日垣隆氏はtwitterから撤退した方が良い 【手遅れっぽいけど】

 作家の日垣隆氏が映画評論家の町山智浩氏とtwitterでの論争で、なんだかすごい事になっているらしい。以前から噂には聞いていたのだが、確認してみたところ、その正常とは思えない展開に驚き、呆れ、落胆した。

 日垣隆氏といえば、あの週刊金曜日の左翼偽書買ってはいけない」を糾弾した名著「『買ってはいけない』は嘘である」を著した人として認識している。当方も「買ってはいけない」を読んで無批判に信用していたクチだったので、日垣氏には大事な着眼点を教えられた気がしたものだ。

 他に日垣氏の著書としては「そして殺人者は野に放たれる」が有名のようだが、当方は不勉強な事に読んでいない。こちらも現在の日垣氏の状態からは信じられない名著とネットでは評判だ。機会があれば一読してみたい。


 「『買ってはいけない』は嘘である」を読んだ数年後に「トンデモ本の世界R」にて山本弘氏の「買ってはいけない」批判も読んだ。同書の「戦争論」批判に幾つか納得行かない部分があったけど、山本氏の「買ってはいけない」批判は分かり易く面白かった。左翼が主張していた従軍慰安婦や強制連行といった、今年度からは教科書からも削除される与太話をもって「戦争論」に反論する山本氏には賛同できなかったけどね(従軍慰安婦は戦後の造語だし、軍の強制は無かった。強制連行などといったものも無く、本当は単なる徴用で、徴用は日本国民全員の義務)。


 とにかく「買ってはいけない」が恣意的な捏造とも言える内容だと最初に看破した日垣氏の本が社会に果たした役割は大きかったと思う。


 その日垣氏が変になって行く過程を垣間見たのは驚いたし、ある意味それ以上にtwitterという表現媒体がいかに危険で、それでいて立て前でない本性を暴露するものであるかに驚愕した。誰が言い始めたかは知らないが「twitterはバカ発見器」とは言い得て妙だと思う。やっぱりtwitterは怖いものだ。つぶやきは消えていくものだと思っていたけど、その認識は実は大間違いで、まとめサイトとか作られて後々までみんなに見られる事になる時代だから。最近の炎上はブログよりtwitterの方がずっと多いようだし。


 twitterのまとめを読んだ印象としては、町山氏の巧みな演出に踊らされた日垣氏がどんどん馬脚を現しているという感じ。町山氏のツイートを改ざんするという段階で議論の正当性はほぼ終わっている状態だったけど、町山氏の出自の話に絡めて朝鮮総連の手先扱いした事は根拠もない中傷だろう。町山氏は元在日韓国人だが、日本人拉致問題朝鮮総連朝日新聞岩波書店日本社会党を激しく糾弾した事は検索すればすぐに分かる(町山氏も直リンでその旨ツイートしている)。出自から来る印象を、実際にした事と反対のイメージに絡めて喧伝するのは許される事ではないだろう。


 町山氏に関してはキネマ旬報パイ投げ事件など共感できない面もあるけど、本業の映画評にとどまらず、現在在住のアメリカの話題を取り上げた著書なども面白く読んでいる(そういえば「トンデモ本の世界」「トンデモ本の逆襲」の編集も町山氏だった)。町山氏解説の、進化論を否定するアメリカ人が多数いるという問題点を指摘したテレビ番組をたまたま観たけど、あれも面白かった(タイトルは失念)。

 著書での煽りのセンスが半端無い文章を見るにつけ、日垣氏が町山氏にtwitterでやり込められるのも仕方ないと思う。この面での経験値が違い過ぎるんだもの。日垣氏の言葉づかいは、良い意味でも悪い意味でも(最近は主に良い意味的なものは見受けられませんが)直截的で分かり易い。相手を不快にさせて怒らせ、常軌を逸した言動に走らせる事が勝敗と見なされやすいネットでは、それは不利に働くでしょう。


 今さらだけど、日垣氏は今後はtwitterというものを使うのは止めた方が良いと、かつて愛読した者として諫言したい。自らもつぶやいていたけど、ネットでの商売が収入の主要を占めていないのであれば、なおさら。今までに培ってきたファンもどんどん失っているのではないかと思える状態だし、このまま続けていれば早晩本業にも悪影響が出る事になるでしょう。


             
                      なんとなく掲載。



 ここからは全然関係ない他に気になった話題。津波対策として、方舟に乗ってやり過ごすというアイデアで、愛知県の企業がノアの箱舟ならぬ、「伊勢の方舟」を開発したそうだ。

津波が来たら浮かんで逃げろ…愛知の企業が「方舟」開発


 お年寄りや障碍のある人など、すぐに逃げる事が困難な人には、これが解決法になり得るのかも知れないのだけど、やはり素直に高台に逃げるのが一番なのではないかと思う。

 と言うのも、すでに2ちゃんねるなどで指摘されまくっているのだが、この方舟、何かに挟まれたり、何かに乗りかかられたりして浮揚できなかった場合、そのまま窒息してしまうのではないかという恐ろしい可能性が脳裏をよぎるのだ。

 改善の余地があれば良いのだけど、いかに頑丈で壊れなかったとしても、強度とは関係ないこの不安を解消するのは難しそう。閉じ込められる可能性が限りなく高い、外向きに開くハッチを改善する事がまずは第一歩だと思う。


 逃げ遅れた場合の最終手段として考慮に入れるのはありかな、とは思う。構造上、シートベルトが欲しいし、クッションなどの緩衝材はたくさんあった方が良いと思う。個人的には閉じ込められるのが怖くて、使用したくないのだが。

 以前読んだ大越孝太郎の「猟奇刑事マルサイ」というマンガの中の話の、地下シェルターに閉じ込められる若夫婦の話を読んで以来、狭い所には極力入りたくない。愛し合っていたはずのその男女の、あまりにもあまりな結末に、ものすごいトラウマを引き起こす内容のマンガ。閉所が得意でない向きの方は読まない方が良いだろう。読んでこの思いを共有して欲しい気もするのだけど、幸か不幸か現在は絶版の模様。



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