都知事選挙の話(その2)・石原都知事の震災後の2つの発言

 今日から4月ですね。だんだん暖かくなって来ました。大阪の桜は、間もなく開花しそうです。家のすぐ前にも桜並木があるので、毎年この時期は楽しみです。


 エイプリルフールですが、ウソでは無い本当にあった話。こちらへの連絡先として、ブログ上で挙げているメールアドレスに身に覚えの無い商業メールが大量に届いている。こういうのって、何かの犯罪にならないのかな? こういう事に詳しい人、教えて下さい。

 今までは一度もこんな事、なかったんだけどね。以前、右派系の荒らしが現れた時もこんな卑劣な行為は無かった。バカな事に時間を費やす人がいると、呆れている。

 何がバカって、ブログ上で晒すアドレスなんて捨てアドレスだから、日常の業務に全く影響ないし、Gooのメールは受信拒否が簡単にできるから、こちらのアドレスを使って出前注文する労苦と比較したら、全然こちらの負担の方が少ないのだ。負け犬の悪あがきでしたね。まぁ、このものすごい粘着力で他の事を頑張って欲しいものです、この分かり易い正体不明の人。



 さて今回は、震災の影響でずっと続きが書けなかった東京都知事選挙の件について書く。前回のエントリーは、ココ。ただ今回は「東京都青少年健全育成条例改正案」の話を離れます(ごめんなさい)。この件についてはいろいろ情報を収集していたのだけど(賛成派の都議の情報とか)、現在の状況を考慮して、今回は主旨を変えて、震災が起こってからの石原慎太郎都知事(78)の2つの発言を論じてみたい(人物の名前の後のカッコ内は年齢。以下同じ)。


 思えば3月2日の前回の記事から情勢がずいぶん変わってしまった。石原慎太郎知事は結局4選出馬を決めたし、それで梯子を外された松沢成文・神奈川県知事(52)が行き場を無くして出馬を取り止めたり、そのまんま東こと東国原英夫・前宮崎県知事(53)が出馬表明したりといろいろな変動があった。発明家のドクター・中松氏(82)の出馬はいつもの事だから、想定の範囲内だったが。他の主な立候補者は、共産党参院議員の小池晃氏(50)、居酒屋チェーン、ワタミ創業者の渡辺美樹氏(51)がいる。このメンツだと、残念ながら石原知事の優位さは否めなさそう。


 石原知事の発言で大きな問題となったのが、「震災は天罰」発言だ。3月14日に発信された第1報を聞いた時は、「また暴言か。老いたにもほどがある」と思ったものだが、マスコミは情報を一部しか報じないところがあるので、意見は一旦保留した上で、ネットで情報を集めてみた。また自分でも動画を確認してみた。




Tales of Black-Mant(黒マントの日記)さんより引用

記者A「最後に石原知事にお伺いします。知事は、今日のですね、蓮舫大臣との会談の後で、日本人の我欲についてお話されて、『津波をうまく利用して、我欲をうまく洗い流す必要がある。積年にたまった日本人の心の垢を。これはやっぱり天罰だと思う。』とおっしゃいましたけれども、これは意味はどうあれですね、被災された方にとってはですね、非常に不謹慎な発言だと思いますが…」

石原「いやいや、あの時申し上げた。『被災された方にはですね非常に無残な言葉に聞こえるかもしれませんが』と言ったじゃないですか。言葉を添えてますよ。」

記者A「…分かりました。以上ですか?」

石原「正確にね、君、人の言うことを聞いて、正確に聞き取って正確に報道してもらいたいね。」

記者A「各社さん、お願いします。」

記者B「石原知事、確認なんですが、先ほど『天罰』という発言は押して返される(引用者注:「ご失……撤回される」と聴こえました)のでしょうか。いや、なかったことにするんでしょうか?」

石原「そうじゃないんですよ。あのね、私はね、日本人の我欲がですね、政治を左右してる。例えばね、「減税党」なんたらがまかり出てくる。減税って何をするんですか?それ言い出してる張本人がなんもやってない。1兆5000億くらいの借財があるんですよ。それがですね、市民税や住民税、こんな非常にチャチな税金でね、ある意味でね、例えばそのどれだけの税金が返ってくるかってこと、その喜ぶ人たちが知らずにね、歓迎する。減税って言うと市民税に限らない。これどんどん延期(引用者注:「演繹」と聴こえました)していくとですね、これは日本の今の財政状態で、どんな減税が出来るんですか?財政もピンチでしょ。あなた初めて見る顔だけどね、日本がもしEC に属している国だったら、こんだけ国債残高が高くなってきたらECから追い出されますよ。入れませんよ。ユーロ使えなくなりますよ。そこまで来てるのにね、減税って言うね、耳のね、さわりのいい、そんな言葉につられてですね、国民がですね、歓迎する。私はそういうその心情がね、今の政治を招いていると思うの。これは何も民主党の責任だけじゃない。あのね、これはやっぱりね、こういうところで話しないとね、私たちこの国は立ち上がってこないと思う。ということで申し上げたんです。」

記者B「民主党に対すると意味なんでしょうか?」

石原「え?」

記者B「民主党に対する天罰という意味なんでしょうか?」

石原「いや日本に対する天罰ですよ。」

記者B「洪水が天罰という風にイコールになってしまうと思うんですが。」

石原「え?」

記者B「…洪水が、天罰であるという風にイコールになってしまうと思うんですが。」

石原「いや、それはやっぱりこれをどう受け止めるかという受け止め方の問題なんですよ。」
記者B「災害に対する受け止め方という感じでしょうか?」

石原「大きな反省のね、一つの要素になるんじゃないですか。それしなかったらね、犠牲者達だって浮かばれないと思いますよ。」

記者B「ありがとうございます。」

※一部助詞などの言い回しが微妙に違ったりしますが、プロパカンダは含まれていません(笑

(引用ここまで)


 「天罰」という言葉がセンセーショナル過ぎて、独り歩きした結果、「何に対する」という部分が抜け落ちて広まったという感がある。「被災者の人たち」を対象にしていないという事は分かった。自分自身を含めた日本国民全体に対する業としての「天罰」発言だった様だ。

 ただ発言の全文を読んでみても、「天罰」という言葉自体の不用意さは否めず、後に謝罪撤回したのは当然だと思う。日本国民全体に対する天罰だという(石原氏なりの)主旨を理解した上でも、犠牲になった人が天罰によって亡くなったという受け取れ方にしか取れない訳で、それはどうかと思うからだ。

 政治家は、政治家として使用するべき言葉を誤まってはいけない。ましてや石原氏は作家でもある訳で、「言葉は言霊」という気持ちをより持っているべきはずの人のはずだ。この問題で叩かれるのはやむを得ないだろう。



 もう一つ、これはつい最近の発言だが、太平洋戦争を引き合いに「花見を禁止しろ」と言ったという件。これも第1報を聞いた段階では、震災で今後冷え込みそうな消費を喚起する上でも、禁止までする必要はないだろうと思った。また自粛する方法も、例えば酒や食品を1品減らして、その分を義援金に回すとか、みんなが集まるハレの場で、明るく楽しく役に立つ、そういうお花見にするのが良いのではないか? とも思った。節電や計画停電の影響で夜桜は難しいかもしれないけど、お昼にやるのは結構な事じゃない、とも。


  



Sankeibizより引用

東日本大震災】石原知事“花見禁止令” 戦争時の「連帯感は美しい」
2011.3.30 20:00
 東京にも桜の季節がやってきた。例年、花見で盛り上がるところだが、石原慎太郎都知事(78)が「待った」をかけた。東日本大震災の被災者、節電への配慮から、今春は自粛すべきというのだ。(夕刊フジ

 「桜が咲いたからといって、一杯飲んで歓談するような状況じゃない」

 死者・不明者だけで2万7000人を超えた大震災。29日の会見で石原氏は、太平洋戦争を引き合いに「同胞の痛みを分かち合うことで初めて連帯感ができてくる」「戦争の時はみんな自分を抑え、こらえた。戦には敗れたが、あの時の日本人の連帯感は美しい」と、都民に対し、事実上の“花見禁止令”を通達した。

 上野恩賜公園では、すでに「うえの桜まつり」の中止を発表。園内の至るところに宴会の自粛を呼び掛ける看板を設置。恒例のぼんぼりは点灯せず、ごみ置き場や仮設トイレもない。

 上野恩賜公園管理所の渡辺裕チーフは「来園者の反応は、『こういう時だからこそ、盛り上がりたかった』という声と、自粛は当然という意見の半々。例年は朝から場所取りで大にぎわいですが、今朝(30日)は1組だけでした」と話す。

 上野公園をはじめとする都立公園では、飲食を伴う花見自体は禁止しないが、アルコールが入り、過度に盛り上がっている団体には、ガードマンが自粛協力をお願いするという。千鳥ヶ淵緑道のライトアップや、国立劇場靖国神社などのお花見イベントも中止が決まっている。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110330/mca1103302006015-n1.htm

(引用ここまで。赤字は引用者)


 ただこれも情報を集めてみると、この時点ではあまり報道されていなかった問題点に行きつき、納得せざるを得なかったりした。

 毎年、花見の時期はトイレが足りなくなり、仮設トイレが設置される事になっているのだが、その仮設トイレを全て被災地に送った事で、トイレの設置ができなくなったとの事。そこで自粛して欲しいという事が真相らしい。

 死者・不明者だけで2万7000人を超えた大震災。29日の会見で石原氏は、太平洋戦争を引き合いに「同胞の痛みを分かち合うことで初めて連帯感ができてくる」「戦争の時はみんな自分を抑え、こらえた。戦には敗れたが、あの時の日本人の連帯感は美しい」と、都民に対し、事実上の“花見禁止令”を通達した。

 この部分を読むと、単に石原知事が精神論のみを理由に禁止令を出した、としか読めない内容になっている。この部分、確かに石原知事は言ったのだろうけど、仮設トイレが設置されていない本当の理由を何故この記事はキチンと報道しなかったのだろう? 聞けば納得の事情だし。



 2点の石原知事の発言を振り返ってみたけど、どうもマスメディアの報道には変なバイアスが掛かっている様な印象を受ける。天罰発言はやはり駄目だったと思うけど、最初の情報から来る考え方とは受ける印象もずいぶん違ったし、お花見禁止に関しては「(仮設トイレが無いなら)仕方ないじゃん」という具合に、かなり印象が変わった。


 当方は以前も書いたけど、石原氏の4選には大反対だ。しかし、ネガティブキャンペーンの様なやり方で印象操作する手法は厳に慎むべきだとも思う。



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