『イナズマイレブンGOギャラクシー』第15話「激闘!世界への挑戦!!」の感想 【アジア予選決勝戦スタート!】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第15話「激闘!世界への挑戦!!」を観ての感想を書く。手痛い敗戦を喫した後こそ、チームがどうなるのかの分岐点となる。敗戦に落ち込んでダメになるのか。それともより強くなって跳ね返された壁を乗り越えようとするのか。サッカーに限らず、後者であることが望ましい。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第14話「強襲!レジスタンスジャパン!!」の感想 【梶裕貴と野島裕史祭り】
 をご覧ください。

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 少年サッカー世界大会「フットボールフロンティアインターナショナル(通称FFIV2)」アジア予選において松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【イナズマジャパン】は決勝戦へと駒を進めた。今大会を迎えるまでサッカーとは無縁だったメンバーが11人中8人というまったくの素人チームとは思えないほどの快進撃と言えよう。

 だがその実力は日本を代表するという意味合いでは完全にその役割を果たせる状態ではないことが実証される。至高のストライカー、白竜(CV:福山潤)をはじめ、日本サッカー界の最高レベルの少年たちを擁する【レジスタンスジャパン】が練習試合の相手として天馬たちの前に立ちはだかる。


 不動明王(CV:梶裕貴)率いるレジスタンスジャパンはその実力を遺憾なく発揮し、イナズマジャパンを攻守に渡って粉砕する。

 サッカー選手として自信を持ち始めていた鉄角真(CV:泰勇気)たち8人の素人選手たちはズタズタにされたプライドと向き合い、そしてそれを克服することに賭け、気持ちを前向きに統一させる。その姿は、それ自体が彼らにとっての成長であるかのようだった。


 彼らは負けたという現実を乗り越えるため、時代や選手は変われどこれだけは変わらない真理に向けて始動する。それは、「特訓」だ!!



 監督であり、今回のレジスタンスジャパンとの練習試合を計画した仕掛け人でもある黒岩流星(CV:佐々木誠二)が用意したブラックルームで彼らのレベルアップへの挑戦は続く。





   オープニング



 サッカー経験者でありレジスタンスジャパンの選手たちを相手にしても一歩も引けを取らなかった天馬、剣城京介(CV:大原崇)、神童拓人(CV:斎賀みつき)の3者にとっても敗戦からの課題を突きつけられていた。彼らは他の8人がやって来る前から屋外グラウンドでパスを回し、かつて雷門中で構築した彼らの攻撃の形、連携(れんけい)プレーを確認する。

 攻撃は彼らの中でも最強のストライカー、剣城のシュートで終わる。見事なシュートだったが、神童はもっとサイドから攻撃することで攻撃に幅を持たせてはどうかと天馬に提案する。天馬もそれを受け、パターンを変えることに同意する。彼らも他の選手たちとは別に課題の克服に燃えていた。


 練習再開。神童の言葉通り、サイドラインギリギリの位置から中央の剣城へとセンタリングを送る天馬。剣城は豪快なボレーシュートでその新展開に好感触のケリをつける。


 コーチの船木宏正(CV:金野潤)は順調に仕上がっているように見える天馬たちより、この場に現れない残りの選手たちの状況を危惧(きぐ)していた。


 その気持ちは実は天馬も抱いていた。一度は天馬の前で再起を期していた鉄角たちも、あれほどまでに完膚(かんぷ)なきまでの惨敗を喫し、もしかしたら心が折れてしまってはいないだろうか……と。天馬の視線は自然と地下にブラックルームがある合宿所ミーティングルームに向かう。


 練習を終え、そのミーティングルーム内に入って来た天馬と剣城を、マネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)が呼び止める。彼女はなにか見せたいものがあると言わんばかりに地下へと続く階段へ2人を案内する。



 そこで2人が見たもの……それはブラックルームの特訓でさらなるレベルアップを果たした仲間たちの姿であった。野咲さくら(CV:遠藤綾)は落下する数多くの鉄骨をものともせずにドリブルで着実に前進し、鉄角は自慢の膂力(りょりょく)で岩石の底部を掴(つか)んで、さらに飛んでくるボールをボレーしてみせる。



 真名部陣一郎(CV:野島裕史)は崖を滑り降りて空中のボールに飛びつく。この真名部、真面目な顔してるところが妙に笑える。



 ボードに乗って急流渡りをしつつのボレー練習では九坂隆二(CV:岡林史泰)が見事にクリアする。



 同じ特訓をする森村好葉(CV:悠木碧)はおっかなびっくり、まだまだその潜在能力は表出していないようだ。飛んできたボールに申し訳程度にヘディングしただけで落っこちそうになる好葉ちゃんが可愛いが。



 瞬木隼人(CV:石川界人)は一面の銀世界の斜面をドリブルで駆ける。前からはランダムに巨大な雪玉が転がって来て瞬木の行く手を阻(はば)む。これは鉄骨落下の特訓と似通っている。鉄骨落下が上面からの立体的な妨害に対し、雪玉は平面的な妨害。



葵「みんな朝食前から始めていたみたい」
天馬「……! そんなに早くから……!?」


 彼らはグラウンドの練習に来なかったわけではなかった。独自のメニューに従って行動していたため、来れなかったというのが正しい。彼らは本気で強くなろうという思いを持っている。レジスタンスジャパンとの戦いで彼らが学んだものの大きさを実感した剣城は満足そうだ。



 キーパーの特訓を積む井吹宗正(CV:鈴木達央)はサッカーに喰い尽くされるという剣城の警告に反発し、自分がサッカーを喰い尽くしてやると息巻く。「その意気や良し」なのだが、それって剣城が鉄角に言った言葉だよね。何で井吹が知ってるの? 鉄角に聞いたのかな?


 その鉄角は相変わらずロッククライミングをモチーフにした特訓を繰り返す。さしもの鉄角も握力に限界を来たし、登っていた岩から落下してしまう。



 痛そうな表情。これってすべてコンピュータが作り出した映像なわけだが、脳の神経パルスに働きかけて痛みを感じてしまう作りになっているのだろう。


鉄角「俺は逃げない! 逃げずに乗り越える!」



 鉄骨落下の特訓で危機一髪の状況を迎えて倒れ込んださくらも同じ気持ちで前を向く。


さくら「ここまで来たんだから絶対負けたくない!」



 もはや全員が当初の目的(サッカーをすることと引き換えに獲得する黒岩との約束報酬)など頭に無かった。彼らの頑張りを後押しするのは「サッカーで負けないこと」の一点に集約していた。葵はついに彼らが天馬たちのサッカーへの気持ちを理解してくれたのだと感動的な笑顔を浮かべる。

 だがそんな葵の興奮とは裏腹に、天馬の表情は冴えない。いつもならサッカー馬鹿の爆誕に一番喜ぶのは天馬のはずなのに……。

 その理由を葵に問われ、天馬は気がかりな心境を吐露(とろ)する。今までなら頑張れば何とか克服することが出来る相手だった。だがそれだけでは決勝戦で勝利することは不可能だというのだ。


天馬「今までと同じじゃ勝てないんだ!」


 レジスタンスジャパンとの戦いで天馬が得た実感はまさにそれであった。みんなの頑張りでイナズマジャパンは驚異的に強くなった。しかしそれでもレジスタンスジャパンには手も足も出なかったのだ。天馬の懸念は経験から手繰(たぐ)り寄せた、天馬なりの課題であった。

 だが剣城は8人の素人たちが彼らなりの考え方でサッカーと向き合ったことそのものを好意的に解釈する。天馬はそれに関しては同意し、とても嬉しいことだと言葉を継(つ)ぐ。

 「でも……」とやはり天馬は冴えない表情。どうしても今のやり方では何かが足りず、決勝戦という壁を乗り越えることは不可能だというのが天馬のサッカー勘から導き出された懸念であった。

 天馬の言う「足りないもの」とは何か? それは天馬自身にもわからない。ただそれを決勝戦までに見つけ出すことが、勝利への条件であると思われた。



 その頃、監督室では船木が黒岩に対して怒りを爆発させていた。決勝戦前という大事な時期にこれ以上ないという強敵をイナズマジャパンの練習試合相手に選び、日本代表チームをつぶすという行為に出た黒岩に大いに不満だったのだ。

 責任問題を追求する構えの船木に対し、あくまでも冷静な黒岩はまたもシカトを決め込む。埒(らち)が明かないという思いの船木は怒りに震えながら部屋を出て行く。


 邪魔者がいなくなった室内では、マネージャーの水川みのり(CV:高垣彩陽)が沈黙を破る。


みのり「あなたの采配は今まで外れたことがありません……」


 仮にも監督であり、かつかなりの年長者を「あなた」と呼ぶその口調、やはりみのりはただの女子中学生ではなさそうだ。謎の存在として黒岩のそばに侍(はべ)るポトムリ(CV:三木眞一郎)が話しているように見えて仕方がない。

 ポトムリ……もといみのりは話を続ける。彼女も黒岩の高い采配力に一目置きながらも、考えることは船木と同じようだった。この状態で決勝戦を勝てるのかと疑問を黒岩にぶつける。船木には無言を貫いた黒岩だが、この質問にはただ一言ながら返答する。


黒岩「……愚問だ」


 そう言い残して室外に去る黒岩の背を、みのりはじっと見つめる。



 その間もブラックルームでは特訓が続けられていた。井吹の特訓のプログラムを真名部が担当する。真名部がひとしきり操作キーを叩いた後、ストライカーとして井吹の前に現れたホログラム映像……、それは練習試合で井吹のセービングを圧倒し続けた、白竜その人であった。

 剣城がそれを見て驚く。それは井吹に依頼された真名部が白竜のあらゆるデータをインプットして作り上げたホログラム……最強の練習相手だった。



 これがその白竜のデータだ。5つの素養についてすべてが満点というパーフェクト超人ぶりを見せている。もうここまですごいならイナズマジャパンに入ってもらったら良いんじゃね? 非の打ち所がないもの。


 それを見て俄然やる気を出す井吹。確かにものすごく厳しい練習相手だが、逆に考えればこの白竜を確実に止めることが出来るようになれば、まず決勝戦の相手チームのシュートも阻止することが可能であろう。



井吹「ハッ、いいねぇ……撃って来い! いくらでも止めてやる!!」


 ……という舌の根が乾かないうちに……



▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂うわああああああああああ



 激しく吹き飛ばされ、地に倒れこみ砂を噛む井吹。彼はビッグマウスが信条だけど、まさかここまで口だけ人間だったとは……。ただ執念深く諦めないところが井吹の良いところでもある。すぐに立ち上がり、次のシュートを待ち受ける。


 そんな井吹の特訓を後方から見つめながら、さくらは現在の自身に必要な要素を必殺技だと結論づける。勝ち進めば進むほど強くなる相手チームに抗するには、やはり必殺技が重要だとさくらは考える。それもそのはず、さくらにはまだ必殺技が無かったのだ。

 井吹や九坂、瞬木のみならず好葉や真名部、皆帆といった面々まで必殺技を獲得している。未だ必殺技が無いのは彼女と鉄角だけであった。逸(はや)る気持ちを悔しそうに握り締めた拳(こぶし)に表し、さくらは愚直なまでに過酷な鉄骨落下の特訓に挑む。

 鉄角が、瞬木が、さくらが、そして九坂が一心不乱に特訓を繰り返す。その心意気は間違いなく崇高なものであるし、個々のレベルアップに着実につながっていくであろう判断だ。だがそれでも天馬だけはこの特訓風景を見つめながら、これで良いのだろうかと特訓の成果について懐疑的な見方を崩さなかった。



 練習は8人全員がこれ以上動けず、倒れ込むまで続けられた。休息を取る一同だったが、真名部がすでに4分26秒休んでいることを告げる。秒まで言うところが相変わらず数字に対して律儀な性格だ。

 たった4分あまりの休息でも彼らにとっては休み過ぎという判断になる。疲れきった身体に鞭打って彼らは立ち上がる。メンバーに選出された頃、少々の練習にすら根を上げて続けることを拒否していたのと同じ人間とは思えない前向きな姿だ。



 その思いのまま過酷な特訓が再開される。井吹はようやくながらではあるが、白竜(のホログラム)の放ったシュートを止めてみせた。必殺技ではないノーマルシュートながら、あの白竜のシュートを止められた井吹の実力はもう少年サッカー界でも指折りのものであろう。だが井吹はそれに慢心せず、次のシュートを要求する。止めることに失敗した第一撃の時となんら変わらないその態度に、彼の真剣度が伝わってくる。

 だがさすがに無理しすぎだった。ふらついて構えが解けてしまった井吹に対し、プログラムを操作していた九坂が休むことを提案する。もちろん井吹は聞き入れないが、剣城がそこに根源的な問いかけを行う。


剣城「お前は自分でキーパーというポジションを選んだと聞いた。なぜキーパーを選んだ?」


 そう問われ、井吹はプログラムを解除してその質問に向き合う。結果的に井吹を休ませることになって、剣城の井吹操作術が上手いなと思わせるシーンだった。


井吹「キーパーはフィールドに1人しかいない」


 誰にも頼ることなく自分の実力だけで戦うことが出来るポジションだからこそ、キーパーを選んだと井吹は答える。そして魅力あるそのポジションを確立するため、彼の特訓は続けられるのだと語る。

 自分は本来の得意スポーツであるバスケのように完璧にキーパーが出来ているはずだと語る井吹。だがそれにダメ出しをするのは……


神童「無理だ! 向いてない」


 目の色を変えて怒り出す井吹に対し、神童はクールな表情のまま井吹にはキーパーは務まらないと、再度ダメ出しする。それには九坂も言い過ぎだと神童を嗜(たしな)める。いつまでも井吹に辛く当たる神童に意見するように、九坂はそろそろ井吹を認めてやって欲しいと告げる。

 だが神童の視線はあくまでも冷徹なままだ。他の選手に向けられる優しい視線は井吹にだけは向けられない。必殺技を獲得したとしてもそれだけでシュートを防げるわけではないと、神童による井吹否定の言葉は続く。


神童「サッカーはそんなに単純じゃない!」


 悔しさに歯噛みし、床に拳を叩きつける井吹を顧(かえり)みることなく、神童はその場を立ち去ってしまう。視聴者的には「何しに来たんだ?」とか「いつの間に来たんだ?」という疑問は残るが……。好意的に解釈しようとすれば、井吹の様子を見に来たんだろうなぁ。で、偉そうなことを言う井吹にムカついたとか……。神童にとっては尊敬する先輩、三国太一(CV:佐藤健輔)というキーパーの存在を思えば、井吹に厳しくなってしまうのもわからないでは無い。



 そしてミーティングルームに招集された一同。ミーティングの開始を告げる葵に対し、皆帆は欠席すると返答する。いや皆帆だけではない。ブラックルームで特訓を続ける全選手が皆帆の意見にうなづき、同調することを宣言する。



 彼らはミーティングの時間すら惜しまれるほど決勝戦までの残り時間が少ないと嘆き、その時間は特訓に打ち込むべきだと言う。

 天馬はそれを止めるべく語り出す。今の特訓だけでは勝てないと彼のサッカー勘が告げていた。それにあたって、試合そのものやフォーメーションなど、個々では測れないことに関して話し合いを持つことも大事だと皆に告げる。


 それを聞いて決然と一歩前に出たのは瞬木だった。その態度から強硬な意見が出るかと思いきや、彼はキッパリと天馬に賛同することを誓う。


瞬木「俺はキャプテンに従うよ!」


 ホントは黒い瞬木のこの素直さが不気味だ。しかしそれを受け、真名部も観念したかのようにミーティング参加に同意する。それは天馬の意見にも整合性があると認めたからではあるが、本当の心境はまだ特訓に行きたいと思っていることは明白であった。



 決勝戦の相手はウズベキスタン代表【ストームウルフ】、強力なオフェンス力を持った攻撃重視のチームだ。真名部のデータによると、準決勝までに20得点を挙げており、ダントツの得点力を誇る。そこまで攻撃力が強い相手には、やはりディフェンス陣の奮起が鍵となるだろう。

 皆帆のその分析に、神童が信じられないことにキーパー批判で混ぜっかえす。



「いくらディフェンス陣がふんばったところで、ゴールキーパーがザルでは意味がない……」


ゴールキーパーがザルでは」
ゴールキーパーがザルでは」
ゴールキーパーがザルでは」


 まさかの公式ザル発言! イヤミ感情丸出しで井吹をこき下ろす神童に、井吹は切れてしまう。怒りの形相で立ち上がった彼は、船木の静止も聞かずにそのままミーティングルームを出て行ってしまう。おそらくはブラックルームに向かったのだろう。


みのり「さぁどうするんでしょうね、キャプテンは?」


 決戦を前にして相変わらずの不協和音。この状況に、みのりはむしろどこか楽しむような口調で語る。お手並み拝見といったところだろうか? イナズマジャパンのマネージャーなのに「お手並み拝見」というのは明らかにおかしいのだが。




 そして夕食の時間。まなみなはともかく、瞬木がさくらや好葉と一緒の席というのはちょっと驚き。九坂は好葉と同じ席はまだ無理か? そして今回は意地悪なシーンが目立った神童はひとりハブられている感が……。


 遅れてやって来た天馬は、その場に井吹が居ないことに気付く。九坂はまだ彼が練習中であることを告げる。夕食も食べずに特訓に打ち込む井吹を九坂は心配する。


 そこに管理人の蒲田静音(CV:くじら)が何かを持参してやって来る。



 合宿所の食事も担当する蒲田は夕食に来なかった井吹のために握り飯を作ってくれたのだ。その優しい心遣いに天馬は笑顔を浮かべる。九坂と天馬たちが井吹の元に向かう中、井吹が夕食に現れなかった理由を作った元凶の神童は見て見ぬふりして不機嫌そうに夕食を頬張る。



 形状とフォークからして夕食はマカロニグラタンと見た。




 井吹の白竜への挑戦は続いていた。阻止できる時もあればパワーで押し切られてしまう時もあり、まだ安定して止めることは出来ていない(至高のストライカー相手なのだからやむを得ないのではあるが)。井吹は神童を何としても見返してやると意地になっている嫌いがあった。

 そこに天馬と九坂がやって来る。特訓を中断した井吹に、天馬は蒲田から預かってきた握り飯を突き出す。受け取ってやむを得ずという感じで一口齧(かじ)った井吹だったが、その美味しさに我を忘れて貪(むさぼ)るように食べ始める。やはり極度の空腹だったのだろう。



 あとやはり蒲田の愛情がこもっているという面もあったと思う。おにぎりはイナズマ世界では体力回復の基本アイテムだし。実際炭水化物はその効果も高い。日本人ならおにぎりだろう。


 九坂は気を遣っていつでも練習に付き合うと言うが、孤独を好む井吹は一人の方が集中できると言ってそれを断る。バスケの時もそうだったのかと天馬は問う。井吹の所属していたチーム(月山国光中バスケ部だろうか?)は優勝を狙える強いチームだったそうだが、それも井吹がポイントゲッターとして活躍していたかららしい。ビッグマウス(大口)井吹の自己申告だが。


井吹「俺の力さ。俺が確実に点を取っていたから勝てた」


 本当にそうであったとしてもこういう言い方は感心できない。九坂がチームプレーとはそういうものではないと意見しようとするが、手短に食事を済ませた井吹はまた特訓に戻ってしまう。

 井吹の場合は孤独というより孤高を気取っていると言えそうだ。ダメな奴と練習しても仕方がないという言い方は直前に彼に付き合うと言ってくれた九坂に失礼な言い方だし、協調性が無い面は井吹の良くない性格を思わせる。


 再開早々、井吹はレベル2のシュートを止めてみせ、次のレベルに上げるよう九坂に命令する。井吹を気遣っていた九坂を呼び捨てしてのその命令に彼の意思の頑(かたく)なさを感じた九坂は、諦めたように井吹のしたいようにさせることを選ぶ。私がこの場面の九坂だったら一気にレベル100とかに上げてやるんだが……。

 そこに夕食を終えて他のメンバーもやって来た。井吹の発言を聞いていない鉄角は、井吹の気合いを褒め称える。そして自分たちも特訓を再開することを天馬に告げる。



 皆帆が言うには、決勝を戦える最低レベルはレベル4らしい。その克服に向け、メンバーは全員がやる気に満ちていた。



 瞬木は順調に雪玉転がしのレベル3をクリアする。さくらも鉄骨落下の特訓レベル3を軽々とこなし、まだレベル2も終わっていない真名部を慌(あわ)てさせる。

 その情熱は天馬をして驚かせしめる。短期間にこれだけのレベルアップを果たす仲間たちの潜在能力に心強いものを感じる天馬であったが、やはりそこには何かが足りていないという思いを払拭(ふっしょく)できない。


 天馬はひとり屋外グラウンドに向かい、そこでドリブルしたボールをシュートする。考えが煮詰まった時は身体を動かすのが解消法なのだが、天馬はこのままで良いのかという自問を繰り返す。漠たる不安を天馬は捨てきれなかった。



 ブラックルームでは井吹がレベルの上がった白竜のシュートを見事にキャッチし、操作していた九坂も思わずガッツポーズを見せる。何だかんだで九坂はやっぱり良い奴だね。

 だが九坂は暗い部屋の片隅で、じっと腕組みしている神童の姿を認める。格段に進歩する井吹が頑張っているというのに、まるでそんなことは眼中に無いと言わんばかりの態度だった。

 白竜のシュートを確実にセーブしつつ、井吹もそんな神童の視線が気になっていた。相次いで白竜のシュートを止め、井吹は自分は鉄壁のキーパーだと大見得(おおみえ)を切る。



 神童はそれに何の返答も示さず、黙ってその場を立ち去る。無視された思いの井吹は収まらない。ゴールは自分だけで守る。自分以外の10人は全員で点を取って来いと語気を強める井吹に、神童はようやく向き直る。


神童「井吹、お前にとっての良いプレーとは、その手でボールを取ることなのか?」


 その言葉の意味が理解できない井吹に対し、この言葉の意味がわからないようでは、この先は無いと突き放した口調で言った神童は、今度こそ振り返らずにブラックルームを出て行ってしまう。

 これだけの努力をし、着実にレベルアップしている自分をあくまでも認めようとしない神童に対して、井吹のフラストレーションはピークに達する。転がったボールを忌々(いまいま)しげに蹴り飛ばす。


 ホログラムが解け、怒りで立ち尽くす井吹に九坂は優しくドリンクを差し出す。

 ほんのわずかの小休止後、井吹の意地の特訓は再開される。白竜のシュートに向けて怒りの拳を突き出した井吹のその拳が一瞬炎を纏(まと)う。井吹はそこに新必殺技の可能性を見出した!



 そして夕暮れ時が訪れる。練習を終えて宿所に戻る天馬と葵の前に、瞬木の弟の雄太(CV:小林ゆう)と瞬(CV:戸松遥)が姿を見せる。彼らは瞬木に会いにここを訪れていたのだ。

 決勝戦にも会場に来て応援してねと笑顔で語る葵の言葉を聞いて瞬と雄太は顔を見合わせる。その様子から、もしかしたら来れないのかと思う天馬たちだったが、そうではなかった。

 彼らの敬愛する兄が、決勝戦は勝てないと彼らに語ったらしいのだ。一体どうしてそんなことを言ったのだろうか? 瞬木は猛特訓をしている最中であり、戦う前から負けるなどと考えていたら、とてもあの特訓は続けられないだろう。



 瞬と雄太は兄にはそう言われたものの、兄ちゃんが負けるところは見たくないから、いっぱい応援すると無邪気に答えて家路につく。

 可愛い応援団を見送って、葵は無理に作り笑いを浮かべてこう言う。


葵「今の、きっと聞き間違いよ」


 天馬もあの瞬木がそんなことを言うわけがないとして、まだ小さい弟たちが聞き間違えたのだと結論づける。視聴者的には、あの瞬木だからこそそんなことを言いそうな性格していると知ってるんだけどね。



 深夜の試合会場、ホーリーロードスタジアムに、みのりと黒岩が姿を見せる。いよいよだと語るみのりに、短く同意を表す黒岩。この2人の思惑もわからないままながら、それが明らかになるのももうじきなのだろうか……?

 ホーリーロードスタジアムは夜の帳(とばり)に包まれていく。




 そして翌日。FFIV2アジア予選決勝戦が、同地にて開催される。この試合に勝利したチームこそ、アジア代表として世界大会に臨むことが可能となる。たった一枚の切符を賭けて、イナズマジャパンとストームウルフが激突する。




 イナズマジャパンファンの少年少女たちが掲げる応援旗には、とても可愛い寄せ書きがされていた。やはり天馬、剣城、神童の3人が人気だが、瞬木や井吹、真名部、さくらの名もあって微笑ましい。個人的には好葉のイラストがツボ。神童のイラストがいちいち可愛い。イナギャラでの神童は結構辛辣なキャラなんだけどね。神童を誰よりも愛する山菜茜(CV:ゆりん)の姿なんかもこの場にあれば嬉しかったんだけどね。


 ロッカールームの意気も上がる。繰り返された特訓により、今の彼らはレジスタンスジャパン戦の時とは比べ物にならないほどレベルアップしている。その自信が彼らの心を強くしていた。死に物狂いの努力とは、それによって実力をつけるということ以上に「これだけやったんだ。負けるわけがない」と自身を納得させる効果がある。



「俺は今日、1点もやらん! 完璧に抑えて見せる!」


 ビッグマウス井吹はまだ始まってもいないというのに厳しい縛りを自らに課すことを宣言する。それは自分を認めようとしない神童に対する挑戦状のような意味合いを込めていたのだろう。スパイクの紐(ひも)を締めていた神童はそれを一瞥(いちべつ)しただけで、興味なさそうに視線をスパイクに落とす。


井吹『神童、今日の試合で絶対に認めさせてやる!』


 やっぱり神童が対象だったんだ。わかりやすい子。




 そして両チームがフィールドに入場してくる。ウズベキスタン代表、ストームウルフは大会前は下馬評(げばひょう)にも上がっていなかったチームであり、それが決勝戦にまで駒を進めてきたのはまさに台風の目と言える存在であった。トトカルチョが行われていたら、予想大はずれ続出だっただろうね。キャプテンのドミトリー・ソビロフ(左端 CV:佐藤健輔)とマクシム・アドロフ(左から3人目 CV:不明)の強力な2トップを中心にここまで20得点を挙げる超攻撃的チームだ。


 観客席からの弟たちの声援を受け、瞬木の表情が和(やわ)らぐ。彼がこの試合に勝てないと語っていたということは、果たして本当なのだろうか……。

 一方のストームウルフは完全アウェイの状況ながら、圧倒的な実力で勝ち上がって来たチームらしく余裕しゃくしゃくでイナズマジャパンを見下す。苦しい試合を逆転で勝ち上がって来たイナズマジャパンは、彼らにしてみればまぐれで勝って来たという意識しか持てなかったのだろう。



 試合開始直前、ベンチ前で円陣を組むイナズマジャパン。好葉ちゃんの姿勢がやや不自然だがやむを得ない。


 天馬は苦しい特訓に耐えてきた8人のルーキーの努力を褒め称え、その姿をサッカーが見てくれていたと、彼独特の言い回しで勇気づける。そしてこの試合の後に控える、世界大会に向けて絶対に勝利することを誓い、意思統一を図る!



天馬「絶対に勝つぞ!!」
一同「オウッ!!」

 恒例の(ウソ)、この手誰の手クイズ(前回はこちら)。井吹はアホでも分かるとして、左から4番目の小さい手は好葉だろう。中央手前の手は位置的に天馬。その横のあからさまに色黒の手は鉄角だろう。一番左のごっつい手は九坂。ここからが難しい。左から5番目は瞬木。右から3番目は女性的な印象からさくらかな。一番右は神童、その隣は剣城か。残りは左から3番目と6番目。これはまなみなだと思うけど、どっちがどっちなのか分からん。


 さてここで今度は本当に恒例の、試合開始直前の両チームの布陣。ストームウルフは4-3-3という典型的な攻撃的チームのフォーメーション。オランダとかスペインがこのタイプ。前記したとおりキャプテンのドミトリーが10番、センターFW。彼と9番マクシム、11番ザウル・メレフ(CV:泰勇気)がポイントゲッターだ。他に名前が判明しているのは1番GKのアレクセイ・カルノフ(CV:不明)。2番DFのセルゲイ・チェルノフ(CV:不明)。3番DFのミーチャ・エレミン(CV:不明)。4番DFのユーリ・アヴェリン(CV:不明)。5番DFのゲンナジー・ゴリバフ(CV:不明)。6番MFのロラン・ラザレフ(CV:不明)。7番MFのルスラン・カシモフ(CV:斎藤壮馬)、位置的に彼がチームの司令塔だろう。8番MFのアーロン・ガチンスキー(CV:不明)。余談だがこのチームもヒゲ率高し。本当に少年なのか、実行委員会はチェックすれ。


 一方のイナズマジャパンは変化なし。アジアでは最後までこの布陣で臨む。




 ストームウルフの監督は試合開始前に不気味に笑う。この胡散臭(うさんくさ)い不気味さは黒岩と比べても引けを取らない不気味さだ。


 大一番を前に、天馬は勝利を左手に付けたキャプテンマークにかけて誓う。かつて世界を征した偉大な先輩・円堂守(CV:竹内順子)もその手に付けた、栄光のキャプテンマークだ。キャプテンとして、天馬はみんなを勝利に導く役目を強く意識する。



 そして試合開始のホイッスルが鳴る。ついにアジア最強のチームを決める最後の戦いが始まった!

 キックオフはイナズマジャパン。剣城から瞬木にパスが渡る。同時にじわじわとゴール前に移動し、井吹の神経を逆なでする神童。


井吹「神童、お前がそこに立つのは今日が最後だ!」


 井吹は自信満々にそう言い切る。神童は振り向きはしたものの、やはり無感動にその言葉を無視する。

 瞬木は後方にバックパスを送る。天馬が受けようとした時、一陣の疾風のような素早さでドミトリーがボールを奪取する。その速さに天馬は舌を巻く。防御に向かう九坂の脇を駆け抜け、好葉や皆帆のマークも簡単に抜き去って行く。



好葉「ウソ……!?」
皆帆「これは何かの間違いです!」


 あれだけの特訓を積んだというのに、ドミトリーの突進を止められない。これはイナズマジャパンメンバーに動揺を与える。このままではレジスタンスジャパンに自信を打ち砕かれた時の二の舞だ。

 ドミトリーに対抗できるのは神童か? だがその前にザウルが立ちはだかり、ドミトリーがどの方向から攻撃してくるのか見えない。その隙を突き、ドミトリーは左のマクシムにパスを送る。神童はそれに対応できない。

 明らかにピンチなのだが、神童に邪魔されずにレベルアップした自分の実力を見せるチャンスが訪れたと井吹は顔を喜色に染める。

 マクシムはボールを足で挟んで宙に飛び上がり、必殺シュート「ゴールドフィーバー」を放つ。井吹は必殺キーパー技「ワイルドダンク」で迎撃する。しかし……




 マクシムの「ゴールドフィーバー」は井吹の「ワイルドダンク」を粉砕し、井吹ごとゴール内に吹き飛ばす。白竜というこれ以上ないほどの練習相手と血が滲(にじ)むような特訓を積み重ねてきた井吹が完璧にゴールを決められてしまったのだ。この事実には井吹の努力を知る九坂たち仲間も驚愕する。

 ゴール! 先制点は試合開始早々、ストームウルフが挙げることに成功する。さすがはこれまで20得点を挙げてきたチームだけのことはある。エースストライカーのドミトリーだけのチームではない。今大会21得点目はマクシムが獲得する。敵のあまりの強さ、そして速さにベンチで見守る葵も言葉が出ない。



 一方、試合開始前には「1点もやらない!」と大口を叩いていた井吹はその立場がない。開始早々に失点したもんな〜。茫然自失の表情でしばらくはそのショックから立ち直れない。


 いつもならここで「神童の冷たい視線+イヤミな説教」タイムなのだが、神童自身も敵のチームプレーに幻惑され、結果マクシムのシュートをみすみす許してしまったことに歯噛みしていた。彼自身も大いに反省しなければならない一連の流れだったというわけだ。まぁこの場で仲間割れの雰囲気は避けられるなら避けたほうが良いが。


 いずれにせよ悔しがる井吹、そして神童の姿を見て、天馬もとんでもない強敵が今目の前にいるということを自覚せざるを得なかった。この強敵を相手に勝利しなければ、世界を舞台に戦うという彼らの夢も潰(つい)えてしまう。



 最強の敵を相手に、イナズマジャパンは勝利することが出来るのだろうか? どうでもいいけどこの絵ヅラ、黒岩がまた黒幕みたいな扱いになってるんだけど。



 次回へ続く。



  エンディング



 更新が遅れに遅れていて申し訳ありません。不完全ながらここに15話の感想をアップします。もしかして時間があれば書き足すこともあるかもしれません。


 特訓を経て強くなったはずなのに、ストームウルフには通用しないという事実を受けてメンバーたち、ことに失点してしまった井吹にとっては辛い展開となっている。井吹がどれだけ努力をしたかは疑いようがないだけに、努力が報われないという気持ちは察するに余りある。

 ただその原因は、天馬が試合前に抱いていた「何かが足りない」という言葉に集約されているのだろう。それが何なのか。それはおそらく次回のタイトルに書かれているものなのではないだろうか?

 一見チームワークも良くなっている今のイナズマジャパンだが、井吹と神童はどう贔屓目(ひいきめ)に見ても信頼し合っているとは言えないだろう。さらに瞬木は実はこの試合に勝てないと思っているという面も見逃せない。彼が他の仲間に気を許していないのは、これまでイナギャラを見て来た人ならお気づきであろう。

 次回はその心の面を克服するという大事な話になるのではないだろうか。



 次回は試合本番。敵の必殺ドリブル技らしきもので吹き飛ばされるさくらちゃん。女の子のさくらに対しても容赦ない攻撃をするストームウルフの選手はひどい。彼女自身も渇望していたが、さくらにも必殺技が欲しいところ。ぜひこの選手に仕返しして欲しい。


 あと完全に余談なんだけど、敵のGKのアレクセイ・カルノフと2番DFのセルゲイ・チェルノフって名前、データイーストバカゲーカルノフ」と「チェルノブ」を思い出してしまったのは私だけだろうか。



  次回「信頼し結束する力!」に続く。



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