SIMPLE2000シリーズ Vol.44 『はじめてのRPG』の感想 【久々のゲーム感想文】

 次の更新からまた時間の掛かる作業になりそうなので、今回は息抜き的なゲーム感想文を紹介したい。ゲーム感想ブログ的には本来こっちの方が主流なのだが、ゲームは能動的にプレイして、その上で感想を書かなければならないという枷がある。そこがアニメを観ての感想文との大きな差だ。【ゲームクエスト】に送った過去の感想文のストックもまだ少しは残っているのだが、様々な理由でお見せする機会では無い物が含まれているので、今回は書き下ろしをお届けする。


 積みゲーを少しずつ消化していこうと思い、簡単に終えられそうなゲームとして選んだのが本作、「SIMPLE2000シリーズ Vol.44 『はじめてのRPG』」だった。好きなジャンルであるロールプレイングゲームだし、なんせシンプルシリーズである上に『はじめての』というぐらいであるからして多数のRPGをプレイしまくった当方からすればすぐに終わるはずであると判断したからである。

 安く購入した割りに楽しめたと思うので、その辺を当ブログ懐かしのフレーズでどうぞ。ゲーム感想文はあまりに久々で書き方のテンプレを忘れてしまっていたぐらいですが、とにかくどうぞ。


シンプル2000シリーズ Vol.44 THEはじめてのRPG〜伝説の継承者〜
発売日 2004年01月29日
メーカー D3パブリッシャー
価格 2000円
対応ハード プレイステーション2

甘茶
ドラクエ』に思い入れのある人は懐かしく遊べるんじゃないかな?(書き下ろし)


 シンプルシリーズといえばちゃちで最低限のゲーム性のみで、値段相応の内容というイメージがまず先行する。まぁそのイメージは大方の場合、悪い意味で裏切られないのだが、本作のオープニングを観て驚いた。シンプルシリーズにありがちな1枚絵のタイトルではなく、歌付きのアニメーションのオープニングだったのだ。これはゲーム部分以外は極力手抜き……もとい時にはゲーム部分まで手抜き……もとい無駄を省いたシンプル設計がモットーのシリーズらしからぬ、良い意味での裏切りだった。


【初見時の脳内の声】

  • 「一体どうしたというんだ?」
  • 「2000円分以上のお楽しみは出し惜しみする、いつものD3パブリッシャーらしくないぜ!?」
  • 「本物のシンプルシリーズを見せてやる(……と山岡士郎ばりに最凶のクソゲーSIMPLE2000シリーズ Vol.100 『THE 男たちの機銃砲座』)を取り出す)」


 ……などなど、シンプルシリーズの枠に当て嵌まらないこのオープニングに、当方いたずらに不安感を煽られてしまったものだが、ゲームが始まるといつも通りのシンプルクオリティーだったので逆に安心した


 チープなグラフィックと音楽、ひらがなの多い地の文(じのふみ)など、どうしても『RPGツクール』で作ったかのような印象を抱いてしまうのだけど、だが、それが昔のファミコンスーファミの時代のRPGぽくて、懐古的な嬉しさがこみ上げてくる。


 当方、以前も述べたとおり『ドラクエ』は『ドラクエ8』しかプレイしたことが無いのだけど、『ドラクエ』に思い入れのある人は本作はとても懐かしく思うんじゃないかな?

 『ドラクエ2』ももちろん当方はプレイしてはいないのだけど、桜玉吉の漫画「しあわせのかたち」で大まかなストーリーは読んだことがあった。本作は2人の王子と一人の王女の3人でパーティーを組む設定など、『ドラクエ2』に酷似しているようだ。『ドラクエ2』を直接は知らない当方でもプレイ中はそう思ったぐらい。


 ストーリーは至ってシンプル(シンプルシリーズだからして)。

 「シルベニア」「シャバル」「ミッドアース」という3つの国が鼎立する世界、野望に燃える「シルベニア」の国王マグラがモンスターを率いて突如人間世界に攻め寄せる。プレイヤーは「ミッドアース」国の王子となり、弟王子と滅ぼされた「シャバル」の王女と協力して、世界を救うために戦いの旅に出るという展開。ありがちではあるが、そこが良いという安心の王道設定。中終盤にはこれまたお約束のどんでん返しもあり、ベタながら楽しめる。少なくともアマゾンのレビューで言われているほど悪い出来ではない。


 魔法は50種類以上、武器、防具は40種類以上、モンスターに至っては約100種類と(シンプルシリーズにしては)なかなかの充実ぶり。ただモンスターに関しては色違いばっかりでグラフィック的には20種ぐらいの印象だったけどね。まぁシンプルシリーズなのでその辺は目くじら立てるほどではないと思う。

 シンプルシリーズゆえやり込み要素などにもほぼ期待できないが、倒したモンスターが記録される「モンスター図鑑」というものがある。ただこれが信じられないことに、1ページ目から見ないといけないというクソ仕様(1ページ目から最終ページに戻ることもできない)。これに関してアマゾンのレビューで誰も触れていないのが不思議なぐらい、当方にとっては本作中、最悪の仕様だった。100体のモンスターの90体目を見たいという時にも1体目から見せられるこのウザさはテストプレイしていれば分かるだろうに。あまり見て役立つ訳ではない物だから、誰も気にしないのだろうか? 当方はこういうのは新しい敵と出会うたびに見返すので、図鑑が埋まるたびにストレスがたまって仕方が無かったんだけどね。


 あと、タイトルに偽りありというか、はじめての人がプレイするには本作の難易度はやや高い気がする。謎解きに関してはそれ程でもなかったのだけど、敵が不本意に強すぎる時がたまに見られた。物理攻撃よりも魔法が脅威。連発されたら軽く死ねる。セーブはこまめにする必要があるが、終盤を除きセーブポイントが街中に限られるのは不親切に思えた。

 序盤に敵がうじゃうじゃ出てくるというところも初心者にはシビアな気がする。『ウィザードリィ』など昔のゲームだと普通の展開なんだけど、未経験だと理不尽に思えるかもしれない。コマンド「逃げる」が成功しやすいので、駄目そうだと思ったら逃げる勇気も必要。何度か死亡することもあると思うけど、「タイトルに戻る」→「再スタート」で我慢強く乗り切るしかない。

 レベル上げはそれほど苦ではなく、レベルさえ上げてしまえばそれまでの脅威も脅威ではなくなっていく。その辺の演出はRPGでは大事なバランス調整なので、上手くいっている。本作に遊べるゲームという印象を抱いた大きな理由はここにあったと思う。


 総評として、価格以上の遊び応えのある内容だと思う。ラスボスを倒した後のエンディングはアニメーションこそ無いもののエンディングテーマ曲が流れ、感動もある。RPG未経験者向けではないとは思うが、RPGが好きという方は普通に楽しめると思うし、『ドラクエ』など昔のRPGを経験していれば、のめりこみ度は更に増すと思われる。そういった層にはお勧めのゲームだと思う。


 オープニング動画。テーマ曲まであって、シンプルシリーズにしては頑張っている。黒マントの内股の太もも晒しの魔法使いは何億回見返してみても女の子にしか見えないが、実は主人公(剣士)の弟王子。あえて言うなら「男の娘」。女の子の王女(僧侶)より打たれ弱いので保護欲をかき立てられてしまうのもやむを得ない。やむを得ないのだ。


 この感想文を読んだ上でこのゲームをプレイする人がどれだけいるか分からないけど、お勧めしたいゲームではあるので、ちょっと攻略情報も書いておく。イベント以外では、おカネの使いどころが割と限られている気がするので、中盤で買える「魔法の杖」は人数分買っておくと吉。装備せずにアイテムとして使えば全員使える。魔法は複数の敵にヒットするし、攻撃が外れることも絶対に無い。そのうえアイテムなのでMP消費も無く、中盤はこれで楽に乗り切れるよ。

 序盤ちょっとしんどいけどレベル上げさえ面倒がらずに行えば詰まることは無いはず。速ければ15時間ぐらい、当方のように役に立たない図鑑に見入ったり、何かストーリーに進展があるたびに街中の人に話し掛けるプレイングをしていても20時間ぐらいでエンディングに到達できる。

 続編に期待する声がアマゾンレビューでは幾つかあったけど、当方も同意。続編が出たら買うと思う。



 シンプルシリーズに関して冗談めかしつつも辛口な意見を書いたけど、廉価販売で主にライトユーザー層をゲームプレイに喚起していることは高く評価している。中には出色の出来と言える名作を作っているのも事実だ。『地球防衛軍』とかね。


【関連記事】

(↑ これはPSのシンプルシリーズだけど超良作)



 今回のエントリーも、検索で訪れる人はいつもより確実に2桁ほど少ない過疎記事になりそうだけど、どんな惨状になろうとも、ゲーム感想文は今後も書いていきたいと思っている。他の記事と比較してやりがいは変わらないし楽しいので、止める気は無い。感想文をアップするペースをもうちょっと上げないといけないとは思うが……。



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