震災がゲーム業界に及ぼした影響

 余震がいまだ続き、福島第1原子力発電所の事故の深刻度が、チェルノブイリに匹敵する基準のレベル7に認定されている現在。落ちついたとは間違っても言えない状況なのではあるが、拙ブログはゲームブログ故に、ゲーム産業の被った影響というものに対しても鈍感ではいられない。そこで今回はその話をさせて頂く。

 調べてみたところ、その辺を取り上げたニュースを見つけたので引用する。


朝日新聞より引用

震災でゲームソフト売上高3割減 3月前年比
2011年4月15日21時29分

 家庭用ゲーム機向けソフトの3月の国内販売は、前年比30.5%減の170億円だった。東日本大震災が起きて、自然災害を生き抜くサバイバルゲームが発売中止になったほか、少なくとも20本が発販を延期。広告の自粛も響いた。
 ゲーム雑誌編集のエンターブレインがまとめた。発売中止になったのは、ソニープレイステーション3向け「絶体絶命都市4」。地震や水害に見舞われた都市を舞台にしたゲームだった。また、テレビや雑誌の広告が見合わされたことで、アクション系の「龍が如く」のシリーズ作などに発売延期が相次いだ。

 ゲーム市場は、2008年秋のリーマン・ショック後に低迷が続く。2月末に新端末の「ニンテンドー3DS」が出て、3月以降は盛り上がりが期待されていた。エンターブレイン浜村弘一社長は、ゲーム機の部品不足などを心配しつつも、「延期になったソフトが順次発売され、年末に向けて盛り返していくだろう」とみる。(野村周)

http://www.asahi.com/business/update/0415/TKY201104150420.html?ref=goo


産経新聞より引用

国内ゲーム市場の震災影響額は73億円超
2011.4.15 18:45

 ゲーム雑誌出版のエンターブレインは15日、東日本大震災による国内ゲーム市場への影響額が3月だけで73億3000万円に達したとの調査結果を発表した。 ゲームソフトで、主力作品の発売延期が相次いだことによる大幅な売り上げ減少が直撃した。4月から販売は回復傾向にあるというが、当面は予断を許さない状態が続きそうだ。

 影響額は、例年の販売動向やソフトラインアップなどを分析して算出した。影響額の内訳は、ゲーム機(ハード)が28億6000万円、ソフトが44億7000万円だった。

 ハードでは任天堂が2月26日に発売した3D(3次元)映像に対応した携帯型機「ニンテンドー3DS」の販売が、震災後に急激に落ち込んだことが響いた。またソフトでは、震災後に発売が延期もしくは中止になった作品が31本に達したとしている。

 エンターブレイン浜村弘一社長は「ハードとソフトともに足下の販売は回復してきたが、ハードでは部品の供給不足で品切れを起こす可能性もある」と指摘した。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110415/biz11041518460028-n1.htm


 いずれもエンターブレイン浜村弘一社長が解説している。以前から思っていたんだけど、桜玉吉の「しあわせのかたち」の頃から読んでいた「ファミ通」世代としては、朝日、産経といったメディアでゲーム業界の解説をする浜村通信には、何だか隔世の感がある。まぁそれは今回は関係ない話なので置いといて……。


 記事を読んで分かるのは、ソフト・ハード両面に別々の問題を抱えて損失が大きくなっているという状況。ハードの部品不足などは、理解しやすい問題点で、またやむを得ないものであるとして受け止める事ができる。こればっかりはどうしようもないからだ。

 懸念される問題点はソフトの開発が中止になったり、延期になったりしている事。『絶体絶命都市』のシリーズは当方はプレイした経験が無いので詳細は不明なのだけど、記事を読んでの印象としては『絶体絶命都市4』の開発中止は、今回の事態の重大性、類似性などを考慮すれば仕方の無い事なのかもしれない。開発に要した費用や時間を考慮すると、ゲームを製作していたアイレム社としては断腸の思いでの決断だったろうと思うが、配慮を第一に考えた英断でもあったと思う。

 広告の自粛も、震災後しばらくはやむを得ない事だったと思うし、その時期に発売予定だったソフトは広告が打てない分、発売を延期して然るべきだと思う。ただそれにより醸しだされた「自粛」ムードがいつまで続くかという点が心配される。


 朝日の記事にある様に、ゲーム産業は縮小傾向にある。そんな中、ニンテンドー3DSの発売は、久しぶりにゲーム産業にとって明るい話題だったのだけれど、それを震災が吹き飛ばしてしまった。ゲームは日本の重要な産業コンテンツだと思う当方は、このままじり貧になってもらいたくは無いと思う。

 ファミコンから始まり、今も世界中を席巻する日本のゲームハード。この隆盛を存続させるものは、やはり国内での発展であり、たゆまぬ開発向上であり、ライバル同士の切磋琢磨であると思う。かつての任天堂セガソニーの争いが、今日の日本製ゲーム機の世界制覇に繋がっていたはずだ。そしてそのハードを面白いゲーム機にするのも、ただの箱にするのもソフトウェア次第。これは大事な両輪だ。

 今の日本は、そのどちらもが深刻な状況にあると言ってよい。ただ部品不足はともかく、ムードに引きずられて消沈する事が無いように望みたい。くしくも同時期、東京ディズニーランドが節電に協力しながら、震災以後の閉園から35日ぶりに営業を再開したという。この様な娯楽は、現代の人間の生活に欠かせないものとなっている。ゲームも同様の心の癒し的な潤滑油となり得ると、当方は思う。日本を元気にするために、ゲーム業界は委縮せずに、それでいて配慮を失念せずに、頑張って欲しい。



 という訳で、当方も『イナズマイレブン』を今さらながらではあるが、購入してプレイする事にした。楽しく遊んで、感想文も書くよ。


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