらに空中でパスを受けたドリムが着地するだけで、駆け寄る神童が吹き飛ぶ。そして恐ろしい形相のベータがゴールに迫る。太助たちはこれまで鉄壁を誇っていた「一夜城」で迎え撃とうとする。


 ベータ「そんなものひねり潰すっ!!」


 ベータは化身アームドし、彼女の最強の技「シュートコマンド07(ダブルショット)」の体勢に入る。果たして勝つのは合体必殺技の「一夜城」か、それとも化身アームド必殺技の「シュートコマンド07(ダブルショット)」なのか!?




 なっ……なんという鎧袖一触(がいしゅういっしょく)!! 持ちこたえるエフェクトすらなく、当たった瞬間に千々(ちぢ)に砕け散る太助たちの「一夜城」。「ゴーストミキシマックス」って、ひょっとしてベータ自身も強くなってるんじゃねーの? だがしかし「一夜城」はシュートブロック技でもあると考えられる。つまりこれでベータのシュートの勢いを削ぎ、信助が止められるという余地を残したと言えるのだ。

 信助もここで絶対に止めるという強い意思を示す。化身アームドをしてベータのシュートに対抗したのだ! だが……




 止められない止まらない! かっぱえびせん「マボロシショット」並みにどうしようもないシュートが織田軍ゴールに突き刺さり、これで試合は再び今川軍が1点のリードを奪う。しかし「一夜城」の上、化身アームドしても止められないって、本当にものすごいシュートだな。やっぱ「ゴーストミキシマックス」はベータ自身も強化されてるとしか思えねぇ。


 渾身の防御すら貫かれてしまい、太助たちは顔色なしの様相だ。ここでまた弱気の虫が騒ぎ出したりしたら、振り出しに戻ってしまうよ。そしてこのとき落ち込んだのは太助ばかりではなかった。化身アームドが通用しなかった信助も同様に落ち込んでしまう。フェイがすかさずフォローに回る。

 フェイが説明するには、化身アームドは使用者の能力とコンディションによって、そのパワーが左右されてしまうものらしい。つまり今のベータは絶好調でそのアームド能力も最高レベルの状態なのだろう。戦うタイミングである程度の優劣が出来てしまうものらしい。バイオリズムみたいなものかな?

 また特訓を重ねれば、化身アームドそれ自体の能力も上げることが出来るらしい。悲しそうな表情を浮かべつつも、それらの説明に一応納得する信助。


 さて両チームの総大将はやはり対称的な表情。突き放したことで義元は大はしゃぎで隣の櫓にいる信長を愚弄(ぐろう)する。その義元を一瞥(いちべつ)する信長だったが、ここは自らの選んだ軍勢を信頼するより他はない。正面を見据えた信長の視野には、やはり神童の姿が映っていた。

 失点を喫し、さらに超絶な強さを誇る「ゴーストミキシマックス」の悪夢が天馬の気持ちを暗澹(あんたん)たるものとする。だが、彼らは負けられないのだ。戦って、そして勝つしかない!



 織田と今川の代理戦争は、未来のサッカーの命運を賭け、後半のクライマックスを迎える。



 次回に続く



  エンディング



 戦国時代編2度目の試合パート。「一夜城」をはじめ、お互いに新必殺技が色々と見られて楽しい展開だった。個人的にはロボコップヘルメットことネイラちゃんがようやく目立ったというのが嬉しいんだけどね。ルートエージェントで初登場した時から、敵キャラの中でも表情が見えない彼女に注目していたので。しかも女の子ということにしばらくの間は気づかせないというキャラ設定。これはなかなかレベルファイブもツボを心得ている(笑)。


 あと歴史ファンとしては大きなミスがあったことをお詫びしたい。11話からしばらくの間、信長の城を清洲城と書いてしまっていたが、実はこの時期の信長の居城は清洲城ではなかった。

 今回矢嶋がやってきた時に「那古野城」と語ったので気づいたんだけど、この1554年には信長の居城は確かに那古野城だった(信長が産まれたのもこの城で1555年に清洲城に居城を移すまではここが居城)。ちなみに「なごやじょう」と読む。今の名古屋城はこの旧那古野城の跡地に建てられたもの。


 次回でこの戦国時代編は一区切りとなりそうだ。果たして天馬たちは強化されたプロトコル・オメガ2.0に勝つことが出来るのだろうか? 神童の化身アームドは、そして信長のオーラを受け入れることが出来るのだろうか? そしてお勝と神童の恋物語の結末は? ここまで引きに引いた物語の大団円を刮目して待ちたい。



  次回「夢の天下(てんが)」に続く。



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