『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第13話「大乱戦!白鹿組!!」の感想 【第3の化身アームドの使い手が!】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第13話「大乱戦!白鹿組!!」を観ての感想を書く。久々のサッカー回、敵の見せる新必殺技の名称が見どころ。そして、ついに3番目の化身アームド使いが誕生する。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第12話「来たぞ!信長の町!!」の感想 【大河ドラマスタートの巻!】
 をご覧ください。

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 過去の世界に向かい、時空最強イレブン結成を目指す松風天馬(CV:寺崎裕香)たちチーム雷門。織田信長(CV:千葉一伸)のオーラを求め、訪れた先の戦国時代で出会った太助(CV:折笠富美子)たち少年が無頼集団「白鹿組」にさらわれてしまう。助けに向かった天馬たちの前に現れた意外な人物、それは宿敵プロトコル・オメガ2.0の現リーダー・ベータ(CV:伊瀬茉莉也)であった。


 陰る日がゴール後方の一本松の姿を映えさせる中、急設されたサッカーグラウンドでは、雷門と白鹿組の両チームイレブンが対峙していた。白鹿組をバックで操り、ここで戦いの場を設けたベータの不気味な思惑が見え隠れする中、雷門は正義のためにサッカー対決を受けて立つ。



   オープニング(情熱で胸アツ!)



 天馬は白鹿組アジトでベータと交わした言葉を思い起こしていた。

 乗り込んだ先で囚われていた太助たちを見つけ、即時の解放を要求した天馬だったが、その首領の座に就(つ)いていたのは彼らの不倶戴天(ふぐたいてん)の敵、ベータだった。彼女はマインドコントロール波による洗脳によって白鹿組の構成員たちを操り、自らの手下として利用していたのだ。「紅菊の姉御(べにぎくのあねご)」というこの世界での彼女の二つ名はなかなかセンスある。

 ベータはサッカー勝負で自分たちに勝てたら太助たちを返すと笑顔で答える。もちろん条件はそれだけではない。自分たちが勝てば、天馬たちも全員捕らえてしまうと強烈な脅しをかける。今回はそういったプレッシャーなしで健全なサッカー勝負が見られると思っていたのに、これじゃおちおち負けるわけにもいかない。負けたら兵士奴隷としてどこかに売り飛ばされてしまう。

 天馬は太助たちを救うため、この勝負を受けて立った。仲間たちにも異論はない。ただ天馬たちは人数が足りない。フェイ・ルーン(CV:木村亜希子)の持つデュプリ能力に頼るしかないと思われたが、天馬たちと行動を共にしていた木下藤吉郎(CV:古島清孝)が太助たちの人数を数え出す。それは天馬たち6人に対し、ちょうどイレブンを構成することが出来る人数の5人だった。

 彼らを起用してみてはどうかと藤吉郎は提案する。フェイの負担が減らせるというこの提案は好条件だった。それで決まりと話を進める藤吉郎に対し、クラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)が大監督の面目にかけて異論を挟む。



 ……かに思えたが、結局賛成。要は監督である自分の意見を聴けという単なるワガママだった。熱気バサラみたいな奴っちゃな〜。


 そしてまたも取り出す万能スイッチである「ワンダバスイッチ」を押すと、太助たち5人の着物が一瞬で雷門ユニフォームに変化する。ユニフォームはチームの証であり、同じ目的に向かって戦う仲間だということをビジュアル的にも強く意識させ、証明させるものであると天馬がその意義を説明する。太助たちもそれを受け、着慣れない衣装にもまんざらでもないようだ。ワンダバスイッチという不可思議な現象には目が行かず、天馬くんの説明ですぐに納得するところが素直で騙されやすいサッカーバカ少年の素質あり。



 意気上がる太助たち新規雷門メンバー。左端の子はベロ出しキャラで、デュプリのスマイル(CV:折笠富美子)とちょっと被ってる。


 ベンチであるフィールドサイドでは、この用兵の大胆さにワンダバが感心する。その作戦を立てた藤吉郎は、仲間をさらわれ、自分たちも危機に陥いった境遇を知る彼らなら、白鹿組に勝ちたいと思う気持ちも強いはずだと言う。後に信長軍で部下を自在に使いこなし、武功をたくさん立てた秀吉の才能の一端をここで早くも見せる。


 そしてこの戦いを実況&ジャッジする人間。これがまた相変わらず同じ人選なのが泣ける。現代から換算して10年前の海の家でお好み焼きを焼いていた矢嶋陽介(CV:佐藤健輔)に白羽の矢が立つ。いつもの焼きそばはいつも未完成なのでお好み焼きに切り替えたか?



 戦国時代に召喚された矢嶋は、ホイッスルの代わりに法螺貝(ほらがい)というTPOに合わせたような出で立ちをしており、呼び寄せたベータの気遣いが感じられる(こんなところで気を遣うより、もっと別の人選をしてやれよと思うが)。ちなみに今回で初めて嫁さんの名前が矢嶋成海(CV:佐々木日菜子)であることが判明。


 手にしたマイクにブレインジャック(精神支配)された矢嶋は、酷使されながらもお構いなしにノリノリで実況役を務め始める。視聴者である私も知らない白鹿組の選手名などをいきなり呼び始めるのでビビるが、おそらくブレインジャックと同時に両チームのメンバー名も脳に刷り込まれたのだろう。

 そして遅れて駆けつけたお勝(CV:高垣彩陽)が見守る中、試合開始の笛……もとい法螺貝が鳴り響く。



 剣城京介(CV:大原崇)にパスを渡したまま、ボーッとしている太助にゴール前に上がれと指示を出す天馬。現代サッカー初体験の太助には、そのゲームの組み立てはおろか、ゴールにボールを入れれば得点になるという基本的ルールすら分かっていないのだ。太助以外の4人も呆然と立ちっぱなしの状態で、これではまともな試合に持ち込むのは難しいと思われる。

 サッカーの基本的なやり方すら教えていなかったことに、今更気付くワンダバ。自分もこの作戦に賛同したくせに、その全責任を藤吉郎に押し付けるという醜(みにく)い行為に及び、空野葵(CV:北原沙弥香)に窘(たしな)められてしまう。

 ベータは敵チームのその間の抜けぶりに可愛らしく笑い声を上げたかと思うと、突如本性を現し、部下の白鹿組のメンバーに指示を出す。



 「てめぇら、奴らを蹴散らしてやれぇっ!!」


 ボスからの語気荒い叱咤(しった)はメンバーに勇気を与えたのだろうか、剣城のボールに激しくスライディングしてボールを奪う10番の凶悪ヅラ(正式名称ではありません)。すかさずヒールでバックパス。草鞋(わらじ)を履いてのプレーとは思えないテクニシャンぶりだ。

 そしてパスをつながれ、一気にゴール前へ。天馬から指示を受けた獅子丸だが、やりようが分からず、たじろいでしまう。そして棒立ちの状態で10番の必殺技「ツバメ返し」を喰らってしまう。



 そしてボールはMFの髪型サザエさん(正式名称ではありません)へと渡る。そしてFWのアイパッチの前林との合体技「火縄バレット」を放つ。その強力な火力は、キーパーの西園信助(CV:戸松遥)に反応する暇さえ与えず、豪快にゴールネットを揺らす。




 均衡(きんこう)が崩れ、この試合、白鹿組が先制点を挙げる。必殺技を惜しみなく繰り出し、しろうとが5人混じっている雷門混成チームに対し容赦ない攻撃だ。さすがに悪い無頼者の集団だけはある。ただそれら必殺技がこのサッカーのない時代の人間が軽々しく使える訳がない。おそらくその能力もベータによって与えられたものであると思われる。



 自信満々の白鹿組。前の2人が「火縄バレット」を使った髪型サザエさんとアイパッチの前林。前林は人外級のブサイクが揃う白鹿組の構成員の中でも珍しくカッコ良い外貌。このカッコ良さは懐かしのキャラ、佐久間次郎(CV:田野めぐみ)に通じるものがある。でも悪人。まさか先祖じゃないだろうな?



 そして試合再開。ボールを持った太助に、神童拓人(CV:斎賀みつき)が今更ながら個人技であるドリブルの方法を教える。そしてパスの指示を出す。言われたことを着実にこなす太助は、自らのプレーに自信を深める。

 太助のナイスプレーを反故(ほご)にするわけには行かないと、剣城も張り切る。立ちはだかる巨漢のオッサンを抜き去り、そしてまた太助にパスを返す。先ほどのプレーに自信を持った太助は、囲んできた2人の敵をドリブルで一気に抜き去ってしまう。太助も天性のサッカーセンスを持っているのだろう。現代に生まれていたら、楽しみな選手になっていたかもしれない。


 太助「分かってきたぞ! サッカーてぇのが!」


 その太助の心境の変化までもを、藤吉郎は目ざとく見つける。後に戦場の大将としても名を馳せる彼のことだ、選手の動きを見る目を持っている。太助が天性のプレーヤーなら、藤吉郎には天性の監督の素質がある。

 太助の活躍を受け、獅子丸も発奮するが、やはりまだ初心者。必殺技「オケハザマウォール」でぶっ倒されてしまう。



 「オケハザマウォール」を喰らう獅子丸。今回のヤラレ役はコイツ。浜野海士(CV:金野潤)みたいな奴っちゃな〜。しかし本物の桶狭間の戦いの前に、こんな技名出してしまって大丈夫なのか? 桶狭間が鬼門(きもん)だと今川義元に感づかれたら歴史が変わってしまうよ(何度も書くが、桶狭間の戦いはこの6年後)。


 こぼれたボールはキープした天馬だったが、仲間を傷つけずに勝利するには自分が頑張るしかないと心に期す。化身アームドで攻めようとする天馬だったが、悪人ヅラの2人に強烈なチャージを受け、化身を発動させることが出来ない。部下たちのそのプレーを邪悪な笑顔で見つめるベータの姿を見ると、この作戦は事前にベータから指示が出ていたということを暗示する。

 だが今の雷門の化身アームド使いは天馬だけではない。ならばとばかりにもう一人の使い手の剣城が化身を発動させようとするが、やはり同じようにチャージを受け、邪魔されてしまう。今度は白鹿組のイケメンズにチャージされた分、天馬よりは精神的ダメージはマシか?



 イケメンズの「火縄バレット」コンビにチャージされる剣城。天馬はこれよりブサイカーズに激突されたので、ダメージも大きかったに違いない。


 剣城まで潰されてしまう展開に雷門側は打つ手がない。ベータの号令一閃、一気呵成(いっきかせい)に攻め上がる白鹿組の構成員。神童は仲間に守りを固めるよう指示を出し、自らは化身を発動させて対抗しようとする。天馬、剣城とアームド使いが封じられる展開に、第3の化身アームド使いに自分がなろうという意思の発露(はつろ)だった。

 だが化身「奏者マエストロ」の発現こそ成功したものの、主人のアームドの掛け声にマエストロは反応しない。アームド失敗に、責任感の強い神童は激しく落ち込んでしまう。その隙を突き、10番の悪人ヅラが化身「妖鬼カマイタチ」を召喚し、化身必殺技の「疾風の刃」で神童を攻撃する。




 神童が傷つけられ、神童命の山菜茜(CV:ゆりん)が悲鳴を上げるが、この場にはもう一人神童命の女性が観戦していた。お勝だ。


 お勝「拓人様!!」


 そして邪魔者を排した白鹿組は、またも必殺の「火縄バレット」で雷門ゴールにその照準を向ける。




 戦国時代の必殺兵器である火縄銃「種子島」を模したそのシュートは信助を撃ち抜き、ゴールを強奪する。これで試合は0−2と、白鹿組絶対有利の展開となってしまう。そしてそこで前半戦終了の法螺貝が鳴る。


 前半を一方的にやられる展開で折り返し、雷門の選手たちも元気がない。最終防衛ライン担当の信助が、おのれの不甲斐なさを詫びる。自チームが情けないというだけではない。白鹿組のチーム編成が見事であることもこの苦戦の原因であることは間違いない。ベータの戦略と、白鹿組構成員の性格がうまく噛み合い、相乗効果を得ているのだ。

 それに比べて、太助たちは初心者の自分たちがチームの足を引っ張っているとして項垂(うなだ)れる。深く詫びる太助たちを、天馬は優しく励ます。やはり彼はキャプテンとしての自覚を持っている。だがそれでは真の意味で彼ら、そしてチームのためにならないということを知る男が口を挟む。

 藤吉郎だった。彼は太助たちにダメ出しをする。その上で後半は自分の考案した通りに動くよう、太助たちに指示を出す。自信満々なその態度は、聞く側に一切の異論を差し挟ませない力強さに満ちていた。



 後半戦がスタートしようとしていた。



 後半戦開始直前の雷門の布陣。太助たち5人を後衛に下げるという作戦。これは藤吉郎の考案したものだ。白鹿組の方は前半戦と変化なし。


 藤吉郎は白鹿組が攻撃には長けていても、防御には穴があるということを前半戦の戦いぶりを見て見抜いていた。彼の考案した防御が効果を発揮すれば、一気に攻勢に転じて勝利することが可能だという。選手の起用からその戦略の変化まで、今のところ藤吉郎が雷門の監督と見て間違いない。ワンダバがやったことと言えば、序盤の責任転嫁ぐらいだしな。


 そして後半戦開始の法螺貝が鳴る。果敢に攻めてくる白鹿組をあっさりと通してしまう雷門の前衛。その消極的に見える動きを見て、白鹿組はさらに強気に攻めてくる。

 だがそれこそが藤吉郎考案の作戦の思う壺だった。神童の号令の元、後衛に回された太助たち5人が行動に出る。2人がかりでスライディングタックルを仕掛け、前林が飛び上がった着地を3番目の矢として太助が迎え撃つ。



 時間差による3人がかりの防御網は見事にツボにはまり、ボールを奪取することに成功する。彼我(ひが)の実力差を縮めてしまう、藤吉郎の用兵の妙である。作戦が見事に決まり、葵、瀬戸水鳥(CV:美名)、茜の3人も大喜びだ。

 そして太助は一気に前線に留まっていた天馬にフィード。長年同じチームで戦う実力者が揃う前線の連携はバッチリだ。パスを華麗に回し、一気にゴール前へ。そして前がかりになっていた白鹿組の邪魔が入らない場面で、ついに剣城が化身「剣聖ランスロット」を召喚し、それを素早くアームドする。

 化身アームドそのものを見るのは初めてなのだろう、白鹿組の選手たちは激しく動揺する。その威容に目を見張るキーパーに構わず、剣城は豪快なシュートを撃ち込む。なんの能力も持っていなさそうなキーパーはそのシュートを止められず、後半戦最初の得点は雷門が挙げることに成功する。天馬たちの歓声を受け、背中を向けたまま拳を握ってみせる剣城がカッコ良い。



 キャライメージ的に見せないが、きっと顔はニヤケてるはずだ。


 作戦が見事に決まり、太助たちも喜び、そして自分たちもやれるという自信を得た。ベンチでもワンダバがこの作戦の立案者である藤吉郎を褒める。藤吉郎の優れた目は、太助が攻めるよりも守りに向いているということに気づいていたのだ。また彼我の実力差にも考えが及んでいた彼は、一人では敵(かな)わない相手を3人がかりで対抗するという方策を取ったことも明かす。

 この21年後、長篠の戦いにおいて戦国時代最強と言われた武田騎馬軍団を、弱体だった織田軍は鉄砲の三段撃ちで打ち破り勝利している。まさにそれを先取りしたかのような作戦だった。ワンダバはわずかな時間見ただけで彼らの能力と対処法を見抜いた藤吉郎の眼力に感心する。

 そしてその作戦は太助たちに一層の自信を与えるという形でチーム力の底上げに役立っていた。さらわれた友を取り戻すという使命感にも目覚めた太助たちは大いに意気が上がる。それを遠めに見ていた信助にも、その思いが伝わってくる。友を助けたいという強い気持ち、それを自らも見習おうと信助は気合を入れる。


 信助「ボクも負けちゃいられない!!」


 試合は失点を喫した白鹿組のキックオフで再開される。1点を失ったことで気合が入ったか、それとも怖い怖いボスからの圧力に必死になったのか、白鹿組の攻撃がより一層キレを増す。藤吉郎も認める通り、攻撃能力は高いチームだ。怒涛(どとう)の攻めで、一気にゴール前に迫る。

 そして三度目の「火縄バレット」が雷門ゴールに放たれる。2度までもこの技で失点している訳で、雷門に訪れた大ピンチだ。



 だが今の信助はこれまでの彼ではなかった。太助たちの友を思う強き心に触れた信助は、同じく自らが守りたいもののためにその力を使う。化身「護星神タイタニアス」を出し、力強くアームドの掛け声を上げる。タイタニアスは主人のその心に応え、その姿を信助の身にまといつかせる。

 化身の加護を十全に受けた信助は、今まで止められなかった強力なシュートに敢然と立ち向かう!!




 化身アームドした信助は、見事に「火縄バレット」を阻止する。雷門に誕生した3人目の化身アームド使いの存在は、今後の戦いにおいて圧倒的硬さをもって、前で戦うメンバー一同に安心感を与えることだろう。

 敵方の最強の攻撃手段を封じた今が攻め時だと判断した神童は、味方一同に総攻撃を指示する(本来はキャプテンである天馬がしないといけない指示なんだけどね)。信助の化身アームドという誰の目にも見える追い風を得て、味方の意気が上がり、敵の気力が消沈しているタイミングだからだ。そのチャンスを無為に過ごすわけには行かない。

 信助から神童にパスが渡る。神童は彼の代名詞である「神のタクト」で錦、天馬、剣城に矢継ぎ早に、かつ的確に攻撃のコースを指示する。



 天馬を差し置いて、まるでキャプテンのようにゲームメークする神童。化身アームドこそ未だ使えない神童だが、彼にはこの「神のタクト」がある。


 そしてその指揮者としてゲームを統(す)べる能力は太助たち新参の選手たちにも及び、見事にチームを一丸とさせるハーモニーを奏(かな)でる。この辺の雷門の大攻勢は、観ていてワクワクさせられる。「シン様カッコイイ!」と、茜ならずとも言いたくなるすごく良いシーンだった。



 「神のタクト」の指示に従い、パスを回す太助たち。だがその中で一人ハブられているフェイの姿が。キミ、デュプリを使わない分、フルパワーで戦えるはずだったのに、試合中のこの空気っぷりは何なの? 太助の友達のチョイ役ですらボールに触れているというのに……。


 神童の指揮は、まさにオーケストラを統べる指揮者のそれだった。そのあまりのカッコ良さに、サッカーなど知らないお勝も目を奪われてしまう。


 ラストパスを受けた錦は、化身「戦国武神ムサシ」を発現させ、化身必殺技「武神連斬」でゴールを奪う。白鹿組のキーパーはやっぱり必殺技すらないようで、普通の化身シュート技でも十分に通用する。



 「戦国武神ムサシ」の「武神連斬」。この時代には最もマッチしている技だと言えるだろう。


 これで試合は2−2と、雷門が追いつく展開となる。後半に入って、完全にペースは雷門のものだ。後半に入って自分たちの攻撃が一切通用しなくなり、見る見る戦意を喪失させる白鹿組の構成員。彼らにとって縋(すが)る存在は姉御であるベータしかいない。

 だが藤吉郎と違って、ベータにいざという時に子分たちを救おうという発想などない。「役たたずは負けちゃいなさい」と笑顔で部下たちを見捨て、去ってしまう。見捨てられ、白鹿組の士気が一層低下するのは当然だ。

 そこからはもはや一方的な雷門のターン。これまた時代にピッタリの錦の必殺技「伝来宝刀」がゴールに突き刺さり、試合は逆転、雷門がこの試合で初めてリードを奪う。その後も手を緩めない雷門は、剣城の「デスドロップG3」で差を拡げる。

 さらにさらに攻勢をかける雷門。太助がシュートを放つが、それは惜しくもポストに当たって跳ね返る。だがそこに駆け込んだ天馬が競合する敵選手2名を必殺技「アグレッシブビート」で打ち倒す。



 そしてとどめとばかりに、必殺技「真マッハウィンド」で敵のザルキーパーごとゴールネットを貫き、ダメ押し点を奪ってしまう。



 終わってみれば、10−2という圧倒的な勝利、エクストリーム公開処刑といっても良いぐらいの完勝だった。

 勝利に湧く雷門だったが、何より信助の化身アームド成功がこの試合の最大の収穫だった。天馬だけでなく、いつもは冷たい剣城からも拳を合わせる激励を受け、信助も嬉しそうだ。そんな後輩たちの喜ぶ姿を、思惑ありげな表情で見つめる神童。

 神童に沈殿(ちんでん)するその心を見透かしたか、同じく未だ化身アームドを会得していない錦が明るい表情で声をかける。後輩たちに負けてはいられないという言葉を聞き、神童も強気な笑みを浮かべ、同意する。



 さて、残されたのは戦後処理だ。敗北の上、厳しく取り締まられることが必定の白鹿組はその場からこっそり逃げ出そうとするが、11人もいては目立って仕方がない。藤吉郎にあっさりと見破られてしまう。



 逃げ出そうとする白鹿組。こんなこっそりとした格好をしても無駄だ。


 尋問の結果、これまで白鹿組がさらった子供たちは、信長の敵である今川義元のもとに売り飛ばされたという。さらった子供を兵士にするという卑劣な考え方に錦が激昂(げっこう)する。今川軍が急速に兵力を増強しようとする理由として、お勝がその事情を知っていた。義元が近々京に上洛(じょうらく)するという噂があり、それに当たって兵力増強が必要となるらしい、と。



 その頃、白鹿組をあっさりと見捨てたベータはエルドラド本部で議長のトウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)に、今回のミッションが失敗に終わったことを報告していた。今回のミッションは議長であるトウドウの発案だったらしい。ベータは驚くことにトウドウに対して、作戦が回りくどいと苦言を呈する。

 だがそれはやむを得ないことであった。歴史に介入する立場として、出来るだけその影響を小さく抑えないとタイムパラドックス崩壊が起こって危険なのだという。トウドウはそれを天秤にかけ、やむを得ず戦力を現地調達したのだろう。

 その発想で次の作戦も動くこととなる。つまりその時代の、信長に敵対する人物や団体を利用して、天馬たちの行動を抉(くじ)くということだ。そのターゲットとしてトウドウが考えている人物、それは信長のライバルであり天敵でもある今川義元であった。それらの考えを聞かされ、ベータは納得の表情で次の指令を待つと言って笑顔を浮かべる。



 一方、宿舎とする古寺に戻って相談する天馬たち一行。白鹿組の背後に控える今川義元の存在。それは歴史に実在する武将として、細心の注意が払われなければならない事案なのだ。この時点で義元は天下取りに一番近い存在と言われている。ワンダバのその言葉を、なぜかメンバーに同行してきていた藤吉郎が一蹴(いっしゅう)する。彼にとっては尊敬する信長こそが天下統一を果たすべき人物なのだ。

 実は藤吉郎のその見立ては大正解で、義元は桶狭間で信長に討たれ、その命を落とすことになる。その時代の人間である藤吉郎に聞かせるわけには行かない話なので、横になって眠る藤吉郎を横目に、神童は声を潜めてそのことの確認を仲間たちに取る。

 だがフェイが、プロトコル・オメガが介入すれば、その歴史通りにはならないかもしれないと懸念を表明する。戦いが始まる前に、信長のオーラを手に入れるしかないと神童は提言する。チャンスは近々に開催されるという「花見の宴」だ。だがその会場に侵入する手段が思いつかない。


 妙案が思いつかないまま、夜が更けたらしい。就寝する一同。

 だがただ一人、ユニフォームに着替えて外に出る人物が。それは神童だった。移動する神童の影が月光を一瞬遮(さえぎ)り、茜が目を覚ます。神童命の彼女だけあって、勘が鋭い。


 後を追ってきた茜が木陰から見守る先には、月明かりの中、リフティングに打ち込む神童の姿があった。神童は悩んでいた。信助が先に化身アームドを会得し、自分はまだその使い方を極められないという現状に焦り、悩んでいたのだ。さらに彼にはこの時代で信長とのミキシマックスを成功させなければならないという使命もある。重い義務感は、生来の真面目な性格である神童を押し潰さんばかりであっただろう。こうして寝ることも出来ず、ただ身体を動かすことでしか、その焦燥感をコントロールすることも難しかったに違いない。



 そんな神童に声がかかる。声の主はお勝だった。月光の中での神童の見事なリフティングを、まるで月と踊っているかのようだとお勝は詩的に表現する。お勝は眠れないほどの悩みを抱えていた神童の心にも気づいていた。神童は心の内を見透かされたことを隠し、信長と会う方法を考えていたとごまかす。

 近距離で神童と語らうお勝の姿を見て、茜の嫉妬の炎がまたも再燃する。


 信長と会うという目的を持つ神童、だがその望みが叶うと、神童はこの地を去ってしまうということを、お勝は何となく感じ取っていた。そのことを確認しようとするお勝だったが、出過ぎた行為と口をつぐむ。そしてお勝は大事な気持ちを隠しつつ、精一杯の想いを込めて、神童の踊るような蹴鞠が見れなくなるのは寂しいと告げる。

 その言葉は陰で見ていた茜に何やらインスピレーションを与える言葉となる。茜は隠れて立ち聞きしていたことを忘れ、大声でそのヒラメキを告げるのだった。



 この絵を見る限り、ただ単に2人の良いムードを壊したかっただけなのかもしれない。だとしたら茜、恐ろしい子……。


 屋内に戻って一同に改めて説明される茜の思いつき。それは深夜の森の中に木霊(こだま)するほどの驚愕の声をもって迎えられる。それは、天馬たちが踊り子となって祭りの宴席に侵入するというものであった。神童のリフティングが踊っているように見えたというお勝の感想をもとに、リフティングすればこの時代の人間には踊りに見えるという茜の発想だ。リフティングはサッカー部員の彼らにとっては十八番(おはこ)であり、難しいことではないはずだ。

 踊り子という発想に驚く天馬だったが、よくよく考えて見れば花見の宴に侵入するには、それは確かに良いアイデアのように思えた。ワンダバは大いに乗り気で、可愛い踊り子に変装して宴席に侵入することを厳命する。



 ワンダバ「名づけて、踊り子大作戦だ〜っ!!」


 その言葉に、「可愛い踊り子」という言葉から最もかけ離れた存在であるはずの錦がなぜかノリノリで返事する。なんで錦が? 一抹の不安を抱かせながら、この大作戦は実行に移されようとしていた。作戦に対し、まだ半信半疑の天馬の疑問の声が、夜の闇を切り裂く。


 天馬「ホントにやるの〜!?」



 次回に続く



  エンディング



 まるで前回にこちらがケチをつけたのを読んでいたかのようにサッカー回となった今回。他にも疑問に思われていた、太助がスターティングメンバーに名を連ねていた理由などがちゃんと説明づけて描かれていた。こういうの、後出し禁止。

 敵である白鹿組の選手が使った技名(「ツバメ返し」「火縄バレット」「オケハザマウォール」)がこの時代にマッチしていて、能力を与えた(教えた?)ベータも時代設定がよく分かってるじゃんと感心したりしてね。矢嶋の格好もちゃんと戦国時代だったし。


 そして前触れもなく、3番目の化身アームド成功者が誕生した。信助がアームド出来るようになると、守りが一気に硬くなったという印象。信助のアームドはある意味一番待ち望まれていたモノと言えるかもしれない。ただそれでまだアームド出来ていない神童のガラスのハートを傷つけているという面はある。あまり泣かなくなった神童だが、メンタルが弱いという性格はまだ受け継がれている。


 次回は一転、面白パートになりそうな雰囲気だ。まさかの女装回になるとは……。錦が一番ノリノリだったのは何故なんぜよ? 神童はミキシマックスする当人だから侵入する人物として女装することになるのかなぁ? 今いるメンバーでは一番女装が似合いそうだけどね。霧野蘭丸(CV:小林ゆう)がいたら順位が替わるんだけど。



 今回カッコ良い化身アームド姿を披露した信助も、この有様。信助はリフティングが下手そうだから、給仕役に回されたのだろう。



  次回「潜入!踊り子大作戦!!」に続く。



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