『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第10話「衝撃の再会!円堂大介!!」の感想 【やはり円堂の血筋は熱かった!】

 毎週水曜日夜7時からテレビ東京系列で放映されている超次元おもしろアニメ『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』の恒例の感想文。今回はその第10話「衝撃の再会!円堂大介!!」を観ての感想を書く。

 今回もまた加筆修正すると思います。また今回に限らず感想文は毎回書き足しや書き直しをしていますので、しばらく時間を置いて再度読んでもらえると非常にありがたいです。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第9話「覇者の聖典を手に入れろ!」の感想 【博物館のお遊戯を超えた超次元サービス】
 をご覧ください。

 で、一覧表示されます。

 で、一覧表示されます。

 すっかりここが悪だくみの場所となった感があるが、夕暮れの鉄塔前に鬼道有人(CV:吉野裕行)がある人物に呼び出されていた。その相手とは、豪炎寺修也(CV:野島裕史)。かつて共に雷門中学サッカー部に所属し、日本一となった伝説の2人が一堂に会した。サッカー禁止令が発令された現代において、天才と言われたストライカーが同じく天才ゲームメーカーを呼び出したのだ。何かが起こると思えるのも無理はない。



 豪炎寺は鬼道に、同じく雷門で同じ釜の飯を食ったキーパー・円堂守(CV:竹内順子)を救い出したくはないかと語る。歴史上、死んでしまったはずの円堂を救うという言葉の意味が、タイムジャンプやエルドラドなど200年後の話が前提にないとにわかに理解できるはずもない。だがおそらく鬼道は二つ返事で豪炎寺の意見を了承したはずだ。彼らにとって、互いの絆を繋いだキャプテンを救う可能性があると聞かされたなら、どんな荒唐無稽(こうとうむけい)なお話であっても飛びついたであろうから……。



   オープニング(感動共有!)



 翌日の雷門町。雷門中学を擁(よう)し、少年サッカー界のメッカと言われるこの地にも、サッカー禁止令の法律は容赦なく厳正に適用されていた。政府の車だろう、子供たちの前で拡声器でサッカーの害悪をがなりたて、サッカーボールやユニフォームなど用具の供出、処分を通達する。


 そんな喧騒をよそに、木枯らし荘の松風天馬(CV:寺崎裕香)の部屋では、前回200年後のサッカー博物館から借用してきた「覇者の聖典」を前に天馬たちが難しい顔をしてうなっていた(覇者の聖典に関しては盗んだのではなく「借りてきた」とエクスキューズしているのがミソ。正義の天馬くんサイドが窃盗という犯罪を犯したというのは教育上よろしくないから。ただし、ロボットを破壊しまくっての無断借用なんだけどね)。

 未来から奪って……もとい、無断で借りてきたのは良かったのだが、懸念されていたように、その本文は著者であるマスター・Dの方針により暗号で書かれていた。その暗号を解読しなければ、この聖典も宝の持ち腐れとなってしまう。

 あまりに複雑な内容に、西園信助(CV:戸松遥)は本当に文字なのかということすら疑い始める。空野葵(CV:北原沙弥香)、瀬戸水鳥(CV:美名)、山菜茜(CV:ゆりん)といった女子マネージャー陣も同調的だ。彼らに錦龍馬(CV:岩崎了)が加わって喧々諤々(けんけんがくがく)の議論が交わされる。この聖典のノートが現代のものということから、今の時代に書かれたものだと茜が推察する。それを聞いた錦が「マスター・Dを探して直接聞くぜよ」と提案するが、それが誰だか分からない以上、探しようもないと水鳥に一喝され、あっさり却下される。



 サッカーバカ(褒め言葉)の錦(右端)の考えはあてにならない。


 そこに差し入れを持って、天馬の親戚の木野秋(CV:折笠富美子)とサッカー部顧問の音無春奈(CV:佐々木日菜子)の2人が入って来る。彼女たちは天馬が熱心に読んでいたノートを見て、それが彼女たちが中学生時代、円堂が持っていたノートと同じ文字で書かれているということに気づく。解読法の手がかりを持っている2人が都合良く現れるのは、やはりアニメのご都合主義なところではあるが。



 彼女たちが言うには、それは円堂の祖父・円堂大介(CV:藤本譲)が孫である守のために書き残した特訓用のノートだったらしい。つまりそれと同じ字で書かれたこの覇者の聖典の著者は、取りも直さず円堂の祖父・大介であったということになる。マスター・Dの「D」は「Daisuke」のDであったということだろう。またその字は暗号などではなく、大介の単なる悪筆だということもここで発覚する。

 サッカーの最強のチームを作る手段が書かれているという覇者の聖典が、まさかこんなに身近な人物が著(あらわ)したものであるという意外性に皆が驚く。クラーク・ワンダバット(CV:吉野裕行)の渾身のギャグを無視して、懐かしい昔話にキャッキャウフフの面持ちで語り合う秋と春奈が楽しい。

 大介の文字を読めるのは円堂だけだという春奈の言葉を聞いた信助は、円堂に読んでもらえば良いと顔をほころばせて話す。名案ではあるが、それは不可能であるとフェイ・ルーン(CV:木村亜希子)が告げる。後を受けたワンダバの説明によると、円堂はエルドラドに囚われの身となって以来、存在するすべての時間軸においてエルドラドの厳重な監視下に置かれており、どの時間軸にタイムジャンプしても円堂に話を聞くことはおおよそ不可能なのだ。

 だが手はあるとフェイは引き継ぐ。円堂に読んでもらうことは不可能でも、書いた張本人の大介になら会うことも、解読してもらうことも可能だ。現代という時間軸でしか物事を考える癖のついていない春奈は、大介がすでに亡くなっていることを告げる。しかしそれこそタイムジャンプして生存中の大介に聞けば良いのだ。200年後のテクノロジーを持つフェイたちにその点の心配はない。

 ただ過去の世界に移動するには、その道標(みちしるべ)となるアーティファクトが必須だ。茜はそれを心配するが、それには及ばない。覇者の聖典がその道標となるはずだと、剣城京介(CV:大原崇)がノートを指し示す。


 懸念はすべて解消され、今後の方針も決まった。過去の世界に行き、大介に会うことが次の彼らの目的となる。そして覇者の聖典の解読を頼むのだ。



 一方、エルドラド最高会議の円卓前に召集された、「プロトコル・オメガ2.0」の面々。チームリーダー・ベータ(CV:伊瀬茉莉也)の後ろで膝まづき、議長であるトウドウヘイキチ(CV:相沢まさき)の沙汰(さた)を待つエイナム(CV:野島裕史)たちチームA5の表情には緊張の色が浮かぶ。



 ベータの後ろ、後列左からザノウ(CV:岩崎了)、ガウラ(CV:佐藤健輔)、エイナム、レイザ(CV:藤村歩)、クオース(CV:大原崇)。


 トウドウは無許可で出撃し、なおかつ負けて帰ってきたエイナムたちにかける情けなど持ち合わせてはいなかった。自分との主従関係よりも前リーダーのアルファ(CV:谷山紀章)との信義を重視した行為も厳罰に処するに十分な理由だ。無慈悲(むじひ)にエイナム以下5名をムゲンロウゴク送りにすると告げる。

 エイナムたちの表情が絶望と恐怖の色に染まる。だがそこで意外な人物が彼らに助け舟を出した。それは無慈悲さにかけては本作登場人物中、最凶のキャラクター、ベータだった。トウドウと同じく自分の存在を無視され、アルファを選んだ彼らをベータはなぜか弁護する。

 これまでのベータの働きに対しては評価しているトウドウは、もう一度だけチャンスを与えて欲しいというベータのその弁護混じりの提案を許可する。ベータの裁定で危ういところを救われたエイナムは、(かなり)不本意ながらベータのために働くことを受け入れざるを得なかった。ベータは嫌いだが、ムゲンロウゴク送りはもっと嫌なのだろう。



 そして現代、過去の大介に会いにいくということで木枯らし荘の中庭に停車しているキャラバン前に集う天馬たち。張り切りすぎたワンダバがこけるというハプニングが起こるが、もはや誰も笑わずワンダバの株価はだだ下がりだ。

 そこにやって来たのは、豪炎寺から天馬たちに協力を依頼された鬼道だった。



 普通にやって来る鬼道。中の人的に、はっちゃけキャラのワンダバと共演することになるとは思っていなかったんだけど。


 鬼道はワンダバと同じ声とは思えないぐらい冷静な口調で、このキャラバンに加わる趣旨を説明する。豪炎寺が動いてくれていたということを聞き、さらに鬼道という頼もしい存在が加わったことにより、天馬たちは大いに勇気づけられる。


 これで役者は揃った。

 鬼道を載せ、キャラバンはアーティファクトである覇者の聖典の導くまま、時空を越える過去への旅路に出発する。見送る春奈と秋、そしてサスケ(CV:佐藤健輔)の2人と1匹。実の兄である鬼道が同乗していることから来るのか、春奈はいつもより心配そうに消え去ったキャラバンの行方(ゆくえ)を見守る。それをすべて分かっているふうな表情で暖かく見つめる、春奈より一つお姉さんの秋の姿がまた印象的だった。




 南国の日差しが照りつける一角に佇(たたず)む白亜の病院。その中庭部分にキャラバンは着陸する。アーティファクトの導きによれば、大介はここにいるはずだ。

 まだサッカー禁止令が成立する前の時代、中庭では子供たちが楽しそうにボールを追いかけ、サッカー遊びに興じていた。久しぶりに見る、自分たち以外のサッカー姿に天馬たちの表情は自然とほころんでしまう。楽しそうにサッカーする姿は、周りにいる人たちまで楽しくしてしまう。そこがサッカーの魔力と言えるだろう。



 この国の子供たち。もしかしたら彼らにサッカーの楽しみを伝授したのはマスター・Dこと、大介なのかもしれない。彼の性格からして、その可能性は高そうに思う。


 天馬「やっぱりサッカーって、いいな!」


 いつもはニヒルな剣城ですらうっすらと笑っているぐらいだ。サッカーの良さを改めて実感する天馬たちだった。


 錦が思い出したようにジャージの襟をめくって暑さを訴える。南国の日差しは彼らに、ここが日本ではないということを思い起こさせる。ワンダバはどこから出したのかと問い詰めたくなるようなサングラスを掛け、ここが常夏の国「トンガットル共和国」であることを教える。そういえば子供たちを含め住人の髪型もみんなとんがっとるな。

 大介はこの病院に入院している。11年前のサッカーボールフロンティア世界大会決勝後、大介はコトアール共和国から世界にサッカーのすばらしさを伝える旅に出たことになっていた。その彼の最後の伝導場所が、この地だったのだろう。

 おそらく大介の人生が黄昏(たそがれ)を迎えようとしているタイミングでの訪問なのだろう。それを察したのだろうか、入院していると聞かされた葵の表情が曇る。


 病院に確認を取ったところ、やはり大介はこの病院に入院していた。勇んで病室に向かおうとする錦だったが、それを葵が制する。大介の病状を気遣う葵は、大勢で押しかけて迷惑をかけてしまうのではないかと心配する。

 生前の大介に会ったことがあるのは、この中では鬼道だけだ。自分が会いにいくと告げる鬼道に、天馬も同行しようとしたが、それは神童拓人(CV:斎賀みつき)が改めて制する。鬼道一人に任せたほうが良さそうだと判断したのだろう。確かにKYの天馬が行くのは視聴者である私も反対だし。

 天馬は覇者の聖典を鬼道に託し、上手く事が進展することを祈る。



 そんな天馬たち一行の様子をずっとモニターし続けていたのが、ベータだった。エイナムがこのままにしておいて良いのかと訪ねるが、ベータは至って余裕の表情だ。そのベータの底知れない態度に、エイナムはやはりリーダーとしてこの女についていくことの不安を感じる。



 大介の部屋は2階の日当たりの良い明るい一室だった。外からは子供たちの遊ぶ声が聞こえ、晩年を迎えた大介に生きることの希望を伝えるかのように思える環境だった。



 円堂大介。病床の身でありながら、現役の時と同じ帽子、そして監督の時のトレードマークだったサングラスを掛けている。サッカーに対する情熱はいささかも衰えておらず、屋外からの子供のサッカー遊びの喧騒にも思わず惹かれている様子が微笑ましい。


 そこにやって来る来客。声をかけられ、すぐに鬼道であることに気づくのだからやはりその眼力は衰えていない(この段階の大人の鬼道は見たことがないはず)。鬼道はまずは大介の体調を気遣い、世間話から入る。

 大介は、鬼道がどうしてこの場所を探し当てたのかを不思議がる。今この地にいるということは、一人を除いて誰にも教えていないはずなのだ。その一人、孫の円堂から聞いたと合点する大介だったが、鬼道はそれには答えず、事務的に覇者の聖典を取り出し、提示する。

 大介はそれが自分の書いたものであることを認める。それは大介が円堂に授けた、遺言ノートだという。やはり覇者の聖典の著者、マスター・Dは大介のことだったのだ。

 円堂から渡されたのかと聞かれ、円堂は事情があって今はいないと告げる鬼道。鬼道は極めて事務的にノートの中身を聞かせて欲しいと詰め寄る。円堂が死んだのかという大介の質問を鬼道は肯定し、その円堂を救うにはこのノートの解読が不可欠なのだとさらに詰め寄る。

 だがその態度は大介の気分を害してしまう。そういう心の機微にはあまり頓着(とんちゃく)しない鬼道の態度が裏目に出た印象だ。鬼道の言葉の意味を理解できないと大介は突き放す。

 鬼道は諦めずにノートの内容を問うが、大介は孫やサッカーの未来がかかっていると言われても、その内容を教えるわけには行かないと、断ってしまう。もし仮に内容を知ったとしても、お前たちにはどうにもならんと冷たい態度に終始する。

 そして「サッカーが強くなることは、あくまで結果論であり、(それ以前に)競い合うことを楽しみ、熱くなって、体と心が強くなれる、それがサッカー」なのだとサッカー人(びと)としての心構えを説き、そんなことすら理解していなかったのかと、鬼道を強く叱責する。今の大介に、取り付く島はなさそうに思えた。残念ながら引き下がるしかないようだった。



 病院ロビーの待合室で鬼道の帰りを待つ天馬たち。後ろの席で突然女の子が泣き出してしまう。お母さんにあやされてもぐずるのを止めない女の子。病院ではよくある困ったワンシーンだ。



 だがそこで信助が電撃系ポケモンの特性を生かす。顔をびろーんと伸ばして面白い顔を作って女の子の気を引き、あやそうとする。



 私はポケモンを知らないので、電撃系ポケモンが本当にこんな特性を持っているかどうかは謎だ。多分ピカチュウはこんな技、持ってない。


 その試みは大成功。さっきまで泣いていた女の子はピカチュウの百面相(ひゃくめんそう)という珍しいものを見たとばかりに大喜びで笑い出す。その優しい配慮に、葵たちマネージャーも信助の機転を賞賛する。

 張り詰めた緊張感を良い感じにほぐすハプニングだった。だがそこで気にかけていた鬼道が降りてくる。何らかの結果を持って帰ってきたわけだが、その厳しい表情からして朗報を持って帰ってきたとは思い難い。


 中庭で、鬼道はこの会見が不調に終わったことを報告する。まさかここまで来て、当の本人が内容を教えてくれないという展開になってしまうとは……。これでは危険を冒して覇者の聖典を盗んで……もとい借りてきたことまでもが無駄足になってしまう。

 今後の展望は、すべてがこの覇者の聖典の解読にあると思っていたわけで、このままではデッドエンド、手詰まりとなってしまう。



 ワンダバが自分が説得に行くと軽口を叩く。これはいつものように戯言(ざれごと)で済まされたが、こんなクマのぬいぐるみが話しかければ、コイツら未来から来たというのもホントかもと頑固ジジイも納得するんじゃね? その前に水鳥の言うように、驚いて腰を抜かす可能性も確かに高そうだが。


 皆がどうすればよいか良策が思いつかない中、葵だけが何か思いつめた表情でいた。彼女は自らが説得役を買って出る。


 再び大介の病室。庭に咲く花を持ってお見舞いに訪れる葵。雷門中学でマネージャーをしていると自己紹介するが、円堂監督というフレーズを聞き、大介は呆れたような口調でそれを否定する。この時代の円堂はまだ監督になってはいないのだから、それも当然だろう。

 殺風景な部屋の花瓶に、摘んできた鮮やかな色彩の花を活け、葵は自分の言っていることが嘘ではないと真剣な表情で向き直る。自分たちが今よりもちょっとだけ未来からやって来たことを告げるが、大介は夢物語と取り合わない。

 だが葵は話を続ける。円堂は最高の監督だと褒めると、大介は孫を褒められたことでホンの少し心を許してしまう。だが慌てて否定し、騙されないと頑(かたく)なに葵の話を否定する。



 葵は自分を疑ってかかる大介を叱りつける。大介が本当に円堂の祖父だというなら、自分の言うことが分かるはずだと切(せつ)に訴える。そして円堂から言い聞かされたあるフレーズを述べる。


 「監督にとって一番大切なことは、チームを守ることだって!」


 その言葉は祖父・大介から円堂に直伝(じきでん)された言葉だ。円堂のことを知らない少女がそのフレーズを知っているはずはない。葵は続けて、雷門の選手たちは自らを犠牲にしてチームを守ってくれた円堂監督に報いるため、チームを、そしてサッカーを守ろうとしていると語る。

 この少女の思いは本物だと、百戦錬磨の大介に見破れないはずはない。それに彼女は自分の孫を心から心配しているということも伝わってきたのだろう。円堂監督もサッカーも失いたくないと悲痛な表情で語りかける葵の姿を見つめ、大介はようやくその頑なだった気持ちを氷解させる。



 頑固だった大介の翻意(ほんい)の決め手は、葵の真剣な眼差(まなざ)しと、最初に摘んできたお見舞いの花の美しさだったのではないだろうか? 葵の優しさに触れ、大介はこの少女が嘘をついていないことを直感したはずだ。このアングルはそれを暗示している。


 大介は突如、呵呵大笑(かかたいしょう)する。年寄りのその山の天気並みの気分の変化についていけず、葵はきょとんとする。大介はもうこの少女を完全に信用していた。大介からそのノートの内容を聞かせてやると言われ、葵も喜ぶ。

 ただ大介は最強のチームを作るにあたって彼が選んだ11人のチームは、絶対に実現することがないと言う。集めることが不可能だと言うその言葉が気になる。大介の頭で描くドリームチームであることだけは分かるのだが……。

 大介は、葵が残してきた他の全員と話がしたいと言い出す。病人とは思えないその生き生きとした表情。彼はこの話を葵から告げられ、まるで往年(おうねん)の生命力を取り戻したかのようだ。

 だがそこに大介の最強の天敵が現れる。この病院の美人看護師さんだ。また抜け出そうとしていたと怒られ、大介は頭を掻いてごまかす。「また」と言われていることからして、彼の病室抜け出しは常習なのだろう。何だか天馬のライバルだった雨宮太陽(CV:江口拓也)を思い出す。サッカー馬鹿は年齢とか関係なく、やりたいことがある時はとにかくまず行動してしまうのだろう。おのれの病気のことすら忘れて……。

 大介は看護師さんには従順に従うフリをして、葵には後で抜け出すと声を潜めて伝える。



 ヒソヒソ話を咎(とが)められ、慌ててごまかす大介じいちゃん。怪しさプンプンすぎる。これでごまかせるとはおおらかな病院なんだろうな。私だったらこんな患者、24時間張り付く。


 そんな感じで話がまとまったことも知らずに、中庭では鬼道たちが今後の善後策を練っていた。そこに、空の色を怪しい赤紫色に染めて、やって来る謎の飛行物体があった。そう、ベータ率いるプロトコル・オメガ2.0の参上だ。



 「エイナムたちが世話になった」と相変わらず可愛らしい口調でベータが遠回しに復讐にやって来たことを告げる。さらに前回失点を重ねたメンバーの一人であるザノウが、覇者の聖典を返すよう要請する。エイナムはベータのしもべである現状の境遇を忘れ、ただ天馬たちを倒すことによってのみ、メンツを保とうとする。


 葵が大介との交渉を成功裡(せいこうり)に成し遂げたことを報告に駆けてくるが、その時には天馬たちはすでにプロトコル・オメガ2.0と対峙中(たいじちゅう)だった。



 持ってるノートが覇者の聖典だとバレたらヤバイことになりそうなので、葵は避難しておいた方が良い。



 戦いは、なぜか病院の裏手に当たり前のように存在するサッカーグラウンドで行われる。人数の足りないチーム雷門は、フェイが自身の化身・デュプリを5体召喚する事で補(おぎな)う。



 例によってフェイの指パッチンで呼び出されるデュプリたち。今回はキーパーのマッチョス(CV:泰勇気)、DFのストロウ(CV:奈良徹)、スマイル(CV:折笠富美子)、ウォーリー(CV:岩崎了)、そしてフェイの影でここには映っていないが、MFのチビット(CV:藤村歩)の5人が呼び出される。この画だと、神童が呼び出されたデュプリの一人のように見えて困る。デュプリは濃淡あれど、どれもフェイ譲(ゆず)りの緑の髪をしているので、そこで見分けよう。


 ベンチではなぜかワンダバが落ち込んでいた。この試合の指揮を当然のように取るつもりでいたワンダバだったが、メンバーはフェイまでも含め、鬼道を監督とすることでまとまってしまっていたのだ。張り切っていた分、その落胆も大きかった。隣に座った茜に慰められるが、その声も聞こえていないようだ。



 コイツの存在感、どんどん無くなっていくな。これで鬼道がこのチームに居座ったら大変なことになるぞ。中の人的に出番も減りそうだし。ミキシマックス出来るのはワンダバだけだから、まだ活躍の機会はあるだろうけど。


 そして正式な戦いには実況がなければならない。その白羽の矢は、なぜかまたまたあの沖縄の海の家の焼きそば男・矢嶋陽介(CV:佐藤健輔)に立つ。10年前の沖縄からいきなり召喚され、戸惑う矢嶋。



 アルファの時代から酷使されてる矢嶋。やはりインプットしたデータをそのまま流用できるから使われ続けているのかな? ちなみに彼が作中で焼きそば作りに成功したケースはまだ一度もない。


 マイクにブレインジャックされた矢嶋は、またもノリノリで実況を開始する。この試合の勝敗には、覇者の聖典がかかっているという。これは今までよりは若干やりやすい展開かも。負けても覇者の聖典が奪われるだけで、それを書いた大介の頭の中にその内容はあるわけで、困らないんじゃないかなぁと。この時点で大介の協力が得られるということを、葵以外はまだ知らないんだけどね。


 お膳立ては整った(審判も矢嶋がやらされるしな……)。

 プロトコル・オメガ2.0ボールでキックオフ。エイナムは雪辱を果たそうと、前回の戦いで返り討ちにあった仲間のレイザ、クオースと共に前進する。天馬は幸先よく必殺技「ワンダートラップ」でボールを奪い取った……



 かに見えた。だが今回は敵もさるもの、レイザがきちんとバックアップに回っており、天馬がキープしたかに見えたボールを再び奪い返す。そしてレイザからクオースにパスが通る。クオースはストロウを一気に抜き去り、前進を続ける。なぜかキャプテンの天馬じゃなく神童が指示を出す中、信助がそのフォローに入るが、クオースは必殺技「オフェンスコマンド04(スピニングアッパー)」を放ち、信助を吹き飛ばしてしまう。



 中の人的に、悪かった頃の剣城のような声で放たれた必殺技「オフェンスコマンド04(スピニングアッパー)」。体格の小さい信助は本当に消し飛んでしまった。


 クオースはゴール前に迫る。ベータがパスを指示するが、クオースはそれを聞かなかったフリでエイナムにパスする。おそらく彼らチームA5の選手たちは、ベータと協調せず彼らだけで戦うことを事前に決めていたのだろう。不満げにため息を漏らすベータだが、彼女の性格上、これはただでは済まないことになりそうな雰囲気。

 とにかく最終パスを受けたエイナムは、必殺シュート「シュートコマンド06(プラズマボール)」を撃つ。強烈なシュートはウォーリーとスマイルを蹴散らしゴールに迫る。最終防衛線のマッチョスが必殺技「エクセレントブレスト」で対抗するが、その威力が減退することもなく、マッチョスごとゴールマウスに押し込まれてしまう。



 化身アームドが相手ではないのだが蹴散らされてしまう。やはりデュプリたちではもう力不足なのだろうか?


 先制された雷門がキックオフのボールをセットする中、それらが窓から一望できる病室では、点滴を打ちながら試合を見つめる大介の姿があった。


 そして試合再開。剣城がドリブルで攻め上がるのを、エイナムとクオースが阻止に動く。剣城は慌てず、おそらく事前に用意していたであろうサインプレーでデュプリのチビットにパス、さらに三角パスされたそのボールは神童に。

 神童にスライディングタックルが迫る。だが神童の広い視野は敵陣でフリーになっている天馬の姿を見い出す。レイザとロボコップことネイラ(CV:佐々木日菜子)のスライディングを華麗にかわした神童は、その天馬にパスを送る。



 このシーンの神童はベタにカッコよかったよね。


 パスを受けた天馬の前に、2人の巨漢、ガウラとメダム(CV:不明)、そしてキーパーのザノウが立ちはだかる。ここは化身アームドで切り抜けるしかないと判断した天馬は迷わず化身「魔神ペガサスアーク」を出し、すかさずアームドしようとする。だがその試みは失敗に終わる。完全に自分のものにしたと思われていた天馬の化身アームドだったが、安定してアームドすることは未だに難しいらしい。

 その失敗で落胆した天馬を、プロトコル・オメガ2.0の選手が見逃すはずがない。ムゲンロウゴク送りが秒読みとなっていて尻に火がついた心境のガウラにボールを奪われ、一気に前線のクオースに送られてしまう。レイザ、エイナムと今度もチームA5だけでパスを回す彼ら。だが信助やストロウといった雷門の選手だけでなく、不気味に笑うベータまでもがエイナムの元には詰めていた。

 シュートを撃とうとするエイナムから強引にボールを奪い取り、天馬に見せつけるかのように、先達(せんだつ)の化身アームドの体勢に入るベータ。彼女の化身「虚空の女神アテナ」を呼び、いとも簡単にアームドしてしまう。



 そしてそこからはもう、誰にも止められない彼女のワンマンショーを見るも同然だった。中空より放たれし最強の化身アームドシュート技「シュートコマンド07(ダブルショット)」は、ディフェンダーとキーパー計5人を諸共(もろとも)に吹き飛ばし、フィールド上の誰よりも豪快にゴールを決めてみせる。まさにベータの独壇場(どくだんじょう)だ!




 これで試合展開は0−2と、サッカーの試合ではワンプレーでは追いつけない点差になってしまう。雷門は天馬一人しか化身アームドを使えない上、その頼みの綱の天馬ですらその制御は安定せず、非常に苦しい試合展開のまま、前半戦が終了する。


 病室では、点滴の様子を見に来た看護師さんが、無人となってしまっている室内を見回して途方に暮れていた。


 前半戦を終え、まったく太刀打ちできない展開に錦が打開策を監督の鬼道に打診する。泣き出しそうな信助の弱音の言葉。だがそれを打ち消すような、気力のこもった声が響く。思わずそちらを見やる一同。



 そこには病室を抜け出してやって来ていた大介が立っていた。彼の正体は、天馬たちはまだ知らない。先に会っていた葵から大介と聞かされ、天馬は改めてその老人を見やる。

 フェイからマスター・Dと呼ばれ、「未来では儂(わし)はそう呼ばれているのか?」とおどけた口調で語る大介。これはつまり、未来から自分に会いに来たという鬼道と葵の話を信じているとの宣言だ。

 現に今、目の前で戦う雷門の選手たちの姿を見て大介は確信していた。彼らが嘘をついてはいないことを。一所懸命にサッカーする姿は決して嘘をつけないものであることが、最高の指導者である彼には分かっていたのだ。


 そしてその最高の指導者は、そのまま後半戦の指揮を取ることを宣言する。


 大介「この試合、儂が監督になる!!」

 天馬「えええ〜〜っ!!??」


 果たして大介の采配(さいはい)は、この不利な状況を一変させるものとなるのであろうか?



 次回に続く



  エンディング



 ついに円堂大介がこのイナクロの世界に登場した。やはり熱い性格で(暑苦しい性格とも言うが)、物語を熱血の展開に導こうとしている。どちらかというとスマートな現代雷門に泥臭い根性的スタイルを注入してくれそうで楽しみだ。

 これまでのゲストと同様、この場限りの出演になると思うが、大活躍を期待したい。ただ今回のタイトルは「衝撃の再会!」だったけど、それは鬼道だけであとのメンバーはみんな初対面だったんだよね。


 キャラバンが訪れた国は、てっきりコトアールだと思ってたんだけどね。ロココ・ウルバ(CV:甲斐田ゆき)の登場もあるのかと思いきや、ここは「トンガットル共和国」という国名。トンガ王国がイメージかな?


 天馬たちは覇者の聖典の内容を知るために大介に会いに来たわけだけど、確か久藤冬花(CV:戸松遥)も大介の字が読めたんじゃなかったっけ? 春奈と秋はそのことを忘れてるのかな? それとも歴史の改変の影響で、冬花がサッカーに関わっていない時間軸となっているのか?


 さておき次回は覇者の聖典に書かれた内容から最強の選手たちを探す旅に出るという展開らしい。多分、大介のドリームチームとは、彼が古今東西で見てきた最強の選手たちをそれぞれのポジションに配置するという夢展開なのではないかと想像する。覇者の聖典って、「結局は【大介オレブン】ってことなんじゃないの?」と。

 集めることが出来ないというのも、タイムマシンの存在を知らない大介なのだからというふうに考えれば合点が行く。大介のことだから、キーパーの位置には若き日の自分自身を配置するかもね。

 大介の知る限りでの選手なので、未来からの選手は参加しないことになるだろうけど、こういう形で選手を募るというのはまさにタイムマシンシステムを最大限利用している。過去・現在からすごい選手を揃えるという、タイムスリップを生かす面白い展開になりそう。どんな選手が出てくるのかも楽しみだ。

 ただそれには今回のプロトコル・オメガ2.0との戦いは少なくとも撃退するという展開にしないといけないのだけど、それには大介の監督ぶりが注目されそう。監督の采配はかなり試合の行方を左右するもので、監督の手腕がモノを言う試合も多い。大介の能力ならば、ベータたちにも対抗できるかもしれない。

 とはいえ後半戦だけでプロトコル・オメガ2.0に勝つのは大変だろう。大介仕込みの必殺タクティクスが伝授されるのかな? ただそうなると前半戦、何も出来なかった鬼道がかなりの無能監督に見えてしまうけどね。ワンダバにやらせておいた方が良かったかもしれない。

 あと敵の立場を考えて見ると、今回撃退されたら今度こそエイナムたち5人はムゲンロウゴク送りになるだろうね。ベータも初めての失敗になるわけで、その後の処遇がやや心配される。ベータの子飼いのオルカ、ドリム、ウォードの3人が今回まったく目立っていなかったのも気になる。


 いずれにせよ、かなり物語は面白くなってきた。次回が本当に楽しみだ。



  次回「探し出せ!時空最強イレブン!?」に続く。



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