『龍が如く OF THE END』 発売記念に 『龍が如く』の感想文

 東日本大震災の影響で、当初の発売時期が3カ月延期されていた『龍が如く』シリーズ最終章の『龍が如く OF THE END』が6月9日に発売された。


 セガ公式サイト




 予告篇動画。すごくキレイ。



 何故か“EXILE”する真島の兄さん。一体どういうミニゲームなのだろう?



 上記のシーンの動画を発見したので追加(服装がちょっと違うが)。陶酔して歌って踊る真島の兄さん。ラストのキメ顔が素敵。

 エキセントリック・ブラザーの真島の兄さん的には、これはミニゲームなどでは無く、日常のワンシーンなのかも知れない。ただそれでも、「そもそもこれはどういうシーンなのか?」「街はゾンビでいっぱいだというのに、呑気に遊んでいても良いのか?」「後ろの6人は誰なのか?」など疑問は尽きないのだが。



 これまでの任侠ものアクションとは一線を画したゾンビ・シューティングものの様だ。『龍が如く』シリーズも『バイオハザード』シリーズも好きな当方的には、是非ともプレイしたいゲームではある。


 残念ながらまだプレイしてはいないので、『ディスガイア4』発売の時の『ディスガイア2』の感想と同じく、旧作の感想文を紹介してお茶を濁そうと思う。今回は【ゲームクエスト】に投稿した無印『龍が如く』の感想文。変な文章が余りに目についたので、かなり修正している。

 ちなみに担当編集さんから聞かれている、当方がなぜ「元セガファン」なのかは次に送った『ときめきメモリアル』の感想文中で説明している。龍が如く』の次の感想文が『ときめきメモリアル』というのも、我ながらものすごいチョイスだったなと思う。

 そちらの方も、機会があればここで紹介したい。当方的には『どきどき魔女神判!』に匹敵するほどの黒歴史感想文なのだけど。


甘茶さん の「龍が如く」 (プレイステーション2)
余りにももったいない良作中の良作
甘茶さんは「龍が如く」の感想です。似たタイプの「GTA」が「一介のチンピラ」、「龍が如く」が「漢」の世界観というのはうなずかされます。しかし、どうして“元”セガファンなのでしょう?

甘茶
余りにももったいない良作中の良作(2008.11.17)

 今回は、見た目ジャパニーズ『グランド・セフト・オート』シリーズ(以下『GTA』)といえる本作、『龍が如く』の感想だ。我々日本人には、ヤクザ・任侠映画で馴染みが深い世界観ではある(少なくともアメリカ文化圏たる『GTA』の世界観よりはずっと)。そこで当方が大好きな『GTA』を、一見似たイメージの本作と比較してみようというのが今回の感想の主旨である。

 なお、同じくセガ社の『シェンムー』との比較の方がより建設的なものになり得るかも、との思いはあるが、作品としての完成度はともかく、プレイしての面白さの面で『シェンムー』は前二者との比較対象としておよそ相応しいとは思えないので、回避させて頂く。元セガファンとしては“『シェンムー』反面教師論”なんて書きたくは無いし、本作と『GTA』との比較は、日米の文化の差異などが感じられて面白くなるかも知れないし。


 暴力と欲望が渦巻く街、神室町(新宿歌舞伎町がモデルなのは一目瞭然)に、かつて「堂島の龍」の二つ名を轟かせた男、10年前の親殺し(親分殺し)の刑期を終えた主人公「桐生一馬(CV:黒田崇矢)」が戻って来るところから物語の本編は始まる。

 狂おしいまでの上昇志向によって変わり果てた親友「錦山彰(CV:中谷一博)」との再会、もう一人の親友の美女「澤村由美(CV:上坂都子)」の予期せぬ失踪など、10年という歳月の悲哀を感じる中、失われた100億という組織の資金のカギを握る少女「遥(CV:釘宮理恵)」との出会いが、桐生をして愛憎渦巻く過去との決別の為、全ての決着を付ける戦いへと向かう事を決意させる原点になる。

 かつて籍を置いた暴力団組織や警察、チャイニーズ・マフィア、さらに当初の想像を超える巨大な権力との対立、そして協力関係が織りなす人間ドラマは、大変見応えがあって息をつく暇をも与えない、素晴らしい一大エンターテインメントだ。映画を意識して自爆した某大作RPGがかつてあったが、『龍が如く』の方がよっぽど映画的エンターテインメント溢れる【ゲームとしての成功例】だと当方は思う。美麗CGを秩序、無秩序の別無く「だだ流す」事が「映画的」であると勘違いしている、元四角い会社の輩には、遅まきながら本作製作者の爪の垢を煎じて飲んで、反省して頂きたい(元セガファンの私怨の籠もった文章なので、鵜呑みにされる事の無きよう。話半分に聞き流して頂ければ幸いである。四角い会社のゲームのファンの方は、特に)。


 さて、『GTA』と比較考察してみたが、当初思っていた以上に似ていない部分が多いというのが、現在の当方の実感。最終目標はあれど、そんなのお構い無しに日々場当たり的にミッション(主に犯罪行為だが)を進める事が出来る『GTA』と違い、『龍が如く』は、揺るがす事の出来ない太いストーリーが一本、芯として貫かれている(しかも勧善懲悪、日本人好みのストーリー)。

 意図の有無に関係なく一般人を殺傷の渦中に巻き込み得る『GTA』に対して、『龍が如く』の方は一般人に危害を及ぼさない(及ぼ「せ」ない、とも言えるが)。流石、日本の任侠道。極道モノには容赦しない桐生だが、それですら敵の命を奪うシーンは明確には描かれていないのだ(戦闘時を除外しても人死には出るが、主人公・桐生が直接手を染めた人死には一つとして無い)。とは言え、容赦なくピストルで撃ったり、日本刀で斬りつけたり、倒れた敵に追い討ちのジャイアンばりの顔面めり込みパンチをぶちかます桐生に殺意が無いとは言い切れない気もするのだが……。

 ボス(及びそれクラスの強敵)の描かれ方も対照的だ。車で轢殺したり、遠方からスナイパーライフルで反撃される事無く狙撃するなど、とっても卑怯に始末した後、「Mission Complete」の文字と共に報酬を得る事で全てが終了(朝に始末した人間の事を、夕食の頃には忘却の彼方にあるかの如く)の『GTA』に対して、ボスキャラの、血反吐を吐きながら自説を語る場面をも描写して、敵側にも一部の理がある事をプレイヤーに知らしめる表現が『龍が如く』では非常に印象的である。


 論旨を誤解されない様に説明しておくが、ここでどちらが優れているか、という事を言いたい訳では無い。車やバイクを乗り回したりする爽快さや自由度の面では『GTA』が「ゲーム的に」面白く感じられるし、ストーリーの面白さ、主人公のカッコ良さや、そこから来る感情移入度では『龍が如く』に軍配を揚げる。要するに、両者プレイヤーに求めるものが違うのだ。「責任や義務などクソ喰らえ!」の名も無き一介のファッキン・チンピラを演じたいなら『GTA』が、「弱きを助け、強きを挫く」タイプの、健さんや文太兄ィ的「漢」の世界観がお好みなら『龍が如く』が、それぞれお勧めだという事だ。


 それにしても主人公・桐生はカッコ良い。ひたすらにカッコ良いのだ。渡世の親たる自らの組長を殺害するという裏切りの汚名を、親友の為に肩代わりする桐生。そのせいで、裏切り者を粛清しようとするヒットマンに襲われたり、大恩ある組織の大物から破門状を渡されても、一言も弁解せずに親友に殉じるその姿、その背中から伝わる強さ。文句のつけようもない。

 勿論精神的強さのみならず、肉体的な強靭さも半端無くカッコ良い。容赦無く命(タマ)を取りに向かって来る、極悪さが顔面に滲み出た悪漢たちを、バッタバッタとなぎ倒す男・桐生のカッコ良さ。そのマッチョっぷりは、男性なら誰もが憧れるヒーローだろうし、女性なら惚れるのも止むなし、であろう。


 一方で、弱者に対する「優しさ」もカッコ良い男の条件だ。街で困っている少女・遥を助け、あまつさえハンバーガー食べたい」とか「UFOキャッチャーでぬいぐるみを取って欲しい」など、無難なところから始まる【遥のおねだり】にも一々応えてあげる桐生。

 わがままを何でも聞いてくれる桐生おじさんを見て、コギャル的な意味で調子に乗る美少女・遥。異常な食欲で食い物店を発見する度に桐生の財布にタカり続け、遂には「バッティングセンターのメジャーコースで20球全部ホームラン打って〜♡♡」という、身体中の穴という穴から憤怒の血涙が噴出しかねない、無茶なレベルのおねだりをする遥。

 「メジャーって……どんだけ難しいと思っとんねん!? イチローでも無理やっちゅ〜ねん!!」と、画面に向かって突っ込む当方。これ、実際血反吐を吐いた犠牲者が当方以外にも多数いると思われる。何だかんだ言いながら、何十回とコンティニューしてその期待に応える当方……もとい、桐生(ゲーム中の桐生は一切不満を言わないが)。

 ホームラン打つと、ピョンピョン飛び跳ねて喜んで、可愛いんですよ、遥が。しかも声があの釘宮理恵という事で、この魔力に抗(あらが)える人間は、男女を問わずこの世にはいない。少女の無邪気な要求(邪気を感じるのは、気のせい)に応じる、優しい男・桐生。カッコ良いな〜。男っとこ前やな〜。

 ……余談だが一言。遥のこの年齢での小悪魔っぷりに、当方は彼女の将来に激しい不安を感じざるを得ない。それにしても釘宮理恵は卑怯だよね、どう考えても。


 主人公以外のキャラクターも、人間的魅力に満ち溢れている。悪役といえどもそれは貫かれていて、最終ボス以外は心から憎みきる事の出来ない人間として描かれている。

 「桐生チャ〜ン!」の絶叫調の呼び掛けで、プレイヤーに忘れ難い強烈な印象を与える「真島吾朗(CV:宇垣秀成)」などはその筆頭だろう。武闘派中の武闘派の男で、恐るべき敵として桐生の前に立ち塞がるのだが、正々堂々と決着を付ける事を望み、卑怯な真似をしない独特の潔さを見せたりする(卑怯の極みの様な見た目なのだが)。その様がなかなかカッコ良く、異常なキレっぷりも相まって、世間での人気も高かったのだろう。続編の『龍が如く2』以降でも、レギュラーとして登場し続けている。


 個人的に印象に残っているのが、警視庁捜査一課のエリート刑事「須藤純一(CV:田中允貴)」。独自に事態に関与して警察権を軽んじる(様に見える)桐生と、その桐生に協力するかつての一課での先輩刑事(上層部に逆らい、四課に左遷された)「伊達真(CV:山路和弘)」を軽蔑し、鼻持ちならない典型的キャリア的エリートメガネ野郎として、当初は積極的では無いにせよ桐生と対立関係にあった。

 しかし真相が明らかになるにつれ、事態が警察権では解決し難い事に気付き、上層部から掛かる圧力にも屈する事無く、左遷覚悟で桐生と伊達に協力するくだりは、ちょっとした感動だった。正義を貫き、事実、続編では組織犯罪対策四課(マル暴課)に左遷されている(警視庁ではやはり捜査一課が花形で、一番の出世コース)。彼の存在はゲーム本編ではそれ程目立たないのだが、当方的に大好きな役どころである。彼もまた、カッコ良いのだ。


 他にも神室町を裏から情報で支配する「賽の花屋(CV:藤原喜明)」や、桐生の協力者で中盤以降に劇的な見せ場のある、クラブ・セレナのママ「麗奈(CV:三原じゅん子)」、桐生の弟分の「田中シンジ(CV:山口孝史)」、桐生の恩人であり、最も信頼する風間組組長「風間新太郎(CV:渡哲也)」など、魅力に溢れた脇役が多数登場する。「脇役に力の入ったドラマにハズレは無い」の定義を本作は地で行っている。


 ドラマの羅列のみで済ませていないのが、『龍が如く』を一流の面白ゲームにしているところだ。上記したバッティングセンターでのミニゲームや、地下格闘技トーナメント大会、飲食品や戦闘時のコンボのコンプリート、本編から外れたサブストーリー攻略など、やり込み要素も満載になっている。

 中でもキャバクラ・イベントは楽しく、ミニゲーム的に進めていると、時間の経つのも忘れてしまう程だ。これはいかん、危険だ。大体、遥を始め大事な人たちの危機を放っぽり出して、キャバクラ遊びに現(うつつ)を抜かしていて果たして良いのか、と真面目に思い悩んだ当方には心から楽しめなかった(数行前の自分の発言との矛盾が凄まじいが)。


 『GTA』の無分別なバイオレンスがダメなタイプの方にも、この作品の世界観は受け入れやすいのではないだろうか。ちょっと気になるのが、なんでこれで【CEROレーティングD(17歳以上対象)】なんだろうって事。これでダメならテレビの時代劇のアクションシーンも軒並みダメだろう、という程度のレベルだと思うのだが……。


 さておき、一人でも多くの方にこの世界観に触れて頂き、ゲームの魅せ方と楽しませ方の双方を持ち合わせる本作を是非味わって頂きたい。「ゲームに飽いた人たち」(キャッチコピーより)だけが楽しむというのでは、本作は余りにももったいない良作中の良作である。

 大物俳優を声優に迎えて話題作りする手法は第1作の本作から取られていた。主人公の声を演じている黒田崇矢やヒロインの釘宮理恵よりもそれら大物俳優の名前が前面に出てくるのは正直気に入らない。

 ただ本作については目に余る大根な演技をしている人はいなかったので、その辺は不問に付してもいいかな、とは思う。三原じゅん子がこの後に国会議員になるとは、この時点では思いつきもしなかったけど。

 「賽の花屋」役の藤原組長がプロレスラーと思えぬ好演を果たし、印象的に良い意味で裏切られた。『龍が如く2』で大阪府警四課課長を演じた元ポロボクサー、赤井英和がキングオブ棒読みだったのとは好対照。赤井英和は現・俳優なのに。



 大変面白い本作なのではあるのだけど、シリーズプレイは実は『龍が如く2』までで止まっている。『龍が如く OF THE END』がすぐにできない理由の一つでもあるので、早くプレイして、シリーズ情報を把握しないといけないと思っている。


 『龍が如く2』はとりあえずプレイしているので、そのうちにここで感想文を挙げたいと思っている。


 「思っている」の繰り返しで、文章としてまずい終わり方になっていると思っている。



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