『イナズマイレブンGOギャラクシー』第1話「最悪!新生イナズマジャパン!!」の感想 【最悪の新章スタート!】

 またも新展開のアニメ感想文。今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第1話「最悪!新生イナズマジャパン!!」を観ての感想を書く。時空を越えるという前作の超展開と比較して、かなりまともで王道的な展開に戻った、いわゆる原点回帰的なストーリーになりそうな第1話だった。

 期待と不安が入り混じるのはイナズマシリーズが新たな展開を迎える際は常につきまとう話なので、おおらかな心でしばらくは見続ける必要がありそうだ。詳細や感想などは以下にて。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


『イナズマイレブンGOクロノ・ストーン』第51話「サッカーが帰ってきた!」の感想 【第2期の最終回】
 をご覧ください。

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 ここ、ホーリーロードスタジアムには大勢のサッカーファンが押し寄せていた。本日この場で、新たな少年サッカー日本代表「新生イナズマジャパン」が選出される運びとなり、誰よりも早くそのメンバーを知りたいファンが観客席を埋めていたのだ。

 少年サッカー世界大会「フットボールフロンティアインターナショナル(通称FFIV2)」の開幕に伴(ともな)い、その場に日本を代表して臨み、日本という国家の威信をかけて戦う選手たちを決定する選考会が開催されることを、アナウンサーの角馬王将(CV:稲田徹)が高らかに告げる。


 そしてフィールドに、それぞれの中学を象徴するユニフォームに身を包んだ選手たちが入場してくる。その中心を占めるのは、もちろん「フットボールフロンティア」国内大会で優勝を果たした、我らが雷門中だった!



 松風天馬(CV:寺崎裕香)たち雷門中の選手たちの活躍により、サッカーの歴史は守られた。未来で消滅の危機に陥っていたサッカー。天馬は数奇な運命に導かれるかのように、未来から来た少年、フェイ・ルーン(CV:木村亜希子)と友情を育(はぐく)み、時空最強イレブンの結成を成し遂げ、過去、現在、未来におけるサッカーという競技の運命を守り抜いたのだった。

 つまり今この場でサッカー日本代表を決定するという晴れの舞台が行われているのも、ひとえに天馬たちの(ほとんど誰にも気づかれないままに成し得た)活躍の賜物(たまもの)でもあるのだった。



 そんな雷門中を誇らしげに見つめる関係者たち。前列にはマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)、瀬戸水鳥(CV:美名)、山菜茜(CV:ゆりん)の姿も見えるが、葵ちゃんだけ前作から髪型を変えるなどイメチェンしてて今後の活躍が想像される。「葵ちゃんだけズルい」という説もある。



 前作ではチーム雷門の一員として天馬たちと共に戦った雨宮太陽(左 CV:江口拓也)も、本来の所属チームである新雲学園のキャプテンの座に復帰していた。天馬とも、神童拓人(CV:斎賀みつき)とも違ったキャプテンシーは健在か。

 そしてその隣には、『映画版イナズマイレブンGO 究極の絆グリフォン』で天馬たちと互角の戦いを繰り広げ、雷門を相手にして唯一引き分けたという究極の実力を持つ「チーム・ゼロ」がいた。先頭の白竜(CV:福山潤)は『映画版イナズマイレブンGO VS ダンボール戦機W』においても次期イナズマジャパンとして登場していただけに、今回の選考会でもバリバリのド本命だろう。ゼロの副将とも言うべきシュウ(CV:沢城みゆき)の姿がないのはやむを得ない。大人の事情だ。



 いずれ劣らぬ、中学生サッカー史上に名を残すであろう素晴らしい選手たちを前に、天馬も緊張のため息をつく。自分が選出されないことはまさか無いだろうと思いつつ、気を抜けないライバルだらけであることは確かだからだ。主人公特権があっても油断は禁物だ。


 天馬の緊張は観客席で見守る葵も共有していた。葵は胸に手を当てて飛び出さんばかりに鼓動する心臓を押さえながら、幼なじみが無事にイナズマジャパンに選出されることを祈る。


 天馬は傍(かたわ)らの親友、西園信助(CV:戸松遥)に声をかける。その会話を聞いて、天馬がすでに選出されることを自覚しているかのような口ぶりであることを剣城京介(CV:大原崇)は指摘する。主人公特権を茶化された感のある天馬は慢心を見抜かれたかのように照れてごまかすが、はしゃぎ過ぎを神童に見咎(みとが)められる。


天馬「神童さん、俺たちここまで来たんですね!」


 なにげに天馬が神童を「先輩」ではなく「さん」呼びになっていた。神童が3年生の先輩を呼ぶときは「さん」呼びなので、天馬もだんだん馴染んできたというべきなのかな?

 さておき後輩にそう言われ、神童はこれまでの苦しかった過去を振り返る。


 少年サッカー界は管理組織「フィフスセクター」の作り出した規則にがんじがらめとなっていた。勝敗までフィフスセクターに管理された少年サッカー界では自分たちの理想とするサッカーをことごとく封じられ、逆らうことが許されなかったのだった。

 不満の鬱積(うっせき)するそんなころ、サッカー部に入って来た天馬がその体制に疑義を唱えた。だが神童はその意見に同意するどころか、その考えが危険であり自分たちのサッカーを完全に失いかねないとして、激しく天馬に当たり散らしたのだった。

 しかしその後の展開を思えば、その管理されたサッカーに異を唱え、サッカー界に革命(かぜ)を起こそうとした天馬の考えが全面的に正しかったということを、今の神童は知っていた。



 一斉に集った選手たちの全景。懐かしい顔ぶれが揃ってるぜよ。各チームのキャプテンがチームの先頭を務める中、なぜか雷門だけは天馬ではなく神童が先頭を務めている。


 この中から、世界を相手に戦うメンバーが発表される! 場内の緊張の度合いが一気に高まっていく……




 そんな中、場内に在するであろう暗がりの場では、ピエロのような風体(ふうてい)の男・ポトムリ(CV:三木眞一郎)が慇懃無礼(いんぎんぶれい)な口調である男性に言葉をかけていた。メンバーの選出権を持っているというその男性とは……? そしてこの不気味な男、ポトムリの正体は何者なのだろうか?


 ポトムリは自身でも想像できなかったメンバーにいささか感嘆と驚愕を隠しきれない口調でその真意を問う。だが男性はそれに関して詳細を説明しないまま、その場を歩み去ってしまう。ポトムリは最後まで慇懃に、「お手並みを拝見します」と言って男性を見送る。


 ポトムリに別れを告げた男性が開いた扉、それはスタジアムの特設テラスにつながっていた。スタジアムの全観客の視線がその男性に集まる。さっきまでは暗がりでよく見えなかったが、男性は白髪で高身長、白い立派なスーツに身を包んだ威風堂々(いふうどうどう)たる紳士だった。

 だが右目の周囲に大きな傷跡が残り、表情自体もサングラスで隠されているという点が、いかにも何か訳ありなのではないかと推察される……そう、得体の知れない不気味さを醸(かも)し出していた。



 角間のアナウンスによると、男性は新生イナズマジャパンの監督に就任する存在とのこと。名は黒岩流星(CV:佐々木誠二)。いやいや、誰がどう見てもアイツじゃん。あれだけのことがあったのにまだ生きていたというのは驚愕だが、彼の正体を知るはずの古くからのキャラクターたちの反応がこの段階では確認できなかった。天馬たちの仲間で彼の本名と同じ姓を持つはずの影山輝(CV:藤村歩)の反応も今のところ不明。何にせよ、今後のイナズマジャパンの命運を握るのは、彼だ。



 黒岩の就任演説が続く中、彼の正体を知るであろう豪炎寺修也(CV:野島裕史)の姿も垣間見られた。だがまったくの無反応。これはいったいどういうことなのだろうか?


 黒岩はたくさんの才能あるサッカー少年たちを前にして、本日この場で選ばれるのは11名のみであることを宣告する。さっきのポトムリとの会話からして、もうその11人の名は決定事項であるらしい。私だったら1年ぐらい選考に悩みそうな逸材ばかりなんだけどね。南沢篤志(CV:梶裕貴)はさして悩まずに落とすかな。



 ベンチメンバーや補欠メンバーの発表は一切なし、たったの11人という黒岩の発言に緊張の度を増す雷門イレブンたち。特にネガティブメガネの速水鶴正(CV:吉野裕行)は口を歪めて、早くも諦めムードを表出させる。私だったらこのメンツ、全員メンバー入りなんだけどな(特に速水と浜野海士(CV:金野潤)は鉄板)。


 そして黒岩は、そんな選手たちの動揺など一顧(いっこ)だにせぬまま、11人の名を発表する!!



   オープニング



 新生なのはオープニングも一緒。オープニングテーマ曲はいつもの“T-Pistonz+KMC”が歌う「ガチで勝とうゼッ!」 文字の後ろのジグザグは、第3期を表す「3」の文字をかたどったものなのだろう。


 まだ見ぬ世界の強豪には、こんなどう見ても年齢を詐称(さしょう)しているおっさんプレーヤーの存在が!! ヒゲぼーぼーじゃねぇか。きっと、他のいろんなところもぼーぼーなのだろう(自粛)。こちらも日本を代表する天下無双のおっさんキーパー、月山国光中の兵頭司(CV:三戸耕三)を選ばないと迫力で負けるよ!


 最後は新生イナズマジャパン勢揃いの図。それぞれのキャラの紹介はその折々で。



 CM越しに黒岩はメンバー発表を開始する。まずはキャプテン、安定の天馬が選出される。まぁさすがに主人公特権は黒岩ですらアンタッチャブルなものだったらしい。

 そして2番目に名を呼ばれたのは神童、さらに3番目には剣城が順当に選出される。ここまでは誰が見ても申し分のない選出だったと言えよう。

 チームの仲間が順当に選ばれ、信助の顔がほころぶ。だが自身はまだ名を呼ばれていないということにすぐに思いが至り、その表情を引き締める。

 信助のその覚悟を待っていたかのように、黒岩はそこでサプライズ人事を発言する。


黒岩「瞬木隼人(またたぎ はやと)!」


 その、誰も聞いたことがない選手の名前は天馬や神童を驚かせる。そして黒岩のそのサプライズな選出はその後も当然のように繰り返される。

 野咲さくら(のざき さくら)、九坂隆二(くさか りゅうじ)、鉄角真(てつかど しん)、真名部陣一郎(まなべ じんいちろう)、皆帆和人(みなほ かずと)、森村好葉(もりむら このは)、井吹宗正(いぶき むねまさ)……

 同じように聞いたことがない選手の名が呼ばれ、天馬たち3名と合わせてこれで11名が名を呼ばれたこととなる。つまりそれは……


 名を呼ばれなかった信助や錦龍馬(CV:岩崎了)、霧野蘭丸(CV:小林ゆう)、それに他校の名だたる実力者は全員が落選の憂(う)き目に遭うということだった。

 信助は精一杯の明るい声で天馬の選出を祝う言葉を述べるが、その声は震えていた。絞り出すように発言した信助はその落胆を隠そうともせず肩を落とす。天馬は何か声をかけようとするのだが、今の信助に何を言っても傷つけてしまう行為になることは明白だった。天馬は親友にかける慰めを思いつかず、選ばれた喜びも忘れて残念な表情を浮かべる。



 黒岩の横にいるメガネの男性が、選ばれた11名に前に出るよう告げる。天馬と剣城の隣にやって来た少年は、目を合わせた天馬にとびっきりの笑顔を見せる。神童の傍らにやって来たキーパーの少年は、神童を一瞥(いちべつ)して正面を見据(みす)える。


天馬『……見たこともないメンバーですね』
神童『……ああ』


 彼らはこれまで雷門中が戦ってきたチームのユニフォームを着ている者もいたが、天馬たちにとっては初めて見る選手だった。おそらくホーリーロードでは控えのメンバーにすら入っていなかった、まだ見ぬ逸材なのだろう。


 その無名の選手の大量選出に面食らったのは天馬たちだけではなかった。会場で見つめていた観客も、雷門中の選手以外はまったく知らない選手たちばかりで、歓声を上げることも忘れてその姿に見入っていた。果たして彼らは日本を代表して自分たちが熱狂して応援する価値がある存在なのかを値踏みするかのように……。

 そしてその意外性は、実況席に招請されていたサッカー解説者・松居安二郎(CV:松木安太郎)氏にも驚きを持って迎えられる。



 松木さん、Jリーグ元監督なのに自分役で声優まで務めるなんてフットワーク軽すぎる。


 ただ海外での経験も長い黒岩監督の手腕を信じる松居は、この選出もまだ知られていないだけの強豪選手が見出されたのだろうと見当を付ける。


 黒岩は選んだ選手たちに、世界を目指すという目標を掲げ、檄を飛ばす。そしてその力量を見せてもらうと、予定していたテストマッチを実行に移すと宣言する。

 完全に初顔合わせで選ばれた選手のそれぞれの特性すら知らない状態で、いきなりの実戦という話に、天馬は驚く。神童も同意だったが、彼はこの機会にこの未知の仲間たちの能力を測るつもりでいた。つまり神童はテストマッチに賛成の立場だ。


 エキシビジョンマッチと冠されたそのテストマッチは、10分後に開始される。黒岩はそこまで一方的に告げ、監督の就任挨拶と変える。




 控え室で与えられた日本代表のユニフォームを見て笑みがこぼれる天馬。こんな顔、信助に見られたら……。まぁ信助の落選は残念だったが、天馬が一緒に落ち込んでも仕方がない。さておき背番号8は天馬のナンバーということが本作でも確定したようだ。


 日本の代表という立場は、天馬をしてこれまで以上に責任感を抱かせるものだった。だがそれにしては他の選手から伝わってくる印象が芳(かんば)しいものではない。

 剣城や神童は彼らから一流のサッカー選手特有のオーラを感じられず、顔を見合わせる。神童は着替えにしか心が回っていない天馬に、他の選手たちの動向を注視するよう告げる。天馬はケセラセラの精神の持ち主らしく、楽観的に彼らが自分たちがたまたま知らなかっただけのすごい選手なのだろうと返す。この辺バカっぽい見立てだけど、松居と同じ意見だからバカと決め付けるわけにも行かない(決め付けてるけどな)

 だが心配症の神童はやはり楽観的にはいかない。全員に何かを言って聞かせる。



 そうしている間に、10分が経過してしまう。真新しいユニフォームに身を包んだ新生イナズマジャパンがフィールドに入場してくる。観客席から、聞き覚えのある声援が飛んでくる。見ると雷門中の仲間たちが天馬を応援していた。全員が落選のダメージなど感じさせない笑顔で同胞である天馬と神童、剣城を懸命に応援していた。

 神童は親友の蘭丸と、そして剣城はフィフスセクターのシード時代からのライバル、白竜とそれぞれ目が合う。彼らは一瞬のアイコンタクトで【落ちた者は選出された者への信頼と心からの応援】を、そして【選出された者は落ちた者への共感とその無念を自身の闘志に変えること】を、それぞれ誓う。

 その意思の伝達、天馬には信助である。天馬の名を呼ぶだけの信助に対し、天馬はそれだけで信助の心情のすべてを理解して、彼の分まで頑張ることを目で伝える。



 そしてフィールドに向かう天馬。彼ら新生イナズマジャパンの対戦相手とは、まさにその力量を測るにふさわしいチームであった。角間が伝えるその相手、それは雷門中というブランド力を測る際にことごとくその前に立ちはだかってきた永遠のライバル、帝国学園であった!!


 帝国の名を聞き、天馬は顔を引き締める。エキシビジョンとはいえ永遠のライバル校としては負けるわけにはいかない相手だ。そしてその場に、異音を響かせて走り込んでくる異形の乗り物。それは帝国学園が遠征する際に乗り込む蒸気機関車だった(雷門中におけるキャラバンのようなものかな)。

 そしてその機関車から姿を見せた男、それはかつて一時的に雷門中の監督をも務めた、あの鬼道有人(CV:吉野裕行)その人だった。



 国学園の黄金時代を支えた鬼道が指導者として再度復帰したらしい。黒岩関連の過去を知る存在として彼も今後のストーリーではキーマンになるかもしれない。


 黒岩と視線を合わせた鬼道はニヤリと笑い、黒岩が選んだ選手たちの実力を見せてもらうとひとりごちる。鬼道に対しまったく表情を変えず佇(たたず)む黒岩の傍らには、ひとりの少女が寄り添う。



 今のところ謎の少女、水川みのり(CV:高垣彩陽)。おそらくはイナズマジャパンのマネージャーを務めることになるのだろう。何となく無印の頃の雷門夏未(現・円堂夏未(CV:小林沙苗))に雰囲気が似ている。黒岩と親しそうだし、しばらくは葵ちゃんのライバルキャラになるのかなぁ?


 新生イナズマジャパンの力量を測るにおいて、これ以上の対戦相手は望めない。お膳立てが整ったところで、角間はこのFFIV2における新規改正ルールを発表する。それはイナズマイレブンGOシリーズを観てきた視聴者にとっては驚愕の内容だった!


【化身とその関連行為はすべて禁止!!】


 ……だそうですよ、奥さん。ええええッ〜!? せっかくあの無茶な展開に慣れて来たというのに、ここに来て禁止かよ!?

 まぁ確かに収拾がつかなくなってきているのは確かだし、ここでは触れられなかったけど、ミキシマックスという概念は天馬、神童、剣城にしか使えないパワーアップでもあるしなぁ。原点回帰というか、せっかく培ったものを台無しにするというか……という割り切れない思いはあるけど、ここは納得するしかないか?


松居「パワー重視のこれまでより基本的なサッカーテクニックが要求されます。この新ルールが選手たちのプレーにどう影響するのか注目されますね〜」

 松居さん、新ルールの説明役に使われて……。


 観客席では三国太一(CV:佐藤健輔)が、化身、化身アームド、そしてミキシマックスまでもが禁止された現状を分析する。狩屋マサキ(CV:泰勇気)は「いいんじゃないですか?」とこの改正に前向きだ。まぁ化身出せなくて2軍に甘んじていた狩屋たちからすれば、このルール変更はむしろ喜ばしいことだろう。


 この改正にはまだこれでも説得力が足りないと見たのか、豪炎寺も新たな可能性を探るための改正だと、黒岩考案の新ルールを擁護(ようご)する。当の黒岩は、自分たちの力を会場にいるすべての人々に見せつけるよう、監督としての最初の指示を出す。


 方や鬼道が率いる帝国学園。彼らもエキシビジョンマッチだからといって手を抜こうなど微塵(みじん)も考えてはいなかった。むしろ帝国から選出された日本代表がゼロという現状を怒りに変えてぶつかってくることになるだろう。鬼道の「勝利のみ!」という檄に、全選手が一丸となって答える。そこには元シードだったかどうかの差異さえも感じられない。帝国は本気だ! そう、かつて雷門中がホーリーロード関東地区予選で激突した時よりもずっと。





 試合開始前の両チームの布陣。布陣はオーソドックスな4−4−2。イナズマジャパンサイドはまだ未知数の選手が多く、コメントするにはデータが足りない。天馬は1.5列のMFポジション。神童はその後方に陣取り、実質的にチームの司令塔を引き受けた形だ。

 一方の帝国学園は懐かしいメンバーが並んでいる。布陣はややディフェンシブな5−3−2。ちなみに元シードは11番のキャプテン、御門春馬(CV:早志勇紀)、5番の龍崎皇児(CV:前野智昭)、6番の飛鳥寺朔也(CV:野島裕史)、10番の逸見久仁彦(CV:古島清孝)の4人。1番キーパーの雅野麗一(CV:美名)はレジスタンスの一員としてシードとは敵対関係にあった。他はノンポリ



 そしていよいよ試合開始のホイッスルが鳴る。新たな日本代表の船出は一体どういう展開を見せるのだろうか?

 キックオフはイナズマジャパンボール。天馬から神童へと、雷門中ホットラインが幸先よくつながる。それを笑って見つめるのは、敵将・御門だった。イナズマジャパンの能力を見せてもらうという思いの彼は、逸見と共に神童に挑みかかる。

 だがさすがは神童。2人のアタックをかわして剣城にパスを送る。剣城は8番の五木勝正(CV:金野潤)のタックルを受けるが、それをフォローするのは天馬だった。

 DF2人を必殺技「アグレッシブビート」で抜こうとする天馬だったが、2人がかりの必殺技「サルガッソーV2」によって阻まれてしまう。



 だがそのこぼれ球を押さえたのは神童だった。ここまでたった3人で攻めていたイナズマジャパンだったが、神童はここで試合開始前に仲間たちに提案していた作戦を実行に移すつもりでいた。

 試合前のロッカールームで、神童は初顔会わせのチームとして重要な連携を大事にしようと提案していた。協力が得られると考えている神童は、迷うことなく進化した彼専用の必殺タクティクス「神のタクトFI(ファイアイリュージョン)」を使用する。




 ここでCMアイキャッチ。なかなかカッコ良い。





 だが、指示を受けるはずの瞬木隼人は棒立ち状態でその炎の軌跡を見送ってしまう。まぁ神童の新必殺タクティクスを知らない者がいきなりこんな炎を上げられたらビビってこうなってしまうことも止むなしだとは思う。


 必死にカバーに入った天馬がもう一度神童にボールを送る。神童は同じ指示を、今度は野咲さくら、九坂隆二に出す。だがその両者ともにやはり神童の指示に従おうとはしなかった。

 指示通りに動かないチームメイトに怒りを募らせる神童に、天馬は気を落ち着けてじっくり行こうと緩衝材(かんしょうざい)の役割を引き受ける。



 ベンチでは、みのりがタッチパネルを駆使して選手たちのデータを把握していた。それとともに、黒岩が何を意図しているのかさえも見抜いたかのように小悪魔的な笑みを浮かべる。



 試合展開は帝国が押し気味に進めていた。神童の指示に従わず、バラバラの状態なのだからそれもむべなるかな、なのだが。天馬は鉄角真にパスを送るが、そのボールが鉄角にはボクシンググローブに見えてしまう。

 ボクサーの特性のようにそのボールをかわしてしまう鉄角。だがサッカーの試合で仲間からのパスを避けていたら、それは噴飯物(ふんぱんもの)のひどいプレーだ。ボールはタッチラインを割ってしまい、やらずもがなの相手ボールになってしまう。



 鉄角真(CV:泰勇気)。2年生のDF。背番号は5番。万能坂中出身。元ボクシング選手で世界的レベルの実力者だった。速く動くボールがパンチに見えて思わず避けてしまうというかなりサッカーに向いていない特性の持ち主。万能坂中もこんな選手をサッカー部に入れんなよ。


 逸見の持つボールを追う天馬を一気に抜き去って逸見に向かう一陣の風、それは瞬木だった。



 瞬木隼人(CV:石川界人)。1年生のFW。背番号は11番。海王学園出身。陸上部に所属していただけにその瞬発力は素晴らしい。だが相手からボールを奪うなどの行為は得意ではない。サッカーのルールをよく分かっていない様子。海王学園もこんな選手をサッカー部に入れんなよ。


 転がったボールは森村好葉の元へ。小柄な好葉の前に立ちはだかるのは鬼のような髪型の佐々鬼厳(CV:奈良徹)だった。好葉はその形相に怯(おび)えて何も出来ずにボールを奪われてしまう。



 森村好葉(CV:悠木碧)。1年生のDF。背番号2番の女の子。漫遊寺中出身。この声優さんにして一人称が「ウチ」!! これはあの前作のトリックスター、菜花黄名子(CV:悠木碧)のご先祖様なんじゃないの!? 黄名子ファンのわたし的にはこのキャラは今後要チェックする必要性を感じている。漫遊寺中は京都の学校だから、この「ウチ」は京都由来だったのかもしれない。運動部入部経験がないというスーパー文系少女。髪型的に園芸部とか似合いそうだもんな。漫遊寺中もこんな選手をサッカー部に入れて良いよ。


好葉「ウチ、サッカーやったことないのに……」

 「やんね」はまだ確認できないけど、彼女は注目だ。



 その間に洞沢秀二(CV:ゆりん)の持つボールに九坂隆二が豪快なタックルを見舞っていた。



 九坂隆二(CV:岡林史泰)。3年生のMF。背番号6番。出身中学は不明。ゴツイ体格なのに軽快なタックルでボールを奪うなどサッカー経験はありそう。普段は温厚だが実は5つの学校を束ねる番長で、弱いと言われると怒り狂い、手がつけられない乱暴者に豹変(ひょうへん)する。



 ブレーキの壊れたダンプカー状態の九坂。この横顔はあの名も無き小市民、ザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)を連想させる。ザナークのご先祖様はコイツだったりして。


 暴力行為でホイッスルを受けるという、イナズマ史上でもあまりない光景が繰り広げられる。こんな乱暴者を日本代表に入れていて、果たして良いのだろうか?




 そして九坂とはまったく逆のタイプっぽい真名部陣一郎(CV:野島裕史)。2年生のDF。背番号は4番。メガネが現す通り、イナズマ界の骨組・栄都学園出身。速水と違って頭が良さそうなタイプのメガネくん。「日本計算超人コンテスト」優勝という肩書きを持っている。それだけに運動部など入ったこともないらしい。内申書か? 内申書目当てなのか? そんな時代はフィフスセクターが滅んだ時点で終わってるはずなんだけどねぇ。詳細は不明。



 栄都学園のメガネどもに代々受け継がれし必殺技「パーフェクトコース」を撃つ真名部(ウソ)。


 計算がすべての彼は、予期せぬ敵の行動など考えに入れずに行動してしまい、まったく相手選手を止めることが出来ない。いわゆる【机上の空論】を地で行く性格のようだ。



 そして高らかに上がったボールに飛びつくピンク髪の少女。抜群のアクロバティックな動きでボールを足に挟(はさ)んで着地する。



 野咲さくら(CV:遠藤綾)。1年生のMF。背番号7番。女の子。大海原中出身。新体操の達人で、バネと柔軟性はサッカー選手以上。今まで出てきた中では一番頼りになりそうな戦力。ただ演技をすることで満足してしまう性格で、そのあとのボールの行方(ゆくえ)には徹底して無関心。やっぱダメだ。



 洞木のドリブルの前に立ちふさがるオレンジ髪の選手はどうだろう?



 皆帆和人(CV:代永翼)。2年生DF。背番号は3番。天河原中出身。父親は警視総監賞を受賞した刑事。その血を受け継いだ彼も推理力で相手の挙動を測ろうとする。だが実践が伴わず、せっかく行動パターンを読めても阻止できなかったりする。その性格はラフプレーで有名な天河原中のサッカー部に合ってない気がする。



 そうこうしているうちに、ゴール前の御門にボールが渡ってしまう。御門は帝国学園伝統の必殺シュート「皇帝ペンギン7」を放つ。待ち受けるのは8人の無名選手の中の最後の一人、キーパーの井吹宗正だった。



 井吹宗正(CV:鈴木達央)。1年生のGK。背番号は1番。月山国光中出身だけあって、名前が戦国武将みたいだ。あのおっさんキーパー、兵頭の後輩でもある。バスケットボールの名選手だったらしく、反射神経は素晴らしいものを持っている。


 井吹はジャンプ一番、必殺シュートに飛びついて力づくでそれを阻止してしまう。技も使わずに御門の強烈なシュートを止めてみせた井吹に、天馬は小躍りして喜ぶ。


剣城「やっとまともな奴がいたか……!」


 だがヤツが壊れているのはここからだった。バスケの選手だった彼はサッカーボールをやにわ地面に叩きつけ始める。これはバスケにおけるドリブルだ。その態度にはさしもの御門も驚いて度肝を抜かれる。



 井吹のその行為を見て怒ったり呆れたりする皆さん。個人的には左下の白竜の表情にクソワロタ。「こんなヤツですら日本代表に選ばれているというのに……」という無念さがよく出ている。


 井吹はそのままドリブルで前進を始めるが、当然ながらそのままペナルティエリアを出てしまえば、ハンドの反則になってしまう。さすがにこのしろうと丸出しのプレーを見せつけられ、場内はどよめく。仮にも日本代表に選ばれた選手たちがこんな体たらくでは、それは観客も納得が行かないだろう。



 そしてしろうとチームであることが発覚した今、帝国学園には容赦がない。怒涛(どとう)のゴールラッシュでたちまち3点を奪ってしまう。この展開に納得が行かないのは観客だけではない。むしろ自分たちが選ばれていれば、こんな低レベルな試合を世間に晒すこともなかったと思う気持ちがある分、サッカープレーヤーたちの方がやるせない気持ちだったろう。


信助「何であれが日本代表なんだ!?」
蘭丸「これじゃ日本のサッカーは世界の笑いものだ!」



 その恥ずかしい試合を実際に演じているという現実は、プライドの高い神童には耐え難いものであった。得点が表示されたスコアボードから思わず目を逸らしてしまう。



 他人事のようにこの試合を見ていたみのりも、さすがに気になったのか黒岩に善後策を求める。だが黒岩は聞こえなかったかのように微動だにしない。



 その後も帝国の一方的な攻撃が続く。これはエキシビジョンマッチではなく、一方的な殺戮劇(さつりくげき)であった。



 自陣ゴールにダンクシュートするかのような姿を見せる井吹。どう見てもアホっぽい。顔は男前なのに、ギャグキャラ。


 ついに0−10と二桁失点を喫し、フラストレーションを募らせていた神童の怒りが爆発する。怒りを収めようと珍しく剣城が神童に作戦を提案するのだが、神童にとってはそんな態度も気休めに思え、怒りがより強く表出してしまう。

 神童はついに張り詰めていた気持ちを切らせ、負けを認めてしまう。その剣幕には剣城も言葉を失ってうつむいてしまうが、そこに声をかける男がいた!


天馬「まだです!!」


 諦めない男、天馬から「諦めない限り、終わりではない」という道理を叩きつけられ、神童は取り乱していた態度を収めて冷静さを取り戻す。天馬は先輩に対して説教をするかのような口ぶりをあわてて詫びるが、神童は今一番大切なことを教えられたとばかりに笑顔で応える。

 いつもの調子を取り戻した神童は、3人だけでも一矢を報いようと攻撃に転じることにする。試合再開後、3人はそれぞれの持ち味を駆使して前進を開始する。天馬の必殺ドリブル技「風穴ドライブ」が文字通り、帝国ディフェンス網に風穴を開ける。



 そしてパスを受けた神童。だがその前には帝国一の実力者、御門が立ちはだかる。神童はまたも巧みに御門をかわし、今度はそれを感応できる者だけのために必殺タクティクス「神のタクトFI」を送る。



 その炎に導かれた天馬と剣城は、その炎に負けないほど燃え盛る必殺シュート「ファイアトルネードDD(ダブルドライブ)」を撃って、1点を奪うことに全力を挙げる!




 必殺キーパー技「パワースパイクV3」で迎え撃つ雅野だったが、天馬たち3人の執念の思いが詰まったシュートを止めることは敵わなかった!!


 ついに待望の1点を奪い取ったイナズマジャパン。殊勲(しゅくん)の天馬と剣城は得意げにハイタッチする。その2人を、神童が肩を抱いて激励する。まさに雷門中の3人だけで一矢を報いたのである。


 そこで試合終了のホイッスルが鳴る。この試合、1−10という誰もが想像だにしないほどの大差で終了する。この船出は、誰が見ても最悪なものであることは間違いない。

 最後に意地を見せたものの、やはりこの大敗は悔しく恥ずかしいものであった。神童は歯噛みして悔しがり、剣城も負けたことをポツリと漏らす。

 この展開には監督更迭(かんとくこうてつ)もあり得ると、さすがに厳しいことを言わざるを得ない解説の松居。だが当の黒岩はやはりその表情から窺える真意が見えない。


 観客席では、この情けない試合が自分の責任だと言わんばかりに信助が涙ぐんでいた。


 試合後のチーム同士の握手の場で、ハプニングが起こる。帝国の御門が神童が一番聞きたくなかった感想を漏らしたのだ。


御門「がっかりだぜ!!」



 あまりの悔しさに、泣き虫の部分まで原点回帰したかのように泣き出してしまう神童。天馬は感情的にはならなかったものの、その無念さは同じだったと思う。


 そんな彼らの元には、大いに期待を裏切られた思いの観客からの罵声と、そしてメガホンが投げつけられる。晴れの壮行試合の場面をとんでもない状態にしてしまった張本人である黒岩に、メガネの男(多分、大会関係者)はどう収拾をつけるのだと怒りをあらわに語りかける。なぜこんなメンバーを選出したのかという当然の問いかけに、答える必要はないとだけ答え、黒岩は立ち去ってしまう。

 そんな黒岩の姿を目で追いながら、鬼道は黒岩を本名で呼ぶ。



「我が師、影山零治!」


 あ、もうバラしちゃった!!



 相変わらず怒号が巻き起こる会場で、天馬は何が起こってしまったのかを測りかねていた。


天馬「何なんだ……これ!?」



 そのすべての元凶。スタジアムの暗い通路を行く黒岩は、携帯電話で誰かと連絡を取っていた。その相手の名を、確かに彼は「円堂」と呼んだ!

 彼らは互いに何かをするために協力体制にあるらしい。一通りの会話が終わると、黒岩は携帯を切り、みのりと共に歩み去っていく。黒岩の真意とは? そして彼が会話した「円堂」とは!?



 次回に続く。



 エンディング




 さて第1回目のイナギャラ、皆さんはどんな感想を持っただろうか? 私はこれまでの展開よりはとっつきやすかったと思っている。前作ではサッカーがなくなってしまうというすごい展開だったし。

 ただここまで入れ込んでいたキャラ達がついに出てこなくなりそうで、その辺は悲しい。まさか信助や蘭丸まで切り捨てられるとはねぇ(~_~;)

 あと化身という概念の廃止もどうかなぁ? 最初は違和感あったけど、やっと視聴者が慣れてきた頃に今度は廃止ってのはねぇ。黒岩自身が提唱したって話だったけど、実は化身を出せない他の国からクレームが来たのかな? 日本はこういうロビー活動が弱いし……。化身が使えないとすると、天馬、神童、剣城の合体化身の出番もなしか。


 今回の殺戮劇、まるでWBC壮行試合で広島カープにボロ負けした日本代表メンバーを見ているような……。今言えることは「帝国を日本代表で出せ」ということ。広島出てたらWBC優勝してたかもしれないしな。

 まぁ真面目な話、しろうと同然の集団がこれからどんどん強くなっていくのが今回の主要テーマなのだろう。サッカーがつなぐ絆の偉大さは前作が語っていたわけだしね。


 次回はアジア予選に向けての特訓パートになるらしい。他のメンバーが今のところどの程度、サッカーに入れ込んでいるのかがよく分からない状態なので何とも言い難いのだけど、やっぱりわたし的には好葉ちゃんが気になる〜。黄名子っぽいのもあるし。



 エンディングテーマ曲「勝手にシンデレラ」の葵ちゃんはめちゃめちゃヘビメタ状態で驚いた。好葉ちゃんとのデュオが素敵。「タモリ倶楽部」によく出てる面白い外人さん、マーティ・フリードマン作曲だってさ。



 第2回もどうなるか分からないけど、しばらくは変化を辛抱することが大事だと思う。早く楽しくなって欲しいものだけど。



  次回「立ち込める暗雲!世界大会開幕!!」に続く。



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