【モバゲー球団名問題】 ナベツネに胸アツ、略してナベアツ

 前回までヘビーなエントリーが続き、あす以降も別のタイプのヘビーなエントリーを書く予定なので、今日は緩衝として軽い話題をつらつらと書きたいと思います。


 巨人・渡辺恒雄会長、球団名について 「『モバゲー』はだめ。売名行為」

巨人、渡辺球団会長 横浜新球団名「モバゲーはだめ」
2011.10.26 22:11
巨人の渡辺恒雄球団会長は26日、横浜がTBSホールディングス(HD)からディー・エヌ・エー(DeNA)へ譲渡された場合の球団名について、「『Mobage(モバゲー)』なら売名行為で、野球協約上も許されない」との見解を示した。

モバゲーはDeNA社が運営する携帯電話向けソーシャルゲームサイト名。渡辺会長は「(モバゲー名の)子会社をつくっても審査規定にひっかかり、オーナー会議で反対も出る」と意見した。DeNA社の春田真会長は球団名についてこれまで「まだお話できる状況にない」としている。

http://sankei.jp.msn.com/sports/news/111026/bbl11102622120007-n1.htm


 成績不振の上、慢性的な赤字球団の横浜ベイスターズが身売りされることになったのですが、その買い手というのがあのモバゲーで有名なディー・エヌ・エー(DeNA)社だったのが騒動の始まり。

 個人的な感想を先に言うと、この件に関してはナベツネに同意します。1リーグ制とか言い出し、単なる1球団のオーナーだった時期(現在は上記記事中にある通り、球団会長)から球界の盟主であるはずのコミッショナーよりも偉そうにふるまい、巨人という球団を私物化して来た老害ジジイと意見を一致させるのは不愉快ですけど、この件に関しては正論を言っていると思いました。

 ナベツネの意見への反論として目立つのが、「企業名を冠する段階で売名行為」というもの。球団名はメジャーリーグのようにフランチャイズの地方名だけにするのが理想だと私も思いますが、古き良きアメリカの伝統主義と、営利企業の思惑が絡む日本球界の都合を一緒に論じるのも難しい気がします。

 近年のオリックス楽天ソフトバンクのように、球団を持つことで企業名を認知させる「売名行為」が露骨に行われているのは事実ですが、球団を経営するというのはプロ野球という日本の文化の後援者(パトロン)になるという側面も併せ持ちます。そういう現実と理想のせめぎ合いの中にあって、商品名である「モバゲー」をチーム名に冠するのは、さすがに商業主義のそしりを免れないと思うのです。理想と現実の狭間の微妙なグレーゾーンを明確に越えていると、私は思います。

 これは他の球団を例にすると、「読売新聞ジャイアンツ」「阪神百貨店タイガース」「千葉ロッテ雪見大福マリーンズ」などと称するのと同様の事例と言える訳で、モバゲーを冠するのは商業主義であると思います。引用記事中のナベツネの説明は言葉足らずで、売名行為ではなく商業主義に過ぎると言うべきですね。

 商品名を冠したいというなら、チーム名ではなく球場に名前を付ける、ネーミングライツというシステムがあります。また協賛企業として選手のユニフォームやヘルメットに広告を載せるという方法もあります。モバゲーを冠するならそういう選択肢を選ぶべきでしょう。



 以前から何度か触れたとおり、私はモバゲーを取り扱うDeNA社を良い企業だとは思っておりません。ゲーム好きの私としましては、開発者の発言を吟味すれば、消費者のことを考えていない営利至上主義企業にしか思えないからです。

 9月22日の記事のコメント欄で書いたことをここで再録します。

甘茶 2011/09/24 00:48
 漫研さん、コメントありがとうございます。

 このヒトのこと、別のダイジェスト版で確認していました。携帯ゲーム「モバゲー」の開発者ですね。

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1665237.html

 こっちはまとめられていて分かり易いですが、実際にどんなことを言っているのか気になっていました。長文ですが、ご提示のリンク先はぜひ読んでおく必要がありますね。オンラインゲームを作っている側の考えがよく分かりますから。

 携帯でゲームしている人は、特に読んでもらいたいですね。如何に搾取して儲けるかをのみ考えている開発者の姿をぜひ知ってもらいたいと思います。

 私はこれを読んで、より一層オンラインゲームをする気が失せましたけどね。コンシューマーゲームのシェアを喰っているという点で、出来れば無くなって欲しいジャンルだと思います。面白いゲームをプレイヤーにやってもらいたいというゲーム屋さんに頑張ってもらいたいですね。ゲームは日本の大事な文化、コンテンツだと思います。モバゲー、グリーで遊んでいる人は、少し立ち止まって見るのも良いのではないでしょうか。やるな、とまでは言いませんが。

(再録ここまで)


 折りしもネットゲームで100万円をつぎ込んだ11歳男子小学生の件がニュースになりました。問題のネットゲーが何なのか、具体名は記事には明記されていませんが、携帯電話を使用した例の場合はモバゲー、グリー関連のものも含まれているのではないかと推測されます。判断能力の乏しい小学生が簡単に多額のおカネをつぎ込んでしまう構造は問題だと思いました。この記事を書いたのがナベツネ主筆の読売新聞なのも、何だか象徴的ですが。

 付記しておきますと、私は節度を持って携帯などでネットゲーをする人を否定的に見ようとは思いません。大元のモバゲー、グリーの方針に危惧を覚える者の一つの意見として読んで頂ければ幸いです。



 かつて近鉄が存在した時、ユニフォームの肩の部分に、当時暴利をむさぼって多大な利益を挙げていた某消費者金融の広告を載せようとしたことがありました。それを烈火の如く怒って止めさせたのはナベツネでした。間違いなく老害だと思いますし、そろそろ出しゃばるのを止めて欲しいとは思う人だけど、こういう時は良いことを言うなと思ったのも事実でした。ナベツネ以外にもメディアで目立ってこういう意見するオーナーもいて良いと思うんですけどね。

 モバゲーのDeNA社も今は勢いがあって球団買収にまで動こうとしていますが、おそらく球界の未来のことや、文化としての日本プロ野球に対する敬意などはあまり考えていないでしょう。

 監督に新庄剛志氏を起用するなどは、まさにその発想だと思いました。話題作りになるし、実現すれば面白いかもしれないですけど、それで横浜という球団をどうしたいのかが全く伝わって来ないサプライズでしか無い訳で。つまりあくまでも商売人の発想であって、プロ野球という固有文化のパトロンとしての発想では無いということです。




 お笑い芸人も兼務していた現役時代の新庄選手の雄姿。


 今回の問題は最悪破談になるのも止むなしだと思われますが、それが元で議論が1リーグ制回帰に繋がるのでしたら、やはりナベツネはそれを理由に反対していたと言えそうに思える訳で、その老害ぶりに対する当方の評価もまた変わりそうです。ですが現状ではモバゲーを冠する球団名に反対という意見に賛同せざるを得ません。



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